6章 コンクリート工事 1節 一般事項

第6章 コンクリート工事

1節 一般事項

6.1.1 適用範囲

(a)この章は、工事現場施工のコンクリート工事に適用する。また、平成25年版「標仕」では、コンクリート工事の品質管理の向上等を目的に、主に次の変更が行われた。

(1) 設計基準強度をコンクリートの要求品質の一つに位置付け、これを満足するための管理項目として、使用するコンクリートの強度と構造体コンクリートの強度を明示した。

(2) 材料及び調合の条件を、コンクリートの品質項目や製造から外し、「コンクリートの材料及び調合」として独立させ、調合管理強度を満たすための条件として設計基準強度や構造体強度補正値との関係を含め、セメントや骨材等のコンクリート用材料ごとの事項を一つにまとめた。

(3) 普通コンクリートの一部として扱っていた「暑中におけるコンクリートの取扱い」は新たに「暑中コンクリート」として節立てし、普通コンクリートの一般規定から独立させた。また、設計基準強度27N/mm2以上、かつ、36N/mm2以下のコンクリートは、普通コンクリートの一般規定とは別に扱っていたが、普通コンクリートと同じ扱いとし「高い強度のコンクリートの取扱い」を削除した。

(4)構造体コンクリートの仕上り状態及びかぶり厚さの確認並びにそれらの事項が所要の品質を満足しない場合の補修及びその後の検査を明記した。

(b) 作業の流れを図6.1.1に示す。

(c)施工計画書の記載事項は、おおむね次のとおりである。

なお赤文字を考慮しながら品質計画を検討する。

(1) コンクリート工事の施工計画書

工程表(配合計画書の提出、試し線り、柱取外し等の時期)
配合計画書、計画調合の計算書(軽量コンクリートの気乾単位容積質量(「標仕」6.10.2(d))を含む)
コンクリートの仕上りに関する管理基準値、監理方法等
④ 仮設計画(排水、コンクリートの搬入路等)
打込み量、打込み区画、打込み順序及び打止め方法
⑥ 打込み作業員の配置、作業動線
⑦ コンクリートポンプ車の圧送能力、運搬可能距離の検討
⑧ コンクリートポンプ車の設置場所、輸送管の配置及び支持方法
⑨ コンクリート運搬車の配車
圧送が中断したときの処置
圧送後、著しい異状を生じたコンクリートの処置
打継ぎ面の処置方法
⑬ 上面の仕上げの方法(タンピング)
打込み後の養生(暑中、寒中)
コンクリートの補修方法
供試体の採取(採取場所、養生方法)

⑰ 試験所

(2) 型枠工事の施工計計画

① 型枠の準備量
型枠の材料
型枠緊張材の種別及び緊張材にコーンを使用する箇所
④ コンクリート寸法図(スケルトン、コンクリート躯体図、コンクリートプラン)
⑤ 基準部分の型枠組立図
型枠材取外しの条件(材齢又は構造計算により安全を確認する場合)

⑦ はく離剤使用の有無


図6.1.1 コンクリート工事の作業の流れ

6.1.2 基本要求品質

(a) コンクリートの「材料」に関しては、JIS A 5308(レディーミクストコンクリート)に適合した材料が使用されており、JIS Q 1011(適合性評価:日本工業規格への適合性の認証ー分野別認証指針(レディーミクストコンクリート))では、製造工場から提出される材料試験の結果によりその品質を確認することにしている。

(b) コンクリート部材の断面形状、寸法及び位置は、設計図書に建築物として必要な性能を有するように設計された値が指定されており、「標仕」6.2.5 (a)による許容差の範囲に収まるように施工する必要がある。「標仕」表 6.2.3 では一般的な許容差の標準値を示しているが、この数値は本来建築物の機能、部位、仕上げの程度等によって変動するものであり、共通的に定まるものではない。 例えば,石工事(「標仕」10.1.3(c)参照) や左官工事 (「標仕」15.2.3 (c)参照)等のようなコンクリート工事のあと工程となる仕上材料に要求される精度により、「標仕」 表 6.2.3 をそのまま使えない場合もある。 このため、各工事ごとにこの許容差を定めるに当たっては、寸法誤差が生じた場合の影響度等も考慮して、「品質計画」において、適切な値を定める必要がある。

