令和4年1級建築施工管理技士 二次検定 問題2 解答解説

令和4年 1級建築施工管理技士 二次 問題2 解答 解説


問題2

建築工事における次の1.から3.の災害について、施工計画に当たり事前に検討した事項として、災害の発生するおそれのある状況又は作業内容と災害を防止するための対策を、それぞれ2つ具体的に記述しなさい。

ただし、解答はそれぞれ異なる内容の記述とする。また、保護帽や要求性能墜落制止用器具の使用、朝礼時の注意喚起、点検や整備などの日常管理、安全衛生管理組織、新規入場者教育、資格や免許に関する記述は除くものとする。

1.墜落、転落による災害

解答試案

【 解答例 】

① 外壁タイル張り工事作業における足場からの転落事故を防ぐため、足場の作業床の幅は40cm以上、床材間の隙間は3cm以下、かつ床材と建地との間隔を12cm以下とする。

② ダメ穴等の床開口部からの作業員の墜落事故を防止するため、大きな開口部分には手すりを設けるとともに、安全ネットの設置を計画する。

2.崩壊、倒壊による災害

解答試案

①足場計画において、建地脚部の滑動・沈下防止措置として、足場の足元は十分に突き固めて、平滑さを確認してから敷板を並べる。また、足元は足場用ベース金具で敷角材または敷板に釘止めとし、脚部には根がらみを設ける。

②枠組み足場計画において、筋かい、控え、壁つなぎ等の補強材の間隔及び締付け、壁つなぎのアンカーボルトは、躯体にしっかりと打ち込み、控えの間隔は、垂直方向は9m以下、水平方向は8m以下とする。

③風に対して倒壊防止の措置を取る。

(解説)

外部足場については、JASS2(仮設工事)5.2「足場の保守管理」などを参考にする。

3.移動式クレーンによる災害

解答例

①移動式クレーンが転倒するおそれがあるような軟弱地盤ではないか確認し、転倒するおそれがある地盤には、転倒を防止するための必要な広さ及び強度を有する鉄板等が敷設する。

②アウトリガーを有する移動式クレーンを使用する場合には、アウトリガーを最大限に張り出して作業を行う。

③移動式クレーンの上部旋回_体と接触するおそれのある場所、吊り荷の落下による危険がある場所へ立ち入り禁止の措置をとる。

令和4年1級建築施工管理技士 二次検定 問題3 解答解説

令和4年 1級建築施工管理技士 二次 問題3 解答 解説

問題3
市街地での事務所ビル新築工事において、同一フロアをA、Bの2工区に分けて施工を行うとき、右の内装工事工程表(3階)に関し、次の1.から4.の問いに答えなさい。

工程表は計画時点のもので、検査や設備関係の作業については省略している。

各作業日数と作業内容は工程表及び作業内容表に記載のとおりであり、Aで始まる作業名はA工区の作業を、Bで始まる作業名はB工区の作業を、Cで始まる作業名は両工区を同時に行う作業を示すが、作業A1、B1及び作業A6、B6については作業内容を記載していない。

各作業班は、それぞれ当該作業のみを行い、各作業内容共、A工区の作業が完了してからB工区の作業を行う。また、A工区における作業A2と作業C2以外は、工区内で複数の作業を同時に行わず、各作業は先行する作業が完了してから開始するものとする。

なお、各作業は一般的な手順に従って施工されるものとする。

〔工事概要〕
用   途:事務所
構造・規模:鉄筋コンクリート造、
地上6階、塔屋1階、延べ面積 2,800m2
仕 上 げ:床は、フリーアクセスフロア下地、タイルカーペット仕上げ
壁は、軽量鉄骨下地、せっこうボード張り、ビニルクロス仕上げ
天井は、システム天井下地、ロックウール化粧吸音板仕上げ
A工区の会議室に可動間仕切設置

内装工事工程表(3階)

作業内容表(各作業に必要な仮設、資機材運搬を含む)

検討用

1. 作業A1、B1及び作業A6、B6の作業内容を記述しなさい。

[ 解答 ]

