76)モルタルが付着する防水がある
部屋の外壁際の床ビニルシートが湿気で剥がれる。
厨房の隣室の床と壁に染みができる。
これらは外部や隣室の水がコンクリート躯体に浸み込んで発生する。ひどいケースではコンクリート壁の足元から水が浸み出すケースもある。水がある側を防水しておく必要があるが、実際には下階に部屋がないため防水しないケースが多い。こういったケースでは、ポリマーセメント系の塗膜防水が有効である。ポリマーセメント系塗膜防水の特徴は、コンクリートに直接塗ることができ、モルタルが付着することである。また、微小クラックであれば追従するという利点もある。
1.コンクリート水槽の防水
防水の保護の必要がなく、水槽の壁が高くても施工できる。ポリマーセメント系塗膜防水は水槽の水質にほとんど影響がなく、クラックが発生して防水が切れても自閉する作用がある。
但し、雑排水槽の場合は、雨水や中水のみとし、その他の排水の場合は、流入水質を確認し、耐有機酸エポキシ樹脂系(D種)又はビニルエステル樹脂系(D種)のライニング工法とする。
雨水貯留槽の場合、ひび割れ追従性を重視しないのであれば、防水は不要である。
ビニルエステル樹脂系ライニング(D種)は厨房排水等、厳しい条件下の水槽に施すものである。
汚水槽は、エポキシ樹脂系ライニング工法(C種)とする。
2.地中の打継ぎ部
地中の打継ぎ部は目地を設けてシールする必要はない。シールしてもシールを打ち替えすることは不可能である。ポリマーセメント系塗膜防水で十分である。
但し、地下外壁(内部側)に施す塗膜防水はケイ酸質系を推奨する
(EVピットなど)
3.めったに雨がかからない半外部の廊下の防水
通常、防水の上に磁器質タイルを張る場合、アスファルト防水の上に保護コンクリートを打設してタイルを張ることになる。ほとんど雨がかからないようなところはアスファルト防水までの必要はない。こういうケースではポリマーセメント系塗膜防水を施した上にモルタルでタイルを張ることができる。
4.最下階の水洗いする床(厨房や浴室など)
最下階の場合、万一漏水したとしてもそれほど不都合が生じることはないが、躯体保護と隣室の防湿のためには防水しておく方が望ましい。
5.水拭きする便所等
水拭きであるので防水の必要はないが、万が一水が漏っては困るケースの防水等に適用できる。
6.水気のある部分と取合う切付け部
外部土間と外壁、外部スクリーン足元と内部、外部RC階段と外壁、水洗いする部屋と隣室RC壁などの取り合う切り付け部。