1級建築施工管理技士 内装仕上 結露しやすい箇所

建築品質 内装仕上工事


81)結露しやすい箇所

居住環境が高断熱、高気密になると、室内で発生した水蒸気が外部に排出されにくくなるため結露が発生しやすくなる。また、建物完成後に建築主が設計条件とは異なった使い方をすると、結露が発生しトラブルにつながるケースがある。

1.表面結露

室内の換気をせずに、ガスや灯油を燃料とした暖房器具を長時間使用し、外壁の室内側の窓ガラスの表面温度が室内の露点温度より低くなった時に表面結露が発生する。表面結露は拭き取るか、換気をすれば大事には至らない。

.内部結露

室内の高温多湿の空気が天井や壁の内装仕上げ材を通り抜け、低温低湿側の小屋裏や壁体内に侵入した時に内部結露が発生する。通常目に付かないところなので、湿って内装材を汚し、カビが発生してトラブルにつながる。
外壁の断熱工法で、鉄筋コンクリートの外壁に直接、GL工法で複合パネルを施工すると、冬期に内部結露が発生し湿気でボードが剥がれ落ちる原因となるので厳禁である。また、断熱ボードを打込む場合はジャンカや空隙ができても発見できない。外壁内断熱は、発泡ウレタンを適正な厚さ管理の下で、吹き付けて断熱した後、GL工法または軽鉄下地ボード張りで仕上げる。


外壁の断熱仕様

3.夏型結露

結露が起きるのは冬期だけとは限らない。鉄骨造の工場や倉庫は、夏期には折板屋根から小屋裏に高温多湿な外気が入りこみ、小屋裏部材に結露が発生する場合がある。地域によっては夏場、特に梅雨時に小屋裏換気をすると、高温多湿な外気が流入してかえって天井裏に結露を発生させることがあるので要注意である。
冷房された作業場でシャッターを解放すると、室内よりも高温多湿な外気が一気に流入し、床表面や天井面に表面結露が発生する。外部の荷捌き場と室内の間に前室を設け、室内より外気の温湿度が高い場合は、換気運転を停止する。


夏型結露と放射冷却の例

4.解放された外部空間でも結露は起きる(放射冷却)

冬期の夜間には外気と同じ環境であっても、放射冷却が発生して外気温度が0℃以下になると、工場や配送センターの荷捌場の金属折板庇の上下で水蒸気が凍結する。日の出とともに外気温が上昇し、直射日光が庇に当たると、溶けて水滴となって落下する。荷捌場に置いてある製品を濡らす原因となるので、庇下に無機質系断熱材の吹き付けが有効であるが、その要否は建築主と協議して防露対策について検討する必要がある。

1級建築施工管理技士 内装仕上 熱橋となるところ

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082)熱橋(ヒートブリッジ)となるところ

鉄骨の柱や梁が断熱材を貫通している部分や断熱工法における断熱材の欠損部位は熱橋(熱の通り道:ヒートブリッジ)となる。断熱材を隙間なく施工し断熱欠損の部位をなくすことができれば、結露のトラブルをなくすことができる。

1.外壁の入隅部や外壁と床の取合い部の熱橋

外壁と直交する住戸間界壁の折返し部分や床は熱橋となる。


外壁取合い部の熱橋

外壁側から室内側へ600mm程度までは発泡ウレタンを吹き付け、断熱する。断熱材の厚さ及び施工範囲は地域区分により異なる。例えば、北海道等寒冷地では900mm程度となる。
詳細は「省エネルギー基準」に準拠した「住宅に係るエネルギーの使用の合理化に関する設計・施工及び維持保全の指針」(国土交通相告示第378号)を参照

2.打込み断熱材の継ぎ目の断熱欠損部は熱橋

屋根スラブや外壁に打込まれた断熱材の継ぎ目にコンクリートが流れると熱橋となる。断熱材の継ぎ目にコンクリートが流れ込まないように施工する。


打込み断熱材の継ぎ目

3.屋根スラブ打込みルーフドレンや吊りボルト

①屋根スラブに打込むルーフドレンは、雨水を集水するために周囲よりスラブ天端を下げて施工する。外断熱防水の場合はその周囲に断熱材を敷き込むことができないので、その部分が熱橋となる。スラブ裏面に断熱補強が必要となる。


