21章 排水工事 2節 屋外雨水排水

21章 排水工事
02節 屋外雨水排水
21.2.1 材 料
(1) 排水管用材料は、「標仕」表21.2.1により、材種、種類・記号、呼び径等は特記によるが、構内舗装・排水設計基準では、車路・駐車場の下部に埋設する場合、材種は硬質ポリ塩化ビニル(VP)を基本としている。また、最小管径は、150mmとしている。
(2) 遠心力鉄筋コンクリート管(JIS A 5372推奨仕様C-2)
(ア) JISでは、管の種類を外圧管及び内圧管に区分し、さらに形状によってA形、B形、NB形及びNC形に区分している。
外圧管の種類は、表21.2.1のとおりである。
表21.2.1 暗きょ類 Ⅰ 類の遠心力鉄筋コンクリート管(外圧管)の種類(JIS A 5372 : 2016)
表21.2.1_暗きょ類Ⅰ類の遠心力鉄筋コンクリート管(外圧管)の種類.jpg
(イ) 「標仕」21.2.1では、外圧管(1種)を用いると規定しているが、これは自然流下の排水では内圧が生じないためである。
(ウ) 管の形状及び寸法は、表21.2.2 (B形のみ)のとおりである。
(エ) ゴム輪
B形、NB形及びNC形の継手に用いるゴム輪は、JIS K 6353(水道用ゴム)の規格に適合したものを用いる。ゴム輪の種類はⅣ類とする。
(オ) 表 示
暗きょ類には、JIS A 5361(プレキャストコンクリート製品 – 種類、製品の呼び方及び表示の通則)によって、次の事項を表示する。
(a) 種類又はその略号
(b) 製造業社名又はその略号
(c) 製造年月日又はその略号
(d) リサイクル材を用いている場合には、その旨を表示
表21.2.2 管の形状及び寸法(B形)(JIS A 5372 : 2016)
表21.2.2_管の形状及び寸法(B形)断面図.jpeg
表21.2.2_管の形状及び寸法(B形).jpeg
表21.2.3 ゴム輪の品質(JIS K 6353 : 2011)
表21.2.3_ゴム輪の品質(JIS K6353).jpg
(3) 硬質ポリ塩化ビニル管(JIS K 6741)
(ア) この規格は、一般流体輸送配管に用いる硬質ポリ塩化ビニル管について規定している。ただし、JIS K 6742(水道用硬質ポリ塩化ビニル管)に規定する水道用硬質ポリ塩化ビニル管を除く。
(イ) JISでは、管の種類はVP、VU及びVMの3種類があるが、「標仕」21.2.1 (1)では、VP及びVUを用いると規定している。VP及びVUの呼び径を表21.2.4に示す。
表21.2.4 管の種類及び呼び径(JIS K 6741 : 2016)
表21.2.4_管の種類及び呼び径(JIS K 6741).jpg
(ウ) ゴム輪
ゴム輪は、JIS K 6353の規格に適合したものを用いる。
ゴム輸の品質は、表21.2.5による。
表21.2.5 ゴム輪の品質(JIS K 6353 : 2011)
表21.2.5_ゴム輪の品質.jpg
(エ) 「構内舗装・排水設計基準」に管きょの種類の選定について示されているので参考にするとよい。
(オ) 表 示
管の外側には、容易に消えない方法で、次の事項を表示しなければならないこととされている。
 ① 日本産業規格の番号
 ② 種類又はその記号
 ③ 呼び径
 ④ 製造年月又はその略号
 ⑤ 製造業者名又はその略号
(4) リサイクル硬質ポリ塩化ビニル三層管(JIS K 9797)
(ア) この規格は、外層及び内層は未使用ポリ塩化ビニルを主体とし、中間層に硬質ポリ塩化ビニル管・継手類から作られた再利用ポリ塩化ビニルを主体とした、埋設部で無圧の一般流体輸送配管に用いるリサイクル硬質ポリ塩化ビニル三層管について規定している。
(イ) JISでは、管の種類はRS-VUのみである。RS-VUの呼び径を表21.2.6に示す。
表21.2.6 RS-VUの呼び径(JIS K 9797 : 2006)
表21.2.6_RS-VUの呼び径(JIS K 9797).jpg
(ウ) 表 示
管の外側には、容易に消えない方法で、次の事項を表示しなければならないとされている。
 ① 種類又は記号
 ② 呼び径
 ③ 製造年月又はその略号
 ④ 製造業者名又はその略号
(5) 排水用硬質ポリ塩化ビニル管継手(JIS K 6739)
(ア) この規格は、JIS K 6741に規定するVPを使用する排水配管の接着接合に用いる硬質ポリ塩化ビニル管継手について規定している。
(イ) 硬質ポリ塩化ビニル管継手の形状による種類は、表21.2.7による。
表21.2.7 形状による種類
表21.2.7_形状による種類.jpg
(ウ) 表 示
(a) 継手の外側には、容易に消えない方法で、次の事項を表示しなければならないとされている。
 ① 呼び径
 ② 製造業者名又はその略号
(b) 継手又は包装の外側に、容易に消えない方法で、次の事項を表示しなければならないとされている。
 ① 日本産業規格の番号
 ② 種類又はその略号
 ③ 製造年月又はその略号
(6) 屋外排水設備用硬烈塩化ビニル管継手(塩化ビニル管・継手協会規格)
(ア) 「標仕」では、屋外排水設価用硬質塩化ビニル管継手は、塩化ビニル管・継手協会規格で規格番号はAS 38、種類・記号はVU継手と規定している。
(イ) 硬質塩化ビニル管継手の形状による種類は、表21.2.8による。
表21.2.8 形状による種類
表21.2.8_形状による種類.jpg
(ウ) 表 示
継手の外側には、容易に消えない方法で、次の事項を表示しなければならないとされている。
 ① 継手の略号又はVU
 ② 呼び径
 ③ 製造業者名又はその略号
 ④ 製造年又はその略号(注)
※(注)ー製品ごと又は一包装ごとに表示するものとする。
(7) 配管用炭素鋼鋼管(JIS G 3452)
(ア) 「標仕」の排水工事では規定していないが、雨水排水(「標仕」13章5節[とい])等で使用する排水管用材料として、配管用炭素鋼鋼管がある。種類及び記号は表21.2.7のとおりとし、亜鉛めっきの有無により黒管、白管に区分されているが、「標仕」表13.5.1では白管としている。
表21.2.9 種類の記号及び亜鉛めっきの区分
    (JIS G 3452 : 2019)
表21.2.9_種類の記号及び亜鉛めっきの区分(JIS G 3452).jpg
(イ) 管の寸法は表21.2.10のとおりである。
(ウ) 表 示
検査に合格した管には、管ごとに、次の事項が表示されている。ただし、外径が小さい管の場合又は注文者の要求がある場合は、これを結束して、1束ごとに適切な方法で表示してもよいとされている。また、注文者の承認を得た場合は、その一部を省略することができるとされている。
 ① 種類の記号
 ② 製造方法を表す記号
 ③ 寸法
 ④ 製造業者名又はその略号
