1級建築施工管理技士 過去問 解説 H30 実地1

平成30年度 1級建築施工管理技術検定 実地 問題1

問題1
建設業においては、高度成長期に大量に建設された建築物の更新や解体工事に伴う建設副産物の発生量の増加が想定されることから、建設副産物対策への更なる取組みが求められている。 あなたが経験した建築工事のうち、施工に当たり建設副産物対策を施工計画の段階から検討し実施した工事を 1 つ選び、工事概要を具体的に記述したうえで、次の 1.及び 2.の問いに答えなさい。
なお、建築工事とは、建築基準法に定める建築物に係る工事とし、建築設備工事を除くものとする。
[ 工事概要 ]
イ.工 事 名
ロ.工 事 場 所
ハ.工事の内容
 新築等の場合:
  建物用途、構造、階数、延べ面積又は施工数量
  主な外部仕上げ、主要室の内部仕上げ
 改修等の場合:
  建物用途、建物規模、主な改修内容及び施工数量
ニ.工 期 (年号又は西暦で年月まで記入)
ホ.あなたの立場
1. 工事概要であげた工事において、あなたが実施した建設副産物対策に係る3つの事例をあげ、それぞれの事例について、次の①から④を具体的に記述しなさい。
ただし、3つの事例の③及び④はそれぞれ異なる内容の記述とする。
なお、ここでいう① 建設副産物対策は、発生抑制再使用又は再生利用とし、重複して選択してもよい。
①建設副産物対策
②工種名等
③対策として実施したことと実施に当たっての留意事項
④実施したことによって得られた副次的効果

解答試案

【 解答例】
・発生抑制
①建設副産物対策:発生抑制
②工種名等:コンクリート工事
③対策として実施したこと実施に当たっての留意事項
(実施事項)
スラブの型枠として、合板型枠工法に代えてデッキプレート型枠工法を採用した。
(留意事項)
デッキ材の梁へのかかり代は、50mmを確保するように注意した。
 
④実施したことによって得られた副次的効果
 型枠廃材の発生を抑制できたとともに、解体作業もなく、工期短縮にも有効であった。
・再使用
①建設副産物対策:再使用
②工種名等:地業工事
③対策として実施したことと実施に当たっての留意事項
(実施事項)
根切り工事で発生した良質な建設発生土については、社内で情報を共有し、他現場において埋戻し土として再使用した。
(留意事項)
混入していた産業廃棄物は取り除いて適切に処理を行った。
④実施したことによって得られた副次的効果
建設副産物を有効に再使用できたとともに、処分費用を大幅に縮減することができた。
再生利用
①建設副産物対策:再生利用
②工種名等:外構工事
③対策として実施したことと実施に当たっての留意事項
(実施事項)
場所打ちコンクリート杭の杭頭処理で発生したコンクリートがらを、現場にてクラッシャー処理を行い敷地内通路の路盤材として再利用した。
(留意事項)
本設の利用にあたっては、工事監理者の承諾を得た。
④実施したことによって得られた副次的効果
産業廃棄物となるコンクリートがらの再利用ができたとともに、敷地内通路の材料費も縮減できた。

2. 工事概要であげた工事にかかわらず、あなたの今日までの工事経験に照らして、1.で記述した内容以外の建設副産物対策として、建設廃棄物の適正な処理の事例を2つあげ、対策として実施したことと、それらを適切に実施するための留意事項を具体的に記述しなさい。
ただし、2つの事例は異なる内容の記述とする。

解答試案

【 解答例】
適正処理1)
全工種において、養生シート、繊維くずなどは、産業廃棄物管理表(マニュフェスト)による廃棄物の管理方法によって産業廃棄物の運搬、処分を業とする者に委託し、返送されたE票で適正に処分されたことの確認した。
運搬、処分受託者から返送された管理票の写しは5年間保存しなければならないことに留意した。
適正処理2)
改修工事において発生した廃石綿等は、特別管理産業廃棄物として、法令にもとづいて適切に処置を行った。
運搬、処分受託者から返送された管理票の写しは5年間保存しなければならないことに留意した。

1級建築施工管理技士 過去問 解説 H30 実地2

平成30年度 1級建築施工管理技術検定 実地 問題2

問題2
建築工事における次の 1.から 3.の災害について、施工計画に当たり事前に検討した災害の発生するおそれのある状況や作業の内容と災害を防止するための対策を、それぞれ2つ具体的 に記述しなさい。
ただし、解答はそれぞれ異なる内容の記述とする。また、安全帯や保護帽の使用、朝礼時の注意 喚起、点検や整備などの日常管理、安全衛生管理組織、新規入場者教育、資格や免許に関する記述 は除くものとする。
1. 墜落、転落による災害

解答試案

【 解答例】
(1) 外壁タイル張り工事作業における足場からの転落事故を防ぐため、足場の作業床の幅は40cm以上、床材間の隙間は3cm以下、かつ床材と建地との間隔を12cm以下とする。
(2) ダメ穴等の床開口部からの作業員の墜落事故を防止するため、大きな開口部分には手すりを設けるとともに、安全ネットの設置を計画する。

2. 電気による災害

解答試案

【 解答例】
(1) 鉄骨溶接工事における感電事故を防止するため、交流アーク溶接機はほこりの少ない場所に設置し、専用アース線または躯体鉄筋等にアースを確実に設置する。
(2) 工事作業員の感電事故を防止するために、キュービクル、変圧器などを設置する際は、仮囲いを施して取扱責任者以外の立入りを禁止する。

3. 車両系建設機械による災害

解答試案

【 解答例】
(1) 路肩、傾斜地でのブルドーザーの店頭事故を防止するため、転倒のおそれがある箇所に、あらかじめ誘導員を配置し、その者に誘導させる。
(2) 外壁補修工事における高所作業車の転倒または転落による作業員の危険を防止するため、地盤の傾斜や地耐力を確認した上で、車両よりアウトリガーを張り出す。

1級建築施工管理技士 過去問 解説 H30 実地3

平成30年度 1級建築施工管理技術検定 実地 問題3

問題3
次の 1.から 8.の各記述において、記述ごとの①から③の下線部の語句又は数値のうち 最も不適当な箇所番号1 つあげ、適当な語句又は数値を記入しなさい。
1. 平板載荷試験は、地盤の変形や強さなどの支持力特性を直接把握するために実施される。 試験地盤に礫が混入する場合には、礫の最大直径が載荷板直径の①1/3 程度を目安とし、この条件を満たさない場合は大型の載荷板を用いることが望ましい。
試験地盤は、半無限の表面を持つと見なせるよう載荷板の中心から載荷板直径の②倍以上の範囲を水平に整地する。
また、計画最大荷重の値は、試験の目的が設計荷重を確認することにある場合は、長期設計荷重の③倍以上に設定する必要がある。

解答と分析

【 解答 】
 ① 1/5

2. 根切り工事において、掘削底面付近の砂質地盤に上向きの浸透流が生じ、この水の浸透力が砂の水中での有効重量より大きくなり、砂粒子が水中で浮遊する状態を①クイックサンドという。
クイックサンドが発生し、沸騰したような状態でその付近の地盤が崩壊する現象を②ボイリングという。
また、掘削底面やその直下に難透水層があり、その下にある被圧地下水により掘削底面が持ち
上がる現象を③ヒービングという。

解答と分析

【 解答 】
 ③ 盤ぶくれ

3. 場所打ちコンクリート杭地業のオールケーシング工法における掘削は、①表層ケーシングを搖動又は回転圧入し、土砂の崩壊を防ぎながら、②ハンマーグラブにより掘削する。
常水面以下に細かい③層が 5 m 以上ある場合は、①表層ケーシングの外面を伝って下方に流れる水の浸透流や搖動による振動によって、周囲の③が締め固められ①表層ケーシングが動かなくなることがあるので注意する。
支持層の確認は、②ハンマーグラブでつかみ上げた土砂を土質柱状図及び土質資料と対比して行う。

解答と分析

【 解答 】
 ① ケーシングチューブ

4. ガス圧接の技量資格種別において、①手動ガス圧接については、1種から4種まであり、2種、3種、4種となるに従って、圧接作業可能な鉄筋径の範囲が②大きくなる。
技量資格種別が1種の圧接作業可能範囲は、異形鉄筋の場合は呼び名③D32以下である。

解答と分析

【 解答 】
 ③ D25

5. 鉄筋のガス圧接継手の継手部の外観検査において、不合格となった圧接部の処置は次による。
圧接部のふくらみの直径や長さが規定値に満たない場合は、再加熱し、①徐冷して所定のふくらみに修正する。
圧接部の折曲がりの角度が ②度以上の場合は、再加熱して修正する。
圧接部における鉄筋中心軸の③偏心量が規定値を超えた場合は、圧接部を切り取って再圧接する。

解答と分析

【 解答 】
 ① 加圧

6.型枠組立てに当たって、締付け時に丸セパレーターのせき板に対する傾きが大きくなると丸セパレーターの破断強度が大幅に低下するので、できるだけ①直角に近くなるように取り付ける。
締付け金物は、締付け不足でも締付けすぎても不具合が生じるので、適正に使用することが重要である。締付け金物を締付けすぎると、せき板が②内側に変形する。
締付け金物の締付けすぎへの対策として、内端太(縦端太)を締付けボルトとできるだけ③離す等の方法がある。

解答と分析

【 解答 】
 ③ 接近させる

7. コンクリートポンプ工法による1日におけるコンクリートの打込み区画及び①打込み量は、建物の規模及び施工時間、レディーミクストコンクリートの供給能力を勘案して定める。
コンクリートの打込み速度は、スランプ 18 cm 程度の場合、打込む部位によっても変わるが、
20~②30 m3/h が目安となる。
また、スランプ 10~15 cm のコンクリートの場合、公称棒径 45 mm の棒形振動機1台当たりの締固め能力は、10~③30 m3/h 程度である。
なお、コンクリートポンプ1台当たりの圧送能力は、20~50 m3/h である。

解答と分析

【 解答 】
 ③ 15

8. 鉄骨工事におけるスタッド溶接後の仕上がり高さ及び傾きの検査は、①100 本又は主要部材1本若しくは1台に溶接した本数のいずれか少ないほうを1ロットとし、1ロットにつき②本行う。
検査する②本をサンプリングする場合、1ロットの中から全体より長いかあるいは短そうなもの、又は傾きの大きそうなものを選択する。
なお、スタッドが傾いている場合の仕上がり高さは、軸の中心でその軸長を測定する。
検査の合否の判定は限界許容差により、スタッド溶接後の仕上がり高さは指定された寸法の±2mm 以内、かつ、スタッド溶接後の傾きは ③15 度以内を適合とし、検査したスタッドが適合の場合は、そのロットを合格とする。

解答と分析

【 解答 】
 ③ 5

1級建築施工管理技士 過去問 解説 H30 実地4

平成30年度 1級建築施工管理技術検定 実地 問題4

問題4
次の 1.から 4.の問いに答えなさい。
ただし、解答はそれぞれ異なる内容の記述とし、材料の保管、作業環境(気象条件等)及び作業員の安全に関する記述は除くものとする。
1. 屋上アスファルト防水工事において、平場部にアスファルトルーフィング類を張り付ける場合の、施工上の留意事項を 2 つ、具体的に記述しなさい。
ただし、下地及び増張りに関する記述は除くものとする。

