16章 建具工事 7節 木製建具

16章 建具工事

7節 木製建具

16.7.1 適用範囲

(a) この節では、事務庁舎等での屋内の出入口に使用する木製建具を対象としている。

また、物入、書棚等の戸に木製フラッシュ戸を使用する場合は、これを準用できる。

(b) 近年の事務庁舎等では、防火性能を必要としない部位で、木製建具の使用が増加している。木製建具にはフラッシュ戸、かまち戸、ふすま、障子等があり、種類が多いため、「標仕」では一般的に重要な項目のみを規定し、その他は建具製作所の仕様によることとしている。

製作所の決定は、工事経歴、受注能力(作業人員、機械設備、管理体制)等により、その能力を調査することが必要である。

(c) 木製建具は、フラッシュ戸・ふすま・戸ぶすまのように内部材が外から見えない 建具と、かまち戸・ 障子のようにすべて化粧材からなる建具とに大別される。外周部材は、垂直方向の「かまち(縦かまち)」と水平方向の「かまち(上かまち、下かまち)」又は「桟(上桟、下桟)」とからなり、補強のために中間に入れる部材は、内部材が見えない建具では「中骨」といい、すべて化粧材からなる建具では「中桟」という(図16.7.1参照)。


図16.7.1 木製建具の部品名称

16.7.2 材 料

(a) 含水率

(1) 建具材は反り、ねじれ、狂い等寸法に変化が生じると、その機能が著しく損なわれるおそれがあることから、一般の木工事材料より厳しくしている。

(2) 人工乾燥と天然乾燥を区分しているのは、使用樹種と使用部位によって使い分けるためである。

(3) 天然乾燥による木材の乾燥期間は、平衡含水率は12~19%程度で、初期の含水率、気象条件、板厚、樹種等によって異なるが厚さ25~ 30mmのもので2~6箇月以上が必要である。

(4) 人工乾燥による木材は、平衡含水率より2~3%低めに乾燥した方が狂いは少ない。屋内における木材の平衡含水率は、10~15%程度と考えられる。

(5) 集成材、単板積層材、合板、パーティクルボードは、製造工程上十分乾燥しているのでA種と見なすことができる。

(b) フラッシュ戸

(1) かまち及び桟は、近年木材の集成技術やフラッシュ戸の表面材の接着技術が向上していること及びむく材のコストが高騰していることから、集成材を使用することが一般的である。ただし、使用している集成材は同一樹種を集成したものとは限らない。近年、杉の間伐材も加工・集成技術の向上に伴い使用されている。

また、単板積層材(LVLともいい、厚さ3mm程度の薄板を繊維方向を合わせて積層した材料)も使用されている。

造作用集成材及び造作用単板積層材の品質は、建具製作所の仕様によることとなっているが、ホルムアルデヒドの放散量等は、JASで品質基準が定められており、表面材の合板に準じてF☆☆☆☆のもの、非ホルムアルデヒド系接着剤使用のもの、非ホルムアルデヒド系接着剤及びホルムアルデヒドを放散しない塗料使用のものとすることが望ましい。

(2) 定規縁、化粧縁、額縁及びがらり等には、狂いの少ない十分乾燥したむく材を使用する。樹種は、かまち等の集成材等と同じものとしている。

(3) 表面材の合板で、水掛りの箇所(便所、洗面所、浴室、厨房等)は、耐水性のある1類とする。

また、普通合板の板面の品質は、「合板の日本農林規格」の「普通合板の規格」に表16.7.1の3種が規定されている。「標仕」のC-Dとは、表面材の品質がC、裏面材の品質がDであることを示している。これらは、針築樹を表面材としている普通合板の中で、市場性があるもののうちでより品質が良いものである。

普通合板のホルムアルデヒドの放散量等は、JASで品質基準が定められており、「標仕」では、特記がなければF☆☆☆☆のもの及び非ホルムアルデヒド系接着剤使用のものとすることとしている。

なお、放散量の表示や確認方法等については、19章10節を参照されたい。

表16.7.1 普通合板の板面品質(JAS)

(4) 「標仕」では、心材に使用するペーパーコアは樹脂浸透のものとしているが、市販品には、ペーパーコアに樹脂を浸透していないものもあるので注意する。

(5) ガラス押縁に使用するねじ、釘の材質は、黄銅製では強度不足のため、ステンレス製としている。

(c) かまち戸

近年は、木目を見せるクリヤラッカー(CL)仕上げ、又はオイルステイン塗りクリャラッカー(OSCL)仕上げのかまち戸が一般的である。樹種は、チーク材とかオーク材のほか、種類が多いため、「標仕」では特記としている。鏡板も、かまちと同種の板を用いた合板(厚さ9mm程度)を使用することが多いため特記となる。

なお、「標仕」でいうかまち戸とは、むく材又は練付け材のかまちや桟に鏡板(額縁付きガラスも含む。)を取り付けたものを想定しており、フラッシュ戸の中央を抜き、鏡板(額縁付きガラスも含む。)を付ける戸はフラッシュ戸に含める。
(d) ふすま

(1) ふすまの種別は、 I型とII型の2種類がある。

(2) 周囲骨、中骨にスプルースが使われることがあるが、やにに注意する。

(3) 近年、 I型では、下張り工程の合理化のため、骨しばり用の茶ちり紙と、べた張り用の黒紙又は紫紙とを製紙工程ですき合わせた紙も多く使用されている。

(4) 上張りの種類は、価格に大きく影響するので特記することとしている。

なお、新鳥の子は、茶うらとか上新鳥と呼ぶこともある。また、雲花(うんか)紙とは、ダークグリーン地に真綿を散らしたような模様のある洋紙である。

(5) 防虫処理は、減圧容器に木材を入れ、ほう砂・ほう酸を木材に含浸(含浸量 木材1m3当たり1.2kg)する方法であるが、現在、南洋材の防虫処理は産出国で行い、国内での処理は行っていないのが実状である。

(e) 戸ぶすま

(1) 戸ぶすまは、フラッシュ戸の表面と周囲とをふすまと同様に仕上げたものであり、フラッシュ戸及びふすまに使用する材料と同じとしている。

(2) 表面の合板は、普通合板が一般的であり、厚さ2.5mm以上としている。

(f) 紙張り障子

(1) 障子紙の代名詞として美濃紙と特記されることがあるが、手すき和紙に限定して解釈しなくてよい。

(2) レーヨンパルプ紙とは、一般にビニル紙と呼ばれるものである。

(3) 引手の材質には、桑等の木製と真鍮(黄銅)等の金属製、合成樹脂製のものがある。

(4) 腰板付き障子は、腰板が高価なため近年は少ない。

(g) 接着剤

「標仕」では、接着剤はJIS A 5549(造作用接着剤)又はJIS A 6922(壁紙施工用及び建具用でん粉系接着剤)で接着する材料に適したものとされており、ホルムアルデヒドの放散量は、特記がなければF☆☆☆☆のものを使用することとしている。

なお、放散量の表示や確認方法等については、19章10節 を参照されたい。

16.7.3 形状及び仕上げ

(a) フラッシュ戸

(1) 「標仕」表16.7.5の見込み寸法30mmのフラッシュ戸は、物入、書棚等の戸を想定している。

(2) 表面材の厚さは、圧着技術が進歩しているため「標仕」表16.7.6が一般的である。ただし、大きな荷重がかかることが予想される場合は、特記で合板を厚くする必要がある。

(3) 表裏で表面材の種類を変えると温湿度の差で反りや狂いが生じやすいので注意する。

(4) 特殊加工化粧合板は、ポリエステル化粧合板等が製造されている。メラミン系は化粧板と称する厚さ1.2mmのメラミン板のみが製造されており、メラミン化粧合板は近年製造されていない。

(b) その他の建具

「標仕」に示すその他の建具の見込み寸法は、一般的な値である。

なお、ふすまの見込み寸法は、どぶ縁(引手側の縦かまち)の寸法による。

16.7.4 工 法

(a) フラッシュ戸

(1) 標誰的なものとしては、主に幅950mm × 高さ2,100mm程度のものを想定している。

(2) 工法は、心材別に中骨式とペーパーコア式に分類される。現在製造されているフラッシュ戸は、中骨式の方がペーパーコア式より多い。それぞれの工法の特長は次のとおりである。

(i) 中骨式の工法(図16.7.2(イ))

従来工法を機械化製作しやすく改良し、中骨を横方向のみとして、かつ、中間2箇所の中骨を分増し(見付け幅を太くすること)しない方法である。

(ii) ペーパーコア式の工法(図16.7.2(ロ))

中骨の数を減じ、その代わりにペーパーコアを挟み込む工法である。


図16.7.2 フラッシュ戸の工法

(3) 圧着技術が進歩しているため、いずれの工法でも、上下かまちと縦かまち及びかまちと中骨の取合い部のステープル留めは組立時の仮固定の意味合いが強く、戸としての剛性は接着剤により確保している。したがって、中骨とかまちとの取合い部の欠き込みは行わない。

(4) いずれの工法でも、錠前当たりの部分には高さ300mm以上の補強を施す。

また、ドアクローザーの取付けねじが,上かまちを外れるおそれがある場合は、上かまちに増し骨する。

(5) 化粧縁は、フラッシュ戸の側面を保護するためのものであり、表面材を接着したのち、幅、高さ、曲がり具合等を修正し、縦かまちに接着剤で取り付ける。

上・下かまちには、化粧縁を取り付けないのが一般的である。化粧縁の隅の納まりを図16.7.3に示す。


図16.7.3 化粧縁の隅の納まり

(6) 開き戸の定規縁は、通称「とんぼ」と呼んでいるT形部材あるいは合じゃくり形部材を図16.7.4のように接着剤で取り付ける。


図16.7.4 定規縁の例

(7) 空気穴は、近年コールドプレス機の採用によって不要となり設けないフラッシュ戸も多い。しかし、ホットプレス機を使用する場合は、フラッシュ戸内の空気の膨張による膨らみを防止するため、すべての水平部材(上・下かまち及び横骨)に図16.7.5のように3mm角程度の穴をあける。


図16.7.5 空気穴の詳細

(8) 引戸の召合せかまちの定規縁で、いんろう付きとする場合は特記による。その例を図16.7.6に示す。


図16.7.6 召合せかまちのいんろう付きの例

(b) かまち戸

(1) ほぞの形式の例を、図16.7.7に示す。


図16.7.7 ほぞの形式の例

(2) かまち及び桟の取合いの例を図16.7.8に示す。



図16.7.8 かまち及び桟の取合いの例

(3) レールは、V形、U形又は甲丸レールを使用するのが一般的である。

(c) ふすま

(1) 通常使用されている標準的な大きさのものについて示している。

なお、「標仕」表16.7.9中の周囲骨と中骨の寸法は、見付け幅 × 見込み幅で表示している。

(2) 工法は、 Ⅰ 型とⅡ型とに分類される。それぞれの工法の特長は次のとおりである。

(i) Ⅰ 型工法
従来から行われている工法であり、周囲骨の隅をえり輪入れし、周囲骨間及び周囲骨と中骨との取合いは、釘打ちとなっている。そのほか、図16.7.9(イ)のように縦骨と横骨の取合いを相欠き、両組みとしている。
紙張りは、下張り3工程(骨しばり、べた張り、袋張り)と上張りの計4工程となっている。しかし、近年茶ちり紙(骨しばり用)と黒紙又は紫紙(べた張り用)を製紙工場ですき合わせた紙を使用して、3工程とすることも行われている。

Ⅰ型工法での下張り紙の概略は、次のとおりである。

① 茶ちり紙(骨しばり用):主として、やや厚手のダンボール又はクラフト紙(上質)を再生したもの
② 黒紙又は紫紙(べた張り用):茶ちり紙を染めたもの

③ 袋紙(袋張り用):薄手のやや良質な茶ちり紙

(ii) II型工法

機械化製作のために開発された工法であり、一般にはチップボード型と呼ばれている。周囲骨の隅は火打ちを入れ接着剤とステープルで固定し、中骨と周囲骨の取合いはステープルで固定する。その他、図16.7.9(ロ) のように縦骨と横骨の組み方は、 I型工法と同じである。

紙張りは、下張り2工程(下張り、袋張り)と上張りの計3工程となっている。

II型工法での下張り紙の概略は、次のとおりである。

① 耐水高圧紙(下張り用):厚手の再生紙(専用紙)

②袋紙(袋張り用): I 型工法に同じ。


図16.7.9 ふすまの工法

(3) 上張り紙は、四周の周囲骨より10mm程度はみ出す大きさとし、周辺10mm部分にのり付けし、周囲骨の側面に折り込んで張り付ける。

(4) 縦縁は、スクリュー釘又は折合い釘を用いて、下方から滑らせて縦周囲骨に固着する。 上下縁は上下周囲骨に釘打ち留めとする。

縁の仕上げとしては、うるし塗りは高価なため、近年極めてまれである。現在は、カシュ一樹脂塗料の2回途りが一般的である。このほか、近年白木仕上げも多く見られる。

(5) 召合せ部の重ね縁と出会い縁の例を図16.7.10に示す。


図16.7.10 召合せ部の例

(d) 戸ぶすま

両面で異なる材質の上張り(片面が洋室用のビニルクロスで、他面が和室用の紙張りの場合等)とした場合は、上張り施工時の吸水による伸びとその後の乾燥による収縮及び室内温湿度の影響等で反りが生じやすい。一般的には、ビニルクロスを張った側が凸になる傾向がある。

(e) 紙張り障子

最近の建物は、高気密、高断熱が進み木製品の含水率が大きく変化し、反りやすい環境となっている。反り対策として「標仕」表16.7.10のかまちの寸法(見込み寸法30mm、見付け寸法27mm)が主流である。高さが2,000mmを超える場合は、見付け寸法も30mmとすることが多い。

また、ほぞ組みは、かまち見付け寸法の1/2以上とする。

16章 建具工事 10節 自閉式上吊り引戸装置

16章 建具工事

10節 自閉式上吊り引戸装置

16.10.1 適用範囲

主に高齢者、障害者等の利用を配慮した出入口に使用する標準的な自閉式上吊り引戸(手動で開放し、自動で閉鎖する戸、有効開口幅 900mm、高さ2,000mm程度)の開閉装置を対象としている。

開閉方式には、片引きと引分けがあり、引分けの場合、左右の戸が連動せずに個別に動くのが一般的である。

16.10.2 材 料

屋外に使用する上吊り引戸装置の材料は「標仕」によるが、引戸本体の材料についても雨水の浸入や防錆性能を考慮する必要がある。

16.10.3 性能等

(a) 開閉繰返し性能については、標準的な使用状態を想定して20万回を設定している。(-社)公共建築協会の「建築材料・設備機材等品質性能評価事業」(1.4.4(e)参照)では、「標仕」表16.10.1の規定に基づいた評価を行っている。「標仕」表16.10.1で規定されている手動閉じ力とは、ストップ装置を働かせた状態を手動で解除するのに要する力を指している。

(b) 自閉式上吊り引戸装置は、上吊り機構、自閉装置、制御装置により構成される。

図16.10.1に一例を示す。


図16.10.1 自閉式上吊り引戸装置の一例

16.10.4 工 法

上吊り引戸装置の上吊り機構は、建具枠の取付け誤差や床の不陸等を調整できるものとする。

16.10.5 高齢者、障害者等の利用に対する配慮

高齢者、障害者等の利用に対する配慮としては、開閉しやすいこと及び車椅子が通過できる幅があり、通過を妨げる段差がないことなどが挙げられる。

16章 建具工事 14節 ガラス

16章 建具工事

14節 ガラス

16.14.1 適用範囲

この節では、主として建具に取り付けるガラス工事を対象としている。

板ガラスは、近年外装材としても活用され、その用途が広がっている。例えば、メタルカーテンウォールでは開口部以外にも使用され、アトリウムやトップライトを形成している。また、建具枠に納めるのではなく、壁面がガラスのみで形成される点支持工法(DPG工法とも呼ばれる。)等も出現している。

16.14.2 材 料

(a) 建築用板ガラスの種類と厚さ及び特性を、表16.14.1に示す。

なお、ガラスの厚さを「ミリ」と表示する場合は、製品記号であって、寸法単位の「mm」ではないことに注意する。

表16.14.1 板ガラスの種類と厚さ及び特性
(b) ガラス厚さの設定

外部に面する帳壁に使用するガラスの厚さは、平成12年建設省告示第1458号に定められている(16.1.7 (d)参照)。

また、平成12年建設省告示第1458号において適用除外となっている部位(高さ13m以下)に対する風圧力について、板硝子協会では、平成12年建設省告示第1458号に提示される計算式をそのまま適用することを提案している。

なお、「標仕」の適用範囲外ではあるが、2~3辺支持状態のガラス及び点支持工法(DPG工法とも呼ばれる。)等の場合での、ガラス厚さの算定もガラスメーカーの提案式が、カタログや技術資料に掲載されているので、該当する場合には参考にするとよい。

(c) 板ガラスの概要
(1) フロート板ガラス(JIS R 3202)

溶解したガラス(約1,600℃)を溶融した金属(錫)の上に浮かべて製板するフロートシステムにより生産される透明、かつ、極めて平滑なガラス。

現在、流通する板ガラスの主流である。厚さは、2ミリから25ミリまで14種類ある。すり板ガラスは JIS R 3202の附属書 Aに規定されている。

(2) 型板ガラス(JIS R 3203)
2本の水冷ローラーの間に、直接溶解したガラスを通して製板するロールアウト法により生産されるガラス。下部のローラーで型付けされる。

