9章 防水工事 5節 塗膜防水

第09章 防水工事

5節 塗膜防水

9.5.1 適用範囲

(a) この防水層は塗膜防水材を塗り重ねて連続的な膜を構成する、いわゆるメンブレン防水の一種である。

JIS A 6021(建築用塗膜防水材)で規定されている屋根用塗塗膜防水材のうち、「標仕」ではウレタンゴム系とゴムアスファルト系のものについて規定されている。

ウレタンゴム系塗膜防水材は屋根、ひさし、開放廊下、バルコニーに、ゴムアスファルト系塗膜防水材は地下外墜、屋内に適用する場合が多い。

塗膜防水の保護層の種類は、モルタル、現場打ちコンクリート、ブロック敷き、塗装等がある。ウレタンゴム系塗膜防水材に対して、「標仕」では仕上塗料塗りが規定されている。ゴムアスファルト系塗膜防水材を地下外壁等に施工事する場合は、埋戻し用保護緩衝材や保護用コンクリート等の保護層が必要となる。

(b) 作業の流れを図9.5.1に示す。

 

(c) 準備

(1) 設計図書の確認、施工業者の決定については,9.2.1(c)に準ずる。
(2) 施工計画書の記載事項は、おおむね次のとおりである。
なお、赤文字を考慮しながら品質計画を検討する。
① 工程表(箇所別、防水の種類別の着工、完成等の時期)
② 施工業者名、作業の管理組織
③ 施工範囲及び防水層の種類
④ 工法(下地の状態、施工法等)
⑤ 材料搬入(置場、数量等)
⑥ 消防法による消防署への届出
⑦ 排水勾配
⑧ コンクリート打継ぎ箇所における処置
⑨ 立上り、納まり
⑩ ルーフドレン回り、排水管等、役物回りの納まり
⑪ 保護層の確認
⑫ 異種防水層接続部の処置

⑬ 品質管理、基本要求品質の確認方法等

9.5.2 材 料

(a) 塗膜防水材

塗膜防水材はJIS A 6021(建築用塗膜防水材)に適合するものを用いる。

(i) 屋根用ウレタンゴム系には、高伸長形(旧1類)及び高強度形の2種類があり(JIS A 6021)、「標仕」では高伸長形(旧1類)を標準としている。2011年のJIS改正により、非露出用及び露出防水における1類の下層として用いられる2類は廃止された。

① ウレタンゴム系塗膜防水材
ウレタンゴム系塗膜防水材には、使用時に主剤と硬化剤を混合する2成分形と1成分形がある。
2成分形ウレタンゴム系は、主剤と硬化剤が反応硬化して塗膜を形成するものであり、1成分形ウレタンゴム系は、空気中の水分を硬化に利用するものである。

1成分形、2成分形とも使用部位に応じて、一般用、立上り用、共用がある。

② ゴムアスファルト系塗膜防水材
ゴムアスファルト系塗膜防水材は、環境に配慮した防水材として広く使用されており、塗り工法用と吹付け工法用がある。
塗り工法用には、ゴムアスファルトエマルションだけで乾燥造膜するもの(乾燥造膜型)と硬化剤により促進造膜するもの(反応硬化型)がある。

吹付け工法用には、乾燥造膜型のほかに、主剤と分解剤又は硬化剤を専用の吹付け機を用いて吹き付けることにより、短時間で促進造膜するもの(凝固造膜型)や反応硬化型がある。

(ii) 「標仕」表9.5.1は、ウレタンゴム系塗膜防水材の使用量を、硬化物密度 1.0Mg/m3の材料で示したものである。硬化物密度の異なるウレタンゴム系塗膜防水材における標準使用量を、表9.5.1に示す。

表9.5.1 硬化物密炭の異なる防水材における標準使用量

(iii) 「標仕」表9.5.1では、ウレタンゴム系塗膜防水材を、種別X-1では2工程、種別X-2では3工程で所定量を塗るよう規定されているが、実際の施工に当たっては、材料の特性、下地の状況等に応じて工程数を増やすことができる。

(iv) 「標仕」表9.5.2は、ゴムアスファルト系塗膜防水の防水材使用量を.固形分60%(質絨)の材料で示したものである。固形分の質量比が異なるものを使用する際は、この表と同等以上となるよう換算する。換算によって各固形分のゴムアスファルト系塗膜防水材の使用量に違いが生じ、統一することが困難なため、工程数及び各工程の使用量は、主材料製造所の仕様によることとした。

(v) 希釈剤を使用する際は、その量を含まないものとする。

(vi) JIS A 6021(建築用塗膜防水材)の抜粋を、次に示す。

JIS A 6021 : 2011
1 適用範囲
この規格は、主に鉄筋コンクリート造建築物の屋根及び外壁などの防水工事に用いる塗膜防水材(以下、防水材という。)について規定する。ただし、JIS A 6909に規定する建築用仕上塗材には適用しない。3 種  類

3.1 主要原料による区分
主要原料による区分は、次による。a) ウレタンコム系
ポリイソシアネート、ポリオール、架橋剤を主な原料とするウレタンゴムに充填材などを配合したウレタンゴム系防水材。引張強さ、伸び率、抗張積などの特性によって、高伸長形(旧1類)と高強度形とに区分する(表1参照)。
注記 JIS A 6021 : 2006に基づき、ウレタンゴム系1類の指定がある場合は、高伸長形(旧1類)で置き換えることができる。b) アクリルゴム系
アクリルゴムを主な原料とし、充填材などを配合したアクリルゴム系防水材。c) クロロプレンゴム系
クロロプレンゴムを主な原料とし、充填材などを配合したクロロプレンゴム系防水材。di ゴムアスファルト系
アスファルトとゴムとを主な原科とするゴムアスファルト系防水材。e) シリコーンゴム系
オルガノポリシロキサンを主な原料とし、充填材などを配合したシリコーンゴム系防水材。3.2 製品形態による区分
製品形態による区分は、次による。a) 1成分形
あらかじめ施工に供する状態に調製したもので、必要によって硬化促進剤、充填材、希釈剤などを混合して使用する防水材。

b) 2成分形
加工直前に主剤、硬化剤の2成分に、必要によって硬化促進剤、充填材、着色剤、希釈剤などを混合して使用するように調製した防水材。

3.3 適用部位による区分
適用部位による区分は、次による。

a) 屋根用
主として、屋根に用いる防水材。
なお、屋根用防水材には、次のものがある。
1) 一般用
主として一般平場部に用いる防水材。
2) 立上がり用
主として立上がり部に用いる防水材。
3) 共用
一般平場部と立上がり部との両方に用いる防水材。

b) 外壁用
主として、外壁に用いる防水材。

5 性 能
防水材の性能は、箇条6によって試験し、屋根用は表1に、外壁用は表2にそれぞれ適合しなければならない。ただし、劣化処理後の引張性能及び伸び時の劣化性状における促進暴露処理は、オープンフレームカーボンアークランプ又はキセノンアーク光源による暴露試験のいずれか一方でよい(箇条6及び表2省略)

表1ー屋根用塗膜防水材の性能

JIS A 6021:2011

(b) その他の材料

(1) プライマー

防水の種別によって、使用するプライマーが異なるので、防水材製造業者の指定するものとしている。ウレタンゴム系塗膜防水には、ウレタン樹脂等の高分子材料を有機溶剤に溶解した溶液形又は合成高分子材料を主成分とするエマルション樹脂系(1成分形及び2成分形)並びに無溶剤系(1成分形及び2成分形)のもの、ゴムアスファルト系塗膜防水には、アスファルト又は合成高分子材料を主成分とするエマルション形のものを用いることが多い。

(2) 接着剤

接着剤は、通気緩衝シートの張付けに用いるもので、合成ゴム等の高分子材料を有機溶剤に溶解した溶液形のもの、高分子材料工マルション形のもの並びにウレタン樹脂系(1成分形及び2成分形)のものがある。

(3) 通気緩衝シート
特殊加工したプラスチック発泡体、改質アスファルトシート、ゴムシート又は不織布等から構成されるシート状の材料で、塗膜防水層の破断やふくれの発生を低減する目的で用いられる。
通気緩衝シートは、防水材となじみがよく、下地の挙動に対する追従性が高く、下地に含まれる水蒸気を分散する効果を有し、また、寸法安定性の良いものを用いる。

なお、通気緩衝シートには、接着剤塗布工程を除くことができる自着層付きのタイプや、固定金具によって下地に固定する機械固定タイプもある。

(4) 補強布

補強布は、合成繊維及びガラス繊維の織布又は不織布を用いる。補強布は、必要な塗膜厚さの確保、立上り部等における防水材の垂下がりの防止及び下地に発生したひび割れからの防水層の破断対策に有効である。

(5) シーリング材

塗膜防水では、下地ひび割れ、ルーフドレン及び配管回りその他の異種下地の取合い等の処理に、シーリング材を用いるのが一般的である。ウレタンゴム系抱膜防水ではポリウレタン系(1成分形又は2成分形)のもの、ゴムアスファルト系塗膜防水では、改質アスファルト系のものを用いることが多い。

(6) 仕上塗料
仕上塗料は、防水層を紫外線等から保護して耐久性を向上させる目的と、意匠上の目的で防水層の表面に塗布するものである。2成分形アクリルウレタン樹脂系が一般的であるが、ふっ索樹脂系、アクリルシリコン樹脂系等の高耐候型をはじめ、環境配慮型や高日射反射型の実績が増加している。また、仕上塗料の選択により、平滑仕上げ、つや消し仕上げ、粗面仕上げ等ができる。
「標仕」表9.5.1では、仕上塗料をー工程で所定量を塗るよう規定されているが、実際の施工に当たっては材料の特性等に応じて工程数を増やしてもよい。

なお、仕上げの種類により材料使用量が異なる場合がある。

(7) 防水保護材
ゴムアスファルト系塗膜防水に用いる保護材には、保護緩衝材、絶縁用シートがある。

9.5.3 防水層の種別及び工程

 

