1級建築施工管理技士 く体工事 地業工事 地盤改良

第4章 地業工事 地盤改良工事

深層地盤改良の工法
エスミコラム工法やエポコラム工法など

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エポコラム工法(籠式複合相対回転攪拌工法)
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(一財) 先端建設技術センター建設技術審査証明取得
技審証第 1704号
(一社) 農業農村整備情報総合センター 登録 No.0223

【 概 要 】

エポコラム工法は,地盤中にセメントスラリーを注入し,
籠状攪拌翼の外翼と芯翼,中翼と掘削ヘッドが相対して回転する複合相対攪拌機構により,
三次元的な混合・練込みを行う工法である。
低速回転・高トルクによる大口径コラムの築造や
礫層・硬質地盤対応が可能な技術として技術審査証明を取得している。

【 特 徴 】

施工コストの軽減と工期短縮
大口径コラムの築造で、一工程当たりの施工量の増大が図れ、
施工コストの軽減と工期の短縮が可能。
(コラム径 標準Ø1.6m〜最大Ø2.5m)

1.攪拌性能が高い
エポコラム翼の『羽根切り作用』とそれに伴う『練込み作用』によって、
土壌とセメント系スラリーとの均一拡散や土塊の崩壊を促進させるため攪拌性能が高い。

2.コラム相互の接合隔着が完全
外翼が攪拌翼土中の土塊を抱え込み、翼外部へ「まきだし現象」がないことから、
コラム相互のラップ部の接合隔着が可能。

3.転石層でも混練攪拌性に優れる
エポコラム翼の主翼は両端部が回転軸に固定されているため、
転石等に遭遇しても損傷し難く、また礫層を押圧せずに掘進する機能を持ち、
転石層でも混練攪拌性に優れている。

4.杭芯の精度保持性が高い
回転軸の剛性が高く、翼の相対回転による求心性の効果で杭芯の精度保持性が高い。

【 適用目的 】

1.盛土・切土のすべり防止
2.圧密沈下の低減
3.支持力の増大
4.土圧の低減
5.変形・変位の防止
6.重要構造物の防護
7.建築物の基礎
8.耐震補強・液状化対策
9.土壌汚染対策(現位置浄化・不要化・封込め)
10.その他改良工事

【 エポコラム翼機構 】

エポコラム翼の回転機能は外翼と内翼が同一方向に回転し、
中翼と削孔ヘッドが、逆回転する機構を有する複合相対回転翼である。
各々の外翼3枚および内翼・中翼各2枚が『羽根切り作用』に伴って、
相対回転する翼間 の土壌が対流流動を強制され、
土壌と固化材との『練り込み作用』によって、
コラム体中に固化材の均一拡散や土塊の崩壊を連続的に繰り返し、
均質なコラムを造成する。
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【 エポコラム工法の施工手順 】

epocol_1a[1].jpg

【 エポコラム工法の特徴を生かした新工法 】

エポコラム工法の特徴である低速回転・高トルクを生かした新工法として
エポコラム-Loto工法,エポコラム-Taf工法がある

①エポコラム-Loto工法
エポコラム-Loto工法は,大口径改良体造成を目的として,
翼中吐出機構と水平・鉛直補助翼の開発し,
Ø1.6mから最大改良径2.5mの造成を可能としている。

②エポコラム-Taf工法
また,新たに開発したエポコラム-Taf工法は,
地盤中の残置既製杭や改良地盤等,従来工法では先行削孔等が必要な障害物が存在する場合に,一工程の改良施工を可能とした工法である。

残置既製杭の破砕・改良の同時施工では,
撤去工が不要となり経済的になる上、廃棄物の有効利用を図れ、
環境負荷を低減できる。

1級建築施工管理技士 く体工事 鉄筋工事 品質管理

5章 鉄筋工事 配筋検査

鉄筋コンクリート造において
品質問題として発生しやすいものに
鉄筋工事がある。

鉄筋の種類の間違い、本数の間違い、かぶり厚さの不足
どれをとっても、

構造計算との不整合 → 構造耐力が確保できない
建築基準法違反などとなり
品質上重要な問題となる。

なので、何重にもチェックを行う必要がある。
まずは、鉄筋業者自身がチェックを行い、
次に、作業所がチェックを行い
これで問題がないという状態で、
建築主の立場で、工事監理者の検査が行われる。

工事監理者がチェックを行う場合においては、
普通は、全てがおさまっている状態である。

しかし、人間が行なうことなので、
間違いは発生する。

それらを解消した上で、特定の工程では
官庁検査がある。
①鉄筋工事 専門業者
②作業所
③工事監理者
場合によっては、建築主が別に依頼する
第三者がはいるケースがある。

[ 官庁による特定工程の検査 ]
その際のチェックポイントは以下の4点。
鉄筋の種類
継手、定着の方法
圧接、溶接継手の引張試験結果、UT試験結果
配筋検査
鉄筋の種類はミルシート(材料証明証)及び出荷証明書により確認する。
種類、使用箇所が設計図どおりのものであるか。
継手、定着の方法は、
打設するコンクリートの強度と鉄筋の種類、及び部位によってことなるので、
それぞれ整理しておく必要がある。(L1、L2等・・)
通常、柱や梁は圧接継手を行う場合が多い。
鉄筋等の試験は、
これもまずはミルシートで確認する。
材料の成分は規定のものであるか?
圧接継手を行う場合は、
圧接部の外観検査、超音波探傷(UT)試験、引張試験などの結果も合わせて確認する。
そのロット割り、及び本数は設計図書による。
通常は、1ロットあたり3本。
CB溶接継手などでA級継手になるものは,
引張り試験及びUT試験の両方が必要である。
その他、機械式継手を行う場合や、通常の溶接技量を超える場合の
溶接継手を行う場合などは施工前試験などが必要になるので注意する。
書類上の確認が終わって、ようやく、現場にての配筋検査になる。
配筋検査で主に確認する内容を以下に示す。
・鉄筋の種類・径・・・・圧延マーク、ノギス等
・加工寸法・・・・・・・スケールによる
・本数・・・・・・・・・目視
・組立精度・位置・間隔・スケール及び目視
・かぶり厚さ
・継手及び定着の位置・長さ
・鉄筋相互のあき
・スペーサー及びバーサポートの材質・配置、数量
・鉄筋の固定度
日本建築学会の
鉄筋コンクリート造配筋指針・同解説
は必携の書籍である。

