平成30年1級建築施工管理技士 実地検定 問題1 解答解説

平成30年度 1級建築施工管理技術検定 実地 問題1


問題1

建設業においては、高度成長期に大量に建設された建築物の更新や解体工事に伴う建設副産物の発生量の増加が想定されることから、建設副産物対策への更なる取組みが求められている。 あなたが経験した建築工事のうち、施工に当たり建設副産物対策を施工計画の段階から検討し実施した工事を 1 つ選び、工事概要を具体的に記述したうえで、次の 1.及び 2.の問いに答えなさい。

なお、建築工事とは、建築基準法に定める建築物に係る工事とし、建築設備工事を除くものとする。

[ 工事概要 ]
イ.工 事 名
ロ.工 事 場 所
ハ.工事の内容
新築等の場合:
建物用途、構造、階数、延べ面積又は施工数量
主な外部仕上げ、主要室の内部仕上げ
改修等の場合:
建物用途、建物規模、主な改修内容及び施工数量
ニ.工 期 (年号又は西暦で年月まで記入)
ホ.あなたの立場

1. 工事概要であげた工事において、あなたが実施した建設副産物対策に係る3つの事例をあげ、それぞれの事例について、次の①から④を具体的に記述しなさい。

ただし、3つの事例の③及び④はそれぞれ異なる内容の記述とする。
なお、ここでいう① 建設副産物対策は、発生抑制再使用又は再生利用とし、重複して選択してもよい。

①建設副産物対策
②工種名等
③対策として実施したことと実施に当たっての留意事項
④実施したことによって得られた副次的効果

解答試案

【 解答例】

・発生抑制

①建設副産物対策:発生抑制

②工種名等:コンクリート工事

③対策として実施したこと実施に当たっての留意事項

(実施事項)

スラブの型枠として、合板型枠工法に代えてデッキプレート型枠工法を採用した。

(留意事項)

デッキ材の梁へのかかり代は、50mmを確保するように注意した。

④実施したことによって得られた副次的効果

 型枠廃材の発生を抑制できたとともに、解体作業もなく、工期短縮にも有効であった。

・再使用

①建設副産物対策:再使用

②工種名等:地業工事

③対策として実施したことと実施に当たっての留意事項

(実施事項)

根切り工事で発生した良質な建設発生土については、社内で情報を共有し、他現場において埋戻し土として再使用した。

(留意事項)

混入していた産業廃棄物は取り除いて適切に処理を行った。

④実施したことによって得られた副次的効果

建設副産物を有効に再使用できたとともに、処分費用を大幅に縮減することができた。

再生利用

①建設副産物対策:再生利用

②工種名等:外構工事

③対策として実施したことと実施に当たっての留意事項

(実施事項)

場所打ちコンクリート杭の杭頭処理で発生したコンクリートがらを、現場にてクラッシャー処理を行い敷地内通路の路盤材として再利用した。

(留意事項)

本設の利用にあたっては、工事監理者の承諾を得た。

④実施したことによって得られた副次的効果

産業廃棄物となるコンクリートがらの再利用ができたとともに、敷地内通路の材料費も縮減できた。

2. 工事概要であげた工事にかかわらず、あなたの今日までの工事経験に照らして、1.で記述した内容以外の建設副産物対策として、建設廃棄物の適正な処理の事例を2つあげ、対策として実施したことと、それらを適切に実施するための留意事項を具体的に記述しなさい。

ただし、2つの事例は異なる内容の記述とする。

解答試案

【 解答例】

適正処理1)

全工種において、養生シート、繊維くずなどは、産業廃棄物管理表(マニュフェスト)による廃棄物の管理方法によって産業廃棄物の運搬、処分を業とする者に委託し、返送されたE票で適正に処分されたことの確認した。

運搬、処分受託者から返送された管理票の写しは5年間保存しなければならないことに留意した。

適正処理2)

改修工事において発生した廃石綿等は、特別管理産業廃棄物として、法令にもとづいて適切に処置を行った。

運搬、処分受託者から返送された管理票の写しは5年間保存しなければならないことに留意した。

平成30年1級建築施工管理技士 実地検定 問題2 解答解説

平成30年度 1級建築施工管理技術検定 実地 問題2

問題2
建築工事における次の 1.から 3.の災害について、施工計画に当たり事前に検討した災害の発生するおそれのある状況や作業の内容と災害を防止するための対策を、それぞれ2つ具体的 に記述しなさい。
ただし、解答はそれぞれ異なる内容の記述とする。また、安全帯や保護帽の使用、朝礼時の注意 喚起、点検や整備などの日常管理、安全衛生管理組織、新規入場者教育、資格や免許に関する記述 は除くものとする。
1. 墜落、転落による災害

