1級建築施工管理技士 令和04年 学科 問題1 解説

令和4年 1級建築施工管理技士 一次 解答 解説 問題1

(午前の部)令和4年6月 12 日(日)
問題番号 [ No.1 ]~ [ No.15 ]までの 15 問題のうちから、12 問題を選択し、解答してください。
[ No. 1 ]
換気に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1. 必要換気量は、1時間当たりに必要な室内の空気を入れ替える量で表される。
2. 温度差による自然換気は、冬期には中性帯より下部から外気が流入し、上部から流出する。
3. 全熱交換器は、冷暖房を行う部屋で換気設備に用いると、換気による熱損失や熱取得を軽減できる。
4. 室内の効率的な換気は、給気口から排気口に至る換気経路を短くするほうがよい。

答え

  4

[ 解答解説 ]

1.◯

必要換気量は、1時間当たりに必要な室内の空気を入れ替える量で表される。なお、必要換気量とは、室内空気の衛生を保つために、換気時に求められる必要な空気量のことを示す。

2.◯

温度差による自然換気は、冬期には中性帯より下部から外気が流入し、上部から流出する。なお、中性帯とは、ある高さにおいて室内外の圧力差がゼロになる部分をいう。

3.◯

全熱交換器とは、換気により失われる熱エネルギーの一部を回収するもので、全熱交換器を用いると、冷暖房時に換気による熱損失や熱取得を軽減できる。

4.×

令和2 No.1と類似の解答選択肢

給気口から排気口に至る換気経路を短くすると、取り込んだ新鮮な外気が空間内に行き渡ることなく、そのまま排出されるため換気効率は悪くなる換気経路は長くするほうがよい

[ No. 2 ]
伝熱に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1.  熱放射は、電磁波による熱の移動現象で、真空中においても生じる。
2. 壁体の含湿率が増加すると、その壁体の熱伝導率は小さくなる。
3.  壁体の熱伝達抵抗と熱伝導抵抗の和の逆数を、熱貫流率という。
4.  物質の単位体積当たりの熱容量を、容積比熱という。

答え
  2

 


[ 解答解説 ]

 


1.◯

 

熱放射は物体表面から射出される赤外線(電磁波)によって、熱が移動する現象である。放射による熱の移動には空気は必要ないため、真空中においても放射による熱移動は生じる。太陽の熱は、熱放射により真空の宇宙空間を通って地球に到達している。

 


2.×

 

壁体の含湿率が増加すると、その壁体の熱伝導率は大きくなる。含湿率は、含水率ともいい、材料に含まれる水分の割合を示す。また、熱伝導率とは、熱の伝わりやすさを示す値である。熱伝導率が大きいと断熱性が低くなる。(熱を通しやすくなる)水分は熱を通しやすい。

 


3.◯

 

熱伝導抵抗とは、熱の伝わりにくさを示す値のことである。また、熱伝達抵抗とは、熱の伝達のしにくさを表す値のことである。熱貫流率は、壁体の熱の通しやすさを示す値である。熱貫流率は、室内外の熱伝達抵抗と熱伝導抵抗の合計の逆数で表される。

 


4.◯

 

ある物体の温度を1K上昇させるのに必要な熱量 [ J/K ]熱容量という。

 

熱容量 = 比熱 [ J/g・K ](単位質量当たりの物質の熱容量)× 質量 (g)

 

で求められる。熱容量が大きいと熱しにくく、冷めにくいため、熱容量の大きな建物は、外気温度の変動に対する室内温度の変動が緩やかな変化となる。コンクリート造のような壁が厚く重いものほど熱容量は大きくなる。

[ No. 3 ]
音に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1.  音波は、媒質粒子の振動方向と波の伝搬方向が等しい縦波である。
2. 音速は、気温が高くなるほど速くなる。
3.  音波が障害物の背後に回り込む現象を回折といい、低い周波数よりも高い周波数の音のほうが回折しやすい。
4.  ある音が別の音によって聞き取りにくくなるマスキング効果は、両者の周波数が近いほどその影響が大きい。

答え  3

[ 解答解説 ]

1.◯

音波は、音の波を指し、媒質粒子(波動を伝搬する粒子)の振動方向と波の伝搬方向が等しい縦波である。

2.◯

音速は、気温が高くなるほど速くなる

1気圧下での乾燥空気で、0℃〜30℃付近ではおおよそ、次の式がなりたつ。

音速 [ m/s ] = 331.5 + 0.6T

T 温度 [ ℃ ]

3.×

音波が波の性質によって障害物の裏側まで回り込んで伝わる回折現象は、すき間の間隔や障害物の大きさが波長に比べて小さいと起こりやすい。また、高い周波数の音よりも低い周波数の音の方が回折しやすい

4.◯

マスキング効果とは、目的の音が別の音によって聞こえなくなる現象をいう。隠ぺい効果ともいう、それぞれの音の周波数が近いほど効果が大きくなり、低い音は高い音をマスキングしやすい。

[ No. 4 ]
鉄筋コンクリート造の建築物の構造計画に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1.  ねじれ剛性は、耐震壁等の耐震要素を、平面上の中心部に配置するよりも外側に均一に配置したほうが高まる。
2. 壁に換気口等の小開口がある場合でも、その壁を耐震壁として扱うことができる。
3. 平面形状 が極めて長い建築物には、コンクリートの乾燥収縮や不同沈下等による問題が生じやすいため、エキスパンションジョイントを設ける。
4.  柱は、地震時の脆性破壊の危険を避けるため、軸方向圧縮応力度が大きくなるようにする。

答え

  4

[ 解答解説 ]

1.◯

ねじれ剛性(ねじれの力に対する剛性)は、耐震壁等の耐震要素を、平面上の中心部に配置するよりも外側に均一に配置するほうが高まる。剛性より、ねじれ剛性の方が、柔軟性があるため、外側に配置する。

2.◯

耐力壁(耐震壁)の構造としては、建築基準法施行令第78条の2に定められており、耐力壁の構造は、第1項第二号で開口部周囲に径12mm以上の補強筋を配置することとある。したがって、壁に換気口等の小開口がある場合でも、定められた条件では、その壁を耐震壁として扱うことができる。

3.◯

平面形状が極めて長い建築物には、不同沈下等による問題が生じやすいため、エキスパンションジョイントを設ける。エキスパンションジョイントは、一般的には異なる構造計算による建物をつなぐものである。

4.×

柱は、地震時のぜい性破壊の危険を避けるため、軸方向圧縮応力度が小さくなるように計画する。軸力と曲げを同時に受ける柱の短期軸方向応力度は、Fc/3(Fcはコンクリートの設計基準強度 N/mm2)以内におさめることが望ましい。

[ No. 5 ]
木質構造に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1. 同一の接合部にボルトと釘を併用する場合の許容耐力は、両者を加算することができる。
2. 2階建ての建築物における隅柱は、接合部を通し柱と同等以上の耐力を有するように補強した場合、通し柱としなくてもよい。
3. 燃えしろ設計は、木質材料の断面から所定の燃えしろ寸法を除いた断面に、長期荷重により生じる応力度が、短期の許容応力度を超えないことを検証するものである。
4. 直交集成板(CLT)の弾性係数、基準強度は、強軸方向であっても、一般的な製材、集成材等の繊維方向の値と比べて小さくなっている。

答え
  1

 

[ 解答解説 ]

 


1.×

 

ボルト接合では、材がすべってボルト軸にぶつかるまで(初期すべり)、ボルトは効かない。一方釘接合では、材が動かなくても初めから効いている。釘とボルトを併用すると、材がすべらずにボルトが効かない恐れがある。よって、単純にボルトと釘の耐力を足し算することはできない

 


2.◯

 

階数が2以上の建築物における隅柱またはこれに準ずる柱は、通し柱としなければならない。ただし、接合部を通し柱と同等以上の耐力を有するように補強した場合においてはこの限りでない。(建築基準法施行令第43条第5項)

 


3.◯

 

燃えしろ設計とは、木質材料の断面から所定の燃えしろ寸法を除いた断面に、長期荷重により生じる応力度が、短期の許容応力度を超えないことを検証する方法である。

 


4.◯

 

直交集成板(CLT)は、ひき板(ラミナ)を幅方向に並べたものを、その繊維方向が直交するように積層接着した木質系材料である。一般的な製材の繊維方向の値と比べ、弾性係数や基準強度は小さい

[ No. 6 ]
鉄骨構造に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1. 梁の材質をSN 400A からSN 490B に変えても、部材断面と荷重条件が同一ならば、構造計算上、梁のたわみは同一である。
2.  節点の水平移動が拘束されているラーメン構造では、柱の座屈長さは、設計上、節点間の距離に等しくとることができる。
3. トラス構造の節点は、構造計算上、すべてピン接合として扱う。
4. 柱脚に高い回転拘束力をもたせるためには、根巻き形式ではなく露出形式とする。

答え

  4


[ 解答解説 ]


1.◯

梁の変形は曲げ、圧縮、せん断変形のいずれも荷重条件、部材断面が同じであれば、ヤング係数に比例する。鋼材のヤンク係数は、材料に関係なく、2.05 × 105 N/mm2一定であり、材質を変えてもたわみは変わらない。SN400A とSN490Bでは、強度は異なるが同じ鋼材である。部材断面と荷重条件が同一ならば、梁のたわみは同一である。

2.◯

座屈とは、縦長の部材が縦方向に圧縮荷重を受けたとき、限度を超えて横方向に曲がる現象をいう。座屈長さとは、部材の座屈が生じる部分の長さをいう。節点の水平移動が拘束され、回転に対して両端自由なラーメン構造の柱の場合、座屈長さは設計上、節点間の距離となる。

3.◯

鉄骨造におけるトラス構造の節点は、構造計算上、すべてピン接合として扱う。

4.×

柱脚には、露出柱脚、根巻き柱脚、埋込み柱脚がある。柱脚の固定度(回転拘束)の大小関係は、露出柱脚 < 根巻き柱脚 < 埋込み柱脚である。露出柱脚より根巻き柱脚の方が高い回転拘束力をもつ

[ No. 7 ]
地盤及び基礎構造に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1.  圧密沈下の許容値は、独立基礎のほうがべた基礎に比べて大きい。
2.  粘性土地盤の圧密沈下は、地中の応力の増加により長時間かかって土中の水が絞り出され、間隙が減少するために生じる。
3.  直接基礎の滑動抵抗は、基礎底面の摩擦抵抗が主体となるが、基礎の根入れを深くすることで基礎側面の受動土圧も期待できる。
4.  地盤の液状化は、地下水面下の緩い砂地盤が地震時に繰り返しせん断を受けることにより間隙水圧が上昇し、水中に砂粒子が浮遊状態となる現象である。

答え
  1

 


[ 解答解説 ]

 


1.×

 

独立基礎は圧密により不同沈下を生じやすいが、べた基礎は建物と基礎が一体となっているため、不同沈下は生じにくい。圧密沈下の許容値は、独立基礎の方がべた基礎に比べて小さい

2.◯

圧密沈下とは、粘性土地盤が荷重を受け、土中の水が排出されて体積が減少することにより沈下する現象をいう。直接基礎下における粘性土地盤の圧密沈下は、地中の応力の増加により、長時間かかって徐々に土中の水が絞り出されて、間隙が減少するために生じる

3.◯

滑動抵抗とは、基礎底面が土圧により水平に移動しようとする力に抵抗することをいう。根入れを深くすることにより、基礎底面の摩擦抵抗が大きくなり抵抗力があがるとともに、基礎側面の受動土圧も期待できる。

4.◯

地盤の液状化は、地震時に地下水面下の緩い砂地盤が振動を受け、地盤が液体状になる現象である。地盤上の比重の大きい構造物が倒れたり、比重の小さい構造物が浮き上がったりする。

[ No. 8 ]
建築物に作用する荷重及び外力に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1. 風圧力を求めるために用いる風力係数は、建築物の外圧係数と内圧係数の積により算出する。
2. 雪下ろしを行う慣習のある地方において、垂直積雪量 が1m を超える場合、積雪荷重は、雪下ろしの実況に応じ垂直積雪量を1m まで減らして計算することができる。
3.  劇場、映画館等の客席の単位床面積当たりの積載荷重は、実況に応じて計算しない場合、固定席のほうが固定されていない場合より小さくすることができる。
4. 速度圧の計算に用いる基準風速は、原則として、その地方の再現期間 50年の 10分間平均風速値に相当する。

答え

  1

[ 解答解説 ]

1.×

風力係数Cfは、次式により求める。

 Cf = Cpe ー Cpi

 Cpe:建物の外圧係数

 Cpi:建物の内圧係数

風力係数は、建築物の外圧係数と内圧係数の積ではなく、差によって算出する。(建築基準法施行令第87条及び平成12年建設省告示1454号第3)

2.◯

雪下ろしを行う慣習のある地方において、垂直積雪量 が1m を超える場合、積雪荷重は、雪下ろしの実況に応じ垂直積雪量を1m まで減らして計算することができる。(建築基準法施行令第86条第6項)

3.◯

例えば、床の構造計算に用いる積載荷重は、劇場、映画館等の固定席の場合、2,900N/m2その他の場合3,500N/m2であり、客席の積載荷重は、固定席の方が固定されていない場合より小さい。

4.◯

建築基準法施行令第87条第2項に基づいた告示に、速度圧の算出等に用いる基準風速V0は、その地方における過去の台風の記録に基づく風害の程度その他の風の性状に応じて、毎秒30mから46mの範囲内に定められている。これは、その地方の50年再現期間(1年間の発生確率が 1/50)の10分間平均風速値に相当する。

[ No. 9 ]
図に示す3ヒンジラーメン架構の AD間及び DC 間に集中荷重 が同時に作用するとき、支点B に生じる水平反力 HB 、鉛直反力 VB の値 の大きさの組合せとして、正しいものはどれか。
R04_09_3ヒンジラーメン架構.jpg
1. HB = 2kN、VB = 6kN
2. HB = 3kN、VB = 9kN
3. HB = 4kN、VB = 12kN
4. HB = 5kN、VB = 15kN

答え

  1

[ 解答解説 ]

R04_09_3ヒンジラーメン架構.Ans.jpg

点Aにおけるモーメントは

MA = −6kN × 2m − 6kN × 4m + VB × 6m = 0

  −12 − 24 − 6VB = 0

       6VB = −36

        VB = −6 kN(上向き)

点Cにおける右側モーメントは

Mc右 = VB × 2m − HB × 6m= 0

    2VB − 6HB= 0

       6HB=2VB

VB = −6 より  HB=2 kN(左向き)

ゆえに、正答は1となる。

[ No.10 ]
図に示す単純梁 AB のCD 間に等分布荷重 w が、点Eに集中荷重 P が同時に作用するときの曲げモーメント図として、正しいものはどれか。ただし、曲げモーメントは、材の引張側に描くものとする。
R04_10_単純梁への荷重.jpg
R04_10_単純梁のモーメント図.jpg

答え
  2

[ 解答解説 ]

力は合成・分解することができる。

等分布荷重 w= 2kN/mによる力と

集中荷重 P = 6kN

とに分けて考えると次のようになる。

R04_10_単純梁のモーメントの合成.jpg

ゆえに、解答は2番が想定される。

[ No.11 ]
鋼材に関する一般的な記述として、最も不適当なものはどれか。
1. ある特定の温度以上 まで加熱した後、急冷する焼入れ処理により、鋼は硬くなり、強度が増加する。
2. 鋼は、炭素量が多くなると、引張強さは増加し、靱性は低下する。
3. SN 490B やSN 490C は、炭素当量等の上限を規定して溶接性を改善した鋼材である。
4. 低降伏点鋼は、モリブデン等の元素を添加することで、強度を低くし延性を高めた鋼材である。

答え

  4

[ 解答解説 ]

1.◯

鋼材の熱処理には、焼入れ、焼戻し、焼なまし、焼ならしがある。焼入れは、ある特定の温度以上まで鋼を加熱した後、急冷する方法である。効果は鋼が硬くなり。強度が増加する。

2.◯

鋼は、炭素量が多くなると、引張強さは増加し、伸びや靭性は低下する。炭素量が少なくなると、粘りが増大し、加工しやすくなる。

3.◯

SN材は、建築構造用圧延鋼材で、溶接性の保証の有無板厚方向の引張特性の保証等を強度区分の末尾記号 A,B,Cで表示する。A種は溶接を行わない部材に使用される。B種及びC種は、塑性変形性能と溶接性の確保が要求される部材に使用されるので、JISにより化学成分、炭素当量の上限等が規定されている。

4.×

低降伏点鋼(LY100,LY225)は、添加元素を極力減らした純鉄に近い鋼で、軟鋼に比べて強度は低いが、延性が極めて高いため、塑性変形によるエネルギーの吸収が必要な制振ダンパー等に用いられる

[ No.12 ]
左官材料に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1.  しっくいは、消石灰を主たる結合材料とした気硬性を有する材料である。
2.  せっこうプラスターは、水硬性であり、主に多湿で通気不良の場所の仕上げで使用される。
3.  セルフレベリング材は、せっこう組成物やセメント組成物に骨材や流動化剤等を添加した材料である。
4. ドロマイトプラスターは、保水性が良いため、こて塗りがしやすく作業性に優れる。

答え

  2

[ 解答解説 ]