打込みルーフドレン部のスラブ下断熱

②屋根スラブに打込む吊りボルト用インサートも熱橋となる。断熱用プラスチックインサートを採用する。

4.外壁に打込まれた設備ボックスも熱橋

外壁に設備配管や電気ボックスを打ち込んだ場合、外壁に断面欠損が生じ、配管やボックスが熱橋となる。設備配管や電気ボックス等は外壁に打ち込んではならない。

5.断熱した外壁に面した押入れの壁が結露することがある

外壁に面した押入れは、床にすのこを敷き、中段の棚と奥の壁との間に30mm程度の隙間を設け、空気を流れを作り押入れ壁面の表面温度が下がらないようにする。
押入れの壁に布団が接して収納されると、壁面の表面温度が押入れ空気の露店温度以下になり、結露を起こしカビが発生する。


外壁に面した押入れ

1級建築施工管理技士 内装仕上 内断熱と外断熱

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83)内断熱と外断熱

従来の建築の考え方は内断熱であったが、近年外断熱が話題に上がることが多くなっている。内断熱でも外断熱でも、断熱が途切れたところ熱橋(ヒートブリッジ)が発生する。熱橋部分が断熱効果を下げ、そこが結露する。内断熱と外断熱の特徴を理解し、熱橋を少なくするのが、省エネルギー計画上、重要なポイントである。

1.外断熱の特徴

外断熱は躯体が外部の熱環境の影響を受けにくいので、内部熱環境を一定に保ちやすい。躯体は断熱材で保護され、温度変化が少なく、躯体が長持ちする。ただし、躯体の熱容量がある場合(鉄筋コンクリート造等)は冷暖房の立上りが遅くなる。外断熱は躯体の外側を断熱層で包むという考え方であるが、バルコニーや屋上パラペット、基礎まわりは断熱材を完全に連続させることは困難で、熱橋が発生し結露する可能性がある。これらの熱橋での結露防止策は内断熱とする。
外断熱の外装は、断熱材がそのまま外装仕上となる材料がほとんど無いため、断熱材の上に、雨風をしのぐ耐久性のある外壁としての仕上が必要となり、一般的には内断熱に比べて建設コストが多くなる。


外断熱工法

2.内断熱の特徴

内断熱は躯体内側に断熱層を設ける一般的な工法である。躯体と断熱材の間に隙間を作らないことが重要である。内部環境はほぼ一定であるが、外断熱とケースとは逆に、躯体が外環境の影響を受けるので、躯体の寿命は設計時の計画年数の級になると考えられる。
外壁仕上は通常通り施工できるので、従来からのノウハウをそのまま適用でき、外断熱に比べると建築コストは抑えされる。外壁に交わる間仕切りや床の外壁際が熱橋となるので、そういう部分は熱橋対策として、断熱材を折り返して300〜900mm程度まで引き延ばす必要がある。
最上階も内断熱にすると、日射や寒暖により躯体への影響が大きくなるので、外壁内断熱工法を採用した場合でも、最上階スラブは外断熱とするケースが多い。その場合、防水層との順番に注意する。

露出防水の場合、
内側より、躯体 → 断熱材 → 防水層

歩行用の場合、
内側より、躯体 → 防水層 → 断熱材 → 保護層

よって、歩行用の場合は、外断熱にすると、躯体と共に防水層も断熱材に護られるので長持ちする。
外断熱と内断熱を利点を考慮しつつ、部位によって使い分け、その際に断熱層の切り替わり部分の熱橋対策をとることが重要である。


内断熱工法

1級建築施工管理技士 内装仕上 断熱材は適材適所に

建築品質 内装仕上工事


84)断熱材は適材適所に

建築用断熱材は布団状のグラスウールや板状の断熱ボード、現場発泡の吹付け断熱材などがある。それぞれの部位に最適な断熱材を使用する。

1.陸屋根の外断熱

屋上の露出断熱アスファルト防水では、断熱材の上に露出防水するため、断熱材はA種硬質ウレタンフォーム両面スキン付きを使用する。
保護断熱アスファルト防水では、防水の上に断熱材を敷いて保護コンクリートを打つため、断熱材は押出法ポリスチレンフォーム3種bのスキン層付きを使用する。

