1級建築施工管理技士 ガラス工事 自然破損する強化ガラス

建築品質 ガラス工事


067)自然破損する強化ガラス

ガラスは人や物が当たらなくても割れることがある。網入りガラスも割れるが、他に熱線吸収ガラスなどの熱割れや強化ガラスの自然破壊もある。高所や高層ビル外壁でのガラスの破損は非常に危険である。

1.強化ガラスは自然破損する

強化ガラスは普通ガラスを700℃近くまでに熱したあと急冷してガラスの表面に圧縮応力を発生させて強くしたガラスである。この強化ガラスは自然破損することがある。
一つは表面の微細な傷が圧縮応力層に徐々に進行して、あるとき突然破損する場合である。これは強化ガラスドアなどで生じやすい。もう一つは強化ガラスの製造段階で不純物などが混じっていると、その部分から自然破損する場合である。この自然破損を少しでも無くすために、ヒートソーク処理(再加熱処理)を行ってから受け入れることが重要である。しかしこれでも自然破損が全くなくなるとは言えない。そこで強化ガラスが万が一割れて落下しても、人を傷つけない高さで使用する。学校では学校用強化ガラス( t=4、5など)を用いるが、この場合は床面から12m以下で使用する。その他の建物の強化ガラスは3m以下で使用し、それ以上の場合は飛散防止フィルムを張るか、合わせガラスを使用する。飛散防止フィルムは劣化するので、定期的な点検やメンテナンスが必要である。

高層ビルで使用する倍強化ガラスや耐火ガラス、防火ガラスも強化ガラスであり、自然破損して落下する可能性があるので、ビル外壁に強化ガラスは使用しない。強化ガラスを使う場合は合わせガラスを使う。強化ガラスの日本のメーカー保証は、一般に10年である。しかし、施工費や仮設足場などの費用は別途発生するので、予め建築主への説明が必要である。

2.ガラスは熱割れすることがある

熱線吸収ガラスや熱線反射ガラスは熱割れすることがある。これは日射熱による熱応力によって破損を起こす現象である。透明ガラスでもまれに熱割れする。ガラスのエッジ強度が弱かったり、ガラス裏面の空間が少なく熱がこもったり、裏面の色が熱吸収しやすい濃色であったり、ガラス裏面にフィルムを張ったり、ガラス面の一部が影になったりする場合は熱割れする可能性がある。

対策は熱割れしにくい状態にするか、強化合わせガラスにするなどが必要である。ガラスブロックも裏面を塞ぐと熱割れしやすいのは同じである。カーテンウォールのスパンドレル部分など熱割れが予想される場合は、ガラスメーカーに確認する。