18章 塗装工事 10節 ウレタン樹脂ワニス塗り(UC)

18章 塗装工事

10節 ウレタン樹脂ワニス塗り(UC)

18.10.1 一般事項

この節は、建築物内部の建具、手すり、床等の木質系部材に対する仕上げを対象としている。

18.10.2 ウレタン樹脂ワニス塗り

(1) 材 料
(ア) 油性顔料着色剤

一般的にはピグメントステインと呼称される着色剤であり、顔料をボイル油や合成樹脂などで練り合わせて添加剤や溶剤を加えたものである。その品質は JASS 18 M-306に規定されている。油性顔料済色剤は1液形油変性ポリウレタンワニス塗りの場合に特記により適用する。

なお、ピグメントステイン(油性顔料着色剤)のみを利用した建築物外部及び内部の木部仕上げについては、18.11.2(1)に[ピグメントステイン塗り]として示している。

(イ) 溶剤形顔料着色剤
18.5.2(1)(イ)を参照する。

なお、溶剤形顔料着色剤は2液形ポリウレタンワニス塗りの場合に特記により適用する。

(ウ) 1液形油変性ポリウレタンワニス(JASS 18 M-301)

イソシアネートと乾性油との反応により得られる、ウレタン結合を有する樹脂を主要な塗膜形成要素とした透明の酸化重合形塗料である。その品質は「JASS 18 塗装工事」M-301に規定されている。

(エ) 2液形ポリウレタンワニス(JASS 18 M-502)

ポリオールとイソシアネート化合物を、主要な塗膜形成要素とした透明の2液反応硬化形塗料で、その品質はJASS 18 M-502に規定されている。

常温で硬化乾燥して溶剤が蒸発すると、ポリオールとイソシアネート樹脂が反応してウレタン結合を有する透明塗膜を形成する。

(2) 塗 装

(ア) 「標仕」では、塗装種別をA種(3回塗り)とB種(2回塗り)としており、特記がなければB種としている。

(イ) 「標仕」表18.10.1の (注)3に示すように着色は特記により行う。また、(注)4に示すように、下塗りとの相性を考慮して、1液形湘変性ポリウレタンワニスの場合は油性顔料着色剤(JASS 18 M-306(ピグメントステイン))とし、2液形ポリウレタンワニスの場合は溶剤形顔料着色剤を使用する。

着色を行わない場合は、素地の色調を活かした木地(生地)仕上げとなる。

(ウ) 下塗り、中塗り及び上塗りの工程には、同一材料を使用する。

「標仕」には規定されていないが、上塗りに 2液形ポリウレタンワニスを使用する場合は、下塗りに2液形ポリウレタンシーラー、中塗りには 2液形ポリウレタンサンディングシーラーを使用する塗装工程も一般的である。2液形ポリウレタンシーラー及び2液形ポリウレタンサンデイングシーラーの品質はJASS 18 M-302に規定されている。

(エ) 下塗りは、素地に塗料を十分に浸透させることにより、吸込みが均ーになり、むらを防止するとともに塗膜の付着性を向上させる。

(オ) 1液形油変性ポリウレタンワニスは、油性成分の酸化重合により硬化するため、最短でも24時間程度の硬化時間を必要とする。したがって、乾燥硬化の不良による縮みやしわの発生に注意する。余裕をもった工程間隔時間及び最終養生時間が必要であり、特に、厚膜になると縮みやしわが発生しやすいため、厚塗りを避ける。

なお、ワニスの乾燥塗膜には、塗重ね時間の制約があり、長時間放置してから塗り重ねると層間はく離を生じやすくなるため注意する。

(カ) シンナーは、塗装方法や乾燥条件に応じて使い分けるのが一般的である。肌あれや発泡等の仕上り塗膜の欠陥を生じるため、塗料の製造所が指定するシンナーを用いる。

(キ) 塗装方法は、はけ塗り又はローラーブラシ塗りとする。

(ク) 2液形ポリウレタンワニスに使用しているイソシアネート化合物は反応性が強く、粘膜や皮膚に触れるとかぶれることがあるため、使用の際は安全衛生上十分な措置を講ずる。