表21.2.10 配管用炭素鎖鋼管の寸法(JIS G 3452 : 2019)
表21.2.10_配管用炭素鋼鋼管の寸法(JIS G 3452).jpg
(8) 排水用ねじ込み式鋳鉄製管継手(JPF DF 001:日本金属継手協会規格)
(ア) この規格は、主に使用圧力 0.35MPa以下で鋼管を用いた排水配管の接合に用いる排水用ねじ込み式鋳鉄製管継手(以下「継手」という。)について規定している。
(イ) 継手の種類は、次による。
(a) 材料による種類は、ねずみ鋳鉄製及び可鍛鋳鉄製の2種類とする。
(b) 形状による種類及びその記号は、表21.2.11による。
(c) 表面の状態による種類は、鋳放し、めっき及びコーティングとする。
表21.2.11 形状による種類(JPF DF 001 : 2010)
表21.2.11_形状による種類(JPF DF 001).jpg
(ウ) 継手の形状は、表21.2.12による。
表21.2.12 継手端部の形状・寸法(JPF DF 001 : 2010)
表21.2.12_継手端部の形状・寸法.jpg
表21.2.12_継手端部の形状・寸法(ねじ部等).jpg
表21.2.12_継手端部の形状・寸法(厚さ等).jpg
(エ) 継手の寸法許容差は、表21.2.13による。
表21.2.13 継手の中心から端面までの距離、及び端面から端面までの距離の許容差
表21.2.13_継手の中心から端面までの距離及び端面から端面までの距離の許容差.jpg
(オ) 継手の材料は、表21.2.14による。
表21.2.14 継手の材科(JPF DF 001 : 2010)
表21.2.14_継手の材料.jpg
(カ) 製品の表示
(a) 継手には、継手の大きさの呼び、製造業者又はその記号を表示する。Uトラップには、流れ方向を明示する矢印を付ける。
(b) 包装には、次の事項を表示する。
 ① 製品名称、規格番号又は規格名称
 ② 種類
 ③ 継手の大きさの呼び
 ④ 数量
 ⑤ 製造業社名又はその略号
(9) プレキャスト鉄筋コンクリート製品のマンホール側塊(JIS A 5372 推奨仕様 D-1)
(ア) JISにおける側塊の形状及び寸法は、表21.2.15のとおりである。形状及び寸法は、特記によるが、接続する排水路の高さ、雨水の流出量等に注意する。
(イ) 足掛け金物の材料については、「標仕」21.2.2 (6)(オ) で、現場打ちの場合と既製品の場合を規定しており、既製品の場合、マンホール側塊の製造所の仕様によるとしている。
(ウ) 表 示
側塊には、次の事項が表示されている。
 ① 種類又はその略号
 ② 製造業者名又はその略号
 ③ 製造年月日又はその略号
 ④ リサイクル材を用いている場合には、その旨の表示
表21.2.15 マンホール側塊の呼び及び寸法(JIS A 5372 : 2016)
表21.2.15_マンホール側塊の呼び及び寸法(図).jpg
表21.2.15_マンホール側塊の呼び及び寸法.jpg
(10) 雨水マンホール(組立て)
国土交通省大臣官房官庁営繕部整備課監修「建築工事標準詳細図(令和4年版)」9-15[雨水マンホール]を参照するとよい。
(11) 鋳鉄製ふた
(ア) 「標仕」では、空気調和・衛生工学会規格 SHASE-S 209(鋳鉄製マンホールふた)に基づき、名称、種類及び適用荷重は、特記によるとされている。
なお、車路等においては、消防車など重量のある車両を考慮した適用荷重が特記されているか確認する。
(イ) 鋳鉄製ふたには、「標仕」で要求する品質を満たすものとして、(-社)公共建築協会の「建築材料・設備機材等品質性能評価事業」(1.4.4(5)(ア) 参照)で評価された製品があるので参考にするとよい。
(ウ) SHASE-S 209(鋳鉄製マンホールふた)の抜粋を次に示す。
SHASE-S 209
マンホールふた
3. 種類及び大きさの呼び
マンホールふたの種類及び大きさの呼びは、表1による。
表1 – マンホールふたの種類及び大きさの呼び
SHASE-S_209-2009_表1-マンホールふたの種類及び大きさの呼び.jpg
加重体の大きさの換算について
SHASE-S_209-2009_加重体の大きさの換算について.jpg
4. 要求事項
4.3 性能
マンホールふたは、5.の規定によって試験し、表2に適合しなければならない。
表2 – マンホールふたの性能
SHASE-S_209-2009_表2-マンホールふたの性能.jpg
5. 荷重試験方法
5.1 たわみ試験の試験方法
たわみ試験の試験方法は、図9に示すように試験体の枠を全面で支え、ふた(試験体)の中央に表3に示す加重体を載せ、たわみ試験荷重に達するまで徐々に荷重を加えたときのたわみ量及び荷重除去後のたわみ量(残留たわみ)を測定する。ただし、試験体はパッキンを外したものとする。
5.2 破壊試験の試験方法
破壊試験の試験方法は、5.1を終了後、さらに表3に示すたわみ試験荷重の4倍に相当する破壊試験荷重に達するまで徐々に荷重を加え試験を行う。
SHASE-S_209-2009_図9-マンホールふたの試験要領.jpg
図9 – マンホールふたの試験要領
表3 – 加重体の大きさと試験荷重
SHASE-S_209-2009_表3-加重体の大きさと試験荷重.jpg
化粧マンホールふた
3. 種類および大きさの呼び
化粧マンホールふたの種類及び大きさの呼びは.表1による。
表1 – 化粧マンホールふたの種類及び大きさの呼び
SHASE-S_209-2009_表1_化粧マンホールふたの種類及び大きさの呼び.jpeg
4. 要求事項
4.3 性 能(マンホールふたに同じため省略)
5. 荷重試験方法
5.1 たわみ試験の試験方法 (マンホールふたに同じため省略)
5.2 破壊試験の試験方法 (マンホールふたに同じため省略)
SHASE-S_209-2009_図7_化粧マンホールふたの試験要領.jpg
図7 – 化粧マンホールふたの試験要領
表3 – 加重体の大きさと試験荷重
SHASE-S_209-2009_表3-加重体の大きさと試験荷重+.jpg
3. 種類及び大きさの呼び
格子ふたの種類及び大きさの呼びは、表1による。
表1 – 格子ふたの種類及び大きさの呼び
SHASE-S_209-2009_表1_格子ふたの種類及び大きさの呼び.jpg
4. 要求事項
4.3 性 能 (マンホールふたに同じため省略)
5. 荷重試験方法
5.1 たわみ試験の試験方法 (マンホールふたに同じため省略)
5.2 破壊試験の試験方法 (マンホールふたに同じため省略)
SHASE-S_209-2009_図3_格子ふたの試験要領.jpg
図3 – 格子ふたの試験要領
表3 – 加重体の大きさと試験荷重
SHASE-S_209-2009_表3-加重体の大きさと試験荷重++.jpg