解答試案

【 解答例】

(1) 外壁タイル張り工事作業における足場からの転落事故を防ぐため、足場の作業床の幅は40cm以上、床材間の隙間は3cm以下、かつ床材と建地との間隔を12cm以下とする。

(2) ダメ穴等の床開口部からの作業員の墜落事故を防止するため、大きな開口部分には手すりを設けるとともに、安全ネットの設置を計画する。

2. 電気による災害

解答試案

【 解答例】

(1) 鉄骨溶接工事における感電事故を防止するため、交流アーク溶接機はほこりの少ない場所に設置し、専用アース線または躯体鉄筋等にアースを確実に設置する。

(2) 工事作業員の感電事故を防止するために、キュービクル、変圧器などを設置する際は、仮囲いを施して取扱責任者以外の立入りを禁止する。

3. 車両系建設機械による災害

解答試案

【 解答例】

(1) 路肩、傾斜地でのブルドーザーの店頭事故を防止するため、転倒のおそれがある箇所に、あらかじめ誘導員を配置し、その者に誘導させる。

(2) 外壁補修工事における高所作業車の転倒または転落による作業員の危険を防止するため、地盤の傾斜や地耐力を確認した上で、車両よりアウトリガーを張り出す。

平成30年1級建築施工管理技士 実地検定 問題3 解答解説

平成30年度 1級建築施工管理技術検定 実地 問題3

問題3
次の 1.から 8.の各記述において、記述ごとの①から③の下線部の語句又は数値のうち 最も不適当な箇所番号1 つあげ、適当な語句又は数値を記入しなさい。
1. 平板載荷試験は、地盤の変形や強さなどの支持力特性を直接把握するために実施される。 試験地盤に礫が混入する場合には、礫の最大直径が載荷板直径の①1/3 程度を目安とし、この条件を満たさない場合は大型の載荷板を用いることが望ましい。
試験地盤は、半無限の表面を持つと見なせるよう載荷板の中心から載荷板直径の②倍以上の範囲を水平に整地する。
また、計画最大荷重の値は、試験の目的が設計荷重を確認することにある場合は、長期設計荷重の③倍以上に設定する必要がある。

解答と分析

【 解答 】

 ① 1/5

2. 根切り工事において、掘削底面付近の砂質地盤に上向きの浸透流が生じ、この水の浸透力が砂の水中での有効重量より大きくなり、砂粒子が水中で浮遊する状態を①クイックサンドという。
クイックサンドが発生し、沸騰したような状態でその付近の地盤が崩壊する現象を②ボイリングという。
また、掘削底面やその直下に難透水層があり、その下にある被圧地下水により掘削底面が持ち
上がる現象を③ヒービングという。

解答と分析

【 解答 】

 ③ 盤ぶくれ

3. 場所打ちコンクリート杭地業のオールケーシング工法における掘削は、①表層ケーシングを搖動又は回転圧入し、土砂の崩壊を防ぎながら、②ハンマーグラブにより掘削する。
常水面以下に細かい③層が 5 m 以上ある場合は、①表層ケーシングの外面を伝って下方に流れる水の浸透流や搖動による振動によって、周囲の③が締め固められ①表層ケーシングが動かなくなることがあるので注意する。
支持層の確認は、②ハンマーグラブでつかみ上げた土砂を土質柱状図及び土質資料と対比して行う。

解答と分析

【 解答 】

 ① ケーシングチューブ

4. ガス圧接の技量資格種別において、①手動ガス圧接については、1種から4種まであり、2種、3種、4種となるに従って、圧接作業可能な鉄筋径の範囲が②大きくなる。
技量資格種別が1種の圧接作業可能範囲は、異形鉄筋の場合は呼び名③D32以下である。

解答と分析

【 解答 】

 ③ D25

5. 鉄筋のガス圧接継手の継手部の外観検査において、不合格となった圧接部の処置は次による。
圧接部のふくらみの直径や長さが規定値に満たない場合は、再加熱し、①徐冷して所定のふくらみに修正する。
圧接部の折曲がりの角度が ②度以上の場合は、再加熱して修正する。
圧接部における鉄筋中心軸の③偏心量が規定値を超えた場合は、圧接部を切り取って再圧接する。

解答と分析

【 解答 】

 ① 加圧

6.型枠組立てに当たって、締付け時に丸セパレーターのせき板に対する傾きが大きくなると丸セパレーターの破断強度が大幅に低下するので、できるだけ①直角に近くなるように取り付ける。
締付け金物は、締付け不足でも締付けすぎても不具合が生じるので、適正に使用することが重要である。締付け金物を締付けすぎると、せき板が②内側に変形する。
締付け金物の締付けすぎへの対策として、内端太(縦端太)を締付けボルトとできるだけ③離す等の方法がある。

