1級建築施工管理技士 く体工事 コンクリートの品質管理(強度)

第5章 コンクリート工事 品質管理


コンクリートの品質管理

コンクリートの品質管理でもっとも重要なのは、
指定された材齢で所定の強度が発現していることである。

その規定基準は
JIS A 5308(レディミクストコンクリート)
の強度の判定基準からきている。
JIS A 5308によると、強度は
①1回の試験結果が
購入者の指定した呼び強度の強度値の 85%以上、かつ

②3回の試験結果の平均値が
購入者の指定した呼び強度の強度値以上
である場合に合格と規定されている。

1回の試験結果は、
任意の1運搬車から採取した資料で作った3個の供試体の試験値の平均値で表す。

JIS A 5308によると上記のように規定されているが、実際問題で必要な強度は、調合管理強度以上であることを確認する必要がある。

試験練りやプラントの実績などにより、必ずしも 調合管理強度 = 呼び強度(発注強度)としていないケースがあるからである。呼び強度を1ランク下げて発注するケースでは、調合管理強度をおおよそは満足しそうであるが、2ランク下げて発注する場合などは、調合管理強度の値を切ってしまう。特に夏場の暑い時期であると、微妙なケースがあるので注意したい。

調合管理強度 = Fc(設計基準強度)+ mSn

☆JIS A 5308 のその他、注意するべきポイント

・空気量は、生産者との協議の上、
荷卸し地点での空気量が指定された場合であっても、
その許容差は±1.5%以内

・コンクリートの塩化物含有量は、
工場から荷卸し地点までの運搬時間によって変化すしないので、
当事者間の協議によって、工場出荷時に検査してもよい。

・スランプ 21㎝の時の許容差は、±1.5㎝ であるが、
呼び強度が27N以上で、高性能AE減水剤を使用する場合は、
±2.0㎝ とすることができる。
など。

1級建築施工管理技士 く体工事 コンクリート用化学混和剤

第5章 コンクリート工事 材料


コンクリート用化学混和剤

コンクリート用化学混和剤は、JIS A 6204(コンクリート用化学混和剤)に規定されている。

【AE剤】
界面活性作用により微細な気泡(エントレインドエア)を連行させる混和剤で、規定されている項目を以下に示す。
・減水率
・凝結時間の差分
・圧縮強度比
・長さ変化比
・凍結融解に対する抵抗性

【AE減水剤】
セメントの分散作用と空気連行作用の双方を有する混和剤で、規定されている項目を以下に示す。
・減水率
・ブリーディング量の比
・凝結時間の差分
・圧縮強度比
・長さ変化比
・凍結融解に対する抵抗性

【高性能AE減水剤】
高い減水性能と優れたスランプ保持性能を有する混和剤で、規定されている項目はAE減水剤の項目に加え、スランプおよび空気量の経時変化量の規定がある。

・単位水量の低減を目的とした普通コンクリート、流動性の保持を目的とした高流動・高強度コンクリートには不可欠な混和剤。
・コンクリートの凝結時間を遅延させる効果もあるので、暑中コンクリートにも適している。

【高性能減水剤】
高い減水性能を有し、空気連行性や凝結遅延性はないので、使用量が増加しても空気量の増大や凝結が遅延することはなく、高強度コンクリートの製造に最適である。

【発泡剤】
特殊処理したアルミニウム粉末であり、その発泡作用でコンクリートを膨張させる。
その他、
コンクリート用化学混和剤協会のJIS A 6204規格参照

1級建築施工管理技士 く体工事 コンクリートは【打つ】もの

第5章 コンクリート工事 コラム

先日、
コンクリート造の建物の出来形検査を行いました。

出来形検査というのは、
コンクリートの打設が終了し、
その階を支える型枠及び支保工がとれてから
仕上工事に入るまえに
コンクリートの仕上状態を見るものです。
きちんと施工されていたら、
それほど、大変な検査ではなく、

・躯体精度が規定値以内か?
・耐震スリットがある場合は
それらが所定の位置におさまっているか?
・目地の位置及び深さは正しいか?
・コンクリートの仕上がり状況で
ジャンカやひび割れはなどはないか?
ある場合は所定の補修を行っている
かなどです。

耐震スリットがズレたりしていると、
その補修はやっかいですが、
通常はまずありません。

その出来形検査で気になったのは、
それほどひどいものはないというものの
豆板(ジャンカ)です。
コンクリートの品質というのは、
そのコンクリート自体は
ずいぶんと向上してはいますが、
打込みから養生まで
気を抜かずに慎重に行なわないと
なかなか仕上がりのいいコンクリートにはなりません。

生コンを打込むときには、
棒で突く、バイブレーターで振動を与える、
木づちでたたくなどを行いますが、
このような作業を行うことで、
型枠のすみずみにまでコンクリートが行きわたり、
ジャンカやコールドジョイントの発生を抑え、
余分な空気が追い出された、
密度、強度の高いコンクリートができます。

木づちでたたいたりバイブレーターで振動を加えると、
生コンは型枠の隅々にまで行きわたりやすく、
砂利だけ分離するといったことがなくなります。
ただし振動させ過ぎると、重い砂利が下に落ち、
水が上に上がるブリーディング
という現象を起こしてしまいます。

ブリード( bleed )とは血を流すが原義で、
生コンの上に水が染み出る現象を指します。
壁を木づちでたたいている間、
床上では、生コンを荒直しした後に、
タンピングという突き固め、締固めの作業をします。
生コン内の不要な空気を追い出して、
密度を高めているわけです。
タンプ( tamp )とは突き固める、締め固める
という意味です。

なぜコンクリートを「 打つ 」というかというと、
このタンピングの作業があるからです。
現在のコンクリート打ちは流し込みに近く、
タンピング作業をしっかりとやらない現場が多いようです。

*一般には水セメント比は、
上限 50〜60%となっている。
これはコンクリートプラントを利用し、
運搬することを想定しいるためで、
その場で作製して、その場で打つ場合は
もっと水セメント比上限を下げても
打設は可能で、
その時の強度は、極めて高くできる。

スランプ値を高めて柔らかくしているといえども、
ダンピング作業は必要です。

単位水量をぐっと落とすことにより、
より高い強度を発現させれる事ができますが、
粘性が高めされ、施工しやすくなったコンクリートは
流し込むものと間違った見解を持つ人もいるので
注意が必要です。

玄関土間のことを三和土(たたき)というのも
同じ理由からです。
★流し込みではなく、打ってこその、密実なコンクリートです。
仕上がりが骨粗鬆症ぎみにならないためにも

1級建築施工管理技士 く体工事 コンクリート検定の案内

コンクリート工学会から
コン検の案内が来ましたので連絡します。

コンクリート製品検定2017レクチャービデオ (生活に役立つコンクリート製品)
検定の目的は以下のようです。

・コンクリート製品がどのように社会に役立っているかを,広く一般の方に知ってもらう。(広報活動の一環)

・建設系学科の学生・生徒にコンクリート製品の役割を知っていただき,コンクリート製品メーカーを就職活動の選択肢の一つにしてもらう。

・コンクリート製品の原材料や製造諸資材のメーカーの方に,コンクリート製品がどのように使われているかを理解いただき,原材料や諸資材の改良,開発に活かしてもらう。

・コンクリート製品メーカーの事務系社員や製造系社員の方に,コンクリート製品がどのように社会に役立っているかを知ってもらい,仕事への誇りと愛着を深めてもらう。

以上、ご興味があれば、ご参加いただければと思います。

コンクリート検定のご案内