SHASE-S 209-2009
(12) グレーチング
(ア) グレーチングの材質、適用荷重、メインバービッチ、ボルト固定の有無等は、特記によるとされているが、次のことを確認するとよい。
(a) 車路等において、消防車などの特殊な自動車の種類を考慮し、十分な耐荷重性能を有するものとしているか。
(b) メインバービッチは、歩行者の通路ではハイヒールを考慮しているか。
(c) 自動車等の通過時のずれ、がたつき又は跳ね上がりが生じないように、ボルトで固定されているか。
(13) 材料の保管
(ア) 現場内に材料を保管する場合は、倒壊が生じないようにするとともに、部外者が保管場所に立ち入らないように柵等を設け、十分な安全対策を講じなければならない。
(イ) 管の保管に当たっては、管の高積みを避け、ロープ掛け等を施し管の転がりや転落を防止する。
(ウ) 塩化ビニル管の接合に用いる接着剤は、揮発性で、かつ、引火性の溶剤を多量に含んでいるため、接着剤の機能が失われないように必ずふたをし、冷暗場所に保管する。また、接着剤の保管については、関係法令を遥守する。
(14) 排水桝及び配管を据え付ける部分の地業用材料は次のとおりである。
(ア) 砂地業に使用する砂は、シルト、有機物等の混入しない締固めに適した山砂、川砂又は砕砂とし、適用は特記による。
(イ) 砂利地業に使用する砂利は、再生クラッシャラン、切込砂利又は切込砕石とし、適用は特記による。
なお、粒度は、JIS A 5001(道路用砕石)に基づく C-40、C-30又はC-20程度のものとする。
(15) 排水工事に用いる現場打ちの場合の、コンクリートの種類、設計基準強度及びスランプは特記による。特記がなければ、排水工事に用いるコンクリートは大きな荷重を受けることがないため、普通コンクリートで設計基準強度18N/mm2、スランプは15cm又は18cmとする。
なお、使用量が少なく、レディーミクストコンクリートを購入することが現実的でない場合、コンクリートの調合容積比セメント1:砂2:砂利4 程度の現場練りとすることができる。
(16) 寒冷地に適用される凍上抑制層に用いる材料
「構内舗装・排水設計基準」では、寒冷地における雨水排水設備は、地盤の凍結融解の影響による破損を避けるため、凍結深さから求めた必要な置換深さと、雨水排水設備の基礎の下端の深さを比較し、置換深さの方が大きい場合は、雨水排水設備の基礎の下にその厚さの差だけ、凍上の生じにくい材料の層を設けるとされている。凍上抑制層に用いる材料は、砂、砂利、クラッシャラン、再生クラッシャラン、礫、スラグ等があり、「標仕」では、ゴミ、泥等の有機物を含まないものとし、種類は、特記によると規定している。
砂は「標仕」表21.2.2による。粒度分布を求めて、各種骨材として適当かどうかを判定するための粒度試験は JIS A 1102(骨材のふるい分け試験方法)に基づき、適用は特記によると規定している。
(17) 「標仕」では、埋戻しに用いる材料は特記による。特記がなければ、表3.2.1のB種(根切り土の中の良質土)と規定している。根切土を使用するのが一般的であるが、締固めが十分に行えない土の場合は、良質な土や山砂等で置き替える必要がある。
21.2.2 施 工
(1) 寒冷期等の施工及び養生
降雨・降雪が予想される場合又は打込み中のコンクリート温度が 2℃を下回るおそれのある場合で、適切な養生を行うことが出来ない場合は、コンクリートの打込みを行わない。ただし、やむを得ず打ち込む場合は、保温及び養生方法に関して具体的な方法を受注者等に提案させたうえで検討する。
なお、保温及び養生方法の例を、22.5.5[養生](3) に示しているので、参考にされたい。
(2) 根切り
(ア) 根切りに当たっては、「標仕」3章を参照し、安全に注意する。特に、山留めの構造及び点検等の管理には注意が必要である。
(イ) 遣方を適切な間隔に設け、高低を実測のうえ、所定の深さに根切りする。
また、遣方に水糸を張り、根切りの確認をする。
(ウ) 遣方を設けない場合は、あらかじめ深さを計算しておき、レベルにより確認する。
(エ) 根切りは、根切り底をかく乱しないように掘削する。
(オ) 根切り底の深さと管路の勾配に注意し、掘り過ぎた場合は、山砂の類で埋め戻す。また、根切り底が緩んでいる場合は、締め固める。
(カ) 根切り範囲は、根切りだけを先行させないで、できるだけ管の敷設と埋戻しとが継続してできる程度に抑えておく。
根切りのままで長期間放置すると、降雨等により崩壊したり、根切り底が緩んだりする。地下水位の高い地盤では、ますます軟弱化するおそれがある。
(3) 地 業
(ア) 排水施設を設ける地盤が、排水施設を支持するのに適した砂、ローム、粘土質等の場合は、根切り面を割り石や砂等の地業の施工がしやすいようにソイルコンパクタ等で締め固める。
(イ) 遠心力鉄筋コンクリート管の地業は、管の埋設方式、土質の状態、活荷重の条件等によって地業形式が異なるため、その選定に当たっては、十分注意を払う必要がある。
(ウ) 遠心力鉄筋コンクリート管を敷設する箇所が、管を支持するのに適している場合は砂地業とすることができるが、軟弱地盤等では、その地盤に適したコンクリート地業、杭打ち地業等の地業形式をとらなければならない。この場合は、設計担当者と打ち合わせ、設計変更等について検討する。
(エ) 砂地業では、ごみや有機不純物締を含まない遮断層用の砂を300mmごとに締め固め、空隙が生じないように仕上げる。
(オ) 割り石地業では、地業に用いる砕石等を所定の厚さにむらなく敷き均し、タンパ等の締固め機械によって十分に締め固める。
(カ) 捨コンクリート地業では、砕石等を所定の厚さに仕上げた後、所定の寸法のコンクリートを打ち込み、締め固めて空隙のないように仕上げる。
(4) 側塊、排水桝
(ア) 排水桝、マンホールは、管きょ内の点検、清掃等のために必要なものであるため、管きょの方向、勾配、管径の変化する箇所、段差の生じる箇所及び合流する箇所に設ける。
(イ) 汚水の混入する排水桝及び排水溝には、インバート(図21.2.1参照)を設ける。
インバートは、流れやすくして汚物等が詰まるのを防ぐためのものであるため、モルタルは滑らかに仕上げ、肩上は汚物が残らないように、勾配を付ける。
図21.2.1_インバート(断面図,平面図).jpeg
図21.2.1_インバート(管径).jpeg
図21.2.1 インバート
(ウ) 雨水用排水桝及びマンホールの底部には、排水管等に泥が詰まらないように、深さ150mm以上の泥だめを設ける。
(エ) 排水桝、マンホールについては、プレキャスト製品と現場打ちコンクリートがあるが、施工性・品質等からプレキャスト製品が一般的に使われている。
(オ) 合流式下水道の場合、雨水系統と汚水系統が合流する合流桝を設けるが、臭気対策としてトラップ桝とすることが望ましい。
(5) 排水管
(ア) 遠心力鉄筋コンクリート管
(a) 管の敷設は下流部より始め、順次上流部に向けて行うのがよい。
(b) 管の吊降ろしは、必要に応じてロープ、チェーンブロック等を用いて、管に損傷を与えないようにする。
(c) 砂地業とした場合は、管を勾配に合わせて移動しないように固定し、継手作業が終わった後、良質土で管の中心線程度まで両側から埋め戻して締め固める。埋戻しの一層の仕上り厚さは20cm以下とし、適切な含水状態の土等で十分締固めながら埋め戻す。
(d) 継手部分は、漏水の原因となるため、特に入念に施工する。継手部分にゴムリングを用いるB形管は、接合前にゴムリングの傷、老化、寸法等を確認し、正常であれば、あらかじめ作っておいた引込み目安線まで確実に引き込む(図 21.2.2参照)。
図21.2.2_管のゴム接合.jpg
図21.2.2 管のゴム接合
(イ) 硬質ポリ塩化ビニル管
(a) 管の取扱いについては、落下したり、ぶつかり合ったりしないように慎重に取り扱い、特に、管端部にはクッション材等を挟むなどし、破損及び傷がつかないようにする。
(b) 桝との接合には、砂付きの桝取付け短管を用いる。
(c) 「標仕」で継手は、硬質ポリ塩化ビニル管継手による冷間工法とし、継手には、材料自体が博いため、直接ねじを切れないので、接着剤又はゴム輪を用いるものとしている。適用は特記によるが、特記がなければ、接着剤としている。
(d) マンホールなどの構造物と管きょとの接続部分において、不同沈下等による偏荷重により継手の使用を検討する必要がある。
検討事項としては、
 ① 耐震性を特に必要とするかどうか
 ② 宅地造成等における盛土区域の地盤の安定性
 ③ 軟弱地盤等におけるマンホールと管きょとの不同沈下
 ④ 管きょの重要性
などがあげられる。
対応策としては、可とう性管きょ、マンホール用可とう継手単管の使用等がある。
なお、採用に当たっては可とう性、水密性、耐久性、経済性等を十分検討しなければならない。
(6) 凍上抑制層は、1層の仕上がりを20cm以下として、各層ごとにタンパ等小型締固め機械を使用し均ーになるように仕上なければならない。
(7) 埋戻し
(ア) 埋戻しは、原則として、根切土の良質土とする。
ただし、車両等の通行する部分は、コンクリートで保護するか、川砂又は透水性の良い山砂の類とする。砂類の場合は、水締めとするのが望ましい。
(イ) 土かぶりまでの埋戻しは、管の耐力の範囲内でタンパ、ランマ等で締め固め、重機械を用いてはならない。
(ウ) その他の埋戻しについては、3章を参照する。
21.2.3 試 験
通水試験は、排水管の継手モルタルの硬化程度を見計らい、全系統にわたり、埋戻しに先立って通水し、漏水の有無の確認を行う。
試験方法は、排水管の端末を適切な方法で閉じ、管径の1/2程度まで注水し、継手部分の漏水及び勾配の検査を行う方法とする。しかし、重要部分及び一般部分でも事情が許す場合は、管を満水にする満水試験を行う。
21.2.4 浸透施設
雨水の浸透式排水は、特定都市河川浸水被害対策法や各地方自治体の条例等の規制によって、近年の急激な都市化の進展とともに多発している「都市型水害」、さらには最近増加している「局地的豪雨」等の対策措置として、雨水排水が直接公共施設の下水道、河川、湖沼、海等に放流できない地域又は植栽等のために地下に浸透させた方が望ましいなどの目的で設けられるものである。適用に当たっては、浸透排水能力及び施設の設置場所の地質、地形、地下水等の条件や周辺の施設、構造物への影響を十分検討する。
「標仕」には、規定はないが、浸透施設を参考に示す。
(1) 浸透施設の例としては、図21.2.3のような浸透桝、浸透トレンチ、浸透側溝がある。
図21.2.3_浸透施設(浸透トレンチ).jpg図21.2.3_浸透施設(浸透枡).jpg
図21.2.3_浸透施設(浸透側溝).jpg
図21.2.3 浸透施設
(2) 浸透施設の施工に当たっては、次の点に注意する。
(ア) 施工時に地盤の浸透機能を、低下させないことが重要であるため、浸透面を締め固めないものとし、掘削後は床付けを行わず、直ちに敷砂を行い充填材を投入する。ただし、地盤が砂礫、砂の場合は敷砂を省略してよい。
(イ) 透水性舗装を浸透施設とする場合には、地盤面は小型ローラ等で締め固めるが、こね返しや過転圧によって強度が低下しないよう注意する。
(ウ) 充填材の投入に当たっては、施設内に土砂が混入しないように注意する。また、投入時に透水シートを引き込まないように注意する。
(エ) 工事中の排水は、原則として、浸透施設を使用しない。また、浸透面にネットを被覆するなどの土砂流入防止の措置をとる。
(オ) 工事完了後、浸透施設に対して、浸透能力確認のための注水試験を行う。