問題文記載の仕上げ項目から判断すると解答は下記のとおりとなる。

A1,B1の作業 壁軽量鉄骨下地組立て

A6,B6の作業 フリーアクセスフロア敷設

2. (始)から(終)までの総所要日数を記入しなさい。

[ 解答 ]

ポイントは「A工区の作業が完了してからB工区の作業を行う。」という内容である。

工程表を見ると、作業日数は、B工区のほうがA工区の日数以上の日数がかかっているので、

おおよそ、B工区の作業完了で次工程へ進むことができる。

クリティカルバスの経路は、

C1→A1→B1→C2→A3→B3→B4→B5→B6→B7→C2

となり、

1+2+2+3+2+3+3+3+2+2+2 = 25

よって、25日となる。

3. 作業A4のフリーフロートを記入しなさい。

[ 解答 ]

0日

A工区の天井工事(A4)が完了して、B工区へ移ったのち、B工区の作業に3日かかる。

その間にA工区は壁のビニルクロス張り(A5)を施工しており、そのA工区の作業も3日かかる。

よって、A工区の天井工事(A4)の工程には余裕がなく、フリーフロートは 0日となる。

フリーフロートとは、その作業の中で使い切ってしまうと後続作業の最早開始時刻に影響を及ぼすようなフロートをいい、次式で定まる。

フリーフロート

=後続作業の最早開始時刻 – 当該作業の最早終了時刻

4.次の記述の [  ] に当てはまる作業名と数値をそれぞれ記入しなさい。
建具枠納入予定日の前日に、A工区分の納入が遅れることが判明したため、B工区の建具枠取付けを先行し、その後の作業もB工区の作業が完了してからA工区の作業を行うこととした。
なお、変更後のB工区の建具枠取付けの所要日数は2日で、納入の遅れたA工区の建具枠は、B工区の壁せっこうボード張り完了までに取り付けられることが判った。
このとき、当初クリティカルパスではなかった作業 [ あ ] から作業A8までがクリティカルパスとなり、(始)から(終)までの総所要日数は [ い ] 日となる。

[ 解答 ]

[ あ ] ・・・A5、 [ い ] ・・・27

A工区分の建具枠納入が遅れたことにより、B工区の建具枠が先行し、その後の作業もB工区の作業が完了してからA工区の作業を行うことにしたという点に注意して考察する。

B工区 軽量鉄骨下地(B1) → 建具枠取付(C2-B) → 壁せっこうボード張り(B3)

の経路がクリティカルパスにのってくる。

変更後のB工区の建具取付けの所要日数 2日、B工区の壁せっこうボード張り(3日)完了までに、A工区の建具枠取付けが完了するとあるので、A工区の建具枠取付は ( 2 + 3 = )5日以内である。

また、B工区の作業が完了してから、A工区の作業をするとあるので、変更後の内装工事工程表は下記のようになる。

当初クリティカルパスではなかった作業A5から作業A8までがクリティカルパスとなり、(始)から(終)までの総所要日数は 27日となる。

令和4年1級建築施工管理技士 二次検定 問題4 解答解説

令和4年 1級建築施工管理技士 二次 問題4 解答 解説

問題4
次の1.から4.の問いに答えなさい。
ただし、解答はそれぞれ異なる内容の記述とし、材料(仕様、品質、運搬、保管等)、作業環境(騒音、振動、気象条件等)及び作業員の安全に関する記述は除くものとする。

1.屋根保護防水断熱工法における保護層の平場部の施工上の留意事項2つ、具体的に記述しなさい。
なお、防水層はアスファルト密着工法とし、保護層の仕上げはコンクリート直均し仕上げとする。