2.陸屋根、外壁の内断熱

躯体打込みの時は押出法ポリスチレンフォームとする。後施工では建築物断熱用吹付け硬質ウレタンフォームを利用する。

3.土に接する床、最下階の床

躯体打込みの時に押出法ポリスチレンフォームを使用する。

4.天井面の断熱

天井面での断熱は施工性の面からグラスウール(24kg/m3)敷込みとすることが多い。この場合、照明器具や空調用吹出口等により、完全な敷込みができない部分が生じやすい。入念な施工が求められる。

5.木造の断熱

木造壁の断熱はグラスウールが多いが、内部結露の可能性があり、通気層を設けなければならない。グラスウールに比べて現場発泡の建築物断熱用吹付けウレタンフォームは壁面に密着し、狭小隙間部分にも確実に施工でき、性能も良いので使われるケースが多くなってきている。

6.建築物断熱用吹付け硬質ウレタンフォーム(JIS A9526)

建築物断熱用吹付け硬質ウレタンフォームはA種、B種、難燃2級、難燃3級などがあり、特記仕様書に示される。特記がなければ、ノンフロンのA種1の難燃性を有するものとする。この発泡ウレタンフォームは現場での吹付け厚さで性能を確保するためその吹付け厚さ管理が重要である。この吹付け厚さの管理は4m2当たり1ヶ所吹付け厚さ管理用ピンを張り付け、均一に厚さを確保するように管理する。また、難燃であるが、火源によっては燃焼することもあるので、防火コートを吹き付けことを勧める。特にテナントビルなどではテナントの改修工事中の溶接の火などによる燃焼の危険性があるため防火コートは必要である。

※断熱材の種類によって熱伝導率λの値が異なり、熱貫流率の計算に関わるので、断熱材の変更を行う場合は注意する。

1級建築施工管理技士 外構 外構床のトラブル予防策

建築品質 外構工事


87)外構床のトラブル予防策

建物周囲のタイルや石で舗装された外構の床にまつわるトラブは意外と多い。

①雨の時、水たまりが発生する。
②人が滑って転倒する。
③タイルや石が割れる
④建物入口際で段差ができる(土間が沈下)

などなど、基本的な抑えをすれば発生しないものが多いが、軽視されることによるものと思われる。

1.外構の床や屋上と同様に水勾配が必要

道路の高さと建物1階の床の高さの関係は非常に重要であり、設計の初期段階で決めることである。建物をフラットにすることに注意が行き、雨水排水勾配を考慮していないケースがある。雨水勾配は1/50は確保したい。そうすれば排水もスムーズで、水たまりもできず、風で押し水が寄せされることもない。

2.外構仕上げ材は防滑性を確保

磨き石の床は雨の日、特に滑りやすい。床の防滑性に関して「JASS9 張り石工事」では滑り抵抗係数(C.S.R 値)の許容範囲を0.4〜0.8としている。「東京都福祉のまちづくり条例」では床材の滑り抵抗係数を0.4以上と規定している。本磨きや水磨きの石は使用してはならない。スロープは特に滑りには注意が必要である。ゆるい勾配だからといってジェット仕上げで大丈夫とは言えない。また、滑り止めの溝を切ったからといっても効果は少ない。溝部分にカーボランダムを埋め込むなど、確実な滑り止めを設けたい。