(a) 種 別

「標仕」では、ウレタンゴム系2種類、ゴムアスファルト系2種類が規定されている。部位別の適用の例を次に示す。

(i) 屋根            :種別X-1, X -2
(ii) ひさし、開放廊下、バルコニー:種別X-2
(iii) 地下外墜          :種別Y-1
(iv) 屋内            :種別Y-2

なお、ゴムアスファルト系については、上記以外にも屋根保護防水工法の施工事例がある。

(b) 工法の種類

「標仕」で規定している種別及び工程を、工法の種類別にすると次の密着工法と絶縁工法になる。

(i) 密着工法( X-2、Y-1、Y-2 )

下地の含水率が高いと、水蒸気によりふくれが生じることがあるので下地の乾燥状態には注意を要する。

(ii) 絶縁工法( X -1 )
下地に、通気緩衝シートを張り付けた上に、塗膜を構成するもので、下地亀裂等による動きを、通気緩衝シートで吸収する。水蒸気を大気中に排出するために脱気装置を設ける。「標仕」ではその種類及び設置数量は特記することと規定されているが、50m2に1箇所程度が目安となる。

ただし、絶縁工法は平たん面に適用する工法で、立上り面には密着工法X-2の立上り仕様を適用する(図9.5.2参照)。


図9.5.2 平たん面とX-1とX-2立上り仕様の接合例

9.5.4 施 工

(a) 防水下地

(1) 下地コンクリート面は、平たんで凹凸がないようにする。また鉄筋・番線等の突起物、粗骨材、モルタルのこぼれ等は防水層を損傷する原因となるので完全に除去する。

一般屋根防水層の下地の仕上げの程度は、9.2.4 (a)(1)による。

(2) 入隅は通りよく直角とし、出隅は通りよく45°の面取りとする。

(3) 下地の乾燥については9.2.4 (a)(1)を参照する。

(4) ルーフドレン等の金物は、ワイヤブラシ又は溶剤で防錆剤、錆.油分等を除去する。

(b) プライマー塗り

(1) プライマー塗りに先立ち、下地の乾燥を入念に行い、下地が十分乾燥したのちにプライマー塗りを行う。

(2) プライマーは、種類に応じてローラーばけ、毛ばけ又は吹付け機を用いて塗布する。2日以上にわたって防水材を施工する大面積の現場では、1日の防水材施工範囲のみのプライマー塗布を行う。

(3) プライマー塗りは、防水下地以外の箇所を汚さないように行う。プライマーの乾燥時間は、気象条件や下地乾燥条件等により遅れる場合があるので、十分に乾燥したことを確認したのちに次の工程に移る。

(c) 下地の補強

出隅及び入隅の下地補強塗りにおいて、種別Y-1は補強布を省略することができる。ただし、補強布を省略する場合には増吹き及び増塗りにより補強塗りを行うようにする。

(d) 通気緩衝シート張付け
通気緩衝シートは、接着剤を塗布し、塗布した接着剤のオープンタイムを確認して接着可能時間内に、隙間や重なり部をつくらないようにシート相互を突き付けて張り付け、ローラー転圧をして接着させる(図9.5.3参照)。

通気緩衝シートは、立上りから、ウレタンゴム系塗膜防水材製造所の指定する寸法だけ離し、端部はウレタン系シーリング材等で処理する。突付けとした箇所は、ウレタンゴム系塗膜防水材製造所の指定するジョイントテープ等で処理する。

また、自着層のある通気緩衝シートでは、シート下面の自着層の接着力で下地に接着させる。

機械的に固定する場合は、固定金具と固定釘で取り付ける。

なお、通気緩衝シートの張付け作業中に降雨・降雪が予想される場合は、シートの下に水が回らないように養生する。

図9.5.3 通気緩衝シートの張付け

(e) 防水材塗り

(1) 2成分形防水材は、防水材製造所の指定する配合により、可使時間に見合った量を、かくはん機を用いて十分練り混ぜる。また、1成分形は充填材等の成分が沈降・分離している場合があるので、内容物が均ーになるよう注意しながら再分散させる。

(2) 補強布を張り付けるときは、防水材を塗りながら張り付けるが、曲がらないように注意をする。

(3) 塗り工法用防水材は、ゴムベら、金ごて又は毛ばけで均ーに塗り付ける(図9.5.4及び5参照)。

 

 

図9.5.4 ウレタンゴム系塗膜防水材塗り
図9.5.5 ゴムアスファルト系塗膜防水材塗り

(4) 吹付け工法用防水材は、防水材製造所の指定する吹付け機を用いて、指定する配合により、混合・吹付けを行う(図9.5.6参照)。

なお、「標仕」表9.5.2の Y-1においては、吹付け工法が一般的であるが、

周辺環境・施工面積によっては、塗付け工法で行う場合もある。

図9.5.6 ゴムアスファルト系塗膜防水材吹付け

(5) 防水材塗継ぎの重ねは幅を100mm以上、補強布の重ねは幅を50mm以上とする。

(6) 塗重ねと塗継ぎは、下層が造膜したあととする。

(f) ウレタンゴム系塗膜防水層の仕上塗料塗り

(1) 仕上塗料は、かくはん機を用いて十分練り混ぜる。2成分形は、練混ぜ不十分による硬化不良を生じないよう、また、1成分形は顔料及び骨材等が十分分散するよう注意しながら練り混ぜる。

(2) 仕上塗料塗りは、ローラーばけ、毛ばけ又は吹付け機を用いて行う。

(g) ゴムアスファルト系塗膜防水層の保護
地下外壁面には保護緩衝材を用いる。屋内、地下平面には、ポリエチレンフィルム又はフラットヤーンクロス等の絶縁用シートを用い、コンクリート又はモルタルを打ち込む。

ただし、屋内の小面積の場合は、モルタルの挙動が小さいことから絶緑用シートを設けないのが普通である。

(h) 検査
塗膜防水の場合は、膜厚の確保が防水性能を左右する。しかし膜厚の計測には、針入式膜厚計が使用されることがあるが、この方法では防水層を傷つけることになり欠陥につながりやすいため、避けるべきである。

そのため、材料の使用量管理が必要であり、検査に当たっては、外観検査とともに各材料が規定通り使用されていることを確認する。

(i) 施工時の気象条件
施工時の天候・気温等については9.1.3(a)を参照する。

9章 防水工事 6節 ケイ酸質系塗布防水

第09章 防水工事
6節 ケイ酸質系塗布防水

9.6.1 適用範囲

(a) ケイ酸質系塗布防水は、コンクリート表面にケイ酸質系塗布防水材を塗布することにより、その生成物でコンクリートの毛細管空隙を充填し、防水性能を付与する工法である。したがって、この防水の適用部位はコンクリート自体に透水に対する抵抗性が要求される部位となることから、建築における地下構造物を対象としている。

適用部位は、地下構造物の外壁・内壁及び床とするが、常時水の滞留する水槽においては天井も適用部位とする場合がある。適用下地としては、建築の地下構造物のうち現場打ち鉄筋コンクリートで構築されるコンクリート面を対象とする。

「標仕」で規定するケイ酸質系塗布防水材には、C-UIタイプとC-UPタイプの 2種類がある。C-UIタイプは粉体を水で練り混ぜるタイプである。一方、C-UP タイプには、粉体を水及び専用のポリマーディスパージョンと練り混ぜるタイプのものと、再乳化形粉未樹脂が混合された粉体を水で練り混ぜるタイプのものがある。

ケイ酸質系塗布防水材は、主にポルトランドセメントとケイ酸質微粉末からなり、製造面からは環境に配慮された材料である。また、C-UPタイプに使用されるポリマーディスパージョンもすべて水系材料で、環境ホルモンや臭気、有機溶剤中毒の心配なく使用することができる。

最終的に建築物を取り壊す場合も、ケイ酸質系塗布防水材は特別管理産業廃棄物ではないので、再資源化も含めて、一般のコンクリート廃材と同じ取扱いができる。

(b) 作業の流れを図9.6.1に示す。

(c) 準備

(1) 設計図書の確認、施工業者の決定については.9.2.1 (c)に準ずる。

(2) 施工計画書の記載事項は、おおむね次のとおりである。

なお、赤文字を考慮しながら品質計画を検討する。

① 工程表(箇所別、防水の種類別の着工、完成等の時期)
② 施工業者名、作業の管理組織
③ 施工範囲及び防水層の種類
④ 工法(下地の状態、施工法等)
⑤ 材料搬入(置場、数量等)
⑥ コンクリート打継ぎ箇所における処置
⑦ 木コン部の処置
⑧ 防水層共通管・貫通 H 鋼回りの処置
⑨ 保護層の確認
⑩ 養生計画

⑪ 品質管理、基本要求品質の確認方法等

 


図9.6.1 ケイ酸質系塗布防水工事の作業の流れ

(d) 防水層の位置
(1) 背面水圧側

防水層が地下水又は水と接しない側にある場合で、建物の内側又はビットの内側を指している。

(2)水圧側

防水層が地下水又は水と接する側にある場合で、建物の外側又は水槽の内側を指している。建物の外側に防水層を施す場合は、山留め壁と外壁の間に防水施工できる作業空間( 1m以上)を確保することが必要である。

(e) 適用部位

(1) 外壁の防水層は、水圧側若しくは背面水圧側のどちらか又は両側とする(図9.6.2(イ)参照)。


図9.6.2 ケイ酸質系塗布防水層の適用部位及び防水層の位置(イ)

 

(2) 床の防水層は、背面水圧側だけとする(図9.6.2(ロ)参照)。


図9.6.2 ケイ酸質系塗布防水層の適用部位及び防水層の位置(ロ)

(3) 営時水の滞留している水槽の防水層は、水圧側だけとし、施工箇所は壁、床、天井とする(図9.6.2(ハ)参照)。

なお、水槽間の間仕切壁については、未処理部分から漏水する場合があるので、両面に防水層を設ける。


図9.6.2 ケイ酸質系塗布防水層の適用部位及び防水層の位置(ハ)