解答と分析

【 解答 】

 ③ 接近させる

7. コンクリートポンプ工法による1日におけるコンクリートの打込み区画及び①打込み量は、建物の規模及び施工時間、レディーミクストコンクリートの供給能力を勘案して定める。
コンクリートの打込み速度は、スランプ 18 cm 程度の場合、打込む部位によっても変わるが、
20~②30 m3/h が目安となる。
また、スランプ 10~15 cm のコンクリートの場合、公称棒径 45 mm の棒形振動機1台当たりの締固め能力は、10~③30 m3/h 程度である。
なお、コンクリートポンプ1台当たりの圧送能力は、20~50 m3/h である。

解答と分析

【 解答 】

 ③ 15

8. 鉄骨工事におけるスタッド溶接後の仕上がり高さ及び傾きの検査は、①100 本又は主要部材1本若しくは1台に溶接した本数のいずれか少ないほうを1ロットとし、1ロットにつき②本行う。
検査する②本をサンプリングする場合、1ロットの中から全体より長いかあるいは短そうなもの、又は傾きの大きそうなものを選択する。
なお、スタッドが傾いている場合の仕上がり高さは、軸の中心でその軸長を測定する。
検査の合否の判定は限界許容差により、スタッド溶接後の仕上がり高さは指定された寸法の±2mm 以内、かつ、スタッド溶接後の傾きは ③15 度以内を適合とし、検査したスタッドが適合の場合は、そのロットを合格とする。

解答と分析

【 解答 】

 ③ 5

平成30年1級建築施工管理技士 実地検定 問題4 解答解説

平成30年度 1級建築施工管理技術検定 実地 問題4

問題4
次の 1.から 4.の問いに答えなさい。
ただし、解答はそれぞれ異なる内容の記述とし、材料の保管、作業環境(気象条件等)及び作業員の安全に関する記述は除くものとする。
1. 屋上アスファルト防水工事において、平場部にアスファルトルーフィング類を張り付ける場合の、施工上の留意事項を 2 つ、具体的に記述しなさい。
ただし、下地及び増張りに関する記述は除くものとする。

解答例と分析

【 解答例 】

( 留意事項 )

①ルーフィングの継ぎ方は、水上側のルーフィングを水下側の上に張ると共に、重ね幅は、長手、横方向とも100mm以上とする。

②アスファルト防水絶縁工法に用いる穴あきルーフィングは、絶縁面である砂付き面を下にし、通気性を妨げないように突き付けとする。

2. 外壁コンクリート面を外装合成樹脂エマルション系薄付け仕上塗材(外装薄塗材E)仕上げとする場合の、施工上の留意事項を 2 つ、具体的に記述しなさい。
ただし、材料の調合に関する記述は除くものとする。

解答例と分析

【 解答例 】

( 留意事項 )

①仕上塗材の模様、色、つや等は製造所により差異があるので、工程ごとの所要量または塗厚がわかる見本を提出させる。

②仕上塗材仕上をシーリング面に行う場合は、シーリング材が硬化した後に行うものとし、塗重ね適合性を確認し、必要な措置を行う。

3. パラペット天端にアルミニウム笠木を設ける場合の、施工上の留意事項を 2 つ、具体的に記述しなさい。
ただし、下地清掃及び防水層に関する記述は除くものとする。 なお、パラペットは現場打ちコンクリートとする。

解答例と分析

【 解答例 】

( 留意事項 )

①笠木の継手部は、ジョイント金物によるはめあい方式とし、ジョイント部はオープンジョイントを原則とし、5~10mmのクリアランスを設ける。

②取付けは、コーナー_部分笠木を先に取付け、直接部材については、パラペット全体の形状を勘案し、定尺を中心に割り付ける。

4. 外壁下地モルタル面に小口タイルを改良圧着張りとする場合の、施工上の留意事項を 2 つ、具体的に記述しなさい。
ただし、下地清掃、張付けモルタルの調合、タイルの割付け及びタイル面洗いに関する記述は除くものとする。

解答例と分析

【 解答例 】

( 留意事項 )