(ケ) 各塗装工程の標準工程間隔時間及び標準最終養生時間を、表18.10.1に示す。

表18.10.1 ウレタン樹脂ワニス塗りの標準工程間隔時間及び標準最終養生時間

18章 塗装工事 11節 ステイン塗り

18章 塗装工事

11節 ステイン塗り

18.11.1 一般事項

この節は、建築物の屋内における木部のオイルステイン塗り並びに建築物の屋外及び屋内における木部のピグメントステイン塗り仕上げを対象としている。

18.11.2 ステイン塗り

(1) ピグメントステイン塗り

(ア) ピグメントステイン(油性顔料着色剤)は18.10.2(1)(ア) で解説したように、顔料をボイル油や合成樹脂などで練り合わせて添加剤や溶剤を加えたものである。ビグメントステインは染料でなく顔料を使用しているため、オイルステインより耐候性は良好であり、屋外にも使用される。ピグメントステインは既調合製品であり、品質はJASS 18 M-306に規定されている。

(イ) 塗装は、着色むらが生じないように、はけ塗り又は吹付け塗りとする。塗付け後は、材料が乾き切らないうちに全面をふき、むらが生じないように余分な材料を軽くふき取る。

(ウ) 有機溶剤を用いるため、塗装作業時には換気に注意する。また、作業に使用した紙や布片等は自然発火する可能性があるため、水を入れた容器中に入れた後、乾かしてから処分する。

(エ) ピグメントステインの気温20℃における標準工程間隔時間及び標準最終養生時間は、24時間以上である。

(2) オイルステイン塗り

(ア) オイルステイン(油性染料着色剤)は、18.5.2(1)(ウ)に示したように、油溶性染料を芳香族、脂肪族炭化水素系溶剤(ミネラルターペン等)と少量の油ワニスあるいは合成樹脂ワニスに溶解した着色剤である。品質はJISや日本建築学会材料規格等で規定されていないため、製造所の技術資料や公的試験結果等を参考に適切なものを選定して特記する必要がある。

オイルステインには海外からの輸入品も多い。また、原料として石油由来の溶剤やワニスではなく、自然素材由来の溶剤やワニスを使用することにより安全性に配慮するという製品がある。しかし、自然素材由来であってもホルムアルデヒドが放散する可能性があるため、屋内に使用するオイルステインではホルムアルデヒド放散量の確認が必要である。

(イ) 塗装は、着色むらが生じないように、はけ塗り又は吹付け渡りとする。塗付け後は、材料が乾き切らないうちに全面をふき、むらが生じないように余分な材料を軽くふき取る。

(ウ) 有機溶剤を用いるため、塗装作業時には換気に注意する。また、作業に使用した紙や布片等は自然発火する可能性があるため、水を入れた容器中に入れた後、乾かしてから処分する。

(エ) オイルステインの気温20℃における標準工程間隔時間及び標準最終養生時間は、24時間以上である。

18章 塗装工事 12節 木材保護塗料塗り(WP)

18章 塗装工事

12節 木材保護塗料塗り(WP)

18.12.1 一般事項

この節は、建築物の屋外における木部の木材保護塗料塗りを対象としている。木材保護塗料塗りは、外壁、門柱、バルコニー等の屋外で使用される木質系素地に対する半透明塗装仕上げに用いられる。仕上り面は木質系素地の木目が見えるため、木材の質感を生かした着色仕上げとなる。

18.12.2 木材保護塗料塗り

(1) 材 料

木材保護塗料は、樹脂(アルキッド樹脂、亜麻仁油等)及び新色顔料のほかに、防腐、防かび、防虫効果を有する薬剤を含むことを特徴とする既調合の半透明塗料である。しかし、木材保護塗料に含まれる木材保存剤成分は、主として塗膜の耐久性を向上させるために配合されているもので、いわゆる木材保存剤と比較すると防腐、防かび、防虫効果は低いことに注意する必要がある。

木材保護塗料の品質は、「JASS 18 塗装工事」M-307に規定されている。

なお、JASS 18 M-307は、2013年の「JASS 18」改定(第7次)時より「かび抵抗性」に関する試験項目が追加されている。

「標仕」においてJASS 18 M-307への適合は、「かび抵抗性」を含む最新の規格への適合を要求している。したがって、「かび抵抗性」が確認されていない旧 JASS 18 M-307への適合のみでは不十分である。