解答例と分析

【 解答例 】
( 留意事項 )
①ルーフィングの継ぎ方は、水上側のルーフィングを水下側の上に張ると共に、重ね幅は、長手、横方向とも100mm以上とする。
②アスファルト防水絶縁工法に用いる穴あきルーフィングは、絶縁面である砂付き面を下にし、通気性を妨げないように突き付けとする。

2. 外壁コンクリート面を外装合成樹脂エマルション系薄付け仕上塗材(外装薄塗材E)仕上げとする場合の、施工上の留意事項を 2 つ、具体的に記述しなさい。
ただし、材料の調合に関する記述は除くものとする。

解答例と分析

【 解答例 】
( 留意事項 )
①仕上塗材の模様、色、つや等は製造所により差異があるので、工程ごとの所要量または塗厚がわかる見本を提出させる。
②仕上塗材仕上をシーリング面に行う場合は、シーリング材が硬化した後に行うものとし、塗重ね適合性を確認し、必要な措置を行う。

3. パラペット天端にアルミニウム笠木を設ける場合の、施工上の留意事項を 2 つ、具体的に記述しなさい。
ただし、下地清掃及び防水層に関する記述は除くものとする。 なお、パラペットは現場打ちコンクリートとする。

解答例と分析

【 解答例 】
( 留意事項 )
①笠木の継手部は、ジョイント金物によるはめあい方式とし、ジョイント部はオープンジョイントを原則とし、5~10mmのクリアランスを設ける。
②取付けは、コーナー部分笠木を先に取付け、直接部材については、パラペット全体の形状を勘案し、定尺を中心に割り付ける。

4. 外壁下地モルタル面に小口タイルを改良圧着張りとする場合の、施工上の留意事項を 2 つ、具体的に記述しなさい。
ただし、下地清掃、張付けモルタルの調合、タイルの割付け及びタイル面洗いに関する記述は除くものとする。

解答例と分析

【 解答例 】
( 留意事項 )
①張付けモルタルの1回の塗付け面積の限度は2m2以下とし、塗付け面積の限度は、60分以内に張り終える面積とする。
②タイル裏面全体に張付けモルタルを平らに張付け、適切な方法でタイル周辺からモルタルがはみ出すまでたたき締め、通りよく平らに貼り付ける。

1級建築施工管理技士 過去問 解説 H30 実地5

平成30年度 1級建築施工管理技術検定 実地 問題5

問題5
市街地での事務所ビルの建設工事において、事務室の内装仕上げ工事について各階を施工量のほぼ等しいA工区とB工区に分けて工事を行うとき、右の内装仕上げ工事工程表(3階部分) に関し、次の 1.から 3.の問いに答えなさい。
工程表は作成中のもので、検査や設備関係の作業については省略している。
各作業の内容は作業内容表のとおりであり、Aで始まる作業名はA工区の作業を、Bで始まる作業名はB工区の作業を示すが、作業A8及び作業B8については作業内容を記載していない。
なお、各作業は一般的な手順に従って施工されるものとする。
また、各作業を担当する作業班は複数の作業を同時に行わず、各作業は先行する作業が完了してから開始するものとする。
[ 工事概要 ]
用 途:事務所
構造・規模:鉄筋コンクリート造地下1階、地上6階、
      延べ面積 3,200 m2
仕 上 げ:床は、フリーアクセスフロア下地タイルカーペット仕上げ
   間仕切り壁、軽量鉄骨下地せっこうボード張りクロス仕上、
   ソフト幅木取付け
   天井は、システム天井下地吸音板取付け
H30-5内装仕上げ工事工程表.jpg
H30-5作業内容表.jpg
1. 作業A8及び作業B8の作業内容を記述しなさい。

解答と分析

【 解答 】
作業A8作業B8の作業内容 
ソフト幅木取付け

2.(始)から(終)までの総所要日数を記入しなさい。
ただし、各作業班は工程に影響を及ぼさないだけの班数が確保できているものとする。
また、この日数で工事を行うときに、作業A1及び作業B1について最低限手配すべき班数を 記入しなさい。

解答と分析

【 解答 】
① 総所要日数:17日
② 班 数  :1班

3. 作業A3及び作業B3を担当する作業班が1班しか手配できないことが判ったため、工程を見直すこととなった。
このときの、次の記述の[  ] に当てはまる語句又は数値をそれぞれ記入しなさい。
作業B3は、作業B2の完了後で作業名[ あ ]の完了後でないと開始できない。
このため、総所要日数は[ い ]日、作業B2のフリーフロートは [ う ]日となる。

解答と分析

【 解答 】
 [ あ ] A3
 [ い ] 18(日)
 [ う ]  1(日)
H30-5A-3ネットワーク工程表.jpg

1級建築施工管理技士 過去問 解説 H30 実地6

平成30年度 1級建築施工管理技術検定 実地 問題6

問題6
次の 1.から 3.の問いに答えなさい。
1.「建設業法」に基づく建設工事の見積り等に関する次の文章において、[  ] に当てはまる語句を記入しなさい。
建設業者は、建設工事の [ ① ] を締結するに際して、工事内容に応じ、工事の種別ごとに材料費、労務費その他の [ ② ] の内訳を明らかにして、建設工事の見積りを行うよう努めなければならない。

解答と分析

【 解答 】
  ① 請負契約
  ② 経費
(建設業法 第20条)「建設工事の見積り等」
1.建設業者は、建設工事の請負契約を締結するに際して、工事内容に応じ、工事の種別ごとに材料費、労務費その他の経費の内訳を明らかにして、建設工事の見積りを行うよう努めなければならない。
2.建設業者は、建設工事の注文者から請求があつたときは、請負契約が成立するまでの間に、建設工事の見積書を交付しなければならない。
3.建設工事の注文者は、請負契約の方法が随意契約による場合にあつては契約を締結する以前に、入札の方法により競争に付する場合にあつては入札を行う以前に、第19条第1項第一号及び第三号から第十四号までに掲げる事項について、できる限り具体的な内容を提示し、かつ、当該提示から当該契約の締結又は入札までに、建設業者が当該建設工事の見積りをするために必要な政令で定める一定の期間を設けなければならない。

2.「建築基準法施行令」に基づく仮囲いに関する次の文章において、[  ] に当てはまる語句又は数値を記入しなさい。
木造の建築物で高さが 13 m 若しくは軒の高さが 9 m を超えるもの又は木造以外の建築物で [ ③ ] 以上の階数を有するものについて、建築、修繕、模様替又は除却のための工事を行う場合においては、工事期間中工事現場の周囲にその地盤面(その地盤面が工事現場の周辺の地盤面より [ ④ ] 場合においては、工事現場の周辺の地盤面)からの高さが 1.8 m 以上の板塀その 他これに類する仮囲いを設けなければならない。ただし、これらと同等以上の効力を有する他の 囲いがある場合又は工事現場の周辺若しくは工事の状況により危害防止上支障がない場合においては、この限りでない。

解答と分析

【 解答 】
  ③ 2
  ④ 低い
(建築基準法施工令 第136条の2の20 )「 仮囲い 」
木造の建築物で高さが13m若しくは軒の高さが9mを超えるもの又は木造以外の建築物で2以上の階数を有するものについて、建築、修繕、模様替又は除却のための工事(以下この章において「建築工事等」という。)を行う場合においては、工事期間中工事現場の周囲にその地盤面(その地盤面が工事現場の周辺の地盤面より低い場合においては、工事現場の周辺の地盤面)からの高さが1.8m以上の板塀その他これに類する仮囲いを設けなければならない。ただし、これらと同等以上の効力を有する他の囲いがある場合又は工事現場の周辺若しくは工事の状況により危害防止上支障がない場合においては、この限りでない。

3.「労働安全衛生法」に基づく事業者等の責務に関する次の文章において、[  ] に当てはまる語句を記述しなさい。
建設工事の注文者等仕事を他人に請け負わせる者は、施工方法、[ ⑤ ] 等について、安全で 衛生的な作業の遂行をそこなうおそれのある[ ⑥ ] を附さないように配慮しなければならない。

解答と分析

【 解答 】
  ⑤ 工期
  ⑥ 条件
(労働安全衛生法 第3条)「事業者等の責務」
1.事業者は、単にこの法律で定める労働災害の防止のための最低基準を守るだけでなく、快適な職場環境の実現と労働条件の改善を通じて職場における労働者の安全と健康を確保するようにしなければならない。また、事業者は、国が実施する労働災害の防止に関する施策に協力するようにしなければならない。
2.機械、器具その他の設備を設計し、製造し、若しくは輸入する者、原材料を製造し、若しくは輸入する者又は建設物を建設し、若しくは設計する者は、これらの物の設計、製造、輸入又は建設に際して、これらの物が使用されることによる労働災害の発生の防止に資するように努めなければならない。
3.建設工事の注文者等仕事を他人に請け負わせる者は、施工方法、工期等について、安全で衛生的な作業の遂行をそこなうおそれのある条件を附さないように配慮しなければならない。  

1級建築施工管理技士 平成30年 学科 問題1解説

平成30年 1級建築施工管理技士 学科 問題1 解答解説

※   問題番号[ No.1 ] ~[ No.15 ] までの 15 問題のうちから、12 問題を選択し、解答してください。
[ No. 1 ]
換気に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1.  第3種機械換気方式は、自然給気と排気機による換気方式で、浴室や便所などに用いられる。
2. 自然換気設備の給気口は、調理室等を除き、居室の天井の高さの 1 /2以下の高さに設置する。
3. 営業用の厨房は、一般に窓のない浴室よりも換気回数を多く必要とする。
4. 給気口から排気口に至る換気経路を短くする方が、室内の換気効率はよくなる。

答え

  4
給気口から排気口に至る換気経路を短くすると、取り込んだ新鮮な外気がスペース内に行き渡ることなく、そのまま排出されるため換気効率は悪くなる
1 ◯
第3種機械換気方式は、自然給気と排気機によって室内の空気を排出する方式で、台所、浴室、便所、湯沸室等の室内を負圧にする場所に用いられる。
2 ◯
自然換気設備の給気口は、調理室等を除き、居室の天井の高さの 1/2 以下の高さに設置する。
3 ◯
営業用の厨房の換気回数は 30〜60回/h、浴室は 3〜5回/h である。したがって、厨房の方が浴室より換気回数は多い

[ No. 2 ]
日照、日射及び日影に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1. 水平ルーバーは西日を遮るのに効果があり、縦ルーバーは夏季の南面の日射を防ぐのに効果がある。
2. 北緯 35 度における南面の垂直壁面の可照時間は、春分より夏至の方が短い。
3. 同じ日照時間を確保するためには、緯度が高くなるほど南北の隣棟間隔を大きくとる必要がある。
4. 建物の高さが同じである場合、東西に幅が広い建物ほど日影の影響の範囲が大きくなる。

