1級建築施工管理技士 二次検定 経験記述 仮設備

2-2.仮設備

1)仮設備の安全確保

建築工事における災害は、墜落によるものが圧倒的である。建築工事における事故のパレート図では、建築工事の約70%を墜落災害が占めていることを示している。したがって、墜落災害を防止することが最も重要である。

建築工事災害パレート図.jpg

墜落の原因の1位~10位までのは表のとおりである。
これらを参考にして記述する。

墜落災害ベスト10.jpg

2)仮設備の具体的な安全処置

◆墜落災害防止の具体的な処置

①高さ2m以上の作業床には、高さ75㎝以上の手すりと幅木を設ける。

②組立解体時の足場板は、3点支持とし、端部のはね出し10㎝以上20㎝以下とする。

③手すりがないときは、防網を張り、安全帯を用いて施工させる。

④足場の組立・解体には高さ5m以上で作業主任者を選任し、高さ5m未満のときは作業指揮者を選任して組立・解体をする。

◆ 飛来・落下災害防止の具体的な処置

①足場に養生シートやネットをすき間なく張る。

②外部足場に、高さ5m以内に防護棚を設ける。

③上下作業を禁止する。

④悪天候時は作業を中止する。

◆ 建設機械による災害防止の具体的な処置

①作業範囲の立入禁止措置をする。

②建設機械の始業点検を確実に行う。

③主たる用途外の使用を行わせない。

④運転者の資格の有無を免許証などで確認する。

◆ 足場・型枠倒壊災害防止の具体的な処置

①足場の建地間隔、足場の材料の強度など安定計算で確認する。

②地盤の不同沈下を防止するため、敷板または敷角を用いる。

③支柱の継手は、差込みまたは突合せとする。

④パイプサポートは3本以上継いで用いない。

3)仮設備の具体的な工程上の制約条件

仮設備は、工程の初期から最後まで設置しておくもので、施工計画時に各工程をよく検討して、途中、仮設備が工事の進捗の妨げとならないように材料置場、揚重機、運搬車の走行路、管理事務の効率化など、仮設物の配置により工事工程を大きく左右する。

このため、工程全体からみた仮設の配置やその寸法を、動線の確保などの制約条件を考慮して定める。

◆ 合理的な工程管理を満足する仮設備の具体的な配置

①事前に現場の地盤改良をするなどして、現場内通路を確保し、動線を考慮した仮設建築物の配置

②揚重に見合う能力をもつ揚重機械の適正配置

③動線、工程の進捗に適合する電力、水道、ガスなどの配置

④動線を考慮した運搬路の配置

◆ 合理的な工程管理を満足する仮設物の設置

①近隣を考慮した構造を有する安定した仮囲いの設置

②工程を満足する構造をもつ乗入れ構台の設置

③工程を満足する構造をもつ足場の設置

④漏電遮断装置、自動電撃防止装置を有する器械の設置

4)仮設備の具体的な工程上の制約条件

◆ 仮設電力設備の検討事項

①電力の引込み位置を定める。

②現場照明、加工用動力、揚重動力、溶接用電力、試運転調整用電力などの工程別電力の必要量を把握し、適正で合理的な電力計画を立案する。

スタッド溶接では思わぬ電力量が必要であり、注意する必要がある。

③本設電源を試運転調整で利用するときは受電日を定める。

◆ 給排水設備の検討事項

①給排水管の引込みの適正な位置を定める。

②各工程ごとの使用量とその累計から契約給水量を定める。

③現場からの汚水・汚泥の処理施設の配置、規模・構造を定める。