21章 排水工事 3節 街きょ、縁石及び側溝

21章 排水工事
03節 街きょ、縁石及び側溝
21.3.1 材 料
(1) 「標仕」では、縁石及び側溝は、表21.3.1により種類、形状及び寸法は特記によると規定している。主な材料の規格を以下に示す。
(ア) 道路用境界ブロックに関するJIS A 5371(プレキャスト無筋コンクリート製品)の抜粋を次に示す。
JIS A 5371 : 2016
推奨仕様B-2 境界ブロック
B-2.4 形状,寸法及び寸法の許容差
ブロックの形状、寸法及び寸法の許容差は、推奨仕様 B-2 図1、推奨仕様 B-2 図2、推奨仕様B-2 図3 及び推奨仕様 B-2 表3による。
JIS A 5371_推奨仕様B-2_図1-方面歩車道境界ブロックの形状及び寸法.jpg
推奨仕様 B-2 図1 – 片面歩車道境界ブロックの形状及び寸法
JIS A 5371_推奨仕様B-2_図2-両面歩車道境界ブロックの形状及び寸法.jpg
推奨仕様 B-2 図2 – 両面歩車追境界ブロックの形状及び寸法
 JIS A 5371_推奨仕様B-2_図3-地先境界ブロックの形状及び寸法.jpg
推奨仕様 B-2 図3 – 地先境界ブロックの形状及び寸法
推奨仕様 B-2 表3 – ブロックの寸法及び寸法の許容差
JIS A 5371_推奨仕様B-2_表3-ブロックの形状及び寸法の許容差.jpg

JIS A 5371: 2016
(イ) 道路用コンクリートL形側溝に関するJIS A 5371(プレキャスト無筋コンクリート製品)及びJIS A 5372(プレキャスト鉄筋コンクリート製品)の抜枠を次に示す。
JIS A 5371 : 2016
推奨仕様 C-1 L形側溝
C-1.4 形状、寸法及び寸法の許容差
L形の形状寸法及び寸法の許容産は、推奨仕様 C-1 表3による。
推奨仕様 C-1 表3 – L形の形状,寸法及び寸法の許容差
JIS A 5371_推奨仕様C-1_表3-L形の形状及び寸法の許容差.jpg
JIS A 5371_推奨仕様C-1_表3-L形の形状及び寸法の許容差(寸法).jpg
JIS A 5372 : 2016 
推奨仕様 E-4 L形側溝
E-4.2 種 類
L形の種類は、用途によって推奨仕様 E-4 表1のとおり区分する。
推奨仕様 E-4 表1 – L形の種類
JIS A 5372_推奨仕様E-4_表1-L形の種類.jpg
E-4.4 形状,寸法及び寸法の許容差
L形の形状、寸法及び寸法の許容差は、推奨仕様 E-4 図1及び推奨仕様 E-4 表3による。
JIS A 5372_推奨仕様E-4_図1-L形の形状,寸法及び配筋(RC250B).jpg
JIS A 5372_推奨仕様E-4_図1-L形の形状,寸法及び配筋(RC500B).jpg
推奨仕様 E-4 図1 – L形の形状、寸法及び配筋
推奨仕様 E-4 表3 – L形の形状、寸法配筋及び寸法の許容差
JIS A 5372_推奨仕様E-4_表3-L形の形状,寸法,配筋及び寸法の許容差.jpg

JIS A 5372 : 2016
(ウ) 道路用上ぶた式U形側溝に関する JIS A 5372(プレキャスト鉄筋コンクリート製品)の抜粋を次に示す。
JIS A 5372 : 2016
推奨仕様 E-2 上ぶた式U形側溝
E-2.2 種類
側溝の種類は、用途によって、推奨仕様 E-2 表1のとおり区分する。
推奨仕様 E-2 表1 – 側溝の種類
JIS A 5372_推奨仕様E-2_表1-側溝の種類.jpg
E-2.4 形状、寸法及び寸法の許容差
側溝の形状、寸法及び寸法の許容差は、推奨仕様 E-2 表4 又は推奨仕様 E-2 表5による。
推奨仕様 E-2 表4 – 側溝(本体)の形状、寸法、配筋及び寸法の許容差
JIS A 5372_推奨仕様E-2_表4-側溝(本体)の形状,寸法,配筋及び寸法の許容差.jpg
JIS A 5372_推奨仕様E-2_表4-側溝(本体)の形状,寸法,配筋及び寸法の許容差(2種).jpg
推奨仕様 E-2 表4 – 側溝(本体)の形状、寸法、配筋及び寸法の許容差(続き)
JIS A 5372_推奨仕様E-2_表4-側溝(本体)の形状,寸法,配筋及び寸法の許容差(続き).jpg
推奨仕様 E-2 表5 – 側溝(ふた)の形状、寸法、配筋及び寸法の許容産
JIS A 5372_推奨仕様E-2_表5-側溝(ふた)の形状,寸法,配筋及び寸法の許容差.jpg
推奨仕様 E-2 表5 – 側構(ふた)の形状、寸法、配筋及び寸法の許容差(続き)
JIS A 5372_推奨仕様E-2_表5-側溝(ふた)の形状,寸法,配筋及び寸法の許容差(続き).jpg

