実践19 解体2 アスベストの処理

1級建築施工管理技士 実践19 解体工事2 アスベストの処理

今や建設工事現場においては、アスベスト問題の対処は避けて通れない。

アスベストは石綿(いしわた、せきめん)とも呼ばれる天然に産する鉱物で、耐火性、耐熱性、耐磨耗性、絶縁性などに優れた建材として建築物の各所に多く使用されてきた。

しかし、アスベスト吸引による肺がんや中皮腫などの健康障害発症の危険性が問題となり、1975年に建築物への吹付けが原則禁止された。
その後も段階的に規制が強化され、2004年には吹付け以外のアスベストについても製造、輸入、使用などについて全面的に禁止された。

しかし、1970〜80年代に建設された建物にはアスベストを含む建材が多く残置しており、今後これらの建築物の解体工事が増加することが見込まれる中で、アスベストの飛散防止(ばく露防止)対策を確実に実施することが重要になっている。
環境省では、建築物の解体によるアスベストの排出量が2020年〜2040年頃にピークを迎えると予測し、年間100万トン前後のアスベストが排出されると見込んでいる。

事前調査

アスベストが健康被害を引き起こすことが問題視され、建設リサイクル法によって、建物を解体・改修する時は、その建物にアスベストが使用されているか否かの事前調査が義務付けられた。

使用されているとわかった場合、大気汚染防止法、石綿障害予防規則、自治体の環境の保全等に関する条例、並びに廃棄物処理法に基づいて、石綿含有建材の処理を計画しなければならない。

事前調査は、石綿が含まれている可能性がある建材すべてに対して、サンプリングし、JISに基づく定性・定量分析を行い、その結果に基づき解体される石綿含有建材を種類ごとにレベル1〜3に分類する必要がある。

①レベル1
吹付け石綿などの著しく発じん量の多い作業
②レベル2
発じんしやすい製品、断熱材、石綿入り耐火被覆板などの比重が小さい作業
③レベル3
Pタイル、スレート、大平板などの発じんの比較的低い作業

に分けられる。
作業計画を立案するにあたり、上記のように分類された三つレベルに応じた適切な対策を講じる必要がある。

作業計画の作成の注意事項
(アスベストの処理計画と届出)
アスベストが使用されている建築物の解体作業を行うときは、あらかじめ作業方法・手順などの作業計画を定め、自治体の環境局と労働基準監督署に届出た上で作業を開始することが義務付けられている。

更に、作業開始前にはお知らせ看板を作業所の出入り口横に掲示し、関連労働者や近隣住民に作業内容を告知しなければならない。
作業計画の内容
①作業の方法および手順
②アスベスト粉じんの暴露を防止する方法
③労働者へのアスベスト粉じん暴露
を防止する方法
石綿吹付け建材の除去作業をする場合は、開始の14日前までに労働基準監督署に届出なれればならない。
また、石綿作業主任者を設置する必要がある。

アスベスト対策工事の具体例

まずは作業員の健康障害防止の義務があり、作業員は必ず防護服を着用する。
作業場から持ち出すこは禁止。
また、作業に従事する作業者以外の立入は禁止
アスベスト除去工事中は、石綿の飛散を防ぐために、作業場所を隔離するとともに、作業場ないの気圧を機械的に下げて、負圧(ー2Pa以上)を確保しながら作業を行う。
また、隔離された作業スペースは負圧監視装置により常時管理し、かつ警報を発信する仕組みとする。
また、作業前と作業中は大気中の濃度測定を行い、アスベストが飛散しないように管理する。
除去されたアスベストは廃棄物処理法に基づき、収集・運搬並びに適正な処理を行う。

(1)アスベスト対策工事の対応手順

アスベスト対策工事を実施する労働者保護および周辺への粉じん飛散防止のために適正な手順、確実な処置を行うとともに、関係行政に届出、報告などを行わなければならない。
アスベスト処理工事に関わるフロー

 

(2)アスベストの確認、調査

建物の解体工事あるいは改修工事を行う場合は、事前にアスベスト建材の有無および使用箇所について性格に把握しておくことが重要である。
①建物図面調査:
建物の設計図面、施工図、仕上表などにより、
アスベストが使用されている可能性がある箇所を特定する。
②現地事前調査、確認、分析調査:
図面調査の結果を元に、
現地にてアスベストの使用状況、範囲、
建材の種類(作業レベル)などの調査を行う。
図面による確認ができなかった場合は、使用の可能性のある箇所について調査を行うが、仕上材による隠蔽部などを見落とさないように注意する。
また、アスベストの含有が疑われる建材についてはサンプルを採取して成分調査を行い、含有の有無を確認する。
アスベストの作業レベルとは、解体されるアスベスト建材の発じん量のレベル差により、作業方法、ばく露対策レベルなどを分類したもののことである。

(3)アスベスト対策工事施工計画と事前届出

アスベスト対策工事を行う場合は、あらかじめ作業方法・手順、粉じん発散防止方法、ばく露防止方法などの作業計画を定め、自治体(役所)および労働基準監督署に事前に届出なければならない。
また、作業開始前には”お知らせ看板”を作業所の出入り口横に掲示し、関係労働者や近隣住民に作業内容を告知しなければならない。

(4)対策工事施工

アスベストの対策工事は、除去、封じ込め、囲い込みの3種類の工法に分類される。封じ込め工法はアスベストの表面に飛散防止剤を吹き付けてアスベストを固化し、飛散の防止をするもの。囲い込み工法は露出したアスファルトをボード類などで完全に覆うことにより、アスベストの飛散・損傷を防止する。

アスベスト(レベル1)の除去工事の遵守事項
①作業員は特別教育終了者とし、
作業主任者を選任する。
②作業員は保護具類を必ず着用する。
・防塵マスク
・防護衣
③アスベスト除去工事中は作業場所を隔離養生し、
負圧除じん機などにより隔離区域内を負圧に保持する。
また、出入り口には前室(クリーンルーム)を設け、
更衣、エア洗浄などによりアスベストを区域外に持ち出さないようにする。
④作業に従事する作業員以外は立入禁止とし、
その旨を掲示する。
⑤作業前と作業中は大気中の粉じん濃度測定を行い、
アスベスト飛散のないことを確認する。

(5)アスベストの廃棄物処理

アスベストの除去作業に伴って発生する廃材(アスベスト吹付け材、養生材、保護衣など)は二重袋に詰めて密封し、特別管理産業廃棄物として処理する。
また、アスベストを一時保管する場合は、管理保管場所に掲示板を設置し、保管場所であること、保管量、特別管理産業廃棄物管理責任者の氏名および連絡先などを明示しなければならない。