(2) 塗 装

(ア) 「標仕」では、塗装種別をA種(3回塗り)とB種(2回塗り)としており、種別の選定は特記により、特記がなければB種としている。

(イ) 木材保護塗料塗りは、素地の状態がそのまま仕上りに影響するため、表18.2.1にしたがった適切な素地ごしらえが必要である。

(ウ) 木材保護塗料は、木材内部に十分浸み込ませることが重要である。また、木材保護塗料は原液で使用することを基本とし、希釈はしない。木材保護塗料は、塗り回数が多くなるにしたがって、木質系素地への浸透性が低下するので、A種の上塗り(2回目)では塗付け量を0.04kg/m2としている。

(エ) 木材保護塗料塗りは、屋外で使用される木質系素地に対して適用される。11節に示したピグメントステイン塗りは屋内及び屋外における木部に適用できる。屋外での耐候性を比較すると、一般に、ピグメントステイン塗りより木材保護塗料塗りの方が優れている。

(オ) 各塗装工程での標準工程間隔時間及び最終養生時間を、表18.12.1に示す。

表18.12.1 木材保護塗料塗りの標準工程間隔時間及び標準最終養生時間

18章 塗装工事 13節 「標仕」以外の塗装仕様

18章 塗装工事

13節 「標仕」以外の塗装仕様

18.13.1 「標仕」以外の塗装仕様の位置付け

「標仕」に規定されている塗料以外にも新しい塗料が開発されているが、まだ塗装の標準化がされていないこと、また、使用実績も少ないことから一般的な仕様とはなっていない。

しかし、塗装に要求される性能が高まりつつある中で、特記による適用も考えられることから、本節では参考としてこれらの塗料に対する仕様の例を示す。

また、従来の「標仕」には規定されていたが、諸般の事情により平成25年版以降の改定において「標仕」では規定されていない仕様についても、特記による適用の可能性があるので、参考として示している。

18.13.2 合成樹脂エマルション模様塗料塗り(EP-T)

合成樹脂エマルション模様塗料塗りは、建築物の内壁面や天井等のコンクリート面、モルタル面、せっこうプラスター面、せっこうボード面、その他ボード面等に対するスチップル等の模様仕上げに用いられる塗装である。

(1) 材 料
(ア) 合成樹脂エマルションシーラー

 18.8.2(1)(ア)を参照する。

(イ) 合成樹脂エマルションペイント

 18.9.2(1)(イ)を参照する。

(ウ) 合成樹脂エマルション模様塗料(JIS K 5668)
JIS K 5668に規定されており、合成樹脂エマルション、顔料、充填材、添加剤等を配合した高粘度形塗料で、吹付けやローラー塗りでスチップル模様やゆず肌模様等の表面テスクチャーがあり、表面光沢がほとんどない硬化塗膜を形成する。
平成31年版「標仕」のA種では、色調の調整や色替えにJIS K 5663(合成樹脂エマルションペイント及びシーラー)の合成樹脂エマルションペイント1種を仕上げ塗りとして用いていた。

JISでは1種(屋外用)、2種(屋内用)、3種(屋内の天井用)等が規定されているが、平成31年版「標仕」では、上塗りに2種を用い、下塗りと仕上げ塗りには合成樹脂エマルションペイントの1種を用いていた。

(2) 塗 装

(ア) 色調の調整は、一部可能であるが、濃彩色になると粘性が変化して仕上り模様が異なることもあるため、適切な粘度で塗装する必要がある。

(イ) 各材料の希釈割合は、塗料の製造所の指定とする。

合成樹脂エマルション模様塗料は、希釈割合や吹付け塗装ガンの種類、ノズル口径、吹付け圧力、ローラーブラシの種類等によって、表面模様の仕上りや外観が変化するので十分注意する。また、現場においては、あらかじめ塗り見本により仕上りの状態を確認しておく。

(ウ) 材料の保管、調合(水希釈乱、かくはん等)、使用有効期限等は、各材料の製造所の仕様を遵守する

(エ) 合成樹脂エマルション模様塗料塗りは、一般的には次のような塗装方法を適用する。

(a) 下塗りは、はけ塗り、吹付け塗り又はローラーブラシ塗り

(b) 仕上げ塗りと上塗りは、ローラーブラシ塗り又は吹付け塗り

(オ) 希釈に使用する水は、水道水を標準とする。

(カ) 各工程間の工程間隔時間及び最終養生時間が不十分であると、仕上り模様が変化することがあるため注意する。

18.13.3 コンクリート系素地に対する透明塗装

 