答え

  1
羽根が水平に並ぶ水平ルーバーは、日射を遮るために南側の開口部に取り付けると、太陽の高度が高くなる夏季に南面の日射を防ぐのに効果がある。羽根が垂直に並ぶ縦ルーバーは、冬季の高度が低くなった西日を遮るのに効果がある。
2 ◯
南面の垂直壁面の可照時間は、太陽が東西軸より南側にある時間となる。夏至よりも春分または秋分の方が長くなる。
3 ◯
隣棟間隔を建物高さで除した値を隣棟間隔係数という。たとえば、東京で4時間日照を確保するにはこの値が2程度必要であるが、札幌では 2.8程度必要となる。同じ日照時間を確保するためには、緯度が高くなるほど南北の隣棟間隔を大きくとる必要がある
4 ◯
日影を及ぼす範囲は、一般に建築物の高さよりも東西方向の幅に大きく左右される。東西に幅が広い建物ほど、影の影響範囲が大きくなる

[ No. 3 ]
吸音及び遮音に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1. グラスウールなどの多孔質材料は、厚さが増すと高音域に比べて中低音域の吸音率が増大する。
2. 共鳴により吸音する穿孔板は、背後に多孔質材料を挿入すると全周波数帯域の吸音率が増大する。
3. コンクリート間仕切壁の音響透過損失は、一般に高音域より低音域の方が大きい。
4. 単層壁の音響透過損失は、一般に壁の面密度が高いほど大きい。

答え

  3
密で均一な材料でできている壁体の音響透過損失は、壁体の単位面積当たりの質量と音の周波数の積の対数に比例するので、高周波数域(高音域)より低周波数域(低音域)の方が小さい。なお、材料の透過損失は、コンクリートのような比重が大きいものほど、その量が増大する。
1 ◯
グラスウールなどの多孔質の吸音材は、音波が通過する際に、音のエネルギーが繊維との摩擦などで熱エネルギーとして消費されることを利用しているもので、高音の吸収に適する。厚さを増したり、背後に空気層を設けると中低音域の吸音率が大きく向上する。
2 ◯
共鳴により吸音する穿孔板は、低音の吸収に適し、また多孔質吸音材料は、高音の吸収に適しているので、穿孔板の背後に多孔質材料を挿入すると全周波数帯域の吸音率が増大する。
4 ◯
透過損失とは、壁体等の遮音の程度を示すもので、値が大きいほど、壁体等の遮音性能が高いことを表す。単層壁の透過損失は、一般に壁の面密度(単位面積当たりの質量)が高いほど、周波数が高いほど大きくなる。これを単層壁の質量則という。

[ No. 4 ]
木質構造に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1. 構造用集成材は、ひき板(ラミナ)又は小角材を繊維方向がほぼ同じ方向に集成接着したものであり、弾性係数、基準強度は一般的な製材と比べ同等以上となっている。
2. 枠組壁工法は、木材を使用した枠組に構造用合板その他これに類するものを打ち付けることにより、壁及び床を設ける工法で、枠組壁は水平力と鉛直力を同時に負担することはできない。
3. 燃えしろ設計は、木質材料の断面から所定の燃えしろ寸法を除いた断面に長期荷重により生じる応力度が、短期の許容応力度を超えないことを検証するものである。
4. 直交集成板(CLT)は、ひき板(ラミナ)を幅方向に並べたものを、その繊維方向が直交するように積層接着した木質系材料であり、弾性係数、基準強度は一般的な製材の繊維方向の値と比べ小さくなっている。

答え

  2
枠組壁工法は、木材で組まれた枠組に構造用合板その他これに類するものを打ち付けることにより、床及び壁を設ける工法である。釣り合いよく配置された枠組壁は水平力と鉛直力を同時に負担することができる
1 ◯
構造用集成材は、ひき板(ラミナ)または小角材を繊維方向がほぼ同じ方向に集成接着したものであり、弾性係数、基準強度は一般的な製材と比べ同等以上となっている。多数のラミナを重ねるほど、節、繊維の傾斜ラミナのジョイント部などの分散による均質化と組み合わせ効果が期待できる。
3 ◯
燃えしろ設計する柱や梁に生じる実際の長期荷重を算出し、想定した部材断面から告示に規定された燃えしろ寸法を木質材料の断面から除いた断面に生じる応力度が、短期の許容応力度を超えないことを検証する。
4 ◯
直交集成材(CLT)は、ひき板(ラミナ)を幅方向を並べたものを、その繊維方向が直交するように積層接着した木質系材料である。一般的な製材の繊維方向の値と比べ、弾性係数や基準強度は小さくなっている

[ No. 5 ]  
鉄筋コンクリート構造に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1. 梁のあばら筋に D 10 の異形鉄筋を用いる場合、その間隔は梁せいの 1 /2以下、かつ、250mm 以下とする。
2. 梁貫通孔は、梁端部への配置を避け、孔径を梁せいの 1 /3以下とする。
3. 柱のじん性を確保するため、短期軸方向力を柱のコンクリート全断面積で除した値は、コンクリートの設計基準強度の 1/2 以下とする。
4. 普通コンクリートを使用する場合の柱の最小径は、原則としてその構造耐力上主要な支点間の距離の1/15 以上とする。

答え

  3
柱の軸力方向の圧縮力が大きくなると変形能力が小さくなるので、地震時のぜい性破壊を避けるため、短期軸力方向を柱のコンクリート全断面積で除した値は、コンクリートの設計基準強度の1/3以下とする。
1 ◯
梁のあばら筋は、せん断やひび割れに対する補強に使用され、間隔は、折曲げ筋の有無にかかわらず、D10の異形鉄筋を用いて梁せいの 1/2 以下、かつ、 250mm 以下とする。
2 ◯
梁に貫通孔が設けられると、梁断面の欠損によりせん断強度が低下するので、適切に補強を行う必要がある。鉄筋コンクリート構造の場合、円形孔の直径は梁せいの 1/3以下とし、梁端部への配置は避ける。
4 ◯
普通コンクリートを使用する場合の柱の最小径は、構造耐力上主要な支点間の距離(通常上下の梁の内法寸法)の 1/15以上とする。(建築基準法施行令第77条第五号)

[ No. 6 ]  
鉄骨構造に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1.  梁の材質を、SN400A から SN490 B に変えても、断面と荷重条件が同一ならば、梁のたわみは同一である。
2.  鉄骨造におけるトラス構造の節点は、構造計算上、すべてピン接合として扱う。
3.  材端の移動が拘束され材長が同じ場合、両端固定材の座屈長さは、両端ピン支持材の座屈長さより短い。
4.  柱脚に高い回転拘束力をもたせるためには、根巻き形式ではなく露出形式とする。

答え

  4
柱脚には、露出柱脚、根巻き柱脚、埋込み柱脚がある。柱脚の固定度(回転拘束)の大小関係は、露出柱脚<根巻き柱脚<埋込み柱脚である。露出柱脚より根巻き柱脚の方が高い回転拘束力をもつ
1 ◯
梁の変形は曲げ、圧縮、せん断変形のいずれも荷重条件、部材断面が同じであれば、ヤング係数に比例する。ヤング係数は、鋼材の材質に関係なく 2.05 × 105 N/mm2で一定であり、材質を変えてもたわみは変わらない。 SN400A と SN490B では、強度は異なるが同じ鋼材である。断面と荷重条件が同一ならば、梁のたわみは同一である。
2 ◯
鉄骨造におけるトラス構造の節点は、構造計算上、すべてピン接合として扱う。
3 ◯
材端の移動が拘束され材長が同じ場合、両端固定材の座屈長さは、両端ピン支持材の座屈長さより短い

[ No. 7 ]
基礎構造に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1.  直接基礎の底面の面積が同じであれば、底面形状が正方形や長方形のように異なっていても、地盤の許容支持力は同じ値となる。
2.  フローティング基礎は、建物重量と基礎等の構築による排土重量をつり合わせ、地盤中の応力が増加しないようにする基礎形式である。
3.  基礎梁の剛性を大きくすることにより、基礎フーチングの沈下を平均化できる。
4.  地盤の液状化は、地下水面下の緩い砂地盤が地震時に繰り返しせん断を受けることにより間隙水圧が上昇し、水中に砂粒子が浮遊状態となる現象である。

答え

  1
地盤の許容支持力度は、土質試験、載荷試験等により地盤が破壊する極限鉛直支持力度を求め、それに安全率を乗じて求める。極限鉛直支持力度には、基礎の形状係数が関係するため、基礎底面の面積が同じであっても、その形状が正方形と長方形とでは、地盤の許容支持力は異なる
2 ◯
フローティング基礎とは、建築物を地盤に浮かべる考え方の基礎であり、建築物の重量とその基礎の構造によって排除された土の重量がほぼ等しくなるよう設計する。
3 ◯
基礎は上部の荷重を地盤に伝達するもので、基礎の沈下は接地圧、地盤耐力により決まってくる。実際の建物では、各基礎フーチングの接地圧、地盤耐力は均一ではなく、多少不同沈下は発生するが、基礎梁の剛性が大きければ不同沈下は平均化できる
4 ◯
地盤の液状化は、地震時に、地下水面下の緩い砂地盤が振動を受け、地盤が液体状になる現象である。地盤上の比重の大きい構造物が倒れたり、比重の小さい構造物が浮き上がったりする。

[ No. 8 ]
荷重及び外力に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1. 教室に連絡する廊下と階段の床の構造計算用の積載荷重は、実況に応じて計算しない場合、 教室と同じ積載荷重の 2,300 N/m2 とすることができる。
2. 保有水平耐力計算において、多雪区域の積雪時における長期応力度計算に用いる荷重は、 固定荷重と積載荷重の和に、積雪荷重に 0.7 を乗じた値を加えたものとする。
3. 必要保有水平耐力の計算に用いる標準せん断力係数は、1.0 以上としなければならない。
4. 速度圧の計算に用いる基準風速 V0 は、その地方の再現期間 50 年の10 分間平均風速値に相当する。

答え

  1
教室に連絡する廊下の積載荷重は、建築基準法施工令第85条により、集会室等のその他の場合の床の積載荷重は 3,500N/m2とする。
2 ◯
保有水平耐力計算より、多雪区域の積雪時の計算に用いる荷重は、
G(固定荷重)+P(積載荷重)+0.7S(積雪荷重)
である。(建築基準法施行令第82条第二号)
3 ◯
標準せん断力係数は、必要保有水平耐力の計算をする場合においては、1.0 以上とする。また、許容応力度計算では 0.2以上、地盤ば著しく軟弱な区域内における木造建築物においては 0.3以上としなければならない。
4 ◯
建築基準法施行令第87条第2項に基づいた告示に、速度圧の算出い用いる基準風速 V0は、その地方における過去の台風の記録に基づく風害の程度その他の風の性状に応じて、秒速 30m から 46mの範囲内で定められている。これはその地方の 50年再現期間(1年間の発生確率が 1/50)の10分間平均風速値に相当する。