1.◯

しっくい(漆喰)とは、水酸化カルシウム(消石灰)を主成分とする建築材料で、気硬性を有し、左官材料などに使用される。

2.×

せっこうプラスターやドロマイドプラスターは空気中の湿気を吸い取る性質があるため浴室や外壁にはむかない。また、せっこうプラスターは、自硬性セメントに属し、主成分は焼せっこうである。したがって、硬化が早く、比較的強度もあり、収縮ひび割れが生じにくい

3.◯

セルフレベリング材は、せっこう組成物やセメント組成物に骨材や流動化剤等を添加し、セルフレベリング性を付与し、これを床面に流し簡単に均すだけで平坦・平滑で精度の高い床下地をつくるものである。

4.◯

ドロマイトとは、炭酸カルシウムと炭酸マグネシウムを主成分とした鉱物をいい、左官材料に用いられる。ドロマイトを用いたドロマイトプラスターは、粘性があり、保水性がよい。そのため、こて塗りがしやすく作業性に優れる

[ No.13 ]
建築用板ガラスに関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1. フロート板ガラスは、溶融した金属の上に浮かべて製板する透明、かつ、平滑なガラスである。
2.  複層ガラスは、複数枚の板ガラスの間に間隙を設け、大気圧に近い圧力の乾燥気体を満たし、その周辺を密閉したもので、断熱効果のあるガラスである。
3. 熱線吸収板ガラスは、板ガラスの表面に金属皮膜を形成したもので、冷房負荷の軽減の効果が高いガラスである。
4. 倍強度ガラスは、フロート板ガラスを軟化点まで加熱後、両表面から空気を吹き付けて冷却加工するなどにより、強度を約2倍に高めたガラスである。

答え

  3

[ 解答解説 ]

1.◯

フロート板ガラスは、溶融した金属の上に浮かべて(フロートさせて)製板する透明、かつ、平滑なガラスである。一般的な板ガラスを指し、1.9mm、2.5mmなどの薄いガラスから、22mm、25mmなどの厚いガラスが製板できる。

2.◯

複層ガラスは、複数枚の板ガラスの間に間隙を設け、大気圧に近い圧力の乾燥気体を満たし、その周辺を密閉したもので、冷房負荷の軽減、結露防止、断熱効果のあるガラスである。

3.×

熱線吸収板ガラスは、太陽放射熱を吸収させるためガラスの原料の中にニッケル、コバルト、鉄などを入れてあり、熱割れを起こしやすい。なお、板ガラスの表面に金属皮膜を形成したもので、冷房負荷の軽減の効果が高いのは、熱線反射ガラスである。

4.◯

倍強度ガラスは、フロート板ガラスを軟化点まで加熱後、両表面から空気を吹き付けて冷却加工するなどにより、ガラス表面に適切な大きさの圧縮応力層をつくる。強度を約2倍に高め、かつ、破損した時に細片となるようにしたガラスである。

[ No.14 ]
建築用シーリング材に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1. シーリング材のクラスは、目地幅に対する拡大率及び縮小率で区分が設定されている。
2.  1成分形シーリング材の硬化機構には、湿気硬化、乾燥硬化及び非硬化がある。
3. 2面接着とは、シーリング材が相対する2面で被着体と接着している状態をいう。
4. 2成分形シーリング材は、基剤と着色剤の2成分を施工直前に練り混ぜて使用するシーリング材である。

答え

  4

[ 解答解説 ]

1.◯

シーリング材のクラスは、JIS(日本産業規格)により、目地幅に対する拡大率及び縮小率で区分が設定されている。(JIS A5758)

2.◯

1成分形シーリング材は、あらかじめ施工に供する状態で調整されている成分形シーリング材である。硬化機構には、湿気硬化(シリコーン系、変成シリコーン系、ポリサルファイド系、ポリウレタン系)、乾燥硬化(エマルションタイプ(アクリル系、SBR系)、溶剤タイプ(ブチルゴム系))及び非硬化(油性コーキング)がある。

3.◯

2面接着とは、シーリング材が相対する2面で被着体と接着している状態をいう。2面接着はワーキングジョイントに適しており、バックアップ材やボンドブレーカーが用いられる。

4.×

2成分形シーリング材は、施工直前に基剤と硬化剤を調合し、練り混ぜて使用するシーリング材をいう。基剤と着色剤ではない。

[ No.15 ]
内装材料に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1.  コンポジションビニル床タイルは、単層ビニル床タイルよりバインダー含有率を高くした床タイルである。
2. 段通は、製造法による分類では、織りカーペットの手織りに分類される。
3. ロックウール化粧吸音板は、ロックウールのウールを主材料 とし、結合材、混和材を用いて成形し、表面化粧をしたものである。
4.  強化せっこうボードは、せっこうボードの芯に無機質繊維等を混入したもので、性能項目として耐衝撃性や耐火炎性等が規定されている

答え

  1

[ 解答解説 ]

1.×

コンポジションビニル床タイルは、単層ビニル床タイルよりバインダー含有率(含有量)が低い。バインダー含有率は、単層ビニル床タイルが30%以上、コンポジションビニル床タイルが30%未満である。バインダーとは、ビニル樹脂に可塑剤安定剤を加えたものである。(建築工事監理指針)

2.◯

段通とは、厚手の手織りで作られた織物で、カーペットの一種である。なお、織りカーペットは手織り機械織りがある。

3.◯

ロックウール化粧吸音板は、人造鉱物繊維のロックウールを結合材及び混和材を用いて成形し、表面を化粧加工した吸音板をいう。

4.◯

強化せっこうボードは、せっこうボードの芯にガラス繊維などの無機質繊維を混入したもので、性能項目として耐衝撃性や耐火炎性等が規定されている

1級建築施工管理技士 令和04年 学科 問題2 解説

令和4年 1級建築施工管理技士 一次 解答 解説 問題2

(午前の部)令和4年6月12日(日)
 問題番号 [ No.16 ] ~ [ No.20 ]までの5問題は、全問題を解答してください。
[ No.16 ]
構内アスファルト舗装に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1. 設計CBR は、路床の支持力を表す指標であり、修正CBR は、路盤材料の品質を表す指標である。
2. 盛土をして路床とする場合は、一層の仕上り厚さ 300mm 程度ごとに締め固めながら、所定の高さに仕上げる。
3. アスファルト混合物の締固め作業 は、一般に継目転圧、初転圧、二次転圧、仕上げ転圧の順に行う。
4. 初転圧は、ヘアクラックの生じない限りできるだけ高い温度とし、その転圧温度は、一般に 110~140 ℃ の間で行う。

答え

  2

[ 解答解説 ]

1.◯

設計CBR(California Bearing Ratio) は、アスファルト舗装やコンクリート舗装を決定するために用いられる路床の支持力を表す指標であり、修正CBR は、最大乾燥密度の95%に締め固めたものに対するCBR路盤材料の品質を表す指標である。

2.×

切土の施工においては、路床表面から30cm程度以内の木根/転石などの不均質な物質を除去し、山側からの浸透水などを考慮して、山側に地下排水施設を設置する。

盛土の施工においては、1層当たりの敷均し厚さは25~30cm程度、締固め後の仕上がり厚さは200mm以下とされている。

3.◯

アスファルト混合物の締固め作業 は、継目転圧→初転圧→二次転圧→仕上げ転圧の手順で実施する。

4.◯

初転圧は、ヘアクラックの生じない限りできるだけ高い温度とし、その転圧温度は、一般に 110~140 ℃ の間で行う。なお、二次転圧終了温度は 70~90℃交通解放時の表面温度は50℃以下で行う。

[ No.17 ]
避雷設備に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1. 受雷部は、保護しようとする建築物の種類、重要度等に対応した4段階の保護レベルに応じて配置する。
2.  避雷設備は、建築物の高さが 20mを超える部分を雷撃から保護するように設けなければならない。
3. 危険物を貯蔵する倉庫は、危険物の貯蔵量や建築物の高さにかかわらず、避雷設備を設けなければならない。
4.  鉄骨造の鉄骨躯体は、構造体利用の引下げ導線の構成部材として利用することができる。

答え

  3

[ 解答解説 ]

1.◯

避雷設備は、受雷部システム引下げ導線システム接着システムで構成される。雷撃を受ける受雷部システムの配置は、保護しようとする建築物の種類、重要度等に対応した4段階の保護レベルに適合しなければならない。(JIS A4201)

2.◯

高さが 20mを超える建築物は、原則として、雷撃から保護するように避雷設備を設けなければならない。(建築基準法第33条)

3.×

指定数量の10倍以上の危険物の貯蔵倉庫には、総務省令で定める避雷設備を設ける。ただし、周囲の状況によって安全上支障がない場合においては、この限りではないと規定されている。(危険物の規制に関する政令第10条第1項第十四号)なお、総務省令に定める避雷設備とは、JIS A 4201(建築物等の雷保護)に適合するものである。

4.◯

受雷部システムで受けた雷撃を接着システムに導く引き下げ導線システムは、被保護物に沿って避雷導線を引き下げる方法によるもののほか、要件を満たす場合には、被保護物の鉄筋または鉄骨を引下げ導線の構成部材として利用することができる。

[ No.18 ]
空気調和設備に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1. 空気調和機は、一般にエアフィルタ、空気冷却器、空気加熱器、加湿器、送風機等で構成される装置である。
2. 冷却塔は、温度上昇した冷却水を、空気と直接接触 させて気化熱により冷却する装置である。
3.  二重ダクト方式は、2系統のダクトで送られた温風と冷風を、混合ユニットにより熱負荷に応じて混合量を調整して吹き出す方式である。
4. 単一ダクト方式におけるCAV方式は、負荷変動に対して風量を変える方式である。

答え

  4

[ 解答解説 ]

1.◯

空気調和機は、室内に湿温度を調整した空気を送る機器をいう。一般にエアフィルタ、空気冷却器、空気加熱器、加湿器、送風機等で構成される装置である。

2.◯

冷却塔は、冷凍機内で温度上昇した冷却水を、空気と直接接触させて、一部の冷却水を蒸発させ、気化熱により残りの冷却水の温度を低下させる装置である。

3.◯

二重ダクト方式とは、冷風ダクトと温風ダクトの2系統のダクトで送られた冷風と温風を、吹出し口近傍の混合ユニットにより混合し、各所に吹き出す方式である。

4.×

単一ダクト方式におけるCAV方式は、室内に吹き出す空気量が一定で、冷房負荷に応じて吹き出す空気の温度を変えることにより室温を調整する方式である。吹出し風量が一定のため、各室ごとの負荷変動に対しては対応できない。設問は、VAV方式の説明である。

[ No.19 ]
消火設備に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1. 屋内消火栓設備は、建物の内部に設置し、人がノズルを手に持ち、火点に向けてノズルより注水を行い、冷却作用により消火するものである。
2. 閉鎖型ヘッドを用いる湿式スプリンクラー消火設備は、火災による煙を感知したスプリンクラーヘッドが自動的に開き、散水して消火するものである。
3. 不活性ガス消火設備は、二酸化炭素等の消火剤を放出することにより、酸素濃度の希釈作用や気化するときの熱吸収による冷却作用により消火するものである。
4. 水噴霧消火設備は、噴霧ヘッドから微細な霧状の水を噴霧することにより、冷却作用と窒息作用により消火するものである。

答え

  2

[ 解答解説 ]

1.◯

屋内消火栓設備は、建物の内部に設置され、人がノズルを手に持ち、火点に向けてノズルより放水することにより、水の有する冷却作用により消火するものである。

2.×

スプリンクラーは、火災の際の熱等によって自動的にヘッドから散水し消火を行うものであり、煙感知とは関係がない。

閉鎖型とは水の出口が常に閉じられているものをいい、湿式、乾式、予作動式の3種類がある。

湿式(一般ビル向)

配管内に水が充満している方式で、スプリンクラーヘッドの感熱部の可溶片が、熱のために溶けてシール部分が開き、湿式流水検知装置が作動して放水する。冬期配水管の凍結の恐れのない部分に使用する。

乾式(寒冷地工場向)

乾式流水検知装置の二次側の配管部を加圧空気で満たし、スプリンクラーヘッドの感熱部の作動により加圧空気を放出し、乾式流水検知装置が作動して放水する方式。冬期凍結のおそれのある部分等に用いられる。

予作動式(病院、共同住宅、重要文化財、建電算機室など)

火災感知器等の作動により、予作動式流水検知装置が開放し、スプリンクラー配管中に圧力水を送り、更に加熱によるスプリンクラーヘッドの作動により放水を開始する。

※予作動式とはヘッドと火災感知器等の両方が作動しない限り放水しない。

開放型は劇場の舞台部などに使用され、火災感知器等と連動して作動するか、又は手動によって一斉開放弁を開いて放水する方式である。

3.◯

不活性ガス消火設備は、二酸化炭素等の消火剤を放出することにより、酸素濃度の希釈作用や気化するときの熱吸収による冷却作用により消火する設備である。消火剤がガスなので消火後の汚損は少なく、電気や油火災及び水損を嫌うコンピューターや電気通信機室あるいは図書館や美術館等に設置される。

4.◯

水噴霧消火設備は、噴霧ヘッドから微細な霧状の水を噴霧することにより、冷却作用と窒息作用により消火する消火設備ある。汚損や腐食性ががあり、博物館や図書館の収蔵庫などには適さない。指定可燃物の貯蔵取扱所、駐車場等、屋内消火栓やスプリンクラー設備で消火できない防火対象物に用いる。

[ No.20 ]
積算に関する次の工事費の構成において、[ A ] 、[ B ] に当てはまる語句の組合せとして、「公共建築工事積算基準(国土交通省制定)」  上、正しいものはどれか。
R04_20_工事費の構成.jpg
1. A.工事原価  B.共通仮設費
2. A.工事原価  B.直接仮設費
3. A.現場工事費 B.共通仮設費
4. A.現場工事費 B.直接仮設費

答え

  1

[ 解答解説 ]

R04_20_工事費の構成(国土交通省).jpg

公共建築工事算定基準

工事費は、工事価格と消費税等相当額とに分かれ、工事価格は、工事原価と一般管理費等に分別される。また、当該工事原価は、純工事費と現場管理費に分かれ、純工事費は、直接工事費と共通仮設費に分別される。

1級建築施工管理技士 令和04年 学科 問題3 解説

令和4年 1級建築施工管理技士 一次 解答 解説 問題3

(午前の部)令和4年6月 12 日(日)
問題番号 [ No.21 ] ~ [ No.30 ]までの 10問題のうちから、7問題を選択し、解答してください。
[ No.21 ]
乗入れ構台の計画に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1. 乗入れ構台の支柱と山留めの切梁支柱は、荷重に対する安全性を確認した上で兼用した。
2. 道路から乗入れ構台までの乗込みスロープは、勾配を 1/8 とした。
3.  乗入れ構台の支柱の位置は、使用する施工機械や車両の配置によって決めた。
4.  乗入れ構台の幅は、車両の通行を2車線とするため、7m とした。

答え

  3

[ 解答解説 ]

1.◯

乗入れ構台の支柱と山留めの切梁支柱を兼用する場合は、荷重に対する安全性を確認する

2.◯

道路から乗入れ構台までの乗込みスロープの勾配は、一般に 1/10 〜 1/6 とする。

3.×

乗入れ構台の支柱の位置は、地下構造図と重ね合わせるなどして、基礎梁、柱、梁等の位置と重ならないように配置して決める。

4.◯

乗入れ構台の幅は、使用する施工機械、車両・アウトリガーの幅、配置及び動線等により決定する。通常、計画される幅員は、4〜10mである。最小限1車線で 4m、2車線で 6m程度は必要である。

[ No.22 ]
土工事に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1.  根切り底面下に被圧帯水層があり、盤ぶくれの発生が予測されたため、ディープウェル工法で地下水位を低下させた。
2. 法付けオープンカットの法面保護をモルタル吹付けで行うため、水抜き孔を設けた。
3.  粘性土地盤を法付けオープンカット工法で掘削するため、円弧すべりに対する安定を検討した。
4.  ヒービングの発生が予測されたため、ウェルポイントで掘削場内外の地下水位を低下させた。

答え

  4

[ 解答解説 ]

1.◯

ディープウェル工法とは、根切り部内あるいは外部に径500〜1,000mmの菅を打ち込み、帯水層を削孔して、径300〜600mmのスクリーン付き井戸ケーシング管を設置てウェルとし、水中ポンプあるいは水中モーターポンプで帯水層の地下水を排水する工法である。盤ぶくれの防止対策として用いられる工法である。

※盤ぶくれの発生が事前の検討により予測された場合の対策

①掘削底面(不透水層)下の地下水位(圧)をディープウェル等によって低下させる。

②止水性の山留め壁を延長し、被圧帯水層の下の不透水層に根入れする。

③掘削場内を地盤改良し、地下水を遮断し土被り圧を増加させる。

2.◯

法付けオープンカット工法とは、安定な斜面を残して掘削する方法で、建物の周囲が広い場合に適用される。法付けオープンカット工法の法面は雨水、乾燥の繰り返しにより崩れやすくなっているため、モルタル吹付け、シート張り、集水・排水溝により法面を保護する。モルタル吹付けとする場合、法面に水抜き孔を設ける