配筋時の鉄筋の名称や標準的な配筋要領が不明な場合には
つねに見返して理解する必要がある。
参考までに
配筋検査の要点をまとめたので
活用されたし。

1級建築施工管理技士 く体工事 基礎工事

第4章 地業工事 杭工事

◆既成コンクリート杭

1)杭の運搬及び取扱い
①杭の運搬及び取扱い 積込み・荷降し 2点、1/5の箇所
②杭の建込み 杭上端部から 2mの位置を吊り点位置とする

2)打ち込み工法
①打撃工法
ディーゼルハンマ、ドロップハンマ(もんけん)
バイブロハンマ、油圧ハンマ

②プレボーリング併用打撃工法
オーガーによる掘削径
通常、粘性土の場合、 杭径 – 50mm

③杭の打込み
一群の場合 中心から外側へ
一本の打込みは中断しない

④杭の打止め
指定された深さで行う
支持層まで到達すること

3)埋込み工法
①プレボーリング工法(セメントミルク工法)
【 アースオーガーによる掘削の施工上の留意事項 】
・屈進速度が速すぎると、
先端の掘削ビットに過大な負担がかかり、
ビットが横に逃げたり、ロッドが曲がるなどして、
掘削孔の曲がりが生じやすくなる。
土質によって屈進速度を変える必要がある。
→ 硬い地盤ほどゆっくり掘削する。

・掘削中に孔壁の崩壊が生じるおそれがある場合は、
必要に応じて掘削液(安定液)を使用する。

・アースオーガーの引き上げに当たっては、
負圧によって地盤を緩めないように
ゆっくりと正回転で引き上げる。

・掘削土は、杭の高止まりが生じないように十分排出する。

【 杭の建て込みの施工上の留意事項 】
・掘削孔壁が崩壊することがないように、速やかに行う。
孔壁の崩壊は高止まりの原因となる。

・孔壁や杭体を損傷することのないよう、
鉛直に吊り下げた状態でゆっくり行う。

・建て込み後に杭が自沈するおそれのある場合は、
固定ち具などにより杭を保持し、
自沈しないように設置高さの位置で固定しておく。

②中掘り工法:
杭中空部にオーガー等を挿入し、杭先端地盤を掘削しながら、杭中空部から排土して杭を設置する工法。
直径 500mm以上に適する
杭先端にはフリクションカッターを取り付ける

4)杭の継手
①溶接継手または接続金具による無溶接継手とする。

②【 溶接継手の留意事項 】
・溶接は原則としてアーク溶接とする。

・継手部の開先の目違い量(杭心のずれ)は 2mm以下
許容できるルート間隔(杭間のすき間)は 4mm以下

・仮付け溶接は、点付け程度のものでなく、
必ず 40mm以上の長さとし、本溶接と同等のものとする。

・溶接の盛上げの不足があってはならないが、
余盛りは 3mm以下とし、不要な余盛りは行わない。

・杭の継手を手溶接とする場合、
JISに定める A-2H 程度の有資格者に行わせる。

・継杭における下杭の打残しは、
溶接作業に都合のよい高さ( 1m程度)とする。

・風速が 10m/s 以上ある場合、
適切な防風措置を講じて溶接作業を行う。

5)杭の施工精度
・杭頭の設計位置と水平方法のずれ
D/4( D は杭径)以内、かつ 100mm以内

・杭の傾斜
1/100 以内
※許容範囲を超えた場合には設計者に確認及び検討が必要である。

◆場所打ちコンクリート杭

1)施工
①コンクリートの調合

・一般に養生温度による強度補正は行わない。
mSn = 0
特記のない場合は、
構造体強度補正値の値は 3 N/mm2とする。

・調合は共仕によると
A種 c/w 60%、、スランプ 18㎝、粗骨材Max25mm、
単位セメント量 310 kg/m3(無水掘りの場合)
B種 c/w 55%、、スランプ 18㎝、粗骨材Max25mm、
単位セメント量 340 kg/m3(無水掘り以外)

②掘 削

・試験掘削に使用する安定液の品質試験は、
粘性、比重、ろ過水量、pH、砂分、塩分の全項目について行い、
以後は粘性及び比重について行う。

・杭の先端部は所定の支持地盤に確実に到達させ、
原則として、杭先端は支持地盤に 1m以上根入れさせる。

・掘削深さの確認は、
重錘(じゅうすい)と検測テープを用いて
杭底の2箇所以上で測定する。

③スライム処理(杭底処理)

・スライムとは、孔内の崩落土、泥水中の土砂等が沈殿したもの。
杭底部のスライムの介在は先端支持力を著しく低下させるので、
スライムの除去は確実に行わなければならない。

・スライムの処理には、
1次スライム処理(掘削完了直後に行う)と
2次スライム処理(コンクリート打設直前に行う)がある。

④鉄筋かごの組立て・吊込み(建込み)

・鉄筋かごの組立て(主筋と帯筋等)は、
原則として、0.8mm以上の鉄線で結束する。
ただし、帯筋の継手は片面 10d 以上のフレアーグルーブ溶接とし、
補強リングは、主筋に断面欠損を起こさないように堅固に溶接する。

・鉄筋のかぶり厚さは、
アースドリル及びリバース工法では 10~15㎝程度、
オールケーシング工法では 15㎝程度で設計されることが多い。

・鉄筋かごは、かぶり厚さを確保するために、
スペーサーを深さ方向に 3~5m間隔を目安として、
断面4箇所以上取り付ける。
設計図によるが、かご主筋への取り付けはさける。
がご主筋に設置する場合は、
アンダーカットに注意する。

・通常、鉄筋かごは掘削前に組み立てておく。
したがって、掘削後の検測で、
鉄筋かごの長さと掘削孔の深さに差がある場合がある。
掘削孔の深さが浅い場合には、最下段に鉄筋かごで長さを調整する。
これは杭は一般に上部の方が配筋量が多いので、
上部の配筋が不足しないように配慮したものである。

・鉄筋かごの建起こしと建込みは、
かごに有害な変形が生じないように行う。
また、建込みは、孔壁を崩壊しないように、
鉄筋かごを杭中心に合わせ鉛直性を保ちながら行う。

⑤コンクリートの打設等

・コンクリートの打ち込みは、泥水を巻き込むことがなく
良質なコンクリートに置換するために
原則としてトレミー菅を用いる。

・コンクリート打ち込み開始時には、
プランジャーをトレミー菅内の泥水(安定液)
の上に乗った形で設置して、
コンクリートと泥水等が混ざり合うのを防ぎ、
下部か泥水等を押し上げるようにコンクリートを打設する。