打放しコンクリートの外観を生かした透明塗装である。コンクリートの外観が濡れ色になるのを防止するため、下塗りの段階で、濡れ色にならないタイプの浸透性吸水防止材を塗付する場合が多い。透明塗装用の塗料としては、常温乾燥形ふっ素樹脂、アクリルシリコン樹脂、ポリウレタン樹脂等をビヒクルとしたクリヤ塗料が使用されている。

表18.13.1に塗装仕様の例を示す。この塗装仕様はコンクリート系素地のみではなく、石材等にも適用されている例がある。また、簡易な仕上げとして塗装種別B種のように、浸透性吸水防止材のみを塗り付ける仕様もある。

表18.13.1 コンクリート系素地面に対するクリヤ塗装の工程例

18.13.4 抗菌塗料

MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)による院内感染や0-157対策のため、部位によっては抗菌塗料を用いた塗装が実施されている。よく知られているように、ペニシリン等の抗生物質は多くの細菌性疾息の治療に役立つが、一方では、抗生物質に耐性を有する細菌が病院等の施設にはびこり、各種感染症の原因となることが問題となっている。このような院内感染の原因となる細菌の約1割がMRSAである。この細菌はペニシリン系の抗生物質であるメチシリンに耐性を有しており、通常、健康な人であればほとんど感染の心配はないといわれているが、抵抗力の弱い新生児、老人、入院患者等には感染する場合があり、問題となっている。

抗菌塗料は、このような背景から開発された塗料であり、簡単に説明すれば塗料中に抗菌作用のある薬剤(溶出タイプ)や銀イオン(接触タイプ)等を混人した塗料である。

抗菌塗料の性能は、抗菌性の他に、効果の持続性や安全性により評価される。表18.13.2には、溶出タイプと接触タイプの塗料の特徴を示す。溶出タイプ抗菌塗料は各種抗菌剤が利用されるため抗菌性は高いが、抗菌剤の特徴により細菌に対する効果が異なったり、耐性菌を生じる可能性も否定できない。また、安全性に関しても接触タイプより低い。

一方、接触タイプの抗菌塗料としては銀イオンを混入した製品が多い。銀イオンの抗菌メカニズムについてはまだ完全に解明されていないようであるが、細菌の基本代謝経路の酵素阻害や、細胞膜の物質移動阻害を起こすと考えられている。接触タイプ抗菌塗料は、表18.13.2に示すように適応できる菌種が広く、持統性も高いが、塗膜の汚れ等によって接触が阻害され効果が低下する。したがって、必要最小限の抗菌剤を混入している場合も多い。

さらに、抗菌塗料には、以下のような性能が要求される。

(ア) 消毒剤や塗膜の洗浄に耐える塗膜を形成すること。

(イ) 水性のエマルション塗料で臭気も少ない塗料であること。

(ウ) 乾燥が早く、塗装の工期が短期間で済むこと。

(エ) 特殊な工法や工具を利用するのでなく、一般的な塗装技能で施工可能であること。

(オ) 各種素地や旧塗膜に対して付着性が良好であること。

このような要求性能を満足するため、現状ではアクリル樹脂エマルションを中心とした合成樹脂エマルション塗料を利用した抗菌塗料が多い。

表18.13.2 抗菌塗料のタイプ別比較

18.13.5 粉体塗料

従来から、建築用塗料としては「溶剤系塗料」が一般的であり、これは塗膜形成成分である樹脂に顔料を加えて、作業性の向上を図る目的から有機溶剤で希釈されたものであり、大気中へ放出される揮発性成分が全量の1/2程度含まれている。昨今では、環境保全や健康安全への配慮から、非溶剤系塗料への変換が世界的な規模で強く求められており、建築施工の現場における塗装では、有機溶剤を含まない「水系塗料」あるいはトルエンやキシレン、ベンゼンのような有機溶剤ではなく、光化学反応性が低い溶剤を用いた「弱溶剤系塗料」の適用が推進されている。