3.◯

法付けオープンカット工法のすべり面の形状が経験的に円形に近いことから、粘性土地盤では、円弧すべり面を仮定することが一般的である。

4.×

ウェルポイントで掘削場内外の地下水位を低下させるのは、砂質地盤におけるボイリング発生防止の対策である。粘性土地盤で発生するヒービングの発生防止には有効ではない

[ No.23 ]
山留め工事の管理に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1.  傾斜計を用いて山留め壁の変形を計測する場合には、山留め壁下端の変位量に注意する。
2. 山留め壁周辺の地盤の沈下を計測するための基準点は、工事の影響を受けない付近の構造物に設置する。
3. 山留め壁は、変形の管理基準値を定め、その計測値が管理基準値に近づいた場合の具体的な措置をあらかじめ計画する。
4.  盤圧計は、切梁と火打材との交点付近を避け、切梁の中央部に設置する。

答え

  4

[ 解答解説 ]

1.◯

傾斜計を用いる方法は、山留め壁設置直後から変形測定ができるので、よい方法であるが、不動点を壁下端とすることが多いため、壁下端が動いた場合、測定値の確からしさが損なわれるので注意が必要である。

2.◯

山留め壁周辺の地盤の沈下を計測するための基準点は、山留め壁から離れた不動点とみなせる位置に設ける

3.◯

山留め壁は、変形の管理基準値を定め、その計測値が管理基準値に近づいた場合の具体的な措置をあらかじめ計画する。変形の管理基準値と具体的な措置については、特に確立されたものはないが、公共建築工事標準仕様書で以下のように記されている。

「山留め設置期間中は、常に周辺地盤及び山留めの状態について、点検及び計測する。異常を発見した場合は、直ちに適切な措置を講じ、監督職員に報告する。」(公共建築工事標準仕様書建築工事編 3.3.2)

4.×

切梁にかかる軸力は、端部より中央部の方が低くなるため、盤圧計(油圧式荷重計)を切梁の中央部に設置しても、正確に軸力を計測できない。また、安全上の点からも好ましくない。油圧式荷重計は、火打梁の基部や腹起しと切梁の接合部に設置するのが好ましい。

29-23盤圧計の位置.jpg

[ No.24 ]
場所打ちコンクリート杭地業に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1.  コンクリートの打込みにおいて、トレミー管のコンクリート中への挿入長さが長すぎると、コンクリートの流出が悪くなるため、最長でも 9m程度とした。
2. アースドリル工法における鉄筋かごのスペーサーは、孔壁を損傷させないよう、平鋼を加工したものを用いた。
3. オールケーシング工法における孔底処理は、孔内水がない場合やわずかな場合にはハンマーグラブにより掘りくずを除去した。
4.  リバース工法における孔内水位は、地下水位より1m 程度高く保った。

答え

  4

[ 解答解説 ]

1.◯

コンクリートの打込みにおいて、トレミー管のコンクリート中への挿入長さが長すぎると、コンクリートの流出が悪くなるため、最長でも 9m程度とする。(建築工事監理指針)

2.◯

ケーシングチューブを用いる場合(オールケーシング工法)、スペーサーはD13以上の鉄筋を用いる。ケーシングチューブを用いない場合(アースドリル工法、リバース工法及びBH工法)は、鉄筋であると孔壁を破損するので、杭径 1.2m以下の場合は鋼板 4.5×38mm、杭径1.2mを超える場合は鋼板 4.5×50mm程度のものとする。

3.◯

オールケーシング工法における孔底処理は、孔内水がないか少量の場合には、掘削用のハンマーグラブを用いて、掘削時に底部に落下した堀りくずを除去する。

4.×

リバース工法は静水圧により孔壁の崩壊を防ぐ工法のため、掘削に際しては、孔内水位を地下水位より 2 m以上高く保持する。

[ No.25 ]
鉄筋のガス圧接に関する記述として、最も不適当なものはどれか。ただし、鉄筋は、SD 345 のD 29 とする。
1. 隣り合うガス圧接継手の位置は、300mm 程度ずらした。
2. 圧接部のふくらみの長さは、鉄筋径の 1.1 倍以上とした。
3. 柱 主筋のガス圧接継手位置は、梁上端から 500mm 以上、1,500mm 以下、かつ、柱の内法高さの 3/4 以下とした。
4. 鉄筋の中心軸の偏心量は、5mm 以下とした。

答え

  1

[ 解答解説 ]

1.×

隣り合うガス圧接継手の位置は、400mm 以上ずらさなければならない。

隣り合う重ね継手の中心位置は、重ね継手長さの約0.5倍又は1.5倍以上ずらす。

2.◯

圧接部のふくらみの長さは、鉄筋径の 1.1 倍以上とした。(公共建築工事標準仕様書建築工事編 5.4.4(イ))

3.◯

柱主筋のガス圧接継手位置は、梁上端から500mm 以上、1,500mm 以下、かつ、柱の内法高さの 3/4 以下とする。

4.◯

圧接部における鉄筋中心軸の偏心量は、鉄筋径の 1/5以下(径が異なる場合は細い方の径による)とする。

(公共建築工事標準仕様書建築工事編 5.4.4(エ)(カ))

題意よりD29であるので、 29÷5 = 5.5mm.

よって、5mm以下は規定値の範囲内である。

[ No.26 ]
コンクリートの調合に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1. 普通コンクリートに再生骨材H を用いる場合の水セメント比の最大値は、60%とする。
2. コンクリートの調合強度を定める際に使用するコンクリートの圧縮強度の標準偏差は、コンクリート工場に実績がない場合、1.5 N/mm2 とする。
3. 単位水量 は、185 kg/m3以下とし、コンクリートの品質が得られる範囲内で、できるだけ小さくする。
4. 高強度コンクリートに含まれる塩化物量は、塩化物イオン量として 0.30 kg/m3 以下とする。

答え

  2

[ 解答解説 ]

1.◯

再生骨材H とは、建築物の解体などによって発生したコンクリート塊を粉砕、磨砕(まさい)等の処理を行って製造したコンクリート用の再生骨材である。

公共建築工事標準仕様書建築工事編 6.3.2(イ)(b)より、水セメント比の最大値は、次による。

①普通、早強及び中庸熱ポルトランドセメント並びに混合セメントA種の場合は65%、低熱ポルトランドセメント及び混合セメントB種の場合は60%、普通エコセメントの場合は55%とする。

②再生骨材Hを使用する場合は、60%とする。

2.×

コンクリートの調合強度は、コンクリートの調合を決定する際に目標とする圧縮強度であり、コンクリートの調合管理強度とコンクリートの圧縮強度の標準偏差から定められる。コンクリート工場に実績がない場合、2.5N/mm2または(調合管理強度)×0.1の大きい値とする。

3.◯

コンクリートの品質を確保するために、単位水量は、一般に185 kg/m3以下とし、所要の品質が得られる範囲内で、できるだけ小さくする。(公共建築工事標準仕様書建築工事編 6.3.2(イ)(c))

単位水量が大きくなると乾燥収縮、ブリーディング、打込み後の沈降などが大きくなり、コンクリートの品質、特に耐久性上好ましくない

4.◯

荷卸し地点で塩化物イオン( Cl)量として 0.30 kg/m3 以下とする。(JIS A 5308)

3に含まれるアルカリ総量を、Na2O換算で、3.0kg以下にする。

②抑制効果の混合セメント等の使用

③安全と認められる骨材の使用

したがって、高強度コンクリートにおいても、コンクリート中のアルカリ総量は、3.0kg/m3以下とする。 —>

[ No.27 ]
高力ボルト接合に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1.  締付け後の高力ボルトの余長は、ねじ1山から6山までの範囲であることを確認した。
2. ねじの呼びがM 22のトルシア形高力ボルトの長さは、締付け長さに 35 mm を加えた値を標準とした。
3. 高力ボルトの接合部で肌すきが1mm を超えたため、フィラープレートを入れた。
4. ナット回転法による締付け完了後の検査は、1次締付け後の本締めによるナット回転量が 120°±45°の範囲にあるものを合格とした。

答え

  4

[ 解答解説 ]

1.◯

締付け後の高力ボルトの余長は、ねじ1山から6山までの範囲であること。(公共建築工事標準仕様書建築工事編7.4.8(1)(ア)(d))

2.◯

ねじの呼びがM 22 のトルシア形高力ボルトの長さは、締付け長さに 35 mm を加えた値を標準とする。(JASS6)

3.◯

高力ボルトの接合部で肌すき1mm を超える場合は、フィラープレートを入れる。(公共建築工事標準仕様書建築工事編7.4.6(2))

4.×

ナット回転法による締付け完了後の検査は、1次締付け後のナットの回転量120° ±30° の範囲にあるものを合格とする。(JASS6)

[ No.28 ]
大空間鉄骨架構の建方に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1.  リフトアップ工法は、地組みした所定の大きさのブロックをクレーン等で吊り上げて架構を構築する工法である。
2.  総足場工法は、必要な高さまで足場を組み立てて、作業用の構台を全域にわたり設置し、架構を構築する工法である。
3. 移動構台工法は、移動構台上で所定の部分の屋根鉄骨を組み立てた後、構台を移動させ、順次架構を構築する工法である。
4.  スライド工法は、作業構台上で所定の部分の屋根鉄骨を組み立てた後、そのユニットを所定位置まで順次滑動横引きしていき、最終的に架構全体を構築する工法である。

答え

  1

[ 解答解説 ]

1.×

リフトアップ工法とは、地上または構台上で組み立てた屋根架構を、先行した構築した構造体を支えとして、ジャッキ等により引き上げていく工法である。地組みした所定の大きさのブロックを、クレーン等で吊り上げて架構を構築する工法は、ブロック工法である。

2.◯

総足場工法は、必要な高さまで足場を組み立てて、作業用の構台を全域にわたり設置し、架構を構築する工法である。

3.◯

移動構台工法は、移動構台上で所定の部分の屋根鉄骨を組み立てた後、構台を移動させ、順次架構を構築する工法である。

4.◯

スライド工法は、作業構台上で所定の部分の屋根鉄骨を組み立てた後、そのユニットを所定位置まで順次滑動横引きしていき、最終的に架構全体を構築する工法である。

[ No.29 ]
木質軸組構法に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1.  1階及び2階の上下同位置に構造用面材の耐力壁を設けるため、胴差部において、構造用面材相互間に、6mm のあきを設けた。
2.  接合に用いるラグスクリューは、先孔にスパナを用いて回しながら締め付けた。
3.  接合金物のボルトの締付けは、座金が木材へ軽くめり込む程度とし、工事中、木材の乾燥収縮により緩んだナットは締め直した。
4. 集成材にあけるボルト孔の間隔は、許容誤差を ±5mm とした。

答え

  4

[ 解答解説 ]

1.◯

1階及び2階の上下同位置に構造用面材の耐力壁を設ける場合は、胴差部において、構造用面材相互間に、原則として、6mm以上のあきを設ける。(木造住宅工事仕様書)

2.◯

木材の接合等に用いるラグスクリュー(ヘッドがナット状の木ねじ)の締付けは、そのまま締め付けると木材が割れるので、先に孔をあけてから、スパナを用いて回しながら行う。

3.◯

接合金物のボルトの締付けは、座金が木材へ軽くめり込む程度とし、工事中、木材の乾燥収縮により緩んだナットは締め直す

4.×

集成材にあけるボルト孔の間隔の許容誤差は、±2mmとする。

[ No.30 ]
揚重運搬機械に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1.  建設用リフトは、土木、建築等の工事の作業 で使用されるエレベーターで、人及び荷を運搬する。
2. タワークレーンのブーム等、高さが地 表 から 60m以 上 となる場合、原則として、航空障害灯を設置する。
3. 移動式クレーンは、旋回範囲内に 6,600 V の配電線がある場合、配電線から安全距離を2m以上確保する。
4. ロングスパン工事用エレベーターは、安全上支障 がない場合、搬器の昇降を知らせるための警報装置を備えないことができる。

答え

  1

[ 解答解説 ]

1.×

建設用リフトとは荷のみを運搬することを目的とするエレベーターで、土木、建築等の工事の作業に使用されるもの(ガイドレールと水平面との角度が80度未満のスキップホイストを除く。)をいう。(労働安全衛生法施行令第1条)

2.◯

タワークレーンのブーム等、高さが地表または水面から 60m以上となる場合、原則として、航空障害灯を設置する。(建築工事監理指針)

3.◯

移動式クレーンは、6,600 V の配電線から安全距離を 2m以上確保する。(建築工事監理指針)

4.◯

ロングスパン工事用エレベーターは、安全上支障がない場合、搬器の昇降を知らせるための警報装置を備えないことができる。

1級建築施工管理技士 令和04年 学科 問題4 解説

令和4年 1級建築施工管理技士 一次 解答 解説 問題4

(午前の部)令和4年6月 12 日(日)
問題番号 [ No.31 ] ~ [ No.39 ]までの9問題のうちから、7問題を選択し、解答してください。
[ No.31 ]
合成高分子系ルーフィングシート防水に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1. 加硫ゴム系シート防水の接着工法において、平場部の接合部のシートの重ね幅は 100mm以上とし、立上り部と平場部との重ね幅は 150mm 以上とした。
2.  加硫ゴム系シート防水の接着工法において、出隅角の処理は、シートの張付け前に加硫ゴム系シートで増張りを行った。
3. 塩化ビニル樹脂系シート防水の接着工法において、下地が ALC パネルのため、プライマーを塗布した。
4.  エチレン酢酸ビニル樹脂系シート防水の密着工法において、接合部のシートの重ね幅は、幅方向、長手方向とも 100 mm 以上とした。

答え

  2

[ 解答解説 ]

1.◯

加硫ゴム系シート防水の接着工法において、重ね幅は平場部の接合部は 100mm以上、立上り部と平場部の接合部は 150mm 以上とする。(公共建築工事標準仕様書建築工事編9.4.4(6)(エ))

2.×

加硫ゴム系シート防水の出隅角の処理は、シートの張付けに先立ち、非加硫ゴム系シートを用いて増張りする。(JASS8)

3.◯

下地ALCパネル面に塩化ビニル樹脂系シート防水の接着工法で施工する場合に、ALC パネル面にプライマーを塗布する。

4.◯

エチレン酢酸ビニル樹脂系シート相互の接合部は、原則として水上側のシートが水下側のシートの上になるように張り重ね、その平場の接合幅は、長手、幅方向とも100mm以上とする。(JASS8)

[ No.32 ]
シーリング工事に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1. 外壁ALCパネル張りに取り付けるアルミニウム製建具の周囲の目地シーリングは、3面接着とした。
2.  先打ちしたポリウレタン系シーリング材に、ポリサルファイド系シーリング材を打ち継いだ。
3. シーリング材の打継ぎ箇所は、目地の交差部及びコーナー部を避け、そぎ継ぎとした。
4.  コンクリートの水平打継ぎ目地のシーリングは、2成分形変成シリコーン系シーリング材を用いた。

答え

  1

[ 解答解説 ]

1.×

一般に、ALCパネルに取り付けるサッシ回りの目地はワーキングジョイントであり、目地シーリングは2面接着とする。

2.◯

ポリウレタン系シーリング材に後打ちできるシーリング材には、変成シリコーン系、シリコーン系、ポリサルファイド系等がある。(JASS8)

3.◯

シーリング材の打継ぎ箇所は、目地の交差部及びコーナー部を避け、そぎ継ぎとする。シーリング材の打始めは、原則として、目地の交差部あるいは角部から行う。(公共建築工事標準仕様書建築工事編9.7.4(4)(キ))

4.◯

コンクリートの水平打継ぎ目地のシーリングは、ノンワーキングジョイントのため、3面接着とし、塗装がない場合1・2成分形変成シリコーン系シーリング材または2成分形ポリサルファイド系シーシング材を用いる。

[ No.33 ]
セメントモルタルによる壁タイル後張り工法に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1. 密着張りの張付けモルタルは2度塗りとし、タイルは、上から下に1段置きに数段張り付けた後、それらの間のタイルを張った。
2.  モザイクタイル張りの張付けモルタルは2度塗りとし、1層目はこて圧をかけて塗り付けた。
3. 改良積上げ張りの張付けモルタルは、下地モルタル面に塗り厚4mm で塗り付けた。
4. 改良圧着張りの下地面への張付けモルタルは2度塗りとし、その合計の塗り厚を5mmとした。

答え

  3

[ 解答解説 ]

1.◯

密着張りの張付けモルタル2度塗りとし、タイルは、上から下に1段置きに数段張り付けた後、それらの間のタイルを張る

2.◯

モザイクタイル張りの張付けモルタルの塗り付けは、いかに薄くとも2度塗りとし、1度目は薄く下地面にこするように塗り、下地モルタル面の微妙な凸凹にまで張り付けモルタルが食い込むようにし、次いで張り付けモルタルを塗り重ね、3mm程度の厚さとし、定規を用いてむらのないように塗厚を均一にする。(建築工事監理指針)

3.×

改良積上げ張りは、張付けモルタルを塗厚7~10mmとしてタイル裏面に塗り付けた状態で張り付ける。(JASS19)

4.◯

改良圧着張りの下地面への張付けモルタルは2度塗りとし、その合計の塗り厚を4〜6mmとする。タイル側への塗付けの場合、1〜3mmとする。(公共建築工事標準仕様書建築工事編11.2.6(3)(ア))