スロープの滑り止め

3.石やタイルの目地と土間コンクリートの目地を合わせる

外部土間にタイルや石を張るときは、下地の土間コンクリート(以下土間コン)がしっかりしていることが重要である。下地の土間コンが割れるとタイルや石が浮いたり割れたりする。土間コンの厚さは100mm程度以上とし、溶接金網(鉄筋径6mm、網目寸法150mm程度)を入れる。土間コンにはは3m内外の間隔で伸縮調整目地、或いはカッター目地を設ける。カッター目地の場合はメッシュ筋はかぶり確保のため切断する。その土間コンの伸縮調整目地とタイルや石の伸縮調整目地の位置は合わせなければならない。タイルや石の目地位置に合わせて、土間コンの目地位置を決めることになる。
建物との取合い部は伸縮調整目地を設ける。伸縮調整目地にはアスファルト目地板を入れる。その部分のタイル目地材はPS-2とする。


土間のタイル張り

尚、舗石やタイルの等の仕上材の厚さと土間コンクリートの厚さ、路床の厚さは、歩行者用と車両用で異なるので注意が必要である。

4.建物際の土間は沈下する

建物周囲は地下工事は基礎工事で掘り返されいるので、土間コン打設前に十分に転圧していたとしても、必ずといってよいほど土間コンは沈下し、建物側と段差が発生する。この沈下防止として、建物本体側から土間コンの下り止めを設けて、土間を乗せかけるおさまりとするするか、少なくともずれ止めの差筋で土間コンと建物側をつなぐ。これにより、土間の沈下は防げるが、建物本体を土間の境は必ずひび割れるので、タイルや石張りの目地位置に合わせて、土間の伸縮調整目地を設けなければならない。


土間コンの下り止め

1級建築施工管理技士 外構 階段・スロープの防水

建築品質 外構工事


88)階段・スロープの防水

外部から建物地下への階段やスロープでは人や車とともに、雨も一緒に入ってくる。滑りやすく、お汚れやすくなるだけでなく、白華現象(エフロレッセンス)も発生する。下部に部屋があると、アスファルト防水するが、階段やスロープの保護コンクリートが動いて割れたり、防水を切るなどのトラブルが発生する。

1.スロープの基本は緩和勾配と雨水の浸入防止

スロープのはじめと終わりには、車が腹や鼻先を擦らないように緩和勾配を設ける。また、スロープへ雨水が入らないように外部へ向かって勾配を付け、排水溝を設ける。もしスロープに雨水が入ってもいいように、スロープ下部にも排水溝を設けたい。車が通るスロープの仕上げは真空ワッパくし目仕上げをする。スロープ用タイル張りは滑りと剥離の可能性があるので注意する。石なら花崗岩の小舗石(ピンコロ石)が良い。

2.保護コンクリートが滑らないようにする

防水の保護コンクリートは常に下方へ滑る力が働いている。保護コンクリートが滑らないように躯体の方を滑り止め断面とし、その位置に伸縮調整目地を設ける。


スロープの防水

3.地下への階段もスロープと同じ

地下への階段は、降りはじめの段を1段上げて外部の水が入らないようにする。防水を必要とする地下への階段もスロープと同じように保護コンクリートの滑り止めを設ける。
階段を石張りにする場合は防水層の上に浸み込んだ水が下部へ集まり、エフロレッセンスを発生させる恐れがある。この浸み込んだ水は透水パイプで階段下の排水溝に排水するようにする。また、石は浸透性撥水材による表面処理をすると濡れ色にならず、白華現象(エフロレッセンス)も妨げる。


階段の防水

又、外構における階段の踏み面には水が溜まらないように1/100の勾配を設ける。一般的には、段鼻のレベルを蹴込位置のレベルより3mm程度低くする。
水の溜まった踏み面は、落ち葉等を含むと更に危険で、転倒の原因になるので、特に注意したいディテールである。

1級建築施工管理技士 設備工事 近隣の環境に配慮する

建築品質 設備


89)近隣の環境に配慮する

近隣との騒音・振動のトラブルには、計画建物が隣接建物の給排気口、冷却塔、受水層や受変電設備(キューピクル)等から影響を受ける場合と、計画建物が騒音・振動の発生源となって近隣へ影響を与える場合とがある。給気口と排気口の位置が隣接する場合は、空調設備の性能発揮にも大きく影響を与えるので、建物を計画する段階で現地確認を十分に行って計画する。また、施工する前に図面と現地を照らし合わせて問題が起きそうであれば、工事監理者は設計者や建築主と協議する必要がある。