コンクリートは全断面において均質なものとして設計されており、打ち上がったコンクリートはこれを満足させる必要がある。 しかし、打ち上がったコンクリートの内部を確認することは非常に困難であり表面の状態を確認することによって、内部の状態を推定することになる。一般にコンクリート部材の内部と比べて表面付近は鉄筋や型枠等の影響で欠陥が生じやすくなる。このため、「標仕」6.1.2 (b)では、「密実な表面状態」を要求事項とし、コンクリート内部の品質を含めて表面状態で確認することにしている。 コンクリート表面に豆板等の欠陥がある場合には、コンクリートの耐久性や強度に影響を及ぼすため、「標仕」では,せき板取外し後に コンクリート表面を確認することにしている。「品質計画」においては、第一に密実なコンクリートを打ち込むための具体的な方法の提案をするとともに、もし、豆板等が発生した場合、その程度に応じた補修方法等を定めるようにする。この場合の補修方法については 6.9.6 (b)を参考にするとよい。

(c) 建築物の構成部材としてのコンクリートの強度は、実際に出来上がった構造体コンクリートからコアを採取して試験によってその確認ができる。しかし、この方法は建築物を傷つけることになるため、新築建築物にあっては適切ではない。 このため「標仕」6.2.2 では、工事現場において構造体に打ち込まれるコンクリートと同ーのコンクリートを採取して、工事現場内で建築物と同様な温度条件となるように養生した試験体により構造体コンクリートの強度を推定している。 実際のコンクリートの強度は、柱、梁、壁、スラブ等の各部位によって強度の発現にばらつきがあることが分かっており、構造物のどの部位においても設計基準強度を滴足させるため、調合設計において所要の補正を行うことにしている。「所要の強度を有する」とは,こういったことを勘案して 実際の構造体コンクリートの強度が設計基準強度を満足するように適切な養生を行い、試験体の強度から構造体コンクリートの強度を確認すればよい。

「構造耐力、耐久性、耐火性」等は、コンクリートに要求される重要な性能である。これらについては、一般に本章で説明する事項を実現することで必要な性能を得ることができるようになっているが、(b)で説明したように寸法の誤差や、部分的な欠陥の発生を完全になくすことは現実的ではない。 このため、所要の「構造耐力、耐久性,耐火性」を満足させるための、寸法許容差や、欠陥が生じた場合の程度の判断基準及び補修方法をあらかじめ定めておくようにする。

6章コンクリート工事 2節 種類及び品質

第6章 コンクリート工事

2 節 コンクリートの種類及び品質

6.2.1 コンクリートの種類

(a) 平22年版「標仕」までは、使用骨材によってコンクリートの種類分けを行っていたが、近年、スラグ骨材等を含め密度の異なる各種の骨材が開発・使用され、特に細骨材は混合して使用される場合もあることから、平成25年版「標仕」では、気乾単位容積質量でコンクリートの種類を分類し、おおむね気乾単位容和質量が 2.1〜2.5 t/m3 の普通コンクリートと、より気乾単位容積質量の小さい軽量コンクリートの 2種類とされた。

(b) 寒中コンクリート、暑中コンクリート、マスコンクリート、無筋コンクリート及び流動化コンクリートは、使用材料、施工時期・施工方法・施工場所等の施工条件、要求性能等によって 10節までとは異なる品質管理が必要なため「特別仕様のコンクリート」として 11節から 15節に別記されている。