[ No.34 ]
心木なし瓦棒葺に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1. 水上部分と壁との取合い部に設ける雨押えは、壁際立上りを 45mm とした。
2.  通し吊子の鉄骨母屋への取付けは、平座金を付けたドリルねじで、下葺材、野地板を貫通させ母屋に固定した。
3.  棟部の納めは、溝板の水上端部に八千代折とした水返しを設け、棟包みを取り付けた。
4. けらば部の溝板の幅は、瓦棒の働き幅の 1/2以下とした。

答え

  1

[ 解答解説 ]

1.×

水上部分と壁との取合い部に設ける雨押さえは壁部で120mm程度立ち上げてむだ折りを付ける。(JASS12)

2.◯

通し吊子はマーキングに合わせて平座金を付けたドリルねじで、下葺材、野地板を貫通させ母屋に固定する。(JASS12)

3.◯

棟部の納めは、溝板の水上端部八千代折とした水返しを設ける。当該部分に棟包みを取り付けて覆い被せる。(建築工事監理指針)

4.◯

けらば部の溝板の幅は、心なし瓦棒の働き幅の 1/2 以下とする。(建築工事監理指針)

[ No.35 ]
防水形合成樹脂エマルション系複層仕上塗材(防水形複層塗材E)仕上げに関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1. 上塗材は、0.3 kg/m2 を2回塗りとした。
2. 主材の基層塗りは、1.7 kg/m2 を2回塗りとした。
3. 出隅、入隅、目地部、開口部まわり等に行う増塗りは、主材塗りの後に行った。
4. 主材の凹凸状の模様塗りは、見本と同様になるように、吹付け工法により行った。

答え

  3

[ 解答解説 ]

1.◯

上塗材は、0.25 kg/m2 以上を2回塗りで、色むらが生じないように塗り付ける。(公共建築工事標準仕様書建築工事編 表15.6.1(その3))

2.◯

主材の基層塗り2回塗りとし、だれ、ピンホール、塗り残しのないよう下地を覆うように塗り付ける。主材基層の所要量は、1.7 kg/m2 以上とする。(公共建築工事標準仕様書建築工事編 表15.6.1(その3))

3.×

入隅、出隅、目地部、開口部まわりなど均一に塗りにくい箇所は、はけやコーナー用ローラーなどで、主材塗りの前に増塗りを行う。

4.◯

主材の凹凸状の模様塗りは、見本と同様になるように、吹付け工法により行う。

[ No.36 ]
アルミニウム製建具に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1. 連窓の取付けは、ピアノ線を張って基準とし、取付け精度を2mm 以内とした。
2. 建具枠に付くアンカーは、両 端から逃げた位置にあるアンカーから、間隔を 500 mm 以下で取り付けた。
3. 外部建具周囲の充填モルタルは、NaCl 換算 0.04 %(質量比)以下まで除塩した海砂を使用した。
4. 水切り及び膳板は、アルミニウム板を折曲げ加工するため、厚さを 1.2 mm とした。

答え

  4

[ 解答解説 ]

1.◯

アルミニウム製建具の取付け精度は ±2mmとする。連窓の取付けの基準は、ピアノ線を張って施工する。

2.◯

アンカーの位置は、開口部より 150mm内外を端とし、中間は500mm内外の間隔とする。アンカーと差し筋は最短距離で溶接する。(JASS16)

3.◯

充填モルタルに使用する砂の塩化物量は、NaCl 換算 0.04 %(質量比)以下とする。海砂等を使用する場合は除塩する

4.×

アルミニウム板を加工して、枠、框、水切り、ぜん板及び額縁に使用する場合の厚さは1.5mm以上とする。(建築工事監理指針)

[ No.37 ]
合成樹脂塗床に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1. 薬品を使用する実験室の塗床は、平滑な仕上げとするため、流し展べ工法とした。
2. 合成樹脂を配合したパテ材や樹脂モルタルでの下地調整は、プライマーの乾燥後に行 った。
3.  エポキシ樹脂系コーティング工法のベースコートは、コーティング材を木ごてで塗り付けた。
4. エポキシ樹脂系モルタル塗床の防滑仕上げは、トップコート1層目の塗布と同時に骨材を散布した。

答え

  3

[ 解答解説 ]

1.◯

流し展べ工法とは、塗床材あるいは塗床材に骨材を混合することによって、平滑に仕上げるセルフレベリング工法で、実験室、工場等に使用される。(建築工事監理指針)

2.◯

合成樹脂を配合したパテ材や樹脂モルタルでの下地調整を行う場合は、プライマーを塗布し乾燥後に行うのが一般的である。(建築工事監理指針)

3.×

コーティング工法は一般に、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等の樹脂に着色剤、充填剤、溶剤または水、仕上調整剤などの添加剤を配合した低粘土の液体(ベースコート)を、ローラーあるいはスプレーにより1~2回塗布する工法である。(JASS26)

4.◯

エポキシ樹脂系モルタル塗床の防滑のための骨材散布は、トップコート1層目の塗布と同時に行う等、上塗り1回目が硬化する前に製造所が指定する骨材をむらのないように均一に塗布する。(建築工事監理指針)

[ No.38 ]
壁のせっこうボード張りに関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1. テーパーエッジボードの突付けジョイント部の目地処理における上塗りは、ジョイントコンパウンドを幅 200 ~ 250 mm 程度に塗り広げて平滑にした。
2. せっこう系接着材による直張り工法において、ボード中央部の接着材を塗り付ける間隔は、床上 1,200 mm 以下の部分より、床上 1,200 mm を超える部分を小さくした。
3. せっこう系接着材による直張り工法において、躯体から仕上がり面までの寸法は、厚さ9.5 mm のボードで 20 mm 程度、厚さ 12.5 mm のボードで 25 mm 程度とした。
4. ボードの下端部は、床面からの水分の吸上げを防ぐため、床面から 10 mm 程度浮かして張り付けた。

答え

  2

[ 解答解説 ]

1.◯

テーパーエッジボードの突付けジョイント部における目地処理の上塗りは、幅 200 ~ 250 mm 程度にジョイントコンパウンドを塗り広げて平滑にする。(建築工事監理指針)

2.×

せっこう系接着材直張り工法における張付け用接着材の塗付け間隔は、ボード周辺部150~200mm床上1.2m以下の部分200~250mm床上1.2mを超える部分250~300mmとする。したがって、ボード周辺部の方が塗付け間隔は小さくなる

3.◯

せっこう系接着材による直張り工法において、躯体から仕上がり面までの寸法は、厚さ9.5 mm のボードで 20 mm 程度、厚さ 12.5 mm のボードで 25 mm 程度とする。

4.◯

ボードの下端部は、床面からの吸水を防止するため床面から 10mm 程度浮かして張り付ける。(建築工事監理指針)

[ No.39 ]
外壁の押出成形セメント板(ECP)張りに関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1. 縦張り工法のパネルは、層間変形に対してロッキングにより追従するため、縦目地を 15mm、横目地を8mm とした。
2. 二次的な漏水対策として、室内側にはガスケット、パネル張り最下部には水抜きパイプを設置した。
3. 幅 600 mm のパネルへの欠込みは、欠込み幅を 300 mm 以下とした。
4.  横張り工法のパネル取付け金物(Z クリップ)は、パネルがスライドできるようにし、パネル左右の下地鋼材に堅固に取り付けた。

答え

  1

[ 解答解説 ]

1.×

長辺の目地幅は 8mm以上、短辺の目地幅は15mm以上とする。(公共建築工事標準仕様書)したがって、縦張り工法のパネルは、縦目地を 8mm以上横目地を15mm以上とする。

2.◯

漏水に対する対策が特に必要な場合は、シーリングによる止水のみだけでなく、二次的な漏水対策として、室内側にはガスケットパネル張り最下部には水抜きパイプを設ける。(建築工事監理指針)

3.◯

欠込み幅の限度は、パネル幅の 1/2以下、かつ、300mm 以下とする。

4.◯

層間変形に対して、縦張り工法の場合はロッキング横張り工法の場合はパネルのスライドにより変位を吸収する。また、横張り工法のパネル取付け金物(Z クリップ)は、パネル左右の下地鋼材に堅固に取り付ける。(JASS27)

1級建築施工管理技士 令和04年 学科 問題5 解説

令和4年 1級建築施工管理技士 一次 解答 解説 問題5

(午前の部)令和4年6月 12 日(日)
 問題番号 [ No.40 ] ~ [ No.44 ]までの5問題は、全問題を解答してください。
[ No.40 ]
仮設計画に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1. 仮設の照明設備において、常時就業させる場所の作業面の照度は、普通の作業の場合、100ルクス以上とする計画とした。
2.  傾斜地に設置する仮囲いの下端の隙間を塞ぐため、土台コンクリートを設ける計画とした。
3. 前面道路に設置する仮囲いは、道路面を傷めないようにするため、ベースをH 形鋼とする計画とした。
4. 同時に就業する女性労働者が 25人見込まれたため、女性用便房を2個設置する計画とした。

答え

  1

[ 解答解説 ]

1.×

労働者を常時就業させる場所の作業面の照度は、作業区分に応じて維持しなければならない。普通の作業の場合は150 lx以上としなければならない。(労働安全衛生規則第604条)

2.◯

傾斜地に設置する仮囲いの下端に隙間が生じた場合、隙間を塞ぐため土台コンクリートや木製の幅木等を設けることとする。

3.◯

前面道路に設置する仮囲いは、道路面を傷めないようにするため、道路に接触する下部は H形鋼等を用いて保護する。

4.◯

女性用便房に関しては、労働安全衛生規則第628条第1項第四号、20人を超えた場合の便房の数は、「1に、同時に就業する女性労働者が 20人を超える、20人又はその端数を増すごとに1を加えた数」とあり、女性用便房を2個設置する計画は適切である。

[ No.41 ]
仮設設備の計画に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1. 工事用の動力負荷は、工程表に基づいた電力量山積みの 50% を実負荷とする計画とした。
2. 工事用の給水設備において、水道本管からの供給水量の増減に対する調整のため、2時間分の使用水量を確保できる貯水槽を設置する計画とした。
3. アースドリル工法による掘削に使用する水量は、1台当たり 10 m3/h として計画した。
4. 工事用電気設備のケーブルを直接埋設するため、その深さを、車両その他の重量物の圧力を受けるおそれがある場所を除き 60cm以上とし、埋設表示する計画とした。

答え

  1

[ 解答解説 ]

1.×

工事用の動力負荷は、工事用電力使用工程表に基づいた動力電力量の山積みによる計算負荷の60%を実負荷として計画する。(建築工事監理指針)

2.◯

水道本管からの供給水量の増減に対する調整のため、工事用の給水設備には、2時間分程度の使用水量を確保できる容量の貯水槽を設置する計画とする。

3.◯

アースドリル工法による掘削に使用する水量は、掘削速度などによって異なるが、計画の目安は1台当たり 10m3/h である。(JASS2)

4.◯

道路法施行令第11条の2第1項第二号ロにより、「電線の頂部と路面との距離が、保安上又は道路に関する工事の実施上の支障のない場合を除き、車道にあっては 0.8m、歩道(歩道を有しない道路にあっては、道路の幅員の3分の2に相当する路面の中央部以外の部分。)にあっては0.6mを超えていること。」と規定があることから、工事用電気設備のケーブルを直接埋設するため、その深さを、車両その他の重量物の圧力を受けるおそれがある場所を除き 60cm以上とし、埋設表示する計画とする。

[ No.42 ]
施工計画に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1. コンクリート躯体工事において、現場作業の削減と能率向上により工期短縮が図れるプレキャストコンクリート部材を使用する計画とした。
2. 大規模、大深度の工事において、工期短縮のため、地下躯体工事と並行して上部躯体を施工する逆打ち工法とする計画とした。
3.  鉄骨工事において、施工中の粉塵の飛散をなくし、被覆厚さの管理を容易にするため、耐火被覆をロックウール吹付け工法とする計画とした。
4.  既製杭工事のプレボーリング埋込み工法において、支持層への到達の確認方法として、掘削抵抗電流値と掘削時間を積算した積分電流値を用いる計画とした。

答え

  3

[ 解答解説 ]

1.◯

現場作業の削減と能率向上により工期短縮が図れるプレキャストコンクリート部材を使用する計画は適切である。

2.◯

地下躯体工事と並行して上部躯体を施工する逆打ち工法は、大規模、大深度の工事において、工期短縮に有効計画である。

3.×

鉄骨工事の耐火被覆工事において、吹付け工法は、施工中の粉塵が飛散しやすく被膜厚さの管理しにくいので、施工中の粉塵の飛散をなくし、被覆厚さの管理を容易にするためには、耐火被覆は成形板工法や巻き付け工法を計画する。

4.◯

既製杭工事のプレボーリング埋込み工法において、オーガー駆動装置の電流値や積分電流値の上昇変化・波形変化により支持層への到達を判断することができる。

[ No.43 ]
建設業者が作成する建設工事の記録に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1. 過去の不具合事例等を調べ、あとに問題を残しそうな施工や材料については、集中的に記録を残すこととした。
2.  デジタルカメラによる工事写真は、黒板の文字や撮影対象が確認できる範囲で有効画素数を設定して記録することとした。
3. 既製コンクリート杭工事の施工サイクルタイム記録、電流計や根固め液等の記録は、発注者から直接工事を請け負った建設業者が保存する期間を定め、当該期間保存することとした。
4. 設計図書に示された品質が証明されていない材料については、現場内への搬入後に行った試験の記録を保存することとした。

答え

  4

[ 解答解説 ]

1.◯

過去の不具合事例等を調べ、監理者に確認し、あとに問題を残しそうな施工や材料については、記録を残す必要がある

2.◯

デジタルカメラによる工事写真は、不要に有効画素を大きくすると、ファイル容量が大きくなり、操作性も低くなるので、目的物及び黒板(白板)の文字等が確認できる範囲で適切な有効画素数を設定する。

3.◯

既製コンクリート杭工事の施工サイクルタイム記録、電流計や根固め液等の記録は、発注者から直接工事を請け負った建設業者が、保存する期間を定めて保存する

4.×

設計図書に示された品質が証明されていない材料は、工事現場に搬入してはならない受入れ検査種別ごとに行い、必要に応じて工事監理者の立会いを受ける。(JASS1)

[ No.44 ]
建築工事における工期と費用に関する一般的な記述として、最も不適当なものはどれか。
1. 直接費が最小となるときに要する工期を、ノーマルタイム( 標準時間)という。
2. 工期を短縮すると、間接費は増加する。
3. どんなに直接費を投入しても、ある限度以上には短縮できない工期を、クラッシュタイム(特急時間)という。
4. 総工事費は、工期を最適な工期より短縮しても、延長しても増加する。

答え

  2

[ 解答解説 ]

1.◯

ノーマルタイム( 標準時間)とは、直接費が最小となるときに要する工期をいう。なお、直接費とは、工事に直接かかる費用のことで、材料費や労務費等が含まれる。

2.×

間接費は、現場管理費や共通仮設費等からなり、工期が短縮すると現場管理費(家賃、光熱費、直接工賃金以外の給料等)は減少する

3.◯

クラッシュタイム(特急時間)とは、どんなに直接費を投入しても、ある限度以上には短縮できない工期をいう。

4.◯

総工事費は、直接費と間接費を合わせたものである。工期を最適な工期より短縮すると、直接費の増加が大きくなるため総工事費は増加する。(例:突貫工事)また、最適工期を超えて延長すると、間接費が工期に比例して増えるため、総工事費は増加する。

1級建築施工管理技士 令和05年 学科 問題1 解説

令和5年 1級建築施工管理技士 一次 解答 解説 問題1
(午前の部)令和5年6月11日(日)

問題番号[ No.1 ]〜[ No.15 ]までの15問題のうちから、12問題を選択し、解答してください。
 
ただし、12問題を超えて解答した場合、減点となりますから注意してください。
問題は、四肢択一式です。正解と思う肢の番号を1つ選んでください。
 
[ No.1 ]
日照及び日射に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
 
1.北緯35°における南面の垂直壁面の可照時間は、夏至日より冬至日のほうが長い。
 
2.日影規制は、中高層建築物が敷地境界線から一定の距離を超える範囲に生じさせる、冬至日における日影の時間を制限している。
 
3.水平ルーバーは東西面の日射を遮るのに効果があり、縦ルーバーは南面の日射を遮るのに効果がある。
 
4.全天日射は、直達日射と天空日射を合計したものである。
 
答え

  3

[ 解答解説 ]

1.◯

可照時間とは、障害物のない水平面であれば晴れた日の日の出から日没までの時間に日照があるべき時間をいう。北緯35度における南面の垂直壁の可照時間は、太陽が東西軸より南側にある時間となる。夏至(約7時間)よりも春分または秋分(約12時間)の方が長くなり、冬至はそれよりも長くなる。

2.◯

日影規制とは、中高層建築物により生ずる日影を一定の時間な内に抑えることで、周辺の居住環境を保護する規制である。中高層建築物の敷地境界線から定められた距離を越える範囲(5m及び10m)で、冬至日における日影の時間を制限する。

3.×

羽根が水平に並ぶ水平ルーバーは、日射を遮るために南側の開口部に取り付けると、太陽の高度が高くなる夏季に南面の日射を防ぐのに効果がある。羽根が垂直に並ぶ縦ルーバーは、冬季の高度が低くなった西日を遮るのに効果がある。

