令和7年1級建築施工管理技士 二次検定 問題1 解答速報

令和7年度
1級建築施工管理技術検定
第二次検定問題
令和7年10月19日(日)

[ 注意事項 ]

1.ページ数は,表紙を入れて16ページです。
2.試験時間,13時から16時です。
3.解答用紙は,別紙(両面)になっています。
4.試験問題は,6問題です。
5.問題1から問題4は,記述式です。
解答は,解答用紙の定められた範囲内に,[HB]の黒鉛筆黒シャープペンシルで記入してください。
6.問題5及び問題6は,五肢択一式です。正解と思う肢の番号を1つ選んでください。
解答の記入に当たっては,次によってください。
イ.解答は、選んだ番号を右のマークの塗りつぶし例に従って,[HB]の黒鉛筆か黒シャープペンシルで塗りつぶしてください。
ボールペン,サインペン,色鉛筆等では採点されません。
ロ.マークを訂正する場合は,消しゴムできれいに消して訂正してください。
7.解答用紙は,雑書きしたり,汚したり,折り曲げたりしないでください。
8.この問題用紙は,計算等に使用しても差し支えありません。
9.漢字に付したふりがなは補足であり,異なる読み方の場合があります。
10.この問題用紙は,試験終了時刻まで在席した場合に限り,持ち帰りを認めます。
途中退席する場合は,持ち帰りできません。

問題1
建築工事の施工者は,設計図書等により工事目的物に要求される品質を把握し,品質管理を的確に行うことが求められる。
建築工事の現場を管理していくうえでのあなたの考えについて,今日までの経験を踏まえ,次の1.及び2.の問いに答えなさい。
なお,建築工事には,建築設備工事は含まれないものとする。

1.右の工事概要に示す事務所ビル新築工事で行われる工種又は作業において,あなたが統括的な施工の技術上の管理を求められる立場として工事を担当するうえで,品質管理上特に重点を置くべきと考える項目を3つあげ,それぞれ次の①から③について具体的に記述しなさい。

ただし,3つの項目の②及び③はすべて異なる内容を記述するものとする。

なお,工事概要に示す工事において,各作業は一般的な手順に従って施工されるものとし,施工上必要としない工事及び作業に関する内容についての記述は不可とする。

工事概要
(表中「〇+△+□」は,〇下地のうえ△面に□仕上げ等,下地と表面仕上げの関係を示す。)
(EP:合成樹脂エマルションペイント,SOP:合成樹脂調合ペイント)
工事名 :事務所ビル新築工事
主要構造:鉄骨構造 地上7階建て 塔屋1階
工  期:2025年2月から2026年9月
主要用途:事務所
用途地域:商業地域 15m道路隣接
屋上工作物
 設備基礎:コンクリート立上り基礎
 外周部 :目隠しルーバー
面  積
 敷地面積: 1,110.0m2
 建築面積:  800.0m2
 延べ面積: 5,720.0m2
最高高さ : 30.5m
階  高 :  3.8m
エレベーター:乗用 11人乗り 2台主な構造仕様
根切深さ:設計GL-3.0m
地下水位深さ:設計GL-3.6m
山留め:鋼矢板(シートパイル)壁工法
基 礎:既製コンクリート杭(PHC杭)
構造部材
 柱:角形鋼管,梁:H形鋼
 床:合成デッキスラブ
耐火被覆:耐火材巻付け工法主な外部仕上げ
屋上:陸屋根
 アスファルト保護断熱防水
 アルミ製笠木,ステンレス製丸環
外 壁
 主な外壁:押出成形セメント板+フッ素樹脂塗装
 目地:変成シリコーン系シーリング
 断熱:内断熱工法現場発泡断熱材吹付け
建 具
 エントランス:ステンレス製自動扉
  強化ガラス+飛散防止フィルム共
 窓:アルミ製サッシ,複層ガラス共
  一部排煙窓主な内部仕上げ
(天井高さ2.9m壁及び天井の下地はすべて軽量鉄骨とする。)

 事務室
  コンクリート直均し+セルフレベリング
  +防塵塗装+OAフロア+タイルカーペット
 廊下
  モルタル下地+タイルカーペット
 給湯室
 モルタル下地+長尺ビニル床シート
 階段室
  モルタル下地+タイルカーペット,
  ステンレス製ノンスリップ
 エントランスホール
  モルタル下地
  +花崗岩ジェットバーナー仕上げ