JIS A 5372 : 2016
21.3.2 施 工
(1) 工法
街きょ等を通りよく排水勾配を確保して仕上げるには、基礎となる砂利や砕石の層及びモルタルについて、平たんに仕上げなければならない。それらの施工については、4.6.3[ 砂利及び砂地業 ]及び 4.6.4[捨コンクリート地業]を、コンクリートについては「標仕」6章14節を参照する。
なお、「標仕」21.3.2 (1)では、砂利地業の厚さは、特記による。特記がなければ、厚さは100mmとしているが、軟弱地盤等で地盤改良が必要な場合は、設計担当者等と協議する。
(2) 現場打ちの場合、寒冷期等の施工及び養生は、21.2.2 (1)による。
(3) 凍上抑制層の敷均しは、21.2.2 (6)による。
(4) 街きょ、縁石及び側溝の設置例を図21.3.1に示す。
図21.3.1_街きょ等の設置例(街きょ).jpeg図21.3.1_街きょ等の設置例(縁石).jpeg
図21.3.1_街きょ等の設置例(L形側溝).jpeg図21.3.1_街きょ等の設置例(U字側溝).jpeg
図21.3.1 街きょ等の設置例

平成23年1級建築施工管理技士 実地検定 問題1 解答解説

平成23年度 1級建築施工管理技術検定 実地 問題1

問題1
あなたが経験した建築工事のうち、発注者からの要望や設計図書等で要求された品質を実現するために品質管理活動を行った工事を1つ選び、下記の工事概要を記入した上で、次の問いに 答えなさい。
なお、建築工事とは、建築基準法に定める建築物に係る工事とする。ただし、建築設備工事を除く。
[ 工事概要 ]
イ.工 事 名
ロ.工 事 場 所
ハ.工事の内容
 新築等の場合:建物用途、構造、階数、
        延べ面積又は施工数量、
         
  主な外部仕上げ、主要室の内部仕上げ    
 改修等の場合:建物用途、主な改修内容、
         施工数量又は建物規模
ニ.工 期 (年号又は西暦で年月まで記入)
ホ.あなたの立場
1. 工事概要であげた建築工事において、あなたが現場で重点をおいた品質管理活動2 つあげ、 それぞれ次の①から③について記述しなさい。
ただし、2つの品質管理活動に関する記述の内容は、それぞれ異なるものとする。
①発注者からの要望や設計図書等で要求された品質を実現するため、現場で定めた施工に当たっての品質の目標を具体的に記述しなさい。
② ①の品質の目標を達成するため、定めた重点品質管理項目定めた理由工種名とともに具体的に記述しなさい。
③ ②の重点品質管理項目について、品質管理のため実施した内容を具体的に記述しなさい。

解答例

1)品質活動1

品質の目標:居住性を良好にすること。

工種名:内装工事

重点品質管理項目

各住戸間の遮音性の確保

定めた理由:共同住宅であることから、住戸間の遮音性能の不良による入居後の隣地トラブルを防止するため。

実施した内容

せっこうボード厚さが 1.2㎝ 以上、継目をすき間なく張り付けるか、継目処理工法を用いる。2重張りの場合は、下張りと上張りの継目位置をずらす。また、壁・天井等と躯体面の取合いは、すき間を生じないよう、不燃_材料で充填する。チェックリストに施工した記録・施工の困難な箇所の施工写真を撮って記録した。

2)品質活動2

品質の目標:屋上アスファルト防水の漏水防止

工種名:防水工事

重点品質管理項目

防水下地のクンクリート面の凹凸をなくすこと。また、下地の十分な乾燥を確認すること。

定めた理由:防水下地の凹凸や鉄筋、番線等の突起物、モルタルのこぼれ等に防水層の破損、不十分な乾燥による防水層のふくれ破損の防止により、防水性能が高まると考えたため。

実施した内容

凹凸や突起物等については目視で確認し、乾燥状態については高周波水分計による下地水分の測定で8%以下の含水率を確認し、それぞれチェックリストに記録した。

2. 工事概要であげた工事にかかわらず、あなたの今日までの工事経験に照らして、次の①、②に ついて簡潔に記述しなさい。
① 現場作業所で品質管理活動を組織的に行うには、どのようにしたら良いと思いますか、あなたの考えを記述しなさい。
② クレーム等のない、顧客の信頼を得られる建物を提供することは、施工者にとってどのような意味を持ちますか、あなたの考えを記述しなさい。

解答例

①企業としての品質管理の方針を定め、各人の役割分担を文書で確認する。一定工程完了ごとに社内検査を行い、手直しのない工事の工程で引き継ぐシステムを構築することが必要である。

②施工者の自信・向上意欲につながり建築技術者として成長できる。また、今後の受注増にもつながり、社会的な評価も上がる。さらに、技術の向上にもつながっていく。

平成23年1級建築施工管理技士 実地検定 問題2 解答解説

平成23年度 1級建築施工管理技術検定 実地 問題2

問題2
建築工事において、次の 1.から 3.の仮設設備の設置計画に当たり、留意又は検討すべき事項をそれぞれ 2 つ、具体的に記述しなさい。
ただし、解答はそれぞれ異なる内容の記述とし、申請手続、届出、保守点検に関する記述は除く ものとする。また、使用資機材に不良品はないものとする。
1.ゲート(車両出入口)

解答例

①ゲートの幅は、搬入を計画する車両が無理なく道路から進入可能な回転半径を確保し、ゲートの梁または上部枠の高さは、車両限界高さの3.8mを超える高さを確保することに留意検討して計画する。

②ゲートの構造として、歩行者が安全歩行できる滑り止めの仕上げを確保すること。また、車両出入口であることを示すがめのトラマークと表示看板や警報灯や警報設備等も検討する。

③ゲートとして安全に侵入者を防ぎ、完全防備な機能を備えていること。また、強風に対しても安全な強度を備えた構造を持つように留意し検討する。

④交差点の近くや交通量の多い道路を避けて配置し、ゲートそばの仮囲い板を透明にして、歩行者等が目視できるように留意、検討する。

(解説)

工事現場は、原則として危害防止のため仮囲いを設けなければならないが、資機材の搬出入のため、大型車両が出入りする。このために第三者との接点になるゲートの設置については、特に第三者災害をいかに防ぐかを第一として、留意、検討しなければならない。

2.外部足場

解答例

①建地脚部の滑動・沈下防止措置として、足場の足元は十分に突き固めて、平滑さを確認してから敷板を並べる。また、足元は足場用ベース金具で敷角材または敷板に釘止めとし、脚部には根がらみを設ける。

②筋かい、控え、壁つなぎ等の補強材の間隔及び締付け、壁つなぎのアンカーボルトは、躯体にしっかりと打ち込み、控えの間隔は、垂直方向は9m以下、水平方向は8m以下とする。

③作業床の幅は、40㎝以上、すき間は3㎝以下、墜落防止用の手すりは高さ85㎝以上、中さん付の手すりを設ける。

④労働安全衛生法を遵守すること。

⑤風に対して倒壊防止の措置を取る。

(解説)

外部足場については、JASS2(仮設工事)5.2「足場の保守管理」などを参考にする。

3.揚重機

解答例

①荷揚げ用の揚重機械は、移動式クレーン、定置式クレーン(タワークレーン、ジブレクーン、門型クレーン)などがある。特に移動式クレーンが最も多く、転倒事故も非常に多い。事前調査としては、機種の選定・機械の設置計画のため、周辺環境・隣地建物・埋設物・地盤状況・空中架線などについて留意、検討する。

②安全対策としては、「クレーン等安全規則」「労働安全衛生法」などに留意する。

③移動式クレーンの機械自体には多くの安全装置が設備されているが、転倒事故及び作業中の事故が非常に多い。特に転倒防止は、重要であるので検討すべきである。

④テレビ等への電波障害を考慮する。

(解説)