型は、旧来のものが数種類に整理されており、選択には注意が必要である。

(3) 網人板ガラス(JIS R 3204)

(2)のロールアウト法の2本のローラーの間に、同時に網(線)を挿入して生産されるガラス(火造りともいう。)。網入板ガラスは、防火設備(旧乙種防火戸)用として認定されているが、線入板ガラスは防火設備(旧乙種防火戸)用として使用できない。

(4) 熱線吸収板ガラス(JIS R 3208)

フロートシステムにより生産される板ガラスで、ガラス原材料に日射吸収特性に優れた金属を加え、着色し生並されるガラス。

ガラスの色は、国内生産品はグリーンのみである。

熱線吸収効果で、日射を 30~40%程度吸収し、冷房負荷の軽減効果がある。

(5) 熱線反射ガラス(JIS R 3221)

ガラスの片面に金属の反射薄膜を付け、生産されるガラス。ミラー効果、可視光線を遮り、窓際のまぶしさや局部的な昇温の防止、冷房負荷の軽減効果等がある。

現在、次の2種類の製法がある。

① オンライン熱反

フロートシステムにより生涯されるガラスに、その徐冷の前工程で、金属をスプレーする製法。反射色調は、シルバー系がある。反射膜は、室外側でも室内部でも使用できるとされているが、反射膜の耐久性上、室内側が望ましい。

② スパッタ熱反〈高遮へい性熱線反射ガラス〉

フロート板ガラスを製品化したのち、所定の寸法に切断し、真空容器内に入れ、電圧をかけて金属薄膜を付ける製法。

オンライン熱反に比べて反射膜の反射率が高く、熱線吸収率も高い。一般には、高性能熱線反射ガラスと呼ばれている。

反射色調は、使用する金属により多彩で、10数種のものが市販されている。反射膜は,室内部に限定される。

(6) 合わせガラス(JIS R 3205)

2枚以上のガラスの間に接着力の強い特殊樹脂フィルム(中間膜)を挟み、高温高圧で接着し、生産されるガラス。同類には、合成樹脂を注入し、接着するものもある。

破損しても中間膜によって破片の大部分が飛散しない性質がある。

用途は、住宅や学校用の安全ガラスのほか、高層階のバルコニーの手すりや中間膜を種々変えた装飾用等がある。使用する板ガラスは、原則としてJISに規定されるものの組合せであり、製品の種類は多岐にわたる。また、耐貫通性に優れた厚い中間膜を使用した合わせガラスは防犯合わせガラスとして製品化されているが、地震時や台風時の飛来物に対しても防災上の効果がある。

(7) 強化ガラス(JIS R 3206)

ガラスを強化炉で 650~700℃程度まで加熱したのち、両表面に空気を吹き付け急冷してガラス表面付近に強い圧縮応力層を形成し、耐風圧強度を約 3倍に高めたガラス。破損時の破片は、細粒状になるので鋭利な破片は生じにくい性質がある。強化型板ガラスは、型の凹凸度合いが少ないものに限られる。

熱処理後のガラスは、切断加工はできない。

用途は、枠のない強化ガラスドアや手すり等のほか、住宅や学校用の安全ガラス、点支持工法(DPG工法とも呼ばれる。)等がある。

強化ガラス内部では、表面の圧縮力と内部側の引張力がバランスを保っており、製造過程で混入した微細な異物に起因する傷や表面の傷が成長して、圧縮応力層内(ガラス厚の1/6)を超えて内部の引張応力層に達すると、応カバランスが崩れ外力が加わっていない状態でも不意に破損することがある。これを自然破綻と呼んでいる。

強化ガラスが破損するときには、一瞬にしてガラスの全面が細かい粒状の破片になるが、粒が離れずに塊となって脱落することがある。このように強化ガラスが破損し脱落して人にけがを負わせるおそれがある場合や、破損時に人が転落する危険性がある場合には、強化合わせガラス仕様にするとよい。

使用に際しては、板硝子協会「強化ガラス・倍強度ガラス使用手引書」等を参考にするとよい。

自然破損を防ぐための手段としこ、製造時にヒートソーク処理を実施することが有効であるが、破損をゼロにする技術は現在のところない。ヒートソーク処理とは、強化加工後に再加熱処理を実施し、強化ガラスに微細な不純物が含まれていた場合、強制的に破損させる方法てある。

(8) 倍強度ガラス(JIS R 3222)
強化ガラスと同様な加熱処理を行い、耐風圧強度を約 2倍に高めたガラス(HSガラスとも呼ばれる。)である。熱処理後のガラスは、切断加工はできない。

破損時の破片は、フロート板ガラスの割れ方に近い形態である。用途は、一般窓ガラス用であるが、フロート板ガラスでは厚さが不足するような風圧力が大きく、かつ、開口面積が大きい部位に使用する。

倍強度ガラスは熱処理をしてしいるため、理論上製造過程で混入した微細な異物に起因する自然破損は起こり得る。通常、倍強度ガラスにはヒートユニクー処理は行わない。

使用に際しては、「強化ガラス・倍強度ガラス使用手引書」等を参考にするとよい。

(9) 複層ガラス(JIS R 3209)

一般に2枚のガラスをスペーサーで一定の間隔(一般に6又は12mm)に保ち、その周囲を封着材(一般にブチルゴム等)で密閉し、内部に乾燥空気(内部の圧力は外気圧に近い。)を満たしたガラスである。

なお、現在では、中空層側のガラス面に特殊金属をコーティングして断熱性及び日射遮蔽性を高めた製品であるLow-E複層ガラス(日射取得型:適度に日射熱を採り入れる寒冷地に適したタイプ、日射遮蔽型:室内への日射熱の侵入を低減する温暖地に適したタイプ)が多く使用されるようになった。また、それに併せて内部を真空にした真空ガラスや内部にガスを封入した製品もある。

使用するガラスは、原則としてJISに規定されるものの組合せであり、製品の種類は多岐にわたる。また、断熱効果が高く、冷暖房負荷の軽減効果と結露防止効果がある。

(10) 耐熱板ガラス

網入板ガラス以外で防火性能を有するガラスであり、低膨張防火ガラス、耐熱強化ガラス、耐熱結品化ガラスがある。

当項については、「標仕」には記載されていないが近年使用例が増えている。防火設備において、主構成材料として位置付けられており、また、品種によっては特定防火設備の認定実績を有するものもある。

詳細については、製造所に確認するとよい。

品質については、(-社)カーテンウォール・防火開口部協会、板硝子協会及びガラスブロック工業会が定めた「耐熱板ガラス品質規格」がある。

耐熱板ガラスで耐熱強化ガラスは、熱処理をしているため、製造過程で混入した微細な異物に起因する自然破損は強化ガラス同様に起こり得る。製造時のヒートソーク処理、破損脱落時の安全性、はめ替え等のメンテナンス等を十分に考慮することが望ましい。

(d) ガラス留め材

建具枠に板ガラスを固定させ、かつ、板ガラスの耐風圧性、建具としての気密性、水密性及び耐震性等が確保できるものをいう。

材料(工法、コストとも連動する。)は、次のものがあるが、各種性能はそれぞれ特長があるので、指定は特記による。

ただし、防火設備に使用する板ガラスの留め材は、建築基準法に基づく防火性能の認定を受けた材料に限定され、また、昭和46年建設省告示第109号では、「帳壁として窓にガラス入りのはめごろし戸(網入ガラス入りのものを除く。)を設ける場合にあっては、硬化性のシーリング材を使用しないこと。(ただし書きあり。)」としている。

(i) シーリング材

JIS A 5758(建築用シーリング材)に規定されるタイプGが用いられるが、その適用等は9章7節を参照する。また、各種性能を確保するためには、シーリング材の充填幅(目地幅)に一定の制限がある。

(ii) グレイジングガスケット

JIS A 5756(建築用ガスケット)付属書JA(参考)[ 建築用ガスケットの種類 ]JA.2に規定されるグレイジングガスケット(Gl)には、図16.14.1に示すグレイジングチャンネル、グレイジングビートの2種類がある。

ガスケットの材質は、JIS A 5756 4.4[主成分による区分]表4に規定される5種類がある(表16.14.2参照)。

(iii) 構造ガスケットは「標仕」17章を参照する。

表16.14.2 ガスケットの主成分による区分(JIS A 5756 : 2013)


図16.14.1 グレイジングガスケットの例(JIS A 5756 : 2013)

(e) セッティングブロック
建具下辺のガラス溝内に置き、ガラスの自重を支え、建具とガラスの接触を妨げる小片であり、一般にガラスの横幅寸法のおおよそ1/4の所に2箇所設置する。
なお、開き窓、軸が偏心したたて軸回転窓及びたてすべり出し窓では、戸先にガラス重量をかけない工夫として、軸近傍の下かまちと戸先の縦かまちとにセッティングブロックを設置することもある。

材料は、クロロプレンゴム系、EPDM(エチレンプロピレンゴム)系、塩化ビニル系があり、ポリプロピレン製があり、一般に、厚さ6ミリ以上の比較的大きいガラスには、クロロプレンゴム系が、それより軽いガラスには、塩化ビニル系を使用することが多い。ポリプロピレン製は樹脂製建具のセッティングブロックとして使用される。

なお、ガラス留め材をシリコーン系シーリング材とし、セッテングブロックにクロロプレンゴム系又はEPDM(エチレンプロビレンゴム)系を使用する場合は、セッテングブロック材料の可塑剤により、シーリング材が変色する原因となるため、耐シリコーンタイプの材料が特記されるか、又はシーリング材とセッティングブロックとを接触させない工夫がされていることを確認することが必要である。

セッティングブロックの形状寸法は、通常、次式により定める。

さらに、合わせガラスの中間膜や複層ガラスの封着材等に悪影響を与えないようにするため、セッティングブロックの材質と他の有機材との適合性を確認することも必要である。

L = W / ( n × t × f) ただし、t < a、b / a ≦ 1、L ≧ b
L:セッティングブロック1個の長さ(cm)
W:ガラスのの質量 ( N )
n:セッティングブロックの個数(一般に2箇所)
t:ガラスの厚さ(cm)
f:セッティングブロックの許容荷重( N/cm2
 クロロプレン系、EPDM系、ポリプロピレン製で 50、
 塩化ビニル系で 30
a:セッティングブロックの幅(cm)

b:セッティングブロックの厚さ(cm)

計算例
5ミリガラスで1.5m2の窓ガラスに塩化ビニル系を使用する場合
t = 0.5
よって、W= 0.5 × 1.5 × 104 × 2.5 × 10-3 × 9.8 ≒ 190 (N)
n = 2、f =30(塩化ビニル系)
よってL= 190 / ( 2 x 0.5x 30 ) ≒ 7(cm)
aは、t + ( 0.6~1.0) ≒ 1.2 (cm)、
b ≦ aより
bは、0.6~0.8 (cm)
よって、L × a × bは、
7 × 1.2 × 0.8 (cm)となる。

16.14.3 ガラス溝の寸法,形状等

(a) ガラス溝の寸法、形状とは、図16.14.2に示す面クリアランス(a)、エッジクリアランス (b) と掛り代 (c) の寸法、形状を指し、「標仕」表16.14.1に必要な値が定められている。

一般に枠見込み 70及び100mmのアルミニウム製建具では、「標仕」表16.14.1の値を標準としている。これらの値は、「標仕」16.2.2(b)の外部に面するアルミニウム製建具の種別A、B及びC種に合致し、また、耐震性は、16.1.7(a)(6)よりRC造又はSRC造を想定したもの(層間変形角が1/300程度)である。したがって、層間変位が大きい場合は、「標仕」表16.14.1は、そのまま適用することができない場合がある。また、ガラスに種々の機能が追加されている場合は別途検討が必要である。

これらの寸法の意味は、次のとおりであるが、要求性能によって必要寸法が変わり、サッシ枠の見込み寸法に影響するため、指定は特記による。

なお、引違い戸、片引戸や上げ下げ戸等の障子では、枠見込み70mmのサッシにおいて、面クリアランスを5mm以上確保することが難しいので、「標仕」表16.14.1の(注)にあるように排水機構を設けて面クリアランスを3.5mm程度とする場合もある。


図16.14.2 ガラス溝の寸法

(1) 面クリアランス(a)

建具の気密性、水密性を確保するため、ガラス留め材の機能が十分に発揮できる寸法である。したがって、ガラス留め材の種類によって、当然変わる値である。例えば、ガラス留め材がシーリング材の場合は、シーリング材の確実な充填ができる値が、最小値となる。また、グレイジングガスケットの場合は、ガスケットの形状に合った値が必要になる。

(2) エッジクリアランス (b)

建具の耐震性(層間変位追従性)を確保し、かつ、ガラスのはめ込みが無理なく行える寸法である。また、建具の下辺では、セッティングブロックの厚さを確保する寸法も必要となる。

耐震性により定まる値は、建具が受ける変形量により決まり、その変形量は建具の開閉形態によって異なる(16.1.7(a)(6)参照)。

ガラスのはめ込みにより定まる値は、建具のガラスはめ込み形式によって異なる。

エッジクリアランスの値は、四方押縁形式では、耐震性により定まる値で決まる。また、やり返しでガラスをはめ込む形式では、ガラスのはめ込みにより定まる値(やり返しができる寸法)で決まる。

(3) 掛り代(c)

建具の気密性、水密性を確保するため、ガラス留め材の機能が十分に発揮できかつ、ガラスの耐風圧性を確保する寸法である。また、ガラスの小口が屈折により室内から光って見えないことを条件とすることも検討しなければならない。

建具の気密性、水密性は、面クリアランスと同様ガラス留め材の種類によって、変わる値である。シーリング材の場合には、バックアップ材の寸法、形状も影響する。

ガラスの耐風圧性は、強風時にガラスがたわんで、枠から外れないために必要となる寸法で、当然風圧力の大きさとガラス厚さによって変わる値である。

ガラスの小口が見えるかどうかは、掛り代にガラス留め材のガラス溝よりの突出寸法を加えた値によるため、当然ガラス留め材の種類によって変わり、一般にグレイジングガスケットの場合が、シーリング材の場合より突出寸法が大きい。

(b) 水抜き孔
外部に面する建具とは、雨掛りの部位を想定している。

複層ガラス、合わせガラス及び網(線)入板ガラスの小口部分は、次の理由により、長期に水と接触することを避けなければならない。

(i) 複層ガラスでは、2枚のガラスの間に使用されている封着材の接着性能が水分の影響を受け、低下するおそれがある。

(ii) 合わせガラスでは、2枚のガラスの間に使用されている特殊樹脂フィルムが水分の影響を受け、白濁したり、はく離したりするおそれがある。

(iii) 網(線)入板ガラスでは、ガラスの小口に突出する線材が水分の影響で発錆するおそれがある。

したがって、この条件に適合する建具では、万ーガラス回りのガラス留め材に不具合が生じ、建具のガラス溝内に雨水が浸入した場合、速やかに雨水を排出するため、建具の下枠に水抜き孔を設けることとしている。

水抜き孔の直径を6mm以上とするのは、雨水が流れ出る最小値である。また、水抜き孔から雨水が浸入しないようにすることが重要である。

水抜き孔を2箇所とするのは、建具の下枠が完全な水平とは限らないことを想定したものであり、また、セッティングブロックや枠内の突起物が雨水の排出をせき止めることが想定される場合は、セッティングブロック又は突起物の中間に 1箇所追加する。

16.14.4 工 法

(a) 板ガラスの切断、小口処理

(1) 板ガラスの切断は、ガラス切りと呼ばれる工具によってガラス表面に傷をつけ、その傷に沿って折り割る作業である。クリアカット〈クリーンカット〉とは、折り割った状態のきれいな切断面(小口)をいい、JISに記述される許容限度を超える切口欠点がない状態を指す。しかし、10mmを超える厚板ガラスで、幅の広さが異なる状態で折り割ると.切断面が斜めになることがある。

大きな傾斜は、エッジクリアランスの確保に支際があり、また、切断面の大きな欠け等も熱割れ等の要因となるので、修正しなければならない。修正は、粗ずり( F120~200程度の湿式研磨)で行うのが一般的である。

(2) 板ガラスの端部が建具枠にのみ込まない納まりは、一般的ではないが、例えば、建物の出隈部で隅部に縦枠を設けず、ガラスを直交させ、ガラス間をシーリング材で連続させる場合や1階エントランスに設けるガラススクリーン工法〈ガラス方立工法、リブガラス工法〉の場合が該当する。

いずれの場合も、ガラス切断面が、シーリング材の接着面であったり、人の手に触れる部分となる。したがって、施工性や安全性から、小口加工が必要になる。仕上げの程度は、特記が必要である。シーリング材の接着面となる部分の仕上げの程度は、粗ずり( F120 ~ 200程度の湿式研磨)又はつや消し(同#300程度)が、また、人の手に触れる部分の仕上げ程度は、磨き( 同#500程度)が一般的である。

なお、後者の場合で、小口の形状を平面とするかかまぽこ状(丸み角)とする かは設計担当者と打ち合わせて決める。

なお、これらの例は、本来「標仕」の適用範囲外であり、いずれか一方のガラスは、片側縦辺のエッジクリアランスがない状態となる。また、面外力に対するガラスの支持状態も四辺単純支持ではない。更に、ガラス突付け部の気密性、水密性もシーリング材のみに期待する納まりである。したがって、十分な検討や実験を伴わないと、建具に要求される各種性能が確認できないので注意する。

