1級建築施工管理技士 過去問 解説 令和元年度 実地3

令和元年度 1級建築施工管理技術検定 実地 問題3

問題3
次の1.から4.の問いに答えなさい。
ただし、解答はそれぞれ異なる内容の記述とし、材料の保管、作業環境(騒音、振動、気象条件等)及び作業員の安全に関する記述は除くものとする。
1.山留め支保工において、地盤アンカーを用いる場合の施工上の留意事項を2つ、具体的に記述しなさい。
ただし、山留め壁に関する記述は除くものとする。

解答試案

【 地盤アンカーを用いる場合の施工上の留意事項 】
①敷地境界からアンカー部分が出る場合、事前に隣地管理者等関係者の了解を得て施工する。
②地盤アンカーの引抜き耐力は、全数について設計アンカー力の1.1倍以上であることを確認する。
③山留め壁には鉛直力が作用することから、山留め壁は十分な鉛直支持性能を有する地盤に支持させる。

2.鉄筋工事において、鉄筋の組立てを行う場合の施工上の留意事項を2つ、具体的に記述しなさい。
ただし、鉄筋材料、加工及びガス圧接に関する記述は除くものとする。

解答試案

【 鉄筋の組立てを行う場合の施工上の留意事項 】
①鉄筋相互のあきは、粗骨材の最大寸法の 1.25倍、25mm及び隣り合う鉄筋の平均径の 1.5倍のうち 最大のものとする。また、間隔は、鉄筋相互のあきに鉄筋の最大径を加えたものとする。
②柱、梁の主筋のかぶりは、主筋の外周りを包んでいる帯筋、あばら筋の外側から測定し、施工誤差を考慮して最小かぶり厚さに10mm加えるものとする。
③断熱材打込み部に使用するスペーサーは、めり込み防止の付いた専用スペーサーを用いることで、断熱材へのくいこみを防止し、かぶり厚さを確保する。

3.普通コンクリートを用いる工事において、コンクリートを密実に打ち込むための施工上の留意事項を2つ、具体的に記述しなさい。
ただし、コンクリートの調合及び養生に関する記述は除くものとする。

解答試案

【 コンクリートを密実に打ち込むための施工上の留意事項 】
①1層の打込み厚さは、公称棒径 45mmの棒型振動機の長さ( 60~80mm)以下とし、打ち込んだコ ンクリートの下層まで振動機の先端が入るようにする。
②コンクリートは打ち込む位置の近くに落とし込むようにし、1箇所に多量に打ち込み、横流ししないようにする。
③コンクリートの練混ぜから打込み終了までの時間は、外気温が 25°C以下の場合 120分以内、25°C を超える場合は 90分以内とする。

4.鉄骨工事において、建入れ直しを行う場合の施工上の留意事項を2つ、具体的に記述しなさい。
ただし、アンカーボルト及び仮ボルトに関する記述は除くものとする。

解答試案

【 建入れ直しを行う場合の施工上の留意事項 】
①建入れ直しのために加力するときは、加力部分を養生し、部材の損傷を防止する。
②ターンバックル付き筋かいを有する場合は、その筋かいを用いて建入れ直しを行わない。
③建入れ直しは、溶接歪みなどを考慮した本接合終了後の精度を満足できるように行う。

1級建築施工管理技士 過去問 解説 令和元年度 実地4

令和元年度 1級建築施工管理技術検定 実地 問題4

問題4
次の1.から8.の各記述において、記述ごとの①から③の下線部の語句又は数値のうち最も不適当な箇所番号1つあげ、適当な語句又は数値を記入しなさい。
1.アスファルト防水密着工法において、出隅及び入隅は平場部のルーフィング類の張付けに先立ち、幅① 300mm 程度のストレッチルーフィングを増張りする。
また、コンクリートスラブの打継ぎ部は、絶縁用テープを張り付けた上に、幅②300mm 程度のストレッチルーフィングを増張りする。
なお、流し張りに用いるアスファルトは、環境対応低煙低臭型防水工事用アスファルトとし、溶融温度の上限は、③300℃とする。

解答

 ③ 240
アスファルト防水密着工法の出隅及び入隅においては、平場部のルーフィング類の張付けの前に、幅300mm程度のストレッチルーフィングを増し張りする。
コンクリートスラブの打継ぎ部については、絶縁テープを張り付けた上に、幅300mm程度のストレッチルーフィングを増張りする。
低煙・低臭タイプのアスファルトの溶融温度の上限は、煙の発生を抑制するために240〜260℃程度とする。

