1級建築施工管理技士 タイル工事 伸縮調整目地

建築品質 外壁タイル


047) タイル張り外壁には伸縮調整目地を設置する

タイル張り外壁は、外気温や日射によってタイル面が熱伸縮する。その面内の熱応力によってタイルが剥がれる方向に力が働く。その対策として熱伸縮を吸収する目地が必要となる。これを伸縮調整目地という。

1.伸縮調整目地は躯体の目地と同じ位置に設ける

タイル張り外壁では、コンクリート躯体の水平打継ぎ目地、及び壁のひび割れ誘発目地と同じ位置にタイル伸縮調整目地をもうけなければならない。躯体の動きは目地部に集中するため、躯体目地部のタイル目地はタイルどうしの縁を切った伸縮調整目地としなければならない。(水平打継ぎ部の目地については、次項参照)

2.躯体目地が無くてもタイルの伸縮調整目地が必要

壁式構造のコンクリート躯体で、ひび割れ誘発目地を設けない場合でも、3〜4m程度ごとに伸縮調整目地を設ける。伸縮調整目地は下地モルタルから目地をもうけなければならない。

3.入隅、出隅の伸縮調整目地

出隅のタイル張りは熱伸びによって、直行方向にタイルを押し出す力が働く。入隅は熱伸びで逃げ場を失い、剥がれる方向に力が働く。出隅の近辺と入隅には伸縮調整目地を設ける。

4.まぐさのタイルが剥落しやすい

まぐさ(窓上部)のタイルは張り付けた時から自重によって浮きやすい状態にある。また、出隅と同じように壁の熱伸縮の影響を受け剥がれやすい。タイル目地から入った水がまぐさ部に集まり白華現象を発生させたり、その水が凍結してタイルを押し出すなど、まぐさタイルは最も剥がれやすい。したがって、まぐざ部の近辺に伸縮目地を設け、裏に水を入れないように張り付け、しっかり目地詰めをすることが重要である。タイルが万が一浮いても剥落しないように、タイル裏面に銅線やなましステンレス鋼線を取り付けて躯体に固定し、モルタルで張り付ける方法もある。

5.タイルとサッシが取り合う部分も伸縮調整目地

サッシなどの金物取合い部にも伸縮調整目地を設ける。タイルも熱伸びし、サッシも熱伸びするので、お互いの熱伸びを衝突させないように伸縮調整目地を設ける。サッシと躯体、サッシとタイル間をシールで止水する。

1級建築施工管理技士 タイル工事 打継ぎ目地部は剥離しやすい

建築品質 外壁タイル


048) 打継ぎ目地部のタイルは剥離しやすい

45角や45二丁などのモザイクタイル張り外壁において、打継ぎ目地まわりが最も剥離、剥落しやすい。

要因として、
①打ち継ぎ目地の躯体精度不足
②タイルと張付けモルタルとの接着面不足
③躯体の微小な動きの伝搬
などがある。

打ち継ぎ目地の位置と幅は、意匠的な見えかかりはもちろんのこと、他の部位(バルコニーや開放廊下やアプローチなど)との取合いを総合的に判断して、最初に決めなければならない。

1.躯体施工精度を上げる

躯体打継ぎ部の水平精度を確保すること。通常の±10mmでは大きすぎで、最低でも± 5mm以下となるよう施工管理を徹底することが重要である。

2.打継ぎ部のタイル目地幅を大きくする

目地上と目地下のタイルが下地モルタルにしっかり張りつくように、タイル目地幅はできれば打継ぎ目地幅と同じ20mmにすることを推奨する。
打継ぎ部のシール目地が目立たないように一般部と同じ目地幅の5mmにすると、片方のタイルは15mmが打継ぎ目地と重なり、実質は30mmしかモルタルに接着しない。

3.タイルの割り付けを目地芯にする

タイルの割り付けの基準を目地上端にすると、目地下側のタイルの付着面積が小さくなる。さらに躯体誤差が重なるとさらに付着面積は小さくなる。したがって、タイルの目地芯は躯体の目地の中心を基準に割り付けたい。

4.目地部の張り方を上下だけ45二丁を張りする

目地の上下のモザイクタイルを45二丁縦張りとすることによって、張付けモルタルとの付着面積を大きく確保し、剥離の危険性を少なくできる。また、縦張りを入れることによってタイル目地を20mmにしても目立たなくなる。最も現実的な方法の一つである。