(3) 網(線)入板ガラスでは、その小口が長期に水と接触すると発錆するおそれがある。16.14.3(b)のように水抜き孔を設けても、長期を想定すると湿気による発錆も考えられる。したがって、使用する場所に応じて防錆用テープ又はガラス用防錆塗料を施すなどの適切な防錆処理をする。

(b) ガラスのはめ込み
(1) シーリング材を使用する場合(16.14.3及び「標仕」9章7節参照)

シーリング材の硬化には、ガス(2成分シリコーン系では、R2NOH)の発生を伴い、また、高温高湿下では硬化不良を引き起こすおそれがある。したがって、シーリング材充填部が密閉となるような養生を行ってはならない。

① ガラスの両側とも、シーリング材を使用する場合

セッティングブロックをガラス溝内の所定の位置に配置したのち、面クリアランス、エッジクリアランス及び掛り代が適切になるように、面内・面外・両方向ともガラスを建具の中央に置く。次いで、シーリング材の充填深さが適切になるようにバックアップ材を挿入したのち、シーリング材を充填する。

② ガラスの内外溝のうち、一方のみをシーリング材を使用し、他方の溝はグレージングビードとする場合

先付けグレイジングビードとセッティングブロックをガラス溝内の所定の位置に配置したのち、エッジクリアランス及び掛り代が適切になるようにガラスを建具の中央に置く。次いで、反対側溝部について、シーリング材の充填深さが適切になるようにバックアップ材を挿入したのち、シーリング材を充填する。

(2) グレイジングガスケットを使用する場合

(i) グレイジングチャンネルの場合
かまちが分割できる可動部分(障子)に限られる。
グレイジングチャンネルをガラスに巻き付ける際、継目が上辺中央で、隙間が生じないようにする。

グレイジングチャンネルを巻き付けたガラスを分割したかまちにはめ込み、最後にかまちを組み直して完了となる。セッティングブロックは使用しない。

(ii) グレイジングビードの場合

セッティングブロックをガラス溝内の所定の位置に配置したのち、面クリアランス、エッジクリアランス及び掛り代が適切になるように、面内・面外両方向ともガラスを建具の中央に置く。次いで、グレイジングビードを両面から、ガラスと枠との間に押し込み完了となる。継目は上辺中央で隙間が生じないようにする。

(iii) グレイジングビード(先・後付け)の場合

先付けグレイジングビードとセッティングブロックをガラス溝内の所定の位置に配置したのち、エッジクリアランス及び掛り代が適切になるようにガラスを建具の中央に置く。次いで、あと付けグレイジングビードをガラスと枠との間に押し込み完了となる。継目は上辺中央で隙間が生じないようにする。

(c) 養生及び清掃
(1) ガラスのはめ込み後は、ガラスに気付かずに人が衝突したり、物を当てることのないように「ガラスに注意」等のラベルを張る。また、傷防止等必要に応じてガラス全体を養生する。

なお、日射熱吸収の大きいガラスでは、養生材の張付けによって、ガラスが熱割れしないことを確認することが必要である。

(2) ガラスの清掃は、建物完成期日直前に行う。清掃は、一般に水で表面をふき取るが、工事中にガラス面に固着した異物を除去するために薬品類を使用する場合は、周囲部材に影響のないことを確認する。熱線反射ガラスの清掃は、反射膜面を低つけないように注意し、中性洗剤以外の薬品等は使用しない。

また、清掃に当たっては、カッター、金属へら(スクレーパー)等の金属類を用いない。

16.14.5 ガラスブロック積み

(a) 壁部分に、壁用金属枠を用いて現場にて1個ずつ積む工法を対象とし、工場生産されるガラスブロックパネルは対象としていない。

(b) 材 料

(1) ガラスブロック
JIS A 5212(ガラスブロック(中空))には、表16.14.3に示す製品がある。

なお、ガラスブロック(中空)の海外製品は、JISと寸法許容差等が異なるため、(-社)公共建築協会では「建築材料・設備機材等品質性能評価事業」において、品質性能基準を定め評価しているので参考にするとよい。

表16.14.3 ガラスブロックの寸法等

(2) 壁用金属枠

壁用金属枠はSUS304又はアルミニウム合金等腐食しにくい材質とし、下枠の外部側に水抜き孔(径6mm以上、間隔 1.0~1.5m)を設けたものとする。図16.14.3にアルミニウム合金製の形状例を示す。


図16.14.3 アルミニウム合金製壁用金属枠の例

(3) 力 骨

一般には、図16.14.4に示すはしご状複筋又は単筋を使用する。50mm幅のタイプは縦筋として、35mm幅のタイプは横筋として使用する。材質はSUS304で径 5.5mmである。

なお、伸縮目地の横筋等には、同質、同径の丸鋼も使用する。


図16.14.4 力骨の例

(4) 緩衝材

開口部周囲(下枠を除く。)と中間縦目地(伸縮目地)に使用する弾力性、復元性、耐久性のある材料で、一般には合成ゴム発泡体で幅75mm、厚さは5及び10mmの2種類がある。通常はガラスブロック製造所の指定するものを使用する。

(5) 滑り材

壁用金属枠の面内方向部分に張付け、充填モルタルと同枠間を滑らす目的の材科である。一般には厚さ1.2mm程度の塩化ビニル又はブチルゴム製の粘着層付きのテープで幅は25及び50mmの2種類がある。

(6) アンカーピース

カ骨を所定の位置とするため壁用金属枠に組み込む部品で、一般的には SUS304である。鋼製サッシや鋼製枠を使用する場合には、電食防止のために絶縁する必要がある。通常はガラスブロック製造所の指定するものを使用する。

(7) 水抜きプレート

壁用金属枠の下枠溝内に組み込み、ガラスブロック壁内に浸入した雨水を排水孔に導く機能をもつもので、一般的には塩化ビニル製である。通常はガラスブロック製造所の指定するものを使用する。図16.14.5に形状例を示す。


図16.14.5 水抜きプレートの形状例

(c) 工 法

(1) 耐風圧性

ガラスブロック壁面の耐風圧性能が建築基準法(平成12年建設省告示第1458号)に適合した工法は特記される。

(2) 工法詳細

(i) 目地幅の標準寸法は、10mmである。8mm以下にすると.内蔵される力骨(φ5.5 mm)との接触や、モルタルの充填性が悪くなり望ましくない。逆に、15mmを超える幅では、目地モルタルの仕上げが悪くなり、また、目地モルタルのひび割れも発生しやすくなるので、標準寸法に設定するのがよい。

曲面に積む場合は、最小半径をガラスブロックの幅寸法の10倍以上にしないと、上記の目地幅範囲を確保できない。なお、目地幅は、原則として外側 15mm以下、内側6mm以上を確保する。

(ii) ガラスブロック壁面が大きくなると、開口周辺の緩衝材や滑り材だけでは、ガラスブロックの熱変形や地震時の躯体の変形に追従できなくなる。したがって、開口部の幅が 6mを超える場合には、6m以内ごとに 10~ 25mm幅の縦方向の伸縮目地を設ける必要がある。図16.14.6に伸縮目地の納まりを例示する。


図16.14.6 伸縮目地の納まりの例

(iii) 風圧を受けた場合の壁用金属枠の変形を押さえるため450mm以下の間隔で、壁用金属枠を躯体に固着し、モルタルを密実に充填する。

(iv) 力骨の設置間隔は、要求されるガラスブロック壁面への風圧力に対応した間隔であることが必要である。実験結果による力骨の設置間隔は、図16.14.7のようになっている。最大間隔(標準目地幅10mmの場合)は、縦横とも620mmである。


図16.14.7 風圧力の大きさと力骨の設置間隔(実験結果)

 

(v) ガラスブロック壁面の標準施工例を図16.14.8に示す。


図16.14.8 ガラスブロック壁面の標準施工例

参考文献

 

17章 カーテンウォール工事 1節 共通事項

17章 カーテンウォール工事

1節 共通事項

17.1.1 一般事項
(1) 「標仕」のカーテンウォールは、事務庁舎等の一般的なカーテンウォール(以下、この草では「CW」という。)を対象としており、「メタルカーテンウォール」と「プレキャストコンクリートカーテンウォール」として、CWの構成材料による分類を採用している。これは、CWの専門工事業者の仕事の区分とも一致している。

その他のCWの分類方法としては、次のようなものもある。

(ア) 躯体への取付け形態による分類
(イ) 層間変位に対する追従機構(ファスナ一方式)による分類

(ウ) 躯体とCWとの位置関係による分類

取付け形態による分類は、図17.1.1のように4タイプになる。


図17.1.1 取付け形態によるCWの分類

材料と取付け形態による分類を組み合わせると表17.1.1のようになる。

表17.1.1 材料による分類と取付け形態による分類との組合せ

(2) CW工事に関する用語を、次に示す。

(ア) カーテンウォール(CW)

工場生産された部材で構成される非耐力外壁のうち、地震や強風による建物の変形に対して、破損することなく追従できる壁。
なお、建築基準法では、「屋外に面する帳壁」としている。
建具工事とCW工事の違いは、建具工事が開口部の工事であるのに対し、CW工事は、開口部を含む外壁の工事となっている。

CWの設計は、デザインだけでなく、各種性能を満足するようバランスのとれたものが求められる。

(イ) 材料別での用語

(a) メタルカーテンウォール(以下、この章では「メタルCW」という。)主要構成部材に金属系材料を用いたCWである。

アルミニウム合金押出形材による方立方式が一般的である。このほか、アルミニウム合金押出形材や鋼材等の枠組みに表面材を工場で一体に取り付けた組立ユニット、アルミニウム合金押出形材を工場で一体に組み立てたユニットサッシ、アルミニウム合金を鋳造した部材等がある。

特徴は、軽量でシャープなデザインが実現できることである。仕上げは金属、ガラスが多いが、石を乾式ファスナー等を用いて組み込んだ事例もある。
メタルCWには、CWの製造所があらかじめ大きさと性能を特定の範囲で定めたスタンダードタイプと、新規に設計・製作するオーダーメードタイプがある。

後者が、当然割高となるため、前者を多少変更して使うイージーオーダータイプもある。

(b) プレキャストコンクリートカーテンウォール(以下、この章では「PCCW」という。)

主要構成部材にコンクリート系の部材(Precast Concrete Panel、以下、この章では「PC版」という。)を用いたCWである。

特徴としては、形状の自由度が高いことと石やタイル等の仕上げ材を先付け〈打込み〉できることである。

PCCWは、ほとんどが新規に設計・製作するオーダーメードタイプである。

なお、PC版をPCa版と呼ぶこともある。その理由は、「PC」が(Precast Concrete)の略号であると同時に「プレストレストコンクリート(Prestressed Concrete :ストランドを緊張して圧縮応力を加えたコンクリート)」の略号でもあるので、混同を避けるためである。プレストレストコンクリートのプレキャストコンクリート部材をPC-PCa部材と略号で示すこともある。しかし、本指針では「標仕」と整合させ「PC」とした。

(ウ) 取付け形態別での用語

(a) 層間方式

層間に渡る大型部材を、上下階の梁又はスラブ間(層間)に架け渡す方式。

(b) スパンドレル方式

腰壁部分と下がり壁部分を一体化した部材(主に梁を覆う部材)を、同一階の梁又はスラブに取り付ける方式。中間の開口部が横連窓となることが多い。

(c) 柱・梁方式
(b)と同様な梁を覆う部材と柱を覆う部材を組み合わせる方式。
梁を覆う部材は(b)と、柱を覆う部材は(a)と同様に取り付ける。

外観は、柱を覆う部材が連続する柱通し形と、梁を覆う部材が連続する梁通し形がある。

(d) 方立方式〈マリオン方式〉
細長い方立を上下階の梁又はスラブ間(層間)に架け渡す方式。

方立間に無目(横架材)を渡し、方立と無目に囲まれた部分に、ガラスや金属板等をはめ込む方式〈ノックダウン方式〉が一般的であるが、方立間に組立ユニットを取り付ける方式もある。

(エ) 取付け用金物

CW部材の取付けに使用する金物で、躯体付け金物、部材付け金物、連結用金物等の総称。CW部材の取付けの際に、躯体や製品の寸法誤差を吸収するためのルーズホールと、CW部材が層間変位等に追従するためのスライドホールが組み込まれる。また、CW部材の取付けの際に、上下方向を調整するためのボルト等の機構が組み込まれる。

(オ) 層間変位

地震や強風によって各階に生じる水平方向の変位において、当該階と上階若しくは下階との相対変位。層間変位の単位は、図17.1.2のように、分子を1とする分数表示によるラジアン角(層間変形角)で示すのが一般的である。層間変位量とは、層間変形角に層間高さを乗じた値となる。このほか、各階の階高が変化する鉛直相対変位もある。

なお、相対変位とは、ある部材を基準として測定した他の部材の変位である。


図17.1.2 層間変位のラジアン角による表示

(3) CWの仕事の流れは、一般的に次のようになる。

デザイン決定
   ↓
 性能設定
   ↓
 詳細設計
   ↓
 製  作
   ↓
 施  工
   ↓

 完成検査

デザインと性能設定の決定は、基本的に設計担当者が行うが、各部の納まりまで全て設計図書に記載するのは難しく、詳細設計において変更が起こり得る。

なお、詳細設計とは、設計図を基に、CW部材の製作上の要因、CWに隣接する部位との施工上の要因等を考慮し、かつ、要求性能を満たすように実施される設計行為である。

性能設定は、建物のグレードを考慮しながら、設定値が特記される。当然、高いグレードとすればコストアップするだけでなく、性能の実現のためにデザインの変更が必要になる。デザイン及びコストとのバランスも必要である。

詳細設計では、製作上及び施工上の種々の要因も考慮しなければならず、施工者及びCWの製造所との構報交換が必要になる。

(4) CW工事の工程管理

詳細設計は、多大な時間を要するため、検討を早めに開始する必要がある。詳細設計の開始が遅れたり、時間を費やし過ぎると、その後の施工図の作成工程やCW部材の製作工程が圧縮され、施工図の修正や検討ミス、コスト増を引き起こす。また、最悪の場合には、CW部材の製作が取付け工程に間に合わないことも起こり得る。したがって、詳細設計の承諾は、全体工程と十分に調整することが重要であり、取付け時期から製作工程等を逆算して期日を設定する必要がある。

詳細設計に多大な時間がかかる要因としては、次のようなことが挙げられる。

(a) CWの設計においては、デザインと要求性能がともすれば整合しないことがある。このような対立は、総合的な判断で解決する必要がある。

表17.1.2は、メタルCWの方立方式での、部材と性能の代表的な関連を例示したものである。例えば、方立や無目の見付け幅及び見込み幅は、デザイン上はできるだけ小さくしたいという要求がある一方、主に耐震性、耐風圧性からは、ある程度の幅が必要であるという不整合が起きる。また、PCCWでも、 PC版間及びPC版と他部材の取合いの目地幅は、デザインと耐震性(パネル長さが長い場合は耐温度性も考慮する)で調整が必要である。

表17.1.2 CW部材と性能の関連項目
(b) CW部材の割付けの遅れ

外壁のデザイン決定、特に、CW部材の割付けが遅れると、躯体付け金物が、躯体鉄骨の製作工程に反映できないばかりでなく、コンクリートに埋め込まれる場合には、コンクリートの打ち分けが必要となるなど、全体工程にも影響を与えるおそれがある。

(c) 色調決定の遅れ

例えば、アルミニウム合金押出形材では、表面処理から着色工程まで連続工程となっているため、表面処理が着手できず、押出工程まで影響することもある。また、石やタイル打込みPC版では、石やタイルのでき上りが遅れると、 PC版が製作できない。

(d) CWの実大性能試験を行う場合は、試験体の製作、試験期間及び試験結果のフィードバックに数カ月を要するため、詳細設計の検討開始をより一層早めなくてはならない。

(5) CWの製造所の仕様

CWを設計、製作、施工するに当たっては、決定すべき事項が非常に多く、また、それらが製造所の製造方式等によって異なるため、一律に決めることができない。

また、設計担当者、監督職員、施工者が、全ての詳細を判断するのは難しい。このため「標仕」17.1.1 (2)では、設計図書に定める事項以外の仕様は、監督職員の承諾を受けて、各CWの製造所の仕様とすることができるとされている。JIS等の規定のない材料を使用する場合などは品質確認の観点から、材料に関する情報、性能証明、施工方法、保証及び管理体制の確認が必要となる。監督職員は、CWの製造所から提出される材料証明、製作要領書、試験結果等の資料を確認し、承諾を行う。

さらに、新しい技術を導入する場合には、「標仕」では規定しきれないことが予想される。この場合も製造所の仕様を参考にするとよい。

17.1.2 基本要求品質

(1) 「標仕」には、CWの種類に応じた材料が規定されている。メタルCWの主要材料は、素材のJISが指定されており、一般的に、JISに適合することの証明を CWの製造所から提出させる。PCCWの主要材料のうち、コンクリート材料は、 PCCWの製造所の標準調合でよいが、強度を日常的な品質管理賓料から確認する。鉄筋類は、JISが指定されており、一般的に、JISに適合することの証明をPCCWの製造所から提出させる。

材料のJISについては、2節以降の材料の項を参照されたい。

また、補助材料の中で具体的な品質を規定していないものがある。それらは、 CWの製造所が一般に使用しているものとしてよいが、材質等が確認できる資料又は実績を確認する。

(2) 「標仕」には、CWの寸法許容差を規定している。

CWは、多数の部材を取り付けるため、部材の精度は当然であるが、さらに、取付け精度が適切でないと、その性能を満足しない。「所定の形状及び寸法を有する」とは、取り付けた後の、CWとしてどの程度の精度を確保するかについて、あらかじめ「品質計画」において提案させ、これによってプロセスの管理を行うことと考えればよい。

