1級建築施工管理技士 敷地 自然災害等

建築品質 敷地


001 ) ハザードマップで危険予知

近頃では、地球温暖化の影響か気候変動の影響が、地球の活動が活発化してきており、集中豪雨による土石流や河川の氾濫による家屋の流出・水没などの災害が多発している。

ハザードマップとは、大気汚染、土砂災害、津波、地震等のあらゆる自然災害から人命や財産を守るために、地域ごとに自然災害による被害の度合いを予測した災害予測地図である。

ハザードマップはインターネットで公開されているので、設計、施工にあたっては、計画敷地に関する情報を事前に確認する必要がある。

1.大気汚染、土砂災害、津波等の自然災害

国土交通省のハザードマップポータルサイトでは、都道府県市町村がインターネットで公開しているハザードマップが閲覧できる。

>> 国土交通省ハザードマップポータルサイト

「あなたの街のハザードマップ」では、次のマップが地図上で検索、閲覧できる。
・洪水 ・内水   ・高潮
・津波 ・土砂災害 ・火山

2.活断層

全国断層ハザードマップ(Japan Active Fault Map)では、計画地から活断層までの距離を地図、航空写真、地形図等で確認できる。

>> 全国断層ハザードマップ

その他に、次のマップも閲覧できる。

・リアルタイム世界の地震マップ
(IRIS)Seismic Monitor

・津波シミュレーション
(Flood Maps)

3.軟弱地盤

全国の軟弱地盤マップ・ジオダス(GEODAS)では、地盤調査を行った結果を、良好地盤、軟弱地盤、地盤補強工事をした場所、腐植土が確認された場所、ボーリング調査データのある場所等を地盤データ、土地条件、地形図等で閲覧できる。(会員制、一部フリーサービス)

>> 軟弱地盤マップ・ジオダス(GEODAS

4.地域別の気象データ・理科年表

理科年表は国立天文台が編纂し、丸善が発行する自然科学に関するデータ集。
内容は広範囲にわたっており、建築設計等に必要な地域別の気温や降雨量と降雨強度、風速と風向、降雪量、日射量等のデータが掲載されている。(会員制)
特に、全国の地点別の日降水量、1時間降水量、10分間降水量の最大記録は、建築の雨水排水計画に必須の設計データである。
最近の異常気象で最大降雨量も漸増しているので、常に最新データを確認して計画する必要がある。

>> 地域別の気象データ・理科年表

5.自然由来の重金属による土壌汚染

国土交通省から、
「建設工事における自然由来重金属等含有岩石、
土壌の対応マニュアル」
が発行されている。各自治体のホームページから自然由来の重金属分布図が閲覧できる。
自然由来の重金属による土壌汚染とは、
縄文海進時(約6000年前)に海だった範囲では、海成堆積物が地表付近に分布し、そこから溶出する重金属による土壌汚染のことで、日本全国、意外と身近なところに重金属が分布している。
注)土壌汚染対策法:土壌汚染による人への健康被害の防止を目的として法で、2010年4月1日に大幅に改正された。

6.市街地レベルの気象情報、地形、航空写真}

Googleマップ地図検索では、世界地図と衛生画像で市街地図レベルの気象情報、地形、航空写真が検索、閲覧できる。

>> グーグルマップ

1級建築施工管理技士 敷地 簡易診断

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002 ) 敷地にはリスクが潜んでいる

計画敷地には多くのリスクが潜んでいる。計画敷地の地盤の状況、敷地内の雨水排水の状況、地中埋設物、土壌汚染物、敷地境界等これらの問題は設計者が設計条件として設計図書に盛り込むべき内容であるが、工事監理者や施工者は工事着手前に計画敷地を事前調査し、確認することが必須である。
しかし、敷地の現状を見ただけでは敷地に潜んでいる全てのリスクを見つけることは困難である。
不動産取引時の重要事項説明書や不動産売買契約書の特記、道路台帳の確認をすることが必要である。

1.計画敷地のリスクを目視で簡易診断

①敷地は必ず傾斜している
雨の日に計画敷地周辺を歩くと、隣接地や道路等、敷地外からの越流水や、逆に敷地内から道路や隣接地への越流水等、計画敷地の雨水排水の状況がよくわかる。
水は高いところから低いところへ流れて、敷地の一番低いところへ集まる。

②計画敷地並びに敷地周辺の地盤状況
前面道路の道路面のひび割れ状況やマンホール枠や側溝周辺での不同沈下、電柱の傾き加減や隣地境界上の境界塀の傾き等を見れば計画敷地の地盤状況は判断できる。

③擁壁の水抜き穴の配置は適切か
擁壁は原則として、3m2に径75mmの水抜き穴を1カ所設ける必要がある。
基準に基づいて水抜きパイプが設けられていないと、擁壁の伸縮目地の劣化や擁壁ひび割れ部分からの白華現象(エフロレッセンス)や、水はけ不良による擁壁際の敷地内の不同沈下等が発生する。

2.計画敷地の履歴調査でわかること

①旧建物の基礎や設備配管等の地中埋設物
地中埋設物は計画敷地を試掘しないとわからない場合がほとんどである。

②土壌汚染
土壌汚染には人為的汚染と自然由来汚染がある。自然由来汚染については自治体が発行する自然由来の重金属分布図を閲覧すればわかる。
人為的汚染の責任は汚染源の起因者が、自然由来の重金属汚染については敷地所有者が責任を持って処理することを法律は規定している。(001 を参照

③接道条件
建物の計画敷地は道路に2m以上接道していなければならない。(建築基準法第43錠)
敷地内に位置指定道路がある場合は、道路中心からの後退距離や隅切り、道路斜線の規制を受ける。
また、敷地内に公図上の水路や里道がないかも確認する。