解答例

① アスファルト防水密着工法の出隅及び入隅においては、平場部のルーフィング類の張付けの前に、幅300mm程度のストレッチルーフィングを増し張りする。

② コンクリートスラブの打継ぎ部については、絶縁テープを張り付けた上に、幅300mm程度のストレッチルーフィングを増張りする。

③ 低煙・低臭タイプのアスファルトの溶融温度の上限は、煙の発生を抑制するために 240〜260℃程度とする。

2.木製床下地にフローリングボード又は複合フローリングを釘留め工法で張るときの施工上の留意事項2つ、具体的に記述しなさい。

解答例

①必要に応じて接着剤を下地に塗布し、釘と接着剤を併用して留め付ける。

②釘留め工法によるフローリングボード張りは、張込みに先立ち、板の割付けを行い、隣接する板の継手は150mm程度離して通りよく敷き並べる。

③フローリング類の割付けは、室の中央から両端へ行い、割付けが半端になる場合は、目立ちやすい出入口を避け、壁際の見え隠れとなる場所で行う。

④フローリング類は木質材であり、湿度の変化によって膨張・収縮するので、幅木・敷居等との取り合い部ではエキスパンションをとる。

⑤板そば、木口のさね肩を損傷しないように、根太に向けて雄ざねの根付けから45度の傾斜に隠し釘で留める。

3.外壁コンクリート面を外装合成樹脂エマルション系薄付け仕上塗材(外装薄塗材E)仕上げとするときの施工上の留意事項2つ、具体的に記述しなさい。

解答例

①下塗りは、だれ、塗り残しのないように均一に塗り付ける。

②凸部分処理は、こてまたはローラー押さえにより、見本と同様の模様となるように主材の模様塗り後、1時間以内に適当な時間を選んで行う。

③上塗りの塗り回数は、2回塗りを標準をし、色むら、だれ、光沢むらのないように、均一に塗り付ける。

④模様塗りは、見本と同様の模様となるよう適切な工具を使用し、適切な条件の下で塗り付ける。

⑤5℃以上で塗装する。乾燥途中で結露すると塗面に異常を発生するおそれがあるので多湿時の塗装は避ける。

4.鉄筋コンクリート造の外壁に鋼製建具を取り付けるときの施工上の留意事項2つ、具体的に記述しなさい。

解答例

[ 解答解説 ]

外部に面する戸は、下部を除き三方の見込み部を表面板で包む。(建築工事監理指針)

※内部建具の両面フラッシュ戸の見込み部は、上下部の除いた2方を表面板で包めばよい。

鋼製建具に使用する戸の表面板の厚さは、特記による。特記がなければ、片開き、親子開き及び両開き戸の1枚の有効開口幅が 950mm、または有効高さが 2,400mmを超える場合そ除き 1.6mmとする。鋼製軽量建具に使用する戸の表面板の厚さは、0.6mmとする。

③ 鋼製建具の戸において、中骨は厚さ 1.6mm、間隔 300mmとする。

④ ステンレス鋼板製のくつずりは、表面仕上げをヘアラインとし、厚さは 1.5mmとする。建具枠は、くつずり、下枠等あとでモルタル充填が困難な部分では、あらかじめ裏面に鉄線等を取り付けてモルタル詰めを行なったのち取り付ける。

鋼製建具の取付け精度は次の通りとする。

①枠の対角寸法差は 3mm以内

②枠及び戸のねじれ、反り、はらみは 2mm以内

③枠の倒れ(面外、面内とも)は 2mm以内

 (建築工事監理指針)

令和4年1級建築施工管理技士 二次検定 問題6 解答解説

令和4年 1級建築施工管理技士 二次 問題6 解答 解説


問題6

次の 1. から 3, の各法文において、[  ]に当てはまる正しい語句又は数値を、下の該当する枠内から1つ選びなさい。

1.建設業法(特定建設業者の下請代金の支払期日等)

第24条の6
特定建設業者が [ ① ] となった下請契約(下請契約における請負人が特定建設業者又は資本金額が政令で定める金額以上の法人であるものを除く。以下この条において同じ。)における下請代金の支払期日は、第24条の4第2項の申出の日(同項ただし書の場合にあっては、その一定の日。以下この条において同じ。)から起算して [ ② ] 日を経過する日以前において、かつ、できる限り短い期間内において定められければならない。
2 (略)
3 (略)
4 (略)

① 1.注文者 2.発注者 3.依頼者 4.事業者 5.受注者
② 1.20  2.30  3.40  4.50  5.60

正答肢

 ①-1、②-4

[ 解答解説 ]

1.建設業法(特定建設業者の下請代金の支払期日等)

