令和7年度
1級建築施工管理技術検定
第二次検定問題
令和7年10月19日(日)
[ 注意事項 ]
1.ページ数は,表紙を入れて16ページです。
2.試験時間,13時から16時です。
3.解答用紙は,別紙(両面)になっています。
4.試験問題は,6問題です。
5.問題1から問題4は,記述式です。
解答は,解答用紙の定められた範囲内に,[HB]の黒鉛筆か黒シャープペンシルで記入してください。
6.問題5及び問題6は,五肢択一式です。正解と思う肢の番号を1つ選んでください。
解答の記入に当たっては,次によってください。
イ.解答は、選んだ番号を右のマークの塗りつぶし例に従って,[HB]の黒鉛筆か黒シャープペンシルで塗りつぶしてください。
ボールペン,サインペン,色鉛筆等では採点されません。
ロ.マークを訂正する場合は,消しゴムできれいに消して訂正してください。
7.解答用紙は,雑書きしたり,汚したり,折り曲げたりしないでください。
8.この問題用紙は,計算等に使用しても差し支えありません。
9.漢字に付したふりがなは補足であり,異なる読み方の場合があります。
10.この問題用紙は,試験終了時刻まで在席した場合に限り,持ち帰りを認めます。
途中退席する場合は,持ち帰りできません。
問題1
建築工事の施工者は,設計図書等により工事目的物に要求される品質を把握し,品質管理を的確に行うことが求められる。
建築工事の現場を管理していくうえでのあなたの考えについて,今日までの経験を踏まえ,次の1.及び2.の問いに答えなさい。
なお,建築工事には,建築設備工事は含まれないものとする。
1.右の工事概要に示す事務所ビル新築工事で行われる工種又は作業において,あなたが統括的な施工の技術上の管理を求められる立場として工事を担当するうえで,品質管理上特に重点を置くべきと考える項目を3つあげ,それぞれ次の①から③について具体的に記述しなさい。
ただし,3つの項目の②及び③はすべて異なる内容を記述するものとする。
なお,工事概要に示す工事において,各作業は一般的な手順に従って施工されるものとし,施工上必要としない工事及び作業に関する内容についての記述は不可とする。
(表中「〇+△+□」は,〇下地のうえ△面に□仕上げ等,下地と表面仕上げの関係を示す。)
(EP:合成樹脂エマルションペイント,SOP:合成樹脂調合ペイント)
工事名 :事務所ビル新築工事
主要構造:鉄骨構造 地上7階建て 塔屋1階
工 期:2025年2月から2026年9月
主要用途:事務所
用途地域:商業地域 15m道路隣接
屋上工作物
設備基礎:コンクリート立上り基礎
外周部 :目隠しルーバー
面 積
敷地面積: 1,110.0m2
建築面積: 800.0m2
延べ面積: 5,720.0m2
最高高さ : 30.5m
階 高 : 3.8m
エレベーター:乗用 11人乗り 2台主な構造仕様
根切深さ:設計GL-3.0m
地下水位深さ:設計GL-3.6m
山留め:鋼矢板(シートパイル)壁工法
基 礎:既製コンクリート杭(PHC杭)
構造部材
柱:角形鋼管,梁:H形鋼
床:合成デッキスラブ
耐火被覆:耐火材巻付け工法主な外部仕上げ
屋上:陸屋根
アスファルト保護断熱防水
アルミ製笠木,ステンレス製丸環
外 壁
主な外壁:押出成形セメント板+フッ素樹脂塗装
目地:変成シリコーン系シーリング
断熱:内断熱工法現場発泡断熱材吹付け
建 具
エントランス:ステンレス製自動扉
強化ガラス+飛散防止フィルム共
窓:アルミ製サッシ,複層ガラス共
一部排煙窓主な内部仕上げ
(天井高さ2.9m壁及び天井の下地はすべて軽量鉄骨とする。)
床
事務室
コンクリート直均し+セルフレベリング
+防塵塗装+OAフロア+タイルカーペット
廊下
モルタル下地+タイルカーペット
給湯室