[ No.  9 ]
図に示す3ヒンジラーメン架構の AD 間に等分布荷重が作用したとき、支点A に生じる水平反力 HA 及び鉛直反力 VA の値の大きさの組合せとして、正しいものはどれか。
30-9 3ヒンジラーメン.jpg
1. HA = 60 kN、VA = 40 kN
2. HA = 60 kN、VA = 48 kN
3. HA = 96 kN、VA = 40 kN
4. HA = 96 kN、VA = 48 kN

答え

  4
1-30-9 3ヒンジラーメンA.jpg

外力の合力を求めると、
P = 30 kN/m × 4m = 120 kN
作用位置はA点から2mの位置、B点でのモーメントはMB = 0 より、
MB = − HA × 2m − VA × 6m + P × 4m = 0
MB = − HA × 2 − VA × 6 + 120 × 4 = 0・・・①
C点でのモーメントMC = 0より、
MC = + HA × 4m − VA × 3 m − P × 2m = 0
MC = + HA × 4 − VA × 3 − 120 × 2 = 0・・・②
①式 − ②式 × 2 より、
HA × ( − 2 − 8 ) + 480 + 480 = 0
HA = 960 / 10 = 96 kN
HA = 96 kN を①式に代入すると、
− 96 × 2 − VA × 6 + 480 = 0
VA = ( 480 − 192 )/ 6 = 48kN
したがって、支点Aに生じる水平反力HA及び鉛直反力VA
の値の大きさの組み合わせとして、4が正しい。

[ No. 10 ]
図に示す3ヒンジラーメン架構に集中荷重 P が作用したときの曲げモーメント図として、正しいものはどれか。 ただし、曲げモーメントは材の引張り側に描くものとする。
 30-10 3ヒンジラーメン.jpg
1.  
 30-10 3ヒンジラーメンM図1.jpg
2.
 30-10 3ヒンジラーメンM図2.jpg
3.  
 30-10 3ヒンジラーメンM図3.jpg
4. 
 30-10 3ヒンジラーメンM図4.jpg
 

答え

  3
1-30-10 3ヒンジラーメンA.jpg

①柱脚部がヒンジとなっているので、モーメントは 0となるため、肢1及び4は誤り。
②外力がPしか作用していないので、X方向のつり合い式より、HA、HBは同じ値で向きが逆方向となる。
よって、柱の曲げモーメントは左右対称となる。
したがって、曲げモーメント図として3が正しい。

[ No. 11 ]
鋼材に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1.  SN 490B や SN 490C は、炭素当量などの上限を規定して溶接性を改善した鋼材である。
2.  TMCP鋼は、熱加工制御により製造された、溶接性は劣るが高じん性の鋼材である。
3. 耐火鋼(FR 鋼)は、モリブデン等を添加して耐火性を高めた鋼材である。
4. 低降伏点鋼は、添加元素を極力低減した純鉄に近い鋼で、強度が低く延性が高い鋼材である。

答え

  2
建築構造用TMCP(Thermo Mechanical Control Process)鋼は、水冷型熱加工制御(TMCP)に適応して製造される鋼材で、圧延時に焼き戻し加工をすることにより、高じん性で、同じ降伏点のSN材やSM材に比べて炭素当量が低減されているので、溶接性が優れている。建築基準法第37条(建築材料の品質)第二号による国土交通大臣認定品である。
1 ◯
SN材は、建築構造用圧延鋼材で、溶接性の保証の有無、板厚方向の引張特性の保証等を強度区分の末尾記号 A、B、Cで表示する。A種は溶接を行わない部材に使用される。B種及びC種は、塑性変形性能と溶接の確保が要求される部材に使用されるので、JISにより化学成分、炭素当量の上限等が規定されている。
3 ◯
FR鋼(建築構造用耐火鋼)は、SN材に0.3〜0.9%のニオブやモリブデン等の合金元素を添加して、高温時の強度を向上させ、600℃における降伏点が、常温での降伏点規定値の 2/3以上になるように製造された鋼材である。
4 ◯
低降伏点鋼(LY100、LY225)は、添加元素を極力減らした純鉄に近い鋼で、軟膏に比べて強度は低いが、延性が極めて高いため、塑性変形によるエネルギーの吸収が必要な制振ダンパー等に用いられる。

[ No. 12 ]
左官材料に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1. せっこうプラスターは、乾燥が困難な場所や乾湿の繰返しを受ける部位では硬化不良とな りやすい。
2. セルフレベリング材は、せっこう組成物やセメント組成物に骨材や流動化剤等を添加した材料である。
3. セメントモルタルの混和材として消石灰を用いると、こて伸びがよく、平滑な面が得られる。
4. ドロマイトプラスターは、それ自体に粘りがないためのりを必要とする。

答え

  4
ドロマイトプラスターは、一般に粘度が高く、のりを用いずに水と練り合わせ施工することができる。水硬性セメントに属し、主成分は炭酸カルシウムと炭酸マグネシウムである。したがって、硬化が早く比較的強度もあり、収縮ひび割れが生じにくい。
1 ◯
せっこうプラスターは、せっこうの水和物が結晶化し、その結晶がからみ合っている組織の中の余分な水分が蒸発乾燥するにつれて強さが発現する。そのため、乾燥が困難な場所や乾湿の繰り返しを受ける部位では硬化不良となりやすく、耐久性が無くなるおそれがある。
2 ◯
セルフレベリング材は、せっこう組成分やセメント組成分に骨材や流動化剤を添加し、セルフレベリング性を付与し、これを床面に流し簡単に均すだけで平坦・平滑精度の高い床下地をつくるものである。
3 ◯
セメントモルタルの混和材として消石灰、ドロマイトプラスターを用いると、こての伸びがよく、平滑な塗り面が得られる。また、貧調合とすることができ、保水性の向上、ヤング率を減少することで収縮によるひび割れ、発生応力を低減させる等の目的で一般に用いられる。

[ No. 13 ]
ガラスに関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1. 型板ガラスは、ロールアウト方式により、ロールに彫刻された型模様をガラス面に熱間転写して製造された、片面に型模様のある板ガラスである。
2.  Low-E 複層ガラスは、中空層側のガラス面に特殊金属をコーティングしたもので、日射制御機能と高い断熱性を兼ね備えたガラスである。
3. 強化ガラスは、板ガラスを熱処理してガラス表面付近に強い圧縮応力層を形成したもので、 耐衝撃強度が高いガラスである。
4. 熱線反射ガラスは、日射熱の遮蔽を主目的とし、ガラスの両面に熱線反射性の薄膜を形成したガラスである。

答え

  4
熱線反射ガラスは、日射熱の遮蔽を主目的とし、ガラスの片側の表面に熱線反射性の薄膜を形成したガラスであり、窓際のまぶしさや局部的な昇温の防止、冷房負荷の軽減効果等がある。
1 ◯
型板ガラスは、2本の水冷ローラーの間に、直接溶融したガラスを通して製版するロールアウト方式により生産されるガラスで、片面に型模様をつけた板ガラスである。光を柔らかく拡散し、視線を適度に遮る。
2 ◯
Low-E 複層ガラスは、中空層側のガラス面に特殊金属をコーティングすることで、日射制御機能と、高い断熱性とを兼ね備えたガラスであり、断熱効果が高く、冷暖房負荷の軽減効果と結露防止効果がある。
3 ◯
強化ガラスは、板ガラスに熱処理を施し、表面付近に強い圧縮応力層を形成したもので、耐衝撃強度が高い。割れても破片が細粒状になる。加工後の切断はできない。

[ No. 14 ]
建築用シーリング材に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1. 弾性シーリング材とは、目地のムーブメントによって生じた応力がひずみにほぼ比例するシーリング材である。
2. 塑性シーリング材とは、目地のムーブメントによって生じた応力がムーブメントの速度にほぼ比例し、ムーブメントが停止すると素早く緩和するシーリング材である。
3. 1成分形高モジュラス形シリコーン系シーリング材は、耐熱性、耐寒性に優れ、防かび剤を添加したものは、浴槽や洗面化粧台などの水まわりの目地に用いられる。
4. 2成分形ポリウレタン系シーリング材は、耐熱性、耐候性に優れ、金属パネルや金属笠木などの目地に用いられる。

答え

  4
2成分形ポリウレタン系シーリング材は断熱性・耐候性にやや劣り、金属バネルや金属笠木などの目地には適していない。主に塗装するALCパネルの目地に用いられる。
1 ◯
弾性シーリング材とは、目地のムーブメントによって生じた応力がひずみにほぼ比例するシールング材をいう。(JIS A 5758)一般にポリサルファイド、シリコーン、ウレタン等の液状ポリマーをビヒクルとし、これと鉱物系充填剤をよく練り混ぜて製造したもので、相対変異の比較的大きい部材や部品間のすき間に充填する不定形シーリング材をいい、施工後は硬化し、ゴム状弾性を発現するのでこの名称がある。
2 ◯
塑性シーリング材とは、目地のムーブメントによって生じた応力がムーブメントの速度にほぼ比例し、ムーブメントが停止すると素早く緩和するシーリング材をいう。(JIS A5758)
3 ◯
1成分形シーリング材は、あらかじめ施工に供する状態に調整されている成分形シーリング材である。その中で1成分形高モジュラス形シリコーン系シーリング材は、断熱性、耐寒性に優れ、カーテンウォールのガラスまわり目地等に用いられる。また、防かび剤を添加したものは、浴槽や洗面化粧台などの水まわりの目地に用いられる。

[ No. 15 ]
内装材料に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1. コンポジションビニル床タイルは、単層ビニル床タイルよりバインダー量を多くした床タイルである。
2. 複層ビニル床タイルは、耐水性、耐薬品性、耐磨耗性に優れているが、熱による伸縮性が大きい。
3. パーティクルボードは、日本工業規格(JIS)で定められたホルムアルデヒド放散量による区分がある。
4. 普通合板は、日本農林規格(JAS)で定められた接着の程度による区分がある。

答え

  1
コンポジションビニル床タイルは、単層ビニル床タイルよりバインダー含有率(含有量)が小さい。バインダー含有率は、単層ビニル床タイルが30%以上、コンポジションビニル床タイルが30%未満である。バインダーとは、ビニル樹脂に可塑材と安定剤を加えたものである。
2 ◯
複層ビニル床タイルは一般に、耐摩耗性、耐水性、耐薬品性に優れているが、熱による伸縮性が大きいので、強力な接着剤で確実に接着しておく必要がある。
3 ◯
パーティクルボードは、木材の小片を接着剤を用いて熱圧・成形したボードで遮音性、断熱性、耐久性、防火性に優れている。パーティクルボードは、表裏面の状態による区分、曲げ強さによる区分、耐水性による区分、ホルムアルデヒド放散量による区分がある。(JIS A5908)
4 ◯
日本農林規格(JAS)の普通合板は、接着の程度により、1類2類に分類されている。1類は家屋の外装屋根下地など継続的に湿潤状態となる場所に、2類は家屋の内装など時々湿潤状態となる場所に使用される。