「溶剤系塗料」に対して、塗料中に有機溶剤や水等の溶媒を全く用いず、塗膜形成成分を粉末化して、塗装工場で静電塗装によって吹付けた後に加熱して、塗膜を形成させるのが「粉体塗料」である。従来の建築分野では、住宅用の門扉やフェンス等ごく限れられた工場製の既製部材 部品についてのみに適用されていたが、VOCを100%削減して、塗装対象の素地に付着しなかった塗料の回収及び再使用が可能で廃棄物も低減できるため、環境保全の観点からは工場塗装において大きな注目を集めている。

既に、民間建築工事の一部ではあるが、アルミニウム合金製サッシ、カーテンウォール及び鋼製建具等に対する工場塗装において「粉体塗料」が適用されている。従来の「溶剤系塗料」に対する塗装仕様とは異なり、下塗りは不要であり、塗膜の付着性確保や素地に対する防食性の観点から、適切な素地ごしらえ(陽極酸化皮膜処理や化成皮膜処理)との組合せが重要となる。現在の建築分野で適用されている「粉体塗料」は海外製品のポリエステル系が主流であるが、硬化形式による塗膜性能の差が顕著であり、製品による性能のばらつきも見られる。特に、日本国内では建築外装に対して、耐候性に優れるふっ素樹脂を含む複合樹脂粉体塗料が採用されている。

2018年10月には、日本建築仕上学会編「建築用アルミニウム合金材料 粉体塗装仕様標準指針・同解説」が発行され、塗装仕様の標準化と使用材料の品質規格及び使用上の留意事項が示されている。採用に当たっては、参考にすることが望ましい。

18.13.6 高日射反射率塗料

高日射反射率塗料は、JIS K 5675(屋根用高日射反射率塗料)に規定されており、太陽光のうち、熱に関与するといわれている近赤外領域を塗膜表面で反射させるという高機能性塗料で、近年開発された技術である。都市部のヒートアイランド現象の緩和や省エネルギー対策を目的として実用化され、特に改修工事における採用が増加している。原理としては、日射熱、特に熱に関与する近赤外線を選択的に反射する、濃色(特に黒や茶色系)の特殊顔料を使用することにより効果を出している。また、平成22年2月5日の閣議決定に基づき、「国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律(グリーン購入法)」の特定調達品目に指定されたことから、大きな注目を集めている。環境省の「環境物品等の調達の推進に関する基本方針」(令和4年2月25日変更閣議決定)では、高日射反射率塗料とは、日射反射率の高い顔料を含有する塗料であり、建物の屋上・屋根等において、金属面等に塗装を施す工事に使用されるものとしている。その判断の基準としては、次の(ア) 及び(イ) が規定されている。

(ア) 近赤外波長域日射反射率が表18.13.3に示す数値以上であること。

(イ) 近赤外波長域の日射反射率保持率の平均が80%以上であること。

表18.13.3 近赤外波長城日射反射率

なお、近赤外波長域日射反射率、明度L*値、日射反射率保持率の測定及び算出方法は、JIS K 5675によるとしている。

JIS K 5675に適合する資材は、本基準を満たすものとしている。

参考文献

20章 ユニット及びその他の工事 1節 共通事項

20章 ユニット及びその他の工事

1節 共通事項

20.1.1 一般事項

この章は、一般的な建築工事において現場で取付けを行うユニット、プレキャストコンクリート、間知石及びコンクリート間知ブロック積み並びに敷地境界石標を対象としている。

20.1.2 基本要求品質

(1) ユニット及びその他の工事に用いる材料は、「所定のもの」としているが、ここで使用する材料にはJIS等の公的品質規格の定められていないものが多い。この場合には、施工計画書(「標仕」1.2.2)で品質計画を定めて使用する材料の品質を明確にし、これを監督職員が検討し承諾することにより材料の品質が確定される。これらの材料が正しく使われていることが分かるような資料を整理しておくことを求めている。

(2) この章では、建物の仕上げ面に、製造工場等で製作された製品等をそのまま取り付ける場合が多く、設計図書又は施工図等で指定された位置に正確に取り付けることを要求している。