2.セメントモルタルによる外壁タイル後張り工法において、マスク張りでは、張付けモルタルを塗り付けたタイルは、塗り付けてから① 60分を限度に張り付ける。
また、モザイクタイル張りでは、張付けモルタルを2層に分けて塗り付けるものとし、
層目はこて圧をかけて塗り付ける。
なお、外壁タイル張り面の伸縮調整目地の位置は、一般に縦目地を③m内外に割り付け、横目地を各階ごとの打継ぎ目地に合わせる。

解答

 ① 5
マスク張りの特徴の1つが、塗り置き時間を短くできることである。タイルへ張付けモルタルを塗り付け後、タイルを壁面に張り付けるまでの時間は5分以内とする。( JASS 19)

3.金属製折板葺きにおいて、タイトフレームの受梁への接合は、下底の両側を隅肉溶接とし、隅肉溶接のサイズを①受梁の板厚と同じとする。
また、水上部分の折板と壁との取合い部に設ける雨押えは、壁際立上りを② 150mm 以上とする。
なお、重ね形折板の端部の端あき寸法は、③ 50mm 以上とする。

解答

 ① タイトフレーム
タイトフレームの下地(受梁)への取付けは、受梁にアーク溶接接合とする。溶接は、タイトフレームの立上り部分の縁から10mm残し、底部両側を隅肉溶接とする。溶接サイズはタイトフレームの板厚と同寸法とする。(JASS12)

4.軽量鉄骨壁下地のランナー両端部の固定位置は、端部から① 50mm 内側とする。ランナーの固定間隔は、ランナーの形状及び断面性能、軽量鉄骨壁の構成等により② 900mm 程度を限度とする。
また、上部ランナーの上端とスタッド天端の間隔は10 mm以下とし、スタッドに取り付けるスペーサーの間隔は③ 1,200mm 程度とする。

解答

 ③ 600
スペーサーは、各スタッドの端部を押さえ、間隔 600mm 程度に留め付ける。

5.仕上げ材の下地となるセメントモルタル塗りの表面仕上げには、金ごて仕上げ、木ごて仕上げ、はけ引き仕上げのほか、① くし目引き仕上げがあり、その上に施工する仕上げ材の種類に応じて使い分ける。
一般塗装下地、壁紙張り下地の仕上げとして、② 金ごて仕上げを用い、セメントモルタルによるタイル張付け下地の仕上げとして、③ はけ引き仕上げを用いる。

解答

 ③ 木ごて
セメントモルタル塗りの表面仕上げには、金ごて仕上げ、本ごて仕上げ、はけ引き仕上げの他くし目引き仕上げがあり、その上に施工する仕上げ材の種類に応じて使い分ける。
金ごて仕上げは、塗装仕上げや壁紙張り仕上げなどの下地面に用い、木ごて仕上げは、セメントモルタルによるタイル後張り工法の下地面に用いる。

6.防火区画に用いる防煙シャッターは、表面がフラットでガイドレール内での遮煙性を確保できる①インターロッキング形のスラットが用いられる。
また、②まぐさの遮煙機構は、シャッターが閉鎖したときに漏煙を抑制する構造で、その材料は不燃材料、準不燃材料又は難燃材料とし、座板にアルミニウムを使用する場合には、③鋼板で覆う。

解答

 ① オーバーラッピング
防火区画に用いる防煙シャッターは、表面がフラットでガイドレール内での遮煙性を確保できるオーバーラッピング形のスラットが用いられる。また、まぐさに設ける遮煙機構は、シャッターが閉鎖したときに漏煙を抑制する構造とし、その材料は不燃材料、準不燃材料又は難燃材料とする。
なお、座板にアルミニウムを使用する場合には、鋼板で覆う。

7.素地ごしらえのパテ処理の工法には、パテしごき、パテかい、パテ付けの3種類がある。このうち、① パテしごきは、面の状況に応じて、面のくぼみ、すき間、目違い等の部分を平滑にするためにパテを塗る。
また、② パテかいは、局部的にパテ処理するもので、素地とパテ面との肌違いが仕上げに影響するため、注意しなければならない。
なお、③パテ付けは、特に美装性を要求される仕上げの場合に行う。

解答

 ① パテかい
パテ処理には、パテしごき、パテかい、パテ付けの3種類がある。
パテしごきは、パテを塗りつけた後に余分なパテをしごき取る事。
パテかいは、面の状況に応じて、面のくぼみ、すき間、目違い等の部分を平滑にするためにパテを塗るものである。
パテ付けは、パテかいの後、表面が平滑になり、肌が一定になるようパテを全面に塗りけ、特に美装性を要求される仕上げの場合に行う。

8.せっこう系直張り用接着材によるせっこうボード直張り工法において、直張り用接着材は、①時間以内で使い切れる量を、たれない程度の硬さに水と練り合わせ、ボードの仕上がりまでの寸法の②倍程度の高さにダンゴ状に盛り上げる。
また、ボードの張付けにおいては、ボード圧着の際、ボード下端と床面との間を③ 10mm 程度浮かした状態で圧着し、さらに調整定規でたたきながら、所定の仕上げ面が得られるように張り付ける。