1級建築施工管理技士 平成30年 学科 問題2解説

平成30年 1級建築施工管理技士 学科 問題2 解答解説

※   問題番号[ No.16 ] ~[ No.20 ] までの 5 問題は、全問題を解答してください。
[ No. 16 ]
構内アスファルト舗装に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1. 盛土をして路床とする場合は、一層の仕上り厚さ 300mm 程度ごとに締め固めながら、所定の高さに仕上げる。
2. 舗装に用いるストレートアスファルトは、積雪寒冷地域では主として針入度が 80~100 の範囲のものを使用する。
3. アスファルト混合物等の敷均し時の温度は、110 ℃ 以上とする。
4. アスファルト舗装終了後の交通開放は、舗装表面の温度が 50 ℃ 以下になってから行う。

答え

  1
盛土をして路床とする場合は、一層の仕上り厚さは200mm程度ごとに締め固める
2 ◯
舗装用ストレートアスファルトは、原油を蒸留装置にかけ、軽質分を除去して得られるものである。
一般地域では針入度 60〜80のもの、積雪寒冷地では低温時の横断亀裂現象等の問題を考慮し、針入度 80~100 の範囲のものを使用する。
3 ◯
アスファルト混合物等の敷均した時の温度は、110℃以上とする。
4 ◯
アスファルト舗装終了後の交通解放は初期のわだち掘れに影響しないように、舗装表面の温度をおおむね 50℃以下とする。これにより、交通解放初期の舗装の変形を小さく抑えることができる。

[ No. 17 ]
避雷設備に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1. 高さが 20m を超える建築物には、原則として、有効に避雷設備を設けなければならない。
2. 危険物を貯蔵する倉庫には、危険物の貯蔵量や建物の高さにかかわらず、避雷設備を設けなければならない。
3. 受雷部は、保護しようとする建築物の種類、重要度等に対応した4段階の保護レベルに応じて配置する。
4. 鉄筋コンクリート造の鉄筋は、構造体利用の引下げ導線の構成部材として利用することができる。

答え

  2
指定数量の10倍以上の危険物の貯蔵倉庫には、総務省令で定める避雷設備を設ける。ただし、周囲の状況によって安全上支障がない場合においては、この限りではないと規定されている。(危険物の規制に関する政令第10条第1項第十四号)なお、総務省令に定める避雷設備とは、JIS A 4201(建築物等の雷保護)に適合するものである。
1 ◯
高さ 20mを超える建築物には、有効に避雷設備を設けなければならない。ただし、周囲の状況によって安全上支障がない場合においては、この限りではないと規定されている。(建築基準法第33条)
3 ◯
受雷部は、保護しようとする建築物等に電撃が侵入しないようにするため、立地条件、建築物等の種類、重要度等に対応した保護レベル Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳ の段階に応じて配置する。(JIS A4201)
4 ◯
建築物等の鉄筋や鉄骨などの金属製構造体は、構造体利用の引下げ導線の構成部材として利用することができる。(JIS A4201)

[ No. 18 ]
空気調和設備に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1. パッケージユニット方式は、小容量の熱源機器を建物内に多数分散配置する方式であり、セントラルシステムに比較して保守管理に手間を要する方式である。
2.   ファンコイルユニット方式における4管式は、2管式と比較してゾーンごとの冷暖房同時運転が可能で、室内環境の制御性に優れている方式である。
3. 二重ダクト方式は、2系統のダクトで送風された温風と冷風を、混合ユニットにより熱負荷に応じて混合量を調整して吹き出す方式である。
4. 単一ダクト方式における CAV 方式は、負荷変動に対して風量を変える方式である。

答え

  4
単一ダクト方式におけるCAV方式は、室内に吹き出す空気量が一定で、冷房負荷に応じて吹き出す空気の温度を変えることにより室温を調整する方式である。吹出し風量が一定のため、各室ごとの負荷変動に対しては対応できない。負荷変動に応じて風量を変化させる方式は、VAV方式のことである。
1 ◯
空気調和機には、エアハンドリングユニット、ファンコイルユニット、パッケージユニット、ルームエアコンディショナー等の種類がある。パッケージユニットは機内に冷凍機(圧縮機、凝縮器、蒸発器)を内蔵し、ファン・エアフィルター・自動制御機構・加熱器、加湿器などの付属機器を組み込んだユニット形の空気調和機である。
2 ◯
ファンコイルユニット方式の4菅式は、冷水配管、温水配管の往き菅に対してそれぞれ還り菅を設け、各ユニットあるいは系統ごとに同時、自由に冷房・暖房運転を行うことができる方式である。
2菅式配管は、温水または冷水を往き還りの2本の配管で循環させる方式である。したがって、4菅式は2菅式に比べて、ゾーンごとに冷暖房同時運転が可能で、室内環境の制御性に優れている
3 ◯
二重ダクト方式は、中央の空気調和機で温風と冷風をつくり、2系統のダクトで送風された温風と冷風を、混合ユニットにより熱負荷に応じて混合量を調整して吹き出す方式である。冷温風の2本のダクトで給気し、各室には混合ボックスで調整し吹き出す。温度の制御は各室ごとに可能である。

[ No. 19 ]
消火設備に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1. 不活性ガス消火設備は、二酸化炭素などによる冷却効果、窒息効果により消火するもので、 博物館の収蔵庫に適している。
2. 粉末消火設備は、粉末消火剤による負触媒効果、窒息効果により消火するもので、自動車車庫に適している。
3. 泡消火設備は、泡状の消火剤による冷却効果、窒息効果により消火するもので、電気室に適している。
4. 水噴霧消火設備は、微細な霧状の水による冷却効果、窒息効果により消火するもので、指定可燃物貯蔵所に適している。

答え

  3
泡消火設備は、火源に多量の泡を放出して表面を泡で覆う窒息作用と冷却作用により消火するが、電気絶縁性がないので、電気火災の多い電気室、通信機器室、ボイラー室には不適である。
1 ◯
不活性ガス消火設備は、酸素濃度の希釈作用や熱吸収による冷却効果で消火する設備である。消火剤がガスなので消火後の汚損は少なく、電気や油火災及び水損を嫌うコンピューターや電気通信機室あるいは図書館や美術館等に設置される。
2 ◯
粉末消火設備は、粉末消火薬剤を放射して消火する設備で、主に引火性液体の表面火災等に適用される。また、凍結しないので、寒冷地においても適用できる。
4 ◯
水噴霧消火設備は、噴霧ヘッドから微細な霧状の水を噴霧して消火する消火設備である。汚損や腐食性があり、博物館や図書館の収蔵庫などには適さない。指定可燃物の貯蔵取扱所、駐車場等、屋内消火栓やスプリンクラー設備で消火できない防火対象物に用いる。

[ No. 20 ]
請負契約に関する記述として、「公共工事標準請負契約約款」上、誤っているものはどれか。
1. 受注者は、工事の施工に当たり、設計図書に示された施工条件と実際の工事現場が一致しないことを発見したときは、その旨を直ちに監督員に通知し、その確認を請求しなければならない。
2. 発注者は、受注者が契約図書に定める主任技術者若しくは監理技術者を設置しなかったときは、契約を解除することができる。
3. 工事の施工に伴い通常避けることができない騒音、振動、地盤沈下、地下水の断絶等の理由により第三者に損害を及ぼしたときは、原則として、発注者がその損害を負担しなけれ ばならない。
4. 現場代理人は、契約の履行に関し、工事現場に原則として常駐し、その運営、取締りを行うほか、請負代金額の変更及び契約の解除に係る権限を行使することができる。

答え

  4
現場代理人は、請負代金学の変更及び契約の解除に係る権限は行使できない。(約款第10条第2項)
1 ◯
公共工事標準請負契約約款第18条第1項第四号により、受注者は工事の施工に当たり、設計図書に示された自然的または人為的な施工条件と実際の工事現場が一致しないことを発見したときは、その旨を直ちに監督員に通知し、その確認を請求しなければならない。
2 ◯
発注者は、受注者が主任技術者または監理技術者を設置しなかった時は、この契約を解除することができる。(約款第47条第1項第三号)
3 ◯
公共工事標準請負契約約款第28条第2項により正しい記述である。ただし、その損害のうち工事の施工につき受注者(請負者)が善良な管理者の注意義務を怠ったことにより生じたものについては、受注者(請負者)が負担する。

1級建築施工管理技士 平成30年 学科 問題3解説

平成30年 1級建築施工管理技士 学科 問題3 解答解説

※   問題番号[ No.21 ] ~[ No.33 ] までの 13 問題のうちから、5 問題を選択し、解答してください。
[ No. 21 ]
乗入れ構台の計画に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1. 構台の支柱の位置は、使用する施工機械、車両の配置によって決めた。
2. 道路から構台までの乗込みスロープの勾配は、 1/8とした。
3. 1階床面と現状地盤面がほぼ同じ高さなので、構台の床面は1階床面より 1.2 m 高くした。
4. 山留めの切梁支柱と乗入れ構台の支柱は、荷重に対する安全性を確認した上で兼用した。

答え

  1
構台の支柱の位置は、地下構造図と重ね合わせるなどして、基礎梁、柱、梁等の位置と重ならないように配置する必要があり、使用する加工機械、車両の配置より決めるものではない。
2 ◯
乗入れ構台の乗り込みスロープの勾配は、工事用機械や車両の出入りに支障を生じないように 1/10〜 1/6 程度が一般的である。使用する重機・車両の種類によって腹を擦らないよう事前に調査を行う。
3 ◯
1階床面と現状地盤面がほぼ同じ高さの場合、構台の床面は1階床面より 1.2m 高くする。
4 ◯
山留めの切梁支柱と構台支柱をやむを得ず兼用する場合は、切梁から伝達される荷重及び切梁支柱に大きな水平力が加わらない対策を考慮して計画、施工する。

[ No. 22 ]
土工事に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1. 根切り底面下に被圧帯水層があり、盤ぶくれの発生が予測されたので、ディープウェル工 法で地下水位を低下させた。
2. ボイリング対策として、周辺井戸の井戸枯れや軟弱層の圧密沈下を検討し、ディープウェ ル工法で地下水位を低下させた。
3. 床付け地盤が凍結したので、凍結した部分は良質土と置換した。
4.  ヒービングの発生が予測されたので、ウェルポイントで掘削場内外の地下水位を低下させた。

答え

  4
ウェルポイントで掘削場内外の地下水位を低下させるのは、砂質地盤におけるボイリング発生防止の対策である。粘性土地盤で発生するヒービングの発生防止には有効ではない
1 ◯
ディープウェル工法とは、根切り部内あるいは外部に径 500〜 1,000mmの菅を打ち込み、帯水層を削孔して、径300〜600 mmのスクリーン付き井戸ケーシング菅を設置してウェルとし、水中ポンプあるいは水中モーターポンプで帯水層の地下水を排出する工法である。盤ぶくれの防止対策として用いられる工法である。
※盤ぶくれの発生が事前の検討により予測された場合の対策
1)掘削底面(不透水層)下の地下水位(圧)をディープウェル等によって低下させる。
2)止水性の山留め壁を延長し、被圧帯水層の下の不透水槽に根入れする。
3)掘削場内を地盤改良し、地下水を遮断し土被り圧を増加させる。
2 ◯
ボイリング対策として、周辺井戸の井戸枯れや軟弱層の圧密沈下を検討し、ディープウェル工法で地下水位を低下させることは有効である。
3 ◯
凍結した土は、強度的には良質な地盤と間違えやすいが、床付け面が凍結したのち溶けると、体積が減少し沈下する。したがって凍結した部分は乱された土と同様に扱い、良質土と置き換える