第24条の6

特定建設業者が注文者となった下請契約(下請契約における請負人が特定建設業者又は資本金額が政令で定める金額以上の法人であるものを除く。以下この条において同じ。)における下請代金の支払期日は、第24条の4第2項の申出の日(同項ただし書の場合にあっては、その一定の日。以下この条において同じ。)から起算して 50日を経過する日以前において、かつ、できる限り短い期間内において定められければならない。

2 (略)

3 (略)

4 (略)

2.建築基準法施行令(落下物に対する防護)

第136条の5
(略)
2 建築工事等を行なう場合において、建築のための工事をする部分が工事現場の境界線から水平距離が [ ③ ] m以内で、かつ、地盤面から高さが [ ④ ] m以上にあるとき、その他はつり、除却、外壁の修繕等に伴う落下物によって工事現場の周辺に危害を生ずるおそれがあるときは、国土交通大臣の定める基準に従って、工事現場の周囲その他危害防止上必要な部分を鉄網又は帆布でおおう等落下物による危害を防止するための措置を講じなければならない。

③ 1. 3 2.4 3.5 4.6 5.7
④ 1. 3 2.4 3.5 4.6 5.7

正答肢

 ③-3、④-5

[ 解答解説 ]

建築基準法施行令(落下物に対する防護)

第136条の5

2 建築工事等を行なう場合において、建築のための工事をする部分が工事現場の境界線から水平距離が 5m以内で、かつ、地盤面から高さが 7 m以上にあるとき、その他はつり、除却、外壁の修繕等に伴う落下物によって工事現場の周辺に危害を生ずるおそれがあるときは、国土交通大臣の定める基準に従って、工事現場の周囲その他危害防止上必要な部分を鉄網又は帆布でおおう等落下物による危害を防止するための措置を講じなければならない。

3.労働安全衛生法(元方事業者の講ずべき措置等)

第29条の2
建設業に属する事業の元方事業者は、土砂等が崩壊するおそれのある場所、機械等が転倒するおそれのある場所その他の厚生労働省令で定める場所において関係請負人の労働者が当該事業の仕事の作業を行うときは、当該関係請負人が講ずべき当該場所に係る [ ⑤ ] を防止するための措置が適正に講ぜられるように、 [ ⑥ ] 上の指導その他の必要な措置を講じなければならない。

⑤ 1.破損 2.損壊 3.危険 4.労働災害 5.事故
⑥ 1.教育 2.技術 3.施工 4.作業 5.安全

正答肢

 ⑤-3、⑥-2

[ 解答解説 ]

労働安全衛生法(元方事業者の講ずべき措置等)

第29条の2

建設業に属する事業の元方事業者は、土砂等が崩壊するおそれのある場所、機械等が転倒するおそれのある場所その他の厚生労働省令で定める場所において関係請負人の労働者が当該事業の仕事の作業を行うときは、当該関係請負人が講ずべき当該場所に係る危険を防止するための措置が適正に講ぜられるように、 技術上の指導その他の必要な措置を講じなければならない。

令和3年1級建築施工管理技士 二次検定 問題1 解答解説

令和3年 1級建築施工管理技士 二次 問題1 解答 解説


問題1

建築工事における品質確保は、建築物の長寿命化を実現するために重要である。このため、施工者は、発注者のニーズ及び設計図書等を把握し、決められた工期やコスト等の条件の下で適切に品質管理を行うことが求められる。

あなたが経験した建築工事のち、発注者及び設計図書等により要求された品質を確保するため、重点的に品質管理を行った工事を1つ選び、工事概要を具体的に記述したうえで、次の 1.及び2.の問いに答えなさい。

なお、建築工事とは、建築基準法に定める建築物に係る工事とし、建築設備工事を除くものとする。

[ 工事概要 ]
イ.工 事 名
ロ.工事場所
ハ.工事の内容
新築等の場合:建物用途、構造、階数、
延べ面積又は施工数量、主な外部仕上
主要室の内部仕上げ
改修等の場合:建物用途、建物規模、
主な改修内容及び施工数量
ニ.工 期 等
(工期又は工事に従事した期間を
年号又は西暦で年月まで記入)
ホ.あなたの立場
ヘ.あなたの業務内容