(4) 排水・配線・配管等ピットの防水層は、水圧側若しくは背面水圧側のどちらか又は両側とする。ただし、床については、背面水圧側だけとする(図9.6.2(ニ)参照)。
図9.6.2 ケイ酸質系塗布防水層の適用部位及び防水層の位置(ニ)

9.6.2 材 料

 

(a) ケイ酸質系塗布防水材

日本建築学会規格 JASS 8 T-301(ケイ酸質系塗布防水材料の品質および試験方法)に規定されるケイ酸質系塗布防水材は、主にポルトランドセメント、細骨材、ケイ酸質微粉末(活性シリカとも呼ばれている。)等から構成される既調合粉体である。この既調合粉体に水を練り混ぜて用いる C-UIタイプと、既調合粉体にポリマーディスパージョン(エマルション又はラテックス)と水、又は再乳化形粉末樹脂が混合された既調合粉体に水を練り混ぜて)用いる C-UPタイプの2種類がある。表9.6.1にJASS 8 T-301の品質基準を示す。

既調合粉体に含まれるケイ酸質微粉未は、コンクリートの防水性を向上させるのに必要なケイ酸イオンを溶出するもので、活性な非品質微粉末を用いている。また、C-UPタイプに使用するポリマーディスパージョンとしては、EVA(エチレン酢酸ビニル)系、PAE(ポリアクリル酸エステル)系、SBR(スチレンブタジエンラバー)系等があり、再乳化形粉末樹脂としては、EVA系及びPAE系等がある。

表9.6.1 ケイ酸質系塗布防水材料の品質
(b) 材料の調合
調合比としては、既調合粉体100重量部に対して表9.6.2に示すものが標準的である。
表9.6.2 ケイ酸質系塗布防水材の標準的な調合比(重量部)

(c) 防水機構

一般に硬化したコンクリートの微細構造中には、図9.6.3に示すように、主に未水和セメント粒子、骨材、消石灰、ケイ酸カルシウム水和物等のほかに種々の空隙が存在している。この空隙には、主なものとしてエントラップトエア、エントレインドエア、毛細管空隙、ゲル空隙等が挙げられる。その中で全空隙量の多くを占めるものが、毛細管空隙である。これはコンクリートの練混ぜ水が、コンクリート硬化後もセメント粒子間に毛細管力によって保持されてそのまま残った空間である。その大きさは、直径3nm〜30μm 程度で、形状は細長いものから板状のものまでの連続又は不連続の空間として存在する。


図9.6.3 セメント系硬化体の微細構造の模式図 (JASS8より)

 

コンクリートの強度発現及び水密化は、セメントの水和によって生成したケイ酸カルシウム水和物量に依存し、消石灰は寄与していないと考えられている。しかし、このケイ酸カルシウム水和物の生成量には単位セメント量によって限度があり、毛細管空隙をすべて埋め尽くすには限界があるために、硬化したコンクリートは非常に多孔質なものとなりやすく、高圧水の掛かる場合に漏水を引き起こす。

ケイ酸質系塗布防水材は、このようなコンクリートの表面に塗布することによってコンクリート自体がもっている毛細管空隙を充填し、その量を減少させコンクリートを緻密なものに変化させて、透水に対して防水性能を付与する材料である。その機構として次のことが挙げられる。ケイ酸質系塗布防水材を水又は水とポリマーディスパージョンと練り混ぜたものを塗布することで、防水材中のケイ酸質微粉末(活性シリカ)からケイ酸イオンが溶出し、コンクリート中に浸透・拡散していく。このケイ酸イオンがコンクリートの空隙中にあるカルシウムイオンと化学的に反応してケイ酸カルシウム水和物を生成し、毛細管空隙を充填していく。また、このケイ酸カルシウムのほかに副次的にエトリンガイドも生成する。これらの反応はすべて水を媒体として起こる浸透・拡散現象であるため、施工前にはコンクリートに十分水を含ませ、コンクリート中の毛細管空隙を水で満たす必要がある。この機構によって毛細管空隙は走査型電子顕微鏡による図9.6.4に示すような針状の形状を有する結晶の成長促進作用で充填され、メンブレン防水とは異なるコンクリート自体の緻密化による防水が可能となる。


図9.6.4 生成した針状結晶例

(d) その他の材料

その他の材料として下地処理材があるが、下地コンクリート及び防水材との接着や防水性能に悪影響を及ぼさないものでなければならない。一般的には、表9.6.3に示す材料で防水材製造所の指定するものとする。

表9.6.3 その他の材料

9.6.3 防水層の種別及び工程

 

(a) 防水層の種別

(1) C-UIは、無機質系既調合粉体(ポルトランドセメント+細骨材+ケイ酸質微粉末)と水を練り混ぜた材料を、下地処理を行ったコンクリート面に対して2回塗布する工法である。

(2) C-UPは、無機質系既調合粉体(ポルトランドセメント+細骨材+ケイ酸質微粉末)とポリマーディスバージョンと水を練り混ぜた材料、又は再乳化形粉末樹脂が混合された粉体と水で練り混ぜた材料を、下地処理を行ったコンクリート面に対して2回塗布する工法である。

(b) 下地処理

下地処理は9.6.4(b)に準じて行う。

(c) 防水材の使用量
(1) C-UI 及び C-UPとも、2回の塗布を標準とする。
コンクリート面に対して1回塗布では、むらができやすく(ピンホール等)、塗布量が不足したり、美観上にも難点がでやすいので2回塗布しなければならない。
(2) 「標仕」表9.6.2の使用量は、防水効果が発揮できる最低の標準塗布量であり、下地の状態、特にコンクリート表面の仕上り状態が粗雑な場合、上記の使用量を超える場合がある。

9.6.4 施 工

(a) 防水施工直前の下地全般の状態は、次を標準とする。

(1) 平たんで、反り、目違い、浮き、レイタンス、ぜい弱部、著しい突起物等の欠陥がないこと。
(2) 豆板、ひび割れ部分がないこと。
(3) 床面は、たまり水部分がないこと。
(4) 接着の妨げとなる塵あい、油脂類、汚れ、錆等がないこと。
(5) 打継ぎ部は、目地棒が除去されていること。
(6) 目地棒を使用していない打継ぎ部は、打継ぎ部に対し新旧コンクリートがそれぞれ幅約30mm及び深さ約30mmにVカットされていること(表9.6.4参照)。Vカットに当たっては鉄筋に当たらないように注意を払うこと。
(7) 木コン部は、コーンが除去されていること。

(8) 漏水部がないこと。

表9.6.4 打継ぎ部及び木コン部の形状

(b) 下地処理

(1) 下地処理は、ほこり、ごみを清掃工器具を用いて除去し、かつ、防水材をコンクリート躯体とよく接着させるために水洗いを行い、余剰な水分を取り除いて下地を健全な状態にする。打継ぎ部及び木コン部等の断面復旧を伴う下地処理方法を次に示す。また、それらに用いられる下地処理材の種類及び使用方法を表9.6.5に示す。

表9.6.5 下地処理材の種類及び使用方法

(2) 打継ぎ部

打継ぎ部は、水洗い清掃し、既調合ポリマーセメントモルタルを充填するか、あるいは防水材を塗布し、既調合ポリマーセメントモルタルで埋め戻す。漏水がある場合は別途止水処理をする。

(3) 木コン部

木コン部の処理は、水洗い清掃し、硬練り防水材、既調合ポリマーセメントモルタル、成形モルタル等を充填するか、あるいは防水材塗布後、硬練り防水材、既調合ポリマーセメントモルタル、成形モルタル等を充填する(図9.6.5参照)。


図9.6.5 木コン部の処理

(c) 下地処理後の点検及び検査

(1) 下地処理後に、充填した材料の浮き・だれ等を点検し、防水材の塗布に支障のないことを確認する。

(2) 防水材を塗布する面の汚れを点検し、清掃、水湿しを行う。Z

(3) 防水材を塗布する面に手を当てて水分がついてくるような状態のときは、送風機・布・スポンジ等を用いて余剰水の除去を行う。

(d) 防水材塗り
(1) 防水材の練混ぜ
(i) 練混ぜは、防水材製造所の規定する作業可能時間等を考慮し、必要量を正確に計量器具を用いて計量したのち、容器に適量ずつ入れ練り混ぜる。
(ii) 練混ぜは、ペール缶等の丸い容器を用い、電動かくはん機又は手練りにより、空気を巻き込んだり、まま粉を生じたりしないように均質になるまで行う。
なお、取扱いには、保護具(ゴム手袋等)を着用する。

(iii) 練混ぜは、気温 5〜40℃の範囲において行なう。

(2) 防水材の塗布
(i) 防水材は、はけ、こて、吹付け、ローラーばけ(刷毛)等防水材製造所の指定する工具によりコンクリート面に「標仕」表9.6.2に規定している標準使用量を均ーに塗布する。
(ii) 1層目の防水材が指触乾燥しない状態で2層目が施工された場合、コンクリー卜躯体より1層目が引きはがされ、健全な防水層が形成されないので、必ず1層目の塗布面に手で触れて防水層の硬化状態を確認する。
(iii) 1層目の防水層にドライアウトが生じた場合、防水層は白く風化したような 状態となり、手で触れるとはく落する。これらの状態のときは防水層を除去し、再施工する。
(iv) 工程内の塗布間隔が現場の状況により24時間以上にわたる場合、健全な1層目の防水層の表層部は乾燥状態になるので、2層目のドライアウト、又は付着力低下を生じさせないために、2層目施工前に散水若しくは水湿しを行う。

(v) 地下室内の間仕切壁、床及び天井の施工ではそれぞれ、図9.6.6に示す範囲に施工する。また、外壁内側の側溝では、排水や結露水が一時的に滞留し、室内側に漏水が発生することがあるので、図9.6.7に示すように外壁内側の側溝に防水層を設ける。


   図9.6.6 施工範囲の例

 


図9.6.7 二重壁の施工範囲の例(断面図)

 