解答

 ① 1
接着材の一度に練る量は1時間以内に使い切れる量とする。(建築工事監理指針)

1級建築施工管理技士 過去問 解説 令和元年度 実地5

令和元年度 1級建築施工管理技術検定 実地 問題5

問題5
市街地での事務所ビルの建設工事において、各階を施工量の異なるA工区とB工区に分けて工事を行うとき、右の躯体工事工程表(3階柱、4階床梁部分)に関し、次の1.から4.の問いに答えなさい。
工程表は作成中のもので、検査や設備関係の作業については省略している。
各作業の内容は作業内容表のとおりであり、Aで始まる作業名はA工区の作業を、Bで始まる作業名はB工区の作業を示すが、作業A2及び作業B2については作業内容及び担当する作業班を記載していない。
なお、各作業班は、各工区ごとに確保できているものとする。
また、各作業は一般的な手順に従って施工し、各作業班は複数の作業を同時に行わず、先行する作業が完了してから後続の作業を開始するものとする。
[ 工事概要 ]
用   途:事務所
構造・規模:鉄筋コンクリート造、地下1階、地上6階、
      延べ面積 3,200 m2
      鉄筋コンクリート製の壁はなく、
      階段は鉄骨造で別工程により施工する。
外   壁:ALC パネル
R01-5.躯体工事工程表.jpg
  R01-5.作業内容表.jpg
1.作業A2及び作業B2の作業内容を記述しなさい。

解答

 作業A2及び作業B2 柱の配筋
(解説)
柱の鉄筋は主筋(縦の太い鉄筋)が柱の四辺にあるので、型枠をつくる前に鉄筋を組む。鉄筋を組んだ後に、床に引いた柱の墨に沿ってモルタルを少し盛っておき、それに当てるようにパネルを立てる。根巻きモルタルという。

2.作業B7のフリーフロートを記入しなさい。

解答

 作業B7のフリーフロート 7日
(解説)
A工区 A2〜A7にかかる日数
3+3+5+2+3+3=19日
B工区 B1〜B7にかかる日数
1+2+2+2+1+2+2=12日
より
19日 ー 12日 = 7日

3.(始)から(終)までの総所要日数と、工事を令和元年10 月23 日(水曜日)より開始するときの工事完了日を記入しなさい。
ただし、作業休止日は、土曜日、日曜日、祝日、振替休日のほか、雨天1日とする。
なお、10 月23 日以降年末までの祝日は、文化の日(11月3日)と勤労感謝の日(11 月23 日)である。

解答

 総所要日数 22日
 工事完了日 11月25日
(解説)
クリティカルパスはA工区となる。
1+19+1+1 = 22日
令和元年10月23日(水曜日)より作業開始
総所要日数 22日をカウントする。
雨天1日に注意する。
R01-5-3工事完了日.jpg

4.工事着手に当たり、各作業班の手配状況を確認したところ、型枠作業班が1班しか手配できないため、1班で両工区の作業を行うこととなった。
この時に、次の記述の [  ] に当てはまる語句又は数値をそれぞれ記入しなさい。
工程の見直しに当たって、型枠作業班は同じ工区の作業を続けて行うこととしたため、作業B3は、作業B2の完了後で作業 [ あ ] の完了後でないと開始できないこととなる。
このため、作業休止日が同じ場合、工事完了日は当初工程より暦日で [ い ] 日遅れることとなる。

解答

  [ あ ]  A5
  [ い ]  3
(解説)
型枠工事 A5 の後に 型枠工事 B3 を開始することになる。
A工区 作業A5まで1+3+3+5+2
B工区 作業B3より 2+2+1+2+2
作業C1及びC2 1+1
合計 25日となる。
25ー22により3日遅れ。

1級建築施工管理技士 過去問 解説 令和元年度 実地6

令和元年度 1級建築施工管理技術検定 実地 問題6

問題6
次の1.から3.の問いに答えなさい。
1.「建設業法」に基づく主任技術者及び監理技術者の職務等に関する次の文章において、 [  ] に当てはまる語句を記入しなさい。
主任技術者及び監理技術者は、工事現場における建設工事を適正に実施するため、当該建設工事の [ ① ] の作成、工程管理、品質管理その他の技術上の管理及び当該建設工事の施工に従事する者の技術上の [ ② ] の職務を誠実に行わなければならない。

解答

 ①施工計画
 ②指導監督
(解説)
「建設業法」第26条の3第1項
(主任技術者及び監理技術者の職務等)
主任技術者及び監理技術者は、工事現場における建設工事を適正に実施するため、当該建設工事の施工計画の作成、工程管理、品質管理その他の技術上の管理及び当該建設工事の施工に従事する者の技術上の指導監督の職務を誠実に行わなければならない。