1.工事概要であげた工事で、あなたが現場で重点をおいて実施した品質管理の事例を2つあげ、次の①から④について具体的に記述しなさい。
ただし、2つの事例の②から④は、それぞれ異なる内容を記述するものとする。

工種名
②施工に当たっての品質の目標及びそれを達成するために定めた重点品質管理項目
③②の重点品質管理項目を定めた理由及び発生を予測した欠陥又は不具合
④②の重点品質管理項目について、実施した内容及びその確認方法又は検査方法

解答試案

1)品質活動1

①工種名:内装工事

②品質の目標は居住性を良好にすることとし、重点品質管理項目は各住戸間の遮音性の確保することとした。

③定めた理由及び発生を予測した欠陥又は不具合:

共同住宅であるので隣戸間の遮音を確保することが重要であると考え、遮音性能の不良による入居後の住民間のトラブルを防止するため。

④実施した内容及び確認方法又は検査方法:

住戸間の戸境壁には耐震遮音壁を採用し、認定内容を遵守する施工計画を立案し、施工を徹底した。また、壁・天井等と躯体面の取合いは、すき間を生じないよう、不燃材料で充填する。チェックリストに施工した記録・施工の困難な箇所の施工写真を撮って記録した。

2)品質活動2

①工種名:防水工事

②品質の目標は屋上アスファルト防水の漏水防止とし、重点品質管理項目は防水下地のクンクリート面の凹凸をなくすこと、下地の十分な乾燥を確認することとした。

③定めた理由及び発生を予測した欠陥又は不具合:

防水下地の凹凸や鉄筋、番線等の突起物、モルタルのこぼれ等及び不十分な乾燥による防水層のふくれ等は防水層の破損の原因になると考え、破損の防止により防水性能が高まり漏水防ぐことができるため。

③実施した内容及び確認方法又は検査方法:

凹凸や突起物等については目視で確認し、乾燥状態については高周波水分計による下地水分の測定で8%以下の含水率を確認し、それぞれチェックリストに記録した。

2.工事概要にあげた工事にかかわらず、あなたの今日までの工事経験を踏まえて、現場で行う組織的な品質管理活動について、次の①、②を具体的に記述しなさい。
ただし、1.④と同じ内容の記述は不可とする。

①品質管理活動の内容及びそれを協力会社等に伝達する手段又は方法
②品質管理活動によってもたらされる良い影響

解答試案

①各種工事に関する施工計画書を作成し、品質管理に関す項目として具体的に施工管理値及び限界管理値をうたい、施工着手前には品質管理の会議を行い協力会社にその内容を徹底する。

②顧客の信頼が得られ社会的な評価を高めることができるとともに、工事に携わる者全員がより良い品質の建物を施工することを意識することで、全体としてスキルアップにもつながると考える。

令和3年1級建築施工管理技士 二次検定 問題2 解答解説

令和3年 1級建築施工管理技士 二次 問題2 解答 解説

問題2
次の1.から3.の建築工事における仮設物の設置を計画するに当たり、留意及び検討すべき事項2つ具体的に記述しなさい。
ただし、解答はそれぞれ異なる内容の記述とし、申請手続、届出及び運用管理に関する記述は除くものとする。また、使用資機材に不良品はないものとする。
1.仮設ゴンドラ

(記述例)

平成29年度に出題された問題である。

①ゴンドラを設置するための突りょうは、取り付ける位置と形状に適したものとし、十分な強度を確保できるものとする。

②定格速度は、ゴンドラの作業床に積載荷重に相当する荷重のものをのせて上昇させる場合の最高の速度をいう。

③ゴンドラの選定及び設置位置については、ゴンドラ作業の内容を十分把握・検討し、作業内容に最適な計画とする。

(解説)

・ゴンドラを使用して作業を行う場所については、当該作業を安全に行うため必要な照度を確保する計画とする。

2.場内仮設事務所

(記述例)

