1級建築施工管理技士 二次検定 経験記述 品質管理【傾向分析】①

近年の経験記述の予想のひとつである「品質管理」に関する記述について
まとめたいと思います。
なお、29年度は「品質を確保した上での」「合理化」となっているので、注意が必要です。

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チェックポイント1
「重要品質」と「管理項目」の違いを理解する
チェックポイント2
PDCAサイクルを繰り返すことにより、
品質は向上すること理解する
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品質管理とは?
品質水準の安定と向上を図ることであり、試験では主に、「設計図書の品質を確保するために、施工上どのような活動をしたか」といった記述が求められます。

「品質管理」の記述上のポイント
品質管理では工事概要の他、2題出題されます。
・1題目
工事概要であげた工事現場で経験したこと
・2題目
工事概要であげた工事に関わりなくあなたの考え

出題は平成18年、20年、23年、26年、28年ですが、解答の仕方は細かく指定されています。
特に最近では、重要品質に条件が付いているので、事例の選択にあたっては、注意する必要があります。

「品質管理」で要求される記述
工事概要であげた工事現場で経験したことについて

「重要品質・要求品質」(H18,H20,H23,H26,H28)

「重要品質となる理由」(H20,H28)

「重要品質管理目標」 (H18,H20,H23,H26)

「管理項目や留意事項」(H20,H23,H26)

「管理項目が重要品質確保に有効な理由」(H18,H20,H23,H26)

「実施した内容」(確認や記録の方法を含む)(H18,H20,H23,H26,H28)

のいずれかを記述することが要求されています。
全てが出題されても解答できるように、
自分の経験を上記6項目に分けて整理しておく。

「重要品質・要求品質」とは建物の持つ重要な性能のことで、

・鉄筋コンクリートの耐久性
・建物の寸法精度
・外装仕上げの美観性
・外装タイルの接着力
・建物の居住性
・内装(内壁)仕上げの美観性
・断熱性能
・屋上の防水性能
などがあげられます。

「重要品質となる理由」とは(★現在形で表記する)
特に、住宅系の建物であれば、居住性の確保との関連など

例)屋上の防水性能の確保は、居住性を高める大きな要因となるため。

「重要品質管理目標」とは
重要品質を確保するための目標を記述します。
目標という観点から大きく捉えると、「不具合をなくす。強度を確保する。」
という主旨の内容のにすると記述しやすいです。

例)屋上からの漏水の発生をゼロにする。

「管理項目や留意事項」とは
重要品質を確保するために管理した項目を記述します

例)「建物の寸法精度の確保」のための「鉄骨の建入れ精度の確保」の管理などが考えられます

例)アスファルト防水下地の含水率

「管理項目が重要品質確保に有効な理由」とは
(★現在形で表記する)
管理項目(または実際に行ったこと)の内容が、なぜ重要品質の確保に有効なのかを記述します。

例)下地の含水率は防水層の接着性に大きく影響し、下地不良はふくれ・破損を招き、雨漏りの原因となるため

「実施した内容」とは
(★必ず過去形で表記する)
管理項目について良好な結果を得るために、現場において実施したことを記述します。

例)
コンクリートの乾燥状態を高周波水分計を用いて、コンクリート下地の含水率(8%以下)を確認し、チェックリストに記録した。
8%以下は記載しない
(現在、JASS8 には 8%という数値規定はない)

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(2)の問題
工事概要であげた工事関係なく、あなたの考え方を問う問題について
「品質の良い建物を提供して施主の要望実現や満足度向上をするにはどうしたらいいか?」ということについて問われています。

品質管理の問題に関しては、会社全体としての取組みについてまとめるのが
望しいと思います。

1級建築施工管理技士 二次検定 経験記述 品質管理【傾向分析】②(記述例)

それでは、
「品質管理」の記述例を下記に示すので、
参考にして自分なりの解答をまとめておきましょう。

記述で求められる内容
[ 重要品質 ]
[ 重点品質管理目標 ]
[ 管理項目 ]
[ 定めた理由 ]
[ 実施した内容 ]

