22章 舗装工事 11節 「標仕」以外の舗装

建築工事監理指針 22章 舗装工事
11節 「標仕」以外の舗装
この節では、国土交通省大臣官房官庁営繕部整備課監修「構内舗装・排水設計基準及び参考資料 平成31年版」表2.2.1で示された舗装の種類で、「標仕」に規定していない、いくつかの舗装について概説する。
22.11.1 半たわみ性舗装
(1) 半たわみ性舗装は、空隙率の大きな開粒度タイプの半たわみ性舗装用アスファル卜混合物に、浸透用セメントミルクを浸透させたもので、アスファルト舗装のたわみ性とコンクリート舗装の剛性をあわせもった、耐流動性や明色性、耐油性等に優れた舗装である。半たわみ性舗装の舗装構成例を、図22.11.1に示す。
図22.11.1_半たわみ性舗装の舗装構成例.jpeg
図22.11.1 半たわみ性舗装の舗装構成例
(2) 半たわみ性舗装は、一般的には、大型車の駐車場や停車帯、油類などを扱う箇所の舗装等で用いられている。
(3) 半たわみ性舗装用アスファルト混合物の粒度範囲の例を表22.11.1に、マーシャル安定度試験に対する性状の例を、表22.11.2に示す。
表22.11.1 半たわみ性舗装用アスファルト混合物の粒度範囲の例(舗装施工便覧より)
表22.11.1_半たわみ性舗装用アスファルト混合物の粒度範囲の例.jpg
表22.11.2 マーシャル安定度試験に対する性状の例(舗装施工便覧より)
表22.11.2_マーシャル安定度試験に対する性状の例.jpg
(4) 浸透用セメントミルクは、施工時の流動性と硬化後に所定の強度が得られるものとする。浸透用セメントミルクの性状の例を、表22.11.3に示す。
表22.11.3 セメントミルクの性状の例(舗装施工便覧より)
表22.11.3_セメントミルクの性状の例.jpg
(5) 半たわみ性舗装の詳細は、(公社)日本道路協会「舗装施工便屁(平成18年版)」を参照するとよい。
22.11.2 保水性舗装
(1) 保水性舗装は、保水機能を有する表層に、保水された水分が蒸発する際の気化熱により路面温度の上昇と密熱を抑制するもので、アスファルト舗装系保水性舗装やブロック舗装系保水性舗装などの種類がある。
(2) 保水性舗装は、ヒートアイランド対策や夏期の快適な歩行空間の確保などを目的に、車路や駐車場、歩行者用通路の舗装に用いられている。
(3) アスファルト舗装系保水性舗装は、開粒度タイプのアスファルト混合物の空隙に保水・吸水性能を有する保水材を充填したものである。アスファルト舗装系保水性舗装の舗装構成例を、図22.11.2に示す。
図22.11.2_アスファルト舗装系保水性舗装の舗装構成例.jpeg
図22.11.2 アスファルト舗装系保水性舗装の舗装構成例(舗装施工便覧より)
(4) ブロック舗装系保水性舗装は、保水・吸水性能を備えたインターロッキングブロックなどの舗装用ブロックを用いたもので、歩行者用通路の舗装に適用されていることが多い。
22.11.3 遮熱性舗装
(1) 遮熱性舗装は、舗装表面に到達する日射エネルギーのうち、近赤外線を再帰性を考慮し、高効率で反射、舗装への蓄熱を防ぐことによって路面温度の上昇を抑制する舗装である。
(2) 遮熱性舗装も保水性舗装同様、ヒートアイランド対策や夏期の快適な歩行空間の確保などを目的に、車路や駐車場、歩行者用通路の舗装に用いられている。
(3) 遮熱性舗装には、舗装表面に遮熱性塗料を吹きつける、あるいは塗布する。遮熱性舗装の舗装構成例を、図22.11.3に示す。
図22.11.3_遮熱性舗装の舗装構成例.jpeg
図22.11.3 遮熱性舗装の舗装構成例(路面温度上昇抑制舗装研究会ホームベージより)
22.11.4 弾性舗装
(1) 弾性舗装は、アスファルト舗装の表面に弾力性のある弾性舗装材料を15~20mmの厚さで舗設するもので、主に衝撃吸収性を期待する歩行者系通路の舗装に用いられる。図22.11.4に弾性舗装の舗装構成例を示す。
図22.11.4_弾性舗装の舗装構成例.jpeg
図22.11.4 弾性舗装の舗装構成例
(2) 弾性舗装材料には、樹脂バインダーとゴムチップを混合したものが用いられ、ゴムチップにはファイバータイプとチップタイプがある。樹脂バインダーには、一般的にウレタン樹脂が用いられている。
(3) 弾性舗装材料には、ゴムチップをウレタン樹脂などで固めたブロック製品もある。