平成25年度に出題された問題である。

①事務所本体、外構、埋設設備等の工事に支障のない位置とする。

②出来る限り作業の状況が確認しやすく、また資材の動き、人の動きが見える所とする。

[ 解説 ]

場内仮設事務所の計画での留意事項または検討すべき事項については、以下の①~③等がある。

①設計・工事事務所の現場の出入口に近く、かつ、現場の状況がよく見える位置に計画する。

②設計事務所と工事事務所の位置は、両者の打合せがスムーズにできるよう、近接位置とする。

③仮設事務所の位置は、工事の終了間際まで使用できる位置とする。

3.工事ゲート(車両出入口)

(記述例)

平成23年度に出題された問題である。

①ゲートの幅は、搬入を計画する車両が無理なく道路から進入可能な回転半径を確保し、ゲートの梁または上部枠の高さは、車両限界高さの3.8mを超える高さを確保することに留意検討して計画する。

②ゲートの構造として、歩行者が安全歩行できる滑り止めの仕上げを確保すること。また、車両出入口であることを示すがめのトラマークと表示看板や警報灯や警報設備等も検討する。

③ゲートとして安全に侵入者を防ぎ、完全防備な機能を備えていること。また、強風に対しても安全な強度を備えた構造を持つように留意し検討する。

④交差点の近くや交通量の多い道路を避けて配置し、ゲートそばの仮囲い板を透明にして、歩行者等が目視できるように留意、検討する。

(解説)

工事現場は、原則として危害防止のため仮囲いを設けなければならないが、資機材の搬出入のため、大型車両が出入りする。このために第三者との接点になるゲートの設置については、特に第三者災害をいかに防ぐかを第一として、留意、検討しなければならない。

令和3年1級建築施工管理技士 二次検定 問題4 解答解説

令和3年 1級建築施工管理技士 二次 問題4 解答解説

問題4
次の1.から4.の問いに答えなさい。
ただし、解答はそれぞれ異なる内容の記述とし、材料(仕様、品質、運搬、保管等)、作業環境(騒音、振動、気象条件等)及び作業員の安全に関する記述は除くものとする。
1.杭工事において、既製コンクリート杭の埋込み工法の施工上の留意事項を2つ、具体的に記述しなさい。ただし、養生に関する記述は除くものとする。

(記述例)

・掘削孔壁が崩壊することがないように、速やかに行う。孔壁の崩壊は高止まりの原因となる。

・孔壁や杭体を損傷することのないよう、鉛直に吊り下げた状態でゆっくり行う。

・建て込み後に杭が自沈するおそれのある場合は、固定ち具などにより杭を保持し、自沈しないように設置高さの位置で固定しておく。

・杭心ずれを低減するために、掘削ロッドの振れ止め装置を用いたり、杭心位置から直角二方向に逃げ心を取り、掘削中や杭の建込み時にも逃げ心からの距離を随時確認をする。

一般的な施工精度の管理値は、杭心ずれ量が D/4 以下(D は杭直径)、かつ、100mm以下、傾斜 1/100以内である。

2.型枠工事において、柱又は梁型枠の加工、組立ての施工上の留意事項を2つ、具体的に記述しなさい。ただし、基礎梁及び型枠支保工に関する記述は除くものとする。

(記述例)

・柱型枠建込み前に柱脚部の清掃水洗い等を行っておく。建込み後には、ごみ・おがくず等が入らない処置をとり、万ー入った時は水洗い、又はとがらせた鉄筋等で除去する。 除去が難しい場合は下部に掃除口を設ける。

・型枠に、足場や遣方等の仮設物を連結させると、足場等が動いた時に型枠位置がずれたり寸法が狂ったりするおそれがあるので、避ける。

3.コンクリート工事において、コンクリート打込み後の養生に関する施工上の留意事項を2つ、具体的に記述しなさい。
なお、コンクリートに使用するセメントは普通ポルトランドセメントとし、計画供用期間の級は標準とする。

(記述例)

