1級建築施工管理技士 設備工事 太陽光発電パネル設置時の注意点

建築品質 設備


95)太陽光発電パネル設置時の注意点

太陽光発電は再生可能エネルギーとして注目され、また余剰電気の買取り制度もあって、太陽光発電パネルが屋根や屋上に多く設置されるようになったが、強風による飛散や雨漏りがあってはならない。既存建物への太陽光発電パネルの設置は建築確認は不要であるが、建築基準法上の建築設備に該当するため、建物の高さに算入され、斜線制限や日影などの規制を受ける。

1.太陽光発電パネルは強風で飛散させない

太陽光発電パネルの架台は、構造耐力上主要な部分(機械基礎)に緊結する。(国土交通省告示第1447号)太陽光発電パネルにかかる風圧力は、建築の屋根として建築基準法告示によって算定し(018 風圧力の算定 参照)、支持構造部(以下架台)や基礎の設計は構造設計者の確認が必要である。

2.将来の防水メンテナンスを考慮する

太陽光発電パネルの寿命は約30年と言われている。防水は、一般的に10年保証されているが、10年経たなくても部分的にメンテナンスをすることもあれば、10年以上経ってから全面防水改修をすることもある。太陽光発電パネルを外さなくてもメンテナンスできるように独立型機械基礎とする。

3.既存建物屋上に太陽光発電パネルを設置する場合

既存建物の屋上に設置するときも、風圧力算定や構造耐力上主要な部分に緊結することや防水上の配慮は新築と同じである。既存建物の荷重条件や、防水仕様などによって条件がつくことになる。既存躯体から新たにコンクリートの機械基礎を立ちげて太陽光発電パネルの架台をアンカーボルトで固定するのが原則である。

独立型機械基礎に設置

防水層の保護コンクリートにあと施工アンカーで直接架台を取り付けるのは、既存防水層を貫通し漏水の原因となるだけでなく、保護コンクリートの強度やアンカーボルトの引抜き強度と耐久性に不安があるので採用しない。どうしても保護コンクリートの上で支持する場合は、風圧力に対して十分な強度と耐久性を満足する置き基礎とする。置き基礎は構造耐力上主要な部分と同等以上とみなすだけの荷重およびアンカーボルトの耐力が必要で、かつ既存躯体の荷重条件を満足するものとする。

防水保護層と一体置き基礎

太陽光発電パネル設置に対応した、メーカー既成の基礎や防水と一体になった基礎もある。採用に当たっては構造設計者も含めて十分に検討することが必要である。

4.太陽光発電パネルの反射光被害

2012年4月、横浜地裁で、屋根に載せた太陽光発電パネルからの反射光が隣家の受忍限度を超えるまぶしさであると認定され、太陽光発電パネルの撤去を命じた判例がある。太陽光発電パネル設置による反射光が、近隣に対する恐れがある時は、あらかじめ検討し、設置後の角度調整等もできるようにしておく。


置き基礎のパネル設置例


折板屋根のパネル設置例