2.「建築基準法施行令」に基づく落下物に対する防護に関する次の文章において、 [  ] に当てはまる語句又は数値を記入しなさい。
建築工事等を行なう場合において、建築のための工事をする部分が工事現場の境界線から水平距離が [ ③ ] m以内で、かつ、地盤面から高さが 7m以上にあるとき、その他はつり、除却、外壁の修繕等に伴う落下物によって工事現場の周辺に危害を生ずるおそれがあるときは、国土交通大臣の定める基準に従って、工事現場の周囲その他危害防止上必要な部分を [ ④ ] 又は帆布でおおう等落下物による危害を防止するための措置を講じなければならない。

解答

 ③ 5
 ④ 鉄網
(解説)
「建築基準法施行令」第136条の5第2項
(落下物に対する防護)
建築工事等を行う場合において、建築のための工事をする部分が工事現場の境界線から水平距離が 5m以内で、かつ、地盤面からからの高さが 7m以上にあるとき、その他はつり、除却、外壁の修繕等に伴う落下物によって工事現場の周辺に危害を生ずるおそれがあるときは、国土交通大臣の定める基準に従って、工事現場の周囲その他危害防止上必要な鉄鋼または帆布でおおう等落下物による危害を防止するための措置を講じなければならない。

3.「労働安全衛生法」に基づく特定元方事業者等の講ずべき措置に関する次の文章において、 [  ] に当てはまる語句を記入しなさい。
特定元方事業者は、その労働者及び関係請負人の労働者の作業が同一の場所において行われることによって生ずる [ ⑤ ] を防止するため、 [ ⑥ ] の設置及び運営を行うこと、作業間の連絡及び調整を行うこと、作業場所を巡視すること、関係請負人が行う労働者の安全又は衛生のための教育に関する指導及び援助を行うこと等に関する必要な措置を講じなければならない。

解答

 ⑤労働災害
 ⑥協議組織
(解説)
「労働安全衛生法」第30条第1項
(特定元方事業者等の講ずべき措置)
特定元方事業者は、その労働者及び関係請負人の労働者の作業が同一の場所において行われることによって生ずる労働災害を防止するため、次の事項に関する必要な措置を講じなければならない。
1.協議組織の設置及び運営を行うこと。
2.作業間の連絡及び調整を行うこと。
3.作業場所を巡視すること。
4.関係請負人が行う労働者の安全又は衛生のための教育に対する指導及び援助を行うこと。
5.仕事を行う場所が仕事ごとに異なることを常態とする業種で、厚生労働省令で定めるものに属する事業を行う特定元方事業者にあつては、仕事の工程に関する計画及び作業場所における機械、設備等の配置に関する計画を作成するとともに、当該機械、設備等を使用する作業に関し関係請負人がこの法律又はこれに基づく命令の規定に基づき講ずべき措置についての指導を行うこと。
6.前各号に掲げるもののほか、当該労働災害を防止するため必要な事項

1級建築施工管理技士 過去問 解説 H23 実地1

平成23年度 1級建築施工管理技術検定 実地 問題1

問題1
あなたが経験した建築工事のうち、発注者からの要望や設計図書等で要求された品質を実現するために品質管理活動を行った工事を1つ選び、下記の工事概要を記入した上で、次の問いに 答えなさい。
なお、建築工事とは、建築基準法に定める建築物に係る工事とする。ただし、建築設備工事を除く。
[ 工事概要 ]
イ.工 事 名
ロ.工 事 場 所
ハ.工事の内容
 新築等の場合:建物用途、構造、階数、
        延べ面積又は施工数量、
         
  主な外部仕上げ、主要室の内部仕上げ    
 改修等の場合:建物用途、主な改修内容、
         施工数量又は建物規模
ニ.工 期 (年号又は西暦で年月まで記入)
ホ.あなたの立場
1. 工事概要であげた建築工事において、あなたが現場で重点をおいた品質管理活動2 つあげ、 それぞれ次の①から③について記述しなさい。
ただし、2つの品質管理活動に関する記述の内容は、それぞれ異なるものとする。
①発注者からの要望や設計図書等で要求された品質を実現するため、現場で定めた施工に当たっての品質の目標を具体的に記述しなさい。
② ①の品質の目標を達成するため、定めた重点品質管理項目定めた理由工種名とともに具体的に記述しなさい。
③ ②の重点品質管理項目について、品質管理のため実施した内容を具体的に記述しなさい。

