1級建築施工管理技士 外壁工事 成形セメント板(ECP)の注意点

建築品質 パネル外壁


040)成形セメント板(ECP)の注意点

成形セメント板(ECP:Extruded Cement Panel )は一般に厚さ 60mm(75mmもある)で内部が空洞で軽く、丈夫である。ALC板と同様に縦張りと横張りがあり、層間変位に対応して動くので、パネルの目地は切れやすく雨水が侵入しやすい。

1.ECPの横張り

ECPの横張りはスライド工法となる。パネル3段以内ごとに荷重を受ける。横目地は外部側をシール、内部側はガスケットを通す。縦目地はロックウールを挟んで外部側をシール、内部側にガスケットを通す。横目地から入った水は縦目地のロックウールをつたい、最下部に集まる。最下部は水切りで受けて、ステンレス(SUS)製の排水パイプで外部へ排水する。

2.ECPの縦張り

ECPの縦張りはパネルの下部両側2箇所で荷重を受け、ロッキングさせることで層間変位に対応する。縦目地は本実(凹凸ジョイント)になっており、外部側そシール、内部側はガスケットを施工する。横目地部分はパネル小口にステンレス(SUS)製水切りを差し込み、横目地から入った雨水を下部へと導く。横目地のバックアップ材は櫛状の水抜き型を使用する。最下部に落ちてきた水は、水切りで受けた外部へ排水する。

3.ECP外壁の仕上げ

ECPは素地仕上げやタイル張りや塗装仕上げが可能であり、それぞれの仕上げに適したECPがある。

①ECPにタイルを張る場合はモザイクタイルに限る。タイル張り用のECPにポリマーセメントでタイルを張る工法が一般的である。タイルを張るとECPに反りが発生しやすい。ECPは薄いので強風時の風圧による変形によって剥離の可能性がある。このため弾性エポキシ接着材でモザイクタイルを張る工法が多くなってきている。そちらの工法でもパネルの支点間距離を小さくして変形を少なくするように考えたい。

②ECPに塗装をする場合、ECPの表面は平滑であるので、塗装で金属パネルのような表情も可能である。メタリック塗装を現場施工すると、足場の影響による色むらになるケースもあるので、工場塗装も検討する。また、フッ素クリアー塗装でECPの素材感を出す仕上げの場合はECPの吸込みの違いによる色むらなどにも注意が必要である。