①張付けモルタルの1回の塗付け面積の限度は2m2以下とし、塗付け面積の限度は、60分以内に張り終える面積とする。

②タイル裏面全体に張付けモルタルを平らに張付け、適切な方法でタイル周辺からモルタルがはみ出すまでたたき締め、通りよく平らに貼り付ける。

平成30年1級建築施工管理技士 実地検定 問題5 解答解説

平成30年度 1級建築施工管理技術検定 実地 問題5

問題5
市街地での事務所ビルの建設工事において、事務室の内装仕上げ工事について各階を施工量のほぼ等しいA工区とB工区に分けて工事を行うとき、右の内装仕上げ工事工程表(3階部分) に関し、次の 1.から 3.の問いに答えなさい。
工程表は作成中のもので、検査や設備関係の作業については省略している。
各作業の内容は作業内容表のとおりであり、Aで始まる作業名はA工区の作業を、Bで始まる作業名はB工区の作業を示すが、作業A8及び作業B8については作業内容を記載していない。
なお、各作業は一般的な手順に従って施工されるものとする。
また、各作業を担当する作業班は複数の作業を同時に行わず、各作業は先行する作業が完了してから開始するものとする。
[ 工事概要 ]
用 途:事務所
構造・規模:鉄筋コンクリート造地下1階、地上6階、
延べ面積 3,200 m2
仕 上 げ:床は、フリーアクセスフロア下地タイルカーペット仕上げ
間仕切り壁、軽量鉄骨下地せっこうボード張りクロス仕上、
ソフト幅木取付け
天井は、システム天井下地吸音板取付け

1. 作業A8及び作業B8の作業内容を記述しなさい。

解答と分析

【 解答 】

作業A8作業B8の作業内容

ソフト幅木取付け

2.(始)から(終)までの総所要日数を記入しなさい。
ただし、各作業班は工程に影響を及ぼさないだけの班数が確保できているものとする。
また、この日数で工事を行うときに、作業A1及び作業B1について最低限手配すべき班数を 記入しなさい。

解答と分析

【 解答 】

① 総所要日数:17日

② 班 数  :1班

3. 作業A3及び作業B3を担当する作業班が1班しか手配できないことが判ったため、工程を見直すこととなった。
このときの、次の記述の[  ] に当てはまる語句又は数値をそれぞれ記入しなさい。
作業B3は、作業B2の完了後で作業名[ あ ]の完了後でないと開始できない。
このため、総所要日数は[ い ]日、作業B2のフリーフロートは [ う ]日となる。

解答と分析

【 解答 】

 [ あ ] A3

 [ い ] 18(日)

 [ う ]  1(日)

平成30年1級建築施工管理技士 実地検定 問題6 解答解説

平成30年度 1級建築施工管理技術検定 実地 問題6

問題6
次の 1.から 3.の問いに答えなさい。
1.「建設業法」に基づく建設工事の見積り等に関する次の文章において、[  ] に当てはまる語句を記入しなさい。
建設業者は、建設工事の [ ① ] を締結するに際して、工事内容に応じ、工事の種別ごとに材料費、労務費その他の [ ② ] の内訳を明らかにして、建設工事の見積りを行うよう努めなければならない。

解答と分析

【 解答 】

  ① 請負契約

  ② 経費

(建設業法 第20条)「建設工事の見積り等」

1.建設業者は、建設工事の請負契約を締結するに際して、工事内容に応じ、工事の種別ごとに材料費、労務費その他の経費の内訳を明らかにして、建設工事の見積りを行うよう努めなければならない。

2.建設業者は、建設工事の注文者から請求があつたときは、請負契約が成立するまでの間に、建設工事の見積書を交付しなければならない。

3.建設工事の注文者は、請負契約の方法が随意契約による場合にあつては契約を締結する以前に、入札の方法により競争に付する場合にあつては入札を行う以前に、第19条第1項第一号及び第三号から第十四号までに掲げる事項について、できる限り具体的な内容を提示し、かつ、当該提示から当該契約の締結又は入札までに、建設業者が当該建設工事の見積りをするために必要な政令で定める一定の期間を設けなければならない。

2.「建築基準法施行令」に基づく仮囲いに関する次の文章において、[  ] に当てはまる語句又は数値を記入しなさい。
木造の建築物で高さが 13 m 若しくは軒の高さが 9 m を超えるもの又は木造以外の建築物で [ ③ ] 以上の階数を有するものについて、建築、修繕、模様替又は除却のための工事を行う場合においては、工事期間中工事現場の周囲にその地盤面(その地盤面が工事現場の周辺の地盤面より [ ④ ] 場合においては、工事現場の周辺の地盤面)からの高さが 1.8 m 以上の板塀その 他これに類する仮囲いを設けなければならない。ただし、これらと同等以上の効力を有する他の 囲いがある場合又は工事現場の周辺若しくは工事の状況により危害防止上支障がない場合においては、この限りでない。

解答と分析

【 解答 】

  ③ 2

  ④ 低い

(建築基準法施工令 第136条の2の20 )「 仮囲い 」

木造の建築物で高さが13m若しくは軒の高さが9mを超えるもの又は木造以外の建築物で2以上の階数を有するものについて、建築、修繕、模様替又は除却のための工事(以下この章において「建築工事等」という。)を行う場合においては、工事期間中工事現場の周囲にその地盤面(その地盤面が工事現場の周辺の地盤面より低い場合においては、工事現場の周辺の地盤面)からの高さが1.8m以上の板塀その他これに類する仮囲いを設けなければならない。ただし、これらと同等以上の効力を有する他の囲いがある場合又は工事現場の周辺若しくは工事の状況により危害防止上支障がない場合においては、この限りでない。