(c) 平成16年 6月に工業標準化法が改正され、平成 17年 10月 1日からJISマーク表示制度は、国による認定制度から登録認証機関による製品認証制度となった。これによって、JIS A 5308(レディーミクストコンクリ ート)もこれまでの「工場認定」 から「製品認証」へと変更された。

「標仕」でも平成22年版の改定以降、I 類コンクリートは.JIS Q1001(適合性評価一日本工業規格への適合性の認証一 一般認証指針)及び JIS Q1011 (適合性評価一日本工業規格への適合性の認証一分野別認証指針(レディーミクストコンクリート))に基づき、JIS A 5308への適合を認証されたコンクリー ト II 類コンクリートは I 類以外のJIS A 5308に適合したコンクリートとされている。

「標仕」では、従来より、建築工事には特別な場合を除き、 JIS A 5308 に適合するレディーミクストコンクリートで対応できると考えられている。そのうえで、適合を認証された I 類コンクリートを使用することを原則としているが、山間部、離島等で運搬可能時間の距離内にJISマーク表示認証を取得した製品(以下、この章では「JISマーク表示認証製品」という。)を製造する工場(以下、この章では 「 JISマーク表示認証工場 」 という 。) がない場合でも.II 類コンクリートであれば、基礎、主要構造部等建築基準法第37条に規定する部分に適用できると考えてよい。

なお、建築基準法第 37条の指定建築材料が適合すべき規格及び品質に関する技術的基準を定めた平成12年建設省告示第1446号の一部が平成28年6月13日に改正(国土交通省告示第814号)され、建築物の基礎や主要構造部等に使用するコンクリートが適合すべき日本工業規格は、JIS A5308(回収骨材を使用するものを除く)に改められた。

よって、従来、国土交通大臣の認定で必要であったエコセメントや再生骨材H を使用したコンクリートについても、平成28年版「標仕」からは、一部の材料の組合せや用途を除いて特記せずに使用できることとなった。但し、回収骨材を使用したコンクリートを使用する場合には従来通り国土交通大臣の認定を取得した上で、「標仕」6.2.1(d)に基づいて特記しなければならない。参考に、上記国土交通省告示第814号と同時に国土交通省住宅局建築指導課長から発出された、技術的助言 国住指第770号 平成28年 6月13日「建築物の基礎、主要構造部等に使用する建築材料並びにこれらの建築材料が適合すべき日本工業規格又は日本農林規格及び品質に関する技術的基準を定める件の改正について」の抜粋を下記に示す。

建築物の基礎、主要構造部等に使用する建築材料並びにこれらの建築材料が適合すべき日本工業規格又は日本農林規格及び品質に関する技術的基準を定める件の改正について(技術的助言)
(国住指第770号 平成28年 6月13日)建築基準法第37条の規定に基づく標記基準については、平成28年6月23日付け国土交通省告示第814号として別添のとおり公布されたので通知する。
中略

2. 改正概要
レディーミクストコンクリートに関する JIS A 5308が2014年に改正されたことを踏まえ、指定建築材料であるコンクリートが適合すべき日本工業規格として、JIS A5308(レディーミクストコンクリート)- 2014を定めることとする。ただし、当該 JISのうち、「回収骨材を使用するもの」については、建築材料として使用する場合における管理方法等の知見が得られたいないため、使用できないこととする。

2014年の JIS A 5308 のレディーミクストコンクリートの種類を表6.2.1 に示す。

表6.2.1 JIS A 5308 : (2019改正)によるレディーミクストコンクリートの種類
(注)荷卸し地点での値であり、50cm及び60cmがスランプフローの値である。

(d)「標仕」では、建築基準法第 37条第二号による国土交通大臣認定のコンクリートは,設計担当者が特記することとしているので、特記された場合には、認定条件等を十分に確認して使用することになる。

6.2.2 コンクリートの強度

(a)「標仕」ではコンクリートの設計基準強度は、36N/mm2 以下(軽量コンクリートでは 27N/mm2 以下)としている。

なお 従来、軽量コンクリートの設計基準強度は 27N/mm2 未満であったが、(一社)日本建築学会「JASS5 鉄筋コンクリート工事」の軽量コンクリート2種の規定に合わせ、平成 25年版「標仕」では 27 N/mm2以下に変更された。