・トレミー菅及びケーシングチューブ(オールケーシング工法の場合)は、
これを引き抜きながらコンクリートの打ち込みを行う。
このとき、トレミー菅及びケーシングチューブの先端は、
コンクリートの中に常に 2m以上入ってるように保持する。

・杭底から押し上げられてきた不健全なコンクリートを、
余盛り部分に集めてコンクリート硬化後削り取る。

【 場所打ちコンクリート杭の余盛りの高さ 】
孔中に水が少ない場合 オールケーシング       50㎝以上
孔中に水が多い場合  アースドリル、リバース 80~100㎝程度

※上記余盛り高さを確保するため、スタンドパイプ取り外し後に、杭頭レベルが若干下がることを考慮してコンクリート打設完了時は少し高いめのレベルに設定しておく。

・杭築造完了後、
杭孔周囲の地盤の崩壊防止と転落防止のため
空掘り部分の埋戻しを行う。
埋戻しの時期は、コンクリート打込みの翌日以降、
杭頭のコンクリートが初期硬化をしてから行う。

2)施工後の処理
①施工精度
杭の水平方向のずれ 100mm以下、傾斜 1/100以下

・断面寸法は、設計断面以下にならないことを基準とする。
拡底径の場合は、拡底率が設計に関わる場合があるので注意する。

・鉛直精度や杭径は、通常、超音波孔壁測定結果から求める。

②杭頭の処理

余盛り部分や不良コンクリート部分をはつり取り、
健全なコンクリートを露出させる。

【 杭頭処理の施工上の留意事項 】
・コンクリート打込みから 14日程度経過した後、
所定のコンクリートの強度が得られてから行う。

・はつり作業に際しては、
杭本体へのひび割れや損傷防止に留意し、
平らにはつり取り、所定の高さにそろえる。

・設計図書に示された高さまで余盛り部分を除去しても、
杭頭コンクリートに不良部分が残る場合がある。
その場合には、不良部分を除去し、
コンクリートを打ち直さなければならない。

3)代表的な工法の概要

アースドリル工法(地盤ドリル工法)
表層ケーシングを建て込み、回転バケットで掘削する。

掘削完了後、スライムを除去する。

鉄筋かごを挿入し、トレミー菅をセットして
必要に応じて再度スライムを除去する。

コンクリートを打込む。

空掘り部分を埋め戻す。

・掘削孔壁の保護は、地盤表層部はケーシングにより、
ケーシング下端以深は、
ベントナイト、CMCを主体とする安定液により
孔壁にできるマッドケーキ(不透水膜)と水頭圧により保護する。

・安定液の粘性
安定液はベントナイト、CMC、分散剤等からなり、
分散剤は液の劣化を防ぎ、くり返し使用を可能にするもの。
安定液の配合は、必要な造壁性・比重のもので、
短時間で砂分を沈降させるため、
できるだけ低粘性・低比重のものとするのがよい。

・粘性はファンネル粘性で表されるが、
その数字が大きいほど粘性は高い。

・必要粘性とは、対象地盤に必要とする粘性をいい、
作液粘性とは、新しく作った安定液の粘性をいう。
アースドリル工法では、
安定液をくり返し使用すると粘性が小さくなることが多いので、
一般的に、作液粘性は必要粘性より大きくする。

・くり返し使用する場合の安定液は、
粘性、比重、砂分、ろ過水量、ケーキ、pHについて
管理しながら施工する。

・支持層の確認は、全杭についてバケット内の土砂を、
土質柱状図及び土質資料と対比し、併せて記録する。

・1次スライム処理:底ざらいバケットで処理する。

・1次処理に用いる底ざらいバケットは杭径より 10㎝小さいものを用いる

・1次処理に用いる底ざらいバケットの昇降は、
孔壁が崩壊することがないよに緩やかに行う。

・2次スライム処理:
水中ポンプ方式、エアーリフト方式等で処理する。

リバース工法(リバースサーキュレーション工法)

・スタンドパイプを建て込み、
その部分をハンマーグラブで掘削する。

その後は回転ビットで掘削し、
掘削完了後スライムを除去する。

鉄筋かごを挿入し、
トレミー菅をセットして必要に応じて再度スライム除去する。

コンクリートを打込む。

空掘り部分を埋め戻す。

・特殊な回転ビットを地上に設置したロータリーテーブルを通じて
緩やかに回転させて掘削し、
排土は水に混じった掘削孔底部の土砂を水と一緒に逆循環方式で吸い上げて行う。

・孔壁保護は、原則として水(土質によってはベントナイト溶液を使用することもある)を用い、静水圧を 0.02 N/mm2以上に保つことにより孔壁の崩壊を防ぐ工法なので、掘削に際しては地下水位を確認し、水頭差を 2.0m以上に保つようにする。スタンドパイプは、地表面部分の孔壁の崩壊を防ぐ役割を果たすとともに、その水頭差を確保するために掘削孔頭部にのみ貫入させるものである。また、スタンドパイプの径は、杭の孔径より、150〜200mm大きくする。

・支持層の確認は、全杭について、デリバリーホースの末端から掘削土砂を採取し、土質柱状図及び土質資料と対比して行い記録する。

・1次スライムの処理
回転ビットを孔底より若干引き上げて、空回しして吸い上げる。

・2次スライムの処理
トレミー菅とサクションポンプ等により処理する。

・スタンドパイプは、地表面の崩壊防止にも役立つので、コンクリートを所定の高さまで打設しトレミー菅を引き抜いた後に引き抜く。

オールケーシング工法(ベノト工法)

ケーシングチューブを圧入しながら、ハンマーグラブで掘削する。

掘削完了後、スライムを除去する。

鉄筋かごを挿入し、トレミー菅をセットして
必要に応じて再度スライムを除去する。

コンクリートを打込む。

空掘り部分をうめ戻す。

・掘削にあたって、
掘削孔全長にわたってケーシングチューブを使用するので、
孔壁の崩壊が少ない。

・孔壁の保護は、基本的にケーシングチューブを用いるが、
ボイリング、ヒービングが発生するおそれがある場合は、
孔内に水をはり防止する。

・支持層の確認は、
全杭についてハンマーグラブでつかみ上げた土砂を、
土質柱状図及び土質資料と対比し、併せて記録する。

・1次スライム処理:
孔内水がない場合やわずかな場合は、
ハンマーグラブで杭底処理する。
孔内水が多い場合は、
その後、沈殿バケット(スライムバケット)で処理する。