解答例

1)品質活動1
品質の目標:居住性を良好にすること。
工種名:内装工事
重点品質管理項目
各住戸間の遮音性の確保
定めた理由:共同住宅であることから、住戸間の遮音性能の不良による入居後の隣地トラブルを防止するため。
実施した内容
せっこうボード厚さが 1.2㎝ 以上、継目をすき間なく張り付けるか、継目処理工法を用いる。2重張りの場合は、下張りと上張りの継目位置をずらす。また、壁・天井等と躯体面の取合いは、すき間を生じないよう、不燃材料で充填する。チェックリストに施工した記録・施工の困難な箇所の施工写真を撮って記録した。
2)品質活動2
品質の目標:屋上アスファルト防水の漏水防止
工種名:防水工事
重点品質管理項目
防水下地のクンクリート面の凹凸をなくすこと。また、下地の十分な乾燥を確認すること。
定めた理由:防水下地の凹凸や鉄筋、番線等の突起物、モルタルのこぼれ等に防水層の破損、不十分な乾燥による防水層のふくれ破損の防止により、防水性能が高まると考えたため。
実施した内容
凹凸や突起物等については目視で確認し、乾燥状態については高周波水分計による下地水分の測定で8%以下の含水率を確認し、それぞれチェックリストに記録した。

2. 工事概要であげた工事にかかわらず、あなたの今日までの工事経験に照らして、次の①、②に ついて簡潔に記述しなさい。
① 現場作業所で品質管理活動を組織的に行うには、どのようにしたら良いと思いますか、あなたの考えを記述しなさい。
② クレーム等のない、顧客の信頼を得られる建物を提供することは、施工者にとってどのような意味を持ちますか、あなたの考えを記述しなさい。

解答例

①企業としての品質管理の方針を定め、各人の役割分担を文書で確認する。一定工程完了ごとに社内検査を行い、手直しのない工事の工程で引き継ぐシステムを構築することが必要である。
②施工者の自信・向上意欲につながり建築技術者として成長できる。また、今後の受注増にもつながり、社会的な評価も上がる。さらに、技術の向上にもつながっていく。

1級建築施工管理技士 過去問 解説 H23 実地2

平成23年度 1級建築施工管理技術検定 実地 問題2

問題2
建築工事において、次の 1.から 3.の仮設設備の設置計画に当たり、留意又は検討すべき事項をそれぞれ 2 つ、具体的に記述しなさい。
ただし、解答はそれぞれ異なる内容の記述とし、申請手続、届出、保守点検に関する記述は除く ものとする。また、使用資機材に不良品はないものとする。
1.ゲート(車両出入口)

解答例

①ゲートの幅は、搬入を計画する車両が無理なく道路から進入可能な回転半径を確保し、ゲートの梁または上部枠の高さは、車両限界高さの3.8mを超える高さを確保することに留意検討して計画する。
②ゲートの構造として、歩行者が安全歩行できる滑り止めの仕上げを確保すること。また、車両出入口であることを示すがめのトラマークと表示看板や警報灯や警報設備等も検討する。
③ゲートとして安全に侵入者を防ぎ、完全防備な機能を備えていること。また、強風に対しても安全な強度を備えた構造を持つように留意し検討する。
④交差点の近くや交通量の多い道路を避けて配置し、ゲートそばの仮囲い板を透明にして、歩行者等が目視できるように留意、検討する。
(解説)
工事現場は、原則として危害防止のため仮囲いを設けなければならないが、資機材の搬出入のため、大型車両が出入りする。このために第三者との接点になるゲートの設置については、特に第三者災害をいかに防ぐかを第一として、留意、検討しなければならない。

2.外部足場

解答例

①建地脚部の滑動・沈下防止措置として、足場の足元は十分に突き固めて、平滑さを確認してから敷板を並べる。また、足元は足場用ベース金具で敷角材または敷板に釘止めとし、脚部には根がらみを設ける。
②筋かい、控え、壁つなぎ等の補強材の間隔及び締付け、壁つなぎのアンカーボルトは、躯体にしっかりと打ち込み、控えの間隔は、垂直方向は9m以下、水平方向は8m以下とする。
③作業床の幅は、40㎝以上、すき間は3㎝以下、墜落防止用の手すりは高さ85㎝以上、中さん付の手すりを設ける。
④労働安全衛生法を遵守すること。
⑤風に対して倒壊防止の措置を取る。
(解説)
外部足場については、JASS2(仮設工事)5.2「足場の保守管理」などを参考にする。