高強度化が流れではあるが、4〜5階建て、数千m2 程度のRC造建築物では高強度コンクリートを使用することはほとんどない。

(b) 使用するコンクリートの強度とは、使用するコンクリートが本来保有していると考えられるポテンシャルの圧縮強度のことであり、荷卸し地点でコンクリート試料を採取し、標準養生した供試体の材齢 28日の圧縮強度で表される。 ポテンシャルの圧縮強度は、構造体コンクリートの強度が設計基禅強度を満足するように、設計基準強度に構造体コンクリートの強度と標準養生した供試体強度との差を考慮した値(構造体強度補正値(S):6.3.2(1)(ⅱ)を参照)を加えた調合管理強度以上でなければならない。

(c) 構造体コンクリートとは、型枠内に打ち込まれて養生され、硬化して構造体あるいは部材を形成しているコンクリートのことである。構造体コンクリートの強度は、初期に十分な湿潤養生が施されれば、材齢28日以降も長期にわたって強度が増進し、材齢 91日においても強度増進は続き、停止することはない。 しかし、コンクリート工事においては適切な材齢を定め、その材齢において設計基準強度を満足するように定める必要がある。建築基準法施行令第74条第1項第二号に基づき、昭和56年建設省告示第1102号の第1第二号では、コンクリートの強度は、コンクリートから切り取ったコア供試体について強度試験を行った場合に、材齢91日において設計基誰強度以上であることと定めている。「標仕」が定める構造体コンクリートの強度の基準となる材齢91日は、この告示の規定を適用したものである。

一方、実際のコンクリート工事において構造体コンクリートの強度をコア供試体で試験することは、構造体に損傷を与え、かつ、修復が必要となるため困難である。このため、一般には工事現場で使用するコンクリートから試料を採取し、構造体コンクリートと同じような強度発現をすると考えられる方法で養生した供試体の圧縮強度から構造体コンクリートの強度を推定し、品質管理を行っている。上記告示第1102号の第1第一号では、コンクリートの強度は、現場水中養生を行った供試体について強度試験を行った場合に、材齢 28日において設計基準がよく強度以上であることと定めている。「標仕」においても、この告示の規定に基づき構造体コンクリートの強度推定の管理材齢の一つとして28日を規定している。

なお、平成19年版「標仕」では、調合管理強度に相当する値は、材齢 28日を基準に、設計基準強度(Fc)、構造体コンクリートと供試体強度との差(△ F = 3 N/mm2 )、気温によるコンクリート強度の補正値( T ) を考慮して(Fc 十 △F+T )としていたが、平成22年版「標仕 」では、調合管理強度は、材齢 91日を基準に、△ FとTに代わり構造体強度補正値(S:「標仕」表6.3.2 を参照)を取り入れ( Fc+S )に改められている。

構造体コンクリートの強度とは、構造体あるいは部材そのものの強度ではなく、構造体あるいは部材の中に直径と高さの比が 1:2 の円柱を考え、仮にその円柱を圧縮試験したとするときに得られる強度であり、一般には構造体あるいは部材から切り取ったコア供試体の圧縮強度がそれに近いと考えられている。しかし、実際のコンクリート工事において、構造体コンクリートの強度をコア供試体で試験するのは困難である。このため、工事現場で採取した供試体を、構造体コンクリートと同じような強度発現をすると考えられる方法で養生した供試体の圧縮強度で表すこととした。

構造体コンクリートの強度に関する調査・研究によって、現場水中養生した供試体の圧縮強度は、材齢28日のコア供試体の圧縮強度より大きく、材齢91日のコア供試体の圧縮強度と同等かやや小さいことが分かってきた。また、現場封かん養生した供試体の圧縮強度は、現場水中養生した供試体の圧縮強度よりやや低いことも分かってきた。このため、「標仕」では現場水中義生した供試体あるいは現場封かん養生した供試体の圧縮強度を基に構造体コンクリートの強度を推定することとした。