 事務室
  せっこうボード+EP塗装
 廊下
  けい酸カルシウム板+化粧シート
 給湯室、階段室
  せっこうボード+EP塗装
 エントランスホール
  けい酸カルシウム板
  +ボーダータイル
天井
 事務室・廊下・給湯室
  せっこうボード
  +ロックウール化粧吸音板
 階段室
  鉄骨階段現し+SOP塗装
 エントランスホール
  アルミスパンドレル
その他
 事務室
  一部可動間仕切りパネル
 給湯室
  流し台,吊戸棚
 化粧室
  トイレブース主な外構仕様
構内舗装
 駐車場
  アスファルト舗装 普通車8台
 アプローチ
  インターロッキング舗装
囲障他
 敷地境界
  アルミ製化粧フェンス
  中木,低木混栽

 

工種名又は作業名等

② 特に重点を置くべきと考える品質管理項目及びその品質管理項目について重点を置くべきと考える理由

③ ②の品質管理項目を管理していくうえで実施すべき内容

 

解答試案

②と③が異なる内容との条件文があるので、①工種は同じでもよい。

解答例1)
① 工種名又は作業名等:杭工事

② 品質管理項目:支持層の確認
理由:
杭が支持層まで到達していないと、建物自体の地耐力を満足できなくなり、要求品質を満たせなくなるため。

③ 実施すべき内容:
掘削深度と土質柱状図の比較して、所定の深さまでの掘削が進行しているか、電流値を合わせて確認し、かつ、支持層から採取した土と土質サンプルとが、ほぼ同じであることを確認する。

(解説)
問題文に既製コンクリート杭(PHC杭)とあるが、遠心力高強度プレストレストコンクリート杭のことである。工法には、打込み工法、セメントミルク工法及び特定埋め込み杭工法があるが、ここでは、工法までは指定されていないので、どの工法で記入してもよいものと考えれる。
プレボーリング値固め工法(セメントミルク工法)の品質管理の内容を記載している。

解答例2)
① 工種名又は作業名等:鉄骨工事

② 品質管理項目:柱の倒れ管理(鉄骨建て方精度管理)
理由:
倒れが大きいと、構造体に偏心荷重による曲げ応力が付加され、また、外装材のファスナー調整代を超えると、外装材の適正な取付けが困難になるため。

③ 実施すべき内容:
柱1節ごとにトランシットを用いて柱の建て方精度検査を行い、倒れが高さの1/1000かつ10mm以下であることを確認し、超えている場合は建入れ直しを行う。

解答例3)
① 工種名又は作業名等:鉄骨工事

② 品質管理項目:トルシア形高力ボルト本締め管理
理由:
高力ボルト摩擦接合は、ボルト軸力から生じる板間摩擦力によって荷重を伝達することから、摩擦面の状態確認と適正軸力を導入する本締め管理が重要であるため。
③ 実施すべき内容:
摩擦面処理粗度 50μmRz以上であることを、表面粗さ見本と比較確認し、本締めでは、ピンテール破断、軸・共回りがないこと、ボルト余長、回転角の検査を全数行う。

2.右に示す工事概要の建築工事に係わらず,現場で行う組織的な品質管理活動について,次の①及び②を具体的に記述しなさい。
ただし,1.の③と同じ内容の記述は不可とする。

① 品質管理活動の内容及びそれを協力会社等に伝達する手段又は方法

② ①の品質管理活動によってもたらされる良い影響

 

解答試案

内容
工事の着手前に関連する協力会社を交えて会議を行い、施工計画書を作成し工事監理者の承認を得る。
手段又は方法:
毎朝の朝礼後に当該工事の関連業者を交えてミーティングを行い、承認済み施工計画書の内容を再確認してから工事に着手する、

良い影響:
施工計画書の承認により、作業所、専門業者、工事監理者(よって、設計者及び建築主)の間で情報を共有できるので関係者すべての満足のいくものとなる。

1週間でできる攻略法 問題1 品質管理 経験記述

問題1の攻略

令和7年は、品質管理の問題が出題されると想定されます。
建築概要は、昨年より課題文により与えられているので、
本年も同様の形式が与えられるものと考えられます。

よって、記述内容は一昨年までの過去形の記述「〜した」
から、現在形の記述「〜する。」や「〜と考える。」
とすること。

品質管理の記述問題では、
①「工 種

②「要求される品質」又は「要求品質」(←同じ内容)