3.揚重機

解答例

①荷揚げ用の揚重機械は、移動式クレーン、定置式クレーン(タワークレーン、ジブレクーン、門型クレーン)などがある。特に移動式クレーンが最も多く、転倒事故も非常に多い。事前調査としては、機種の選定・機械の設置計画のため、周辺環境・隣地建物・埋設物・地盤状況・空中架線などについて留意、検討する。
②安全対策としては、「クレーン等安全規則」「労働安全衛生法」などに留意する。
③移動式クレーンの機械自体には多くの安全装置が設備されているが、転倒事故及び作業中の事故が非常に多い。特に転倒防止は、重要であるので検討すべきである。
④テレビ等への電波障害を考慮する。
(解説)
1)地盤耐力(転倒防止には、地盤耐力の確認と補強)
2)作業方法の決定・周知(作業開始前に、作業方法、転倒防止の措置、労働者の配置と指揮系統を定め、これを関係作業者に周知)
3)オペレーター(クレーンの運転士は、運転技能等の修了者とし、5 t 以上ではクレーン運転免許を有するものではくてはならない)
4)強風時(強風(10分間の平均風速が 10m/s 以上)のときは、作業を中止)
5)旋回範囲への立入禁止(クレーンの旋回範囲にはバリケード等で立入禁止の措置をする)
6)不整地(傾斜のある不陸な不整地での作業は危険であるので行わない)
7)吊り荷下への立入禁止(吊り荷または吊り具の下に立ち入ってはならない)
8)吊り荷走行の禁止(原則として、荷を吊ったまま走行してはならない。

1級建築施工管理技士 過去問 解説 H23 実地3

平成23年度 1級建築施工管理技術検定 実地 問題3

問題3
建築工事において、次の 1.から 4.について、施工上の留意事項をそれぞれ 2 つ、具体的に記述しなさい。
ただし、解答はそれぞれ異なる内容の記述とし、作業員の安全に関する記述は除くものとする。 また、使用資機材に不良品はないものとする。
1.親杭横矢板工法における、横矢板の設置

解答例

以下の解答例より2つを記述すればよい。
親杭横矢板工法における、横矢板の設置(JASS3)
①親杭の間に横矢板を架け渡して、山留め壁とする工法であり、掘削してから横矢板を渡すまでの間、自立する地盤でなければ採用は難しい。掘削に伴ってすぐに横矢板を設置しなければならない。
②透水性がないので地下水位の高い地盤では地下水処理を併用する必要があり、横矢板の合わせ目はしっかりと継ぐ必要性がある。
③地下水位の高い細砂層やシルト層は根切りしてから横矢板を入れるまでの間に崩れてしまうので、このような地盤には採用できない。
(解説)
打撃、振動、強制圧入、オーガー併用圧入など多くの施工方法があるが、地盤の強度、礫や玉石の有無などの地盤状況に応じて工法を選定する。横矢板の強度については、土圧に対して十分強度を保つ材質の材料を使用する。

2.鉄筋工事における、バーサポート又はスペーサーの設置

解答例

鉄筋工事における、バーサポートまたはスペーサーの設置(建築工事監理指針)
①バーサポートやスペーサーは、組み立てられた鉄筋相互の間隔やかぶり厚さの確保と、埋設配管やコンクリート打設による配筋の乱れを防ぐために重要であり、留意事項としては、使用部位やかぶり厚さに対応して、適切な材種、形状、サイズを使用することがあげられる。
②材料の種別としては、コンクリート製、鋼製とする。モルタル製のスペーサーは強度及び耐久性が不足しているので使用しない。鋼製には、型枠に接する部分に樹脂コーティングあるいはプラスチックで被覆した打ち放し用の材料もある。また、梁、柱、基礎梁、壁及び地下外壁のスペーサーは、側面に限りプラスチック製でもよい。
(解説)
バーサポート及びスペーサーは、鉄筋位置を保持し、かぶり寸法を確保できるような形状、剛性、強度と、打ち込まれるコンクリートと同等以上の耐久性を有するものでなければならない。

3.コンクリート工事における、コールドジョイントの発生防止
ただし、コンクリートの材料や調合に関する記述は除くものとする。

解答例

①打込み区画・打込み順序を考慮する。
②運搬・打込み・締固めの方法及び使用機器の種類と数量を考慮する。
③打継ぎになる部分は入念にバイブレーターをかける。
④打込み継続中の打重ね時間間隔の限度を厳守する。
⑤高いところからのコンクリートの打設は、自由落下距離が短くなるようにシュートを使い、分離を防ぐ。
⑥型枠の水洗いを入念に行い、濡れ面の型枠表面で、コンクリートの流動性をよくし、上部からよくつき、またはバイブレーターで一体化する。
⑦品質の変化したコンクリートは廃棄する。
⑧コンクリートを横流ししない。
(解説)
コールドジョイントは、打設時間の違いにより、締固めが不十分になった打継ぎ部分で、ジャンカなどの欠陥が現れる。先に打設されたコンクリートの再振動可能時間内に後から打設するコンクリートを打ち、十分締め固めることにより防止できる。