(d)使用するコンクリートの強度及び構造体コンクリート強度の推定値の判定は、9節の6.9.4 及び 6.9.5 によって行う。6.2.2(b)でも記したように、使用するコンクリートとは.工事に用いるために工事現場に搬入したコンクリートのことであり、その強度は、コンクリートが本来保有していると考えられるポテンシャルの圧縮強度のことである。したがって、使用するコンクリートの強度は、荷卸し地点で採取して標準養生した供試体の材齢28日の圧縮強度で表すこととし、その値は調合管理強度以上でなければならず、かつ、JIS A5308(レディーミクストコンクリート)の呼び強度の強度値を満足しなければならない。

6.2.3 気乾単位容積質量

 

(a) コンクリートの気乾単位容積質量は、使用する骨材の密度や調合によって異なり、構造計算で固定荷重を算定するときに、鉄筋コンクリートの質量を求めるために用いる値である。平成25年版「標仕」から、従来の使用骨材の種類による区分から、新たにコンクリートの気乾単位容積質量による区分に変更され、そのための標準的な判断基準として、JASS 5 の規定値を参考に数値が示された。

(b) 軽量コンクリートの気乾単位容積質量は、別途「標仕 」10節で1種、2種の種類ごとに標準的な値の範囲が示されている。

6.2.4 ワーカビリティー及びスランプ

 

ワーカビリティーとスランプの関連等について次に示す。

(1) ワーカビリティーは、打込み場所並びに打込み方法及び締固め方法に応じて、型枠内並びに鉄筋及び鉄骨周囲に密実に打ち込むことができ、かつ、 粗骨材の分離が少ないものとする。また、スランプの所要値は、特記がなければ、基礎、基礎梁、土間スラブでは15cm又は 18cm、その他の部材では 18cmとする。

(2) ワーカビリティーは、運搬、打込み、締固め及び仕上げのフレッシュコンクリートの移動・変形を伴う作業の容易さとそれらの作業によってもコンクリートの均一性が失われないような総合的な性質であり、フレッシュコンクリートの流動性の程度を表すスランプとは別の概念である。

(3) 作業の容易さからいえば、スランプが大きく流動性が高いほうがワーカビリティーが良いといえるが、スランプが過大になると粗骨材が分離しやすくなるとともにブリーディング量が大きくなり、コンクリートの均一性が失われる。そこで、単位セメント量や細骨材率を大きくするとフレッシュコンクリートの粘性が大きくなり、粗骨材の分離は生じにくくなる。

(4) スランプを大きくし、かつ、単位セメント量や細骨材率を大きくすれば、見かけ上はワーカビリティー の良いコンクリートが得られる。 しかし 単位水量や単位セメント量が過大になると乾燥収縮率が大きくなってひび割れが生じやすくなるとともにセメントペーストやモルタル分の多いコンクリートとなって、打上りコンクリートの表面の品質が悪くなる。

(5) このため、作業の容易さだけでワーカビリティーを評価するのではなく、ブリーディングや骨材の分離ができるだけ少なくなるようにするという条件も考慮しなければならない。

(6) スランプは、打込み時のフレッシュコンクリートに要求される直要な品質項目の一つであるが、ここでいう所要スランプとは、荷卸し地点でのスランプである。所要スランプ18cmというのは、許容差を含めて考えればよく、その値は JIS A 5308(レディーミクストコンクリート)の規定によれば ± 2.5cmである 。

スランプフローの基準
JIS A5308 2019年改正により
普通コンクリートにおけるスランプフローは
45±7.5cm,
50±7.5cm,
55±7.5cm,
60±10cm
の4種類となっている。

 

6.2.5 構造体コンクリートの仕上り

 