3.「労働安全衛生法」に基づく事業者等の責務に関する次の文章において、[  ] に当てはまる語句を記述しなさい。
建設工事の注文者等仕事を他人に請け負わせる者は、施工方法、[ ⑤ ] 等について、安全で 衛生的な作業の遂行をそこなうおそれのある[ ⑥ ] を附さないように配慮しなければならない。

解答と分析

【 解答 】

  ⑤ 工期

  ⑥ 条件

(労働安全衛生法 第3条)「事業者等の責務」

1.事業者は、単にこの法律で定める労働災害の防止のための最低基準を守るだけでなく、快適な職場環境の実現と労働条件の改善を通じて職場における労働者の安全と健康を確保するようにしなければならない。また、事業者は、国が実施する労働災害の防止に関する施策に協力するようにしなければならない。

2.機械、器具その他の設備を設計し、製造し、若しくは輸入する者、原材料を製造し、若しくは輸入する者又は建設物を建設し、若しくは設計する者は、これらの物の設計、製造、輸入又は建設に際して、これらの物が使用されることによる労働災害の発生の防止に資するように努めなければならない。

3.建設工事の注文者等仕事を他人に請け負わせる者は、施工方法、工期等について、安全で衛生的な作業の遂行をそこなうおそれのある条件を附さないように配慮しなければならない。  

平成29年1級建築施工管理技士 実地検定 問題1 解答解説

平成29年度 1級建築施工管理技術検定 実地 問題1


問題1

今後、建設業において、高齢化等により技能労働者が大量に離職し、労働力人口が総じて減少するために、建設現場の生産性の向上がなお一層求められている。
あなたが経験した建築工事のうち、生産性向上をめざして、品質を確保したうえで施工の合理化を行った工事を 1 つ選び、工事概要を具体的に記入したうえで、次の 1.から 2.の問いに答えなさい。 なお、建築工事とは、建築基準法に定める建築物に係る工事とし、建築設備工事を除くものとする。

[ 工事概要 ]
イ.工 事 名
ロ.工 事 場 所
ハ.工事の内容
新築等の場合:
建物用途、構造、階数、延べ面積(又は施工数量)
主な外部仕上げ、主要室の内部仕上げ
改修等の場合:
建物用途、主な改修内容、施工数量又は建物規模
ニ.工 期 ( 年号又は西暦で年月まで記入 )
ホ.あなたの立場

1. 工事概要であげた工事において、あなたが計画した施工の合理化の事例を 2 つあげ、それぞれの事例について、次の①から④を具体的に記述しなさい。
ただし、2つの事例の2から4の内容は、それぞれ異なる内容の記述とする。

①工種又は部位等

②施工の合理化が必要となった原因と実施した内容

③実施する際に確保しようとした品質と留意事項

④実施したことにより施工の合理化ができたと考えられる理由

2. 工事概要にあげた工事にかかわらず、あなたの今日までの工事経験に照らして、品質を確保したうえで行う施工の合理化の方法であって、建設資材廃棄物の発生抑制に効果があると考えられるものについて、次の①から②を具体的に記述しなさい。

ただし、1.の②から④と同じ内容の記述は不可とする。

① 施工方法

② そう考える理由

解答試案と分析

工事概要であげた工事で品質を確保したうえで施工の合理化を行った事例

【 事例1】

工種又は部位等:鉄筋工事

原因と実施した内容

確認検査を余裕をもって早期に行うことができ、品質基準にそった品質管理確保ができるため、鉄筋の継手を監理者の承認を得た上、柱・梁配筋に先組み工法を採用し、作業の合理化、工程の短縮、配筋精度の向上を図り、確認検査を行い品質を確保した。

品質と留意事項

機会式継手は、告示に適合したものを用いて的確に実施する。また、足元の良いヤードで組立て作業をするので、確実な施工とチェックが可能となる。

合理化となる理由

足元の良いヤードでの組立て作業なので、安全で作業効率が良い。また、現場の作業進捗にかかわらず、確実に行えるので、作業員数の標準化が図られる。

(解説)

施工の合理化とは、省力化、省人化、工期の短縮、安全化などを総称した呼称で使用した意味に使われる。したがって、工事の中で実施した、施工の省力化、機械化、工期の短縮、施工効率の向上、資機材の効率的利用、合理的な仮説計画による考慮を具体的に記述する。設問では、品質を確保したうえでの合理化であるから、単に、材料のグレード、建物機能・性能を下げることは含まれない。また、構法、工法、納まり、使用材料の変更を伴う場合は、設計者・発注者の承諾を得なければならない。