(e) 防水材塗布後の点検
施工範囲内の総点検を行い、ピンホールや塗残しのないことを確認する。
(f) 養 生

(1) 塗布完了後、48時間以上の適切な養生を行う。

(2) 直射日光や風、高温等によって急激な乾燥のおそれのある場合には、散水、シート等の養生を行う。

(3) 閉塞場所等で結露のおそれのある場合は、換気、通風、除湿等の措置を講ずる。

(4) 低温による凍結のおそれのある場合は、保温、シート等の養生を行う。

9章 防水工事 7節シーリング

第09章 防水工事

7節シーリング

9.7.1 適用範囲

(a) この節は、鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造及び鉄骨造建物の外壁コンクリート部分の打維ぎ目地、ひび割れ誘発目地、伸縮調整目地や化粧目地、部材の接合部及び建具枠回り、ガラス留付けにシーリング材を施す場合に適用する。

(b) 作業の流れを図9.7.1に示す。


図9.7.1 シーリング工事の作業の流れ

(c) 施工計画書の記載事項は、おおむね次のとおりである。

なお、赤文字を考慮しながら品質事項を検討する。(  )内は主な管理項目を示す。

① 工程表(施工箇所別の着工、完了等)
② 製造所名、施工業者名、作業の管理組織等
③ シーリング材の材種及び色(JISでの分類等)
④ シーリング材の品質証明書等(JISに基づく試験成績書等)
⑤ プライマーの種類(品名、材種等)
⑥ バックアップ材及びボンドブレーカーの材質及び製造所名(寸法、粘着剤の有無等)
⑦ 材料の保管(消防法分類、保管条件等)
⑧ 施工箇所の形状・寸法、施工法及び養生等(目地詳細図、二面接着・三面接着、表面仕上げの有無等)

⑨ 作業のフロー、管理の項目・水準・方法、品質管理体制・管理責任者、品質記録文書の書式とその管理方法等

 

d) 用揺の説明

・不定形シーリング材

弾性シーリング材のように、施工時に粘着性のあるペースト状のシーリング材の総称である。

・弾性シーリング材

一般にポリサルファイド、シリコーン、変成シリコーン、ポリウレタン等の液状ポリマーを主成分とし、これと鉱物質充填材等をよく練り混ぜて製造したもので、変位の比較的大きい部材や部品間の隙間に充填する不定形シーリング材をいい、施工後は硬化し、ゴム状弾性を発現する。また、弾性シーラント又はり単にシーラントとも呼ばれる。

・基剤

2成分形不定形シーリング材において、主成分をいう。また、主剤と呼ばれることもある。

・硬化剤

一般的には、合成樹脂に添加、混合し、加熱若しくはその他の処理を行って硬化状態にする物質のことであるが、2成分形不定形シーリング材では、基剤と混合して、架橋(「硬化」の項参照)等の化学反応を起こさせる配合物をいう。

・硬化

一般的には合成樹脂の線状分子を硬化剤の添加、熱、光、触媒等によって相互に化学的に結合させて網状構造をつくり(架橋と呼ぶ。)、物理的性質が変化することであるが、不定形シーリング材では、ジョイントに施工してから架橋等の化学反応、水分の揮散等によって、シーリング材としての性質を発現することをいう。

・被着体

不定形シーリング材によって接合されるべき物体をいう。

・二面接着

ジョイントに不定形シーリング材を充填した場合、ジョイントを構成する材料の相対する二面で接着することをいう。目地に変位が発生するワーキングジョイントに適用される。

・三面接着
ジョイントに不定形シーリング材を充填した場合、ジョイントを構成する材料の相対する面及び目地底部の三面で接着することをいう。目地の変位がないか極めて少ないノンワーキングジョイントに適用される。

なお、「標仕」では二面接着が基本であり、動きの小さい打継ぎ目地等の場合に限り三面接着とすることができるとしている。

・界面はく離

不定形シーリング材が、被着体面からはく離し、接着界面で破壊されることをいい、接着破壊、界面破壊(略号:AF)ともいう。

・モジュラス

ゴム状弾性を有する材料の物性試験において、試験片に一定の伸びを与えたときの引張応力をいう。50%の伸びを与えたときの応力を50%引張応力という。

・クレージング

ひびともいい、ウェザリング等によるシーリング材の表面の細かい亀甲状のひび割れをいう。

・グレイジング

ガラスをはめ込み固定することをいう。

9.7.2 材 料

(a) 一般事項

(1) シーリング材の定義及び機能を次に示す。

(i) シーリング材〈シール材〉とは、「シール」すなわち「密封する」材料という意味である。

(ii) 建築工事では、建築用材料の各接合部の隙間や目地に充填し、気密性、水密性等を高める材料を総称してシーリング材と呼んでいる。

(2) シーリング材の性能は気候等により変化するので、使用条件に応じた材料の選定と材料に応じた施工が必要である。

(3) シーリング材は、作業者や周辺環境に著しい害を与えるものであってはならない。

(4) シーリング材は、対象とする被着面を侵すものであってはならない。

(b) シーリング材
(1) シーリング材の適用

シーリング材の性能について、「標仕」9.7.2ではJIS A 5758(建築用シーリング材)によるとしている。また、有効期間を過ぎたものは使用してはならない。

(2) シーリング材の分類
現在一般的に行われている主成分及び硬化機構による分類を図9.7.2に示す。

「標仕」表9.7.1では、施工箇所に応じたシーリング材の種類(主成分による。)を被着体の組合せで規定している。


図9.7.2 建築用シーリング材の一般的分類

(3) シーリング材の選定

(i) 「標仕」ではシーリング材の種類及び施工箇所は特記によるとされ、特記がなければ「標仕」表9.7.1が標準とされている。「標仕」表9.7.1に示されたシーリング材の種類と特徴を表9.7.1に示す。

表9.7.1 シーリング材の種類と特徴

(ii) 「標仕」表9.7.1に示されたもの以外にも、表9.7.2に示すような目地の区分と使用材料の組合せが考えられる。「標仕」で想定していない被着体の組合せや、表9.7.3に示す異種シーリング材との打継ぎで問題がある場合で、「標仕」表9.7.1によることが困難なときには、表9.7.2を基に受注者等と協議し、設計変更等の処置を行う必要がある。

表9.7.2 シーリング材の種類と使用部位(目安)(JASS 8より)

表9.7.3 異種シーリング材の打絹ぎの目安(JASS 8より)

(iii) 硬化後のシーリング材表面に塗料等で仕上げを行う場合、シーリング材と塗料の組合せによっては、表面が軟化し塵あいの付着による汚れが発生することがあるので、適合性に関する事前確認を行うことが必要である。特に、「標仕」表9.7.1以外のシーリング材を表9.7.2より選定する場合、汚染防止のためのバリアプライマー(シーリング材中の可塑剤の移行防止を目的とした塗布材)の要否を含め、適合性に関しシーリング材製造所及び塗料製造所双方への事前確認が重要である。

表9.7.4に示すワーキングジョイントに硬質な塗装を施すと、塗装が割れてはがれたり、割れた部分に変形が集中してシーリング材が損傷することがある。ワーキングジョイントに硬質な塗装を施す際には、事前検討を行うか塗装を避ける必要がある。

(iv) 建築基準法に規定される防火設備には、その設備の仕様で規定されたシーリング材の使用が必要である。

(v) ワーキングジョイントとなるALCパネルヘのアクリル系シーリング材の使用は避けた方が望ましいが、やむを得ず使用する場合は50%引張応力が経年変化で0.3 〜0.4N/mm2程度に上昇することを考慮して事前の検討を行う。

(vi) 「標仕」9章7節ではカーテンウォール工法を除いているが、カーテンウォー ル工事の場合については、17.2.2(b)及び17.3.2(c)でも参考例を紹介している。その他シーリング材と関連するALCパネル・押出成形セメント板工事、石工事、タイル工事、建具工事等のシーリング材の選定については、該当工事各章を参考するとよい。

(4) JIS A 5758(建築用シーリング材)の抜粋を次に示す。

JIS A 5758: 2010

1 適用範囲

この規格は、金属コンクリート、ガラスなどの建築用構成材の接合部の目地に不定形の状態で充てんし、硬化後に部材に接着して水密性及び気密性を確保するために使用する建築用シーリング材(以下、シーリング材という)について規定する。

4 種 類
4.1 一般事項

シーリング材の種類は、タイプ及びクラスによって区分し、図1による。


図1 – シーリング材の種類

4.5 主成分、製品形態及び耐久性による区分

4.5.1 主成分による区分

シーリング材は、主成分によって区分し、表2による。

表2 – 主成分による区分

4.5.2 製品形態による区分

シーリング材は、製品形態によって区分し、表3による。

表3 – 製品形態による区分

4.5.3 主成分及び耐久性による区分

シーリング材は、主成分及び耐久性によって区分し、表4による。

表4 – 主成分及び耐久性による区分


JIS A 5758 : 2010

(c) プライマー

(1) プライマーは、目地に充填されたシーリング材と被着体とを強固に接着して、シーリング材の機能を長期間維持するもので、場合により被着体表面を安定させ、下地の水分やアルカリの影響を防止するシーラーの役割も果す。

(2) プライマーが被着体に適合しなかったり、プライマーが経年で劣化した場合は、はく離による目地の不具合が生じる。そのためプライマーの選定には、十分な配慮が必要である。

(3) プライマーは、被着体及びシーリング材の種類によって使い分けねばならないがシーリング材製造所の指定するものを用いる。

「標仕」9.7.5では、外部に使用するシーリング材は、接着性試験を行うことを規定しているので、事前にできるだけ実際の被着体となる部材に対し、使用予定のプライマーを用いて接着性試験をしておく。試験方法は「標仕」9.7.5による。

(4) 接着性試験の結果が不合格となった場合は、プライマー又はシーリング材を選定し直して再試験を行い、所定の接着性を確保する。

(d) 補助材料

(1) バックアップ材

(i) バックアップ材は、シーリング材の三面接着の回避、充填深さの調整あるいは目地底の形成を目的として用いる。

(ii) バックアップ材は、シーリング材と接着せず、弾力性をもつ材料で適用箇所に適した形状のものを使用する。材質はポリエチレンフォーム、合成ゴム成形材で、シーリング材に移行して変質させるような物質を含まない材料を選定する。