1.騒音・振動の発生源

①排気口ガラリの風切音による騒音・振動
②空調屋外機や冷却塔による騒音・振動
③受水槽の水補給時の落水の音
④受変電用屋外キュービクルの騒音・振動
以上は、騒音・振動の発生源として、深夜には住人や近隣に対して与える影響が大きい。

2.外部騒音規制規準

外部騒音規制規準は自治体ごとに騒音振動規制条例で規準値が定められている。計画建物からの騒音振動は敷地境界線上で厳しく規制されているので、空調室外機など騒音や振動を発する機器の仕様については、設備機器発注の前に機器仕様書等の確認をするとともに、建物の完成引渡し時点で、現地の騒音の測定をして許容値内であることを確認する必要がある。騒音規制規準は自治体ごとに規制しているが、ほぼ同じであるので、例として大阪府の場合で解説をする。
住民の生活環境を保全する必要があると認める地域(指定地域)内に特定工場を設置している者は、当該特定工場等の敷地境界線において定められた規制規準を守らなけらばならない。
特定工場とは工場または事業場に設置される施設のうち、著しい騒音を発生させる施設を言い、詳細は昭和43年11月27日政令第324号で指定されている。
ここで注意しなければならないのは、定格出力が7.5kW以上の圧縮機及び送風機についてである。これは空調用室外機等が該当し、特定工場等の工場または事業場に集合住宅や戸建て住宅も該当することである。都市計画区域のほぼ全域において規制を受ける。






1級建築施工管理技士 設備工事 電気室を水から守る

建築品質 設備


91)電気室を水から守る

電気室は建物の中で最も重要な室である。万が一漏水などで電気室がダウンすると、建物のほとんどの機能が停止する。電気シャフト(EPS)も含めて、万全な漏水対策が必要である。このように、建物にとって重要な室を重要機能室と呼ぶ。重要機能室は建物の用途によっても異なり、サーバー室や金庫室、重要書類の保管室なども重要機能室となる。あらかじめ建築主と確認しておくことが必要である。重要機能室を水から守るための対策が必要である。


電気室の漏水対策

1.水配管を通さないこと

電気室内の空調(冷房)する場合、空調機を別室に置くか、そうでなければ、ドレン配管などから水が漏れた時にも大事に至らないような対策が必要である。医療施設や研究施設の重要機能室は機能上、天井裏や室内に給排水の配管が必要となる。その時には、漏水センサーを設置するなど、漏水事故があった場合でも早期に発見して被害を最小限に抑える対策が必要となる。

2.上階からの漏水対策

電気室の上階で水を使用する部屋がある場合、①床を防水するか、②電気室内に水受け天井や防水パンを設置する。上階が事務室でも、エアコンのドレン配管だけでなく、加湿型では給水管もあるので、同様の対策が必要である。①や②の対策が取れないときは③屋外型キューピクルとし、配管は底部から引き出す納まりとする。

3.隣室からの漏水対策

電気室の隣室に水を使用する部屋がある場合、隣室の間仕切り足元の切付け部を塗膜防水するなど、電気室への水の浸入防止を図る。電気室の入口は100mmほど立ち上げておく。重要機能室となるサーバー室も同様である。

4.電気シャフト(EPS)への漏水対策

EPSとパイプシャフト(PS)をまとめて設ける場合は、PSとEPSは壁で区画し、PS側の漏水がEPSに流入しないようにEPSの床を上げるか、周囲に立上りを設ける。EPSを独立して設ける場合も同様に床を上げる。

5.人目につきにくいPSは漏水センサーで監視

人目につきにくいPSは床や給水配管等に漏水センサーを設置して機械監視をするとよい。サーバー室の床下も同様である。

1級建築施工管理技士 設備工事 美しい空間は天井から

建築品質 設備


92)美しい空間は天井から

天井には照明器具、非常用照明、感知器、カセット型エアコン、給気口、排気口、排煙口、スプリンクラー、スピーカー、アンテナそして点検口など多くの器具が取り付くことになる。天井は器具を付けるためにあるようにすら感じられる。その点、システム天井は整理されているが、それでも電気や空調などの設備器具の色相が合ってないこともある。

