令和3年1級建築施工管理技士 二次検定 問題2 解答解説

令和3年 1級建築施工管理技士 二次 問題2 解答 解説

問題2
次の1.から3.の建築工事における仮設物の設置を計画するに当たり、留意及び検討すべき事項2つ具体的に記述しなさい。
ただし、解答はそれぞれ異なる内容の記述とし、申請手続、届出及び運用管理に関する記述は除くものとする。また、使用資機材に不良品はないものとする。
1.仮設ゴンドラ

(記述例)

平成29年度に出題された問題である。

①ゴンドラを設置するための突りょうは、取り付ける位置と形状に適したものとし、十分な強度を確保できるものとする。

②定格速度は、ゴンドラの作業床に積載荷重に相当する荷重のものをのせて上昇させる場合の最高の速度をいう。

③ゴンドラの選定及び設置位置については、ゴンドラ作業の内容を十分把握・検討し、作業内容に最適な計画とする。

(解説)

・ゴンドラを使用して作業を行う場所については、当該作業を安全に行うため必要な照度を確保する計画とする。

2.場内仮設事務所

(記述例)

平成25年度に出題された問題である。

①事務所本体、外構、埋設設備等の工事に支障のない位置とする。

②出来る限り作業の状況が確認しやすく、また資材の動き、人の動きが見える所とする。

[ 解説 ]

場内仮設事務所の計画での留意事項または検討すべき事項については、以下の①~③等がある。

①設計・工事事務所の現場の出入口に近く、かつ、現場の状況がよく見える位置に計画する。

②設計事務所と工事事務所の位置は、両者の打合せがスムーズにできるよう、近接位置とする。

③仮設事務所の位置は、工事の終了間際まで使用できる位置とする。

3.工事ゲート(車両出入口)

(記述例)

平成23年度に出題された問題である。

①ゲートの幅は、搬入を計画する車両が無理なく道路から進入可能な回転半径を確保し、ゲートの梁または上部枠の高さは、車両限界高さの3.8mを超える高さを確保することに留意検討して計画する。

②ゲートの構造として、歩行者が安全歩行できる滑り止めの仕上げを確保すること。また、車両出入口であることを示すがめのトラマークと表示看板や警報灯や警報設備等も検討する。

③ゲートとして安全に侵入者を防ぎ、完全防備な機能を備えていること。また、強風に対しても安全な強度を備えた構造を持つように留意し検討する。

④交差点の近くや交通量の多い道路を避けて配置し、ゲートそばの仮囲い板を透明にして、歩行者等が目視できるように留意、検討する。

(解説)

工事現場は、原則として危害防止のため仮囲いを設けなければならないが、資機材の搬出入のため、大型車両が出入りする。このために第三者との接点になるゲートの設置については、特に第三者災害をいかに防ぐかを第一として、留意、検討しなければならない。

令和3年1級建築施工管理技士 二次検定 問題3 解答解説

令和3年 1級建築施工管理技士 二次 問題3 解答 解説

問題3
市街地での事務所ビルの新築工事において、各階を施工数量の異なるA工区とB工区に分けて工事を行うとき、右の躯体工事工程表(基準階の柱、上階の床、梁部分)に関し、次の1.から4.の問いに答えなさい。
工程表は検討中のもので、型枠工10人、鉄筋工6人をそれぞれ半数ずつの2班に割り振り、両工区の施工を同時に進める計画とした。
各作業班の作業内容は作業内容表のとおりであり、Aで始まる作業名はA工区の作業を、Bで始まる作業名はB工区の作業を、Cで始まる作業名は両工区同時に行う作業を示すが、作業A4、B4及び作業A8、B8については作業内容を記載していない。
各作業は一般的な手順に従って施工されるものとし、検査や設備関係の作業については省略している。
なお、安全上の観点から鉄筋工事と型枠工事の同時施工は避け、作業A3、B3及び作業A7、B7はA、B両工区の前工程が両方とも完了してから作業を行うこととする。
[ 工事概要 ]
用途:事務所
構造・規模:鉄筋コンクリート造、地上6階、塔屋1階、延べ面積3,000m2
階段は鉄骨造で、別工程により施工する。
躯体工事工程表(基準階のは柱、上階の床、梁部分)



作業内容表(所要日数、必要総人数には仮設、運搬を含む)

1.作業A4、B4及びA8、B8の作業内容を記述しなさい。

(解答)

A4,B4:壁型枠 建込み

A8,B8:スラブ配筋

(解説)

配筋の順序は

柱 → 壁 → 梁 → 床

(垂直のもの)→(水平のもの)

型枠の組立順序は

墨出→柱→ 内壁→大梁→小梁→外壁→ 床版

   ↑            ↑

 柱配筋        壁配筋

覚え方

(鼻の大小が相当ゆかい)

「一級建築士 スーパー記憶術:原口秀昭氏より」

2.作業B6のフリーフロートを記入しなさい。

(解答)

2日

(解説)