CWの見え掛り部の「所要の仕上り状態」としては、取付け後の傷、汚れ、反り、へこみ、著しい色むら等の許容限度、これらの限度を超えた場合の処置方法も含めて「品質計画」で提案させるようにする。

(3) CWは、17.1.3に示す各種の性能が要求され、必要な性能値が設計図書に特記される。性能値には、次の項目がある。

(ア) 耐力性:風圧力、地震の作用による慣性力に耐える性能
(イ) 変位追従性:地震、風による建物の層間変位追従性
        地震、荷重による建物の鉛直相対変位追従性          (参考)
        外気温と日射熱によるCW部材の熱伸縮追従性
(ウ) 遮断性:水密性、気密性、遮音性、
断熱性、防耐火性、日射遮へい性
(エ) その他性能:避雷対策、発音・金属摩擦音等の防止、
風切り音対策、
        結総防止対策、積雪・落雷対策等

風圧力の大きさ、耐火性能のレベル及び高さ31mを超える建物の層間変形角は、法令に定められた基準がある。高さ31m以下の層間変形角及びその他の性能は、建物のグレード等に応じて設計担当者により特記される。設計担当者が性能を決めるときの参考として、(-社)建築開口部協会「カーテンウォール性能基準」や (-社)日本建築学会「JASS 14 カーテンウォール工事」がある。

17.1.3 に示す性能は、取り付けられた状態のCWに要求する性能であるが、性能の確認は事実上不可能である。このため、CW工事での「所定の性能を有する」とは、性能が確保できるCW部材の取付け方法等について「品質計画」で明らかにし、定められた方法が手順どおり行われたことを、どのように確認し、記録していくかを提案させ、実施させることと考えてよい。

なお、性能確認のためにCWの実大性能試験を行う場合は、検討期間が長期に渡ること及び多領の経費を要するので、試験の実施の有無と試験内容等については、特記されなければならない。

試験内容についての参考としては、「カーテンウォール性能基準」がある。また、 CWの製造所のカタログに掲載されている標準品で性能が表示されているものについては、その性能が確認されている。

17.1.3 性 能

(1) 一般事項

「標仕」17.1.3(3)では、CWの性能の確認方法等は特記によるとしている。しかし、製品としての性能を確認することは容易でないため、特記がなければ、一般的な建物の場合には、性能の確認及び判定方法が確認できる適切な資料を施工者に提供させ、これにより監督職員が承諾する。

なお、適切な費料としては、次のようなものがある。

(a) 信頼できる基準・指針等に基づく計算書等又は工法仕様
(b) 類似の製品の過去の試験成績書等
(c) 類似の製品を使用した完成建物等による試験成績書等

(d) 使用する部材(サッシ等)の試験成績書等(ただし、この場合は、部分的な試験によって、CWとしての性能を判定することの妥当性についての検討が必要である。)

(2) 耐力性
(ア) 耐風圧性
(a) 一般事項
CW部材に作用する外力のうち、風圧力は面外方向のみに作用する
(b) 性能値

当該部分の風圧力(Pa N/m2)又は平成12年建設省告示第1454号に基づく基準風速及び地表面粗度区分が特記され、後者の場合は、平成12年建設省告示第1458号に定める算定式に基づき算定する。平成12年建設省告示第 1454号に規定されている地表面粗度区分については、令和2年12月に一部改正され、従前設けられていた都市計画区域内・外の区分が削除されている点に留意されたい(改正内容の施行は令和4年1月)。

なお、設計者は、特記で基準風速の割増しを行うこともある。

また、高さ60mを超える建物については、指定性能評価機関の性能評価を受けることになっている。このような建物では、(-社)日本建築学会「建築物荷重指針 同解説」6章[風荷重]を用いる場合もある。

平成12年建設省告示第1458号では、「高さ13m以下の建築物」、「高さ13mを超える建築物の高さ13m以下の部分で、高さ13mを超える部分の構造耐力上の影響を受けない部分及び1階の部分又はこれに類する屋外からの出入口(専ら避難に供するものを除く。)を有する階の部分」の屋外に面する帳壁は適用除外とされている。高さ13m以下のCW部材に作用する風圧力については、「建築物荷重指針・同解説」に定める計算式によるほか、(-社)日本サッシ協会又は板硝子協会の提案する計算方法(16.2.2 (1)及び16.14.2(2)参照)によって算定することができる。また、同告示に規定する計算式を、高さ13m以下にそのまま適用することも技術的には可能であり、「カーテンウォール性能基準」や「JASS 14 カーテンウォール工事」では、この高さの範囲でも同様に適用されている。

(c) 要求性能

性能値に加え、CW部材の自重による長期荷重を考慮し、次のような設定を行う。

① CW部材は、面外方向に移動しないこと。
② CW部材、支持金物等は、破損、脱落しないこと。

③ ガラスを除くCW部材の変形は、原則として、支点澗距離の1/150以下、絶対値20mm以下で、かつ、有害な変形及び残留変形がないこと。ただし、4.0mを超える材のたわみについては、たわみ量を20mmに限定せず支点間距離の 1/200程度を特記することが多い。アトリウム等で、支点間距離が長大になるものについては、別途検討が必要である。CW部材の変形を問題とするのは、CW部材に組み込まれるガラスの破損防止のためであり、ガラスの支持辺となる部材が、風圧によって面外に過度に変形することで、ガラスの発生応力が想定値より大きくなるのを防止するためである。したがって、変形量を必要以上に小さく設定することは、あまり意味をもたない。一般的に、メタルCWで問題となり、PCCWでは特殊なケースを除き問題にはならない。

(d) 性能の確認

CW実大性能試験又はJIS A 1515(建具の耐風圧性試験方法)による試験を行う場合を除き、CW部材の自重による長期荷重に風圧力を加え、主要部材の発生応力度及び変形量を構造計算によって求め、要求性能を確認する。性能確認の詳細については、(-社)日本建築学会「実務者のための建築物外装材耐風設計マニュアル」に掲げる構造計算書の内容も参考になる。

(イ) 耐震性(慣性力)
(a) 一般事項

CW部材に作用する外力のうち、地震の作用による慣性力には、面外、面内、鉛直の3方向がある。

(b) 性能値
建物の剛性等によって決まる値であり、部材の自重に乗じる震度が特記されるのが一般的である。

特記がない場合は、一般的に次の値を用いることが多い。

① 水平方向(面内力、面外力)に対する震度:1.0

② 鉛直方向(鉛直力)に対する震度 :0.5

(c) 要求性能

慣性力に対する要求性能について、「カーテンウォール性能基準」と「JASS14 カーテンウォール工事」ではいずれも、水平方向及び鉛直方向の慣性力に対し、各部材はほとんど補修の必要なしに継続使用に耐えうるものとし、初期性能を損なわない損傷限界に留まるものとしている。

性能値に加え、CW部材の自重による長期荷重を考慮して、次のような設定を行う。

① CW部材は、面内及び面外方向に移動しないこと。
② CW部材、支持金物等は、破損、脱落しないこと。

③ ガラスを除くCW部材は、有害な変形及び残留変形がないこと。

(d) 性能の確認

CW部材の自重による長期荷重に慣性力を加え、主要部材の発生応力度及び変形量を構造計算によって求め、要求性能を確認する。一般的なCW実大性能試験等では、慣性力に対する性能確認は困難である。

(3) 変位追従性
(ア) 層間変位追従性
(a) 一般事項

建物の変形は、中高層建物では、通常地震による変形が卓越するが、超高層建物では、風圧力による変形が問題になることもある。

(b) 性能値と要求性能

性能値は、建物剛性によって決まるため、次の2段階の要求性能に対する変形角(1/X)が特記されるのが一般的である。

① CW部材は、ほとんど補修の必要なしに継続使用できる。

② CW部材は、破損・脱落しない。特に、ガラス等が破損・脱落しないことが不可欠である。

中層建物での一般的な層間変位の値は、16.1.7(1)(カ) を参照するとよい。

また、高さ31mを超える建物の帳壁は、昭和46年建設省告示第109号(最終改正令和2年12月7日)により、1/150の層間変位に対して脱落しないことと規定されているので、条件に当てはまる場合はこれに従う。

ただし、中層建物でも、純鉄骨造で剛性の比較的小さい建物や、偏心している建物で、面により層間変形角が異なる場合等、建物構造の地震時の変形に対応して、鉄骨造に対しては1/150 〜 1/120、剛性の高いものに関しては1/200程度を目標とすることが多い。

なお、一般的な性能値の参考としては、「カーテンウォール性能基準」や「JASS 14 カーテンウォール工事」がある。

(c) 取付方式による層間変位追従性

一般的に、CW部材の取付けは、次のようにすることが多い(図17.1.1参照)。

① 層間方式で、面内剛性の高いCW部材(PC版等)では、一般に回転方式〈ロッキング方式〉、水平移動方式〈スウェイ方式又はスライド方式〉及び半水平移動・半回転方式〈ハーフロッキング方式〉のいずれかの方式で構造躯体へ取り付け、層間変位に追従させる。

方式の選択は、CW部材の形状(縦長部材か横長部材か等)、割付け(開口部の割付け等)、層間変位の性能値等によって決まるため、一概には選択できないが、できるだけ回転方式とすることが望ましい。

② 層間方式で、面内剛性の低いサッシ(ユニットサッシを含む。)では、サッシ枠を平行四辺形に変形させて層間変位に追従させる。

③ スパンドレル方式では、腰部分のCW部材は、梁・スラブと一緒に挙動するため、層間変位とは直接かかわらないが、腰部分のCW部材間に取り付けられるサッシ等(開口部のCW部材(横連窓))には、層間変位が集中することに注意が必要である。

④ 方立方式は、一端一点支点と考え、実質的に回転方式と類似した取付けとなる。

(d) 性能の確認

CW実大性能試験を行う場合を除き、層間変位が生じた状態でのCW主要部材の動きを計算によって求め、要求性能を確認する。

(c)①の場合では、CW部材に過度の応力が生じず、目地に充填されるシーリング材が設計伸縮率・せん断変形率範囲内にあることを計算により求め、確認する。これらの計算方法は、(-社)日本建築学会「外壁接合部の水密設計および施工に関する技術指針・同解説」を参考にするとよい。

(c)②の場合では、サッシのガラス溝底とガラスの小口が接触して、ガラスが破損しないことなどを計算により求め、確認する(16.1.7 (1)(キ) 参照)。

また、CW主要部材の動きにより、部材どうしがぶつかったり、目地に充填されるシーリング材が過度に圧縮されることがないことを確認する。

(イ) 鉛直相対変位追従性(参考)
(a) 一般事項

従来、わが国ではあまり設定していない条件であり、一般的な性能値がないのが現状である。長スパン梁や片持梁にCW部材が取り付く場合では、地震時の梁のたわみや梁の長期クリープによって、局部的に層間距離(鉛直距離)が変化(鉛直相対変位)することも想定される。

米国では、積載荷重による梁のたわみや、柱の温度変化による鉛直相対変位に対する追従性が要求されているようである。参考としてその内容を(b)から(d)に示す。

(b) 性能値

性能値は、梁の剛性等によって決まるため、変形最(mm)が指定されるのが一般的である。

(c) 要求性能

CW部材がほとんど補修なしに継続使用できること。

(d) 性能の確認

一般的に、鉛直相対変位が生じた状態でのCW主要部材の動きを計算によって求め、(3)(ア) と同様の事項を確認する。

(ウ) 熱伸縮追従性
(a) 一般事項

CW部材は、外気温や日射熱の影響によって伸縮する。特に、熱伸縮量の大きいメタルCW部材が顕著である。CW部材の取付け部は、熱伸縮に対しスライドできるようにし、熱伸縮品をCW部材問の目地で吸収するのが一般的である。

目地にシーリング材を充填する場合は、熱伸縮によってシーリング材が、圧縮・引張・せん断変形するので、シーリング材の設計伸縮率・せん断変形率を考慮した目地幅が必要となる。

(b) 性能値

性能値は、「外壁接合部の水密設計および施工に関する技術指針・同解説」による、温度ムープメントの符定式より求めた熱伸縮量が特記されるのが一般的である。9章7節を参考にするとよい。

(c) 要求性能
性能値に対して、次のような設定を行う。
① CW部材及びその取付け部に損傷が発生しないこと。

② CW部材間の目地に充填される水密性確保のためのシーリング材に、損傷が発生しないこと。

(d) 性能の確認

一般的に、CW主要部材の動きを計算によって求め、要求性能を確認する。シーリング材の設計伸縮率.せん断変形率に関しては、9章7節を参考にするとよい。

(4) 遮断性
(ア) 水密性
(a) 一般事項
水密性は、「外壁接合部の水密設計および施工に関する技術指針・同解説」に定義されているように、圧力差、重力、毛細管現象、気流等によって生じる室内側へ雨水の浸入を防止する性能であり、目地をシーリング材又はガスケットで塞ぐフィルドジョイント構法や、屋外側を開放又は半開放とし、室内側のウインドバリアに気密性の機能をもたせ、等圧原理により水密性と気密性を確保するオープンジョイント構法がある。

フィルドジョイント構法については、確実なシール施工ができる納まりとすること、(2) 耐力性及び(3) 変位追従性の変形によって、シーリング材に損傷が生じないような目地幅とすること、また、シーリング材に損傷が生じても、実害のある漏水とならないようにする工夫(例えば、二重シーリング工法や排水機構の採用)が重要である。

(b) 性能値
水密性は、耐風圧性と異なり、それが損なわれたとしても直ちに人的被的をきたすものではなく、また、建物条件によっても異なるため、性能値は、室内外の圧力差(Pa又はN/m2、JIS A 4706(サッシ)では等級)が特記されるのが一般的である。
なお、CWではFIX部と可動部に分けて設定し、可動部の設定にはJIS A 4706を参考にする。
本来ならば、性能値は、建物建設地で、降雨時にどの程度の風が吹くかを過去の気象観測結果より推定して定めるほうがよい。建設地における過去の気象観測データに基づいた降雨を伴う風速から算定する方法は、「外壁接合部の水密設計および施工に関する技術指針・同解説」を参照されたい。
一般的な性能値の参考としては、JIS A 4706や表17.1.3に示す「カーテン ウォール性能基準」がある。スタンダードで用意されている製品の水密性能は、グレード3までである。

表17.1.3 水密性能(カーテンウォール性能基準)

(c) 要求性能

性能圧力差(上限圧力差又は平均圧力差)においてCWから漏水しないこと。

(d) 性能の確認

CW実大性能試験や、JIS A 1517(建具の水密性試験方法)に類する試験(海外で実施されているプロペラで風を当てる試験も含める。)以外では、性能の確認は困難である。したがって、過去に実施された類似の断面を有するCW又はサッシの実大性能試験の結果を参考にして確認する。

(イ) 気密性
(a) 一般事項
気密性は、暖冷房負荷、建物全体のスタックアクション(煙突効果)、遮音性に影響する性能である。

不定形材料(主にシーリング材)が充填されている目地は、不定形材料が確実に接着していれば、通気しない。したがって、ここでいう「気密性」とは、定形材料で気密性を確保している部位(主に可動サッシや等圧工法等)に限定される。

(b) 性能値

気密性は、水密性と同様に、建物条件によっても異なるため、性能値は、圧力差10Paに対する単位壁面積、単位時間当たりの通気量(m3/m2h、JIS A 4706では等級)が、特記されるのが一般的である。

なお、一般的な性能値の参考としては、JIS A 4706や表17.1.4に示す「カーテンウォール性能基準」がある。一般的に、中高層建物では2グレード(JIS等級A-4)、超高層建物では3グレード(0.5等級)が目安である(図17.1.3参照)。

表17.1.4 可動サッシ部の気密性能(カーテンウォール性能基準)


図17.1.3 気密等級線

(c) 要求性能
性能値を上回る通気量がないこと。

(d) 性能の確認
CW実大性能試験や、JIS A 1516(建具の気密性試験方法)に類する試験以外では、性能の確認は困難である。したがって、過去に実施された類似の断面を有するCW又はサッシの実大性能試験の結果を参考にして確認する。

(ウ) 遮音性
(a) 一般事項
遮音性は、主に外部からの騒音を遮断し、室内の用途に適した音環境が得られるようにするためにある。特に音楽ホール、スタジオ、会議室、ホテル客室等、室内の許容騒音レベルが小さい場合や建物が飛行場の近くや交通量の激しい道路に面する場合等は、特記により、別途外部騒音の調査等が必要となる。

(b) 性能値
建物条件や外部環境によって異なるため、性能値は、JIS A 4706に規定されている遮音等級線が特記されるのが一般的である。

なお、一般的な性能値の参考としては、「カーテンウォール性能基準」がある。また、CWの場合は、外壁全体の総合的な遮音性能としてとらえる必要がある。
全面ガラスのCWを採用した建物では、ガラス部分で外壁の遮音性が決まるため、開口部を含めた総合透過損失が、ガラスの透過損失を下回らないように設定するのが一般的である。

当該JISの概略的な考え方は、特定の周波数(125、500、4,000Hz)ごとに 5dB刻みで設定した透過損失値を結んだ等級線に対し、対象サッシの透過損失値がその等級線を上回るかどうかで、そのサッシの遮音性を規定している。室内許容騒音の値L1 (dB)と、外部騒音の値L2 (dB)が設定されれば、CWに要求される必要透過損失量が求められる。この計算式等の詳細は、「JASS 14」 2節[性能]を参照するとよい。