また、「所要の仕上り状態」とは、出来ばえとして認められないような傷や汚れ等のない状態に仕上げられていることを求めたものであるが、これらについては、客観的・定量的な品質基準を設定するのが困難な場合も多いため、できるだけ品質計画で明確にしておき、これによって品質管理を行う。

(3) (2)で述べたように、この章では特記された製造所で製作された既製品等を現場で取り付ける場合が多い。しかし、特記された製品といえども、設置場所や利用者の使い勝手等を考慮し、使用性、耐久性等に対して有害な欠陥のないものを選定するよう要求している。

なお、特記された製造所等の製品の中に適切なものがない場合は、「標仕」1.1.8による協議を行い処置する。

(4) ホルムアルデヒド放散量について、「標仕」では基本要求性能の事項として概括的規定を設けていない。しかし、「可動間仕切」「トイレブース」のパネル材料など、JIS等の材料規格において放散量が規定されているものは、「標仕」においてF☆☆☆☆と定められている。したがって、市場性、部位、使用環境等を考慮して、その他の放散量のものを使用する場合は、設計図書に特記されている内容を十分に確認し、要求品質を確保する必要がある。

なお、ホルムアルデヒド放散量に関する工事監理上の注意事項は、19章10節を参照されたい。

20章 ユニット工事 2節ユニット工事 4.移動間仕切

20章 ユニット及びその他の工事

2節ユニット工事等

20.2.4 移動間仕切

(1) 材料等

移動間仕切は、移動を容易にするため吊り下げられた構造が一般的であるが、床部分に回転体を有し上部がガイドとなって下部で荷重を受けるもの、あるいは振れを防ぐためにハンガーレールで吊ってはいるが床にガイドを有するものなどもある。

「標仕」の適用範囲は、移動・格納のできる標準的な上吊りパネル式間仕切に適用するとしている。

現状では、移動間仕切に関する標準化された規格類はなく、製造所ごとのシステムにより構成された製品になっている。

移動間仕切は、一般的に間仕切の走行方法と操作方法により区分できる。各区分の内容と各部の名称を次に示す。

(a) 走行方向による区分
① 平行方向移動式

カーブを含みレールの方向のみ移動するもの。

② 二方向移動式

交差する二方向のレールに乗り換えて移動が可能なもの。乗換え移動については、ランナーの機構によるものがある。

(b) 操作方法による区分
① 手動式

パネルの移動を人力で行うもの。

② 電動式

パネルの移動が電力で行われ、自走するもの。

③ 部分電動式

パネル移動の一部のみ電力で行うもの。

(c) 各部名称
① ハンガーレール

パネルを移動するためのレールで、カーブ・交差・分岐・格納を含む。

② ランナー

間仕切パネルを吊り下げ、レールを走行する部分。

③ 間仕切パネル

ランナーより吊り下げられ、走行のできる分割された間仕切のパネル。

④ ドア兼用パネル

間仕切パネル自体が走行できるだけでなく、丁番・軸吊りによって他のパネル又は躯体側の他部位により支持され、ドアとしての開閉が可能なもの。

⑤ ドア付きパネル

間仕切パネル内に出入口を有するもの。

⑥ 密閉機構

間仕切として固定する場合に、床、天井、隣接する間仕切パネル及び躯体側の壁.柱との間を密着させ、遮音性を確保するための機構。

⑦ レール切換え部

ハンガーレールの一部で、ランナーの走行方向を切り換える部分で、ポイント・ターンテーブル・ロータリー等と称され、パネルの移動方法で切り換える手動式と、遠隔操作により切り換える電動式のものとがある。

⑧ 間仕切パネル格納部

間仕切パネルを不使用時に格納する部分で、引込みレール、格納ドア等を含む。

⑨ 壁付きガイド材

耐力壁、非耐力壁等の他の部位に設ける見切り材で、間仕切との取合いとなる部分。

⑩ ハンガーレール取付け下地

ハンガーレールを躯体若しくは躯体側の部分に取り付けるための構造材。

(2) 性能等
(ア) パネル圧接装置

パネルの圧接装置は、製造所により異なり、その操作方法も種々である。一般的に、パネル圧接装置の耐久性は、固定・解除の繰返し耐久試験等により評価されている。

(イ) 遮音性

移動間仕切の遮音性能は、JIS A 6512(可動間仕切)の遮音性試験に準拠し、試験方法は、JIS A 1416(実験室における建築部材の空気音遮断性能の測定方法)により、中心周波数500Hzの音の透過損失で評価している。移動間仕切の遮音性の目安を表20.2.8に示す。