[ No. 23 ]
ソイルセメント柱列山留め壁に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1. 山留め壁の構築部に残っている既存建物の基礎を貫通するためのロックオーガーの径は、ソイルセメント施工径より小さくする。
2. ソイルセメントの硬化不良部分は、モルタル充填や背面地盤への薬液注入などの処置を行う。
3. セメント系注入液と混合撹拌する原位置土が粗粒土になるほど、ソイルセメントの一軸圧縮強度が大きくなる。
4. ソイルセメントの中に挿入する心材としては、H 形鋼などが用いられる。

答え

  1
山留め壁の構築部に残っている既存建物の基礎を先行解体するためのロックオーガーの径は、ソイルセメント施工径より大きい径のものとする。小さい径のものを使用するとソイルセメント柱列山留め壁断面が不足する。
2 ◯
ソイルセメントの硬化不良部分には、セメントペーストまたはセメントモルタルの充填や薬液注入などの処置を速やかに行う。(山留め設計施工指針)
3 ◯
セメント系注入液と混合撹拌する原位置土が粗粒土になるほど、ソイルセメントの一軸圧縮強度は大きくなる
4 ◯
ソイルセメントの中に挿入する心材としては、H形鋼、I 形鋼、鋼管などが用いられる

[ No. 24 ]
アースドリル工法による場所打ちコンクリート杭地業に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1. 掘削終了後、鉄筋かごを建て込む前に1次孔底処理を行い、有害なスライムが残留している場合には、コンクリートの打込み直前に2次孔底処理を行う。
2. 安定液は、必要な造壁性があり、できるだけ高粘性、高比重のものを用いる。
3. 掘削深さの確認は、検測器具を用いて孔底の2か所以上で検測する。
4. 地下水がなく孔壁が自立する地盤では、安定液を使用しないことができる。

答え

  2
安定液は、孔壁の崩壊を防止する機能とともにコンクリートの打ち込み時にコンクリート中に混入されることなく、コンクリートと良好に置換される機能を合わせ持たねばならない。安定液の配合は、必要な造壁性があるうえで、コンクリートとの置換を考慮して、できるだけ低粘性、低比重のものとするのがよい。
1 ◯
アースドリル工法の掘削終了後、鉄筋かごを建て込む前に底ざらいバケットで1次孔底処理を行い、有害なスライムが残留している場合には、コンクリート打込み直前に2次孔底処理を行う。
3 ◯
アースドリル工法の掘削深さは、検測テープにより検測する。その場合、孔底の2箇所以上で行う
4 ◯
関東ローム層などの安定した地層で、地下水がなく孔壁が自立する地盤の場合には、無水工法で施工することができ、安定液を使用しないことができる

[ No. 25 ]
異形鉄筋の定着等に関する記述として、最も不適当なものはどれか。 ただし、d は異形鉄筋の呼び名の数値とする。
1. 大梁主筋に SD345 を用いる場合の直線定着の長さは、コンクリート強度が同じならば、 同径の SD390 を用いる場合と同じである。
2. 梁下端筋の柱梁接合部への定着は、原則として、梁下端筋を曲げ上げる形状で定着させる。
3. 梁端の上端筋をカットオフする場合には、梁の端部から当該梁の内法長さの 1/4 となる点を起点とし、15 d 以上の余長を確保する。
4. 梁の主筋を柱内に折曲げ定着とする場合には、仕口面からの投影定着長さを柱せいの3/4 倍以上とする。

答え

  1
大梁主筋にSD345を用いる場合の直線定着の長さはSD390を用いる場合より短くなる。(JASS5)
鉄筋の定着長さL2.jpg
2 ◯
梁下端筋の柱梁接合部への定着は、原則として、梁下端筋を曲げ上げる形状とする。やむを得ず曲げ下げる場合には工事監理者の承認を得る。
3 ◯
梁端の上端筋をカットオフする場合は、梁の端部から当該梁の内法長さの 1/4 となる点を起点として、15d以上の余長を確保する
H30-25梁主筋の定着.jpg
4 ◯
梁主筋を柱内に折曲げ定着とする場合の投影定着長さは、原則として、柱せいの 3/4倍以上を飲み込ませる。

[ No. 26 ]
鉄筋の機械式継手に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1. ねじ節継手とは、熱間形成されたねじ節鉄筋の端部に鋼管(スリーブ)をかぶせた後、外側から加圧して鉄筋表面の節にスリーブを食い込ませて接合する工法である。
2. 充填継手とは、内面に凹凸のついた比較的径の大きい鋼管(スリーブ)に異形鉄筋の端部を挿入した後、スリーブ内に高強度の無収縮モルタル等を充填して接合する工法である。   
3. 端部ねじ継手とは、端部をねじ加工した異形鉄筋、あるいは加工したねじ部を端部に圧接した異形鉄筋を使用し、雌ねじ加工されたカップラーを用いて接合する工法である。   
4. 併用継手は、2種類の機械式継手を組み合わせることでそれぞれの長所を取り入れ、施工性を改良したものである。

答え

  1
ねじ筋継手とは、異形鉄筋の節形状がねじ状になるように圧延された鉄筋を雌ねじ加工されたカップラーを用いて接合する工法である。カップラーと鉄筋との間の緩みを解消する方法として、ロックナットを締め付けるトルク方式、カップラーと鉄筋の間の空隙にモルタルまたは樹脂を注入するグラウト方式、両者を併用する方式がある。問題文は鋼管圧着継手の説明である。
2 ◯
充填継手とは、内面に凹凸のついた比較的径の大きい鋼管(スリーブ)に異形鉄筋の端部を挿入した後、スリーブ内に高強度の無収縮モルタル等を充填して接合する工法である。
3 ◯
端部ねじ継手とは、端部をねじ加工した異形鉄筋、または加工したねじ部を端部に摩擦圧接した異形鉄筋を使用し、雌ねじ加工されたカップラーを用いて接合する工法である。
4 ◯
併用継手は、2種類の機械式継手を組み合わせ、それぞれの長所を取り入れ施工性を改良したもの。例として、ねじ節、充填併用継手、充填圧着併用継手、圧着・ねじ併用継手などがある。

[ No. 27 ]
型枠の設計に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1. 固定荷重の計算に用いる型枠の重量は、0.4 kN/m2  とする。
2. 合板せき板のたわみは、単純支持で計算した値と両端固定で計算した値の平均値とする。
3. 型枠に作用する荷重及び外力に対し、型枠を構成する各部材それぞれの許容変形量は、2 mm 以下を目安とする。
4. 型枠の構造計算において、支保工以外の材料の許容応力度は、長期と短期の許容応力度の平均値とする。

答え

  2
合板せき板のたわみは、各支点間を単純梁として計算する。
1 ◯
普通コンクリートでは固定荷重の計算に用いる場合、型枠の自重は 400 N/m2とする。
3 ◯
型枠の強度及び剛性の計算では、コンクリート施工時の鉛直荷重、水平荷重及びコンクリートの側圧について、各部材それぞれの許容変形量の目安を 3mm以下とする。
4 ◯
型枠の構造設計に用いる材料の許容応力度として、支保工以外のものは長期許容応力度と短期許容応力度の平均値を用いる。

[ No. 28 ]
コンクリートの運搬及び打込みに関する記述として、最も不適当なものはどれか。
 1. 粗骨材の最大寸法が 25 mm の普通コンクリートを圧送する場合の輸送管の呼び寸法は、100A 以上とする。
2. コンクリートの圧送に先立ち圧送される先送りモルタルは、品質を低下させるおそれがあるので、型枠内には打ち込まない。
3. マスコンクリートの荷卸し時のコンクリート温度は、原則として、40 ℃ 以下となるようにする。
4. 高性能 AE 減水剤を用いた高強度コンクリートの練混ぜから打込み終了までの時間は、外気温にかかわらず、原則として、120 分を限度とする。

答え

  3
マスコンクリートの荷卸し時のコンクリート温度は、原則として、35℃以下となるようにする。
1 ◯
コンクリートの輸送菅の径は、コンクリートポンプの圧送性に直接影響し、径が大きいほど圧力損失が少なくなり、圧送性も良くなる。粗骨材の最大寸法が 25mmの場合の輸送菅の呼び寸法は 100A以上とする。
H30-28粗骨材に対する輸送菅の寸法.jpg
2 ◯
コンクリートの圧送に先立ち圧送される先送りモルタルは、型枠内に打込まず破棄する。(公共建築工事標準仕様書)
4 ◯
高性能AE減水剤を用いた高強度コンクリートの練混ぜから打ち込み終了までの時間は、外気温による影響を考慮しないで、原則として120分を限度としている。(JASS5)

[ No. 29 ]
コンクリートの養生に関する記述として、最も不適当なものはどれか。 ただし、計画供用期間を指定する場合の級は標準とする。
1. 連続的に散水を行って水分を供給する方法による湿潤養生は、コンクリートの凝結が終了した後に行う。
2. 普通ポルトランドセメントを用いたコンクリートの打込み後5日間は、乾燥、振動等によって凝結及び硬化が妨げられないように養生する。
3. 湿潤養生の期間は、早強ポルトランドセメントを用いたコンクリートの場合は、普通ポルトランドセメントを用いた場合より短くすることができる。
4. 普通ポルトランドセメントを用いた厚さ 18 cm 以上のコンクリート部材においては、コンクリートの圧縮強度が5 N/mm2 以上に達したことを確認すれば、以降の湿潤養生を打ち切ることができる。

答え

  4
短期及び標準の計画供用期間の級で、早強・普通及び中庸熱ポルトランドセメントを用いた厚さ18㎝以上の部材は、10N/mm2以上の圧縮強度を確認すれば、以降の湿潤養生を打ち切ることができる。(JASS5)
1 ◯
コンクリートの養生は連続的または断続的に散水、噴霧等を行う。湿潤養生は、セメントの凝結が終了した後に開始する。(JASS5)
2 ◯
コンクリート打込み中及び打込み後5日間は、コンクリートの温度が2℃を下らないようにし、かつ、乾燥、振動等によってコンクリートの凝結及び硬化が妨げられないように養生しなければならないと規定されている。(建築基準法施行令第75条)
3 ◯
コンクリートの湿潤養生の期間は、早強ポルトランドセメントを用いた場合には3日以上、普通ポルトランドセメントを用いた場合には5日以上としている。(JASS5)