(c) 要求性能
性能値を下回らないこと。

(d) 性能の確認
CW実物大の試験及び竣工後の実測以外では、性能の確認は困難である。したがって、過去に実施された類似の断面を有するCW若しくはサッシの実物大試験又は類似のほかの建物の実測結果を参考にして確認する。

なお、総合透過損失は、構成部材ごとの透過損失と面積が分かれば、概算値を計算で求めることができる。

(エ) 断熱性
(a) 一般事項
断熱性は、冷暖房負荷に大きく影響し、省資源、省エネルギー、建物のランニングコスト、ひいては、ライフサイクルコストの面からも重要な性能である。

(b) 性能値
断熱性は、水密性と同様に、建物条件によっても異なるため、性能値は、普通、熱貫流率(W/m2・K、JIS A 4706では等級)又は熱韓流抵抗値(m2K/W、熱貫流率の逆数)が特記されるのが一般的である。

なお、一般的な性能値の参考としては、JIS A 4706や「カーテンウォール性能基準」がある。

また、CWの場合は、外壁全体の総合的な断熱性能としてとらえる必要がある。
全面ガラスのCWを採用した建物では、ガラス部分で外璧の断熱性が決まるため、開口部を含めた総合熱貫流率が、ガラスの熱貫流率を上回らないように設定することもある。

なお、結露防止については、断熱性能のほか、室内の温湿度条件、防湿層の有無等が関連するため、設計仕様として図示又は特記される。

ガラス内面の結露水の処理は、一般的にサッシの結露受けに集めるが、その後の処理として、ふき取り式(自然乾燥)とするか、排出式(直接外部へ排出と室内のドレンヘ排出する2方法がある。)とするかを設計担当者に確認しておく必要がある。

(c) 要求性能
性能値を下回らないこと。

(d) 性能の確認
一般的に、CW各部の熱貫流率を計算により求め、要求性能を確認する。
各種CW外壁材の熱抵抗値(熱貫流率の逆数)は、「JASS 14 カーテンウォール工事」解説表2.11.3[各種カーテンウォール外壁材の熱抵抗値]を参照するとよい。

また、建築物のエネルギー消費性能向上に関する法律(平成27年法律第 53号)【建築物省エネ法】に適用できないが、JIS A 2105(カーテンウォールの熱性能ー熱貫流率の計算)が定められている。カーテンウォールのフレームを含む全部材を対象とした評価方法とされているので参考にするとよい。

省エネ性能向上に向け、日射遮へい物が附属した場合の熱貫流率及び日射熱取得率の簡易的計算法のJIS化が進められている。
ガラス内面での結露水は、サッシの結露受けの外にこぼれないことを確認する。また、結露水を外部に直接排出する方法は、排水孔からの風嗚り音、雨水の逆流等に十分な注意が必要である。寒冷地では、つららの発生や凍結にも注意が必要である。

(オ) 防耐火性
(a) 一般事項
CWの耐火性能は、外部火災及び内部火災に対しての延焼防止性が求められ、外壁非耐力壁としての性能及び延焼のおそれのある部分の開口部に対する性能が必要である。性能水準は、耐火性能の要否、用途、規模、立地等により決められる。

また、CW部材を柱及び梁の耐火構造の一部として利用する場合は、柱及び梁の耐火構造として認定されていなければならない。

CW(外壁非耐力壁)及び開口部に関して、建築基準法令に次のような規定があり、要求性能は、特記される。

① 法第2条第九号の二及び第九号の三:耐火建築物又は準耐火建築物の外壁非耐力壁及び開口部

② 法第64条:防火又は準防火地域内の耐火又は準耐火建築物以外の開口部

③ 令第107条及び令第107条の2:外壁非耐力壁としての耐火又は準耐火構造

④ 令第109条及び平成12年建設省告示策1360号の防火戸等とその構造

⑤ 令第112条第10項:防火区画と外壁が取り合う部分の耐火構造の壁又はひさし等

なお、延焼のおそれのある部分のCWの開口部については、従来から防火性能の検証方法及び試験装置の制約から防火設備に準じた仕様で実施されていた。平成20年5月9日付けの国土交通省住宅局建築指導課長通知(国住指発第619号)で「カーテンウォールの構造方法について(技術的助言)」が紹介されているので参考にするとよい。

(b) 性能の確認

法令を満足するよう施工されていること。

なお、CW部材は、工場で製作される部材であり、防火区画との間に隙間が生じる。法令には明確な規定はないが、その隙間を適切な防火材料でふさぐ必要がある(層間ふさぎという。)。

層間ふさぎについては、「JASS 14」解説図2.2.2[火炎防止層]、解説図 2.2.3 [ 層間ふさぎの実例 ]及び解説表 2.2.1[火炎防止層の耐火性能 ]等を参考にするとよい。

令和3年10月「層間ふさぎの試験方法」が(-社)建築性能基準推進協会から示され、本試験方法により性能が確かめられた層間ふさぎを適用することが想定される。代表的な層間ふさぎは同技術的助言で対応されることになるが、本試験による層間ふさぎの運用は特定行政庁等の主事判断に委ねられることになる。
本試験方法は小規模試験体(層間ふさぎ)を対象とし、層間ふさぎの遮熱・遮炎性能を確認することを目的としている。原則として試験において性能を確認できた範囲を適用範囲とする。

本試験方法では通常の床に求められる非損傷性能については対象外とし、層間ふさぎに床としての性能を付与させる場合には載荷加熱試験により非損傷性能についても確認する必要がある。

また、メタルCWの場合での、防火区画と外璧が取り合う部分の耐火構造の壁についても、同解説図及び表が参考になる。

(カ) その他性能
避雷対策、発音・金属摩擦音等の防止、風切り音対策、結露防止対策、積雪・落雷対策等は「JASS 14」等で確認する。

17章 カーテンウォール工事 2節 メタルカーテンウォール

17章 カーテンウォール工事

2節 メタルカーテンウォール

17.2.1 一般事項

(1) この節は、メタルCWのうち、次の形態を対象としている。

(ア) 方立方式

(イ) 組立ユニット(ユニットサッシを含む。)による層間方式、スパンドレル方式及び柱・梁方式

なお、アルミニウム合金を鋳造した部材によるCWは、採用事例が少なく設計の要求によって多様な条件を設定する必要があるため、大規模工事でないと対応が難しい。「標仕」では寸法許容差が規定されていないので、仕様を含めて特記を確認する。

(2) 一般的な作業の流れを図17.2.1に示す。


図17.2.1 メタルCW作業の流れ

17.2.2 材料

(1) 一般的に使用する金属材料は、主部材、接合用材料及び取付け用金物も含め、表17.2.1から表17.2.3がある。

表17.2.1 材料の種類 品質・許容応力度
表17.2.2 接合部に使用する材料
表17.2.3 製作に使用する溶接棒

(2) シーリング材

(ア) シーリング材は、主に部材間の目地に充填するものと、ガラスの取付けに用いるものがある。このほか、メタルCW部材に隣接する他部材との目地に使用するものもある。

(イ) シーリング材の種類は、「標仕」17.2.2(2)で特記によるとされている。その参考として、CWにおいて被着体別に使用されるシーリング材の例を表17.2.4に示す。

(3) ガラスは、16.14.2(1)による。

(4) ガラス取付け材料

(ア) シーリング材

ガラスを留めるシーリング材は、「標仕」9.7.2 (1)により、種類は特記による。

(イ) 構造ガスケット

構造ガスケットは、建築構成材の開口部に取り付けて、板ガラス等と支持枠を直接支持し、風圧力に抵抗する耐力を保持するとともに、水密性及び気密性を確保するためのガスケットである。ロックストリップガスケット又はジッパーガスケットともいう。

構造ガスケットは、JIS A 5760(建築用構造ガスケット)に基づき、材質、形状等は特記による。材質には、黒色のクロロプレン系又はEPDM(エチレンプロビレンジエンゴム)系がある。

取付け形態別に数種類が製品化されているが、図17.2.2に示す主にメタルCWに使用するH型及びC型と、主にPCCWに使用するY型が一般的である。

製品の寸法は、使用するガラスの厚さや支持枠の寸法等によって異なる。

JISA 5760の抜粋を表17.2.5及び表17.2.6に示す。

表17.2.4 CW工事における被着体の組合せとシーリング材の種類(参考)


図17.2.2 構造ガスケットの種類(JIS A 5760 : 2013)

表17.2.5 構造ガスケットの一般性能(JIS A 5760 : 2013)
表17.2.6 構造ガスケットの特別性能(JIS A 5760 : 2013)
(5) 断熱材

通常、パネル裏面に施工するのが一般的である。断熱材の種類は特記によるが、一般的にはポリウレタン、ポリスチレン系の発泡体及びグラスウール等の成形板がある。さらに、断熱と結露防止の目的で、ひる石系の材料を吹き付けることもある。断熱材の種類によっては、アルミニウム等を腐食させるものもあるため、その選択には注意が必要である。

(6) 摩擦低減材〈滑り材〉

摩擦低減材は、部材の熱伸縮による発音の防止及びCW部材取付け金物のスライドホール部(滑動部)の滑り性能の確保のために使用される。摩擦低減材の材質と使用形態は、ふっ素樹脂系のシート材(テフロン(商標)等)を金物間に挟んで使用する場合及び接触して滑動する金物に直接滑り塗料を塗り付ける場合がある。

(7) 取付け用金物

取付け用金物は、熱伸縮及び層間変位追従時の挙動や、風圧等の外力に対して安全であることを、計算等により確認することが直要である。

取付け用金物には、次の機能が要求され、一般的に2種類の長孔(スライドホールとルーズホール)が設けられている。

(a) CW部材の自重やCW部材に加わる外力を躯休へ伝達する機能
(b) 躯体の変位やCW部材の熱伸縮に追従させる機能(スライドホール)

(c) CW部材の取付けに際し、躯体精度、部材精度を吸収する機能(ルーズホール)

CW部材の取付け用金物の位置は、取付け躯体との関連で決まるため、一律ではない。したがって、取付け用金物の形状材質等は、メタルCWの製造所の仕様によるとしている。一般的に取付け用金物は、アルミニウム合金の押出形材や形鋼等を組み合わせて製作しているので、使用実績を確認するとよい。

「標仕」で、屋外に使用する場合のボルト・ナット類をステンレス製としているのは、防錆性を考慮したものである。

現場締付けの場合は、施工性を考慮し、溶融亜鉛めっき製を使用する場合もある。

なお、屋上工作物等、構造上大きな荷重を受けるために、認定を受けた溶融亜鉛めっき高カボルトが使われる。この場合の高カボルトの機械的等級はF8Tである。

取付け用金物の代表的な例を、図17.2.3に示す。

(8) 外壁非耐力壁としての耐火構造

耐火材料は、耐火構造を構成するための材料であり、耐火構造は、性能別に国土交通省告示によって指定されている。

一般的に、CWの耐火材料は、30分又は1時間耐火の要求性能に基づき、乾式又は湿式の材料を、外壁を構成する材料や構造によって使い分けている。

乾式材料としては、セメント系を中心に各種の材料があるが、けい酸カルシウム板が多く使われている。また、湿式材料としては、金属パネル裏面に吹き付けるロックウールが使われている。


図17.2.3 方立方式での取付け用金物の例

17.2.3 形状及び仕上げ

(1) 「標仕」表17.2.1の単一材、組立ユニットとは、次のものをいう。ただし、鋳物は除く。

なお、同表中、形材の寸法許容差項目の曲がり、ねじれ及び平面度の許容差測定法は、JIS H 4100(アルミニウム及びアルミニウム合金の押出形材)に準ずる。

(ア) 単一材

単一材とは、ノックダウン方式等、部材単体で工事現場に取り付けられるように加工した部材で、形材とパネル材がある。

① 形材

アルミニウム合金押出形材又は形鋼等の形材を、所定の寸法に切断した棒状の部材。

② パネル材

アルミニウム合金板材又は鎖板を、切断あるいは血げ加工した1枚の部材。

(イ) 組立ユニット

アルミニウム合金押出形材や鋼材等、剛性の高い細長い部材で骨組を作り、それに表面材を工場で一体に取り付けた部材。工場で一体に組み立てたユニットサッシも含まれる。

(2) 仕上げ

「標仕」では、製品の見え掛り部分の仕上げは、特記によるとされている。金属材料の表面仕上げの種類は、通常次のとおりである。

(a) アルミニウム
① JIS H 8601(アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜)
② JIS H 8602(アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化塗装複合皮膜)
③ 塗装(アクリル系、ウレタン系、ふっ素系)

表面仕上げの種類とその特徴は、14.2.2を参照されたい。

(b) 鋼 材

屋内の見え掛り部分の仕上げは、塗装仕上げ(電気亜鉛めっき+ 錆止め+ 仕上げ塗装)が一般的である。屋外の場合は、周囲の環境が大きく影響するので注意する。

(c) ステンレス

一般的な表面仕上げは、14.2.3を参照されたい。

(3) 取付け用金物の防錆処理

「標仕」17.2.3(3)では、屋内で使用する取付け用金物(一般に耐火被覆される部分)の表面処理は、「標仕」表14.2.2のE種(JIS H 8610(電気亜鉛めっき)4級、めっきの最小厚さ12μm)、屋外(一般に雨掛りとなる部位)で使用する場合は、同表A種(JIS H 8641(溶融亜鉛めっき)、HDZT77(膜厚 77μm以上))としている。また、屋内に使用するボルト及びナットの表面処理はF種(JIS H 8610 3級、めっきの最小厚さ8μm)とし、ステンレス製とする場合には防錆処理は不要である。

(4) ガラス溝の寸法 形状等

メタルCWでのガラス溝の寸法・形状とは、次に示す面クリアランス、エッジクリアランス(サッシ下辺での水抜き機構を含む。)及び掛り代の確保を意味しており、要求性能によって必要寸法が変わるため、特記を原則とし、特記がない場合はメタルCWの製造所の仕様によるとしている(16.14.3及び(-社)日本建築学会「JASS 17 ガラス工事」参照)。

(a) 面クリアランス
CWの気密性、水密性を確保するため、ガラス回りのシーリング材が、十分に機能するための寸法である。適正値は、シーリングが確実に施工でき、かつ、設定された層間変位時のガラスの移動・回転に対してシーリング材が損傷を受けない値となる。

(b) エッジクリアランス

ガラスの層間変位追従性、ガラスのはめ込み作業性及びサッシ下辺での排水性を確保するための寸法である。適正値は、設定された層間変位時にガラス小口がサッシのガラス溝底と接しないこと(16.1.7(1)(キ) 参照)、無理なくガラスのはめ込み作業が行えること、さらに、サッシ下辺では、セッティングブロックの厚さを考慮し、長期に水と接触することを嫌う複層ガラス、合わせガラス及び網(線)入板ガラスを使用する場合は、速やかな排水が可能な隙間が必要となる。

(c) 掛り代

建具の気密性、水密性を確保するため、ガラス回りのシーリング材が十分に機能し(バックアップ材の形状も影響する。)、かつ、ガラスの耐風圧性を確保(強風時にガラスがたわみ、枠から外れない。)するための寸法である。また、ガラスの小口が屈折により室内から光って見えないことを条件とする場合には、別に検討する必要がある。

17.2.4 製 作

(1) メタルCWの製作は、CWの製造所の自主規格、製作図、製作要領書及び製作工程計画に基づき行われる。工場での製作工程は、図17.2.1を参照されたい。

(2) 接触腐食の対策

方立やパネル等に使用されるアルミニウム合金と、異種金属である鋼製下地金物とを接触させて使用することがある。屋内で使用する場合は、それぞれの通常の皮膜や塗膜による絶縁で問題にならないが、雨掛り部分や湿潤環境等で使用する場合は、膜膜塗装や絶縁シート等を用いて絶縁を確実にすることが重要である。

(3) 溶接加工に対する注意事項

溶接加工すると、表面仕上げ塗膜の変色や部材のゆがみは避けられない。再塗装できる場合を除き、溶接加工後に表面仕上げ塗装することが重要である。また、ゆがみの防止は、適切な溶接工程と矯正工程により対応する。

なお、防錆処理は、一般部、溶接部とも行うが、特に溶接部は適切な防錆処理が必要である。ただし、アルミニウム合金の場合は、通常の使用条件では耐食性に問題がないため、見え隠れ部分では防錆処理は行われていない。

17.2.5 取付け

(1) 躯体付け金物の取付け

(ア) 躯体付け金物の取付けは、躯体コンクリートヘ埋め込む場合と、鉄骨部材(梁)ヘ固定する場合がある。

躯体コンクリートに埋め込む場合には、躯体付け金物のアンカーと躯体鉄筋の位置に注意するほか、コンクリート打込み時に位置がずれないように注意する。

鉄骨部材へ溶接固定する場合は、本体鉄骨の製作に合わせてあらかじめ鉄骨工場で行う。また、所定の溶接長を確保するなど、必要な強度が得られるように注意する。

(イ) 躯体付け金物の取付け位置の寸法許容差

「標仕」表17.2.2に示す値は、「JASS 14 カーテンウォール工事」に準じたものである。取付け用金物(連結金物又は部材付け金物)には、この誤差を吸収するためのルーズホールを設けておき、取付け墨を基に取付け位置の仮調整を行ってボルト締め等を行う。

取付け用金物の位置決めの例を、図17.2.4に示す。


図17.2.4 取付け用金物の位置決めの例
(「カーテンウォールってなんだろう」より)