1.躯体工事

[ 重要品質 ]◆鉄筋コンクリート躯体の強度不足

[ 重点品質管理目標 ]
鉄筋ガス圧接部の強度不足を完全に防止する。

[ 管理項目 ]
鉄筋ガス圧接端面の処理

[ 定めた理由 ]
圧接端面の処理は、圧接部の強度に大きく影響するため。

[ 実施した内容 ]
・圧接端面に付着した錆、油脂、塗料、セメントペーストなどは完全に除去してから圧接作業にかかった。

・圧接端面をグラインダーによりできるがぎり平滑、軸方向に対して直角に仕上げ、突合せ面のすき間について2mm以下で管理し、スケールにて確認した。


[ 重要品質 ]◆鉄筋コンクリート躯体の強度不足

[ 重点品質管理目標 ]
鉄筋ガス圧接部の強度不足を完全に防止する。

[ 管理項目 ]
鉄筋のガス圧接部の形状確認

[ 定めた理由 ]
圧接部の形状は、圧接部の強度に大きく影響するため。

[ 実施した内容 ]
圧接部の形状は目視、計測器を用いて全数検査し、適正範囲であることを確認し、写真とともにチェックリストに記録した。


[ 重要品質 ]◆仕上げの美観性

[ 重点品質管理目標 ]
コンクリート下地のひび割れをゼロにする。

[ 管理項目 ]
コンクリート直押え面の養生

[ 定めた理由 ]
コンクリートの養生方法が不適切であると、コンクリート面にひび割れが発生し、仕上げ面にそのまま現れる恐れがあるため。

[ 実施した内容 ]
計画共用期間の級が標準のコンクリートであったため、コンクリート打込み後5日以上、散水により湿潤状態を保つよう養生管理した。


[ 重要品質 ]◆外壁の美観性

[ 重点品質管理目標 ]
外壁コンクリート壁面の目違いを2mm以下にする。

[ 管理項目 ]
外壁打放しコンクリート面の型枠精度

[ 定めた理由 ]
外壁仕上げの仕様がコンクリート打放し仕上げであり、その美観性は、型枠精度による不陸、目違いが大きく影響するため。

[ 実施した内容 ]
外壁部のせき板は、すべて新品の表面加工品(パネルコート)を用い、型枠パネルに用いる端太用桟木の厚さはプレーナー掛けにより、誤差1mm以内で管理した。


[ 重要品質 ]◆外壁の防水性能

[ 重点品質管理目標 ]
外壁このコールドジョイントの発生をゼロにする。

[ 管理項目 ]
外壁打放しコンクリートの打設時間の管理

[ 定めた理由 ]
外壁のコールドジョイントは防水性能低下の要因となり、コンクリート打設時間の管理がコールドジョイント発生を抑制でしるため。

[ 実施した内容 ]
打込み継続中の打重ね時間間隔(外気温が27℃であったので120分以内)を厳守して打設し、チェックリストに記録した。


[ 重要品質 ]◆建物の住居性

[ 重点品質管理目標 ]
建具の開閉不良をゼロにする。

[ 管理項目 ]
木工事における柱の鉛直精度と梁の水平精度の確保

[ 定めた理由 ]
木構造の柱の鉛直及び梁の水平精度の不良は、仕上げ材の下地の精度に大きく影響し、最終的に建具の開閉不良の原因となるため。

[ 実施した内容 ]
建入れ直し後に、下げ振りや水平器、レベル等を使用して建入れ検査を行い、通し柱等構造上重要な柱については全数2方向から計測し、傾き1/1000以下であることを確保し、チェックリストに記録した。

2.仕上げ工事

[ 重要品質 ]◆屋上の防水性能

[ 重点品質管理目標
屋上からの漏水の発生をゼロにする。

[ 管理項目 ]
アスファルト防水下地の状態の確認

[ 定めた理由 ]
下地の状態は防水層の接着性に大きく影響し、下地不良は、膨れ、破損を招き、雨漏りの原因となるため。

[ 実施した内容 ]
コンクリートの乾燥状態を見計らって、高周波水分計を用いてコンクリート下地の含水率(8%以下)を確認し、チェックリストに記録した。
平場のコンクリート面は、釘、突起物等の除去状況をチェックシートにて確認し、不十分な場合はグラインダーにて削り、平滑に仕上げた。