モルタル下地+長尺ビニル床シート
階段室
モルタル下地+タイルカーペット,
ステンレス製ノンスリップ
エントランスホール
モルタル下地
+花崗岩ジェットバーナー仕上げ
壁
事務室
せっこうボード+EP塗装
廊下
けい酸カルシウム板+化粧シート
給湯室、階段室
せっこうボード+EP塗装
エントランスホール
けい酸カルシウム板
+ボーダータイル
天井
事務室・廊下・給湯室
せっこうボード
+ロックウール化粧吸音板
階段室
鉄骨階段現し+SOP塗装
エントランスホール
アルミスパンドレル
その他
事務室
一部可動間仕切りパネル
給湯室
流し台,吊戸棚
化粧室
トイレブース主な外構仕様
構内舗装
駐車場
アスファルト舗装 普通車8台
アプローチ
インターロッキング舗装
囲障他
敷地境界
アルミ製化粧フェンス
中木,低木混栽
① 工種名又は作業名等
② 特に重点を置くべきと考える品質管理項目及びその品質管理項目について重点を置くべきと考える理由
③ ②の品質管理項目を管理していくうえで実施すべき内容
解答試案
②と③が異なる内容との条件文があるので、①工種は同じでもよい。
解答例1)
① 工種名又は作業名等:杭工事
② 品質管理項目:支持層の確認
理由:
杭が支持層まで到達していないと、建物自体の地耐力を満足できなくなり、要求品質を満たせなくなるため。
③ 実施すべき内容:
掘削深度と土質柱状図の比較して、所定の深さまでの掘削が進行しているか、電流値を合わせて確認し、かつ、支持層から採取した土と土質サンプルとが、ほぼ同じであることを確認する。
(解説)
問題文に既製コンクリート杭(PHC杭)とあるが、遠心力高強度プレストレストコンクリート杭のことである。工法には、打込み工法、セメントミルク工法及び特定埋め込み杭工法があるが、ここでは、工法までは指定されていないので、どの工法で記入してもよいものと考えれる。
プレボーリング値固め工法(セメントミルク工法)の品質管理の内容を記載している。
解答例2)
① 工種名又は作業名等:鉄骨工事
② 品質管理項目:柱の倒れ管理(鉄骨建て方精度管理)
理由:
倒れが大きいと、構造体に偏心荷重による曲げ応力が付加され、また、外装材のファスナー調整代を超えると、外装材の適正な取付けが困難になるため。
③ 実施すべき内容:
柱1節ごとにトランシットを用いて柱の建て方精度検査を行い、倒れが高さの1/1000かつ10mm以下であることを確認し、超えている場合は建入れ直しを行う。
解答例3)
① 工種名又は作業名等:鉄骨工事
② 品質管理項目:トルシア形高力ボルト本締め管理
理由:
高力ボルト摩擦接合は、ボルト軸力から生じる板間摩擦力によって荷重を伝達することから、摩擦面の状態確認と適正軸力を導入する本締め管理が重要であるため。
③ 実施すべき内容:
摩擦面処理粗度 50μmRz以上であることを、表面粗さ見本と比較確認し、本締めでは、ピンテール破断、軸・共回りがないこと、ボルト余長、回転角の検査を全数行う。
2.右に示す工事概要の建築工事に係わらず,現場で行う組織的な品質管理活動について,次の①及び②を具体的に記述しなさい。
ただし,1.の③と同じ内容の記述は不可とする。
① 品質管理活動の内容及びそれを協力会社等に伝達する手段又は方法
② ①の品質管理活動によってもたらされる良い影響
解答試案
①内容:
工事の着手前に関連する協力会社を交えて会議を行い、施工計画書を作成し工事監理者の承認を得る。
手段又は方法:
毎朝の朝礼後に当該工事の関連業者を交えてミーティングを行い、承認済み施工計画書の内容を再確認してから工事に着手する、
②良い影響:
施工計画書の承認により、作業所、専門業者、工事監理者(よって、設計者及び建築主)の間で情報を共有できるので関係者すべての満足のいくものとなる。
