7章 鉄骨工事 5節 普通ボルト接合

第7章 鉄骨工事

5節 普通ボルト接合
7.5.1 適用範囲
(a) 普通ボルト接合には、せん断接合、引張接合及び引張せん断接合の3種類あるが、「標仕」では,一般的に使用されるせん断接合のみ対象としている。
(b) せん断接合は、ボルト軸のせん断応力と、ボルト軸とボルト孔壁との間の支圧応カで力を伝達するため、ボルト孔とボルト軸部間の隙間のずれによる建造物の変形が避けられない。このため建築基準法施行令ではボルト接合とすることのできる鉄骨造の限度を、原則として軒の高さ9m以下で張り間が13m以下、かつ、延ベ面積3,000m2以下としている。
7.5.2 接 合
普通ボルト接合では次の事項に留意する。
(l) 孔径は、ボルトの公称軸径+0.5mm(ただし、胴縁類の取付け用ボルトの場合は+1.0mm)とする。
(2) このボルト孔径の制限は、鉄骨の実態から精度的に厳しい要求となっているので、注意する必要がある。
(3) ボルトの戻止め
建築基準法施行令では、コンクリートで埋め込む場合を除いて、ボルトが緩まないような処置をするように定めている。その方法としては、次のようなものがある。
① ナットを二重にする。
② ナットの部分を溶接する。
③ 緩み防止用特殊ナットを使用する。
なお、二重ナットを使用する場合には、下ナットを締め付けたのち、このナットをスパナで押さえたまま上ナットを別のスパナで締め付け、最後に上ナットを固定して下ナットを上ナットに対して締め付けるようにしないと、戻止めの効果が得られないので注意する(図7.5.1参照)。
図7.5.1_二重ナットの締付け.jpg
図7.5.1 二重ナットの締付け
(4) ボルトの長さは、JIS B 1180(六角ボルト)付表の呼び長さで示し、締付け長さに応じて締付け後、ナットの外側に3山以上ねじ部が出るように決める(図 7.5.2参照)。
図7.5.2_ボルトの長さ.jpg
図7.5.2 ボルトの長さ