22章 舗装工事 12節 用語の説明

建築工事監理指針 22章 舗装工事
12節 用語の説明
22.12.1 用語の説明
・設計CBR
アスファルトの舗装の厚さを決定する場合に用いる路床の支持力をいう。路床土の状態が延長方向にほぼ一様な区間で、いくつかの地点の路床の深さ1mの合成 CBR(地点のCBR)から、それらを代表するように決めたもの。
・修正CBR
路盤材料の強さを表すもので、JIS A 1211(CBR試験方法)に示す方法に準じて、 3層に分けて各層92回突き固めたときの最大乾燥密度に対する所要の締固め度(通常は最大乾燥密度の95%)に相当するCBR。
・合成CBR
路床が、深さ方向に巽なるいくつかの層をなしている場合に、各層のCBRを用いて算術式から求まる値。
・締固め試験
土や路盤材料等の締固め特性を調べる試験。含水比を変化させて締固めを行うと、乾燥密度の最も高い含水比が特定される。この含水比を最適含水比といい、このときの密度を最大乾燥密度という。
・理論最大凍結深さ
凍上を起こしにくい均ーな粗粒材料からなる地盤の、最近10年間に生じた最大の凍結深さをいう。凍上対策工法を検討する場合の基準となる。
・凍結指数
0℃以下の気温と日数との積を年間を通じて累計した値。
・等値換算係数
舗装を構成するある層の厚さ1cmが表層、基層用加熱アスファルト混合物の何cmに相当するかを示す値。
・プルーフローリング
路床、路盤の締固めが適切かどうか、不良箇所がないかどうかを調べるため、施工時に用いた転圧構成と同等以上の締固め効果をもっローラやトラック等で締固め終了面を数回走行し、たわみ量をチェックする試験。
・瀝青材料
瀝青を主成分とする材料。瀝青とは、二硫化炭素に溶ける炭化水素の混合物で、常温で固体又は半固体のものである。道路用瀝青材料としては、アスファルトやアスファルト乳剤等がある。
・石油アスファルト
原油を蒸留して軽質分を除去して得られる瀝青物質であり、製造の方法によってストレートアスファルトとブローンアスファルトに分けられる。舗装用にはJIS K 2207(石油アスファルト)に規定するストレートアスファルトが用いられる。
・石油アスファルト乳剤
石油アスファルトを乳化剤、安定剤を含む水中に微粒子として分散させて液状としたもの。これにはカチオン系乳剤とアニオン系乳剤とがあり、前者のアスファル卜粒子はプラスに、後者のアスファルト粒子はマイナスに帯電している。
・ポリマー改質アスファルト
ポリマー改質アスファルトは、ゴムや熱可製性エラストマーを添加し、石油アスファルトの性状を改善したもの。
・フィラー(石粉)
75μmふるいを通過する鉱物質粉末。通常、石灰岩や火成岩を粉末にした石粉等がこれに相当する。
・セメント安定処理工法
クラッシャラン又は現地材料に、必要に応じて補足材料を加え、数%のセメントを添加混合し、最適含水比付近で締め固めて安定処理する工法。セメント量は一軸圧縮試験によって決めるが、一般的に、アスファルト舗装の上層路盤で一軸圧縮強さ2.9MPaの場合、セメント量は3~5%程度である。
・石灰安定処理工法
路床土等に消石灰又は生石灰を加えて、スタビライザ等を用いて混合する安定処理工法。軟弱な路床土の安定処理に用いるほか、粘土分を含む砂利、山砂等を骨材に用いて中央プラントで混合したものは路盤にも用いる。
・瀝青安定処理工法
現地産材料又はこれに補足材料を加えたものに、アスファルト等を混合して路盤を築造する工法。常温混合式と加熱混合式、現場混合式とプラント混合式があるが、現在では、表層及び基層用アスファルト混合物と同様の材料、方法による、加熱のプラント混合式がほとんどである。
・プライムコート
粒状材料等による路盤等の防水性を高め、その上に舗設するアスファルト混合物層とのなじみを良くするために、路盤上に瀝青材料を散布すること。
・密粒度アスファルト混合物
粗骨材、細骨材、フィラー及びアスファルトの加熱混合物で、合成粒度における 2.36mmふるい通過分が35~50%のもの。
・細粒度アスファルト混合物
粗骨材、細骨材、フィラー及びアスファルトの加熱混合物で、合成粒度における 2.36mmふるい通過分が50~80%のもの。
・細粒度ギャップアスファルト混合物
粗骨材、細骨材、フィラー及びアスファルトの加熱混合物で、合成粒度における 2.36mmふるい通過分が45~65%のもので、かつ、600μmふるい通過分を40~60%としてギャップ性をもたせたもの。
・開粒度アスファルト混合物
粗骨材、細骨材、フィラー及びアスファルトからなる加熱アスファルト混合物で、空隙率の大きな混合物の総称。狭義では、合成粒度における2.36mmふるい通過分 が15~30%の範囲で、マーシャル安定度試験により配合設計を行ったものを指す。この混合物の路面は極めて粗く、すべり止め舗装や歩行者用通路の透水性舗装などに用いられる。
・室内配合
仕様配合に基づき、使用予定の材料を用いて室内試験等によって求めた配合。
・現場配合
室内配合に基づき、使用材料及び機械等を考慮して最終的に決定した実際に用いる配合。実施配合ともいう。
・混合温度
アスファルトプラントで混合するとき、ミキサより排出されたときの混合物の温度。
・締固め回数(転圧回数)
ある点をローラが通過した回数。
・初期養生
表面仕上げ終了に引き続き、コンクリート版の表面を荒らさないで、養生作業ができる程度にコンクリートが硬化するまでの間に実施する養生。
・後期養生
初期養生に引き続き、コンクリートの硬化を十分行わせるために、水分の蒸発を防ぐ養生若しくは水の補給をする養生。
・粗面仕上げ
ほうきやはけ等でコンクリート表面を粗面にする仕上げ。
・注入目地材
雨水、小石等が目地に入るのを防ぐために、目地の上部に注入して詰める材料。
・透水性舗装
表層、路盤等に透水性を有した材料を用いて、雨水を路盤以下へ浸透させる機能をもつ舗装。
参考文献
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