③「重点品質管理目標」及び「品質管理目標

④「品質管理項目

⑤「実施した内容」及び「施工上の留意事項

④’上記、それらを「設定した理由」などの記述
が求めらる場合があります。

これらの記述は、
上へいく程、抽象度が高いもので、
下へいく程、より具体的な内容となっています。

まず、①「工種」は
鉄筋工事、コンクリート工事、防水工事など
工事名称を記入する。

②「要求される品質」又は「要求品質
は、設計図に記載されている建物を担保するために要求される品質のこと。
・鉄筋コンクリートの耐久性
・コンクリート強度
・ひび割れの防止
・屋根の防水性能
・外壁の防水性能
・漏水の防止
・仕上精度
など

③「重点品質管理目標」及び「品質管理目標
は、上記②(「要求される品質」又は「要求品質」)を達成するため
特に重点的に管理が必要なものを特定し、具体的な目標を定めます。

例えば、
要求品質:外壁の防水性能
としたときは、
重点品質管理目標は、
「外壁のコールドジョイントの発生ゼロ」
「外壁のひび割れを抑える」
などが考えらます。

④「品質管理項目」とは、
実際の施工中に管理する項目を定めたもののこと。

例えば、
重点品質管理目標
「外壁のコールドジョイントの発生ゼロ」
に対しては、
「打設中のコンクリート打重ね時間間隔の管理」
など

④’の「設定した理由」を求めらた場合は、

例えば、上記例に対しては、
「打設中のコンクリート打重ね時間間隔が長いと、コールドジョイントが発生し、そこからの漏水は外壁性能に大きく影響するため。」
など

⑤「実施した内容」及び「施工上の留意事項」は

例えば、上記例に対しては、
「コンクリートの打込み継続中の打重ね時間間隔(外気温25℃未満で150分以内、25℃以上で120分以内)を厳守する。打重ねが発生した部分に関しては、打重ねまでの時間を記録、管理することに留意する。

問題2の攻略

① 協力会社等へ周知するための方法・手段
「協力会社等へ周知するための方法・手段」は、事前検討会、事前説明会、作業前ミーティング、日例打ち合わせなどの手段などを具体的に記述する。

②確認するための手段・方法
「確認するための手段・方法」はプロセス確認、チェックリスト、自主検査内容の確認、検査等を記述する。
※ 自主検査は、誰がどのタイミングで行うのかを明記する。
元請けが行う検査、協力会社が行う検査とを区別する。

③組織的な品質管理活動
「組織的な品質管理活動」は、品質管理のPDCA(計画・実施・確認・処置)を設計者、工事監理者、店社の関連部門などとシステム的に実施した内容を記述する。

【 具体例 】
・各種検討会:設計説明会、施工計画検討会、設計図書検討会など
・各種検査指導:社内検査、下地確認会、工事指導など
・施工後の反省会、フィードバック会、見直し会など

④組織的な品質管理活動による効果
「組織的な品質管理活動による効果」は、作業所内での効果や他作業所も含めた全社的な効果を記述する。

【 具体例 】
・品質の平準化や不具合予防が図られたこと
・品質を確保した状態で次工程へ移れたこと
・好事例などが展開されることにより、品質管理活動が合理化されたこと
・発注者の信頼を得ることができたこと

過去問題と解答試案
令和5年  令和3年  令和元年

平成28年  平成26年  平成23年

令和6年1級建築施工管理技士 二次検定 問題1 解答解説

令和6年 1級建築施工管理技士 二次 解答解説 問題1

問題1
持続可能な建設業を目指して,働き方改革を推進すべく様々な取組が官民一体となって続けられている昨今,建築工事の現場を管理していく上でのあなたの考えについて,次の1.及び2.の問いに答えなさい。

1.右に示す工事概要の建築工事において,あなたが建設現場における統括的な施工の技術上の管理を求められる立場として,機能,性能等の要求された品質を確保しながら適正,かつ,合理的に進める上で,有効と考える現場作業の軽減策3つ提案し,それぞれ次の①から③について具体的に記述しなさい。