・2次スライム処理:
水中ポンプ方式、エアーリフト方式等で処理する。

・ケーシングチューブを急速に引き抜くと
コンクリートに泥水等を巻き込むことになるので、
十分に注意する。

・鉄筋かごがケーシングチューブに接触して浮き上がってしまう
鉄筋の供上がりが発生した場合は、
早期発見が大切で、
鉄筋頂部から供上がりチェック用の鉄線を
ケーシングチューブ天端まで伸ばしておき、
引き抜き初期にチェックを行う。

・供上がり防止策
・ケーシングチューブの内面をよく清掃する
・ケーシングチューブは、
変形・曲がりのないものを鉛直に建て込む
・スペーサーの形状、高さ及び位置に注意する。
・鉄筋かごを曲がりや変形のないように建て込む。

1級建築施工管理技士 く体工事 場所打ちコンクリート杭地業

場所打ちコンクリート杭地業


【 施工管理技術者 】

場所打ちコンクリート杭工法は、建設工事の大型化、高層化に伴って、大口径で長尺の杭を、低騒音・低振動で築造できるという特徴がある。しかし、その反面、次の問題点が指摘されている。

 (1) 杭先端及び周辺地盤の緩み
 (2) 孔壁崩壊の懸念(安定液及び水頭圧の管理)
 (3) コンクリート打ち込み管理ミスによる品質の低下
 (4) スライム沈積による支持力の低下

これらの問題点を解決し、信頼のおける場所打ちコンクリート杭を築造するために、施工に際し施工管理技術者を置かなければならない。

以前は、「場所打ちコンクリートくい工事に関する知識及び技術審査・証明事業認定規定」に基づく「基礎施工士」や、建設業法施行規則第17条の2による「基礎施工士検定資金」が規定されていたが、いづれも廃止されている。

現在は、(社)日本基礎建設協会が実施する「基礎施工検定試験」に合格したものを「施工管理技術者」として扱うことができる。


【 材料・その他 】

(a)鉄筋
 (1) 鉄筋の品質
  (2) 鉄筋の加工及び組立て

(b)コンクリート
(1)コンクリートの種類、水セメント比の最大値、所要スランプ、粗骨材の最大寸法、単位セメント量の最小値を定めているので、これらに適合する調合強度のものを選ぶ。単位水量は、一般には 185kg/m3であるが、施工性を考慮して、「水中コンクリート」で規定している200kg/m3までは、品質計画を明確にすることにより認めることも可能である。

(2)「標仕」では、水や泥土等によるコンクリートの品質の劣化等を考慮して単位セメント量の最小値を定めている。したがって、掘削孔中にたまる水の量が少ないA種の場合には、品質の劣化も小さいためB種より単位セメント量の最小値が小さくなっている。

(3)コンクリートは、土中に打ち込まれるため外気温による影響が少ないので、温度補正を考慮する必要はない。したがって、杭のコンクリート強度の推定試験も標準養生となる。

(4)「標仕」における構造体コンクリートの強度と供試体の強度の差を考慮した割増(㊖F)の考え方は、設計者の判断により特記に示されるものとなっている。

工法の特性.jpg

【 場所打ちコンクリート杭 】

 ・アースドリル工法
 ・リバース工法
 ・オールケーシング工法

一般事項
(1)工法の概要
 各工法の特徴
①アースドリル工法

アースドリル掘削機.jpg
この工法は、上記のような機械を用い、下記のような工程により杭を築造する。

アースドリル工法1.jpg
アースドリル工法2.jpg

②リバース工法

リバース掘削機.jpg
この工法は、上記のような機械を用い、下記のような工程により杭を築造する。

リバース工法1.jpg
リバース工法2.jpg

③オールケーシング工法

オールケーシング掘削機(揺動式).jpg
オールケーシング掘削機(回転式).jpg
この工法は、上記のような機械を用い、下記のような工程により杭を築造する。
オールケーシング工法1.jpg
オールケーシング工法2.jpg

(2)各工法の施工機械と近接建物等との標準的な距離があるので注意する。

アースドリル必要距離.jpg
リバース工法必要距離.jpg
オールケーシング必要距離.jpg
試験杭の施工時における検査項目.jpg

試験杭
(1)本杭を施工するに当たり、施工機械や各種安定液の適否、土質状態、地下水位及び被圧水等の有無、施工時間、支持地盤の確認等の種々の調査を行い、以後の本杭の参考とするために試験杭の施工を行う。

(2)試験杭の調査項目(参考)

試験杭の施工時における検査項目.jpg


アースドリル工法

(1)掘削機の据付け
(イ) 掘削機の据付けは、その作業地盤の耐力に応じて、道板、鋼板、砂利等を敷き、作業中に機械が傾斜することを防ぐ(機種によっては90tを超えるものがある。)。

(ロ) ケリーバーの中心を杭心に正確に合わせ、機体を水平に据え付ける。

(2)掘削
(イ) 最初のうち掘削孔が鉛直になるまでは慎重に掘削を行い、表層ケーシングを鉛直に建て込む。

(ロ) 土質に応じバケットの回転速度を調節しながら掘削を進める。掘削された土砂を常に観察し、崩壊しやすい地盤になったら安定液を用いる。尚、バケットにリーマーを用いる拡幅掘削は、表層ケーシング建込み深度までとし、それ以深の掘削にはリーマーを用いてはならない。

(ハ) 掘削深さが所定の深度に達し、排出される土により予定の支持地盤に達したことが確認されたらスライム処理をして、検測を行う。なお、検測とは、検測テープにより掘削深度を測定することであり、孔底の2箇所以上で行う。

(ニ) 支持層の確認は、バケット内の土砂を、土質柱状図及び土質資料を対比して行う。また、その際にケリーバーの振れや回転抵抗等も参考にする。

(ホ) 掘削孔の側壁の確認を、超音波などに行う装置がある。なお、この装置を使用して確認を行う場合は、特記で指定される。

(3)安定液
(イ) アースドリル工法における孔壁保護は、通常安定液によって行う。

(ロ) 安定液には、ベントナイト系安定液とCMC系安定液があり、どちらも使用する材料は同じであるが、その違いはベントナイトとCMCの配合率の違いである。

(ハ) (ロ) の安定液の選択と配合は、土質や地下水条件を考慮して決める。また、適時試験を行って安定液を調整し、安定液の劣化を防ぐことが大切である。次の表は、砂質土の場合の安定液の配合例である。
砂室土の場合の安定液の配合例