(2) 主要部材の取付け

(ア) CW部材等の取付けは、所定の取付け順序及び方法によって行う。取付けに際しては、安全を十分に確保するとともに、部材に損傷を与えないように注意する。また、仮留め時には、部材の脱落に十分注意する。

(イ) 主要部材の取付け位樅の寸法許容差

「標仕」表17.2.3に示す値は、「JASS 14 カーテンウォール工事」に準じたものである。

(ウ) CW部材は、建物の層間変他に対して追従し、部材の損傷・脱落防止を図っている。したがって、本留め後は、その挙動を拘束しないように仮留めボルト等は速やかに撤去する必要がある。

(エ) 取付け位置を調整し、許容差内にあることを確認した後、精度吸収のためのルーズホール部は、ボルト締め又は溶接で固定する。

一方、変位追従のためのスライドホール部は、滑動する必要があり、滑動を阻止するような強固なボルト締めや溶接等を行ってはならない。一般的には、手締め〈当たり締め〉程度とし、緩止めを施す。

溶接箇所は、腐食を防止するため、溶接スラグ、錆、水分、汚れ等を除去し、「標仕」表18.3.2のA種の錆止め塗料を途り付ける。

なお、「標仕」7.8.2で、耐火被覆材の接着する面の塗装範囲は、特記によると規定されているのは、錆止め塗装によって耐火被覆材の接着性が阻害される場合があるためである。

(3) 耐火構造
外壁の耐火構造と、延焼のおそれのある部分での防火設備は、法令に指定又は認定されている材料、工法に従って施工する(防火戸については16.1.3参照)。

上階への延焼と火炎を防止するための層間ふさぎ(CW部材と躯体との隙間の耐火処理)の施工は、次の事項に留意して行う。

(a) 関連工事の進捗に合わせ、適切な時期に施工する。

(b) 耐火材を隙間に吹き付ける場合は、耐火材の飛散によって、周辺部材が腐食、汚染しないように適切な養生を行う。

(c) CW部材の挙動によって、耐火材が脱落しないように取り付ける。

(d) 施工後の雨水等による耐火被覆材の流出防止処置を確実に行う。

17.2.6 ガラスの取付け

 

(1) メタルCWでのガラスの取付け方法は、「標仕」では、特記によるとしている。方法としては、シーリング材又は構造ガスケットによる4辺支持などがあるが、材料、支持方法等は特記による。

シーリング材によるガラスの取付けは、4辺支持のほか、2辺支持、構造シーラントで接着した辺も支持辺とみなすSSG構法もある。いずれの場合も、ガラス支持辺では、ガラスの内外両面ともにシーリング材を充填する方法が一般的であるが、次のような場合には、ガラス内外面のいずれか一方に、先付け又はあと付けグレイジングビードを使用する場合がある。

(ア) スパンドレル部等、梁によってガラス内面側のシーリング施工ができない部位

(イ) トップライト〈スカイライト〉等、将来内部からのガラス交換作業が、コストの点で不利な部位(ガラス内面側のシーリング材切断が困難)

(ウ) 超高層建物で、ガラス外面側のシーリング施工が困難な部位

(エ) ガラス外面側のシーリング材による汚れを極力避けたい場合

(2) CWでは、スパンドレル部や大きな開口部(ガラス板厚が増し、1枚当たりの質量が大きくなる。)のように、ガラスの取付け作業が困難な場合が多くある。ガラスの取付けを外部側、室内側のどちらからとするか、サッシ枠にどのように納めるか(左右又は上下やり返しの可否)、専用機械〈グレイジングマシーン〉を使用するかなど、施工性の検討が必要である。

また、高層建物で次のような場合は、将来のガラス交換コストが割高になる。

(ア) サッシ枠の形状や内装との関連で、ガラスの脱着が外部側に限定される場合

(イ) エレベーター等の機器では、内部揚重ができない大型ガラスの場合

(3) 構造ガスケットの枠への取付けは、四隅を先に決め、次に各辺の中央部を決め、たるみが出ないように均ーに納める。

構造ガスケットヘの板ガラスの取付けは、耐風圧性を確保するため、掛り代を左右均等に納める。

なお、「JASS 17 ガラス工事」では、構造ガスケットによる複層ガラスの施工は行わないとしている。これは、構造ガスケットは、ガスケットの先端(リップ部という。)の圧着(接着ではない。)で止水するため、施工時にリップ部に傷等の欠陥が生じると、ガラス溝内へ雨水が浸入するおそれがあること、また、ガラス小口とガラス溝底(ゴム)との隙間がシール工法に比べ小さく、ガラスに悪影響を与えやすい構造であるため、ガスケットのガラス溝部に排水機構を設け、さらに、複層ガラス小口の封着処理を増強しなければならないためである。したがって、複層ガラスを採用する場合は、小口の封着処理の強化を維持できるような処理が特記されていることを確認しておく必要がある。同じ観点から、合わせガラス及び網(線)入ガラスの小口処理も同様である。

また、CWではないが、これらのガラスを使用することの多い、勾配の少ないトップライトでは、さらに条件が悪くなるので同様の特記が必要となる。

17.2.7 シーリング材の施工及び試験

 

メタルCWの目地は、CW部材及びガラスの熱伸縮や層間変位による挙動が繰り返され、かつ、大きいため、シーリング材にとっては厳しい環境となる。シーリング施工に際し、次の事項の確認が重要である。

なお、シーリング材の施工及び試験は、「標仕」9章7節による。

(ア) 「標仕」9.7.5では、外部に面する金属、コンクリート、建具等に使用する場合は、プライマーを含めた事前の接着性試験を行うこととしている。CW部材の表面仕上げには、シーリング材との接着性があまりよくないもの(ふっ素樹脂等)があるため、接着性試験での確認が重要である。ただし、同じ材料の組合せで、過去に実施した信頼できる資料(試験成績書等)がある場合は、これにより代用できる。

(イ) CWの納まりによっては、例えば、方立方式の方立と無目の納まりのようにCW部材の取付けとシーリング施工を交互に行う(相番作業という。)場合がある。

複雑な納まりでは、連統した止水ラインが得られるように、実大見本や施工計画書等で適切な施工順序を確認することが重要である。

(ウ) CWでは、複数の仕上げ材に応じて成分の我なるシーリング材を連続させる(打ち継ぐ)箇所が生じる場合がある。異種シーリング材の施工順序によっては、連続性(打継ぎ接着性)が損なわれる組合せ(例えば、変成シリコーン系とポリサルファイド系、シリコーン系と他のシーリング材等)があるため、施工計画書等で施工順序を明確にし、周知させる必要がある。

なお、一般的に、メタルCWでは、工場で先行シールする箇所のシーリング材は、シーリング材の連続性を考慮してポリサルファイド系を使用している。

(エ) 2段階止水工法として、室内側の二次シールに中空状ガスケットを使用する場合では、中空状ガスケットの交点に隙間が生じ、気密性、水密性等の不良箇所となりやすいので、交点周辺にシールをするなど注意が必要である。

17.2.8 養 生

 

CW部材は、取付け完了後に、上階や同一階における他の工事に起因するじんあい等の付着、堆積によって変色、汚染等の化学的劣化のほか、排水経路の目詰まり、物の接触、衝突による破損等の不具合を生じることがある。

これらを防止するために工場で部材の養生が行われるが、工事現場における養生の管理方法によって、清掃の難易、引渡し時の仕上り具合に影響を及ぼす。

一般的に、じんあい等が付着した箇所は、雨が滞留しやすくなり、汚れがますます付着し、放置しておくと固着して除去し難くなり、腐食等を生じて素材を傷める場合がある。部材の表面仕上げに悪影響を与える物質は、早急に除去する必要があり、全面清掃のほかに汚れの状況に応じて中間で清掃することが望ましい。また、上階で溶接作業を行う場合は、溶接火花の飛散によるガラスの損傷等を防止するために必ず防炎シートで周囲を養生する。

養生材の選定に当たっては、日射及び大気汚染によって材料が変化し、除去時に接着材等が残存することがないよう注意する。

また、長期に渡る養生材の貼付によるウォータースポットにも注意する。ウォータースポットとは、アルミニウムの陽極酸化塗装複合皮膜表面に雨水等の水分が長時間付着し、塗膜と皮膜界面や、皮膜の微細孔中まで浸透した結果、部分的に水に濡れた状態となり、皮膜のもつ透明感が消え、乳白色になることで生じる斑点模様のことである。

17章 カーテンウォール工事 3節 PCカーテンウォール

17章 カーテンウォール工事

3節 PCカーテンウォール

17.3.1 一般事項

(1) 「標仕」では、PCCWを対象としている。

(2) 一般的な作業の流れを図17.3.1に示す。


図17.3.1 PCCW作業の流れ

17.3.2 材 料

(1) コンクリート

(ア) 普通コンクリートや軽量コンクリートのほか、特殊な軽量骨材を用いた軽量コンクリート及び炭素繊維、ガラス繊維、ビニロン繊維、鋼繊維等を混入し、鉄筋で補強しない材料(CFRC、GRC、VFRC、SFRC等)も使用されている。「標仕」では、実績が最も多く、PCCWの製造所で一般的に取り扱っている普通コンクリートや軽量コンクリート1種を使用することとしている。

「標仕」に規定されたコンクリートの品質は一般的な値であり、多くの PCCWの製造所では、スランプは12cm(スランプの許容差は、「標仕」表6.5.1による。)が標準的である。

(イ) コンクリートの調合は、所要強度、ワーカビリティー、均一性、耐久性等が得られるものが必要である。調合設計では、次に示した事項を考慮して所定の品質が得られるように決定する。

(a) 品質基準強度
(b) 脱型時強度
(c) コンクリート製造条件及び強度の標準偏差
(d) 加熱養生条件

一般的に、PCCWの製造所では、それぞれ基雄とする標準調合を定めており、強度等の条件が合う場合は、PCCWの製造所の標準調合を使用する方が問題が少ない。

(2) 鉄筋類

一般的に、主筋には、JIS G 3112(鉄筋コンクリート用棒鋼)に規定される SD295の異形棒鋼(径:D13、D10)を使用することが多い。また、これらの異形鉄筋を格子状に溶接した鉄筋格子も使用されている。

さらに、PC版の形状が、薄い平板の場合や乾燥収縮等のひび割れ防止のために、 JIS G 3551(溶接金網及び鉄筋格子)の溶接金網の線径6mmを主筋として使用する ことも多い。また、細部の補強等には、JIS G 3532(鉄線)の普通鉄線又はJIS G 3551の溶接金網の線径 3.2mm程度のものも使用されている。

JIS G 3551の溶接金網には丸鉄線と異形鉄線があり、一般的には、丸鉄線を使用することが多いが、異形鉄線も使用される。溶接金網を主筋に用いる場合の引張強度は、SD295に準じた引張強度とすることが多い。

(3) シーリング材

(ア) シーリング材は、PC版間の目地に充填するものが主であるが、このほか、PC版に先付け(打込み)したサッシ枠回り及び張り石間並びにPC版に隣接する他部材との目地に使用するものもある。

(イ) シーリング材の種類は、「標仕」17.3.2(4)で特記によると規定されている。その参考として、CWにおいて被着体別に使用されるシーリング材の例を表17.2.4に示す。

(ウ) 17.2.2の表17.2.4では、PCCWの部材間目地に使用するシーリング材を2成分形変成シリコーン系(MS-2、耐久性による区分9030)としている。これは、 PC版間の目地やPC版に隣接する他部材との目地に、水密や気密性能のほかに、地震時の建物層間変位による目地変形に追従する性能が必要なためである。

(4) 断熱材
PC版の裏面に直接施工するのが一般的である。断熱材の種類は特記によるが、一般的には、現場発泡形のポリウレタンが多い。そのほか、ポリウレタン、ポリスチレン系の発泡体及びグラスウール等の成形板がある。さらに、断熱と結露防止の目的でひる石系の材料を吹き付けることもある。断熱材の種類によっては、アルミニウム等を腐食させるものもあるため、その選択には注意が必要である。

また、断熱材は、工事中の雨掛りを避けるため、一般的に、現場でPC版を取り付けた後に施工することが多い。

(5) ガラスは、16.14.2による。ガラス取付け材料は、17.2.2(4)による。

(6) 取付け用金物と摩擦低減材〈滑り材〉

PC版の部材付け金物の位置は、取付け躯体との関連で決まるため一律ではない。したがって、取付け用金物の形状・材質等は、PCCWの製造所の仕様によるとしている。一般的に、取付け用金物は、形鋼や鋼板等SS400材を組み合わせて製作するものと、専用品として市販しているものとがあり、使用実績を確認するとよい。取付け用金物の防錆処理は、「標仕」17.3.3(3)では、屋外に使用する鋼材、ボルト及びナットの表面処理は表14.2.2のC種、屋内に使用する鋼材の表面処理は、同表E種、ボルト及びナットは同表F種としている。

取付け用金物は、PC版の層間変位追従時の挙動や風圧等の外力に対して安全であることを、計算等により確認することが重要である。

摩擦低減材は、スライドホール部(滑動部)の滑り性能を確保するため、金物間に挟んで使用する。材質は、ステンレス板、ステンレス板等にカーボングラファイトを加工したもの、フッ索樹脂系のシート(テフロン(商標))等があり、摩擦係数は、0.2〜0.3程度のものが多い。

取付け用金物に要求される機能及びCW部材の留付けについては、17.2.2(7)を参照されたい。

(7) 先付け材料

PC版の型枠に先付けし、コンクリートに埋め込む(打ち込む)ものには、タイル、石材等の仕上げ材料とサッシ枠やゴンドラ用ガイドレール及びPC版の部材付け金物やあと付けするサッシ等の取付け金物がある。

(a) タイル等の仕上げ材は、特記による。
(b) サッシ枠やゴンドラ用レール等は、特記による。
(c) PC版の部材付け金物は、PCCWの製造所の仕様による。

(d)あと付けするサッシ等の取付け金物は、それぞれの製造所の仕様による。

17.3.3 形状及び仕上げ

(1) PC版の製作精度

製作精度は、層間変位追従性や目地幅等に直接かかわるが、PC版は、単品ごとに製造するコンクリート製品であるため、製作精度をあまり厳しく設定すると現実の問題として製造が困難になる。

「標仕」17.3.3(1)に規定されているPC版の見え掛り部分の寸法許容差は、標準的な大きさ(4m × 2.5m程度)の平板状PC版の寸法許容差であり、標準を大きく上回る版、リブ付き形状版、パラペット部を含む長大版並びにL形コーナー版等では、PC版の形状、大きさと建物の条件等を考慮し、PCCWの諸性能に影響を与えない範囲で寸法許容差を決めることが重要である。

受注者等が受入検査として行うPC版の寸法検査の頻度は、辺長、開口部の内法寸法、先付け金物位置については全数、その他についてはロット単位の検査で確認するとよい。

(2) PC版に先付けする表面仕上材

表面仕上材は、美観だけではなく、耐久性にも影響を与えるので、その選択には十分な配慮が必要である。また、仕上材の種類や材料によっては、PC版製作に先立ち、試験体を製作して付着力又はアンカー耐力等の確認が必要である。

(3) Y型構造ガスケットの取付け溝

一般的に、PCCWでは、PC版にサッシ枠を使用しないで直接ガラスを留める場合は、Y型構造ガスケット(17.2.2 (4)(イ) 参照)を使用する。

Y製構造ガスケットをPC版にはめ込むための溝の形状例を、図17.3.2に示す(「JASS 14 カーテンウォール工事」参照)。溝幅・位置等の精度は、ガラスのはめ込みやガスケットのガラス保持性及び水密性に影響するため、十分な精度管理が必要である。


図17.3.2 Y型構造ガスケットによるPC版へのガラスのはめ込み

17.3.4 製作

(1) 型枠の製作

型枠は、PC版の仕上げ程度及び製品精度に影響を与えるので、所定の要求品質が得られるものとする。一般的に、PC版の型枠は次のような理由から、鋼製の型枠を使用する。

(a) 剛性があり、組立及び脱型時の外力や振動による変形が小さい。
(b) 脱型が容易で、反復使用ができ、製品のばらつきが少ない。
(c) 吸水による変形がない。
(d) 加熱等の養生条件に耐える。

(e) コンクリートの品質に有害な影響を与えない。

なお、型枠の製作は、十分な精度管理が必要であるので、PCCWの製造所の型枠寸法許容差を確認する。

(2) 鉄筋の組立

(ア) 配筋は特記によるが、特記がない場合、監督職員は、PCCWの製造所が行うPC版の構造計算を確認して、承諾をする。

(イ) 鉄筋は、所定の形状に合わせ正確に配筋する。鉄筋は、型枠とは別の場所で組み立てられた後、運搬、仮置きされることが多く、その間に変形したり、あるいは型枠内でコンクリート打込み作業中に位置がずれることのないように堅固に組み立てたものとする。また、断面の小さな部分やひび割れの生じやすい部分は、配筋図に記載されていなくとも必要に応じて補強筋を配することが重要である。

なお、製造上やむを得ない場合や、実績がありPC版の性能上問題がないと思われる場合は、監督職員の承諾を受けて鉄筋の組立を溶接とすることができるが、溶接による鉄筋の断面欠損が生じないようにすることが重要である。

(ウ) PC版の鉄筋のかぶり厚さは、「標仕」表5.3.6により、耐久性上有効なタイルや石材仕上げ等がある場合は20mm、有効な仕上げがない場合は30mmを最小値とする。また、鉄筋相互のあきは「標仕」5.3.5(4)による。