・コンクリート打込み後 5日間はコンクリート温度が 2℃を下らないように養生する。

・冬期等で著しく気温が低い場合は、打込み後のコンクリートが凍結しないように保温採暖をする。

・部材断面の中心部の温度が外気温より 25℃以上高くなるおそれのあるときの養生は「標仕」 6.13.4 によって行う。

「標仕」 6.13.4

(1) 内部温度が上昇している期間は、コンクリート表面部の温度が急激に低下しないよう養生を行う。

(2)内部温度が最高温度に達した後は、内部と表面部の温度差及び内部の温度降下が大きくならないように保温等の養生を行う。

(3)せき板等は、表面部と外気温の温度差が小さくなった後に取り外す。

4.鉄骨工事において、トルシア形高力ボルトの締付けに関する施工上の留意事項を2つ、具体的に記述しなさい。ただし、締付け器具に関する記述は除くものとする。

(記述例)

・トルシア形高力ボルトの締付け完了後の検査は、すべてのボルトについてピンテールが破断されていることを確認し、1次締付け後に付したマークのずれを調べる。

・ナット回転量に著しいばらつきが認められる群については、そのボルト一群のすべてのボルト のナット回転量を測定し、平均回転角度を算出し、ナット回転量が平均回転角度 ±45度の範囲のものを合格とする。

令和3年1級建築施工管理技士 二次検定 問題5 解答解説

令和3年 1級建築施工管理技士 二次 問題5 解答 解説

問題5
次の1.から8.の各記述において、(a)から(e)の下線部のうち最も不適当な語句又は数値の下線部下の記号とそれに替わる適当な語句又は数値との組合せを、下の枠内から1つ選びなさい。
1.改質アスファルトシート防水常温粘着工法・断熱露出仕様の場合、立上り際の風による(a)圧は平場の一般部より大きくなるため、断熱材の上が絶縁工法となる立上り際の平場部の幅(b)300mm程度は、防水層の(c)層目に粘着層付改質アスファルトシートを張り付ける。
なお、(d)入隅部では立上りに(e)100mm程度立ち上げて、浮きや口あきが生じないように張り付ける。

1.(a) 正
2.(b) 500
3.(c) 2
4.(d) 出隅
5.(e) 150
(解答)

 2

立上がり際の風による負圧は平場の一般部より大きくなるため、立上がり際の幅500mm程度は、防水層の1層目に粘着層付改質アスファルトシートを張り付ける。

2.セメントモルタルによるタイル張りにおいて、まぐさ、庇先端(a)下部など剥落のおそれが大きい箇所に(b)小口タイル以上の大きさのタイルを張る場合、径が(c)0.6mm以上のなまし(d)鉄線を剥落防止用引金物として張付けモルタルに塗り込み、必要に応じて、受木を添えて(e)24時間以上支持する。

1.(a) 見付
2.(b) モザイク
3.(c) 0.4
4.(d) ステンレス
5.(e) 72
(解答)

 4

まぐさ及び庇先端下部に小口タイル以上の大きさのタイルを張る場合は、径が0.6mm以上のなましステンレス鋼線をモルタルに塗り込み、必要に応じて、受け木を添えて24時間以上支持する。(建築工事監理指針)

3.長尺金属板葺の下葺のアスファルトルーフィングは軒先と(a)平行に敷き込み、軒先から順次棟へ向かって張り、隣接するルーフィングとの重ね幅は、流れ方向(上下)は(b)100mm以上、長手方向(左右)は(c)150mm以上重ね合わせる。
金属板を折曲げ加工する場合、塗装又はめっき及び地肌に亀裂が生じないよう切れ目を(d)入れないで折り曲げる。金属板を小はぜ掛けとする場合は、はぜの折返し寸法と角度に注意し、小はぜ内に 3~6mm程度の隙間を設けて毛細管現象による(e)雨水の浸入を防ぐようにする。

1.(a) 垂直
2.(b) 200
3.(c) 200
4.(d) 入れて
5.(e) 風
(解答)

 3

長尺金属板葺の下葺のアスファルトルーフィングは軒先と平行に敷き込み、軒先から順次棟へ向かって張り、隣接するルーフィングとの重ね幅は、流れ方向(上下)は100mm以上、長手方向(左右)は200mm以上重ね合わせる。