①工種、部位については、②以降の記述の前提になる部分で、内容について整合性が取れていることが必要である。

②実施した内容は、何をどうしたか具体的に書かれていることが必要である。

③品質と留意事項は、②で記述した合理化により、品質が同等か、同等以上になることを記述し、その内容に、客観性、妥当性があることが必要である。

④合理化となる理由は、②で実施したことが省力化、工期の短期、安全化等になることを具体的に記述し、かつ、その理由に客観性、妥当性があることが必要である。

「実施する際に確保しようとした品質と留意事項」が新たに出題されたため、答案をまとめる能力が要求された出題であった。施工の合理化が必要となった原因としては、「当初から工期が厳しかった」「天候の影響で躯体工事が遅延した」「労働者の人員が不足していた」などを記述するとよい。

また、実施する際に確保しようとした品質と留意事項としては、「重要品質を確保するためにどう留意したか」を記述する必要があり、施工の合理化の問題であったが、品質の内容も加味された出題であった。

【 事例2】

①工種又は部位等:

左官工事(住戸内床仕上)

②原因と実施した内容:

内装工事の床仕上下地の施工について、熟練左官_工の労務が不足していたため、フローリング下地はモルタル金ごて仕上げに変えて、セルフレベリング工法を採用した。

③品質と留意事項:

セルフレベリング材による床下地の平滑性を確保するため、流し込み作業中及び硬化するまでの間、開口部をふざぎ、風による表面のしわが発生しないよう、通風のない作業環境に留意した。

④合理化となる理由:

セルフレベリング工法はモルタル金ごて仕上げと違い、調合や作業環境等に留意することで比較的作業員の技量にも影響されにくく、作業についてもこて押え等の工程がないことから、熟練左官工の労務の省力化を図ることができるため。

平成29年1級建築施工管理技士 実地検定 問題2 解答解説

平成29年度 1級建築施工管理技術検定 実地 問題2

問題2
建築工事における次の 1.から 3.の仮設物について、設置計画の作成に当たり、留意又は検討すべき事項をそれぞれ 2 つ具体的に記述しなさい。
ただし、解答はそれぞれ異なる内容の記述とし、申請手続、届出及び運用管理に関する記述は除くものとする。また、使用資機材に不良品はないものとする。
1. つり足場
2. 起伏式(ジブ)タワークレーン
3. 仮設ゴンドラ

解答試案と分析

各設置計画の作成にあたり、留意または検討すべき事項としては、以下のもの等がある。これらを参考に具体的に記述する。

1. つり足場

(記述例)

①つり足場の作業床は、幅40㎝以上とし、かつ、工具や材料の落下防止のため、すき間がないように計画する。

②作業床の高さが、鉄骨工事ボルト締め等の作業に適した高さとなるように、つりチェーンの長さを選定する。

③積載荷重は作業床に対して1.47 kN/m2(150kg/m2)程度と計画する。

(解説)

・つり足場上の作業に必要な人員、資材等の荷重に対して、十分な強度を有する計画とする。

・墜落災害防止対策として、手すり、中桟等を設け、落下防止ネットを張る計画とする。

2. 起伏式(ジブ)タワークレーン

(記述例)

①鉄骨建方等の作業において、ジブ等が作業上やむを得ず敷地境界に接近、または越境する可能性がある場合には、その関係者と事前協議し、必要な防護措置を行う計画とする。

②クレーンの選定にあたっては、立地条件や施工条件及び機械の種類・能力を十分考慮した安全なものを計画する。

③クレーンは、その能力を超えて使用してはならないため、揚重条件を把握したうえでしっかりと荷重計画を行う。

3. 仮設ゴンドラ

(記述例)

①ゴンドラを設置するための突りょうは、取り付ける位置と形状に適したものとし、十分な強度を確保できるものとする。

②定格速度は、ゴンドラの作業床に積載荷重に相当する荷重のものをのせて上昇させる場合の最高の速度をいう。

③ゴンドラの選定及び設置位置については、ゴンドラ作業の内容を十分把握・検討し、作業内容に最適な計画とする。

(解説)

・ゴンドラを使用して作業を行う場所については、当該作業を安全に行うため必要な照度を確保する計画とする。

平成29年1級建築施工管理技士 実地検定 問題3 解答解説

平成29年度 1級建築施工管理技術検定 実地 問題3

問題3
次の 1.から 4.の問いに答えなさい。
ただし、解答はそれぞれ異なる内容の記述とし、作業環境(気象条件等)、材料の品質、材料の調合、材料の保管及び作業員の安全に関する記述は除くものとする。
1. 既製コンクリート杭の埋込み工法における、支持力を確保するための施工管理上の確認方法 2 つ具体的に記述しなさい。
2. 鉄筋工事における、バーサポート又はスペーサーを設置する際の施工上の留意事項 2 つ具 体的に記述しなさい。
3. コンクリート工事の打込み時における、コールドジョイントの発生を防止するための施工上の留意事項 2 つ具体的に記述しなさい。
4. 鉄骨工事の耐火被覆における、吹付けロックウール(乾式又は半乾式)工法の施工上の留意事項 2 つ具体的に記述しなさい。