(3) コンクリートの打込みは、各種の振動機(バイプレーター)を用いて密実に締め固め、気泡、豆板、クレーター状の跡等が生じないように行う。また、振動のかけ過ぎはコンクリートの分離を招くので、状況により適切な時間を選択しなければならない。

(4) コンクリートの養生及び脱型

(ア) PC版は、脱型強度を確保するため一般に加熱養生を行う。加熱養生は、次のような事項を考慮して養生計画を立てる。

(a) 加熱開始までの前置き時間

コンクリート打込み後、水引き前後の初期硬化開始直後の加熱養生は、コンクリートの強度発現性に悪影響を与えるため、前置き時間を2〜3時間とることが必要である。

(b) 養生温度の上昇勾配と下降勾配

上昇及び下降勾配は、15℃/h以下が望ましく、20℃/hを超えてはならない。

(c) 最高養生温度

最高養生温度は、40〜50℃前後が望ましく、70℃以上では有害とされている。

(d) 部材を養生槽から取り出したときの部材温度と外気温との差

20℃以下が望ましく、冬期等で、温度差が大きいと急激な収縮により内部応力が働き、ひび割れの要因となるので注意が必要である。

加熱養生条件の例を図17.3.3に示す。


図17.3.3 加熱養生条件の例

(イ) PC版の脱型は、脱型強度の確認後、有害なひび割れや欠け等が生じないように注意して行う。脱型時のコンクリート強度は12N/mm2以上とし、PC版の形状、大きさ等により適宜強度を増す。一般的には12〜15 N/mm2程度である。

17.3.5 取付け

(1) 躯体付け金物の取付けは、17.2.5(1)に準じる。

なお、PC版は重いため、次に示す取付け躯体の梁は、PC版を取り付けた時の梁のたわみやねじれが、許容値以内に納まることを確認し、必要に応じて適切な補強を行う必要がある。

(ア) 階段、パイプシャフト、ダクトスペース、エレベーターシャフト部分等、スラブと一体でない梁
(イ) 屋上に突出した柱上部(設備機器等の目隠し取付け用等)の梁

(ウ) スラブコンクリートを打ち込む前の梁

(2) 主要部材の取付け

「標仕」表17.3.2に示す部材の取付け位置の寸法許容差は、「JASS 14 カーテンウォール工事」に準じたものである。その他の安全作業、仮留めボルト等のあと処理及び取付け部の固定と防錆処理は、17.2.5(2)に準じる。

(3) 耐火構造

外壁の耐火構造、延焼のおそれのある部分での防火設備及び層間ふさぎの施工は、17.2.5(3)に準じる。

17.3.6 ガラスの取付け

ガラスの取付けは、17.2.6に準ずる。

17.3.7 耐火被覆の施工

PC版が、躯体(柱、梁)の耐火構造を兼ねる合成耐火構造とする場合は、法令に基づき認定されている材料、工法に従って施工する。

なお、PC版自体のみならず、PC版の目地にも同等の耐火性能が必要であり、耐火目地材や、有効に火熱を遮断するシリコーンゴム製ガスケットが設置されていなければならない。

17.3.8 シーリング材の施工及び試験

シーリングの施工及び試験は、17.2.7に準ずる。

17.3.9 養 生

養生は、17.2.8に準ずる。

参考文献

18章 塗装工事 3節 錆止め塗料塗り

18章 塗装工事

3節 錆止め塗料塗り

18.3.1 一般事項

この節は、建築物内外の一般部、構造体、鋼製建具、設備機器類等の鉄鋼面及び亜鉛めっき鋼面の下塗りである錆止め塗料塗りを対象としている。令和4年版「標仕」から、鉄鋼面及び亜鉛めっき面の錆止め塗料を3節にまとめた。

18.3.2 塗料種別

(1) 鉄鋼面及び亜鉛めっき鋼面の防錆を目的として、下塗りに使用される錆止め塗料は、JIS K 5621(一般用さび止めペイント)、JIS K 5674(鉛・クロムフリーさび止めペイント)、「JASS 18 塗装工事」M-109、M-111、JPMS 28、耐候性塗料塗りで使用するJIS K 5552、JIS K 5551等がある。

(2) 「標仕」で採用されている各種錆止め塗料の特徴は、次のとおりである。

(ア) 鉛・クロムフリーさび止めペイント(JIS K 5674)

JIS K 5674に規定されており、鉛及びクロムを含まない錆止め顔料を、ビヒクル(加工乾性袖(ボイル油)又は合成樹脂ワニス)に分散させてつくる鋳止め塗料である。1種は溶剤系塗料(有機溶剤を揮発成分とする塗料)、2種は水系塗料(水を主要な揮発成分とする塗料)であり、錆止め顔料の種類は特定されていないが、りん酸亜鉛、亜りん酸亜鉛等のほかにも種々の顔料を使用するとしている。りん酸イオンは鋼面を不動態化させて、防錆効果を示す。色調は赤錆色、白色、灰色等がある。

(イ) 水系さび止めペイント(JASS 18 M-111)

水系さび止めペイントの品質は、JASS 18 M-111に規定されている。

JASS 18 M-111に規定される水系さび止めペイントの耐複合サイクル防食性は、一般用さび止めペイント1種及び2種の耐複合サイクル防食性よりも優れており、シアナミド鉛さび止めペイントの耐複合サイクル防食性と同等である。

(ウ) ジンクリッチプライマー(JIS K 5552)

JIS K 5552に規定されており、70%以上含まれている金属亜鉛が防錆効果を示す錆止め塗料である。

JISではアルキルシリケートをビヒクルとした1種(無機)と、エポキシ樹脂をビヒクルとした2種(有機)が規定されており、「標仕」表18.3.4では品質や施工性等から、下塗り(1回目)には2種を用いることにしている。

(エ) 構造物用さび止めペイント(JIS K 5551)

JIS K 5551に規定されており、種類はA種、B種、C種、D種及びE種がある。

2018年JIS K 5551の改定に伴い、水系塗料が規定に加わった。A種とB種は有機溶剤を揮発成分とする反応硬化形エポキシ樹脂系塗料であり、C種は有機溶剤を揮発成分とする反応硬化形変性エポキシ樹脂系塗料又は反応硬化形変性ウレタン樹脂系塗料、D種とE種は水を主要な揮発成分とする反応硬化形エポキシ 樹脂系塗料である。塗膜厚さによる区分があり、A種とD種は約30μm(標準形)、B種、C種及びE種は約60μm(厚膜形)となっており、「標仕」表18.3.4では品質や施工性の観点から、下塗り2回目と3回目にはA種を用いることとしている。当該規格では製品の形態(荷姿)に1液形と多液形があり、主剤と硬化剤からなる多液形が使用されることが多い。下塗りとして用いる反応硬化形エポキシ樹脂系塗料の標準工程間隔時間には、7日以内と制限があるため、「標仕」表18.7.1では、「鋳止め塗料塗り」の次に、工程1「研磨紙ずり」を設けている。

(オ) 一液形変性エポキシ樹脂さび止めペイント(JPMS 28)

変性エポキシ樹脂と顔料、分散剤等を主成分とする。一液形であるため、作業性に優れており、平成25年版「標仕」で採用されていた鉛酸カルシウムさび止めペイントより防錆効果が優れている。

鉛酸カルシウムさび止めペイントについては、主に、平成25年版「標仕」の建具工事において使用されていたが、関連業界による共同実験の結果、一液形変性エポキシ樹脂さび止めペイントが、代替品として適していることが実証されたため、廃止された。

亜鉛めっき鋼面の素地ごしらえに採用されていたエッチングプライマー塗りは、鉛酸カルシウムさび止めペイントの付着性確保のために塗布するものなので併せて廃止された。これにより「標仕」の18章[塗装工事]より、鉛、クロムを使用した仕様が完全に廃止された。一液形変性エポキシ樹脂さび止めペイントの色調は、白色、灰色、赤錆色などがある。

上塗り塗料としては、合成樹脂調合ペイントをはじめ、弱溶剤系のポリウレタンエナメル、弱溶剤系のアクリルシリコン樹脂エナメルなども使用でき、用途として亜鉛めっき鋼面はもちろん、鉄鋼面にも適用できるが、「標仕」表18.3.1[鉄鋼面の錆止め塗料の種別]には、JIS、JASS規格があるため、JPMS 28は規定していない。

注意点として、一液形変性エポキシ樹脂さび止めペイントを塗装後は、必ず標準工程間隔時間内に上塗り塗装を行う。上塗り塗装を行わなかった場合、一液形変性エポキシ樹脂さび止めペイントの塗膜表面に白亜化が、発生することがある。標準工程間隔時間を超える場合は、研磨紙ずり後、上塗り塗装を行う。

(カ) 変性エポキシ樹脂プライマー(JASS 18 M-109)

JASS 18 M-109に規定されており、変性エポキシ樹脂と顔料、分散剤等を主成分とする主剤と、ポリアミド樹脂やアミンアダクト樹脂を用いる硬化剤から構成される、2液形下塗り塗料である。

純粋なエポキシ樹脂系塗料に比べて、得られる塗膜性能が素地調整の程度に大きな影響を受けず、適用対象の多い下塗り塗料である。特に、亜鉛めっき鋼面に対する付着性に優れている。

(3) 鉄鋼面の錆止め塗料の種別

(ア) 塗料種別は、「標仕」表18.3.1により、A種の鉛・クロムフリーさび止めペイント1種は、18.4.3[鉄鋼面の合成樹脂調合ペイント塗り]と18.8.4[鉄鋼面のつや有合成樹脂エマルションペイント塗り]に使用される。

(イ) 平成25年版「標仕」から、鉛・クロムフリー化に伴い、シアナミド鉛さび止めペイントは廃止された。

(ウ) B種の水系さび止めペイント及び鉛・クロムフリーさび止めペイント2種は、18.8.4[鉄鋼面つや有合成樹脂エマルションペイント塗り]に限定して使用される。

(エ) C種のジンクリッチプライマー及びD種の構造物用さび止めペイントA種は、 18.7.2[鉄鋼面の耐候性塗料塗り]に使用される。

(4) 亜鉛めっき鋼面鋳止め塗料の種別

(ア) 塗料種別は「標仕」表18.3.2により、JPMS 28、JASS 18 M-109若しくは JASS 18 M-111 を使用するように規定している。

(イ) 塗料種別は、「標仕」表18.3.2によりA種の一液形変性エポキシ樹脂さび止めペイントは、18.4.4[亜鉛めっき鋼面の合成樹脂調合ペイント塗り]に使用される。

(ウ) ー液形変性エポキシ樹脂さび止めペイントは、JISが制定されていないが、日本塗料工業会規格によってその性能が規定されており、亜鉛めっき面に対する付着性に優れている。作業性のうち、特に速乾性に優れており、鋼製建具などに適している。

(エ) B種の変性エポキシ樹脂プライマーは、18.4.4[亜鉛めっき鋼面の合成樹脂調合ペイント塗り]と18.7.3[亜鉛めっき鋼面の耐候性塗料塗り]に使用される。

(オ) 変性エポキシ樹脂プライマーについては、JISが制定されていないが、日本建築学会材料規格によってその性能が規定されており、亜鉛めっき鋼面に対する付着性が優れている。

(カ) C種の水系さび止めペイントは、18.8.5[亜鉛めっき鋼面のつや有合成樹脂エマルションペイント塗り]に限定して使用される。

18.3.3 錆止め塗料塗り

(1) 鉄綱面の錆止め塗料塗り

(ア) 「標仕」表18.3.3のA種における研磨紙ずりの目的は、ごみ、ほこり等の付着物を除去するためで、塗膜が薄くならないように軽く研磨する程度とする。

(イ) 塗装方法は、はけ塗り、ローラーブラシ塗り又は吹付け塗りとし、工場塗装では条件が整えば浸漬(しんし)塗りとしてもよい。

(ウ) 塗料の標準工程間隔時間を表18.3.1に示す。

表18.3.1 鉄鋼面の錆止め塗料の種別と標準工程間隔時間
(エ) 平成31年版「標仕」から、鉄骨等の鉄鋼面の錆止め塗料塗り工法で、2回目を鉄骨等の製作工場で塗る事が出来る規定が新たに追加された。

(オ) 耐候性塗料塗りの場合、下塗りまでは鉄骨等の製作工場で行い、現場に搬入して組立後は、塗膜の損傷程度に応じて、下地調整及びJASS 18 M-109に基づく錆止め塗料(「標仕」表18.3.2のB種)を3回塗る。

(2) 亜鉛めっき鋼面錆止め塗料塗り

(ア) 「標仕」表18.3.5のA種における研磨紙ずりの目的は、ごみ、ほこり等の付着物を除去するためで、塗膜が薄くならないように軽く研磨する程度とする。

(イ) 塗装方法は、はけ塗り又は吹付け塗りとする。

(ウ) 塗料の標準工程間隔時間を表18.3.2に示す。

表18.3.2 亜鉛めっき鋼面の錆止め塗料の標準工程間隔時間
(エ) 「標仕」18.3.3 (4)(ア) では、鋼製建具等の塗装範囲を具体的に示しているが、両面フラッシュ戸の表面板裏側部分(力骨・中骨等を含む)、枠の裏側部分及び無目・方立等の裏側部分については、密閉部分で錆の進行がほとんどないことから塗装範囲とはしていない。押縁については、ガラス施工時に取り外すことから、組立前に裏面側についても塗装することとしている。

(オ) 「標仕」で素地ごしらえをA種(化成皮膜処理)としているのは、亜鉛めっきの防錆機能を低下させずに下塗り塗料との付着性が得られることを考慮したものである。

(カ) 全ての塗装工程を鋼製建具等の製造工場で行う場合は、現場に搬入して組立後の補修方法等について事前に検討及び協識をしておく必要がある。

(キ) 下塗りまでは鋼製建具等の製造工場で行い、現場組立で生じた現場溶接部及び組立中の下塗り損傷部分は、ワイヤーブラシ、研磨布等を使用し、亜鉛めっき面を傷つけないように錆等を除去し、JASS 18 M-109(変性エポキシ樹脂プライマー(変性エポキシ樹脂プライマーおよび弱溶剤系変性エポキシ樹脂プライマー))(「標仕」表18.3.2のB種)による補修塗りを行う。ただし、鋼製建具等の製造工場にて下塗りとして一液形変性エポキシ樹脂さび止めペイントが使われている場合、JPMS 28(一液形変性エポキシ樹脂さび止めペイント)(「標仕」表18.3.2のA種)でも補修塗りを行うことができる。

(ク) 使用する塗料、シンナー、調合割合、可使時間等は、塗料の製造所の指定によるものとする。

(ケ) 塗装方法は、はけ塗り、ローラーブラシ塗り若しくは吹付け塗りとする。

18章 塗装工事 7節 耐候性塗料塗り(DP)

18章 塗装工事

7節 耐候性塗料塗り(DP)

18.7.1 一般事項

この節は、長期間にわたる耐候性や美装性を要求される建築物外部の鉄骨、亜鉛めっきを施された鉄骨、鋼製建具及びコンクリート外壁等に対する着色塗装仕上げをする場合に適用する。

塗装の仕様には、海岸や工業地帯等の厳しい腐食環境における重防食仕様といわれるものと、一般的な腐食環境におけるものとがあり、この節では後者の一般的な腐食環境を前提としたものである。

平成25年版の「標仕」の耐候性塗料塗りでは、溶剤系塗料が適用されていた。しかし昨今では、環境保全や健康安全への配慮から、建築現場における塗装では、光化学オキシダントの低減、有機溶剤中毒の抑制や防止などを目的として、光化学活性の少ない弱溶剤系塗料が使用されている。このため平成28年版「標仕」から、耐候性塗料塗りに弱溶剤系塗料が採用された。

使用する材料の規格番号が、鉄鋼面及び亜鉛めっき鋼面の金属系素地とコンクリート面及び押出成形セメント板面のセメント系素地で異なっているため、注意が必要である。

なお、令和4年版「標仕」から、鉄鋼面及び亜鉛めっき面の錆止め塗料の記載を3節に移行した。

光化学オキシダントphotochemical oxidant
窒素酸化物や炭化水素の光化学反応において生じる、オゾンやパーオキシアシルナイトレートなどの酸化性物質(オキシダント)の総称である。オキシダント は酸化剤のこと。強力な酸化作用を持ち健康被害を引き起こす大気汚染物質であり、光化学スモッグの原因となる。

18.7.2 鉄鋼面の耐候性塗料塗り

(1) 材 料
(ア) ジンクリッチプライマー(JIS K 5552)

 18.3.2(2)(エ)を参照する。

(イ) 構造物用さび止めペイント(JIS K 5551)

 18.3.2(2)(オ)を参照する。

(ウ) 鋼構造物用耐候性塗料(JIS K 5659)

JIS K 5659に規定されているもので、種類はA種(溶剤形塗料)とB種(水性塗料)の2種類あり、各種類の中には各々、上塗り塗料と中塗り塗料がある。上塗り塗料は耐候性により等級が規定されており、品質が最も高いものを1級とし、順に2級、3級としている。「標仕」では、上塗り塗料の等級は特記されることになっている。上塗り塗料と中塗り塗料は、主剤と硬化剤からなる常温乾燥形の塗料である。使用に当たり、中塗り塗料の標準工程間隔時間が7日以内と制限があることに注意する必要がある。