フリーフロートとはその作業にだけ自由な余裕のことである。

B6の作業は、床型枠組立てであるが、

次の工程B7 梁配筋の作業の開始前に終了しておく必要がある。

作業A3及び作業B3が前工程が完了してから作業を行うことに注意して、

作業A3及び作業B3からA6及びB6作業の終了日数を求める。

A工区におけるA6作業終了日数が

1(A3)+ 5(A4)+ 2(A5)+ 3(A6)= 11日

B工区におけるB6作業終了日数が

3(B3)+ 1(B4)+ 2(B5)+ 3(B6)= 9日

よって、 11日 − 9日 =2日 となる。

3.次の記述の [  ]に当てはまる数値をそれぞれ記入しなさい。
A工区とB工区の施工数量の違いから、各作業に必要な総人数に差のある作業A1、B1から作業A4、B4までについて、最も効率の良い作業員の割振りに変え、所要日数の短縮を図ることとした。
ただし、一作業の1日当たりの最少人数は2人とし、一作業の途中での人数の変更は無いものとする。
このとき、変更後の1日当たりの人数は、作業A1は2人、作業B1は4人に、作業A2 は4人、作業B2は2人に、作業A3の人数は [ あ ] 人となり、作業A4の人数は [ い ] 人となる。

(解答)

作業A3の人数 [ あ ] : 3人

作業A4の人数 [ い ] : 8人

(解説)

・変更後の作業A1

   3人 → 2人

   2人で1日で十分である。

・変更後の作業B1

   3人 → 4人

   4人に変更すれば1日でできる。

・変更後の作業A2

   3人 → 4人

   4人に変更すれば2日でできる。

・変更後の作業B2

   3人 → 2人

   2人に変更しても1日でできる。

・変更後の作業A3及び作業A4の人数を求めるのが問題である。

次にB3に注目すると、5人で3日であるが、必要総人数が14人なので、少し冗長性がある、

7人にすると 2日で終了できる。

型枠工の人数は10人であるので、A3工区は3人となり 1日 →2日となるが、B3工区と同じ日数の終了となる。

次にA4工区に注目すると、5人で5日であるが、必要総人数が24人なので、少し冗長性がある、

8人にすると 3日で終了できる。

型枠工の人数は10人であるので、B4工区は2人となり 1日 →3日となるが、A4工区と同じ日数の終了となる。

作業A5〜A9、及び作業B5〜b9、及び作業C2はA工区、B工区とも同じ必要総人数なので、内容を図示すると以下のようになる。

【 工期短縮前 】

  ⇩

【 工期短縮後 】

よって、(始)〜(終)までの総所要日数は、コンクリート打設日1日を加えて、24日となる。

4.3.で求めた、作業A1、B1から作業A4、B4の工事ごと、工区ごとの割振り人数としたとき、(始)から(終)までの総所要日数を記入しなさい。

(解答)

 24日

(3.の解答参照)

 

令和3年1級建築施工管理技士 二次検定 問題5 解答解説

令和3年 1級建築施工管理技士 二次 問題5 解答 解説

問題5
次の1.から8.の各記述において、(a)から(e)の下線部のうち最も不適当な語句又は数値の下線部下の記号とそれに替わる適当な語句又は数値との組合せを、下の枠内から1つ選びなさい。
1.改質アスファルトシート防水常温粘着工法・断熱露出仕様の場合、立上り際の風による(a)圧は平場の一般部より大きくなるため、断熱材の上が絶縁工法となる立上り際の平場部の幅(b)300mm程度は、防水層の(c)層目に粘着層付改質アスファルトシートを張り付ける。
なお、(d)入隅部では立上りに(e)100mm程度立ち上げて、浮きや口あきが生じないように張り付ける。

1.(a) 正
2.(b) 500
3.(c) 2
4.(d) 出隅
5.(e) 150
(解答)

 2

立上がり際の風による負圧は平場の一般部より大きくなるため、立上がり際の幅500mm程度は、防水層の1層目に粘着層付改質アスファルトシートを張り付ける。

2.セメントモルタルによるタイル張りにおいて、まぐさ、庇先端(a)下部など剥落のおそれが大きい箇所に(b)小口タイル以上の大きさのタイルを張る場合、径が(c)0.6mm以上のなまし(d)鉄線を剥落防止用引金物として張付けモルタルに塗り込み、必要に応じて、受木を添えて(e)24時間以上支持する。

1.(a) 見付
2.(b) モザイク
3.(c) 0.4
4.(d) ステンレス
5.(e) 72
(解答)

 4

まぐさ及び庇先端下部に小口タイル以上の大きさのタイルを張る場合は、径が0.6mm以上のなましステンレス鋼線をモルタルに塗り込み、必要に応じて、受け木を添えて24時間以上支持する。(建築工事監理指針)