ただし,3つの提案の②及び③はすべて異なる内容を記述するものとする。
なお,次の記述は不可とする。

・工事概要に示す工事において施工上必要としない工事及び作業に関する内容
・計画変更確認申請が必要となる内容
・竣工引渡し時期の遅れに繋がる内容
・工程の短縮は図れるが現場作業の軽減には繋がらない内容
・建築設備工事に関する内容

工事概要
(表中「○+△+□」は○下地の上△面に□仕上げ等,下地と表面仕上げの関係を示す。)
工事名  共同住宅新築工事
主要用途 共同住宅52戸
用途地域 住居地域、6m道路隣接
面  積
敷地面積  2,350.00m2
建築面積  758.85m2
延床面積  4,950.60m2
工  期 2024年1月~2025年6月
主要構造 鉄筋コンクリート構造、地上7階建て
最高高さ 23.25m
階  高 1~4階 3.3m,5~7階 3.0m
エレベーター 乗用8人乗り1台
───────────────────────────────
主な構造仕様
根切深さ 2.5m
山留め  親杭横矢板工法
地 業  現場造成杭(アースドリル工法)
コンクリート 普通コンクリート
型 枠  コンクリート型枠用合板
支保工:パイプサポート
鉄 筋  工場加工,現場組立て
柱,梁主筋:ガス圧接継手
───────────────────────────────
主な外部仕上げ
屋 根
陸屋根:アスファルト露出断熱防水
アルミ製笠木
外 壁
主な外壁:コンクリート打放し+ 防水形複層塗材
断 熱 :内断熱工法 現場発泡断熱材吹付け
手すり壁
バルコニー:アルミ製既製品 H =1.2m
外部廊下 :コンクリート打放し + 防水形複層塗材
外部階段 :コンクリート打放し + 防水形複層塗材
:ステンレス製壁付手すり

バルコニー:モルタル下地 + ウレタン系塗膜防水
外部廊下 :コンクリート直均し + ビニル床シート
外部階段 :モルタル下地 + ビニル床シート
建 具
風除室:ステンレス製オートロック式自動扉
強化ガラス共
玄 関:化粧シート張り鋼製扉
窓  :アルミ製サッシ
1~2階網入りガラス共
3~7階フロートガラス共
───────────────────────────────
主な内部仕上げ
(居室,水廻り:天井高さ2.4m,風除室:天井高さ2.5m)

居室 :コンクリート直均し+ 乾式二重床 + フローリングボード
水廻り:コンクリート直均し+ 乾式二重床 + 耐水合板 + ビニル床シート
風除室:モルタル下地 + ノンスリップタイル

居室 :軽量鉄骨下地 + せっこうボード+ビニルクロス
水廻り:軽量鉄骨下地 + シージングせっこうボード+ビニルクロス
風除室:モルタル下地 + 有機系接着剤による小口タイル
天井
居室,水廻り:軽量鉄骨下地 + せっこうボード+ビニルクロス
風除室:軽量鉄骨下地 + アルミスパンドレル
建具他
居室:化粧シート張り木製扉 枠共
水廻り:ユニットバス,洗面化粧台,システムキッチン
風除室:集合郵便受け,インターホンパネル
───────────────────────────────
主な外構仕様
構内舗装
駐車場:アスファルト舗装
駐輪場:コンクリート舗装
アプローチ:インターロッキング舗装
囲 障:化粧フェンス
駐車場入口:レール式門扉
植栽
敷地境界:中木,低木混栽

① 工種名又は作業名等

② あなたが考える有効な現場作業の軽減策とそれが現場作業の軽減に繋がる理由

③ ②の実施に当たって確保すべき品質とそのための軽減策における施工上の留意事項

解答試案

品質を確保しながら進める合理化の問題である。

※工事概要に記載された工事内容に注意して事例を記載する。

特に、設計図書と変更になるような合理化は不可である。

特定行政庁により、設計変更になるか、軽微変更になるかの判断がわかれる場合があるので、軽微な内容であっても注意が必要である。

事例1)

① 工種名等:鉄筋工事

② 軽減策と軽減に繋がる理由:

鉄筋工事において、梁鉄筋先組工法を採用する。躯体工事の工程短縮と品質確保、及び、現場作業が軽減できるため。

③施工上の留意事項:

梁鉄筋先組工法は、柱梁の仕口部分の鉄筋定着が及び補強筋の施工が困難になる場合があるので、事前に各種配筋の位置、所定の長さ、位置等で確実に定着されていることに留意する。

事例2)

① 工種名等:木工事(内部間仕切り壁下地)

② 軽減策と軽減に繋がる理由:

内部間仕切り壁下地に、パネル枠(壁の長さ、高さに合わせた材木枠内に胴縁を組み込んだもの)を採用した。

工場内生産品の間仕切りを取り付けるだけなので、造作大工の手間が省略_化でき、仕上げ工事の工期短縮ができるため。

③ 施工上の留意事項:

躯体精度のばらつきが悪いとよけいに手間がかかるので、躯体精度の品質管理には十分に注意して施工する。

事例3)

① 工種名等:コンクリート工事

② 軽減策と軽減に繋がる理由:

最上階屋根パラペットのプレキャストコンクリート化を行う。予め工場にて製作することにより、現場での配筋工程を大幅削減することができる。

③ 施工上の留意事項:

屋根スラブには水勾配があるので、かぶり厚さを確保するため、パラペットの部位によって鉄筋の差筋に注意する。

事例4)

① 工種名等:型枠工事、鉄筋工事

② 軽減策と軽減に繋がる理由:

トラス筋付きデッキプレート工法は、デッキプレートとトラス筋が一体となっているので、コンクリート打設時には型枠として、硬化後にはトラス筋がスラブ主筋となる構造であり、型枠工事と鉄筋工事を同時に施工できるので合理化となる。

③ 施工上の留意事項:

デッキプレートの梁等への掛り代は所定の長さを確保し、床開口の大きさ、補強等はメーカーの仕様に従って行う。

2.建設業における働き方改革の課題の1つとして,建設現場における時間外労働が挙げられる。右に示す工事概要の建築工事に係わらず,あなたの今日までの経験を踏まえて,建築工事の施工に従事する者の時間外労働の現状に関して,次の①及び②について具体的に記述しなさい。
ただし、1.の②と同じ内容の記述は不可とする。

① これまでの建設現場における施工や工程,管理等の業務において,施工に従事する者の時間外労働を増長させていた要因とそれが時間外労働の増長に繋がっていた理由

② ①の対策として,あなたが有効と考える建設現場における組織としての取組や工夫

解答試案

① 建設現場において、施工方法や手順が徹底されいていないと、その確認のために何度も手戻りすることになり、労働時間の増長につかがる要因となる。

②各工種又は作業について、できるだけ早い段階で関連する作業員を交えて問題点や留意点などを挙げて施工計画を立案し、その施工方法や手順を徹底し、手戻りによる確認作業をなくす。

平成24年1級建築施工管理技士 実地検定 問題1 解答解説

平成24年度 1級建築施工管理技術検定 実地 問題1


問題1

建築工事においては、資源循環の推進や建設副産物対策などの環境負荷の低減に向けた取り組みが行われている。

あなたが経験した建築工事のうち、施工にあたり建設副産物の発生抑制、再使用、再生利用、 熱回収、適正処分などの対策について、施工計画の段階から検討し、実施した工事を1つ選び、 下記の工事概要を具体的に記入した上で、次の問いに答えなさい。

なお、建築工事とは、建築基準法に定める建築物に係る工事とする。ただし、建築設備工事を除く。

[ 工事概要 ]
イ.工 事 名
ロ.工 事 場 所
ハ.工事の内容
新築等の場合:建物用途、構造、階数、
延べ面積又は施工数量、
主な外部仕上げ、
主要室の内部仕上げ
改修等の場合:建物用途、主な改修内容、
施工数量又は建物規模
ニ.工 期 (年号又は西暦で年月まで記入)
ホ.あなたの立場

1. 工事概要であげた工事において実施した、発生抑制再使用再生利用熱回収適正処分の 建設副産物対策から、異なる対策を 3 つ選び、それぞれ次の1から4の事項について、具体的に記述しなさい。