4.鉄骨の建方における、仮ボルトの締付け

解答例

鉄骨の建方における、仮ボルトの締付け (JASS6)
①本締め用の高力ボルトを仮ボルトと兼用してはならない。
②高力ボルト継手では、中ボルトを使用してボルト1群に対して1/3程度、かつ2本以上を締め付ける。
③昆用継手及び併用継手では、中ボルトを使用して、ボルト1群に対して1/2程度、かつ2本以上をバランスよく配置する。
④溶接継手におけるエレクションピース等に使用する仮ボルトは高力ボルトを使用して全数締め付ける。
⑤仮ボルトは本締めボルトと同じ径とする。
⑥打設荷重に耐える本数とする。
(解説)
仮ボルトは、建方作業における部材の組立てに使用し、本締めまたは溶接までの間、予想される外力に対して架構の変形及び倒壊を防止するためのボルトである。仮ボルトは中ボルトなどを用い、ボルト1群に対して高力ボルト継手は1/3程度、かつ2本以上、混用接合及び併用継手では1/2程度、かつ2本以上をバランスよく配置し、締め付ける。
仮ボルトは、強風に対するものであり、強風に対しては、その他にワイヤロープによる補強なども行われる。また、溶接継手におけるエレクションピースなどに使用する仮ボルトは、高力ボルトを使用して全数締め付けるとしている。

1級建築施工管理技士 過去問 解説 H23 実地4

平成23年度 1級建築施工管理技術検定 実地 問題4

問題4
次の 1.から 8.の各記述において、記述ごとの①から③の下線部の語句のうち最も不適当な箇所番号を 1 つあげ、適当な語句を記入しなさい。
1. シーリング工事におけるバックアップ材は、特に①ワーキングジョイントに充填されるシーリング材の機能を十分に発揮させ、長期間の耐久性を維持するため、目地に装填する成型材料である。
バックアップ材は、シーリング材を目地構成材と相対する② 2面のみに接着させて、長期間の繰返しムーブメントに対する追従性を確保するほか、シーリング材の③目地幅を確保する役割を担う。

解答

③ 目地深さ
(解説)
バックアップ材は、シーリング材が目地構成材と相対する2面のみに接着し、底部には接着しないようにして、長期の繰り返しムーブメントに対する追従性を確保する。また、シーリング材の目地深さを調整し、一定の目地深さを確保する。(JASS8)

2. 陶磁器質タイル張りにおいて、まぐさ、庇先端下部など剥落の恐れが大きい箇所に①小口タイル以上の大きさのタイルを張る場合、剥落防止用引金物として、径が 0.6 mm 以上の②なまし鉄線をタイルに取り付け、引金物を張付けモルタルに塗り込む。なお、張り付け後は、必要に応じて受木 を添えて③24 時間以上支持する。

解答

② なましステンレス鋼線
(解説)
まぐさ及び庇先端下部に小口タイル以上の大きさのタイルを張り付ける場合は、径が 0.6mm以上のなましステンレス鋼線をモルタルに塗り込み、必要に応じて、受け木を添えて24時間以上支持する。(建築工事管理指針)

3. 鋼板製屋根用折板葺きにおいて、タイトフレームは、受け梁に①アーク溶接で取り付ける。
溶接は、タイトフレームの底部両側を②部分溶込み溶接とし、溶接サイズは、タイトフレームの板厚と同寸法とする。また、溶接後は③スラグを除去し、溶接部分及びその周辺に防処置を行う。

解答

② 隅肉
(解説)
タイトフレームの溶接は、タイトフレームの立上り部分の縁から10mm残し、底部両側に隅肉溶接する。溶接サイズはタイトフレームの板厚と同寸法とする。(JASS12)

4. 仕上げ材の下地となるセメントモルタル塗りの表面状態は、金ごて仕上げ、木ごて仕上げ、①吹付け仕上げ及びくし目引きがあり、その上に施工する仕上げ材の種類に応じて適用が異なる。
金ごて仕上げは、一般塗装下地、壁紙張り下地、防水下地の仕上げとして、③木ごて仕上げは、内装接着剤張り以外のタイル張り下地の仕上げとして適用できる。

解答

① はけ引き
(解説)
仕上げ材の下地となるセメントモルタル塗りの表面状態には、金ごて仕上げ、木ごて仕上げ、はけ引き仕上げ及びくし目引きがある。(JASS15)

5. 塗装工事における研磨紙ずりは、素地の汚れやさび、下地に付着している塵埃を取り除いて素地や下地を①粗面にし、かつ、次工程で適用する塗装材料の②付着性を確保するための足掛かりをつくり、仕上がりを良くするために行う。
研磨紙ずりは、下層塗膜及びパテが十分③乾燥した後に行い、塗膜を過度に研がないようにする。