砂室土の場合の安定液の配合例.jpg
 表4.5.3

(ニ) 安定液の性質
①安定液の主な材料
 ・清水:水道水程度
 ・ベントナイト:粘土鉱物の一種で、水に混合して孔壁保護及びスライム沈降防止に効果がある。
 ・分散剤:液の劣化を防ぎ、繰返し使用を可能にする。
 ・CMC:ベントナイト液に作用して、造壁性・沈殿防止効果を良好にする。( Carboxy Methyl Cellulose)

②繰返し使用する場合の安定液の管理基準は、実状に応じたものとするが、その例を以下に示す。
 表4.5.4

③標準比重は、清水とベントナイトのみの新液の比重とし以下に示す。
ベントナイト混合率(%) 比重
    4        1.025
    6        1.035
    8        1.045
    10        1.055
④必要粘性とは、対象地盤に必要とする粘性をいう。

⑤作液粘性とは、新しく作った安定液の粘性をいう。アースドリル工法では、安定液を繰返し使用すると粘性が小さくなる例が多いので、一般的には作液粘性は必要粘性より大きくする。

⑥安定液には、適当な量と質の分散剤が添加されていることを原則とする。


リバース工法

(1)掘削機の据付け
(イ)サクションポンプユニットとロータリーテーブを切り離して作業できる。(本体と10m程度切り離した)ため、杭施工場所に特別な養生を必要としない。

(ロ)スタンドパイプの建込みを行う。スタンドパイプは、表層地盤の崩壊防止及び自然地下水に対し2.0m以上の水頭差を保持し、静水圧により孔壁の崩壊を防止するために用いるもので、建込みは油圧ジャッキ又はバイブロハンマーにより行う。
スタンドパイプの径は、孔径より150~200mm大きいものとする。また、根入れは地下水位、表層の土質の軟弱度により異なり、スタンドバイプ内の水圧で周囲の軟弱土が外側に移動あるいはパイピングを起こさないだけの深さとする。

(2)掘削
(イ)この工法は、静水圧 0.02 N/mm2以上に保つことにより孔壁の崩壊を防ぐ工法であるので、掘削に際しては地下水を確認し水頭差を2.0m以上保つように十分注意する。

オールケーシング工法

(1)掘削機の据付け
(イ)掘削機の据付け地盤の補強については、(c)(1)による。

(ロ)揺動式の場合の掘削土砂の排出は、機械の前方に限られるので、隣地より杭までの距離がない場合は作業動線に注意しなければならない。

(ハ)ケーシングチューブは、杭心に合わせて直角2方向からトランシット又は下げ振りでチェックして鉛直に建込む。

(ニ)ファーストチューブの建て込みは、水平精度と鉛直精度に直接影響を及ぼすので、次のような方法で行う。

①杭心を正しくセットさせるため下記のような治具を用い、ファーストチューブをセットする。

1)イとロを組み合わせてハのような定規をつくる
2)ハのa部を杭心の仮杭に合わせ、bを地盤に差し込み固定する。
3)イを取り外し、ファーストチューブを据え付ける。


②使用するファーストチューブは、鉛直性の監視が容易に行えるよう6m程度の長さにする。

③ファーストチューブは、杭心に合わせ直角ニ方向からトランシット又は下げ振りで


(2)掘削
(イ)掘削は、ケーシングチューブを先に揺動又は回転圧入し、土砂の崩壊を防ぎながらハンマーグラブのより掘削する。掘削が鉛直にできるかどうかは、最初のケーシングチューブ1〜2本の建て込み状況によって決まる。

(ロ)被圧地下水によるボイリングを起こしやすい砂又は砂礫層の場合及び軟弱粘土層でのヒービングを起こしやすい地盤がある場合は、孔内に水を張り防止する。

(ハ)常水面以下に細かい砂層が5m以上ある場合は、ケーシングチューブの外側を伝って下方に流れる水の浸透流うあ揺動による振動によって、周囲の砂が締固められケーシングチューブが動かなくなること(ケーシングチューブが食われる)があるので注意する。

(ニ)掘削終了時、ファーストチューブ刃先を杭底面より先行させないように注意する。

(ホ)掘削深さが所定の深さに達し、排出される土から予定の支持地盤に達したことが確認されたら、スライムを処理し検測を行う。

(へ)支持層の確認は、ハンマーグラブでつかみ上げた土砂を土質柱状図及び土質資料と対比して行う。

(3)孔内水
オールケーシング工法では、掘削孔全長にわたりケーシングチューブを用いて孔壁を保護するため、孔壁崩壊の懸念はほどんどない。しかし、(2)(ロ)の場合や孔内水位と地下水位に水頭差がある場合は、掘削底周辺部の緩みの発生が想定されるので、孔内へ注水し水圧のバランスを図る。

スライム処理

(1)スライムとは、孔内の崩落土、泥水中の土砂等が孔底に沈殿、沈積したものである。この上にコンクリートを打ち込むと、荷重がかかったとき杭が沈下するので、スライムの処理は重要である。
このほか、スライムは強度を含めたコンクリートの品質低下、杭の断面欠損及び支持力低下の原因となる。

(2)スライムの処理には、一次処理と二次処理がある。一次処理は掘削完了直後に行うスライム処理で、二次処理はコンクリート打込み直前に行うスライム処理である。各スライム処理方法の例を、下記に示す。

(3)アースドリル工法のスライム処理は、一次処理をして底ざらいバケットにより行う。バケットは杭径より10㎝小さいものを用い、バケットの昇降によって孔壁が崩壊することのないよう緩やかに行う。

 鉄筋かご建込みの際の孔壁の欠損によるスライムや建込み期間中に生じたスライムは、二次処理としてコンクリート打込み直前に水中ポンプ方式又はエアーリフト方式等により除去する。

(4)リバース工法のスライム処理は、一次処理として掘削完了後ビットを孔底より若干引き上げて緩やかに空回しするとともに、孔内水を循環させて比重を下げ、鉄筋かごやトレミー菅建て込み期間中のスライム沈積量を少なくする。
 二次処理は、コンクリート打込み直前にトレミー菅とサクションポンプ等により孔底に沈積したスライムを除去する。