ただし、「実施した内容」はそれぞれ異なる内容の記述とする。

①選んだ建設副産物対策
②工種名
③実施した内容
④結果とあなたの評価

解答例

1)建設副産物対策1

選んだ建設副産物対策:発生抑制

工種名:内装工事

実施した内容

搬入材料は梱包材(包装材、ダンボール等)を減らしたものを選定し、パレット等による搬入を実施した。

結果と評価:現場搬入材の選定及び無梱包を指導・促進したことにより、建設副産物を大幅に減らすことができ、産業廃棄物処理費を大幅に削減できた。

2)建設副産物対策2

選んだ建設副産物対策:再使用

工種名:型枠工事

実施した内容

合板型枠について、規格、寸法を統一し、小ばらしにならないように解体、補修を行い再使用した。また、使用した型枠材は表面をケレンし、外構工事の基礎部分に再使用した。

結果と評価

型枠工事の省力化ができ、廃材が減少し、材料費の抑制につながり、建設廃棄物の資材の再使用が図られた。

3)建設副産物対策3

選んだ建設副産物対策:再生利用

工種名:基礎工事、杭工事

実施した内容

コンクリートの破片(ガラ)及び現場内の地中障害物を撤去した際に発生したコンクリート破片(ガラ)、また現場造成杭の上部のコンクリート破片(ガラ)等を現場内でクラッシャーで砕き、軟弱な場内仮設道路の舗装に使用した。

結果と評価

場内仮設道路を設置するために、軟弱地盤を改良しなければならなかったところをクラッシャランで代用することができ、地盤改良費、場外処分費のコストダウンにつながった。

4)建設副産物対策4

選んだ建設副産物対策:熱回収

工種名:型枠工事

実施した内容

再使用できなくなった型枠用木材・木くずの中で、チップ化できない廃材を分別して、燃料として燃料化施設へ持ち込んだ。

結果と評価

産業廃棄物の発生が抑制され、再度燃料として利用することにより、循環型社会に貢献できた。

5)建設副産物対策5

選んだ建設副産物対策:適正処分

工種名:全工種

実施した内容

養生シート、繊維くずなどは、産業廃棄物管理表(マニュフェスト)による廃棄物の管理方法によって産業廃棄物の運搬、処分を業とする者に委託した。ウエス、手袋、ハケ類など消耗品は焼却し管理型最終処分場に埋めた。

結果と評価

返送されたE票で適正な処分がされたことを確認した。また焼却灰を適正に処分して、環境汚染を防止できた。

2.工事概要であげた工事にかかわらず、あなたの今日までの工事経験に照らして、地球環境保全 のため建築工事現場においてどのような取り組みを行うべきか、次の2つの環境問題から 2 つを 選び、具体的に記述しなさい。

ただし、 1.の「実施した内容」と重複しないこと。

[ 環境問題 ]
・ 地球温暖化
・ 熱帯林の減少
・ 水質汚染

解答例

1)地球温暖化

・現場従業員の個人の車での通勤を禁止し、マイクロバスか公共交通期間での通勤とする。

・工期を厳守し、時間外作業はできるだけ行わず、夜間の仮設伝統・電力の使用は避ける。

・アスファルト防水からシート防水に変更して熱加工を排除した。

2)熱帯林の減少

・できる限り木製型枠を使用せず、メタルフォーム等を用いる。

・可能な限り、プレキャスト化を図り、現場での型枠の使用量を少なくする。

・床型枠に合板型枠を使用せず、フラットデッキを使用する。

・基礎、地中梁は合板に替えてメッシュ型枠とする。

3)水質汚染

・工事現場で発生する排水は、沈砂槽を用いて沈殿・ろ過させ、上澄水のみ下水に放流する。

・地下工事の湧水は、沈砂槽を通して、pHを確認しながら下水に放流する。

・リバース工法の泥水を脱水機にかけ、水と土砂の分離を図った。

・場所打ち杭の施工で発生する排泥水は沈砂槽で浄化してから下水へ放流することで排泥水の流出を防止する。

平成25年1級建築施工管理技士 実地検定 問題1 解答解説

平成25年度 1級建築施工管理技術検定 実地 問題1


問題1

建築工事の施工技術は、社会的・経済的環境等により変化しており、建築物の性能水準の 高い、より高度な技術による施工が求められている。その一方、建設業の就業者数の減少も大きな 課題となっており、このような中で、施工技術や合理化工法の開発など新たな取組みが行われている。