4.◯

日射とは、地表面または大気中における太陽放射の総称である。大気層を通り抜けて直接地表面に達する太陽光線の日射量を直達日射量、途中で乱反射されて地上に達する太陽光線の日射量を天空放射量といい、直達日射量と天空放射量を合計したものを全天日射量という。

 
[ No.2 ]
採光及び照明に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
 
1.横幅と奥行きが同じ室において、光源と作業面の距離が離れるほど、室指数は小さくなる。
 
2.設計用全天空照度は、快晴の青空のときのほうが薄曇りのときよりも小さな値となる。
 
3.照度は、単位をルクス(lx)で示し、受照面の単位面積当たりの入射光束のことをいう。
 
4.光度は、単位をカンデラ(cd)で示し、反射面を有する受照面の光の面積密度のことをいう。
 
答え

  4

[ 解答解説 ]

1.◯

室指数とは光源から出た光束がどれぐらい作業面に達するかを示す計算方法の一つで、光源の距離が被照面(作業面)から離れるほど、室指数は小さくなる。室の形による指数で、照明率を求めるために用いられる。

室指数(k) =( X × Y ) / ( H ×( X × Y ) )

 X:室の間口  [ m ]

 Y:室の奥行き [ m ]

 H:被照面から光源までの距離 [ m ]

2.◯

設計用全天空照度は、快晴の青空のときが薄曇りのときよりも小さな値となる。全天空照度とは、直射日光を除いた全天空の照度をいう。

 晴れ 10,000 ルクス

 曇り 30,000 ルクス

 雨   5,000 ルクス

 覚え方:俳句もさまになる雨の甲子園(原口秀明氏より)

     晴 1 雲 3万   雨 5千

3.◯

照度とは、受照面の明るさを表し、単位面積当たりに入射する光束の量をいう。単位はルクス(lx)で示す。

4.×

光度は、光源から発散される光のエネルギーの強さを表す尺度であり、物理的には光源の中のある点からあらゆる方向に向けて発散される単位立体角あたりの光束をいう。単位は cd(カンデラ)で示す。反射面を有する受照面の光の面積密度とは輝度であり、単位はカンデラ毎平方メートル [ cd/m2]で示す。

[ No.3 ]
吸音及び遮音に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
 
1.吸音材は、音響透過率が高いため、遮音性能は低い。
 
2.多孔質の吸音材は、一般に低音域より高音域の吸音に効果がある。
 
3.単層壁において、面密度が大きいほど、音響透過損失は小さくなる。
 
4.室間音圧レベル差の遮音等級はD値で表され、D値が大きいほど遮音性能は高い。
 
答え

  3

[ 解答解説 ]

1.◯

壁面に音が入射されると、入射音エネルギーは、反射、吸音等により減少し、一部が透過する。

透過率 = 透過音エネルギー/入射音エネルギー

反射率 = 反射音エネルギー/入射音エネルギー

上記の公式により、音を吸収する吸音材は、透過率が高いため、反射音エネルギーは少なくなり、遮音性能は低くなる。

2.◯

多孔質の吸音材は、一般に低音域より高音域の方が吸音率(音を吸収する程度を表す指数)は大きい。すなわち、低い音よりも高い音の方が吸収されやすい

3.×

透過損失とは、壁体等の遮音の程度を示すもので、値が大きいほど、壁体等の遮音性能が高いことを表す。単層壁の透過損失は、単位面積当たりの単位面積あたりの質量(面密度)と、周波数大きいほど大きくなる。これを単層壁の質量則という。

4.◯

室間音圧レベル差とは、音が発生している室の音圧レベルと音が透過する側の室の音圧レベルのをいい、この差が大きいほど、遮音性能が高い。したがって、室間音圧レベル差の遮音等級を表すD値は、その値が大きいほど遮音性能が高い

 
[ No.4 ]
免震構造に関する一般的な記述として、最も不適当なものはどれか。
 
1.アイソレータは、上部構造の重量を支持しつつ水平変形に追従し、適切な復元力を持つ。
 
2.免震部材の配置を調整し、上部構造の重心と免震層の剛心を合わせることで、ねじれ応答を低減できる。
 
3.地下部分に免震層を設ける場合は、上部構造と周囲の地盤との間にクリアランスが必要である。
 
4.ダンパーは、上部構造の垂直方向の変位を抑制する役割を持つ。
 
答え

  4

[ 解答解説 ]

1.◯

アイソレータは、地震入力に対して絶縁機能を持つもので、地震の水平方向の動きに対して縁を切り、上部構造動かないようにする。水平方向の変位を抑制する役割はダンパーが受け持つことが多い。

2.◯

ねじれ応答とは、地震時に建物全体がねじれるような挙動をいう。免震部材の配置を調整し、上部構造の重心と免震層の剛心を合わせることで、ねじれ応答を低減できる

3.◯

大きな地震動を免震構造が受けた場合、上部構造は長周期で大きく水平移動するため、上部構造と周囲の地盤との接触、衝突を避けるため十分なクリアランスが確保することが必要である。設計で考えられる変位量の1.5 〜 2.0倍程度の離隔寸法を確保する。

4.×

免震構造におけるダンパー(減衰器)の役割は、免震層の過大な変形を抑制し、地震時の応答を安定化させることである。

 
[ No.5 ]
鉄筋コンクリート構造の建築物の構造計画に関する一般的な記述として、最も不適当なものはどれか。
 
1.普通コンクリートを使用する場合の柱の最小径は、その構造耐力上主要な支点間の距り離の1/15以上とする。
 
2.耐震壁とする壁板のせん断補強筋比は、直交する各方向に関して、それぞれ0.25%以上とする。
 
3.床スラブの配筋は、各方向の全幅について、コンクリート全断面積に対する鉄筋全断面積の割合を0.1%以上とする。
 
4.梁貫通孔は、梁端部への配置を避け、孔径を梁せいの1/3以下とする。
 
答え

  3

[ 解答解説 ]

1.◯

普通コンクリートを使用する場合の柱の最小径は、構造耐力上主要な支点間の距離(通常上下の梁の内法寸法)の1/15以上とする。(建築基準法施行令第77条第五号)

2.◯

鉄筋コンクリート構造の壁板のせん断補強筋比は、地震力により生ずるせん断ひび割れを分散化し、急激な剛性低下を防ぐため、直交する各方向に関して、それぞれ0.0025(0.25%)以上とする。

3.×

床スラブの配筋は、温度応力収縮応力に対する配筋として、各方向の全幅について、鉄筋全断面積のコンクリート全断面に対する割合は、0.2%以上をする。

4.◯

梁に貫通孔が設けられると、梁断面の欠損によりせん断強度が低下するので、適切に補強を行う必要がある。鉄筋コンクリート構造の場合、円形孔の直径は梁せいの1/3以下とし、梁端部への配置は避ける。

 
[ No.6 ]
鉄骨構造に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
 
1.角形鋼管柱の内ダイアフラムは、せいの異なる梁を1本の柱に取り付ける場合等に用いられる。
 
2.H形鋼は、フランジやウェブの幅厚比が大きくなると局部座屈を生じにくい。
 
3.シヤコネクタでコンクリートスラブと結合された鉄骨梁は、上端圧縮となる曲げ応力に対して横座屈を生じにくい。
 
4.部材の引張力によってボルト孔周辺に生じる応力集中の度合は、高力ボルト摩擦接合より普通ボルト接合のほうが大きい。
 
答え

  2

[ 解答解説 ]

1.◯

角形鋼管柱(BCPとBCR)と梁との仕口部には通しダイアフラム方式と内ダイアフラム方式とがある。柱サイズに対して、梁フランジの幅が小さく、せいの異なる梁を1本の柱に取り付ける場合等には、内ダイアフラム方式とする。

鋼管柱とダイヤフラム、梁フランジとダイヤフラム若くは鋼管柱は、一体とするため、完全溶け込み溶接とする必要がある。梁せいが異なるときに通しダイアフラムとすると、その間隔が狭い部分が発生し、完全溶け込み溶接の検査に必要な超音波探傷試験ができなくなる箇所が生じる。

ダイアフラム形式.gif

内ダイヤフラムと鋼管内側の溶接も完全溶込み溶接にする必要があるが、溶接の工程を分けることにより、超音波探傷試験を行うことができる。

2.×

H 形鋼は、フランジ及びウェブの幅厚比が大きくなると、部材形状に対し板厚が薄いということになり、局部座屈を生じやすくなる

3.◯

シアコネクタとは、2つの部材を一体化するための接合部材をいう。シアコネクタでコンクリートスラブと結合された鋼製梁は、梁の上端が圧縮となるような曲げ応力に対して、梁の水平方向への座屈である横座屈が生じにくい。

4.◯

普通ボルト接合の場合、部材に引張力が作用すると接合部にずれが生じ、ボルトと鋼板が支圧力で支持するため、ボルト孔周辺に応力が集中する。一方、高力ボルトによる摩擦接合が、ボルトの支圧力ではなく、スプライスプレート(添え板)の摩擦力で支持するため、普通ボルト接合と比較すると小さくなる。

 
[ No.7 ]
杭基礎に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
 
1.杭の周辺地盤に沈下が生じたときに杭に作用する負の摩擦力は、支持杭より摩擦杭のほうが大きい。
 
2.杭と杭の中心間隔は、杭径が同一の場合、埋込み杭のほうが打込み杭より小さくすることができる。
 
3.杭の極限鉛直支持力は、極限先端支持力と極限周面摩擦力との和で表す。
 
4.杭の引抜き抵抗力に杭の自重を加える場合、地下水位以下の部分の浮力を考慮する。
 
答え

  1

[ 解答解説 ]

1.×

杭周囲の地盤沈下によって杭の沈下より地盤の沈下が大きくなると、杭周囲面には下向き摩擦力が働くが、摩擦杭杭と共に沈下するため、負の摩擦力は支持杭の方が摩擦杭より大きくなる

2.◯

杭と杭との中心間隔の最小値は、埋込み杭の場合は、その杭頭部の径2.0倍以上打込み杭の場合は、その杭頭部の径の2.5倍以上かつ75cm以上とする。よって、埋込み杭の方が打込み杭より、中心間隔を小さくすることができる。

3.◯

杭の極限鉛直支持力は、極限先端支持力極限周面摩擦力加算したものとする。

4.◯

杭の引抜き力は、杭自体の引張強度と、地盤の引抜き抵抗の小さい方で決まる。地盤の引抜き抵抗による値は、極限の引抜き抵抗の1/3を長期許容引抜き力とするが、杭の自重も引抜きに抵抗すると考えてよい。その場合、地下水位以下の部分浮力を考慮する。

tRa = 1/3 × tRu + Wp

tRa:杭の長期許容引抜き抵抗力

tRu:地盤による杭の極限引抜き抵抗力

Wp:杭の自重(地下水位以下の部分については浮力を考慮する)

 
[ No.8 ]
図に示す柱ABの図心Gに鉛直荷重Pと水平荷重Qが作用したとき、底部における引張縁応力度の値の大きさとして、正しいものはどれか。ただし、柱の自重は考慮しないものとする。
r05_1kg_No.8_柱の底部における引張縁応力度.jpg
1.3N/mm2
2.7N/mm2
3.10N/mm2
4.13N/mm2
 
答え

  2

[ 解答解説 ]

組合わせ応力度の問題

柱の軸力の方が大きい場合.jpg曲げモーメントの方が大きい場合.jpg

鉛直荷重 P による 応力度 P/A

P/ 300×200 = P/6 ×104

      = 180k /6 ×104

      = 3

水平荷重 Qより

M/Z = Q×ℓ/bD2/6

   = Q × 2,000 / 200 × 3002/6

   = Q × 2,000 / 3,000,000

   = Q × 2 / 3,000

   = 15kN × 2 / 3,000

   = 10

P/A < M/Z であるので、

引張側の縁応力度は、

P/A – M/Z となり、

10 − 3 = 7 N/mm2

ゆえに、正答は2となる。

(補足)

Z:断面係数( bD2/6)

  曲げ応力度を求めるときに使う

※柱の縁応力度の問題は、1級建築施工管理技士の試験では、初出題である。

[ No.9 ]
図に示す3ヒンジラーメン架構のDE間に等分布荷重wが作用したとき、支点Aの水平反力HA及び支点Bの水平反力HBの値として、正しいものはどれか。ただし、反力は右向きを「+」、左向きを「−」とする。
 
r05_1kg_No.9_ヒンジラーメン架構への等分布荷重.jpg
 
1.HA=+9kN
 
2.HA= –6kN
 
3.HB= 0kN
 
4.HB= –4kN
 
答え

  4

[ 解答解説 ]

A点及びB点における垂直反力をVA、VBとする。

点Aについてのモーメント(ΣMc = 0)を考える

等分布荷重は点Aから 3m離れた集中荷重と考える。

MA = 3 [ kN/m ] × 3 [m] − VB × 6 [m] = 0

これを解くと VB = 9[ kN ]

等分布荷重は、合計で 18 [ kN ] であるから

VA = 9[ kN ]

となる。

点Cについての右側のモーメントを考える

Mc = 3 × 2 × 1 – HB × 3 – 2 × 9 = 0

これを解くと、

HB = 4 [ kN ]

水平方向のつり合いより

HA + HB = 0 なので、

HA = –4 [ kN ]

題意より、反力は右向きを「+」、左向きを「-」

とあるので、

HA = 4 [ kN ]

HB = –4 [ kN ]

ゆえに、正答は4となる。

 
[ No.10 ]
図に示す3ヒンジラーメン架構の点Dにモーメント荷重Mが作用したときの曲げモーメント図として、正しいものはどれか。ただし、曲げモーメントは材の引張側に描くものとする。
 
  r05_1kg_No.10_3ヒンジラーメン架構のモーメント.jpg
r05_1kg_No.10_3ヒンジラーメン架構のモーメント図1.jpgr05_1kg_No.10_3ヒンジラーメン架構のモーメント図2.jpg
r05_1kg_No.10_3ヒンジラーメン架構のモーメント図3.jpgr05_1kg_No.10_3ヒンジラーメン架構のモーメント図4.jpg
答え

  2

[ 解答解説 ]

 r05_1kg_No.10_3ヒンジラーメン架構のモーメント図の考え方.jpg

点Dのモーメントは梁材DC及び柱材DAを伝わり、ピン節点であるC及びAでゼロになる。

ゆえに、3番ではない。

「曲げモーメントは材の引張側に描くものとする」

とあるので、梁DC材は下側、柱DA材は外側になる。

ゆえに、正答は、2番となる。

 
[ No.11 ]
コンクリート材料の特性に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
 
1.減水剤は、コンクリートの耐凍害性を向上させることができる。
 
2.流動化剤は、工事現場で添加することで、レディーミクストコンクリートの流動性を増すことができる。
 
3.早強ポルトランドセメントを用いたコンクリートは、普通ポルトランドセメントを用いた場合より硬化初期の水和発熱量が大きく、冬期の工事に適している。
 
4.高炉セメントB種を用いたコンクリートは、普通ポルトランドセメントを用いた場合より耐海水性や化学抵抗性が大きく、地下構造物に適している。
 
答え

  1

[ 解答解説 ]

1.×

コンクリートなどの中にある多数の微細な独立した空気泡を一様に分布させてワーカビリティ及び耐凍害性を向上させるために用いる化学混和剤は、AE剤である。減水剤は、所要のスランプを得るのに必要な単位水量を減少させるために用いる化学混和剤である。

2.◯

流動化剤は、あらかじめ現場で練り混ぜられたコンクリートに添加する混和剤で、流動性(流れやすさ)を向上させることが目的であり、スランプロスを低減させる効果がある。

3.◯

早強ポルトランドセメントは、粒子の細かさを比表面積(ブレーン値(単位:cm2/g))で表し、粒子が細かいほど質量当たりの表面積が大きい。ブレーン値の値が大きくなるほど細かく早期強度が得られる。水和発熱量が大きく、冬期の工事に適している。

4.◯

高炉セメントB種は、耐海水性化学抵抗性が大きいので、海水の作用を受けるコンクリートや、地下構造物に使用される。普通ポルトランドセメントと比較するとセメントの水和反応時に生成する遊離石灰が少ないので、次のような特徴がある。

①アルカリ骨材反応の抑制に効果がある。

②耐海水性や化学抵抗性が大きい

③初期強度はやや小さいが、4週以降の長期強度は同等以上

 
[ No.12 ]
建築に用いられる金属材料に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
 
1.ステンレス鋼は、ニッケルやクロムを含み、炭素量が少ないものほど耐食性が良い。
 
2.銅は、熱や電気の伝導率が高く、湿気中では緑青を生じ耐食性が増す。
 
3.鉛は、X線遮断効果が大きく、酸その他の薬液に対する抵抗性や耐アルカリ性にも優れている。
 
4.チタンは、鋼材に比べ密度が小さく、耐食性に優れている。
 
答え

  3

[ 解答解説 ]