1)地盤耐力(転倒防止には、地盤耐力の確認と補強)

2)作業方法の決定・周知(作業開始前に、作業方法、転倒防止の措置、労働者の配置と指揮系統を定め、これを関係作業者に周知)

3)オペレーター(クレーンの運転士は、運転技能等の修了者とし、5 t 以上ではクレーン運転免許を有するものではくてはならない)

4)強風時(強風(10分間の平均風速が 10m/s 以上)のときは、作業を中止)

5)旋回範囲への立入禁止(クレーンの旋回範囲にはバリケード等で立入禁止の措置をする)

6)不整地(傾斜のある不陸な不整地での作業は危険であるので行わない)

7)吊り_荷下への立入禁止(吊り荷または吊り具の下に立ち入ってはならない)

8)吊り_荷走行の禁止(原則として、荷を吊ったまま走行してはならない。

平成23年1級建築施工管理技士 実地検定 問題3 解答解説

平成23年度 1級建築施工管理技術検定 実地 問題3

問題3
建築工事において、次の 1.から 4.について、施工上の留意事項をそれぞれ 2 つ、具体的に記述しなさい。
ただし、解答はそれぞれ異なる内容の記述とし、作業員の安全に関する記述は除くものとする。 また、使用資機材に不良品はないものとする。
1.親杭横矢板工法における、横矢板の設置

解答例

以下の解答例より2つを記述すればよい。

親杭横矢板工法における、横矢板の設置(JASS3)

①親杭の間に横矢板を架け渡して、山留め壁とする工法であり、掘削してから横矢板を渡すまでの間、自立する地盤でなければ採用は難しい。掘削に伴ってすぐに横矢板を設置しなければならない。

②透水性がないので地下水位の高い地盤では地下水処理を併用する必要があり、横矢板の合わせ目はしっかりと継ぐ必要性がある。

③地下水位の高い細砂層やシルト層は根切りしてから横矢板を入れるまでの間に崩れてしまうので、このような地盤には採用できない。

(解説)

打撃、振動、強制圧入、オーガー併用圧入など多くの施工方法があるが、地盤の強度、礫や玉石の有無などの地盤状況に応じて工法を選定する。横矢板の強度については、土圧に対して十分強度を保つ材質の材料を使用する。

2.鉄筋工事における、バーサポート又はスペーサーの設置

解答例

鉄筋工事における、バーサポートまたはスペーサーの設置(建築工事監理指針)

①バーサポートやスペーサーは、組み立てられた鉄筋相互の間隔やかぶり厚さの確保と、埋設配管やコンクリート打設による配筋の乱れを防ぐために重要であり、留意事項としては、使用部位やかぶり厚さに対応して、適切な材種、形状、サイズを使用することがあげられる。

②材料の種別としては、コンクリート製、鋼製とする。モルタル製のスペーサーは強度及び耐久性が不足しているので使用しない。鋼製には、型枠に接する部分に樹脂コーティングあるいはプラスチックで被覆した打ち放し用の材料もある。また、梁、柱、基礎梁、壁及び地下外壁のスペーサーは、側面に限りプラスチック製でもよい。

(解説)

バーサポート及びスペーサーは、鉄筋位置を保持し、かぶり寸法を確保できるような形状、剛性、強度と、打ち込まれるコンクリートと同等以上の耐久性を有するものでなければならない。

3.コンクリート工事における、コールドジョイントの発生防止
ただし、コンクリートの材料や調合に関する記述は除くものとする。

解答例

①打込み区画・打込み順序を考慮する。

②運搬・打込み・締固めの方法及び使用機器の種類と数量を考慮する。

③打継ぎになる部分は入念にバイブレーターをかける。

④打込み継続中の打重ね時間間隔の限度を厳守する。

⑤高いところからのコンクリートの打設は、自由落下距離が短くなるようにシュートを使い、分離を防ぐ。

⑥型枠の水洗いを入念に行い、濡れ面の型枠表面で、コンクリートの流動性をよくし、上部からよくつき、またはバイブレーターで一体化する。

⑦品質の変化したコンクリートは廃棄する。

⑧コンクリートを横流ししない。

(解説)

コールドジョイントは、打設時間の違いにより、締固めが不十分になった打継ぎ部分で、ジャンカなどの欠陥が現れる。先に打設されたコンクリートの再振動可能時間内に後から打設するコンクリートを打ち、十分締め固めることにより防止できる。

4.鉄骨の建方における、仮ボルトの締付け

解答例

鉄骨の建方における、仮ボルトの締付け (JASS6)

①本締め用の高力ボルトを仮ボルトと兼用してはならない。

②高力ボルト継手では、中ボルトを使用してボルト1群に対して1/3程度、かつ2本以上を締め付ける。

③昆用継手及び併用継手では、中ボルトを使用して、ボルト1群に対して1/2程度、かつ2本以上をバランスよく配置する。

④溶接継手におけるエレクションピース等に使用する仮ボルトは高力ボルトを使用して全数締め付ける。

⑤仮ボルトは本締めボルトと同じ径とする。

⑥打設荷重に耐える本数とする。

(解説)

仮ボルトは、建方作業における部材の組立てに使用し、本締めまたは溶接までの間、予想される外力に対して_架構の変形及び倒壊を防止するためのボルトである。仮ボルトは中ボルトなどを用い、ボルト1群に対して高力ボルト継手は1/3程度、かつ2本以上、混用接合及び併用継手では1/2程度、かつ2本以上をバランスよく配置し、締め付ける。

仮ボルトは、強風に対するものであり、強風に対しては、その他にワイヤロープによる補強なども行われる。また、溶接継手におけるエレクションピースなどに使用する仮ボルトは、高力ボルトを使用して全数締め付けるとしている。

平成23年1級建築施工管理技士 実地検定 問題4 解答解説

平成23年度 1級建築施工管理技術検定 実地 問題4

問題4
次の 1.から 8.の各記述において、記述ごとの①から③の下線部の語句のうち最も不適当な箇所番号を 1 つあげ、適当な語句を記入しなさい。
1. シーリング工事におけるバックアップ材は、特に①ワーキングジョイントに充填されるシーリング材の機能を十分に発揮させ、長期間の耐久性を維持するため、目地に装填する成型材料である。
バックアップ材は、シーリング材を目地構成材と相対する② 2面のみに接着させて、長期間の繰返しムーブメントに対する追従性を確保するほか、シーリング材の③目地幅を確保する役割を担う。

解答

③ 目地深さ

(解説)

バックアップ材は、シーリング材が目地構成材と相対する2面のみに接着し、底部には接着しないようにして、長期の繰り返しムーブメントに対する追従性を確保する。また、シーリング材の目地深さを調整し、一定の目地深さを確保する。(JASS8)

2. 陶磁器質タイル張りにおいて、まぐさ、庇先端下部など剥落の恐れが大きい箇所に①小口タイル以上の大きさのタイルを張る場合、剥落防止用引金物として、径が 0.6 mm 以上の②なまし鉄線をタイルに取り付け、引金物を張付けモルタルに塗り込む。なお、張り付け後は、必要に応じて受木 を添えて③24 時間以上支持する。

解答

② なましステンレス鋼線

(解説)

まぐさ及び庇先端下部に小口タイル以上の大きさのタイルを張り付ける場合は、径が 0.6mm以上のなましステンレス鋼線をモルタルに塗り込み、必要に応じて、受け木を添えて24時間以上支持する。(建築工事管理指針)

3. 鋼板製屋根用折板葺きにおいて、タイトフレームは、受け梁に①アーク溶接で取り付ける。
溶接は、タイトフレームの底部両側を②部分溶込み溶接とし、溶接サイズは、タイトフレームの板厚と同寸法とする。また、溶接後は③スラグを除去し、溶接部分及びその周辺に防_処置を行う。