長尺金属板を現場等で折り曲げる場合は、地肌に亀裂が生じないように十分曲げ半径を取り、切れ目を入れずに塗装、めっきを行う。(建築工事監理指針)

図13.2.7_下葺材の施工例

図13.2.8_下葺材の施工例(粘着層による仮留め例)

※建築工事監理指針 13章2節 長尺金属板葺より

4.内装の床張物下地をセルフレベリング材塗りとする場合、(a)度を一定に練り上げたセルフレべリング材を、レベルに合わせて流し込む。流し込み中はできる限り通風を(b)良くして作業を行う。施工後の養生期間は、常温で (c)日以上、冬期間は (d)14日以上とし、施工場所の気温が (e) 5°C以下の場合は施工しない。

1.(a) 硬
2.(b) 避けて
3.(c) 3
4.(d) 28
5.(e) 3
(解答)

 2

セルフレベリング材が硬化する前に風が当たると、表層部分だけが動いて硬化後にしわが発生する場合がある。したがって、流し込み作業中はできる限り通風をなくして、施工後もセルフレベリング材が硬化するまでは、はなはだしい通風は避ける。(建築工事監理指針)

5.PCカーテンウォールの (a)ファスナー方式には、ロッキング方式、スウェイ方式がある。
ロッキング方式はPCパネルを (b)回転させることにより、また、スウェイ方式は上部、下部ファスナーの (c)両方をルーズホールなどで (d)滑らせることにより、PCカーテンウォールを(e)層間変位に追従させるものである。

1.(a) 取付
2.(b) 滑らせる
3.(c) どちらか
4.(d) 回転させる
5.(e) 地震
(解答)

 3

ロッキング方式はPCパネルを回転させることにより、また、スウェイ方式は上部、下部ファスナーのどちらかをルーズホールなどで滑らせることにより、PCカーテンウォールを層間変位に追従させるものである。

6.塗装工事における研磨紙ずりは、素地の汚れや錆、下地に付着している(a)塵埃を取り除いて素地や下地を(b)粗面にし、かつ、次工程で適用する塗装材料の (c) 付着性を確保するための足掛かりをつくり、(d) 仕上りを良くするために行う。
研磨紙ずりは、下層塗膜が十分 (e)乾燥した後に行い、塗膜を過度に研がないようにする。

1.(a) 油分
2.(b) 平滑
3.(c) 作業
4.(d) 回転させる
5.(e) 硬化
(解答)

 2

塗装工事における研磨紙ずりは、素地の汚れや錆、下地に付着している塵埃を取り除いて素地や下地を平滑にし、かつ、次工程で適用する塗装材料の付着性を確保するための足掛かりをつくり、仕上りを良くするために行う。(JASS18)

7.居室の壁紙施工において、壁紙及び壁紙施工用(a)でん粉系接着剤の(b)ホルムアルデヒド放散量は、一般に、F(c)☆☆☆☆としている。また、防火材の認定の表示は防火製品表示 (d)ラベルを1区分(1室)ごとに(e)枚以上張り付けて表示する。

1.(a) 溶剤
2.(b) シンナー
3.(c) ☆☆☆
4.(d) シール
5.(e) 2
(解答)

 5

昭和44年、当時の建設省住宅指導課長通達の「現場施工後の防火材料の表示については各室又はこれに準ずる用途上の区分ごとに少なくとも2カ所以上に表示マークを付すること。」に基づき行われている。

8.コンクリート打放し仕上げ外壁のひび割れ部の改修における樹脂注入工法は、外壁のひび割れ幅が0.2mm以上 (a) 2.0mm以下の場合に主に適用され、シール工法や(b)Uカットシール材充填工法に比べ(c)耐久性が期待できる工法である。
挙動のあるひび割れ部の注入に用いるエポキシ樹脂の種類は、(d) 質形とし、粘性による区分が(e) 粘度形又は中粘度形とする。

1.(a) 1.0
2.(b) V
3.(c) 耐水
4.(d) 硬
5.(e) 高
(解答)

 1

樹脂注入工法は、ひび割れ幅が0.2mm以上 1.0mm以下の場合に主に適用される。