(5)オールケーシング工法のスライム処理は、ドライ掘削や孔内水位の低い場合は、堀りくずや沈殿物の量が少ないので、掘削完了後にハンマーグラブで静かに孔底処理(孔底のさらい)を行う。
 また、孔内水位が高く沈殿物の多い場合には、ハンマーグラブで杭底処理をしたのち、更に、スライムバケットにより行う。
 なお、コンクリート打込み直前までに沈殿物が多い場合は、二次処理として、エアーリフト方式等によりスライムを除去する。

排液及び排土処理

(1)掘削時には相当の量の排液がでるが、排液は沈殿槽あるいは直接真空ポンプ車に集め場外へ搬出して指定場所へ投棄するか、排液槽に収集し凝集剤を添加して、上澄と回収泥土とに分け、回収泥土を更に脱水処理等をして含水比を小さくし投棄する。

(2)掘削された排土は、含水比が大きい(50〜200%)ので敷地内に集積して、天日乾燥させ、その含水比を小さくする。更にセメントを添加して固形化する場合と、石灰と混合しその化学反応の熱を利用して水分を除去し固形化する場合がある。

(3)これらの排液及び排土処理にあたっては、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」の適用を受ける場合があるので、法律に従った処理が必要になる。
 この場合、元請業車は産業廃棄物の排出事業者に該当するので、処分の方法、形態、場所等を確認させたうえで、許可を取得している業車に委託して処理を行わせるようにする。

鉄筋の加工及び組立

(1)鉄筋はかご形に組み立てる。
主筋と帯線を溶接している例ば見られるが、点溶接は注意しても主筋が断面欠損をするおそれがあるので「標仕」4.5.3(a)では、主筋への点溶接は行わないこととしている。また、帯筋の重ねは、10d以上の片面溶接(両面の場合は5d)とする。補強リングは、主筋に断面欠損を起こさないように十分注意し堅固に溶接する。また、補強リングは、鉄筋かごの径により主筋の内、外周のいずれに取り付けてもよい。
なお、鉄筋の溶接に当たっては、原則として「標仕」5.2.3(c)による。

(2)溶接技能者は、7.6.3を参照する。

(3)溶接施工は、7勝6節による。

1級建築施工管理技士 く体工事 暑中コンクリート

第5章 コンクリート工事 暑中コンクリート


暑中コンクリート

暑中コンクリートとは、気温が高く、日射の影響を受ける期間に製造・施工するコンクリートをいう。暑中コンクリートでは、運搬中のスランプロス、打込み時の凝結の促進、コンクリート表面からの水分の急激な蒸発などによって、コールドジョイントやひび割れの発生、長期強度の不足、耐久性の低下などの問題が発生しやすい。
暑中コンクリートの適用期間は、日平均気温の平年値が25℃を超える期間にコンクリートを打込む期間である。JASS5によると、特記に記載がない場合、日平均気温の平年値が25℃を超える期間を基準として定め、工事監理者の承認を受けるとなっている。

暑中コンクリートの材料・調合・施工については、JASS5または日本建築学会「寒中コンクリート施工指針・同解説」、荷卸し時のコンクリート温度が35℃を超える場合の対策については、日本建築学会近畿支部材料・施工部会「暑中コンクリート工事における対策マニュアル」(以下 “対策マニュアル”という)などを参考にする。
「暑中コンクリート工事における対策マニュアル」の購入は
日本建築学会より

◆材料・調合
セメント・骨材・練混ぜ水は高温のものを使用しない。しかし、セメント温度の受入れ基準はなく、入荷後セメントの温度を下げるのは困難が場合が多いため、粗・細骨材は適度に湿潤したものを受入れ、粗骨材については適度に散水したものを使用し、練混ぜ水は低温のものを使用するといった対策をとるのが効果的・現実的である。
混和材は、JIS A6204(コンクリート用化学混和剤)に適合したAE減水剤遅延形Ⅰ種または高性能AE減水剤遅延形Ⅰ種を使用することが望ましい。
構造体高度補正値(S)は特記による。特記に記載がない場合は、6 N/mm2 とする。

◆製造・運搬・施工
打ち込まれたコンクリートから水分が乾燥したせき板および打継ぎ面へ吸収されないよう、打込み前の散水を入念に行い、たまった水は高圧空気などによって取り除く。打ち込まれたコンクリートが接する箇所の温度が高いと、一体性や、付着強度に悪影響を及ぼすことになるので、表面温度が上昇しないよう散水あるいは直射日光を防ぐなどの対策を講じる必要がある。
コンクリートポンプ車などの運搬機器はできるだけ直射日光を受けない場所に設置し、輸送管などをぬれたシート等で覆うなどして直射日光を避け、コンクリート温度の上昇を防ぐようにする。

コンクリートの練混ぜから打込み終了までの時間は90分以内とする。トラックアジテーター(生コン)車の待機時間を短くする配車手配を行い、待機場所は直射日光を受けない場所とすることや、アジテータードラムへの散水、ドラムへの遮熱塗装、ドラムカバーの設置などにより、コンクリートの温度上昇をできるだけ抑えるように配慮する。

打重ね時間間隔(120分以下を目安)の限度内にコンクリートが打ち込めるように、1回の打込み量、打込み区画および打込み順序を考慮した計画を立て、これに基づいて施工し、コールドジョイントの発生を防止する。
夜間の打込みについては、工事現場の近隣環境、生コン工場の納入体制、施工者のリスク、コストなど、多くの問題点に対応する必要があるものの、作業員の労働環境(熱中症対策)、コンクリートの高温履歴による不具合などを改善するためには有効な対策と考えられる。
なお、養生についても、「暑中コンクリート」としての特別な配慮が必要である。

◆ 品質管理および留意事項
暑中コンクリートの品質管理は、基本的には通常のコンクリートと同様に行えばよいが、以下の事項に留意する。

①コンクリート温度を低減するために粗骨材への散水をする場合は、温度管理だけでなく、粗骨材の表面水の管理も通常の場合よりもきめ細かく行って、コンクリートのスランプおよび圧縮強度のばらつきをできるだけ小さくするように生コン工場と打合せをしておく。

