20章 ユニット及びその他の工事 1節 共通事項

20章 ユニット及びその他の工事
01節 共通事項
20.1.1 一般事項
この章は、一般的な建築工事において現場で取付けを行うユニット、プレキャストコンクリート、間知石及びコンクリート間知ブロック積み並びに敷地境界石標を対象としている。
20.1.2 基本要求品質
(1) ユニット及びその他の工事に用いる材料は、「所定のもの」としているが、ここで使用する材料にはJIS等の公的品質規格の定められていないものが多い。この場合には、施工計画書(「標仕」1.2.2)で品質計画を定めて使用する材料の品質を明確にし、これを監督職員が検討し承諾することにより材料の品質が確定される。これらの材料が正しく使われていることが分かるような資料を整理しておくことを求めている。
(2) この章では、建物の仕上げ面に、製造工場等で製作された製品等をそのまま取り付ける場合が多く、設計図書又は施工図等で指定された位置に正確に取り付けることを要求している。
また、「所要の仕上り状態」とは、出来ばえとして認められないような傷や汚れ等のない状態に仕上げられていることを求めたものであるが、これらについては、客観的・定量的な品質基準を設定するのが困難な場合も多いため、できるだけ品質計画で明確にしておき、これによって品質管理を行う。
(3) (2)で述べたように、この章では特記された製造所で製作された既製品等を現場で取り付ける場合が多い。しかし、特記された製品といえども、設置場所や利用者の使い勝手等を考慮し、使用性、耐久性等に対して有害な欠陥のないものを選定するよう要求している。
なお、特記された製造所等の製品の中に適切なものがない場合は、「標仕」1.1.8による協議を行い処置する。
(4) ホルムアルデヒド放散量について、「標仕」では基本要求性能の事項として概括的規定を設けていない。しかし、「可動間仕切」「トイレブース」のパネル材料など、JIS等の材料規格において放散量が規定されているものは、「標仕」においてF☆☆☆☆と定められている。したがって、市場性、部位、使用環境等を考慮して、その他の放散量のものを使用する場合は、設計図書に特記されている内容を十分に確認し、要求品質を確保する必要がある。
なお、ホルムアルデヒド放散量に関する工事監理上の注意事項は、19章10節を参照されたい。

20章 ユニット工事 3節 プレキャストコンクリート工事

20章 ユニット及びその他の工事
03節 プレキャストコンクリート工事
20.3.1 適用範囲
(a) 「標仕」20.3.1で定められているものは、簡易な製品だけであり、プレキャスト鉄筋コンクリート造等の製品については別に仕様を定める必要がある。
(b) 作業の流れを図20.3.1に示す。
図20.3.1_プレキャストコンクリート工事の作業の流れ.jpeg
図20.3.1 プレキャストコンクリート工事の作業の流れ
(c) 製作工場の決定
この種の製品の製作工場は、通常小規模なところが多いが、製品の量、難易度等に応じて、製作工場の規模等を考慮する必要がある。
(d) 施工計画書の記載事項は、おおむね次のとおりである。なお、赤文字を考慮しながら品質計画を検討する。
① 工程表(製作図の作成、製作、取付け、完了等の時期)
② コンクリートの所要強度、材料及び調合
③ 鉄筋、鉄線、溶接金網の規格等
④ 型枠の材料及び組み方
⑤ 養生方法(コンクリート、製品)
⑥ 工場現場での取付け工法
⑦ 構造計算書・その他
⑧ 作業のフロー、管理の項目・水準・方法、品質管理体制・管理責任者、品質記録文書の書式とその管理方法等
(e) 製作図には鉄筋、取付け金物等も記入し、コンクリートの充填、取付け等に無理のないようにする。
(f) 数多く製作する場合で、特に良い仕上り面を必要とするときは、コンクリートの試し練りを行い、試作をして仕上り面を検討する。
20.3.2 材 料
(a) 「標仕」20.3.2では、コンクリートは、「標仕」表6.2.1のI類又はⅡ類としている。また、コンクリートの材料は、「標仕」6章3節によることとしている。
(b) 「標仕」20.3.2では、鉄筋は、「標仕」5章2節によることとしている。また、補強鉄線は、該当するJISによることとしている。
20.3.3 製 作
(a) コンクリートの調合
コンクリートの調合は、「標仕」20.3.3(a)を満足するコンクリートの調合計画書を作成する。スランプは「標仕」20.3.3(a)(2)では12cm以下としている。
(b) 型枠の組立
型枠は、「標仕」20.3.3(b)及び(c)によるほか、形状寸法が正しく保持されて脱型が容易にでき、強度が十分なものとする。
(c) 鉄筋の組立
組立に当たっては、製作図を作成し正しく加工し組み立てる。
(d) コンクリートの打込み
(1) コンクリートの打込みに先立ち、型枠や取付け金物類についても位置、固定方法について確認を行う。
(2) コンクリートの打込みに先立ち、型枠の内部を清掃する。
(3) コンクリートは材料が分離しないよう運搬する。
(4) コンクリート打込みには振動機を適切に使う必要があるが、細部については手作業により確実に充填及び締固めを行う。
(e) 取付け金物
取付け金物は、鉄筋に結束するだけでは、コンクリート打込み中に位置がずれてしまうことがあるので、型枠に補助材等を取り付けて確実に固定する。
20.3.4 養生その他
(a) 打込み後の養生は、必要に応じて蒸気養生等とする。
(b) 製品の保管には支持台を用いるが、十分な強度の発現を確認するまでは、積み上げないようにする。
(c) 製品は、運搬中に損傷する例が多いので、適切な養生等により衝撃を避け、無理な積込み、積降ろしをしないようにする。