1.◯

ステンレスは、ニッケル、クロムを含んだ炭素量の少ない耐食性の極めて大きい特殊鋼である。炭素量が少ないものほど軟質で耐食性がよい。

2.◯

は、軟らかく加工性が大きい。大気中のガスや水分によって緑青の保護被膜がつくられる。

3.×

は、X線・放射線の遮断効果は大きいが、他の金属と比べると錆やすい

4.◯

チタンは、比重が4.51と鋼材に比べて軽い密度が小さい。また、極めて腐食しにくく耐食性が高い。

 
[ No.13 ]
石材に関する一般的な記述として、最も不適当なものはどれか。
 
1.花崗岩は、結晶質で硬く耐摩耗性や耐久性に優れ、壁、床、階段等に多く用いられる。
 
2.大理石は、酸には弱いが、緻密であり磨くと光沢が出るため、主に内装用として用いられる。
 
3.粘板岩(スレート)は、吸水率が小さく耐久性に優れ、層状に剥がれる性質があり、屋根材や床材として用いられる。
 
4.石灰岩は、柔らかく曲げ強度は低いが、耐水性や耐酸性に優れ、主に外装用として用いられる。
 
 
答え

  4

[ 解答解説 ]

1.◯

花崗岩はいわゆる御影石と呼ばれ、地下深部のマグマが地殻内で冷却固結した結晶質の石材で、硬く、耐摩耗性耐久性に優れた石材として、建築物外部の壁階段等に最も多く用いられている。ただし、耐火性の点でやや劣る

2.◯

大理石は石灰岩が結晶化したもので、美観に優れ強度も十分ある。しかし、耐酸性、耐火性に劣り、外装材には用いることができないため、主に内装用の材料として用いられる。

3.◯

粘板岩(スレート)(変成岩)は、吸水性が少なく耐久性に優れていることに加えて、剥がれる際は層状となる性質があるため、屋根材床材として用いられる。

4.×

石灰岩(堆積岩)は、軟らかく、加工が容易なため、コンクリートの骨材や、セメント材料に用いられる。一方で、取付け部耐力、曲げ強度等は他の石材に比べて小さく、耐水性、耐酸性に劣る

 
[ No.14 ]
日本産業規格(JIS)に規定する防水材料に関する記述として、不適当なものはどれか。
 
1.2成分形のウレタンゴム系防水材は、施工直前に主剤、硬化剤の2成分に、必要によって硬化促進剤や充填材等を混合して使用する。
 
2.防水工事用アスファルトは、フラースぜい化点の温度が低いものほど低温特性のよいアスファルトである。
 
3.ストレッチルーフィング1000の数値1000は、製品の抗張積(引張強さと最大荷重時の伸び率との積)を表している。
 
4.改質アスファルトルーフィングシートは、温度特性によりⅠ類とⅡ類に区分され、低温時の耐折り曲げ性がよいものはⅠ類である。
 
答え

  4

[ 解答解説 ]

1.◯

ウレタンゴム系防水材は、湿気硬化形の1成分形、反応硬化形の2成分形がある。2成分形のウレタンゴム系防水材は、主剤硬化剤を施工直前に配合する。必要に応じて硬化促進剤や充填材等を混合して使用する。

2.◯

フラースぜい化点温度とは、アスファルトの低温における変形しやすさを示すもので、鋼板の表面に作製したアスファルト薄膜を曲げたとき、亀裂の生じる最初の温度を示す。つまり、フラースぜい化点温度が低いものは、低温でも脆性破壊を生じることなく変形する低温特性のよいアスファルトである。

3.◯

ストレッチルーフィングの種類及び品質はJIS A 6022に定められており、ストレッチルーフィング1000の数値1000は、製品の抗張積引張強さ最大荷重時の伸び率との)を表ている。

4.×

改質アスファルトルーフィングシートにはⅠ類Ⅱ類にがあり、Ⅱ類の方が低温時耐折り曲げ性がよい。(JIS A6013)

 
[ No.15 ]
屋内で使用する塗料に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
 
1.アクリル樹脂系非水分散形塗料は、モルタル面に適しているが、せっこうボード面には適していない。
 
2.クリヤラッカーは、木部に適しているが、コンクリート面には適していない。
 
3.つや有合成樹脂エマルションペイントは、鉄鋼面に適しているが、モルタル面には適していない。
 
4.2液形ポリウレタンワニスは、木部に適しているが、ALCパネル面には適していない。
 
答え

  3

[ 解答解説 ]

1.◯

アクリル樹脂系非水分散形塗料は、屋内のコンクリート面やモルタル面等、平滑な箇所の仕上げには適しているが、微細な隙間のあるガラス繊維補強セメント面やせっこうボード面には適していない。(下地処理が必要となる)

2.◯

クリヤラッカーは、顔料の入っていない透明な塗料である。自然乾燥で、短時間に溶剤が蒸発して塗膜を形成するもので、木部面に適していることが特徴である。コンクリート面には適していない。

3.×

つや有合成樹脂エマルションペイント(EP-G)は、木部(屋内)、鉄鋼・亜鉛めっき鋼面(屋内)、モルタルプラスター面(屋内外共)、コンクリート・ALCパネル・押出成形セメント板面(屋内外共)、せっこうボード・その他ボード面(屋内外共)に適している。

4.◯

2液形ポリウレタンワニスは、主剤と硬化剤を混合させて作る塗料であり、顔料が入っていない透明な塗料である。クリヤラッカーと同様、木部面に適していることが特徴である。ALCパネル面には適していない。

1級建築施工管理技士 令和05年 学科 問題2 解説

令和5年 1級建築施工管理技士 一次 解答解説 問題2
(午前の部)令和5年6月11日(日)
問題番号[ No.16 ]~[ No.20 ]までの5問題は、全問題を解答してください。
問題は、四肢択一式です。正解と思う肢の番号を1つ選んでください。
[ No.16 ]
植栽に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1.枝張りは、樹木の四方面に伸長した枝の幅をいい、測定方向により長短がある場合は、最短の幅とする。
2.支柱は、風による樹木の倒れや傾きを防止するとともに、根部の活着を助けるために取り付ける。
3.樹木の移植において、根巻き等で大きく根を減らす場合、吸水量と蒸散量とのバランスをとるために枝抜き剪定を行う。
4.樹木の植付けは、現場搬入後、仮植えや保護養生してから植え付けるよりも、速やかに行うほうがよい。
答え

  1

[ 解答解説 ]

1.×

枝張り(葉張り)は、樹木の四方面に伸長した枝のをいい、測定方向により長短がある場合は、最長と最短の平均値とする。(平成24年 No.17 変形)

2.◯

支柱は、中高木を新植する際に、樹木の風による倒れや傾きを防止、根部の活着を助けるために用いられる。

3.◯

樹木を移植に際は、樹木が移植に耐え得る状態としなければならない。根巻き等で大きく根を減らすと、養分や水分の吸収量が低くなるため、枝抜き剪定を行い、吸水量と蒸散量のバランスをとるようにする。枝抜き剪定とは、太めの枝を付け根から切り、形を良くすることである。これにより、風通しが良くなることや、養分を効率よく利用することで成長を促進する。

4.◯

樹木は、現場搬入後速やかに植え付ける。なお、搬入日に植え付けが不可能な場合は、仮植えまたは十分な保護養生により乾燥などによる傷みを防止する。

[ No.17 ]
電気設備に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1.合成樹脂製可とう電線管のうちPF管は、自己消火性があり、屋内隠ぺい配管に用いることができる。
2.電圧の種別で低圧とは、直流にあっては600V以下、交流にあっては750V以下のものをいう。
3.低圧屋内配線のための金属管は、規定値未満の厚さのものをコンクリートに埋め込んではならない。
4.低圧屋内配線の使用電圧が300Vを超える場合における金属製の電線接続箱には、接地工事を施さなければならない。
答え

  2

[ 解答解説 ]

1.◯

合成樹脂製可とう電線管には、CD管PF管が用いられている。PF管は、自己消火性がある(耐熱性)ため、屋内隠ぺい配管に用いることができる。

2.×

電圧の種別における低圧とは、直流にあっては750V以下交流にあっては600V以下のものをいう。(電気設備に関する技術基準を定める省令第2条第一号)

3.◯

低圧屋内配線に使用する金属管の厚さは、コンクリートに埋込む場合、規定値(1.2mm)未満のものを用いてはならない。(電気設備の技術基準の解釈第159条第2項第二号イ)

4.◯

低圧屋内配線の使用電圧が300Vを超える場合における金属製の電線接続箱には、原則として、C種接地工事を施さなければならない。(電気設備の技術基準の解釈第159条第3項第五号)

機械機器の区分による設置工事の適用

(機械器具の区分)   (設置工事)

300V以下の低圧用のもの D種設置工事

300V超えの低圧用のもの C種設置工事

高圧用のもの       A種設置工事

[ No.18 ]
給排水設備に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1.高置水槽方式は、一度受水槽に貯留した水をポンプで建物高所の高置水槽に揚水し、高置水槽からは重力によって各所に給水する方式である。
2.圧力水槽方式は、受水槽の水をポンプで圧力水槽に送水し、圧力水槽内の空気を加圧して、その圧力によって各所に給水する方式である。
3.屋内の自然流下式横走り排水管の最小勾配は、管径が100mmの場合、1/100とする。
4.排水槽の底の勾配は、吸い込みピットに向かって1/100とする。
答え

  4

[ 解答解説 ]

1.◯

高置水槽方式(高置タンク方式)は、上水や井水を一度受水槽に貯留し、ポンプで屋上等の高置水槽に揚水し、この水槽から重力によって各所に給水する方式で、中層、中規模以上の建物の一般的な給水方式である。

2.◯

圧力水槽方式は、上水や井水を一旦受水槽に貯水し、これをポンプで圧力水槽に送水し、圧力水槽内の空気を圧縮・加圧して、その圧力により各所に給水する方式である。建物の意匠上や地下街等の理由で、高置水槽を設けることができない場合等に設置する。

3.◯

横走り排水管設備は、汚水・雑排水、雨水に分類される。配管勾配は、緩勾配にすると排水の流下が悪く、急勾配にすると水だけが流下して固形物が残る。標準的な勾配は、管径75〜100mmの場合、1/100以上とする。

4.×

排水槽の底の勾配は、吸い込みピットに向かって1/15以上1/10以下とする。また、下り勾配とし、排水・汚泥の排出及び清掃が容易かつ安全に行える構造とする。

[ No.19 ]
建築物に設けるエレベーターに関する記述として、最も不適当なものはどれか。ただし、特殊な構造又は使用形態のものは除くものとする。
1.乗用エレベーターには、停電時に床面で1ルクス以上の照度を確保することができる照明装置を設ける。
2.乗用エレベーターには、1人当たりの体重を65kgとして計算した最大定員を明示した標識を掲示する。
3.火災時管制運転は、火災発生時にエレベーターを最寄階に停止させる機能である。
4.群管理方式は、エレベーターを複数台まとめた群としての運転操作方式で、交通需要の変動に応じて効率的な運転管理を行うことができる。
答え

  3

[ 解答解説 ]

1.◯

乗用エレベーターまたは寝台用エレベーターにあっては、停電時に置いても、床面で1ルクス以上の照度を確保することができる照明装置を設けなければならない。(建築基準法施行令第129条の10第3項第四号ロ)

2.◯

乗用エレベーターにあっては、1人当たりの体重を65kgとして計算する。最大積載量750kgのエレベーターの場合は、750 ÷ 65 ≒ 11.54 となるため、最大定員11名と明示する。(建築基準法施行令第129条の6第3第五号)

3.×

火災時管制運転は、火災発生時にエレベーターを避難階に呼び戻す機能である。この装置は防災センターで切換スイッチによる火災報知器の防炎信号によってすべてのエレベーターを一斉に避難階に呼び戻し帰着させるものである。(機械設備工事監理指針)

4.◯

エレベーターの群管理方式とは、絶えず変動するビル内の交通需要に応じて、エレベーター運転方式を適応的に選定し、複数台あるエレベーターを効率的に運転することを目的とする。

[ No.20 ]
請負契約に関する記述として、「公共工事標準請負契約約款」上、誤っているものはどれか。
1.設計図書とは、図面及び仕様書をいい、現場説明書及び現場説明に対する質問回答書は含まない。
2.発注者は、工事の完成を確認するために必要があると認められるときは、その理由を受注者に通知して、工事目的物を最小限度破壊して検査することができる。
3.工期の変更については、発注者と受注者が協議して定める。ただし、予め定めた期間内に協議が整わない場合には、発注者が定め、受注者に通知する。
4.工事の施工に伴い通常避けることができない騒音、振動、地盤沈下、地下水の断絶等の理由により第三者に損害を及ぼしたときは、原則として、発注者がその損害を負担しなければならない。
答え

  1

[ 解答解説 ]

1.×

設計図書とは、図面、仕様書、現場説明書及び現場説明に対する質疑応答書をいう。(公共工事標準請負契約約款第1条)現寸図その他これらに類する物(施工図・施工計画書等)を除く

2.◯

発注者は、工事完成の通知を受けたときは、通知を受けた日から14日以内に受注者の立会いの上、設計図書に定めるところにより、工事の完成を確認するための検査を完了し、当該検査の結果を受注者に通知しなければならない。この場合において、発注者は、必要があると認められるときは、その理由を受注者に通知して、工事目的物を最小限度破壊して検査することができる。(公共工事標準請負契約約款第32条第2項)

3.◯

工期の変更については、発注者と受注者が協議して定める。ただし、あらかじめ定めた期間内に協議が整わない場合には、発注者が定め、受注者に通知する。(公共工事標準請負契約約款第24条第1項)

4.◯

公共工事標準請負契約約款第29条第2項により正しい。ただし、その損害のうち工事の施工につき、受注者(請負者)が善良管理者の注意義務を怠ったことにより生じたものについては、受注者(請負者)が負担する。

1級建築施工管理技士 令和05年 学科 問題3 解説

令和5年 1級建築施工管理技士 一次 解答解説 問題3
(午前の部)令和5年6月11日(日)
問題番号[ No.21 ]~[ No.30 ]までの10問題のうちから、7問題を選択し、解答してください。
ただし、7問題を超えて解答した場合、減点となりますから注意してください。
問題は、四肢択一式です。正解と思う肢の番号を1つ選んでください。
[ No.21 ]
乗入れ構台及び荷受け構台の計画に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1.乗入れ構台の支柱の位置は、基礎、柱、梁及び耐力壁を避け、5m間隔とした。
2.乗入れ構台の高さは、大引下端が床スラブ上端より10cm上になるようにした。
3.荷受け構台の作業荷重は、自重と積載荷重の合計の10%とした。
4.荷受け構台への積載荷重の偏りは、構台の全スパンの60%にわたって荷重が分布するものとした。
答え

  2

[ 解答解説 ]

1.◯

乗入れ構台の支柱の位置は、地下構造図と重ね合わせるなどして、基礎、柱、梁及び耐力壁の位置重ならないように配置し、支柱の間隔は 3〜6m程度として計画する。

2.×

乗入れ構台の大引下端は、躯体コンクリート打設時に床の均し作業ができるように、1階のスラブ上端より20~30cm程度上に設定する。(建築工事監理指針)

3.◯

荷受け構台の構造計算に用いる作業荷重は、自重と積載荷重の合計の10%とする。

4.◯

荷受け構台を構成する部材については、積載荷重の偏りを考慮して検討し、通常は構台全スパンの60%にわたって、積載荷重が分布するものと仮定する。

[ No.22 ]
地下水処理工法に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1.ディープウェル工法は、初期のほうが安定期よりも地下水の排水量が多い。
2.ディープウェル工法は、透水性の低い粘性土地盤の地下水位を低下させる場合に用いられる。
3.ウェルポイント工法は、透水性の高い粗砂層から低いシルト質細砂層までの地盤に用いられる。
4.ウェルポイント工法は、気密保持が重要であり、パイプの接続箇所で漏気が発生しないようにする。
答え

  2

[ 解答解説 ]

1.◯

ディープウェル工法は、掘削溝内・外にディープウェル(深井戸)を設置し、ウェル内に流入する地下水ポンプ排水させる工法である。施工時の特徴として、初期のほうが安定期よりも地下水の排水量が多い

2.×

ディープウェル工法は、砂層砂礫層等で、透水性の高い地盤で、排水量が多い場合に適している。(建築工事監理指針)

3.◯

ウェルポイント工法は、吸水管を地中に設置し、真空ポンプにより強制的に地下水を集めて排水する工法で、透水性の高い粗砂層から低いシルト質細砂層までの地盤に適用可能である。

4.◯

ウェルポイント工法の留意事項は、地下水位低下の際に地盤た多少沈下するため、周辺環境の調査をすること、ポンプの故障に備え予備ポンプの設置をすること、気密保持のため、パイプの接続箇所で漏気が発生しないようにすること等が挙げられる。(建築工事監理指針)

[ No.23 ]
既製コンクリート杭の施工に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1.荷降ろしのため杭を吊り上げる場合、安定するように杭の両端から杭長の1/10の2点を支持して吊り上げる。
2.杭に現場溶接継手を設ける際には、原則として、アーク溶接とする。
3.継ぎ杭で、下杭の上に杭を建て込む際には、接合中に下杭が動くことがないように、保持装置に固定する。
4.PHC杭の頭部を切断した場合、切断面から350mm程度まではプレストレスが減少しているため、補強を行う必要がある。
答え

  1

[ 解答解説 ]

1.×

既製コンクリートの杭の吊り上げは、支持点(杭の両端から杭長の1/5の点)近くの2点で支持する。

2.◯

既製コンクリート杭に現場溶接継手を設ける場合は、原則としてアーク溶接とする。

3.◯

継ぎ杭とは、1本の杭では長さが不足し、継手を設けてもう1本の杭を連結させて打込む杭をいう。下杭の上に杭を建て込む場合、下杭を保持する装置を設けて、接合時に動かないように留意する。