②コンクリート温度は、運搬時間が長くなるにしたがって次第に上昇するので、運搬に時間を要した場合には、温度測定の頻度を上げるなどしてとくに注意する必要がある。なお、対策マニュアルでは、荷卸し時の温度が 35℃を超えることが想定される場合の対策として、一定の適用条件を満たせば、荷卸し時の温度を38℃以下にすることが可能であることが示されているので、参考にする。

③荷卸し地点で採取した供試体を屋外に放置すると、強度はその放置期間中に温度と乾燥の影響を受けるため、成形後の供試体の扱いに注意を払う。標準養生を行う供試体は、現場事務所内など、できるだけ20℃に近い日陰の環境下に、現場水中養生もしくは現場封かん養生を行う供試体は、実際の構造体に近い温度履歴となる日陰の環境下に静置する。

④日本の夏は、温度が高いだけでなく湿度が高いのが特徴である。建設現場ではそのうえに直射日光をも受ける環境下にあるため、作業員の健康管理には常に注意を払い、快適な作業環境を整える。

1級建築施工管理技士 く体工事 寒中コンクリートの初期凍害防止対策

寒中コンクリートの初期凍害防止対策

コンクリートの温度は、
打ち込み後の凍結を避けるためには、
10℃程度を確保する必要があり、
一方、打込み温度を上げると
所要の単位水量の増加や凝結が早くなること。
温度ひび割れが発生する可能性が生じること。
などに注意する必要がある。

【 土木学会示方書 】では
打ち込み時のコンクリート温度は 5~20℃としている。
【 JASS 5 】では
初期凍害を防ぐための養生終了時に必要とされる
コンクリートの強度として、
5.0 N/mm2
とされている。

【 土木学会示方書 】
初期凍害を防ぐための養生終了時に必要な
コンクリート強度の標準は下記
型枠の取り外し直後に構造物が曝される
環境(養生)を基準として、
(1)コンクリート表面が水で飽和される頻度が高い場合
断面の大きさ
(薄い場合)(普通の場合)(厚い場合)
15     12     10 N/mm2
(2)コンクリート表面が水で飽和される頻度が低い場合
断面の大きさ
(薄い場合)(普通の場合)(厚い場合)
5      5      5 N/mm2

※ 初期凍害を防ぐため、所定の強度が得られるまで、
保温や加熱などの養生を行う必要がある。
【 土木学会示方書 】(施工編)では
打込み後の凍結を避けるためには、
打込み温度は 10℃程度確保する必要があり、
【 土木学会示方書 】打込み時の温度 5~20℃
【 JASS 5 】荷卸し時温度 10~20℃

・コンクリートの練上がりの温度
【 土木学会示方書 】では練り混ぜ時および
打込み終了時のコンクリート温度について次式を示し、
時間あたりの温度低下を
コンクリート温度と外気温との差の 15 %としている。
T2 = T1 – 0.15 ( T1 – T0 )× t
T0:周囲の温度
T1:練混ぜた時の温度 [ ℃ ]
T2:打込み終了時の温度 [ ℃ ]
t :練り混ぜてから打込み終了までの時間 [ h ]

< 積算温度方式 >
積算温度 M は一般に
M = Σ(θ + A )・Δ t
M:積算温度 [ ℃・日 または ℃・時 ]
θ:Δt 時間中のコンクリートの温度 [ ℃ ]
A:定数 (一般に 10℃)
Δt :時間(日または時)
(例)
5℃で 28日養生したコンクリートの圧縮強度と
10℃で14日養生したコンクリートの圧縮強度は同じ?
M = ( 5 + 10 ) × 28 = 420 ℃・日
M = ( 10 + 10 ) × 14 = 280 ℃・日
積算温度が異なるので、圧縮強度の発現も異なる

1級建築施工管理技士 く体工事 セメントの性状

セメントの性状

ASFS
これを覚えておくだけでいい
A → S → F → S
C3A C3S C4AF C2S

これは水和熱の発熱量の順
C3A > C3S > C4AF > C2S
であり、強度発現の順
C3A > C3S > C4AF > C2S
1日 28日 ー 長期
ちなみに収縮性の順でもある。

水硬性のカルシウムシリケートを主成分とするクリンカーに適量のせっこうを加えて微粉砕した粉末、及びこれに無機質粉末を混合したもので、
・JIS R 5210 ポルトランドセメント
・JIS R 5211 高炉セメント
・JIS R 5212 シリカセメント
・JIS R 5213 フライアッシュセメント
・JIS R 5214 エコセメント
等の規定がある。

セメントクリンカーの組成化合物の特性
C3S(3CaO•SiO2)
けい酸三カルシウムは、水和熱は中程度で28日以内の早期強度の発現性に寄与する。
C2S(2CaO•SiO2)
けい酸二カルシウムは、水和熱は小さく、28日以降の長期強度の発現性に寄与する。
C3A(3CaO•Al2O3)
アルミン酸三カルシウムは、水和熱は大きく、1日以内の早期強度の発現性に寄与する。
C4AF(4CaO•Al2O3•Fe2O3)
鉄アルミン酸四カルシウムは、水和熱は小さく、強度にはほとんど寄与しない。

超早強ポルトランドセメント
早期に強度を発現(早強ポルトランドセメントの強度を1日で発現)するために早強ポルトランドセメントよりもけい酸三カルシウム(C3S)の含有量を多くし、粉末度を細かくしている。
JIS R 5210-2009(ポルトランドセメント)では、材齢1日、3日、7日および28日の圧縮強さの下限値を規定している。
けい酸二カルシウム(C2S)の上限値は規定していない。

中庸熱ポルトランドセメント
普通ポルトランドセメントに比べて水和熱を下げるためにC3Sおよびアルミン酸三カルシウム(C3A)の含有量を多くしている。JIS R 5210では C3Sを50%以下、C3A を8%以下と上限値を規定している。

フライアッシュセメント
ポルトランドをJIS A 6201-2008 に適合するフライアッシュで置換したもの。フライアッシュはポゾラン反応性を有し、良質なものは球形であるため単位水量を減じ、長期的に強度を発現する動きがある。乾燥収縮は小さく、水和熱も小さいので、マスコンクリートに使用されるが、JIS R 5213-2009(フライアッシュセメント)では、水和熱の上限値は規定されていない。
水和熱の上限値を規定しているのは、中庸熱ポルトランドセメントと低熱ポルトランドセメントのみである。

1級建築施工管理技士 く体工事 コンクリートの品質管理(強度)