解答試案と分析

1. 既製コンクリート杭の埋込み工法における、支持力を確保するための施工管理上の確認方法

(記述例)

①施工機械や安定液の適否、土質状態、支持地盤の位置及び種類を試験杭で確認する。

②オーガー駆動電流値の変化を土質柱状図の土質構成やN値と対比する。

(解説)

既製コンクリート杭の埋込み工法における、支持力を確保するための施工管理上の確認方法としては、他に以下のものがある。これを参考に具体的に記述する。

・オーガーヘッドの先端に付着した掘削土を採取し、土質標本と照合する。

2. 鉄筋工事における、バーサポート又はスペーサーを設置する際の施工上の留意事項

(記述例)

①使用部位や所要かぶり厚さに応じて、スペーサーの材種や形状・サイズを使い分ける。

②スラブに用いるバーサポート及びスペーサーの材種は、原則として、コンクリート製か鋼製とする。

(解説)

鉄筋工事における。バーサポートまたはスペーサーの設置についての施工上の留意事項としては、他に以下もの等がある。これらを参考に具体的に記述する。

・材種は、コンクリート製、鋼製とし、モルタル製のスペーサーは強度及び耐久性が十分でないので使用しない。

・断熱材打込み部では、めり込み防止の付いた専用スペーサーを使用し、かぶり厚さを確保する。

・下端が打放し仕上げとなる場合のスラブ用スペーサーは、露出面が大きくならないようなものを使用する。

・バーサポート及びスペーサーの数量・配置の標準を示す。

3.コンクリート工事の打込み時における、コールドジョイントの発生を防止するための施工上の留意事項

(記述例)

①打重ねの時間間隔の限度(外気温 25℃未満の場合150分、外気温 25℃以上の場合120分)を厳守する。

②打重ね時は、棒形振動器の先端を先に打ち込んだ層まで挿入する。

(解説)

コンクリート工事の打込み時における、コールドジョイントの発生防止のための施工上の留意事項としては、他に以下のもの等がある。これらを参考に具体的に記述する。

・コンクリートポンプで圧送する場合には、長時間中断しないよう圧送する。

・練混ぜから打込み終了までの時間の限度(外気温 25℃未満の場合 120分、外気温 25℃以上の場合 90分)を厳守する。

・1回に打ち込むように計画した区画内で連続して打ち込み、一体となるようにする。

4. 鉄骨工事の耐火被覆における、吹付けロックウール(乾式又は半乾式)工法の施工上の留意事項

(記述例)

①施工中は、施工面積 5m2当たり1__箇所を単位として、ピン等を用いて厚さの確認を行う。

②乾式工法において、吹付け時のノズル吐出口と施工面との距離は 30〜50㎝とする。

(解説)