(iii) バックアップ材は、シーリング材と被着体の接着面積が確保でき、二面接着が確保できるように充填する。裏面粘着剤が付いているものは目地幅より 1mm程度小さいもの、粘着剤の付いていないものは、目地幅より2mm程度大きいものを使用する。

(iv) バックアップ材の使い方は図9.7.3による。


図9.7.3 バックアップ材の使い方

(2) ボンドブレーカー

(i) ボンドブレーカーは、目地が深くない場合に三面接着を回避する目的で目地底に張り付けるテープ状の材料である。

(ii) ボンドブレーカーは紙、塩ビ,ふっ索樹脂,ポリエチレン,ポリエステル等からなる粘着テープで、プライマーを塗布しても変質せず、かつ、シーリング材が接着しないものを選定する。

(3) マスキングテープ

(i) マスキングテープは、プライマー塗布及びシーリング材充填の際の汚染防止と、 目地縁の線を通りよく仕上げるために用いる粘着テープである。

(ii) マスキングテープの選定に当たっては、次の点に注意する。
① 除去後、粘着剤が外装表面に残存しないこと。
② 清掃用洗浄剤やプライマーの塗布で溶解しないこと。
③ シーリング材の接着を妨げない材料であること。

④ 外装面の凹凸になじみやすい材料であること。

(4) 清掃用洗浄剤

(i) 清掃用洗浄剤は、被着面の油分や接党剤を除去するために用いる薬剤である。

(ii) 清掃用洗浄剤は、被着体や周辺の化粧材を変質させることがなく、接着を阻害しない材料を用いる。

(iii) 引火性があるものは、密封容器に入れて冷暗所に保管する。また、取扱いに当たっては、発生する蒸気を吸わないように注意する。

9.7.3 目地寸法

(a) 目地幅は、シーリング材に過大な応力やひずみが生じない範囲とし、凹凸、広狭等がないものとする。

(b) 目地深さは、主としてシーリング材の充填・硬化が適正に行われて、十分な接着性が確保できるように設定する。また、乾燥硬化1成分形シーリング材は、硬化に伴う収縮があるので、やや深めにする必要がある。

(c) シーリングの対象となる目地は表9.7.4に示すよう、発生するムーブメントによりワーキングジョイントとノンワーキングジョイントに大別される。

「標仕」9.7.3では特記のないかぎり部位ごとに最低目地形状を規定しているが、金属笠木等の部材接合部のように温度変化等により比較的大きな挙動が発生するワーキングジョイントとなる目地の寸法は、ムーブメントを算定し使用予定のシーリング材の設計伸縮率・設計せん断変形率を超えないように求める。求められた寸法を目地輻とするが、「標仕」9.7.3の最低目地幅を満足するものとする。

表9.7.4 ムーブメントの種類と主な目地(JASS 8より)

(-社)日本建築学会「JASS 8 防水工事」における温度ムーブメントの算定に関する抜粋を次に示す。

JASS 8 : 2008

2) 温度ムーブメントの算定

部材の熱膨張・収縮に起因する温度ムーブメントは以下の算定式により求める。

i) 突付けジョイント

解説表4.6 部材の実効温度差


解説図4.1 ワーキングジョイントの目地深さDの許容範圃

解説表4.3 シーリング材の設計伸縮率・設計せん断変形率 ε の標準値(%)


JASS 8 : 2008


9.7.4 施 工

(a) 施工の体制

シーリング工事においても、施工のほかに、事前検討や施工管理を含めた検討・調整等が重要である。例えば、日本シーリング材工業会では、これらの技術及び知識を有する「シーリング管理士」を認定している。「シーリング管理士」制度は昭和46年に発足し、昭和55年から実施された建設省総合技術開発プロジェクト「建築物の耐久性向上技術の開発」においても、「シーリング管理士」の参画による効用が記述されている。

なお、「シーリング管理士」は平成24年10月現在1,502名が認定されている。

(b) 材料の保管

(1) シーリング材は、製造年月日や有効期間を確認して、高温多湿や凍結温度以下とならない、かつ、直射日光や雨露の当たらない場所に密封して保管する。

(2) プライマー及び清掃用洗浄剤については、消防関係法令に基づいて保管する。

(c) 施工環境
(1) シーリング材の施工性、硬化速度等は温度や湿度に影響される。施工環境は一般には気温 15〜20℃で無風状態が望ましく、被着体の温度が極端に低いあるいは高くなるおそれがある場合は施工を見合わせる。

やむを得ず作業を行う場合は、仮囲い、シート覆い等による保温又は遮熱を行う必要がある。

(2) 「標仕」9.7.4では、降雨、多湿等で結露のおそれのある場合は施工を中止することにしている。すなわち、湿度が極端に高い場合はプライマー中の溶媒の気化により被着体が冷却して結露し、接着性が阻害されるおそれがあるので、作業をしない方がよい。

(3) 降雨時又は降雨が予想される場合は、施工を中止し、更に、シーリング材施工済みの目地部の雨掛りを防ぐ養生を行うことが望ましい。

(d) 下地処理

(1) 被着面に付着した塵あい、油分、粘着剤、モルタル,塗料等の付着物及び金属部の錆をサンダー、サンドペーパー及び清掃用洗浄剤等を用いて完全に除去する。

(2) 目地部に水分がある場合は,十分に乾燥させる。

(e) 施工手順

(1) バックアップ材及びボンドブレーカーの取付け

(i) バックアップ材は、所定の目地深さになるようにねじれ、浮上がり及び段差等が生じないように必要に応じて治具を用いて装填する(図9.7.4参照)。

(ii) ボンドブレーカーは浮き等が生じないように目地底に確実に張り付ける。

(iii) バックアップ材及びボンドブレーカー装填後、降雨があった場合は、バックァップ材及びボンドブレーカーを取り外し、目地が乾燥したのち、再装填する。

(iv) 動きの小さいコンクリート壁の建具周囲、打継ぎ目地、誘発目地並びに単窓及び1スパン内の連続窓回り等で、所要の目地深さが確保できる位置に目地底がある場合は、三面接着の目地構造とすることができる。

(v) バックアップ材の装填状況及びボンドブレーカーの張付け状況を確認する。


図9.7.4 装填治具例

(2) マスキングテープ張り

(i) マスキングテープは、シーリング材の接着面に掛からない位置に通りよく張り付ける。

(ii) 塗装面にテープ張りをするときは、塗装が十分硬化していることを確認し、

除去に際して塗膜を引きはがさないように注意する。

(iii) テープ張りのまま長時間たつと除去し難く、粘着剤が残存しやすくなるため、施工範囲を決めて張り付ける。特に、気温の高い時期は注意する。

(iv) 粘着剤が残存した場合は、速やかに清掃用洗浄剤等で除去する。

(3) シーリング材充填

(i) プライマー塗布

① 2成分形プライマーを用いる場合は、可使時間内に使い切る量を正しく計量して入念に混合する。

② プライマーは、塗りむら、塗残しあるいは目地からはみ出しのないように均ーに塗布する。

③ プライマー塗布後、塵あい等の付着が認められたり、シーリング材充填までの時間が長すぎた場合は再清掃し、再塗布を行う。

(ii) シーリング材の線混ぜ

① 2成分形シーリング材の基剤及び硬化剤の配合割合は、製造所の指定するものとする。

② 2成分形シーリング材は、機械練混ぜを原則とし、空気を巻き込まないようにして十分かくはんする。

③ 2成分形シーリング材の練混ぜは、可使時間に使用できる量で、かつ、1缶単位で行う。

④ 「標仕」9.7.4(d)(3)では2成分形シーリング材を用いる場合は、充填されたシーリング材の硬化の過程や硬化状態を確認するために、各ロットごとにサンプリングを行うことにしている。

この場合のサンプリングの採取方法は、1組の作業班が 1 日に行った施工箇所を1ロットとし、アルミニウム製チャンネル等に練混ぜたシーリング材を充填し、材料名・練混ぜ年月日・ロット番号・通し番号を表示する(図9.7.5参照)。


図9.7.5 サンプリング例

 

(iii) シーリング材の充填及び仕上げ

① シーリング材の充填は、吹付け等の仕上げ前に行うのが原則であるが、仕上げが施されたあとに充填することもある。その場合、目地周辺を養生し、はみ出さないように行う。

② シーリング材の充填は、目地幅に適し、底まで届くノズルを装着したガンを用い、目地底部から加圧しながら入念に行う。

③ シーリング材の充填は、交差部あるいは角部から図9.7.6の要領で行う。隙間、打残し、気泡がないように目地の隅々まで充填する。

④ シーリング材の充填は、プライマー塗布後、製造業者の指定する時間内に行う。

⑤ シーリング材の打継ぎは、目地の交差部及び角部を避けて図9.7.7のように行う。異種シーリング材との取合いの適否は、表9.7.3に示すとおりであるが、相互間の接着性試験を行うことが望ましい(9.7.5(d)参照)。

⑥ 充填したシーリング材は、内部まで力が十分に伝わるように、へら押えして下地と密着させたのち、平滑に仕上げる。


図9.7.6 シーリング材充填の順序

 


図9.7.7 シーリング材の打継ぎ(一般の打継ぎ)

(4) 着掃及び養生

(i) マスキングテープ除去及び清掃

① マスキングテープの除去は、シーリング材表面仕上げ直後に行う。

② 目地周辺の外装材に付着したシーリング材は、布等でふき取る。また、外装材を侵さない清掃用洗浄剤を利用してもよい。ただし、シリコーン系は未硬化状態でふき取ると、汚染を拡散するおそれがあるため硬化してから除去する。

(ii) 養 生

① シーリング材表面がタックフリーの状態になるまでは、触れないようにし、硬化するまでは塵あい等が付着しないように養生する。外装仕上げは、シー リング材が硬化してから行う。