解答

① 平滑
(解説)
研磨紙ずりは、素地の汚れや錆、下地に付着している塵埃を取り除いて素地や下地面を平滑にし、かつ次工程で適用する塗装材料の付着性を確保するための足がかりをつくり、仕上がりをよくするために行う。(JASS18)

6. タイルカーペットを事務室用フリーアクセスフロア下地に施工する場合、床パネル相互間の段差とすき間を ①1 mm 以下に調整した後、床パネルの目地とタイルカーペットの目地を②100 mm 程度ずらして割付けを行う。
カーペットの張り付けは、粘着はく離形の接着剤を③カーペット裏全面に塗布し、適切なオープンタイムをとり、圧着しながら行う。

解答

③ カーペット下地
(解説)
カーペットの張付けは、粘着はく離形の接着剤をカーペット下地全面に平均的に塗布し、接着剤が乾燥し十分粘着性が出た後、すき間なく張り付ける。(公共建築工事標準仕様書)

7. 軽量鉄骨壁下地の施工において、軽量鉄骨天井下地にランナーを取り付ける場合、ランナーと天井下地材の野縁が直角の場合には、ランナーを①野縁受けに、各々間隔 900 mm 程度にタッピンねじの類又は②溶接で固定する。また、ランナーを上部鉄骨梁に取り付ける場合は、③先付け金物を梁に溶接しておき、梁の耐火被覆等の終了後にランナーを取り付ける。

解答

① 野縁
(解説)
ランナーと天井下地材の野縁が直角の場合は、ランナーを野縁に、ランナーと野縁が平行な場合は、ランナーを野縁受けに、各々間隔900mm程度にタッピンねじの類または溶接で固定する。(JASS26)

8. コンクリート打放し仕上げ外壁のひび割れ部の改修における樹脂注入工法は、外壁のひび割れ幅が 0.2 mm 以上①1.0 mm 以下の場合に主に適用され、シール工法やUカットシール材充填工法に比べ②耐久性が期待できる工法である。
挙動のあるひび割れ部の注入に用いるエポキシ樹脂の種類は、軟質形とし、粘性による区分が③高粘度形又は中粘度形とする。

解答

③ 低粘度
(解説)
注入するエポキシ樹脂の種類は、低粘度形と中粘度形をひび割れの状況に応じて使い分ける。一般に、0.5mm未満のひび割れは低粘度形を用い、0.5mm以上は中粘度形を使用する。(建築改修工事監理指針)

1級建築施工管理技士 過去問 解説 H23 実地5

平成23年度 1級建築施工管理技術検定 実地 問題5

問題5
市街地での事務所ビルの建設工事における右に示す工程表に関し、次の問いに答えなさい。 なお、解答の旬日は、上旬、中旬、下旬で記述しなさい。
[ 工事概要 ]
構造・規模:
  鉄筋コンクリート造地下1階、地上5階建、
  延べ面積 2,500 m2 とする。
山留め :山留め壁は、親杭横矢板工法で
     外部型枠兼用(片面型枠)とし、
     親杭は引き抜かない。
     支保工は、水平切梁工法とする。
外部仕上:正面1階は石張りとし、
     その他は小口タイル張りとする。
H23-5工程表.jpg
1.表中のA及びBに該当する作業名をあげなさい。

解答

A及びBに該当する作業名
 A:乗入構台解体
 B:防水保護コンクリート伸縮目地材取付け
(解説)
Aについて(土工事)
AはB1F立上りが終了後、地上躯体工事開始前に行う仮設工事であり、乗入構台解体である。
Bについて(防水工事)
Bは屋上アスファルト防水終了後、防水保護コンクリート前に行う防水工事であり、防水保護コンクリート伸縮目地取り付けである。

2.作業の開始日が工程上最も不適当な作業名を表中より選び、適当な工程となるように、その開始日を月次と旬日で定めなさい。
ただし、その作業の期間は正しいものとする。

解答例

開始日が工程上最も不適当な作業名
 作業名:杭頭処理
 開始日:3月上旬
(解説)
杭頭処理が1次根切り終了後に開始されている。杭頭処理は2次根切り・床付けと並行して行われる工事であり、3月上旬の開始となる。

3.外壁仕上げのタイル張り作業の工程は未記入となっている。適当な工程となるようにタイル張り作業の開始日及び終了日の期日を月次と旬日で定めなさい。

解答例

タイル張りの開始日と終了日
 開始日:9月上旬(または8月下旬)
 終了日:10月中旬
(解説)
タイル工事は、外壁タイル下地モルタル塗り後1ヶ月程度の養生期間を取って開始することが必要である。
開始日は、「9月上旬(早くても8月下旬)」となる。また、外壁タイル下地モルタル塗りが9月20日頃に終了することと外壁シーリングが10月下旬に終了することから、終了日は「10月中旬」が望ましい。