1.天井は照明を基本とする

天井の中で最も人間の感覚に影響があるのは、照明器具である。照明を空間を演出するといってもよい。照明器具は部屋芯や窓芯などを基準に配置する。その他の器具は照明の位置が決まった後に配置を決める。非常用照明は非常時の明るさを確保すれば、ある程度は融通はきく。感知器の位置も、壁際から600mm以上離すなどの規定を守り、その後に決定する。

2.間接照明の採用

照明器具を見せずに壁や天井へ反射させる効果により、照明するのが間接照明である。間接照明は光源が見えないことが重要である。近くの人の目線で照明器具が見えなくても、離れたところから見えている場合がよくある。間接照明は水平から見ても照明器具が見えないようにしたい。また、蛍光管端部の影で光のムラができないように、器具はラップさせる。間接照明の球替えなどのメンテナンス時に照明棚にはしごを掛けるときはその作業荷重も考慮したい。壁面照らしの間接照明は光る壁面やガラス面に照明器具が映り込んで見える場合があるので注意する。


天井の間接照明


壁の間接照明

3.主要な室のエアコンは天井内隠ぺい型

天井付けカセット型エアコンがよく採用されている。吹き出し口をデザインできる天井隠ぺい型もあるのですっきりした天井を計画することができる。

4.天井点検口を整理する

天井に取り付けられた電気や空調などの各種機器の取付け・点検のために多くの点検口がついているケースがある。配置を工夫して、各種設備工事間での共用を図り、点検口の数を少なくすることが必要である。点検口は天井と同材の化粧仕上げとし、アルミ製の枠見付けが小さいものや、樹脂製で枠が白色の目立たないものを使いたい。

1級建築施工管理技士 設備工事 照明の選択は色温度と演色性

建築品質 設備


93)照明の選択は色温度と演色性

快適な居住空間の雰囲気は、照度レベルや明るさの分布だけではなく、使用するランプの光色「色温度(K)」や、そのランプによって照らされた物体の色の見え方「演色性(Ra:平均演色評価数)」に大きく影響を受ける。色温度や演色性の特性を理解して器具を選定する。

1.光源の明るさ

照明器具には、器具本体とランプが脱着交換できる従来型器具と器具本体とランプが一体のLED器具の2種類がある。光源の明るさは、従来型は「器具光束(ランプ光束 × 器具効率)」でLED器具は「定格光束」で明るさを表現するため、LED器具は同等の明るさを確保できる従来型と対比させて「◯◯ランプ△△形相当」と表記されている。


光源の明るさの目安

2.ランプの光色「色温度(K;ケルビン)」

照明器具の光源の色は色温度(K)を用いて表現する。色温度が高い青白い光は、明るくさわやかで活動的な空間に適し、高い照度でも快適な雰囲気が得られる。逆に、色温度が低い赤味がかった光は、落ち着きのあるくつろいだ雰囲気になり、低い照度の空間に適する。温かいとか、涼しいといった光色の温涼感は、個人差や季節によって異なるが、JIS(日本工業規格)では、3300K以下のランプのもとでは温かく感じ、5300K以上のランプのもとでは涼しく感じると定義している。
朝日や夕陽の光は概ね2000K、澄み切った高原の空の正午の太陽の光はおおよそ6500K「昼光色」と言われている。


色温度の目安

3.物体の色の見え方「演色性(Ra:平均演色評価数)」

物体の色を比較する時には、太陽光の下で並べて比較する。太陽光の下で見る色に近い見え方をする照明ランプを演色性の良い(高い)ランプという。同じ設計照度であっても演色性が良く色彩を鮮やかに美しく見せるランプを使用すれば、明るさ感の効果が高いため快適な照明環境が得られる。Ra値が高いほど色の見え方が自然光に近いものになる。執務空間や長時間滞在する作業場ではより演色性の高いランプを使用し、安全色彩が明確に識別できるような照明環境が必要であり、Ra値が80未満のランプは使用しなほうがよい。


演色性の目安