鉄骨工事の耐火被覆における、吹付けロックウール(乾式または半乾式)工法の施工上の留意事項としては、他に以下のもの等がある。これらを参考に具体的に記述する。

・半乾式工法において、吹付け時のノズル吐出口と施工面との距離は 50㎝程度とし、施工面に対し直角からやや斜め方向の角度で吹き付ける。

・鉄骨表面に浮き錆が発生している場合は、耐火被覆材の付着性を阻害するおそれがあるため、耐火被覆施工に先立ちワイヤブラシ等の適切な手工具を使用して除去する。

平成29年1級建築施工管理技士 実地検定 問題4 解答解説

平成29年度 1級建築施工管理技術検定 実地 問題4

問題4
次の 1.から 8.の各記述において、記述ごとの①から③の下線部の語句のうち最も不適当な箇所番号1 つあげ適当な語句を記入しなさい。
1. 改質アスファルトシート防水常温粘着工法・断熱露出仕様の場合、立上がり際の風による負圧 は平場の一般部より大きくなるため、断熱材の上が絶縁工法となる立上がり際の平場部幅 [ ① 300 mm ] 程度は、防水層の[ ②1層目 ] に粘着層付改質アスファルトシートを張り付ける。
なお、入隅部では立上りに[ ③ 100 mm ] 程度立ち上げて、浮き・口あきが生じないように張り付ける。
2. タイルの検査における標準品のタイルは、寸法、厚さ、反り、側反り、ばち、欠陥の有無、 [ ① 吸水率 ] 、[ ②耐凍害性 ] 、[ ③ 圧縮強度 ] 、色合いなどの品質検査表を提出し、工事監理者の承認を受ける。
特注品は、荷口見本による検査又は工場における立会い検査のいずれかを実施する。
3. 金属板葺きによる屋根工事の下葺きに用いるアスファルトルーフィングは、軒先より葺き進め、隣接するルーフィングの重ね幅は、シートの短辺部は[ ① 200 mm ] 以上、長辺部は 100 mm 以上とする。
仮止めを行う場合のステープル釘の打込み間隔は、ルーフィングの重ね屋根の流れ方向で [ ②450 mm ] 程度、流れに直角方向では [ ③ 900 mm ] 以内とする。
4. 金属製手すりが長くなる場合には、金属の温度変化による部材の伸縮を考慮して、通常 5~10m 間隔程度ごとに伸縮調整部を設ける。伸縮調整部を設ける間隔及び伸縮調整幅は、使用する金属の線膨張係数を考慮して決める。温度差[ ① 40 °C ] の場合の部材伸縮量は、鋼は 1 m 当たり[ ② 0.2 mm ] 程度、アルミニウム合金は 1 m 当たり [ ③ 1.0 mm ] 程度である。
5. 左官工事における吸水調整材は、モルタル塗りの下地となるコンクリート面等に直接塗布する ことで、下地とモルタルの界面に[ ① 厚い膜 ] を形成させて、モルタル中の水分の下地への吸水(ドライアウト)による付着力の低下を防ぐものである。
吸水調整材塗布後の下塗りまでの間隔時間は、一般的には[ ② 1時間 ]以上とするが、長時間放置するとほこり等の付着により接着を阻害することがあるので、[ ③ 1日程度 ]で下塗りをすることが望ましい。
6. ステンレス製建具におけるステンレス鋼板の加工には普通曲げと角出し曲げ(角曲げ)がある。 角出し曲げ(角曲げ)ができる板厚は一般に[ ① 2.0 mm ]以上であり、3種類の加工方法がある。
切込み後の残り板厚寸法が 0.5 mm(a角)、[ ② 0.75 mm ] (b角)の場合は裏板にて補強する。[ ③ 1.0 mm] (c角)の場合は補強不要である。a角は割れが生じやすいので、一般的にはb角、c角を用いる。
7. アクリル樹脂系非水分散形塗料(NAD)は、有機溶剤を媒体として樹脂を分散させた非水分散形[ ① エマルション ] を用いた塗料で、常温で比較的短時間で硬化し、[ ② 耐水性 ]や耐アルカリ性に優れた塗膜が得られる。
塗装方法は、はけ塗り、ローラーブラシ塗り又は吹付け塗りとし、吹付け塗りの場合は、塗料に適したノズルの径や種類を選定する。
屋内塗装の場合、パテかいは[ ③ 水掛り ]部分には行わない。
8. タイルカーペットを事務室用フリーアクセスフロア下地に施工する場合、床パネル相互間の段差とすき間を[ ① 1 mm ] 以下に調整した後、床パネルの目地とタイルカーペットの目地を[ ② 100 mm ] 程度ずらして割付けを行う。
カーペットの張付けは、粘着はく離形の接着剤を[ ③ カーペット裏 ]の全面に塗布し、適切なオープンタイムをとり、圧着しながら行う。

解答試案と分析

(解説)

1.立上がり際の風による負圧は平場の一般部より大きくなるため、立上がり際の幅500mm程度は、防水層の1層目に粘着層付改質アスファルトシートを張り付ける。

2.タイルの検査における標準品のタイルは、寸法・厚さ・反り・側反り・ばち 欠陥の有無・吸水率 耐凍害性・曲げ強さ・色合いなどの品質検査表を提出し、工事監理者の承認を受ける。

3.ルーフィングの仮止めを行う場合、屋根の流れ方向には、重ね部にステープル釘を打ち込むため、ステープルの打込み間隔は300mm程度とする。

4.温度差40℃の場合の部材伸縮量は、綱は1m当たり0.5mm程度である。

5.吸水調整材は、下地とモルタルの界面に薄い膜を形成させて、モルタル中の水分の下地への吸水(ドライアウト)による付着力の低下を防ぐものである。過度の塗り重ねは、造膜による剥落等、安全性の低下につながるので避ける

6.角出し曲げ加工ができる板厚は、1.5mm以上である。

7.アクリル樹脂系非水分散形塗料は、有機溶剤を媒体として樹脂を分散させた非水分散形ワニスを用いた塗料である。

8.タイルカーペット張りでは、所定のくし目ごてを用いて粘着はく離形の接着剤を下地(床パネル等)に全面に均一に塗布する。