解答

② 隅肉

(解説)

タイトフレームの溶接は、タイトフレームの立上り部分の縁から10mm残し、底部両側に隅肉溶接する。溶接サイズはタイトフレームの板厚と同寸法とする。(JASS12)

4. 仕上げ材の下地となるセメントモルタル塗りの表面状態は、金ごて仕上げ、木ごて仕上げ、①吹付け仕上げ及びくし目引きがあり、その上に施工する仕上げ材の種類に応じて適用が異なる。
金ごて仕上げは、一般塗装下地、壁紙張り下地、防水下地の仕上げとして、③木ごて仕上げは、内装接着剤張り以外のタイル張り下地の仕上げとして適用できる。

解答

① はけ引き

(解説)

仕上げ材の下地となるセメントモルタル塗りの表面状態には、金ごて仕上げ、木ごて仕上げ、はけ引き仕上げ及びくし目引きがある。(JASS15)

5. 塗装工事における研磨紙ずりは、素地の汚れやさび、下地に付着している塵埃を取り除いて素地や下地を①粗面にし、かつ、次工程で適用する塗装材料の②付着性を確保するための足掛かりをつくり、仕上がりを良くするために行う。
研磨紙ずりは、下層塗膜及びパテが十分③乾燥した後に行い、塗膜を過度に研がないようにする。

解答

① 平滑

(解説)

研磨紙ずりは、素地の汚れや錆、下地に付着している塵埃を取り除いて素地や下地面を平滑にし、かつ次工程で適用する塗装材料の付着性を確保するための足がかりをつくり、仕上がりをよくするために行う。(JASS18)

6. タイルカーペットを事務室用フリーアクセスフロア下地に施工する場合、床パネル相互間の段差とすき間を ①1 mm 以下に調整した後、床パネルの目地とタイルカーペットの目地を②100 mm 程度ずらして割付けを行う。
カーペットの張り付けは、粘着はく離形の接着剤を③カーペット裏全面に塗布し、適切なオープンタイムをとり、圧着しながら行う。

解答

③ カーペット下地

(解説)

カーペットの張付けは、粘着はく離形の接着剤をカーペット下地全面に平均的に塗布し、接着剤が乾燥し十分粘着性が出た後、すき間なく張り付ける。(公共建築工事標準仕様書)

7. 軽量鉄骨壁下地の施工において、軽量鉄骨天井下地にランナーを取り付ける場合、ランナーと天井下地材の野縁が直角の場合には、ランナーを①野縁受けに、各々間隔 900 mm 程度にタッピンねじの類又は②溶接で固定する。また、ランナーを上部鉄骨梁に取り付ける場合は、③先付け金物を梁に溶接しておき、梁の耐火被覆等の終了後にランナーを取り付ける。

解答

① 野縁

(解説)

ランナーと天井下地材の野縁が直角の場合は、ランナーを野縁に、ランナーと野縁が平行な場合は、ランナーを野縁受けに、各々間隔900mm程度にタッピンねじの類または溶接で固定する。(JASS26)

8. コンクリート打放し仕上げ外壁のひび割れ部の改修における樹脂注入工法は、外壁のひび割れ幅が 0.2 mm 以上①1.0 mm 以下の場合に主に適用され、シール工法やUカットシール材充填工法に比べ②耐久性が期待できる工法である。
挙動のあるひび割れ部の注入に用いるエポキシ樹脂の種類は、軟質形とし、粘性による区分が③高粘度形又は中粘度形とする。

解答

③ 低粘度

(解説)

注入するエポキシ樹脂の種類は、低粘度形と中粘度形をひび割れの状況に応じて使い分ける。一般に、0.5mm未満のひび割れは低粘度形を用い、0.5mm以上は中粘度形を使用する。(建築改修工事監理指針)

平成23年1級建築施工管理技士 実地検定 問題5 解答解説

平成23年度 1級建築施工管理技術検定 実地 問題5

問題5
市街地での事務所ビルの建設工事における右に示す工程表に関し、次の問いに答えなさい。 なお、解答の旬日は、上旬、中旬、下旬で記述しなさい。

[ 工事概要 ]
構造・規模:
鉄筋コンクリート造地下1階、地上5階建、
延べ面積 2,500 m2 とする。
山留め :山留め壁は、親杭横矢板工法で
外部型枠兼用(片面型枠)とし、
親杭は引き抜かない。
支保工は、水平切梁工法とする。
外部仕上:正面1階は石張りとし、
その他は小口タイル張りとする。

1.表中のA及びBに該当する作業名をあげなさい。

解答

A及びBに該当する作業名

 A:乗入構台解体

 B:防水保護コンクリート伸縮目地材取付け

(解説)

Aについて(土工事)

AはB1F立上りが終了後、地上躯体工事開始前に行う仮設工事であり、乗入構台解体である。

Bについて(防水工事)

Bは屋上アスファルト防水終了後、防水保護コンクリート前に行う防水工事であり、防水保護コンクリート伸縮目地取り付けである。

2.作業の開始日が工程上最も不適当な作業名を表中より選び、適当な工程となるように、その開始日を月次と旬日で定めなさい。
ただし、その作業の期間は正しいものとする。

解答例

開始日が工程上最も不適当な作業名

 作業名:杭頭処理

 開始日:3月上旬

(解説)

杭頭処理が1次根切り終了後に開始されている。杭頭処理は2次根切り・床付けと並行して行われる工事であり、3月上旬の開始となる。

3.外壁仕上げのタイル張り作業の工程は未記入となっている。適当な工程となるようにタイル張り作業の開始日及び終了日の期日を月次と旬日で定めなさい。

解答例

タイル張りの開始日と終了日

 開始日:9月上旬(または8月下旬)

 終了日:10月中旬

(解説)

タイル工事は、外壁タイル下地モルタル塗り後1ヶ月程度の養生期間を取って開始することが必要である。

開始日は、「9月上旬(早くても8月下旬)」となる。また、外壁タイル下地モルタル塗りが9月_20日頃に終了することと外壁シーリングが10月下旬に終了することから、終了日は「10月中旬」が望ましい。

平成23年1級建築施工管理技士 実地検定 問題6 解答解説

平成23年度 1級建築施工管理技術検定 実地 問題6

問題6
「建設業法」及び「労働安全衛生法」に定める次の各法文において、[  ] に当てはまる語句を記入しなさい。
1.建設業法
建設業者は、許可を受けた [ ① ] に係る建設工事を請け負う場合においては、当該建設工事 に [ ② ]する他の [ ① ]に係る建設工事を請け負うことができる。

解答

 ①建設業 ②附帯

(解説)

建設業法第4(附帯工事)

建設業者は、許可を受けた建設業にかかる建設工事を請け負う場合においては、当該建設工事に附帯する他の建設業にかかる建設工事を請け負うことができる。

なお、建設業の許可は、この法律の規定による28の建設工事に対応する28の業種に区分されている。

2.建設業法
請負人は、請負契約の履行に関し工事現場に現場代理人を置く場合においては、当該現場代理 人の [ ③ ]に関する事項及び当該現場代理人の行為についての注文者の請負人に対する [ ④ ]の申出の方法(第3項において「現場代理人に関する事項」という。)を、書面により注文者に通知しなければならない。

解答

 ③権限 ④意見

(解説)

建設業法第19条の2

(現場代理人の選任等に関する通知)

請負人は、請負契約の履行に関し工事現場に現場代理人を置く場合においては、当該現場代理人の権限に関する事項及び当該現場代理人の行為についての注文者の請負人に対する意見の申出の方法(第3_項において「現場代理人に関する事項」という。)を、書面により注文者に通知しなければならない。

3.労働安全衛生法
建設工事の注文者等仕事を他人に請け負わせる者は、施工方法、 [ ⑤ ] 等について、安全で 衛生的な作業の遂行をそこなうおそれのある [ ⑥ ]を附さないように配慮しなければならない。

