1級建築施工管理技士 外壁工事 その他 軒天井

建築品質 外壁その他の工事


072)軒天井は台風に弱い

風が通り抜けるピロティの天井やバルコニーの軒天井などは、強風時に大きな負圧がかかり、天井から剥がれるケースがある。屋根葺き材や帳壁にかかる風圧力は建築基準法告示1458号他に示されているが、軒や軒天井は示されていない。


軒天井が飛ばされる

1.軒天井には大きな負圧がかかる

軒天井にかかる風荷重は天井を押し上げる正の荷重と引き剥がす負の荷重の両方を検討する必要がある。軒天井を外装材として隅角部の風力係数などを用いて風圧力を算定する。正圧の風力係数は軒下の壁にかかるピーク外圧係数からピーク室内圧係数 − 0.5 を引いたものを適用する。負圧の風力係数は軒下壁の隅角部の負の外圧係数から室内圧係数(この場合 0 )を引いたものを適用する(ほとんどの場合、外周部は −3.2、一般部は −2.5と見る)。


天井にかかる風圧係数

2.軒天井の下地は耐風圧と耐久性を確保する

天井下地は、1で算出した風圧に耐えるように、天井材の固定のビスのピッチを決め、野縁や野縁受け等の下地材を決める。地震力に対しても、吊りボルトにブレースを配し、吊りボルトの座屈も検討する。


軒天井の下地

軒天井の天井裏は雨の浸入や結露などで天井下地が錆びやすい。天井下地材はJIS A6517による。その他の天井内の金物も防錆処理(亜鉛めっき 60g/m2以上)が必要である。ビスはSUS製とする。焼付塗装の金属パネルでは、裏面の防錆処理(防錆塗装)も忘れてはならない。SUSビスを使っていても、ビス部の下地材が腐食することもある。年数が経ったものは定期的に調査してメンテナンスすることも必要である。

3.負圧に強い天井材料を採用する

風は脈動するため、天井材の固定部(ビス部)は繰り返し変形を受ける。したがってそのような変形に比較的柔軟に追随する金属板などの方が、けい酸カルシウム板より安心である。軒天井が、けい酸カルシウム板のとき、板厚6mmで皿ビスで留めつけるとビスの掛りが少なく、強度は確保できない、板厚6mmの場合は丸頭のビスにする。ビス頭を出したくない場合は板厚えお 8mmにして皿ビスを用いる。


天井ボード(けい酸カルシウム板)のビス留め