4.◯

PHC杭(プレテンション方式遠心力高強度プレストレスとコンクリート杭)の杭頭を切断した場合は、切断面から350mm程度まではプレストレスが減少しているので、設計図書により補強を行う。(建築工事監理指針)

[ No.24 ]
鉄筋の機械式継手に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1.トルク方式のねじ節継手とは、カップラーを用いて鉄筋を接合する工法で、ロックナットを締め付けることで鉄筋とカップラーとの間の緩みを解消する。
2.グラウト方式のねじ節継手とは、カップラーを用いて鉄筋を接合する工法で、鉄筋とカップラーの節との空隙にグラウトを注入することで緩みを解消する。
3.充填継手とは、異形鉄筋の端部に鋼管(スリーブ)をかぶせた後、外側から加圧して鉄筋表面の節にスリーブを食い込ませて接合する工法である。
4.端部ねじ継手とは、端部をねじ加工した異形鉄筋、あるいは加工したねじ部を端部に圧接した異形鉄筋を使用し、雌ねじ加工されたカップラーを用いて接合する工法である。
答え

  3

[ 解答解説 ]

1.◯

トルク方式のねじ節継手は、ねじ節鉄筋とねじ鉄筋に、カップラー(接合金具)を用いて接合し、ロックナットにより締め付け固定する方法で、鉄筋とカップラーとの間の緩みを解消する。

2.◯

グラウト方式のねじ節継手とは、ねじ節鉄筋とねじ筋鉄筋を、カップラーを用いて鉄筋を接合し、グラウト材充填して鉄筋とカップラーの節を固定する方法で、グラウト材を注入することで緩みを解消する。

3.×

異形鉄筋の端部に鋼管(スリーブ)をかぶせた後、外側から加圧して鉄筋表面の節にスリーブを食い込ませて接合する工法は、圧着継手である。充填継手とは、内面の凹凸のついた比較的径の大きい鋼管(スリーブ)に異形鉄筋の端部を挿入した後、スリーブ内に高強度の無収縮モルタル等を充填して接合する工法である。

4.◯

端部ねじ継手とは、端部をねじ加工した異形鉄筋、または加工したねじ部を端部に圧接した異形鉄筋を使用し、雌ねじ加工されたカップラーを用いて接合する工法である。

[ No.25 ]
型枠支保工に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1.支柱として用いるパイプサポートの高さが3.5mを超える場合、高さ2.5m以内ごとに水平つなぎを2方向に設けなければならない。
2.支柱として用いる鋼管枠は、最上層及び5層以内ごとに水平つなぎを設けなければならない。
3.支柱としてパイプサポートを用いる型枠支保工は、上端に作業荷重を含む鉛直荷重の5/100に相当する水平荷重が作用しても安全な構造でなければならない。
4.支柱として鋼管枠を用いる型枠支保工は、上端に作業荷重を含む鉛直荷重の2.5/100に相当する水平荷重が作用しても安全な構造でなければならない。
答え

  1

[ 解答解説 ]

1.×

支柱として用いるパイプサポートの高さが3.5mを超える場合、水平つなぎを設ける位置は、高さ2.0m以内ごとに水平つなぎを2方向に設けなければならない。(労働安全衛生規則第242条第六号イ、第七号ハ)

2.◯

最上層及び5層以内ごとの箇所において、型枠支保工の側面並びに枠面の方向及び交差筋かいの方向における5枠以内ごとの箇所に、水平つなぎを設け、かつ、水平つなぎの変位を防止すること。」と定められている。(労働安全衛生規則第242条第八号ロ)

3.◯

「鋼管枠以外のものを支柱として用いるものであるときは、当該型枠支保工の上端に、設計荷重の5/100に相当する水平方向の荷重が作用しても安全な構造のものとすること。」と定められている。(労働安全衛生規則第240条第3項第四号)

4.◯

「鋼管枠を支柱として用いるものであるときは、当該型枠支保工の上端に、設計荷重の2.5/100に相当する水平方向の荷重が作用しても安全な構造のものとすること。」と定められている。(労働安全衛生規則第240条第3項第三号)

[ No.26 ]
コンクリートの運搬、打込み及び締固めに関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1.コンクリートの圧送開始前に圧送するモルタルは、型枠内に打ち込まないが、富調合のものとした。
2.圧送するコンクリートの粗骨材の最大寸法が20mmのため、呼び寸法100Aの輸送管を使用した。
3.コンクリート棒形振動機の加振は、セメントペーストが浮き上がるまでとした。
4.外気温が25℃を超えていたため、練混ぜ開始から打込み終了までの時間を120分以内とした。
答え

  4

[ 解答解説 ]

1.◯

コンクリートの圧送に先立ち圧送される先送りモルタルは、型枠内に打ち込まなず破棄する。また、先送モルタルは、セメントの配分を多くした富調合のものとする。(公共建築工事標準仕様書建築工事編6.6.1(3)(ウ))

2.◯

コンクリート輸送管の径は、コンクリートポンプの圧送性に直接影響し、径が大きいほど圧力損失が少なくなり、圧送性も良くなる。粗骨材の最大寸法が20mmの場合の輸送管の呼び寸法は100A以上とする。(公共建築工事標準仕様書建築工事編6.6.1(3)(イ)、表6.6.1)

3.◯

コンクリート打込み時におけるコンクリート棒形振動機によるコンクリートへの加振は、セメントペーストが浮き上がるまで実施する。(公共建築工事標準仕様書建築工事編6.6.5(3))

4.×

コンクリートの練混ぜから打込み終了までの時間の限度は、外気温が25℃以下で120分以内25℃を超える場合は90分以内とする。(公共建築工事標準仕様書建築工事編6.6.2(1))

[ No.27 ]
鉄骨の建方に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1.架構の倒壊防止用に使用するワイヤロープは、建入れ直し用に兼用してもよい。
2.スパンの寸法誤差が工場寸法検査で計測された各部材の寸法誤差の累積値以内となるよう、建入れ直し前にスパン調整を行う。
3.建方に先立って施工するベースモルタルは、養生期間を3日間以上とする。
4.梁のフランジを溶接接合、ウェブをボルトの配列が1列の高力ボルト接合とする混用接合の仮ボルトは、ボルト1群に対して1/3程度、かつ、2本以上締め付ける。
答え

  4

[ 解答解説 ]

1.◯

鉄骨の建方時に架構の倒壊防止としてワイヤロープを使用する場合、このワイヤロープを建入れ直し用に兼用してもよい。(JASS6)

2.◯

工場で計測した寸法と現場で測定した寸法は、鋼製巻尺の違いや、搬入時までの温度変化による材料の伸縮により、異なる場合がある。そのため、各部材の寸法誤差は、累積値以内となるように、建入れ直し前にスパン調整を行う必要がある。

3.◯

建方に先立って施工するベースモルタルは、モルタル中心塗り部分のモルタルの塗厚さを30mm以上50mm以下とし、養生期間を3日とらなければならない。(JASS6)

4.×

高力ボルト接合における仮ボルトの締付けは、1群のボルト数の1/2以上、かつ2本以上バランスよく配置して締め付ける。(公共建築工事標準仕様書建築工事編7.10.5(3))

また、ウェブを高力ボルト接合、フランジを工事現場溶接接合とする混用継手は、原則としてウェブの高力ボルトを先に本締めまで行った後、フランジ溶接を行う。

[ No.28 ]
大断面集成材を用いた木造建築物に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1.梁材の曲がりの許容誤差は、長さの1/1,000とした。
2.集成材にあけるドリフトピンの下孔径は、ドリフトピンの公称軸径に2mmを加えたものとした。
3.集成材にあける標準的なボルト孔の心ずれは、許容誤差を±2mmとした。
4.接合金物にあけるボルト孔の大きさは、ねじの呼びがM16未満の場合は公称軸径に1mmを、M16以上の場合は1.5mmを加えたものとした。
答え

  2

[ 解答解説 ]

1.◯

梁材の曲がりの許容誤差は、長さの1/1,000以下とする。

2.×

集成材にあけるドリフトピンの孔の径の許容誤差は、特記がなければピン径と同径とする。

木造建築物に用いる大断面集成材の許容誤差は下表のとおりである。

R01.32木造建築物における大断面集成材の許容誤差.jpg

3.◯

大断面集成材に設ける標準的なボルト孔の心ずれは、許容誤差を±2mm以内とする。

4.◯

接合金物にあけるボルトの孔あけ加工の大きさは、ねじの呼びがM16未満の場合は公称軸径に1mmを加えたものとし、M16以上の場合は1.5mmを加える。(公共建築木造工事標準仕様書5.2.4(1)(c)⑦,表5.2.1)

[ No.29 ]
建設機械に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1.ブルドーザーは、盛土、押土、整地の作業に適している。
2.ホイールクレーンは、同じ運転室内でクレーンと走行の操作ができ、機動性に優れている。
3.アースドリル掘削機は、一般にリバース掘削機に比べ、より深い掘削能力がある。
4.バックホウは、機械の位置より低い場所の掘削に適し、水中掘削も可能だが、高い山の切取りには適さない。
答え

  3

[ 解答解説 ]

1.◯

ブルドーザーは、車体の前方にブレード(排土板)がついており、地面を整地するために用いられる。盛土、押土、整地の作業に適している。

2.◯

ホイールクレーンは、同じ運転室内でクレーンと走行の操作ができ、小回りが利くので狭い場所でも設置できる。つり上げ荷重はトラッククレーンに比べて小さい

3.×

リバース掘削機は、一般にアースドリル掘削機に比べて深い掘削能力がある。リバース掘削機の施工深さは約70m程度、アースドリル掘削機は約50m程度である。

4.◯

バックホウは、アームの先端にバケットを装着した掘削に用いられる建設機械で、機械の位置より低い場所の掘削に適し、水中掘削も可能だが、高い山の切取りには適さない。

[ No.30 ]
鉄筋コンクリート造の耐震改修工事における現場打ち鉄筋コンクリート耐震壁の増設工事に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1.増設壁上部と既存梁下との間に注入するグラウト材の練上り時の温度は、練り混ぜる水の温度を管理し、10~35℃の範囲とする。
2.あと施工アンカー工事において、接着系アンカーを既存梁下端に上向きで施工する場合、くさび等を打ってアンカー筋の脱落防止の処置を行う。
3.コンクリートポンプ等の圧送力を利用するコンクリート圧入工法は、既存梁下との間に隙間が生じやすいため、採用しない。
4.増設壁との打継ぎ面となる既存柱や既存梁に施す目荒しの面積の合計は、電動ピック等を用いて、打継ぎ面の15~30%程度となるようにする。
答え

  3

[ 解答解説 ]

1.◯

耐震改修工事における現場打ち鉄筋コンクリート耐震壁の施工においては、現場施工時の水温の管理を十分に行い、水温10℃以上の水を用いてグラウト材を練り上げ、練り上げ時の温度が10〜35℃の範囲のものを注入する。

2.◯

あと施工アンカー工事の接着系アンカーの固着において、上向き作業の場合は、接着剤の漏出防止及び取り付けボルトまたはアンカー筋脱落防止の処置を行う。(公共建築改修工事標準仕様書建築工事編 8.12.5(2)(オ))

3.×

コンクリート圧入工法は、既存の梁面との間にすき間が生じないように、ポンプ等で圧力で加えながら打込む工法なので、打継ぎ面の施工には適している。圧入工法は、既存梁と増築壁との接合をより確実を行うことができる。

4.◯

既存コンクリート表面は、平滑であり、打継ぎ面として適当ではないので、目荒しを施す。この目荒しの程度は、特記によるが、特記のない場合、一般には、既存柱・梁の目荒しは、電動ピック等を用いて、平均深さ2〜5mm(最大で5〜7mm)程度の凹面を合計が打継ぎ面の15〜30%程度の面積となるように全体にわたってつける。(建築改修工事監理指針)

1級建築施工管理技士 令和05年 学科 問題4 解説

令和5年 1級建築施工管理技士 一次 解答解説 問題4
(午前の部)令和5年6月11日(日)
問題番号[ No.31 ]~[ No.39 ]までの9問題のうちから、7問題を選択し、解答してください。
ただし、7問題を超えて解答した場合、減点となりますから注意してください。
問題は、四肢択一式です。正解と思う肢の番号を1つ選んでください。
[ No.31 ]
防水工事に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1.アスファルト防水密着工法における平場部のルーフィングの張付けに先立ち、入隅は幅300mm程度のストレッチルーフィングを増張りした。
2.改質アスファルトシート防水トーチ工法における平場部の改質アスファルトシートの重ね幅は、縦横とも100mm以上とした。
3.アスファルト防水における立上り部のアスファルトルーフィング類は、平場部のアスファルトルーフィングを張り付けた後、150mm以上張り重ねた。
4.改質アスファルトシート防水絶縁工法におけるALCパネル目地の短辺接合部は、幅50mm程度のストレッチルーフィングを張り付けた。
答え

  4

[ 解答解説 ]

1.◯

アスファルトルーフィング類の張付けにおいて、出隅、入隅には一般平場のルーフィング類の張付けに先立ち、幅300mm以上のストレッチルーフィングを用いて均等に増張り(捨張り)する。(公共建築工事標準仕様書建築工事編9.2.4(4)(ア)(c)表9.2.10)

2.◯

改質アスファルトシートの重ね幅は幅方向、長手方向とも100mm以上とし、2層の場合は上下層の改質アスファルトシートの接合部が重ならないようにする。(公共建築工事標準仕様書建築工事編9.2.4(5)(ア)(a)②)

3.◯

立上り部よりも水下側の平場部が下側になるよう、立上り部のアスファルトルーフィング類の張付けに先立ち、平場部のルーフィング類を150mm以上張り重ねる。(公共建築工事標準仕様書建築工事編9.2.4(4)(イ)(f))

4.×

ALCパネル下地の短辺接合部は、ルーフィングシート張付けに先立ち、目地部に幅 50mm程度絶縁用テープを張付ける。(公共建築工事標準仕様書建築工事編9.3.4(3)(ア)(c))

[ No.32 ]
乾式工法による外壁の張り石工事に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1.厚さ30mm、大きさ500mm角の石材のだぼ孔の端あき寸法は、60mmとした。
2.ロッキング方式において、ファスナーの通しだぼは、径4mmのものを使用した。
3.下地のコンクリート面の精度を考慮し、調整範囲が±10mmのファスナーを使用した。
4.石材間の目地は、幅を10mmとしてシーリング材を充填した。
答え

  1

[ 解答解説 ]

1.×

石材のだぼ孔の端あき寸法は、石材の厚みの3倍以上の90mm以上とし、石材幅の辺長の1/4程度である125mm程度の位置にバランスよく設ける。(JASS9)

2.◯

乾式工法のロッキング方式において、ファスナーの通しだぼは、上下固定で径4.0mm、埋込み長さ20mmのものを使用する。(公共建築工事標準仕様書建築工事編10.5.2(2)(ア))

3.◯

外壁乾式工法において、下地のコンクリート面の寸法精度は、±10mm以内とする。この精度を考慮するため、±10mmが調整できるのファスナーを用いる。(公共建築工事標準仕様書建築工事編10.1.3(3)表10.1.1)

4.◯

石材間の目地には、シーリング材を充填する。目地幅は特記がなければ幅、深さとも8mm以上とする。

(公共建築工事標準仕様書建築工事編10.5.3(6)(イ))

[ No.33 ]
金属製折板葺屋根工事に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1.端部用タイトフレームは、けらば包みの下地として、間隔を1,800mmで取り付けた。
2.重ね形折板の重ね部分の緊結ボルトは、流れ方向の間隔を600mmとした。
3.軒先の落とし口は、折板の底幅より小さく穿孔し、テーパー付きポンチで押し広げ、10mmの尾垂れを付けた。
4.軒先のアール曲げ加工は、曲げ半径を450mmとした。
答え

  1

[ 解答解説 ]

1.×

端部用タイトフレーム(けらば用タイトフレーム)は、けらば包みの下地として、間隔を 1,200mmで取り付ける。(建築工事監理指針)

2.◯

重ね形折板は、各山ごとにタイトフレームに固定し、重ね部分の緊結ボルトは流れ方向の間隔を600mm程度とする。(公共建築工事標準仕様書建築工事編13.3.3(3)(ウ))

3.◯

折板の底に設ける雨水の落とし口は円形にし、孔の周囲に5〜15mm程度尾垂れを付け、裏側への雨水の回り込みを防止する。

4.◯

金属製折板葺屋根の軒先のアール曲げ加工は、曲げ半径450mmとする。

[ No.34 ]
特定天井に該当しない軽量鉄骨天井下地工事に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1.天井のふところが1,500mm以上あったため、吊りボルトの振れ止めとなる水平方向の補強は、縦横間隔を1,800mm程度とした。
2.下り壁による天井の段違い部分は、2,700mm程度の間隔で斜め補強を行った。
3.下地張りのある天井仕上げの野縁は、ダブル野縁を1,800mm程度の間隔とし、その間に4本のシングル野縁を間隔を揃えて配置した。
4.野縁は、野縁受にクリップ留めし、野縁が壁と突付けとなる箇所は、野縁受からのはね出しを200mmとした。
答え