解答例

 ⑤工期 ⑥条件

(解説)

労働安全衛生法第3条第3項(事業者等の責務)

建設工事の注文者等仕事を他人に請け負わせる者は、施工方法、工期等について、安全で衛生的な作業の遂行をそこなうおそれのある条件を附さないように配慮しなければならない。

平成24年1級建築施工管理技士 実地検定 問題1 解答解説

平成24年度 1級建築施工管理技術検定 実地 問題1

問題1
建築工事においては、資源循環の推進や建設副産物対策などの環境負荷の低減に向けた取り組みが行われている。
あなたが経験した建築工事のうち、施工にあたり建設副産物の発生抑制、再使用、再生利用、 熱回収、適正処分などの対策について、施工計画の段階から検討し、実施した工事を1つ選び、 下記の工事概要を具体的に記入した上で、次の問いに答えなさい。
なお、建築工事とは、建築基準法に定める建築物に係る工事とする。ただし、建築設備工事を除く。
[ 工事概要 ]
イ.工 事 名
ロ.工 事 場 所
ハ.工事の内容
  新築等の場合:建物用途、構造、階数、
         延べ面積又は施工数量、
         主な外部仕上げ、
         主要室の内部仕上げ
  改修等の場合:建物用途、主な改修内容、
         施工数量又は建物規模
ニ.工 期 (年号又は西暦で年月まで記入)
ホ.あなたの立場
1. 工事概要であげた工事において実施した、発生抑制再使用再生利用熱回収適正処分の 建設副産物対策から、異なる対策を 3 つ選び、それぞれ次の1から4の事項について、具体的に記述しなさい。
ただし、「実施した内容」はそれぞれ異なる内容の記述とする。
①選んだ建設副産物対策
②工種名
③実施した内容
④結果とあなたの評価

解答例

1)建設副産物対策1

選んだ建設副産物対策:発生抑制

工種名:内装工事

実施した内容

搬入材料は梱包材(包装材、ダンボール等)を減らしたものを選定し、パレット等による搬入を実施した。

結果と評価:現場搬入材の選定及び無梱包を指導・促進したことにより、建設副産物を大幅に減らすことができ、産業廃棄物処理費を大幅に削減できた。

2)建設副産物対策2

選んだ建設副産物対策:再使用

工種名:型枠工事

実施した内容

合板型枠について、規格、寸法を統一し、小ばらしにならないように解体、補修を行い再使用した。また、使用した型枠材は表面をケレンし、外構工事の基礎部分に再使用した。

結果と評価

型枠工事の省力化ができ、廃材が減少し、材料費の抑制につながり、建設廃棄物の資材の再使用が図られた。

3)建設副産物対策3

選んだ建設副産物対策:再生利用

工種名:基礎工事、杭工事

実施した内容

コンクリートの破片(ガラ)及び現場内の地中障害物を撤去した際に発生したコンクリート破片(ガラ)、また現場造成杭の上部のコンクリート破片(ガラ)等を現場内でクラッシャーで砕き、軟弱な場内仮設道路の舗装に使用した。

結果と評価

場内仮設道路を設置するために、軟弱地盤を改良しなければならなかったところをクラッシャランで代用することができ、地盤改良費、場外処分費のコストダウンにつながった。

4)建設副産物対策4

選んだ建設副産物対策:熱回収

工種名:型枠工事

実施した内容

再使用できなくなった型枠用木材・木くずの中で、チップ化できない廃材を分別して、燃料として燃料化施設へ持ち込んだ。

結果と評価

産業廃棄物の発生が抑制され、再度燃料として利用することにより、循環型社会に貢献できた。

5)建設副産物対策5

選んだ建設副産物対策:適正処分

工種名:全工種

実施した内容

養生シート、繊維くずなどは、産業廃棄物管理表(マニュフェスト)による廃棄物の管理方法によって産業廃棄物の運搬、処分を業とする者に委託した。ウエス、手袋、ハケ類など消耗品は焼却し管理型最終処分場に埋めた。

結果と評価

返送されたE票で適正な処分がされたことを確認した。また焼却灰を適正に処分して、環境汚染を防止できた。

2.工事概要であげた工事にかかわらず、あなたの今日までの工事経験に照らして、地球環境保全 のため建築工事現場においてどのような取り組みを行うべきか、次の2つの環境問題から 2 つを 選び、具体的に記述しなさい。
ただし、 1.の「実施した内容」と重複しないこと。
[ 環境問題 ]
 ・ 地球温暖化
 ・ 熱帯林の減少
 ・ 水質汚染

解答例

1)地球温暖化

・現場従業員の個人の車での通勤を禁止し、マイクロバスか公共交通期間での通勤とする。

・工期を厳守し、時間外作業はできるだけ行わず、夜間の仮設伝統・電力の使用は避ける。

・アスファルト防水からシート防水に変更して熱加工を排除した。

2)熱帯林の減少

・できる限り木製型枠を使用せず、メタルフォーム等を用いる。

・可能な限り、プレキャスト化を図り、現場での型枠の使用量を少なくする。

・床型枠に合板型枠を使用せず、フラットデッキを使用する。

・基礎、地中梁は合板に替えてメッシュ型枠とする。

3)水質汚染

・工事現場で発生する排水は、沈砂槽を用いて沈殿・ろ過させ、上澄水のみ下水に放流する。

・地下工事の湧水は、沈砂槽を通して、pHを確認しながら下水に放流する。

・リバース工法の泥水を脱水機にかけ、水と土砂の分離を図った。

・場所打ち杭の施工で発生する排泥水は沈砂槽で浄化してから下水へ放流することで排泥水の流出を防止する。

平成24年1級建築施工管理技士 実地検定 問題2 解答解説

平成24年度 1級建築施工管理技術検定 実地 問題2

問題2
次の 1.から 3.の機械又は設備を使用して作業を行う場合、作業開始前の安全点検事項を それぞれ 2つ、具体的に記述しなさい。
ただし、保護帽、安全帯、保護具などの着用、資格及び免許に関する記述は除くものとする。
1.移動式クレーン

解答例

①移動式クレーンが転倒するおそれがあるような軟弱地盤ではないか。転倒するおそれがある地盤には、転倒を防止するための必要な広さ及び強度を有する鉄板等が敷設させているか。

②クレーンを用いる作業を行う日の作業前において、巻渦防止装置、ブレーキ、クラッチ及びコントローラーの機能に問題はないか。

③アウトリガーを有する移動式クレーンを使用する場合には、アウトリガーを最大限に張り出し、作業ができるか。

④移動式クレーンの上部旋回_体と接触するおそれのある場所、吊り荷の落下による危険がある場所へ立ち入り禁止の措置がとられているか。

⑤クレーンを用いる作業を行う場所に当該クレーンのクレーン検査証を備えているか。

2.移動式足場(ローリングタワー)

解答例

①作業床の高さの制限(専用枠の幅等による)を超えていないか。

②ローリングタワーに階段またははしご等の昇降装置がもうけれているか。

③床版は、すき間が3㎝以下となるように全面に敷かれているか。

④手すり(90㎝以上)及び中残、幅木(10㎝以上)が設けられているか。

⑤枠組の最下端近くに水平交差筋かいを設けるか、または布枠を設けているか。

⑥移動範囲の足元の整理整頓はされているか。

3.交流アーク溶接機

解答例

①電撃防止装置は作動するか。

②アースの取付け状況等の感電防止措置はとられているか。

③溶接用ホルダーに破損はないか。

④キャプタイケーブルの破損はないか。また、接続部のテーピングの状態に問題はないか。

⑤湿気、ほこり、衝撃等を受けることがない設置場所であるか。

⑥ヒューズなどの過電流遮断器は適正なものた使用されているか。