表20.2.8 遮音性能の目安
(ウ) 移動間仕切の製品については、(-社)公共建築協会の「建築材料・設備機材等品質性能評価事業」(1.4.4 (5)参照)において、「標仕」20.2.4の規定に基づき評価基準を定めて評価を行っているので参考にするとよい。

(3) 工 法
(ア) 下地補強材は、所要の性能を満足するよう堅固な取付けが求められる。下地補強材を取り付けるときの所要の性能は特記によるが、特記がなければ、取付け全重量の5倍以上の荷重に対して、耐力及び変形量が使用上支障のないように補強する。

(イ) ハンガーレールを躯体又は下地補強材へ固定するときにあと施エアンカー類を用いる場合は、「標仕」では、14.1.3(1)の工法により、施工後の確認は、機械的簡易引抜試験機による引張試験により、設計用引張強度に等しい荷重に対して、過大な変位を起こさず耐えることを確認することとされているので注意する。

20章 その他の工事 5.トイレブース

20章 ユニット及びその他の工事

2節ユニット工事等

20.2.5 トイレブース

(1) 材料

(ア) パネルの主要構成基材は、JIS A 6512(可動間仕切)に基づく材料とすることが定められている(20.2.3 (1)参照)。

(イ) 笠木、脚部、壁見切り金物、頭つなぎ等の構造金物は、耐食性のあるものとし、ステンレス材(SUS304程度)又はアルミニウム材が一般的であるが、脚部は耐衝撃性を考慮して、ステンレス材と規定している。

(ウ) ドアエッジの材質は、特記による。特記がなければ、トイレブースの製造所の仕様によると規定している。

(エ) ヒンジ等の付属金物は、 トイレブースの製造所の仕様による。丁番式や中心吊り式、自閉するものなどがある。

(2) 性能等

JIS A 4702(ドアセット)による開閉繰返し試験の合格基準は、開閉回数10万回で開閉に異常がなく、緩みがない等使用上支障がないこととされている。

(3) 加工及び組立
小口ヘの防水処理は、 トイレ清掃時の水掛りに対してパネル小口からの吸水を防止するための防水塗装や防水テープ処理等が挙げられる。

(4) トイレブースの製品については、(-社)公共建築協会の「建築材料・設備機材等品質性能評価事業」(1.4.4 (5)参照)において、「標仕」20.2.5の規定に基づき評価基準を定めて評価を行っているので参考にするとよい。

20章 その他の工事 6.手すり

20章 ユニット及びその他の工事

2節ユニット工事等

20.2.6 手すり

(1) 材料・仕上げ

(ア) 手すりに用いる金属材料は、多くの場合、鋼、ステンレスあるいはアルミニウム合金である。

(イ) アルミニウム合金の表面処理の種別は、「標仕」14.2.1 (1)により、設計図書に特記される。

(ウ) 鋼製品の塗装

鋼製品の錆止め塗装は、工場で行われることが多いが、塗料の種別及び適用箇所は、「標仕」表18.3.1による。

(エ) BL認定部品

(-財)ベターリビングでは、住宅の廊下・バルコニー・窓等に使用する手すりについて基準を設け、強度等各種の試験に合格したものをBL認定部品としている。

(2) 工法

(ア) 手すりと手すり支柱又は手すり子との取合いは、鋼製以外は通常小ねじ留めにする。安全のため、小ねじは、手すりの中に入れて留めるものが多い(図20.2.1参照)。ステンレスは溶接する場合もあるが、溶接部の取合いの仕上げには注意する必要がある。


図20.2.1 手すりと手すり支柱又は手すり子との取合い

(イ) 外部に設置する手すりで、風による微振動や熱伸縮などの影響を受ける部位にボルトや小ねじを使用する場合は、緩まない方法にて取り付けるよう注意する。

一般的な手すりの例を図20.2.2に示す。


図20.2.2 一般的な手すりの例

(ウ) 溶接は14章3節による。

(エ) 手すりが長くなる場合には、金属の温度変化による部材の伸縮を考慮して、伸縮調整部を設けるのがよい(通常5~10m間隔程度)。伸縮調整部を設ける間隔及び伸縮調整幅は、使用する金属の膨張係数を考慮して決めるのが望ましい。