(a) コンクリート部材の位置及び断面寸法の許容差

(1) コンクリート部材の位置及び断面寸法は,所定の許容差の範囲内になければならないが、これは次の理由による。

(ⅰ) 構造体としての耐力及び耐久性の確保
(ⅱ) 仕上げ二次部材又は設備等の納まり上の要求

(ⅲ) 美観上の要求

(2) 部材の位置及び断面寸法の測定は,一般的には次のように行う。
特記された部材又はサンプリングした部材について、基準墨からスケール等を用いて測定する。 測定部分は両端及び中央の 3箇所程度行う。

柱・梁等は直接測定できることが多く問題は少ないが、床・壁等の断面寸法は、両側から測定して計算で求めると測定誤差がきく大なることがある 。 そこで、開口部等を利用して直接測定する。

むやみに測定項目や測定数を増やすことは、測定費用や時間を要し本来の目的から逸脱することになる。コンクリート部材の位置及び断面寸法は、型枠の変形等がなければ、型枠により決まるものであり、補修も困難であることから、コンクリート打込み前の型枠の設計・掛出し・組立等を確実に行うことが必要である。 コンクリート打込み後は型枠の変形が生じたと見られる部分等について、確認のために測定する。

(3) (1)及び(2)に基づいて各部材の位置及び断面寸法を測定し、その結果、位置及び断面寸法の精度が「標仕」表6.2.3 の許容値を満足しない場合は、「標仕」6.9.6 に従って監督職員に報告するとともに適切な処置等を講じなければならない。
(b) コンクリート表面の仕上り状態

(1) せき板に接するコンクリートの仕上り状態は特記によるが、コンクリートの打放し仕上げの場合は、「標仕」表6.2.4 の種別に応じた「表面の仕上り程度」を目安とする。コンクリートの仕上り状態を良好にするには、不陸を少なくするために変形量の少ない型枠設計を行い、コンクリート打込みの際は、目違い等が生じないようにコンクリートの締固めを行うことが重要である 。

(2) コンクリートの仕上りの平たんさは、せき板に接する面は型枠の変形等により、せき板に接しない床上面等は左官の均し精度により決まる。

平たんさの測定方法には、JASS5 で定められた JASS 5 T-604 (コンクリートの仕上がりの平たんさの試験方法)があるが、試験用器具が特殊で取扱い方法も難しいため、一般的には下げ振り、トランシット、レベル、水糸、スケール等を使用してコンクリート面の最大、最小を測定する方法等で行われている。

「標仕」表6.2.5 の平たんさの標準値は,仕上げの種類だけでなく、建物の規模や仕上り面に要求される見ばえ等によっても異なるので、適切な値を品質計画で提案させ、検討するとよい。

なお、25年版「標仕」では、表6.2.5 の対象となる柱、梁、壁の種類に「接着剤による陶磁器質タイル張り」が追加され、これに伴い従来のタイル工法は「セメントモルタルによる陶磁器質タイル張り」と名称が変更された。床についてもフリーアクセスフロアが追加された。 フリーアクセスフロアには,支柱調整式(下地床の不陸に伴う高さを調整する機能を有するも)のと置敷式(高さを調整する機能がなく、高さは下地床の精度に従うもの)の2 種類があり、支柱調整式は ±10〜15mm 程度の調整代があるため、従来からの「二重床」に含め、置敷式は新たに「フリーアクセスフロア(置敷式)」として追加された。

6章コンクリート工事 3節 コンクリートの材料及び調合

建築工事監理指針 第6章 コンクリート工事

3節 コンクリートの材料及び調合

6.3.0 一般事項

建築物に使用するコンクリートが所要の性能を満足するようにするためには、使用前に、各材料が所定の品質を満足することを試験又は生産者から提出された資料等により確認するとともに、「標仕」2節[コンクリートの種類及び品質]に示される各種規定を満足するよう、試し練り等を行って適切に調合することが重要である。