3.長尺金属板葺の下葺のアスファルトルーフィングは軒先と(a)平行に敷き込み、軒先から順次棟へ向かって張り、隣接するルーフィングとの重ね幅は、流れ方向(上下)は(b)100mm以上、長手方向(左右)は(c)150mm以上重ね合わせる。
金属板を折曲げ加工する場合、塗装又はめっき及び地肌に亀裂が生じないよう切れ目を(d)入れないで折り曲げる。金属板を小はぜ掛けとする場合は、はぜの折返し寸法と角度に注意し、小はぜ内に 3~6mm程度の隙間を設けて毛細管現象による(e)雨水の浸入を防ぐようにする。

1.(a) 垂直
2.(b) 200
3.(c) 200
4.(d) 入れて
5.(e) 風
(解答)

 3

長尺金属板葺の下葺のアスファルトルーフィングは軒先と平行に敷き込み、軒先から順次棟へ向かって張り、隣接するルーフィングとの重ね幅は、流れ方向(上下)は100mm以上、長手方向(左右)は200mm以上重ね合わせる。

長尺金属板を現場等で折り曲げる場合は、地肌に亀裂が生じないように十分曲げ半径を取り、切れ目を入れずに塗装、めっきを行う。(建築工事監理指針)

図13.2.7_下葺材の施工例

図13.2.8_下葺材の施工例(粘着層による仮留め例)

※建築工事監理指針 13章2節 長尺金属板葺より

4.内装の床張物下地をセルフレベリング材塗りとする場合、(a)度を一定に練り上げたセルフレべリング材を、レベルに合わせて流し込む。流し込み中はできる限り通風を(b)良くして作業を行う。施工後の養生期間は、常温で (c)日以上、冬期間は (d)14日以上とし、施工場所の気温が (e) 5°C以下の場合は施工しない。

1.(a) 硬
2.(b) 避けて
3.(c) 3
4.(d) 28
5.(e) 3
(解答)

 2

セルフレベリング材が硬化する前に風が当たると、表層部分だけが動いて硬化後にしわが発生する場合がある。したがって、流し込み作業中はできる限り通風をなくして、施工後もセルフレベリング材が硬化するまでは、はなはだしい通風は避ける。(建築工事監理指針)

5.PCカーテンウォールの (a)ファスナー方式には、ロッキング方式、スウェイ方式がある。
ロッキング方式はPCパネルを (b)回転させることにより、また、スウェイ方式は上部、下部ファスナーの (c)両方をルーズホールなどで (d)滑らせることにより、PCカーテンウォールを(e)層間変位に追従させるものである。

1.(a) 取付
2.(b) 滑らせる
3.(c) どちらか
4.(d) 回転させる
5.(e) 地震
(解答)

 3

ロッキング方式はPCパネルを回転させることにより、また、スウェイ方式は上部、下部ファスナーのどちらかをルーズホールなどで滑らせることにより、PCカーテンウォールを層間変位に追従させるものである。

6.塗装工事における研磨紙ずりは、素地の汚れや錆、下地に付着している(a)塵埃を取り除いて素地や下地を(b)粗面にし、かつ、次工程で適用する塗装材料の (c) 付着性を確保するための足掛かりをつくり、(d) 仕上りを良くするために行う。
研磨紙ずりは、下層塗膜が十分 (e)乾燥した後に行い、塗膜を過度に研がないようにする。

1.(a) 油分
2.(b) 平滑
3.(c) 作業
4.(d) 回転させる
5.(e) 硬化
(解答)

 2

塗装工事における研磨紙ずりは、素地の汚れや錆、下地に付着している塵埃を取り除いて素地や下地を平滑にし、かつ、次工程で適用する塗装材料の付着性を確保するための足掛かりをつくり、仕上りを良くするために行う。(JASS18)

7.居室の壁紙施工において、壁紙及び壁紙施工用(a)でん粉系接着剤の(b)ホルムアルデヒド放散量は、一般に、F(c)☆☆☆☆としている。また、防火材の認定の表示は防火製品表示 (d)ラベルを1区分(1室)ごとに(e)枚以上張り付けて表示する。

1.(a) 溶剤
2.(b) シンナー
3.(c) ☆☆☆
4.(d) シール
5.(e) 2
(解答)

 5

昭和44年、当時の建設省住宅指導課長通達の「現場施工後の防火材料の表示については各室又はこれに準ずる用途上の区分ごとに少なくとも2カ所以上に表示マークを付すること。」に基づき行われている。

8.コンクリート打放し仕上げ外壁のひび割れ部の改修における樹脂注入工法は、外壁のひび割れ幅が0.2mm以上 (a) 2.0mm以下の場合に主に適用され、シール工法や(b)Uカットシール材充填工法に比べ(c)耐久性が期待できる工法である。
挙動のあるひび割れ部の注入に用いるエポキシ樹脂の種類は、(d) 質形とし、粘性による区分が(e) 粘度形又は中粘度形とする。

1.(a) 1.0
2.(b) V
3.(c) 耐水
4.(d) 硬
5.(e) 高
(解答)

 1

樹脂注入工法は、ひび割れ幅が0.2mm以上 1.0mm以下の場合に主に適用される。