[ 重要品質 ]◆外壁の防水性能

[ 重点品質管理目標 ]
外壁面からの漏水の発生をゼロにする

[ 管理項目 ]
シーリング材2面接着の確保

[ 定めた理由 ]
外壁がALCパネルであったことから、シーリングと目地底が接着していると被着体の挙動によりシーリングの破損・漏水につながるため。

[ 実施した内容 ]
シーリング施工前に所定のバックアップ材が挿入され、適正な目地深さが確保できていることを曲尺にて確認しチェックリストに記録した。


[ 重要品質 ]◆外装仕上げの耐久性

[ 重点品質管理目標 ]
外壁タイルの浮き・はく落の完全防止

[ 管理項目 ]
密着張りの張付けモルタルの時間管理

[ 定めた理由 ]
張付けモルタルの可使時間を超えてしまう施工は、タイルの接着性に悪影響を与え、タイルの浮きやはく落の原因となるため。

[ 実施した内容 ]
張付けモルタルを一度に塗り付ける面積2㎡以内の確認をするとともに、張付けモルタル塗付け開始後15分で進捗を確認し、20分以内で張り終えたことを最終確認した上で、チェックリストに記録した。


[ 重要品質 ]◆建物の居住性

[ 重点品質管理目標 ]
間仕切り壁の倒れ(傾き)を2mm以内にする。

[ 管理項目 ]
ランナーの通りとスタッドの倒れの精度

[ 定めた理由 ]
軽量鉄骨下地の施工精度が不良であると、間仕切壁の最終仕上げの精度が不良となり、家具の設置不良等、居住性に影響するため。

[ 実施した内容 ]
施工図に基づき間仕切の墨出し位置を確認し、スタッドはねじれのないものを選定し、倒れを下げ振りにて2mm以内で管理し施工した。


[ 重要品質 ]◆内壁仕上げの精度と美観性

[ 重点品質管理目標 ]
間仕切壁の強度不足の完全防止

[ 管理項目 ]
スタッドの建込み間隔・位置の精度

[ 定めた理由 ]
スタッドの間隔が大きすぎると、ボードの暴れが大きく、間仕切壁の振動も大きくなり、最終的に内壁仕上げの精度・美観性に大きく影響するため。

[ 実施した内容 ]
ボード1枚張りであったため、スタッド間隔が300mmであることをスケールにて確認するとともに、抜き取りで建て込み位置を確認し、±5mm以内にあることを確認した。


[ 重要品質 ]◆外装仕上げの耐候性と美観性

[ 重点品質管理目標 ]
外装吹付けによるムラの発生をゼロにする。

[ 管理項目 ]
塗装の塗付け量の確認

[ 定めた理由 ]
塗料の塗付け量が一定でないと、外壁面の耐候性と美観性に影響するため。

[ 実施した内容 ]
塗装範囲ごとに、塗装面積に対する塗料の塗付け量(○.○○kg/㎡)を算出し、算出した数量と塗料の使用量より適正な塗膜厚さが確保されていることを確認し、チェックリストに記録した。


[ 重要品質 ]◆内装仕上げの美観性

[ 重点品質管理目標 ]
内壁の不陸をゼロにする。

[ 管理項目 ]
石こうボードのパテ処理。

[ 定めた理由 ]
石こうボードのパテ処理が不良であると、石こうボードの縦目地に凹凸が発生し、内壁の美観性に影響するため。

[ 実施した内容 ]
下塗り・中塗り・上塗りのパテの色を変えて、パテ処理回数を確認するとともに、表面状態を確認し、チェックリストに記録した。


[ 重要品質 ]◆建物の居住性

[ 重点品質管理目標 ]
和室建具の開閉不良クレームの根絶

[ 管理項目 ]
造作材・木製建具の含水率

[ 定めた理由 ]
造作材・木製建具の含水率が大きいと、施工後の乾燥収縮により狂いが生じ、仕上げ精度、建具の開閉等に大きく影響するため。

[ 実施した内容 ]
敷居、鴨居等の部材は、工事現場搬入時に、高周波水分計にて含水率15%以下で管理・確認した。

以上、参考にして、自分が経験した建築工事に関して、
指導的立場に立った工事に対してまとめておく。

2項目程度の記述が求められるケースが多いので、ケースに応じて、最低3項目程度はまとめておく方がよい。