[ No. 30 ]
高力ボルト接合に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1.  ねじの呼びが M22 のトルシア形高力ボルトの長さは、締付け長さに 35 mmを加えた値を標準とした。
2. ナット回転法による締付け完了後の検査は、1次締付け後の本締めによるナット回転量が120 °±45 °の範囲にあるものを合格とした。
3. 摩擦接合面は、すべり係数 0.45 以上を確保するため、グラインダー処理後、自然発生した赤錆状態を確認した。
4.  ねじの呼びが M 22 の高力ボルトの1次締付けトルク値は、約 150 N・m とした。

答え

  2
ナット回転法による締付け完了後の検査は、1次締付け後のナットの回転量120° ± 30° の範囲にあるものを合格とする。(JASS6)
1 ◯
呼び径がM22のトルシア形高力ボルトの長さは、締付け長さに35mmを加えた値を標準とする。
H30-30高力ボルト締付け長さに加える長さ.jpg
3 ◯
高力ボルト摩擦接合面のすべり係数は、摩擦面の状態によって違いがあり、自然発生の錆が赤錆状態であれば、すべり係数 0.45が確保できる。
4 ◯
呼び径がM22の高力ボルトの1次締付けトルク値は、約150 N・m(約15,000 N・cm)とする。
H30-30-1次締めトルク値.jpg

[ No. 31 ]
大空間鉄骨架構の建方に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1. 総足場工法は、必要な高さまで足場を組み立てて、作業用の構台を全域にわたり設置し、架構を構築する工法である。
2. スライド工法は、作業構台上で所定の部分の屋根鉄骨を組み立てたのち、そのユニットを所定位置まで順次滑動横引きしていき、最終的に架構全体を構築する工法である。
3. 移動構台工法は、移動構台上で所定の部分の屋根鉄骨を組み立てたのち、構台を移動させ、 順次架構を構築していく工法である。
4. リフトアップ工法は、地組みした所定の大きさのブロックをクレーン等で吊り上げて架構を構築する工法である。

答え

  4
リフトアップ工法は、全体の工事を地上部など安全性の高い作業環境で行い、ジャッキシステムなどで所定の高さまで揚重して完成させる工法である。
1 ◯
総足場工法は、必要な高さまで足場を組み立てて、作業構台を全域にわたり設置し、架構を構築する工法である。
2 ◯
スライド工法は、地上及び一部分に作業構台を組み、その作業構台上で所定の部分の屋根鉄骨を組み立て、組み立てられた屋根鉄骨ユニットを軒梁などに沿って所定の位置まで順次滑動横引きしていき、最終的に架構全体を構築する工法である。
3 ◯
移動構台工法は、移動構台上で所定の部分の屋根鉄骨を組み立てたのち、構台を移動させ、順次架構を構築していく工法である。

[ No. 32 ]
大断面集成材を用いる木造建築物に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1. 接合金物のボルトの孔あけ加工の大きさについて、ねじの呼びが M16未満の場合は公称軸径に1 mm を加えたものとし、M16 以上の場合は 1.5 mm を加えたものとした。
2.  大規模な木造架構であったため、全体の建方が完了してからの建入れ修正ができなかったので、建方に並行してブロックごとに建入れ直しを行った。
3. 集成材は、現場搬入から建方まで 15 日以上要したので、雨がかからないように防水シートで覆いをかけて保管した。
4. 大断面材に設ける標準的なボルト孔の心ずれは、許容誤差を 5 mm以内とした。

答え

  4
大断面材に設ける標準的なボルト孔の心ずれは、許容誤差を± 2mm以内とする。
1 ◯
接合金物のボルトの孔あけ加工の大きさは、ねじの呼びが M16未満の場合は公称軸径に 1mmを加えたものとし、M16以上の場合は、1.5mmを加える。
2 ◯
大規模な木造架構において、全体の建方が完了してからの建入れ修正ができない場合は、建方に並行してブロックごとに建入れ直しを行う。
3 ◯
集成材は、現場搬入から建方まで日数がかかる場合は、防水シート等で覆って保管する。

[ No. 33 ]
揚重運搬機械に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1.  ロングスパン工事用エレベーターの搬器には、周囲に堅固な手すりを設け、手すりには中さん及び幅木を取り付けなければならない。
2.  ロングスパン工事用エレベーターは、安全上支障がない場合、搬器の昇降を知らせるための警報装置を備えないことができる。
3.  建設用リフトは、土木、建築等の工事の作業に使用され、人及び荷を運搬することを目的とするエレベーターである。
4.  建設用リフトの定格速度とは、搬器に積載荷重に相当する荷重の荷をのせて上昇させる場合の最高の速度をいう。

答え

  3
建設用リフトとは、荷のみを運搬することを目的とするエレベーターで、土木、建築等の工事の作業に使用されるものと定められている。(労働安全衛生法施工令第1条第十号)人間を運搬することはできない。
1 ◯
ロングスパン工事用エレベーターの搬器は、周囲に堅固な手すりを設け、さらに手すりには中さん及び巾木を取り付けなければならない
2 ◯
ロングスパン工事用エレベーターは、安全上支障がない場合、搬器の昇降を知らせるための警報装置を備えないことができる
4 ◯
建設用リフトの定格速度とは、搬器に積載荷重に相当する荷重の荷をのせて上昇させる場合の最高の速度をいう。また、建設用リフトの荷重試験は、建設用リフトに積載荷重の1.2倍に相当する荷重の荷をのせて、昇降の作業を行う

1級建築施工管理技士 平成30年 学科 問題4解説

平成30年 1級建築施工管理技士 学科 問題4 解答解説

※   問題番号[ No.34 ] ~[ No.45 ] までの 12 問題のうちから、5 問題を選択し、解答してください。
[ No. 34 ]
合成高分子系ルーフィングシート防水に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1. 加硫ゴム系シート防水接着工法において、平場のシート相互の接合幅は 100 mmとし、水上側のシートが水下側のシートの上になるように張り重ねた。
2. 塩化ビニル樹脂系シート防水接着工法において、下地とシートの接着には、エポキシ樹脂系の接着剤を用いた。
3. 塩化ビニル樹脂系シート防水の出隅角の処理は、シートの張付け後に成形役物を張り付けた。
4. 加硫ゴム系シート防水の出隅角の処理は、シートの張付け前に加硫ゴム系シートで増張りを行った。

答え

  4
加硫ゴム系シート防水の出隅角の処理は、シートの張付けに先立ち、非加硫ゴム系シートを用いて増張りする。(JASS8)
1 ◯
シート相互の接合部は、原則として水上側のシートが水下側のシートの上になるように張り重ね、その平場の接合幅は、長手、幅方向とも 100mm以上とする。(JASS8)
2 ◯
塩化ビニル樹脂系シート防水接着工法では、下地とシートの接着に、エポキシ樹脂系の接着剤を用いる。
3 ◯
塩化ビニル樹脂系接着工法の場合、シート防水の出隅角の処理は、シートを張り付けた後、成形役物を張り付け、その端部はシール材を用いて処理する。(JASS8)

[ No. 35 ]
シーリング工事に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1. ワーキングジョイントに装填する丸形のバックアップ材は、目地幅より 20 % 大きい直径のものとした。
2. 先打ちしたポリウレタン系シーリング材に、ポリサルファイド系シーリング材を打ち継いだ。
3. シリコーン系シーリング材を充填する場合のボンドブレーカーは、シリコーンコーティングされたテープとした。
4. ワーキングジョイントの目地幅が 20 mm だったので、目地深さは、12 mm とした。

答え

  3
シリコーン系シーリング材を充填する場合、ポリエチレンテープのボンドブレーカーを用いるのが一般的である。(JASS8)
H30-35シーリング材とボンドブレーカーの組合わせ.jpg
1 ◯
ワーキングジョイントに装填する丸形ポリエチレン発泡体は、目地幅より 20〜30%大きい直径のものを選定する。(JASS8)
2 ◯
ポリサルファイド系シーリング材に後打ちできるシーリング材には、変成シリコーン系、シリコーン系、ポリウレタン系等がある。(JASS8)
4 ◯
ワーキングジョイントの目地寸法、打ち継ぎ目地及びひび割れ誘発目地は、幅 20mm以上、深さ 10mm以上とする。

[ No. 36 ]
セメントモルタルによる壁タイル後張り工法に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1. 外壁タイル張り面の伸縮調整目地の位置は、縦目地を 3 m 内外に割り付け、横目地を各階ごとの打継ぎ目地に合わせた。
2. マスク張りでは、張付けモルタルを塗り付けたタイルは、塗り付けてから 20 分を限度に張り付けた。
3. 改良圧着張りの化粧目地詰めは、タイル張付け後 24 時間経過したのちとした。
4.  モザイクタイル張りの張付けモルタルは2層に分けて塗り付けるものとし、1層目はこて圧をかけて塗り付けた。

答え

  2
マスク張りの特徴の1つが、塗り置き時間を短くできることである。タイルへ張付けモルタルを塗り付け後、タイルを壁面に張付けるまでの時間は5分以内とする。(JASS19)
1 ◯
外壁タイル張り面の伸縮調整目地の位置は、各階の打継ぎ箇所や柱形・開口部寸法に応じた構造上の要所とし、縦目地を3m 内外、横目地を4m内外ごとに設ける。
3 ◯
化粧目地詰めは、タイル張付け後、24時間以上経過したのち、張付けモルタルの硬化を見計らって行う。(公共建築工事標準仕様書)
4 ◯
モザイクタイル張りの張付けモルタルの塗付けは、いかに薄くとも2度塗りとし、1度目は薄く下地面にこすりつけるように塗り、下地モルタル面の微妙な凸凹にまで張付けモルタルが食い込むようにし、ついで張付けモルタルを塗り重ね、3mm程度の厚さとし定規を用いてむらのないように塗厚さを均一にする。(建築工事監理指針)

[ No. 37 ]
心木なし瓦棒葺に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1. けらば納めの端部の長さは、瓦棒の働き幅の 2 /3とした。
2. 通し吊子の鉄骨母屋への取付けは、平座金を付けたドリルねじで、下葺、野地板を貫通させ母屋に固定した。
3. 棟部の納めに棟包みを用い、棟包みの継手をできるだけ瓦棒に近い位置とした。
4. 水上部分と壁との取合い部に設ける雨押えは、壁際立上がりを 150 mm とした。

答え

  1
けらば部の溝板の幅は、心木なし瓦棒の働き幅の 1/2以下とする。
2 ◯
通し吊り子をマーキングに合わせて平座金を付けたドリリングタッピンねじ下葺野地板を貫通させ母屋に固定する。(JASS12)
3 ◯
棟部の納めは棟包みとし、棟包みの継手はできるだけ瓦棒に近い位置とする。
4 ◯
水上部分と壁との取合い部に設ける雨押えは、壁際で120mm程度立ち上げてむだ折りを付ける。(JASS12)

[ No. 38 ]
軽量鉄骨壁下地に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1.  ランナーは、両端部は端部から 50 mm 内側で固定し、中間部は 900 mm 間隔で固定した。
2.  振れ止めは、床ランナーから 1,200 mm 間隔で、スタッドに引き通し、固定した。
3.  スタッドの建込み間隔の精度は、±5 mm とした。
4.  スペーサーは、各スタッドの端部を押さえ、900 mm 間隔に留め付けた。