部材伸縮の目安(温度差40℃の場合)は、鋼は 1m当たり0.5mm程度、アルミニウム合金は 1m当たり1.0mm程度である。

伸縮調整部の例を図20.2.3に示す。


図20.2.3 伸縮調整部

(オ) 手すりの小口は、安全性、美観等を考慮して、同材でふたをしたりするが、共色(ともいろ)の樹脂製キャップが用いられることもある。その場合は、取換えが可能な納まり及び形状とする。

(カ) 手すり支柱は、コンクリートあるいはモルタルの中に入る部分であっても、錆止めの処置を行うことが望ましい。

なお、モルタル充填に際して、こて押え等が不十分になりがちなため、充填を確実に行う。

取付け例を図20.2.4に示す。


図20.2.4 手すりの取付け

20章 その他の工事 7.階段滑り止め

20章 ユニット及びその他の工事

2節ユニット工事等

20.2.7 階段滑り止め

(1) 材料

(ア) 階段滑り止めには、金属と合成樹脂又は合成ゴムを組み合わせたもの、タイルあるいは金属を主体としたものがある。

(イ) 金属の種類は、通常ステンレス、黄錆、アルミニウム、鉄である。その踏面には溝があり、溝にはめ込む滑り止め材の形状はタイヤ形等があり、材質はゴム、合成樹脂、カーボランダム等がある。

金属部分は、押出し成形材と板材を曲げ加工したものがある。また、足付き形のものと接着形のものとがあり、それぞれ取付け工法が異なる。

(ウ) タイヤ形の滑り止め材は、取付け後収縮しやすいため、図20.2.5のような収縮を防止する突起等があるものを使用するのがよい。


図20.2.5 収縮防止の例

(エ) 階段滑り止めの例を、表20.2.9に示す。

表20.2.9 階段滑り止めの例

(オ) 取付け長さは、階段と手すりの取合い等によるが、通常は階段の全幅とする。

(2) 取付け

(ア) 接着工法

(a) 接着剤のみで取り付ける場合には、はく離する例が多いため、「標仕」20.2.7(2)(ア) では、接着剤及び小ねじを用いて取り付けることとされている。

(b) 取付け方法の例を、図20.2.6に示す。


図20.2.6 階段滑り止め取付けの例(接着工法)

(c) 取付けに際しては次の事項に注意する。

① 接着面は、十分平滑にし、下地乾燥後、油、レイタンス、ほこり等接着の妨げとなるものを除去する。

② 接着剤は、原則としてエポキシ樹脂系のものを用いる。

③ 接着の際は、すり合わせるようにしながら押し付け、小ねじを用いて取り付け、取付け後は、接着剤が硬化するまで押さえておく。

④ 施工場所が、施工中及び施工後、気温が 5℃以下になると予想される場合は、施工を行わない。ただし、採暖等の養生を行う場合は、この限りでない。

(イ) 埋込み工法
アンカーを用い、両端を押さえて間隔 300mm程度に堅固に取り付ける。

取付け方法の例を、図20.2.7に示す。


図20.2.7 階段滑り止め取付けの例(埋込み工法)

(3) 取付け中は、他の作業のための通路を確保するとともに、取付け後の養生を確実に行うため、接着工法では一時通行を禁止する場合もある。

20章 その他の工事 8.床目地棒

20章 ユニット及びその他の工事

2節ユニット工事等

20.2.8 床目地棒

(1) 「標仕」では、材質はステンレス製、厚さ5 ~ 6mm、高さ12mmを標準と規定している。床目地棒の形状には、種々のものがあるが、図20.2.8にその例を示す。3 × 9(mm)、3 ×12(mm)、4 ×12(mm)等、断面の小さいものも市販されている。また、床目地棒の長さは、通常1.820mmである。


図20.2.8 床目地棒の断面の例

(2) 床目地棒は、異種の床仕上げの見切りとして取り付けるものである。

(3) 取付けは、図20.2.9のようにアンカーをモルタルで固定する。


図20.2.9 床目地棒の取付け例