JIS K 5659 A種は、旧規格JIS K 5657(鋼構造物用ポリウレタン樹脂塗料)と旧規格JIS K 5659(鋼構造物用ふっ素樹脂塗料)を統合し、両塗料の中間のグレードとして、アクリルシリコン樹脂系の耐候性区分を取り込んで制定された規格である。したがって、当該規格の1級の品質は旧規格JIS K 5659の品質に相当し、3級の品質は旧規格JIS K 5657の品質に相当するとしていた。最近では、ふっ素樹脂塗料は1級、シリコーン樹脂塗料は 1~2級、ポリウレタン樹脂塗料 は 2~3級に該当している。

2018年JIS K 5659の改定に伴い、水系塗料が規定に加わった。種類が、有機溶剤を主要な揮発成分としたA種と、水を主要な揮発成分としたB種に分類されたが、B種に関しては、2022年1月時点では JISマーク表示の認証を受けている製品がない。このため(-社)日本塗料工業会では、水系塗料を用いる建築物の鉄部仕様に対する適用性の検討及び現行の溶剤系仕様と性能を比較することを目的とし、「鉄部建築工事における高耐久水性仕様検証ワーキング」を立ち上げ実証実験を行っている。その成果については、2020年9月から日本建築学会大会学術講演会及び日本建築仕上学会大会学術講演会で発表を行っている。

弱溶剤系の鋼構造物用耐候性塗料に用いる材料は、労働安全衛生法に定めている第3種有機溶剤(ミネラルスピリットなど)を用いた塗料である。溶解力の強いトルエンやキシレンなどと比べて、溶解力の弱い第3種有機溶剤を用いた塗料で、弱溶剤系塗料と呼ばれている。弱溶剤系塗料は従来の溶剤系塗料に比べ、溶解力や臭気が低く、塗装時に既存塗膜をリフティングさせることが少なく、新設工事に用いるほか塗替工事にも用いられている。

(2) 塗 装

(ア) 「標仕」の鉄鋼面は、屋外の鉄骨を主な対象としている。

(イ) 構造物用さび止めペイントA種及び鋼構造物用耐候性塗料中塗り塗料は、その上に塗装されるまでの標準工程間隔時間及び標準最終養生時間に十分注意する。

(ウ) 下塗りとして弱溶剤系塗料を使用した場合、その後の工程の中塗り、上塗りも弱溶剤系塗料を使用する。

(エ) 使用する塗料、シンナー、調合割合、可使時間等は、塗料の製造所の指定によるものとする。

(オ) 塗装方法は、はけ塗り、ローラーブラシ塗り若しくは吹付け塗りとする。

(カ) 各塗装工程の標準工程間隔時間及び標準最終養生時間を表18.7.1に示す。

(キ) 下塗りとして用いる反応硬化形エポキシ樹脂系塗料の標準工程間隔時間には、 7日以内と制限があるため、「標仕」表18.7.1では、「錆止め塗料塗り」の次に、工程1「研磨紙ずり」を設けている。

表18.7.1 鉄鋼面の耐候性塗料塗りの標準工程間隔時間及び標準最終養生時間

18.7.3 亜鉛めっき鋼面の耐候性塗料塗り

(1) 材 料
(ア) 鋼構造物用耐候性塗料(JIS K 5659)

 18.7.2(1)を参照する。

(イ) 変性エポキシ樹脂プライマー

 18.3.2(2)(イ)を参照する。

(2) 塗 装

(ア) 全ての塗装工程を鋼製建具等の製造工場で行う場合は、現場に搬入して組立後の補修方法等について事前に検討及び協議をしておく必要がある。

(イ) 下塗りとして弱溶剤系塗料を使用した場合、その後の工程の中塗り、上塗りも弱溶剤系塗料を使用する。

(ウ) 使用する塗料、シンナー、調合割合、可使時間等は、塗料の製造所の指定によるものとする。

(エ) 塗装方法は、はけ塗り、ローラーブラシ塗り若しくは吹付け塗りとする。

(オ) 各塗装工程の標準工程間隔時間及び標準最終養生時間を、表18.7.2に示す。

表18.7.2 亜鉛めっき鋼面の耐候性塗料塗りの標準工程間隔時間及び標準最終養生時間

18.7.4 コンクリート面及び押出成形セメント板面の耐候性塗料塗り

(1) 材 料

(ア) 反応形合成樹脂シーラーおよび弱溶剤系反応形合成樹脂シーラー
JASS 18 M-201に規定されているエポキシ樹脂を主成分とする反応硬化形塗料であり、セメント系素地との接着性に優れている。

塗料はその溶媒の種類により、溶剤系塗料と弱溶剤系塗料に区分される。

(イ) 常温乾燥形ふっ素樹脂塗料用中塗り
(常温乾燥形ふっ素樹脂塗料用中塗りおよび弱溶剤系常温乾燥形ふっ素樹脂塗料用中塗り)

JASS 18 M-405に規定されている反応硬化形塗料で、エポキシ樹脂系やポリウレタン系のものがある。塗料はその溶媒の種類により、溶剤系塗料と弱溶剤系塗料に区分される。

(ウ) アクリルシリコン樹脂塗料用中塗り
(アクリルシリコン樹脂塗料用中塗りおよび弱溶剤系アクリルシリコン樹脂塗料用中塗り)

JASS 18 M-404 に規定されている反応硬化形塗料で、エポキシ樹脂系やポリウレタン系のものがある。塗料はその溶媒の種類により、溶剤系塗料と弱溶剤系塗料に区分される。

(エ) 2液形ポリウレタンエナメル用中塗り
(2液形ポリウレタンエナメル用中塗りおよび弱溶剤系2液形ポリウレタンエナメル用中塗り)

JASS 18 M-403に規定されている反応硬化形塗料で、エポキシ樹脂系やポリウレタン系のものがある。塗料はその溶媒の種類により、溶剤系塗料と弱溶剤系塗料に区分される。

(オ) 建築用耐候性上塗り塗料

JIS K 5658(建築用耐候性上塗り塗料)は、旧規格JIS K 5656(建築用ポリウレタン樹脂塗料)と旧規格JIS K 5658(建築用ふっ素樹脂塗料)を統合したうえで、両塗料の中間となる耐候性グレードとしてアクリルシリコン樹脂系を取り込み、主要原料として、ふっ素樹脂、シリコーン樹脂又はポリウレタン樹脂を用いるもので、主剤と硬化剤を混合して使用する塗料としている。

耐候性による等級区分が設定されており、品質が最も高いものを 1級とし、順に2級、3級とされ、1級の品質は旧規格JIS K 5658の品質に相当し、3級の品質は旧規格 JIS K 5656の品質に相当するとしていた。「標仕」では、A種が主要原料ふっ素樹脂(1級)、B種が主要原料シリコーン樹脂(2級)、C種が主要原料ポリウレタン樹脂(3級)のように、等級が主要原料 により限定されているが、 JIS K 5658では樹脂系と各級を一致させないとしている。最近では、ふっ素樹脂 は1級、シリコーン樹脂は1~2級、ポリウレタン樹脂は2~3級に該当している。

弱溶剤系の建築用耐候性塗料塗りには、労働安全衛生法に定めている第3種有機溶剤(ミネラルスピリットなど)を用いた材料を使用する。溶解力の強いトルエンやキシレンなどと比べて、溶解力の弱い第3種有機溶剤を用いた塗料で、弱溶剤系塗料と呼ばれている。弱溶剤系塗料は従来の溶剤系塗料に比べ、溶解力や臭気が低く、塗装時に既存塗膜をリフティングさせることが少なく、新設工事に用いるほか塗替工事にも用いられている。

容器には規格番号と名称に加えて、等級及び主要樹脂成分の一般名称(ふっ素樹脂、シリコーン樹脂又はポリウレタン樹脂のいずれか)を表示することが規定されている。

(2) 塗 装

(ア)「標仕」のコンクリート面及び押出成形セメント板面は、外壁等を主な対象としている。

(イ) 全ての塗装工程を製造工場で行う場合は、現場に搬入して組立後の補修方法等について事前に検討及び協議をしておく必要がある。

(ウ) コンクリート面に耐候性塗料塗りを適用する場合の素地ごしらえは、「標仕」表18.2.6を適用する。

(エ) 下塗りとして弱溶剤系液料を使用した場合、その後の工程の中塗り、上塗りも弱溶剤系塗料を使用する。

(オ) 使用する塗料、シンナー、調合割合、可使時間等は、塗料の製造所の指定によるものとする。

(カ) 塗装方法は、はけ塗り、ローラーブラシ塗り若しくは吹付け塗りとする。

(キ) 各塗装工程の標準工程間隔時間及び標準最終養生時間を、表18.7.3に示す。

表18.7.3 コンクリート面及び押出成形セメント板面の耐候性塗料塗りの標準工程間隔時間及び標準最終養生時間

18章 塗装工事 8節 つや有合成樹脂エマルションペイント塗り(EP-G)

18章 塗装工事

8節 つや有合成樹脂エマルションペイント塗り(EP-G)

18.8.1 一般事項

この節は、建築物の内外壁面、天井等のコンクリート面、モルタル面、せっこうプラスター面、せっこうボード面及びその他のボード面等並びに屋内の木部、鉄鋼面及び亜鉛めっき鋼面に用いる、つや有合成樹脂エマルションペイント塗り仕上げを対象としている。

つや有合成樹脂エマルションペイント塗りは、ホルムアルデヒド発散建築材料に指定されていない塗料を利用した塗装仕様である。屋内の木部、鉄鋼面、亜鉛めっき鋼面に対して、本塗り仕様と同様の用途に適用できる塗装仕様として、4節の合成樹脂調合ペイント塗り及びフタル酸樹脂エナメル塗りがある。しかし、合成樹脂調合ペイント(JIS K 5516)及びフタル酸樹脂エナメル(JIS K 5572)はホルムアルデヒド発散建築材料に指定されており、特記によりF☆☆☆☆以外の材料が指定されている場合には、内装としての使用面積が制限されることになる。つや有合成樹脂エマルションペイント塗りは、ホルムアルデヒド発散建築材料に指定されている塗料を使用していないため、建築基準法のシックハウス症候群対策による規制を受けない。

つや有合成樹脂エマルションペイントは水系塗料であり、合成樹脂調合ペイントやフタル酸樹脂エナメルと比較して、揮発性有機化合物(VOC)の発生が少なく、ホルムアルデヒドの発散等級はF☆☆☆☆である。

18.8.2 コンクリート面、モルタル面、せっこうプラスタ一面、せっこうボード面、その他ボード面等のつや有合成樹脂エマルションペイント塗り

(1) 材 料
(ア) 合成樹脂エマルションシーラー

JIS K 5663(合成樹脂エマルションペイント及びシーラー)に規定される品質のものとする。

(イ) つや有合成樹脂エマルションペイント(JIS K 5660)

JIS K 5660に規定されており、合成樹脂エマルションと着色顔料、体質顔料、補助剤、添加剤等から構成される水系塗料である。

水による希釈が可能で、水を加えて塗料に流動性をもたせることができ、臭気が少なく溶剤の揮散による大気汚染や中毒の危険性が少ない塗料である。そのため、従来のアクリル樹脂エナメルを使用していた部位に使われるようになってきている。

塗付された塗料は、水分が蒸発するとともに樹脂粒子が接近融着して連続塗膜を形成する。気温 –5℃以下では凍結するため、低温保管を避ける。また、気温 5℃以下では施工を避ける。

塗装用具や塗膜硬化機構は、9節に述べる「合成樹脂エマルションペイント」と同様であり、一度硬化乾燥すると表面光沢のある耐水性を有する塗膜になる。

(2) 塗 装

(ア) 「標仕」では、天井面等の見上げの部分においては、外観上特に問題がないため、工程3「研磨紙ずり」を省略することとしている。

(イ) コンクリート面に、つや有合成樹脂エマルションペイント塗りを適用する場合の素地ごしらえは、「標仕」表18.2.5を適用する。

(ウ) 塗装方法は、はけ塗り、ローラーブラシ塗り、吹付け塗りのいずれかとする。

(エ) 塗料の塗付けは、同じ方向にそろえ、1日の工程終了は区切りのよい所まで塗装する。途中で終了したり塗り残したりすると、色むらや光沢むら等の仕上り外観に異常を生じることがある。

(オ) 希釈に使用する水は、水道水を標準として、水道水以外の水を使用する場合は、事前に各材料との適合性を確認する必要がある。

(カ) つや有合成樹脂エマルションペイントは水系塗料であるが、塗料の飛散、粉じんの吸入、皮膚や目への付着等、安全衛生に注意する。

(キ) 塗料の標準工程間隔時間及び標準最終養生時間を、表18.8.1に示す。

(ク) 各工程の工程間隔時間及び最終養生時間は、十分確保する。工程間隔時間及び最終養生時間が短いと研磨紙ずりの時に目詰りしたり、研磨目が出たりして、仕上り外観を損ねる場合がある。

(ケ) 下塗りに用いる合成樹脂エマルションシーラーは、上塗塗料の製造所の指定する水系塗料とする。

表18.8.1 つや有合成樹脂エマルションペイント渡りの標準工程間隔時間及び標準最終養生時間

18.8.3 木部のつや有合成樹脂エマルションペイント塗り

(1) 材 料
(ア) 合成樹脂エマルションシーラー

 18.8.2(1)(ア)を参照する。

(イ) 合成樹脂エマルションパテ(JIS K 5669)

 JIS K 5669に規定される耐水形薄付け用とする。

(ウ) つや有合成樹脂エマルションペイント

 18.8.2(1)(イ)を参照する。

(2) 塗 装

(ア) 上塗りとの適合性を確保するため、合成樹脂エマルションシーラーはつや有合成樹脂エマルションペイントの製造所が指定する水系塗料とする。

(イ) 合成樹脂エマルションパテの耐水性は、エポキシ樹脂パテのような反応硬化形樹脂パテと比較すると、十分ではない。したがって、塗膜のふくれやはがれを防止するために、浴室や洗面所等の水回り部分への適用は避ける。

(ウ) 塗料の標準工程間隔時間及び標準最終養生時間を表18.8.2に示す。

表18.8.2 木部のつや有合成樹脂エマルションペイント塗りの標準工程間隔時間及び標準最終養生時間

18.8.4 鉄鋼面のつや有合成樹脂エマルションペイント塗り

(1) 材 料
(ア) 鉛・クロムフリーさび止めペイント2種

 18.3.2(2)(ア)を参照する。

(イ) 水系さび止めペイント

 18.3.2(2)(ウ)を参照する。

(ウ) つや有合成樹脂エマルションペイント

 18.8.2(1)(イ)を参照する。

(2) 塗 装

(ア) 水系さび止めペイント又は鉛・クロムフリーさび止めペイント2種の性能を発揮させるためには、素地ごしらえを十分に行い、鉄鋼面に良くなじませるように塗装する。

(イ) 塗料の標準工程間隔時間及び標準最終養生時間を、表18.8.3に示す。

表18.8.3 鉄鋼面のつや有合成樹脂エマルションペイント塗りの標準工程間隔時間及び標準最終養生時間

18.8.5 亜鉛めっき鋼面のつや有合成樹脂エマルションペイント塗り

(1) 材 料
(ア) 水系さび止めペイント

 18.3.2(2)(ウ)を参照する。

(イ) つや有合成樹脂エマルションペイント

 18.8.2(1)(イ)を参照する。

(2) 塗 装

塗料の標準工程間隔時間及び標準最終養生時間を、表18.8.4に示す。

表18.8.4 亜鉛めっき鋼面のつや有合成樹脂エマルションペイント塗りの標準工程間隔時間及び標準最終養生時間

18章 塗装工事 9節 合成樹脂エマルションペイント塗り(EP)

18章 塗装工事

9節 合成樹脂エマルションペイント塗り(EP)

18.9.1 一般事項

この節は、建築物の内外壁面や天井等のコンクリート面、モルタル面、せっこうプラスター面、せっこうボード面、その他ボード面等に対する合成樹脂エマルションペイント塗りに適用する。平滑で汎用的な着色仕上げを対象としている。

18.9.2 合成樹脂エマルションペイント塗り

「標仕」18.9.2では、合成樹脂エマルションペイント塗りは、表18.9.1により種別は特記による。特記がなければB種と規定している。美粧性が求められる場合には、中塗りの1回目のあとに研磨紙ずりを行い、2回目の中塗りを行うことで平滑性と塗膜の厚みを持たせた仕上げとなるA種を適用する。

(1)材 料
(ア) 合成樹脂エマルションシーラー

 18.8.2(1)(ア)を参照する。

(イ) 合成樹脂エマルションペイント

 JIS K 5663(合成樹脂エマルションペイント及びシーラー)に規定されており、合成樹脂エマルションをベースとして、着色顔料や体質顔料、補助剤、添加剤等 を加えた水系のつや消し塗料である。

水による希釈が可能で加水して塗料に流動性をもたせることができ、臭気が少なく溶剤揮散による大気汚染や中毒の危険性が少ない塗料である。

塗付された塗料は、水分が蒸発するとともに樹脂粒子が接近融着して、連続塗膜を形成する。気温 −5℃以下では凍結するため、低温保管を避ける。また、気温5℃以下では施工を避ける。

JISでは1種(主として外部用)及び2種(内部用)が規定されているが、「標仕」では1種のみをコンクリート面、モルタル面、せっこうプラスタ一面、せっこうボード面、その他ボード面等に適用している。その他木部の着色仕上げには使用可能であるが、金属面には使用できない。

(2) 塗 装

(ア) 塗料の標準工程間隔時間及び標準最終養生時間を、表18.9.1に示す。

(イ) (ア) 以外は、18.8.2(2)に準ずる。

表18.9.1 合成樹脂エマルションペイント塗りの標準工程間隔時間及び標準最終養生時間