第5章 コンクリート工事 品質管理


コンクリートの品質管理

コンクリートの品質管理でもっとも重要なのは、
指定された材齢で所定の強度が発現していることである。

その規定基準は
JIS A 5308(レディミクストコンクリート)
の強度の判定基準からきている。
JIS A 5308によると、強度は
①1回の試験結果が
購入者の指定した呼び強度の強度値の 85%以上、かつ

②3回の試験結果の平均値が
購入者の指定した呼び強度の強度値以上
である場合に合格と規定されている。

1回の試験結果は、
任意の1運搬車から採取した資料で作った3個の供試体の試験値の平均値で表す。

JIS A 5308によると上記のように規定されているが、実際問題で必要な強度は、調合管理強度以上であることを確認する必要がある。

試験練りやプラントの実績などにより、必ずしも 調合管理強度 = 呼び強度(発注強度)としていないケースがあるからである。呼び強度を1ランク下げて発注するケースでは、調合管理強度をおおよそは満足しそうであるが、2ランク下げて発注する場合などは、調合管理強度の値を切ってしまう。特に夏場の暑い時期であると、微妙なケースがあるので注意したい。

調合管理強度 = Fc(設計基準強度)+ mSn

☆JIS A 5308 のその他、注意するべきポイント

・空気量は、生産者との協議の上、
荷卸し地点での空気量が指定された場合であっても、
その許容差は±1.5%以内

・コンクリートの塩化物含有量は、
工場から荷卸し地点までの運搬時間によって変化すしないので、
当事者間の協議によって、工場出荷時に検査してもよい。

・スランプ 21㎝の時の許容差は、±1.5㎝ であるが、
呼び強度が27N以上で、高性能AE減水剤を使用する場合は、
±2.0㎝ とすることができる。
など。

1級建築施工管理技士 く体工事 コンクリート用化学混和剤

第5章 コンクリート工事 材料


コンクリート用化学混和剤

コンクリート用化学混和剤は、JIS A 6204(コンクリート用化学混和剤)に規定されている。

【AE剤】
界面活性作用により微細な気泡(エントレインドエア)を連行させる混和剤で、規定されている項目を以下に示す。
・減水率
・凝結時間の差分
・圧縮強度比
・長さ変化比
・凍結融解に対する抵抗性

【AE減水剤】
セメントの分散作用と空気連行作用の双方を有する混和剤で、規定されている項目を以下に示す。
・減水率
・ブリーディング量の比
・凝結時間の差分
・圧縮強度比
・長さ変化比
・凍結融解に対する抵抗性

【高性能AE減水剤】
高い減水性能と優れたスランプ保持性能を有する混和剤で、規定されている項目はAE減水剤の項目に加え、スランプおよび空気量の経時変化量の規定がある。

・単位水量の低減を目的とした普通コンクリート、流動性の保持を目的とした高流動・高強度コンクリートには不可欠な混和剤。
・コンクリートの凝結時間を遅延させる効果もあるので、暑中コンクリートにも適している。

【高性能減水剤】
高い減水性能を有し、空気連行性や凝結遅延性はないので、使用量が増加しても空気量の増大や凝結が遅延することはなく、高強度コンクリートの製造に最適である。

【発泡剤】
特殊処理したアルミニウム粉末であり、その発泡作用でコンクリートを膨張させる。
その他、
コンクリート用化学混和剤協会のJIS A 6204規格参照

1級建築施工管理技士 く体工事 コンクリートは【打つ】もの

第5章 コンクリート工事 コラム

先日、
コンクリート造の建物の出来形検査を行いました。

出来形検査というのは、
コンクリートの打設が終了し、
その階を支える型枠及び支保工がとれてから
仕上工事に入るまえに
コンクリートの仕上状態を見るものです。
きちんと施工されていたら、
それほど、大変な検査ではなく、

・躯体精度が規定値以内か?
・耐震スリットがある場合は
それらが所定の位置におさまっているか?
・目地の位置及び深さは正しいか?
・コンクリートの仕上がり状況で
ジャンカやひび割れはなどはないか?
ある場合は所定の補修を行っている
かなどです。

耐震スリットがズレたりしていると、
その補修はやっかいですが、
通常はまずありません。

その出来形検査で気になったのは、
それほどひどいものはないというものの
豆板(ジャンカ)です。
コンクリートの品質というのは、
そのコンクリート自体は
ずいぶんと向上してはいますが、
打込みから養生まで
気を抜かずに慎重に行なわないと
なかなか仕上がりのいいコンクリートにはなりません。

生コンを打込むときには、
棒で突く、バイブレーターで振動を与える、
木づちでたたくなどを行いますが、
このような作業を行うことで、
型枠のすみずみにまでコンクリートが行きわたり、
ジャンカやコールドジョイントの発生を抑え、
余分な空気が追い出された、
密度、強度の高いコンクリートができます。

木づちでたたいたりバイブレーターで振動を加えると、
生コンは型枠の隅々にまで行きわたりやすく、
砂利だけ分離するといったことがなくなります。
ただし振動させ過ぎると、重い砂利が下に落ち、
水が上に上がるブリーディング
という現象を起こしてしまいます。

ブリード( bleed )とは血を流すが原義で、
生コンの上に水が染み出る現象を指します。
壁を木づちでたたいている間、
床上では、生コンを荒直しした後に、
タンピングという突き固め、締固めの作業をします。
生コン内の不要な空気を追い出して、
密度を高めているわけです。
タンプ( tamp )とは突き固める、締め固める
という意味です。

なぜコンクリートを「 打つ 」というかというと、
このタンピングの作業があるからです。
現在のコンクリート打ちは流し込みに近く、
タンピング作業をしっかりとやらない現場が多いようです。

*一般には水セメント比は、
上限 50〜60%となっている。
これはコンクリートプラントを利用し、
運搬することを想定しいるためで、
その場で作製して、その場で打つ場合は
もっと水セメント比上限を下げても
打設は可能で、
その時の強度は、極めて高くできる。

スランプ値を高めて柔らかくしているといえども、
ダンピング作業は必要です。

単位水量をぐっと落とすことにより、
より高い強度を発現させれる事ができますが、
粘性が高めされ、施工しやすくなったコンクリートは
流し込むものと間違った見解を持つ人もいるので
注意が必要です。

玄関土間のことを三和土(たたき)というのも
同じ理由からです。
★流し込みではなく、打ってこその、密実なコンクリートです。
仕上がりが骨粗鬆症ぎみにならないためにも