  4

[ 解答解説 ]

1.◯

天井のふところが3mを超える場合は、特記による。天井のふところが1.5m以上の場合は、原則として、吊りボルトの水平補強、斜め補強を行う。水平補強縦横方向に間隔1.8m程度に配置し、斜め補強は相対する斜め材を1組とし、縦横方向に間隔3.6m程度に配置する。(公共建築工事標準仕様書建築工事編14.4.4(8))

2.◯

下り壁、間仕切壁等を境としてに天井に段違いがある場合は、野縁受けと同材またはL-30×30×3 [ mm ]程度の部材で、間隔 2.7m程度斜め補強を行う。(公共建築工事標準仕様書建築工事編14.4.4(7))

3.◯

下地張りのある場合の野縁の間隔は、シングル野縁360mm程度ダブル野縁1,800mm程度とする。ただし、屋外の場合は、特記による。ダブル野縁1,800mm程度の間隔の間隔であり、ダブル野縁の間隔に4本のシングル野縁を間隔を揃えて配置すると、シングル野縁の間隔は1,800÷5 = 360mmとなり、適当と判断できる。(公共建築工事標準仕様書建築工事編14.4.3(2)表14.4.2)

34_標仕_表14.4.2_野縁の間隔.jpg

4.×

野縁は、野縁受にクリップ留めし、野縁が壁と突付けとなる箇所は、野縁受からのはね出しは150mm以内とする。

No34_軽量鉄骨天井下地工事.jpeg

[ No.35 ]
内壁コンクリート下地のセメントモルタル塗りに関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1.下塗りは、吸水調整材の塗布後、乾燥を確認してから行った。
2.下塗り用モルタルの調合は、容積比でセメント1:砂 3とした。
3.下塗り後の放置期間は、モルタルの硬化が確認できたため、14日間より短縮した。
4.中塗りや上塗りの塗厚を均一にするため、下塗りの後に、むら直しを行った。
答え
  2

[ 解答解説 ]

1.◯

吸水調整材塗布後の下塗りまでの間隔は、一般に1時間以上とし、乾燥確認してから行う。

2.×

下塗り用モルタルの調合(容積比)は、セメント1:砂 2.5むら直し、中塗り、上塗りは、セメント1:砂 3とする。(公共建築工事標準仕様書建築工事編 表15.3.3)

3.◯

下塗りは、14日以上放置して、ひび割れ等を十分発生させてから、次の塗り付けを行う。ただし、気象条件等により、モルタルの接着が確保できる場合には、放置期間を短縮することができる。(公共建築工事標準仕様書建築工事編 15.3.5(1)(ア)(e))

4.◯

むら直しとは、塗厚または仕上厚が大きいとき、あるいは塗りむらが著しい時に、下塗りの上にモルタルを塗りつけることをいう。これにより、中塗り、上塗りの塗厚が均一となる。セメントモルタル塗りの工程は、下塗り → むら直し → 中塗り → 上塗りの順で行う。

[ No.36 ]
鋼製建具に関する記述として、最も不適当なものはどれか。ただし、1枚の戸の有効開口は、幅950mm、高さ2,400mmとする。
1.外部に面する両面フラッシュ戸の表面板は鋼板製とし、厚さを1.6mmとした。
2.外部に面する両面フラッシュ戸の見込み部は、上下部を除いた左右2方を表面板で包んだ。
3.たて枠は鋼板製とし、厚さを1.6mmとした。
4.丁番やピポットヒンジ等により、大きな力が加わる建具枠の補強板は、厚さを2.3mmとした。
答え

  2

[ 解答解説 ]

1.◯

鋼板類の厚さは、特記による。特記がなければ、片開き、親子開き及び両開き戸の1枚の戸の有効幅が950mmまたは有効高さが 2,400mmを超える場合を除き下記の表とする。外部に面する両面フラッシュ戸の表面板は鋼板製とし、厚さを1.6mmとする。(公共建築工事標準仕様書建築工事編 16.4.4(1)表16.4.2)

36_標仕_表16.4.2_鋼製建具に使用する鋼板類の厚さ.jpg

2.×

内部建具の両面フラッシュ戸の見込み部は、上下部を除いた左右2方を表面板で包めばよいが、、外部に面する戸は、下部を除き三方の見込みを表面板で包む。(建築工事監理指針)

3.◯

上表により、たて枠は鋼板製とし枠類に分類される。厚さを1.6mmとする。

4.◯

枠の丁番、ドアクローザー、ピポットヒンジ等が取り付く箇所には、裏面に補強板を取り付ける。大きな力が加わる建具枠の補強板は、厚さを2.3mmとする。(公共建築工事標準仕様書建築工事編 16.4.4表16.4.2)

[ No.37 ]
塗装工事に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1.アクリル樹脂系非水分散形塗料塗りにおいて、中塗りを行う前に研磨紙P220を用いて研磨した。
2.せっこうボード面の合成樹脂エマルションペイント塗りにおいて、気温が20℃であったため、中塗り後3時間経過してから、次の工程に入った。
3.屋外の木質系素地面の木材保護塗料塗りにおいて、原液を水で希釈し、よく攪拌して使用した。
4.亜鉛めっき鋼面の常温乾燥形ふっ素樹脂エナメル塗りにおいて、下塗りに変性エポキシ樹脂プライマーを使用した。
答え

  3

[ 解答解説 ]

1.◯

アクリル樹脂系非水分散形塗料塗りの工程は、素地調整、下塗り、パテかい、研磨、中塗り、上塗りと進む。研磨には研磨紙P220を用いる。

2.◯

合成樹脂エマルションペイント塗りでは、各塗装工程の標準工程間隔時間は、気温20℃においては3時間以上である。

3.×

木材保護塗料塗りは通常屋外で使用される木質系素地に対して適用される。木材保護塗料は、原液で使用することを基本とし、希釈はしない

4.◯

亜鉛めっき鋼面の常温乾燥形ふっ素樹脂エナメル塗りの下塗りには、変性エポキシ樹脂プライマーを使用する。(JASS18)

[ No.38 ]
ALCパネル工事に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1.床版敷設筋構法において、床パネルへの設備配管等の孔あけ加工は1枚当たり1か所とし、主筋の位置を避け、直径100mmの大きさとした。
2.横壁アンカー構法において、地震時等における躯体の変形に追従できるよう、ALCパネル積上げ段数3段ごとに自重受け金物を設けた。
3.縦壁フットプレート構法において、ALC取付け用間仕切チャンネルをデッキプレート下面の溝方向に取り付ける場合、下地として平鋼をデッキプレート下面にアンカーを用いて取り付けた。
4.床版敷設筋構法において、建物周辺部、隅角部等で目地鉄筋により床パネルの固定ができない箇所は、ボルトと角座金を用いて取り付けた。
答え

  1

[ 解答解説 ]

1.×

床版敷設筋構法において、床パネルへの設備配管等が貫通する場合の孔あけは、直径50mm以下とする。(建築工事監理指針)

2.◯

横壁アンカー構法においては、パネル重量による下段パネルの損傷を避けるため、ALCパネル積上げ段数3〜5段以下毎にALCパネルの重量を支持する自重受け金物を設ける。(一般社団法人 ALC協会ALCパネル取付く構法標準・同解説第2章第2節3.1b)

3.◯

縦壁フットプレート構法において、デッキプレート下面への下地鋼材の取付けは、下地鋼材がデッキプレートの溝方向と平行となる場合、下地鋼材の取付けに先立ち、下地として平鋼をデッキプレート下面にアンカーなどにより取り付けておく必要がある。(一般社団法人 ALC協会ALCパネル取付く構法標準・同解説第3章第2節2.2)

4.◯

床版敷設筋構法において、建物周辺部、隅角部、階段室廻りなどで目地鉄筋によりALCパネルの固定ができない箇所は、ボルトと座金丸座金または角座金・角座金R)を用いて取り付ける。(一般社団法人 ALC協会ALCパネル取付く構法標準・同解説第4章第1節3c)

[ No.39 ]
内装改修工事に関する記述として、最も不適当なものはどれか。ただし、既存部分は、アスベストを含まないものとする。
1.ビニル床シートの撤去後に既存下地モルタルの浮き部分を撤去する際、健全部分と縁を切るために用いるダイヤモンドカッターの刃の出は、モルタル厚さ以下とした。
2.既存合成樹脂塗床面の上に同じ塗床材を塗り重ねる際、接着性を高めるよう、既存仕上げ材の表面を目荒しした。
3.防火認定の壁紙の張替えは、既存壁紙の裏打紙を残した上に防火認定の壁紙を張り付けた。
4.既存下地面に残ったビニル床タイルの接着剤は、ディスクサンダーを用いて除去した。
答え

  3

[ 解答解説 ]

1.◯

ビニル床シート張りの下地モルタルの浮き部分の撤去の際、ダイヤモンドカッターの刃の出は、モルタル厚さ以下とする。(公共建築改修工事標準仕様書6.2.2(1)(ア))

2.◯

既存合成樹脂塗床材を除去せずに同じ塗床材を塗り重ねる場合は、既存仕上げ材の表面をディスクサンダー等により目荒しして接着性を高める。(公共建築改修工事標準仕様書6.2.2(1)(イ)(b))

3.×

壁紙の張替えは、既存の壁紙を残さず撤去し、下地基材面を露出させてから新規の壁紙を張り付けなければ防火材料に認定されない。(建築改修工事監理指針)

4.◯

既存床仕上材の撤去に関して、下地面に残ったビニル床タイルの接着剤は、アスベストを含有していない場合、新規仕上げの施工に支障のないように、ディスクサンダー等により除去する。(建築改修工事監理指針)

1級建築施工管理技士 令和05年 学科 問題5 解説

令和5年 1級建築施工管理技士 一次 解答 問題5
(午前の部)令和5年6月11日(日)
問題番号[ No.40 ]~[ No.44 ]までの5問題は、全問題を解答してください。
問題は、四肢択一式です。正解と思う肢の番号を1つ選んでください。
[ No.40 ]
事前調査や準備作業に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1.地下水の排水計画に当たり、公共下水道の排水方式の調査を行った。
2.タワークレーン設置による電波障害が予想されたため、近隣に対する説明を行って了解を得た。
3.ベンチマークは、移動のおそれのない箇所に、相互にチェックできるよう複数か所設けた。
4.コンクリートポンプ車を前面道路に設置するため、道路使用許可申請書を道路管理者に提出した。
答え

  4

[ 解答解説 ]

1.◯

地下水の排水計画に当たっては、公共下水道の排水方式等必要な調査を行う。

2.◯

鉄骨工事計画に当たって、タワークレーンによる電波障害が予想される場合には、近隣に対する説明を行って了解を得る必要がある。

3.◯

ベンチマークは、建物の高さ及び位置の基準となるものであり、敷地付近の移動のおそれのない箇所に設置し、監理者の検査を受ける。またベンチマークは通常2箇所以上設け、相互にチェックを行う。

4.×

コンクリートの打設ではコンクリートポンプ車等を道路上に一時駐車するため、施工者は道路使用許可申請書を所轄警察署長に提出しなければならない。(道路交通法第77条第1項第一号)

[ No.41 ]
仮設設備の計画に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1.作業員の仮設男性用小便所数は、同時に就業する男性作業員40人以内ごとに1個を設置する計画とした。
2.工事用電気設備の建物内幹線の立上げは、上下交通の中心で最終工程まで支障の少ない階段室に計画した。
3.仮設電力契約は、工事完了まで変更しない計画とし、短期的に電力需要が増加した場合は、臨時電力契約を併用した。
4.仮設の給水設備において、工事事務所の使用水量は、1人1日当たり50Lを見込む計画とした。
答え

  1

[ 解答解説 ]

1.×

男性用大便器の便房の数は、同時に就業する男性労働者 60人以内ごとに1個以上、男性用小便所数は、同時に就業する男性労働者 30人以内ごとに1個以上とする。

2.◯

工事用電気設備の建物内幹線の立上げは、できるだけ最終工程まで支障の少ない場所で計画する。

3.◯

仮設電力契約は、工事完了まで変更しない計画とするが、短期的に電力需要が増加する場合は、工事に影響がでないよう臨時電力契約をして、使用する電力の量を増量する。臨時電力契約は、通常の電力供給契約に比べて割高となる。

4.◯

仮設の給水設備において、工事事務所使用水量は、40〜50L/ 人・日を目安とする。

[ No.42 ]
工事現場における材料の保管に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1.長尺のビニル床シートは、屋内の乾燥した場所に直射日光を避けて縦置きにして保管した。
2.砂付ストレッチルーフィングは、ラップ部(張付け時の重ね部分)を下に向けて縦置きにして保管した。
3.フローリング類は、屋内のコンクリートの床にシートを敷き、角材を並べた上に保管した。
4.木製建具は、取付け工事直前に搬入し、障子や襖は縦置き、フラッシュ戸は平積みにして保管した。
答え

  2

[ 解答解説 ]

1.◯

長尺のビニル床シートは、屋内の乾燥した場所に、直射日光を避けて縦置きする。(JASS26)

2.×

砂付ストレッチルーフィングは、接着不良にならないように砂の付いていないラップ部分(張付け時の重ね部分)を上に向けて縦置きとし、ラップ部分の保護のため2段積みは行わない。

3.◯

フローリング類は、木質材の湿気を含むと変形するので、保管には十分に注意する。やむを得ずコンクリートの上の置く場合は、シートを敷き、角材を並べた上に保管する。

4.◯

木製建具は、取付け工事直前に搬入し、障子や襖縦置きフラッシュ戸平積みとする。(JASS 16)

[ No.43 ]
建築工事に係る届出に関する記述として、「労働安全衛生法」上、誤っているものはどれか。
1.高さが31mを超える建築物を建設する場合、その計画を当該仕事の開始の日の14日前までに、労働基準監督署長に届け出なければならない。
2.共同連帯として請け負う際の共同企業体代表者届を提出する場合、当該届出に係る仕事の開始の日の14日前までに、労働基準監督署長を経由して都道府県労働局長に届け出なければならない。
3.つり上げ荷重が3t以上であるクレーンの設置届を提出する場合、その計画を当該工事の開始の日の14日前までに、労働基準監督署長に届け出なければならない。
4.耐火建築物に吹き付けられた石綿を除去する場合、その計画を当該仕事の開始の日の14日前までに、労働基準監督署長に届け出なければならない。
答え

  3

[ 解答解説 ]

1.◯

高さ31mを超える建築物または工作物の建設、改造、解体または破壊の仕事を行う場合は、その計画を当該仕事の開始の日の14日前までに、労働基準監督署長に届け出なければならない。(労働安全衛生法第88条第3項、同規則第90条第一号)

2.◯

二以上の建設業に属する事業の事業者が、一の場所において行われる当該事業の仕事を共同連帯として請け負った場合においては、厚生労働省令で定めるところにより、そのうちの一人を代表者として定め、届出に係る仕事の開始の日の14日前までに、届書を、当該仕事が行われる場所を管轄する都道府県労働局長に提出しなければならない。届書の提出は、当該仕事が行われる場所を管轄する労働基準監督署長を経由して行うものとする。(労働安全衛生法第5条第1項、同規則第1条2,4項)

3.×

つり上げ荷重が 3 t 以上のクレーンを設置する場合は、工事開始日の 30日前までにクレーン設置届を労働基準監督署長に届け出なければならない。(労働安全衛生法第88条第1項、クレーン等安全規則第5条)

4.◯

耐火建築物で石綿等の除去の作業を行う場合は、仕事の開始の日の14日前までに、労働基準監督署長に届け出なければならない。(労働安全衛生法第88条第3項、同規則第90条第五の三号)

[ No.44 ]
工程計画に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1.工程計画では、各作業の手順計画を立て、次に日程計画を決定した。
2.工程計画では、工事用機械が連続して作業を実施し得るように作業手順を定め、工事用機械の不稼働をできるだけ少なくした。
3.工期短縮を図るため、作業員、工事用機械、資機材等の供給量のピークが一定の量を超えないように山崩しを検討した。
4.工期短縮を図るため、クリティカルパス上の鉄骨建方において、部材を地組してユニット化し、建方のピース数を減らすよう検討した。
答え

  3

[ 解答解説 ]

1.◯

工程計画を作成するためには、まず各作業をどのような手順で行うかの手順計画を立て、次にその手順をいつ実施するか日程計画を決定して作成する。

2.◯

工程計画の立案においては、工事用機械が連続して作業を実施し得るように作業手順を定め、作業量を平準化し、工事用機械の不稼働をできるだけ少なくする

3.×

山積工程表における山崩しは、人員、機械、資材の量を考慮して、労働者の投入人数などをなるべく一定にし、バランスの取れた経済的な工程計画にするものであり、工期短縮に用いる手法ではない。工程圧縮できるのは、フォローアップによる工程の見直しである。

4.◯

クリティカルパスとは、工程上、最も重要な経路で、クリティカルバスの工程経路が遅れると、工程全体が遅れることとなる。また、鉄骨工事の地組とは、鉄骨躯体に用いられる柱や梁をあらかじめ地上で組み立てることで、鉄骨躯体組立て時の作業量を減らすことができる。そのため、工期短縮を図る上で、クリティカルバス上の鉄骨建方は、部材を地組してユニット化し、建方のピース数を減らすよう検討する。