014)屋上緑化には灌漑設備と排水を
屋上緑化は都市のヒートアイランド現象を抑え、CO2削減効果があると期待されている。地域によっては条例などで緑化面積を規定しているところもある。屋上緑化を積極的に活用・展開すると同時に、防水上のトラブルにも注意したい。
1.屋上緑化で防水を傷めない
屋上緑化によって防水を傷めてはならない。植栽時やメンテナンス時に防水を傷めないように、必ず防水の保護層(保護コンクリート)が必要である。さらに植物の根は水のあるところへ伸び、防水をも傷めることがある。これを防止するため、耐根層及び耐根保護層の敷設が必要である。
屋上緑化の土がパラペット(防水立上り部)に接すると漏水の原因になる。パラペットと植栽の縁石の間はメンテナンス用の空間を設け、防水立上りに水を近づけないようにする。
屋上の植栽
2.植栽の土壌深さと強風対策
植栽の高さによって育成最小土壌深さがある。屋上は風が強い。高木は支柱が必要である。高木でなくとも、根が張るまで支柱で保持していやると安定が早い。また、強風による樹木の枝折れ、飛散防止も検討する。
植栽の土壌深さ
3.潅水設備は必要不可欠
人による潅水が計画されているなら、近くに散水栓を設けるだけでよいが、そうでない場合は土の乾燥状況をセンサーが感知して、あるいはタイマーによって自動で潅水できるようにしたい。できれば雨水を溜めて、潅水に利用したい。
4.屋上緑化は排水・保水性と施肥などのメンテナンスが大事
屋上の植栽部の排水性を良くすることは重要である。屋上保護コンクリートから一段(3㎝程度)かさ上げして植栽部の排水勾配を設けると、排水性が良くなる。また、土は軽量で通気性が良く保水性も良いものを採用したい。
5.ルーフドレンの落葉対策
屋上庭園では、落葉や枯葉、砂や泥によってルーフドレンが詰まる可能性がある。清掃などのメンテナンスはもちろんであるが、ルーフドレンの手前に泥溜を設け、落葉よけストレーナー(SUS製メッシュ状の筒)などを設けることも必要である。
屋上の雨水排水路
落葉よけストレーナー