答え

  4
スペーサーは、各スタッドの端部を押さえ、間隔600mm程度に留め付ける。
1 ◯
軽量鉄骨壁下地ランナーの固定位置は、両端部から 50mm内側とし、中間部は間隔 900mm程度に打込みピンなどで床梁下・スラブ下に固定する。(建築工事監理指針)
2 ◯
振れ止めは、床面ランナー下端より間隔約 1,200mmごとに設ける。ただし、上部ランナー上端から400mm以内に振れ止めが位置する場合は、その振れ止めを省略することができる。
3 ◯
スタッドの建て込み間隔の精度は ±5mm以下、また、スタッドの垂直の精度は ±2mmとする。

[ No. 39 ]  
防水形合成樹脂エマルション系複層仕上塗材(防水形複層塗材 E)に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1.  下塗材は、所要量を 0.2 kg/m2 とし、専用うすめ液で均一に薄めた。
2. 主材の基層塗りは、所要量を 1.7 kg/m2 とし、2回塗りとした。
3. 増塗りは、主材塗りの後に行い、出隅、入隅、目地部、開口部まわり等に、ローラーにより行った。
4.  凸部処理は、見本と同様の模様で均一に仕上がるように、ローラーにより行った。

答え

  3
入隅、出隅、目地部、開口部まわりなど均一に塗りにくい箇所は、はけやコーナー用ローラーなどで、主材塗りの前に増塗りを行う。
1 ◯
下塗材は、所要量を 0.2 kg/m2とし、専用うすめ液で均一に薄める
2 ◯
主材の基層塗りは2回塗りとし、だれ、ピンホール、塗り残しのないよう下地を覆うように塗り付ける。主材基層の所要量は 1.5〜1.7 kg/m2とする。
4 ◯
凸部の処理は、見本と同様の模様で均一に仕上がるように、ローラーブラシ塗りで行う。

[ No. 40 ]
アルミニウム製建具に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1. 建具の組立てにおいて、隅部の突付け部分はシート状の止水材を使用した。
2. 見え隠れ部分で使用する補強材に、亜鉛めっき処理した鋼材を使用した。
3.  水切り、ぜん板は、アルミニウム板を折曲げ加工するので、厚さを 1.2 mmとした。
4. 建具枠のアンカーは、両端から逃げた位置から、間隔を 500 mm 以下で取り付けた。

答え

  3
アルミニウム板を加工して、枠、かまち、水切り、ぜん板及び額縁に使用する場合の厚さは1.5mm以上とする。(建築工事監理指針)
1 ◯
建具の組立てにおいて、隅部の突付け部分は、漏水防止のためのシーリング材またはシート状の止水材を使用する
2 ◯
補強材、力骨、アンカー等は、鋼製またはアルミニウム合金製とし、鋼製のものは、亜鉛めっきを行う等の接触腐食の防止処置を行う必要がある。
4 ◯
アンカーの位置は、開口部より 150mm内外を端とし、中間は 500mm内外の間隔とする。アンカーと差し筋は最短距離で溶接する。(JASS16)

[ No. 41 ]
塗装工事に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1. 亜鉛めっき鋼面の常温乾燥形ふっ素樹脂エナメル塗りにおいて、下塗りに変性エポキシ樹脂プライマーを使用した。
2. モルタル面のアクリル樹脂系非水分散形塗料塗りにおいて、下塗り、中塗り及び上塗りの塗付け量をそれぞれ同量とした。
3.  コンクリート面のアクリルシリコン樹脂エナメル塗りにおいて、下塗りに反応形合成樹脂シーラーを使用した。
4. 屋外の木質系素地面の木材保護塗料塗りにおいて、原液を水で希釈し、よく撹拌して使用した。

答え

  4
木材保護塗料塗りは通常屋外で使用される木質系素地に対して適用される。木材保護塗料は、原液で使用するこtを基本とし、希釈はしない
1 ◯
亜鉛めっき鋼面の常温乾燥形ふっ素樹脂エナメル塗りの下塗りには、変性エポキシ樹脂プライマーを使用する。(JASS18)
2 ◯
アクリル樹脂系非水分散形塗料塗りの工程は、下塗り、中塗り、上塗りの順に同じ塗料を用い、塗り付け量はともに 0.10 kg/m2とする(JASS18)
3 ◯
コンクリート面のアクリルシリコン樹脂エナメル塗りにおいえ、下塗りに反応形合成樹脂シーラーを使用する。

[ No. 42 ]
合成樹脂塗床に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1. 樹脂パテや樹脂モルタルでの下地調整は、プライマーの塗布後に行った。
2. 薬品を使用する実験室の塗床は、平滑な仕上げとするため、流しのべ工法とした。
3. 下地調整に用いる樹脂パテは、塗床材と同質の樹脂とセメントなどを混合したものとした。
4. エポキシ樹脂のコーティング工法のベースコートは、金ごてで塗り付けた。

答え

  4
エポキシ樹脂のコーティング工法は、主に水性形、溶剤形の塗床材をローラーばけやスプレーで塗り付ける工法である。(建築工事監理指針)
1 ◯
合成樹脂を配合したパテ材や樹脂モルタルで下地調整を行う場合は、プライマーを塗布し乾燥後に行うのが一般的である。(建築工事監理指針)
2 ◯
流しのべ工法とは、塗床材あるいは塗床材に骨材を混合することによって、平滑に仕上げるセルフレベリング工法で、実験室、工場等に使用される。(建築工事監理指針)
3 ◯
下地調整に用いる樹脂パテは、塗床材と同質の樹脂に無機質系充填材あるいはセメント等の水硬性物質またはよう変性付与材等を加えパテ状としたものである。2mm以下のピンホール、巣穴及び、ひび割れ等の目つぶしあるいは不陸の修正に用いる。(建築工事監理指針)

[ No. 43 ]
壁のせっこうボード張りに関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1. 軽量鉄骨壁下地にボードを直接張り付ける場合、ドリリングタッピンねじの留付け間隔は、 中間部 300 mm 程度、周辺部 200 mm 程度とする。
2. せっこう系接着材による直張り工法において、ポリスチレンフォーム断熱材が下地の場合は、プライマー処理をして、ボードを張り付ける。
3. せっこう系接着材による直張り工法において、ボード中央部の接着材を塗り付ける間隔は、 床上 1,200 mm 以下の部分より床上 1,200 mm を超える部分を小さくする。
4. テーパーボードの継目処理において、グラスメッシュのジョイントテープを用いる場合は、 ジョイントコンパウンドの下塗りを省略できる。

答え

  3
せっこう系接着材直張り工法における張付け用接着材の塗付け間隔は、ボード周辺部を150〜200mm、床上1.2m以下の部分を200〜250mm、床上1.2mを超える部分を250〜300mmとする
1 ◯
軽量鉄骨壁下地にボードを直接張り付ける場合の留付け用小ねじの間隔は、周辺部で 200 mm 程度、中間部で 300 mm 程度であり、中間部の方が間隔が大きい。(JASS26)
2 ◯
ポリスチレンフォーム下地の場合は、打込み工法と現場発泡工法があるが、せっこう系直張り用接着材の製造所が指定するプライマー処理を行う。(建築工事監理指針)
4 ◯
テーパーボードの継目処理で、ジョイントテープにグラスメッシュを用いる場合は、 裏面に粘着剤が塗布されるので、ジョイントコンパウンドの下塗りを省略してもよい。(公共建築工事標準仕様書)

[ No. 44 ]
屋上露出防水層の上に植栽を行う屋上緑化システムに関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1.   排水のためのルーフドレンは、1排水面積当たり2か所以上設置し、その口径は目詰まりを考慮して余裕のあるものとする。
2. 施工に当たっては耐根層を損傷することのないように注意するとともに、耐根層を保護する耐根層保護層(衝撃緩衝層)を敷設してから植栽を行う。
3. 壁面等立上り部に直接土壌が接する場合、敷設する耐根層は、接する土壌仕上面より5 cm 下がった位置まで立ち上げる。
4. 植栽地の見切り材(土留め材)に設ける排水孔には、目詰まり防止、土壌流出防止のための処理を行う。

答え

  3
壁面等立上り部に直接土壌が接する場合、敷設する耐根層は、接する土壌仕上げ面より5㎝高い位置まで立ち上げる。
1 ◯
排水のためのルーフドレンは、1排水面積当たり2箇所以上設置し、その口径は目詰まりを考慮して余裕のあるものとする。ドレンの点検・清掃ができるように、ルーフドレンには必ずドレンカバーを設置する。
2 ◯
屋上緑化システムは、耐根層、耐根層保護層、排水層、透水層及び土壌層の5層で構成され、施工に当たっては耐根層を損傷することのないように注意し、耐根層を保護する耐根層保護層(衝撃緩衝層)を敷設してから植栽を行う。
4 ◯
植栽地の見切り材(土留め材)に設ける排水孔には、目詰まり防止、土壌流出防止のための処理を行う

[ No. 45 ]
鉄筋コンクリート造建築物の小口タイル張り壁面の浮きの調査方法と改修工法に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1. 打診法は、打診用ハンマーなどを用いてタイル張り壁面を打撃して、反発音の違いから浮きの有無を調査する方法である。
2. 赤外線装置法は、タイル張り壁面の内部温度を赤外線装置で測定し、浮き部と接着部における熱伝導の違いにより浮きの有無を調査する方法で、天候や時刻の影響を受けない。
3. アンカーピンニング部分エポキシ樹脂注入工法は、タイル陶片の浮きがなく目地モルタル が健全で、構造体コンクリートと下地モルタル間に浮きが発生している場合に用いる工法である。
4. 注入口付アンカーピンニングエポキシ樹脂注入タイル固定工法は、構造体コンクリートと下地モルタル間に浮きがなく、タイル陶片のみに浮きが発生している場合に用いる工法である。

答え

  2
赤外線装置法は、建物の外壁タイルやモルタル仕上げの壁面において、浮き部と健全部の熱伝導の違いによって生じる表面の温度差を赤外線画像装置により測定して、浮き部を検出する方法で、撮影時の環境温度、壁面が受ける日射強度及び日射の蓄積時間、季節、天候、時刻、気温などの影響を受ける
1 ◯
打診法は、打診用ハンマーなどを用いてタイル張り壁面を打撃して、反発音の違いから浮きの有無を調査する方法である。
3 ◯
アンカーピンニング部分エポキシ樹脂注入工法は、1箇所の浮き面積が 0.25 m2 未満の浮きに対する工法である。1箇所の浮き面積が 0.25 m2 以上の浮きにはアンカーピンニング全面エポキシ樹脂を使用する。
4 ◯
注入口付アンカーピンニングエポキシ樹脂注入タイル固定工法は、タイル陶片の浮きに適用する唯一の工法で、無振動ドリルの注入口付アンカーピンの開発によって可能になった工法である。タイルの中心に穿孔するので、小口タイル以上の大きさのタイルの浮きの補修に適した工法である。