② エマルション系シーリング材の場合は、硬化するまでの間に降雨が予想されるときは養生を行う。

③ あと工程でシーリング材が損傷されるおそれがあるときは、適切な養生を行う。その際、密封してシーリング材の硬化を妨げないように注意する。

(5) 確 認

(i) シーリング材の施工工程終了後、目地に対して垂れ等がなく正しく充填されているか、汚染・発泡等の著しい外観不良がないかを、目視にて確認する。不具合が認められた場合は、直ちに手直しを行う。

(ii) シーリング材が十分硬化したのち、指触によりシーリング材の硬化状態及び接着状態に異状がないかを確認する。異状が認められた場合は、サンプリングした全ロットについて確認し、受注者等、専門工事業者及びシーリング材製造所に不具合範囲及び原因の究明を行わせ、対処方法を決定する。

9.7.5 シーリング材の試験

(a) シーリング材は、同一種類のものであってもシーリング材製造所ごとにその組成 が異っており、被着本との組合せによっては、接着性能に問題の起こる場合がある。このため「標仕」9.7.5では、防水上重要な外部に面する金属、コンクリート、建 具等に用いるシーリング材の接着性試験を行うことにしている。ただし、過去に同ーのシーリング材製造所の同一種類のシーリング材と同一被着体の組合せで実施した信頼できる試験成績書がある場合には、この接着性試験を省略してもよい。

(b) 簡易接着性試験において、常温で硬化養生を行う場合は、夏場に比べ冬場は長く養生期間を設ける。試験が不合格となった場合は、プライマー又はシーリング材を選定し直し、再試験を行う。

(c) 「標仕」9.7.5(b)(2)の規定による引張接着性試験では、試験で使用した被着体に対し、シーリング材製造所が規定するシーリング材の性能を満足するか否かを確認する。不合格となった場合は、(b)と同様に再試験を行う。

(d) 打継ぎ接着性試験を行う場合は、JASS 8を参考にするとよい。

なお、JASS 8では、異種シーリング材の打継ぎ接着性試験に関して、次のように述べている。

(1) 異種シーリング材を打ち継ぐことは好ましくはないが、やむを得ず打継ぎが発生する場合、あと打ちシーリング材との接着性の確認が必要となる。

(2) 試験方法としては図9.7.8(イ)、(ロ)に示すような試験体を用いた接着性試験、あるいは図9.7.9に示すような簡易接着性試験がある。判定方法としては破壊状況に着目し、界面ではく離しなければよい。

(3) この場合、先打ちシーリング材の硬化状態は JIS A 1439(建築用シーリング材の試験方法)による養生を行ったのち、あと打ちシーリング材にも同様の養生を行うことが多い。ただし、工場施工との打継ぎに際しては、先打ちシーリング材を1〜2ヶ月屋外暴露してからあと打ちシーリング材を養生して試験を行うことが望ましい。


図9.7.8 異種シーリング材の打継ぎ接着性試験(JASS 8より)

 


図9.7.9 異種シーリング材の打継ぎ簡易接着性試験(JASS 8より)

令和5年1級建築施工管理技士 二次検定 問題1 解答解説

令和5年 1級建築施工管理技士 二次 解答解説 問題1


問題1
建築工事の施工者は、発注者の要求等を把握し、施工技術力等を駆使して品質管理を適確に行うことが求められる。

あなたが経験した建築工事のうち、要求された品質を満足させるため、品質計画に基づき品質管理を行った工事を 1 つ選び、工事概要を具体的に記入 した上で、次の 1.及び 2.の問いに答えなさい。

なお、建築工事とは、建築基準法に定める建築物に係る工事とし、建築設備工事を除くものとする。

[ 工事概要 ]
イ.工 事 名
ロ.工事場所
ハ.工事の内容新築等の場合:
建物用途、構造、階数、延べ面積又は施工数量、
主な外部仕上げ、主要室の内部仕上げ

改修等の場合:
建物用途、建物規模、主な改 修内容及び施工数量
ニ.工 期 等(工期又は工事に従事した期間を年号又は西暦で年月まで記入)
ホ.あなたの立場
ヘ.あなたの業務内容

1.工事概要であげた工事で、あなたが現場で重点的に品質管理を行った事例を 3つあげ、それぞれの事例について、次の①から③を具体的に記述しなさい。

ただし、3 つの事例の①は同じものでもよいが、②及び③はそれぞれ異なる内容を記述するものとする。

工種名又は作業名等

② 施工に当たって設定した品質管理項目及びそれを設定した理由

③ ②の品質管理項目について実施した内容及びその確認方法又は検査方法

 

解答試案

【 事例1】

① 工種名又は作業名等:鉄筋工事

② 施工に当たって設定した品質管理項目及びそれを設定した理由:

異鋼種同断面があったため、鉄筋の鋼材種の確認した。

③ 実施した内容及びその確認方法又は検査方法:

鉄筋のミルシートの確認とロールマーク及びノギスにて鉄筋の鋼種及び径を確認した。

【 事例2】

① 工種名又は作業名等:コンクリート工事

② 施工に当たって設定した品質管理項目及びそれを設定した理由:

コンクリート出来形の寸法。構造強度及び仕上げ精度を満足するために必要であるから。

③ 実施した内容及びその確認方法又は検査方法:

型枠の脱型後に出来形検査を実施した。柱ついては見えかかり寸法、張りについては梁下端までの高さ及び幅、スラブ及び壁については開口部等を利用して断面寸法を確認した。

【 事例3】

① 工種名又は作業名等:コンクリート工事

② 施工に当たって設定した品質管理項目及びそれを設定した理由:

外壁のコールドジョイントの発生ゼロ。外壁にコールドジョイントがあると、そこからの漏水により外壁性能に大きく影響を及ぼすため。

③ 実施した内容及びその確認方法又は検査方法:

コンクリート打ち込み継続中の打重ね時間間隔(外気温 25℃未満で、150分以内、25℃以上で120分以内)を厳守するため、打重ねが発生した部分に関しては、打ち重ねまでの時間を記録、管理した。

【 事例4】

① 工種名又は作業名等:外壁タイル張り工事

② 施工に当たって設定した品質管理項目及びそれを設定した理由:

密着張りの張付けモルタルの時間管理。張り付けモルタルの可使時間を超えてからの施工は、タイルの密着性に悪影響を与え、タイルの浮きやはく落の原因となるため。

③ 実施した内容及びその確認方法又は検査方法:

張り付けモルタルは、一度に塗り付ける面積を2m2以内とし、塗付け開始後15分で進捗を確認した。さらに20分以内で張り終えたことを確認し、チェックリストに記録した。

2. 事概要であげた工事に係わらず、あなたの今日までの建築工事の経験を踏まえて、次の①及び②を具体的に記述しなさい。

ただし、1.の③と同じ内容の記述は不可とする。

① 品質管理を適確に行うための作業所における組織的な取組

② ①の取組によって得られる良い効果

解答試案

①品質管理を適確に行うための作業所における組織的な取組み:

各種工事に関する施工計画書を作成し、品質管理に関する項目として具体的に施工管理値及び限界値をうたい、施工着手前に品質管理の会議を行い、協力会社にその内容を徹底する。

② ①の取組みによって得られる良い効果

顧客の信頼が得られ社会的な評価を高めることができるとともに、工事に携わるもの全員がより良い品質の建物を施工するということを意識することで、全体としてスキルアップにもつながる。

令和5年1級建築施工管理技士 二次検定 問題2 解答解説

令和5年 1級建築施工管理技士 二次 解答解説 問題2

問題2
建築工事における次の 1.から 3.の仮設物の設置を計画するに当たり、 留意すべき事項及び検討すべき事項を、それぞれ 2 つ具体的に記述しなさい。
ただし、解答はそれぞれ異なる内容の記述とし、申請手続、届出及び運用管理に関する記述は除くものとする。

また、使用資機材に不良品はないものとする。
1. くさび緊結式足場

解答試案

・くさび緊結式足場の建地の間隔は、桁行方向1.85m以下、梁間方向 1.5m以下とする。

・くさび緊結式足場の地上第1の布の高さは、2.0m以下とし、布の上下方向の間隔は、2m以下とする。

など

基本的には、労働安全衛生規則 第571条(くさび緊結式足場)第1項を参照するとよい。

__

2. 建設用リフト

解答試案

・建設用リフトの搬器に労働者を乗せない。建設用リフトの搬器の昇降によって労働者に危険を生ずるおそれのある部分に労働者を立ち入らせない。

・建設用リフトのピットをそうじするときは、搬器の落下防止措置を講じる。建設用リフトの運転者を、搬器を上げたままで、運転位置から離れさせない。

・最大積載荷重を現地に表示し、その機能と能力を十分に理解するとともに能力と使用上の制限事項等を厳守させて使用する。

__

3. 場内仮設道路

解答試案

・資機材の運搬車両、工事用機械等、さまざまな用途の車両の通行を考慮し、道路の位置と幅員について検討する。

・地耐力を確認し、機械接地圧と比較検討を行う。なお、地耐力が不足している場合は、地盤改良工事を行う。

・杭打機など大型の工事用機械は接地圧が大きいので、整地後に切込砂利を敷き、十分転圧してから鋼板を敷く。

令和5年1級建築施工管理技士 二次検定 問題3 解答解説

令和5年 1級建築施工管理技士 二次 解答解説 問題3

問題3
市街地での事務所ビル新築工事について、右の基準階の躯体工事工程表及び作業内容表を読み解き、次の 1.から 4.の問いに答えなさい。

工程表は工事着手時のもので、各工種の作業内容は作業内容表のとおりであり、型枠工事の作業④と、鉄筋工事の作業⑦については作業内容を記載していない。
基準階の施工は型枠工 10 人、鉄筋工6人のそれぞれ1班で施工し、③ 柱型枠、壁型枠返しは、⑧壁配筋が完了してから開始するものとし、⑨梁配筋(圧接共)は、⑤床型枠組立て(階段を含む)が完了してから開始するものとする。