あなたが経験した建築工事のうち、品質を確保した上で施工の合理化を行った工事を1つ選び、 下記の工事概要を具体的に記入した上で、次の問いに答えなさい。

なお、建築工事とは、建築基準法に定める建築物に係る工事とする。ただし、建築設備工事を 除く。

[ 工事概要 ]
イ.工 事 名
ロ.工 事 場 所
ハ.工事の内容
新築等の場合:
建物用途、構造、階数、
延べ面積又は施工数量、
主な外部仕上、主要室の内部仕上
改修等の場合:
建物用途、
主な改修内容、施工数量又は建物規模
ニ.工 期 (年号又は西暦で年月まで記入)
ホ.あなたの立場

1. 工事概要であげた工事で、あなたが担当した工種において実施した、施工の合理化の事例を2 つあげ、次の1から4について、それぞれ具体的に記述しなさい。

ただし、2つの事例の「合理化を行った目的と実施した内容」は、それぞれ異なる内容の記述とすること。また、現在一般的に行われている躯体・仕上げ材料のプレカットに関する記述は不可とする。

① 工種又は部位等
② 合理化を行った目的と実施した内容
③ 実施した内容が合理化に結び付く理由
④ 実施した内容が品質を確保できる理由

解答例

1)事例1

① 工種又は部位等:

  鉄筋工事、型枠工事

② 合理化を行った目的と実施した内容:

躯体工事の工程短縮と品質確保のため、鉄筋工事において、梁鉄筋先組工法を採用した。また、型枠工事においては、床型枠にトラス筋付きデッキプレート工法を採用した。

③ 実施した内容が合理化に結び付く理由:

鉄筋を先組みすることにより、現場作業が軽減できるので、作業効率が上がり工期短縮につながる。また、トラス筋付きデッキプレートを使うことにより、現場での配筋作業・型枠解体作業が軽減できる。

④ 実施した内容が品質を確保できる理由:

地組で配筋できるため、施工精度を高くすることができ、各梁の配筋検査も余裕をもって行え、配筋の品質確保につながる。

2)事例2

① 工種又は部位等

 木工事(内部間仕切り壁下地)

② 合理化を行った目的と実施した内容:

仕上げ工事の工期短縮のため、内部間仕切り壁下地に、パネル枠(壁の長さ、高さに合わせた材木枠内に胴縁を組み込んだもの)を採用した。

③ 実施した内容が合理化に結び付く理由:

工場内生産品の間仕切りを取り付けるだけなので、造作大工の手間が省略_化でき、工期短縮につながる。

④ 実施した内容が品質を確保できる理由:

内部間仕切り壁の品質が均一に保たれ、作業員の技量によるばらつきがなくなるため品質が確保できる。

[ 解説 ]

設問1は工事概要であげた現場で実施した内容を順序にしたがって記述する。また、施工の合理化とは「原価を抑える」「品質を向上させる」「工程を短縮する」「安全性を高める」ために行った施工方法の変更など、施工面での工夫である。今回の問題では、プレカットに関する記述は除くとあるので、合理的な施工方法、ある程度組立てまでされる工場生産品の採用などを記述することが必要である。

2. 上記の工事概要であげた工事にかかわらず、あなたの今日までの工事経験に照らして、施工の合理化の方法であって、建設資材廃棄物の縮減に効果があると考えられる施工方法と、それが 効果的であると考える理由を具体的に記述しなさい。

ただし、現在一般的に行われている躯体・仕上げ材料のプレカットに関する記述は除くものと する。また、上記 1.の②「実施した内容」及び③「合理化に結び付く理由」と同じ内容の記述は不可とする。

解答例

①建設資材廃棄物の縮減に効果があると考えられる施工方法:

内装工事の外壁内側の仕上げについて、壁のモルタル塗りを石こうボード直張り工法に変更した。

②効果的であると考える理由:

モルタル塗りと比較して材料の搬入、現地塗りが少なくなり、資材廃棄物の縮減が図られる。また、養生期間が少なく工期短縮に有効であるとともに、砂を現場に入れないため、整然とした作業環境が実現される。

[ 解説 ]

設問2は工事概要であげた現場にかかわらず、自分の考えを記述する。

設問1にある条件「品質を確保できる理由」は求められていないがその代わりに「建設資材廃棄物の縮減に効果がある」といった条件が付いているため、建設廃棄物の発生を抑制できる施工の合理化について記述する必要がある。解答例では、壁のモルタル塗りを石こうボード直張りに変更しているが、工期短縮に効果がある。