053)雨の入りやすい窓
低層建物では引き違い窓が多用されている。気密性に劣るため、雨が入りやすいが、庇や水切りが考慮されていて雨水浸入対策はおおよそ計画されている。一方で嵌め殺し窓は雨水浸入がしにくと考えられているが、シールに頼っているケースが多く、シールが切れると漏水することがある。また、排煙用外倒し窓及び縦軸回転窓は漏水するケースがある。
1.外倒し窓は雨が入りやすいので突き出し窓とする
外倒し窓は自然排煙のために部屋の上部に設けられることが多い。自然排煙窓の開閉操作は床から800〜1500mm以下の操作しやすいところに設けられた開閉装置で行う。開閉装置は2〜3窓連動などが多い。この排煙窓を日常の換気に使用する場合、開放するときは押しボタンで簡単に開放できるが、閉鎖するときはハンドル操作でワイヤーを巻く。繰り返し使っている間にワイヤーが伸びて、閉鎖が完全にできなくなり、壁を伝った雨水がそのまま上枠と障子の隙間から浸入する。この事例はよくみかけられるが、高所であるので日常の点検、確認がしづらいので注意を要する。
したがって、外倒し窓にする場合は、庇を設けるか大きな水切りを設ける必要がある。庇などを設けることができない場合は、突き出し窓にするのが望ましい。
2.縦軸回転窓は水切りを設ける
縦軸回転窓は窓枠と障子の間にある止水ゴムがタッチして止水する。開閉時に障子は回転し、軸部でゴムが内外にねじれ、その発生する隙間から漏水する。
また、外壁同面の場合は、雨水が上枠や下枠の止水ゴム部分を水膜でおおうように流れるため、ゴムタッチに少しでも隙間がある場合は水が入りやすくなる。縦軸が偏心した場合には障子枠が垂れ下がることもあり、漏水する可能性は大きくなる。
したがって、止水ゴム部に雨水が当たらないようにすることが大事であり、そのために枠上部、障子下部に水切りを設けると良い。