なお、仮設工事、設備工事及び検査は、墨出し、型枠工事、鉄筋工事、コンクリート工事の進捗に合わせ行われることとし、作業手順、作業日数の検討事項には含めないものとする。

[ 工事概要 ]
用  途:事務所
構造,規模:鉄筋コンクリート造、地上 6階、延べ面積 3,000 m2
基準階面積 480m2

基準階の躯体工事工程表(当該階の柱及び壁、上階の床及び梁)

作業内容表(所要日数には仮設、運搬を含む)

ネットワーク工程表検討用

1.型枠工事の作業 ④及び鉄筋工事の作業 ⑦の作業内容を記述しなさい。

解答

 ④ 梁型枠組立て

 ⑦ 柱配筋

[ 解説 ]

一般的な型枠組立順序及配筋の順序は、

(型枠)

墨出 → 柱 → 内壁 → 大梁 → 小梁 → 外壁 → 床版

   ↑            ↑

  柱配筋          壁配筋

※覚え方 「鼻の大小が相当愉快」

「一級建築士 スーパー記憶術 原口秀明氏より」

(配筋)

柱 → 壁 → 梁 → 床

(垂直のもの)→(水平のもの)

である。

問題文に記載のない作業は、梁型枠組立て及柱配筋である。

__

2.型枠工事の ③柱型枠、壁型枠返しの最早開始時期(EST)を記入しなさい。

解答

 柱型枠、壁型枠返しの最早開始時期(EST):5日

[ 解説 ]

題意より、ダミーアローを記載すると下記のようになる。

よって、柱型枠、壁型枠返しの最早開始時期(EST)は、5日となる。

__

3.型枠工事の ⑥型枠締固め及び鉄筋工事の ⑦床配筋のフリーフロートを記入しなさい。

解答

⑥型枠締固めのフリーフロート 5日

⑩床配筋のフリーフロート 0日

[ 解説 ]

型枠締固めの最早終了時期は14日+ 3日=17日

コンクリート打設の最早開始時期は 22日なので、

22日 - 17日 = 5日

よって、⑥型枠締固めのフリーフロートは 5日となる。

⑩床配筋はクリティカルパス上にあるので、フリーフロートは 0日

__

4. 次の記述の [  ] に当てはまる数値を記入しなさい。
ある基準階において、②片壁型枠建込み及び ③柱型枠、壁型枠返しについて、当初計画した型枠工の人数が確保できず、②片壁型枠建込みでは2日、③柱型枠、壁型枠返しでは1日、作業日数が増加することとなった。
このとき、墨出しからコンクリート打込み完了までの総所要日数は[  ]日となる。

解答

 24

[ 解説 ]

②片壁型枠建込みはクリティカルパス上にはなく

2日 → 3日

となっても、クリティカルになくことなく

総所要日数に影響はない。

③柱型枠、壁型枠返しはクリティカルパス上にあり、

3日 → 4日

と作業日数が1日増えると、総所要日数も1日増え、

23日 → 24日

となる。

令和5年1級建築施工管理技士 二次検定 問題4 解答解説

令和5年 1級建築施工管理技士 二次 解答解説 問題4

問題4
次の 1.から 4.の問いに答えなさい。

ただし、解答はそれぞれ異なる内容の記述とし、材料(仕様、品質、搬入、保管等)、作業環境(騒音、振動、気象 条件等)、養生及び安全に関する記述は除くものとする。

1.土工事において、山留め壁に鋼製切梁工法の支保工を設置する際の施工上の留意事項2 つ、具体的に記述しなさい。

ただし、地下水の処理及び設置後の維持管理に関する記述は除くものとする。

解答例

山留め壁に鋼製切梁工法の支保工を設置する際の留意事項

・腹起しは連続して設置することとし、継手の設置位置は曲げ応力の小さい箇所となるようにする。

・切りばりの継手は切りばり支柱間に2ヵ所以上設けないようにし、同一方向の継手は同じ位置に並ばないようにする。

(その他の解答例)

・接合部が変形している場合は、端部の隙間にライナーなどを挿入し、切りばりの軸線が直線になるようにする。

・ 同一方向の切りばりの継手は、同じ位置に並ばないようにし、継手位置はできる限り切りばり交差部の近くに設ける。

__

2.鉄筋工事において、バーサポート又はスペーサーを設置する際の施工上の留意事項2 つ、具体的に記述しなさい。

解答例

バーサポート又はスペーサーを設置する際の留意事項

・柱又は壁は、上段は梁下より0.5m程度の範囲に、中段は上段よりl.5m間隔程度とし、横間隔は1.5m程度、端部は0.5m程度に配置する。

・梁は、間隔1.5m程度、端部は0.5m程度の位置に、上又は下いずれかと、側面の両側へ対象に配置する。

(その他の解答例)

・スラブにおいては、上端筋、下端筋それぞれ、間隔は0.9m程度、端部は0.1m以内に配置する。

・スラブにおいては、バーサポートは上端、下端とも、交差する鉄筋の下側の鉄筋を支持する。

・柱筋、壁筋のスペーサーは、上階に建ち上がる場合の台直しを避けるため、上階の梁底になるべく近く、柱では柱頭から500mm程度に、壁では最上段の横筋位置に設置する。

__

3.鉄筋コンクリ—ト造の型枠工事において、床型枠用鋼製デッキプレート(フラットデッキプレート)を設置する際の施工上の留意事項 2つ、具体的に記述しなさい。

解答例

床型枠鋼製デッキプレートを設置する際の留意事項

・フラットデッキには10mm程度のむくりがついているため、梁とのすき間からノロ漏れ等が生じないように施工する。

・フラットデッキが施工中に落下しないように、エンドクロース部分を型枠の上にのせ、かかり代を50mm以上確保する。

(その他の解答例)

・現場における切込み等の作業ができるだけ少なくなるように割付計画を行い、必要に応じてリブの切断を行う場合はデッキ受けを設け、確実に荷重が伝わるようにする。

・設備配管の貫通孔が規則的な場合又は集中している場合は、局部破壊の原因となるため補強を行う。

__

4.コンクリート工事において、普通コンクリートを密実に打ち込むための施工上の留意事項2 つ、具体的に記述しなさい。

解答例

普通コンクリートを密実に打ち込むための留意事項

・柱の打設は、自由落下高さを抑えて、コンクリートが分離するのを防ぐため、一度スラブ又は梁で受けた後に、柱各面から打込む。

・打重ね時に棒型振動機を先打ちコンクリートの中に10cm程度挿入して、後打ちコンクリートとの一体化をはかり、十分に締め固める。

(その他の解答例)

・柱壁は、スラブと梁との境目のひび割れ防止のため、梁下で一度打込みを止めてコンクリートを沈降させてから打ち重ねる。

・SRC造の梁への打設は、フランジの下部が空洞とならないように、フランジ片側から流し込み、反対側にコンクリートが上昇するのを待って全体に打ち込む。

令和5年1級建築施工管理技士 二次検定 問題5 解答解説

令和5年 1級建築施工管理技士 二次 解答解説 問題5

問題5
次の 1.から 8.の各記述 において、[  ] に当てはまる最も適当な語句又は数値の組合せを、下の枠内から 1 つ選びなさい。

1.塩化ビニル樹脂系シート防水の接着工法において、シート相互の接合部は、原則として水上側のシートが水下側のシートの上になるよう張り重ねる。

また、シート相互の接合幅は、幅方向、長手方向とも、最小値 [ a ] mm とし、シート相互の接合方は、 [ b ] と [ c ] を併用して接合する。

解答

 4

[ 解説 ]

塩化ビニル樹脂系シート防水の接着工法において、シート相互の接合部は、原則として水上側のシートが水下側のシートの上になるよう張り重ねる。

また、シート相互の接合幅は、幅方向、長手方向とも、最小値 40mm とし、シート相互の接合方は、接着剤又は熱風液状シール材を併用して接合する。

2. セメントモルタルによる外壁タイル後張り工法の引張接着 強度検査は、施工後2 週間以上経過した時点で、油圧式接着力試験機を用いて、引張接着強度と [ a ] 状況に基づき合否を判定する。

また、下地がモルタル塗りの場合の試験体は、タイルの目地部分を [ b ] 面まで切断して周囲と絶縁したものとし、試験体の数は 100 m2 以下ごとに1個以上とし、かつ、全面積で [ c ] 個以上とする。

解答

3

[ 解説 ]

セメントモルタルによる外壁タイル後張り工法の引張接着 強度検査は、施工後2 週間以上経過した時点で、油圧式接着力試験機を用いて、引張接着強度と 破壊状況に基づき合否を判定する。

また、下地がモルタル塗りの場合の試験体は、タイルの目地部分をコンクリート面まで切断して周囲と絶縁したものとし、試験体の数は 100 m2 以下ごとに1個以上とし、かつ、全面積で 個以上とする。__

3. 鋼板製折板葺屋根におけるけらば包みの継手位置は、端部用タイトフレームの位置よりできるだけ [ a ]ほうがよい。

また、けらば包み相互の継手の重ね幅は、最小値 [ b ]mm とし、当該重ね内部に不定形又は定形シーリング材をはさみ込み、 [ c ] 等で留め付ける。

解答

3

[ 解説 ]

鋼板製折板葺屋根におけるけらば包みの継手位置は、端部用タイトフレームの位置よりできるだけ近いほうがよい。

また、けらば包み相互の継手の重ね幅は、最小値60mm とし、当該重ね内部に不定形又は定形シーリング材をはさみ込み、ドリリングタッピンねじ等で留め付ける。__

4.軽量鉄骨壁下地のランナー両端部の固定位置は、端部から [ a ] mm 内側とする。ランナーの固定間隔は、ランナーの形状、断面性能及び軽量鉄骨壁の構成等により [ b ] mm程度とする。

また、上部ランナーの上端とスタッド天端の隙間は 10 mm以下とし、スタッドに取り付けるスペーサーの間隔は [ c ]mm 程度とする。

解答

2

[ 解説 ]

軽量鉄骨壁下地のランナー両端部の固定位置は、端部から50mm 内側とする。ランナーの固定間隔は、ランナーの形状、断面性能及び軽量鉄骨壁の構成等により900mm程度とする。

また、上部ランナーの上端とスタッド天端の隙間は 10mm以下とし、スタッドに取り付けるスペーサーの間隔は 600mm 程度とする。

5. 仕上げ材の下地となるセメントモルタル塗りの表面仕上げには、金ごて仕上げ、木ごて仕上げ、はけ引き仕上げがあり、その上に施工する仕上げ材の種類に応じて使い分ける。

一般塗装下地、壁紙張り下地の仕上げの場合は、 [ a ] 仕上げとする。
壁タイル接着剤張り下地の仕上げの場合は、 [ b ]仕上げとする。
セメントモルタル張りタイル下地の仕上げの場合は、 [ c ] 仕上げとする。

解答

4

[ 解説 ]

仕上げ材の下地となるセメントモルタル塗りの表面仕上げには、金ごて仕上げ、木ごて仕上げ、はけ引き仕上げがあり、その上に施工する仕上げ材の種類に応じて使い分ける。

一般塗装下地、壁紙張り下地の仕上げの場合は、金ごて仕上げとする。

壁タイル接着剤張り下地の仕上げの場合は、金ごて仕上げとする。

セメントモルタル張りタイル下地の仕上げの場合は、木ごて仕上げとする。

6.アルミニウム製建具工事において、枠のアンカー取付け位置は、枠の隅より 150 mm 内外を端とし、中間の間隔を [ a ]mm 以下とする。
くつずりをステンレス製とする場合は、厚さ [ b ] mm を標準とし、仕上げはヘアラインとする。

また、一般的に、破損及び発音防止のためのくつずり裏面のモルタル詰めは、取付け [ c ] に行う。

解答

5

[ 解説 ]

アルミニウム製建具工事において、枠のアンカー取付け位置は、枠の隅より 150 mm 内外を端とし、中間の間隔を 500mm 以下とする。

くつずりをステンレス製とする場合は、厚さ1.5mm を標準とし、仕上げはヘアラインとする。

また、一般的に、破損及び発音防止のためのくつずり裏面のモルタル詰めは、取付けに行う。

7.せっこうボード面の素地ごしらえのパテ処理の工法には、パテしごき、パテかい、パテ付けの3種類がある。

[ a ] は、面の状況に応じて、面のくぼみ、隙間、目違い等の部分を平滑にするためにパテを塗る。

また、パテかいは、 [ b ] にパテ処理するもので、素地とパテ面との肌違いが仕上げに影響するため、注意しなければならない。
なお、パテ付けは、特に [ c ] を要求される仕上げの場合に行う。

解答

3

[ 解説 ]

せっこうボード面の素地ごしらえのパテ処理の工法には、パテしごき、パテかい、パテ付けの3種類がある。

パテかいは、面の状況に応じて、面のくぼみ、隙間、目違い等の部分を平滑にするためにパテを塗る。

また、パテかいは、局部的にパテ処理するもので、素地とパテ面との肌違いが仕上げに影響するため、注意しなければならない。

なお、パテ付けは、特に美装性を要求される仕上げの場合に行う。

8.タイルカーペットを事務室用フリーアクセスフロア下地に施工する場合、床パネル相互間の段差と隙間を [ a ] mm 以下に調整した後、床パネルの目地とタイルカーペットの目地を [ b ] mm 程度ずらして割付けを行う。

また、カーペットの張付けは、粘着剥離形の接着剤を [ c ] の全面に塗布し、適切なオープンタイムをとり、圧着しながら行う。

解答

1

[ 解説 ]

タイルカーペットを事務室用フリーアクセスフロア下地に施工する場合、床パネル相互間の段差と隙間を1 mm 以下に調整した後、床パネルの目地とタイルカーペットの目地を100mm 程度ずらして割付けを行う。

また、カーペットの張付けは、粘着剥離形の接着剤を床パネルの全面に塗布し、適切なオープンタイムをとり、圧着しながら行う。

令和5年1級建築施工管理技士 二次検定 問題6 解答解説

令和5年 1級建築施工管理技士 二次 解答解説 問題6

問題6
次の 1.から 3.の各法文において、[  ] に当てはまる正しい語句又は数値を、下の該当する枠内から 1 つ選びなさい。

1. 建設業法(下請代金の支払)
第24条の3 元請負人は、請負代金の出来形部分に対する支払又は工事完成後における支払 を受けたときは、当該支払の対象となった建設工事を施工した下請負人に対して、当該元請負人が支払を受けた金額の出来形に対する割合及び当該下請負人が施工した出来形部分に相応する下請代金を、当該支払を受けた日から [ ① ] 以内で、かつ、できる限り短い期間内に支払わなければならない。

2 前項の場合において、元請負人は、同項に規定する下請代金のうち [ ② ] に相当する部分については、現金で支払うよう適切な配慮をしなければならない。

3 ( 略)

1. 10 日 2. 20 日 3. 1月 4. 3月 5. 6月

1. 労務費 2. 交通費 3. 材料費 4. 事務費 5. 諸経費
解答

① 3、② 1

[ 解説 ]

建設業法

第24条の3(下請代金の支払)

元請負人は、請負代金の出来形部分に対する支払又は工事完成後における支払 を受けたときは、当該支払の対象となった建設工事を施工した下請負人に対して、当該元請負人が支払を受けた金額の出来形に対する割合及び当該下請負人が施工した出来形部分に相応する下請代金を、当該支払を受けた日から1月以内で、かつ、できる限り短い期間内に支払わなければならない。

2 前項の場合において、元請負人は、同項に規定する下請代金のうち労務費に相当する部分については、現金で支払うよう適切な配慮をしなければならない。

3 ( 略)

2. 建築基準法施行令 (根切り工事、山留め工事等を行う場合の危害の防止)

第136条の3
建築工事等において根切り工事、山留め工事、ウエル工事、ケーソン工事その他基礎工事を行なう場合においては、あらかじめ、地下に埋設されたガス管、ケーブル、水道管及び下水道管の損壊による危害の発生を防止するための措置を講じなければならない。

2 (略)

3 (略)

4 建築工事等において深さ [ ③ ] メートル以上の根切り工事を行なう場合においては、地盤が崩壊するおそれがないとき、及び周辺の状況により危害防止上支障がないときを除き、山留めを設けなければならない。この場合において、山留めの根入れは、周辺の地盤の安定を保持するために相当な深さとしなければならない。

5 (略)

6 建築工事等における根切り及び山留めについては、その工事の施工中必要に応じて点検を行ない、山留めを補強し、排水を適当に行なう等これを安全な状態に維持するための措置を講ずるとともに、矢板等の抜取りに際しては、周辺の地盤の [ ④ ] による危害を防止するための措置を講じなければならない。

1. 0.5  2. 1.0  3. 1.5  4. 2.0  5. 2.5

1. 沈下 2. ゆるみ 3. 崩落 4. 陥没 5. 倒壊
解答例

③ 3、④ 1

[ 解説 ]

建築基準法施行令

第136条の3 (根切り工事、山留め工事等を行う場合の危害の防止)

建築工事等において根切り工事、山留め工事、ウエル工事、ケーソン工事その他基礎工事を行なう場合においては、あらかじめ、地下に埋設されたガス管、ケーブル、水道管及び下水道管の損壊による危害の発生を防止するための措置を講じなければならない。

2 (略)

3 (略)

4 建築工事等において深さ1.5メートル以上の根切り工事を行なう場合においては、地盤が崩壊するおそれがないとき、及び周辺の状況により危害防止上支障がないときを除き、山留めを設けなければならない。この場合において、山留めの根入れは、周辺の地盤の安定を保持するために相当な深さとしなければならない。

5 (略)

6 建築工事等における根切り及び山留めについては、その工事の施工中必要に応じて点検を行ない、山留めを補強し、排水を適当に行なう等これを安全な状態に維持するための措置を講ずるとともに、矢板等の抜取りに際しては、周辺の地盤の沈下による危害を防止するための措置を講じなければならない。

3. 労働安全衛生法(総括安全衛生管理者)

第 10 条 事業者は、政令で定める規模の事業場ごとに、厚生労働省令で定めるところにより、総括安全衛生管理者を選任し、その者に安全管理者、衛生管理者又は第25条の2第2項の規定により技術的事項を管理する者の指揮をさせるとともに、次の業務を統括管理させなければならない。

一 労働者の [ ⑤ ] 又は健康障害を防止するための措置に関すること。
二 労働者の安全又は衛生のための教育の実施に関すること。
三 健康診断の実施その他健康の保持増進のための措置に関すること。
四 労働災害の原因の調査及び [ ⑥ ] 防止対策に関すること。
五 前各号に掲げるもののほか、労働災害を防止するため必要な業務で、厚生労働省令で定めるもの

2 ( 略)

3 ( 略)

1. 危害 2. 損傷 3. 危機 4. 損害 5. 危険

1. 発生 2. 拡大 3. 頻発 4. 再発 5. 被害
解答例

⑤ 5、⑥ 4

[ 解説 ]

労働安全衛生法

第10条(総括安全衛生管理者)

事業者は、政令で定める規模の事業場ごとに、厚生労働省令で定めるところにより、総括安全衛生管理者を選任し、その者に安全管理者、衛生管理者又は第25条の2第2項の規定により技術的事項を管理する者の指揮をさせるとともに、次の業務を統括管理させなければならない。

一 労働者の危険又は健康障害を防止するための措置に関すること。

二 労働者の安全又は衛生のための教育の実施に関すること。

三 健康診断の実施その他健康の保持増進のための措置に関すること。

四 労働災害の原因の調査及び再発防止対策に関すること。

五 前各号に掲げるもののほか、労働災害を防止するため必要な業務で、厚生労働省令で定めるもの

2 ( 略)

3 ( 略)