6.3.1 コンクリートの材料

6.2.1(3)でも述べたように、平成28年6月13日に平成12年建設省告示第1446号の一部が改正され、エコセメントや再生骨材Hを使用したコンクリートについても JIS A 5308(レディーミクストコンクリート)に適合したものであれば国土交通大臣の認定を受けなくても使用できるようになったため、平成31年版「標仕」からは、これらのコンクリートについても一部の材料の組合せや用途を除いて特記をせずに使用できることとなった。また、平成30年6月14日の同告示の一部改正(国土交通省告示第750号)により、回収骨材を使用したコンクリートが国土交通大臣の認定を受けなくても使用できるようになったため、平成31年版「標仕」からは、これを特記せずに使用できることとなった。

(1) セメント
(ア) セメントの分類

(a) セメントの分類を図6.3.1に示す。


図6.3.1 JISによるセメントの分類

わが国におけるポルトランドセメント(JIS R 5210)の全アルカリは、低アルカリ形を徐くとNa2O換算(Na2O + 0.658K2O)で0.75%以下であるが、使用する骨材によってはアルカリ骨材反応を起こすおそれがある。

なお、かつては「アルカリ骨材反応抑制対策に関する指針について」(平成元年7月建設省住指発第244号)の通達で、低アルカリ形ポルトランドセメントの使用がアルカリ骨材反応抑制対策の一つとして記されていた。しかし、低アルカリ形が1995年に11,000t生産された以降はほとんど製造されておらず、普通ポルトランドセメントのアルカリ量も低くなっていることなどから、平成12年にこの通達は廃止され、平成14年の国土交通省通達では「低アルカリ形の使用による抑制対策」の条文が削除されている。

(b) ポルトランドセメントは普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント及び耐硫酸塩ポルトランドセメントの6種類を基本とし、これに低アルカリ形の6種類を加え全部で12種類あり、その主な品質は表6.3.1に示すとおりである。

表6.3.1 ポルトランドセメントの品質(JIS R 5210:2019)

① 普通ポルトランドセメント(普通セメントと略称される場合もある。)は、建築のコンクリート工事用として現在最も多く使用されているセメントである。「標仕」では、特記のない場合は普通ポルトランドセメント又は高炉セメント、シリカセメント及びフライアッシュセメント(以下、この3種類を混合セメントという。)のA種を使用することになっているが、高炉セメント及びフライアッシュセメントともA種はほとんど生産されていないため、一般的には普通ポルトランドセメントを使用することが多い。

② 早強ポルトランドセメント(早強セメントと略称される場合もある。)の比表面積(ブレーン値)は、JISでは表6.3.1のように定められているが、市販品では4,700cm2/g程度である。比表面積はセメント粒子の細かさを示す値で、この値が大きいほど細かく、セメントと水との化学反応(水和反応)が活発になるため、図6.3.2に示すように他のポルトランドセメントよりも早期に強度が得られる。そのため、工期の短縮に有効であると共に、硬化初期の水和発熱量(凝結・硬化中に起こる発熱を水和熱という。)が大きいことから寒中コンクリートにも適している。ただし、発熱によるひび割れ等の弊害を伴うこともあるので、使用する季節や用途に注意が必要である。


図6.3.2 モルタルの圧縮強さ(JIS R 5201)
(「セメントの常識」より)

(c) 高炉セメント(JIS R 5211)は、普通ポルトランドセメントに適量の高炉スラグ微粉末を均ーに混合したもので、その分量によってA種、B種及びC種の3種類(表6.3.2参照)が規定されているが、A種及びC種の生産量は少なく、市販品としてはB種のものが一般的である。

(d) シリカセメント(JIS R 5212)は、普通ポルトランドセメントに適量のシリ力質の混合材を均ーに混合したもので、その分量によってA種、B種及びC種の3種類がある(表6.3.2参照)。耐薬品性に俵れているが、2010年度以降国内では生産されていない。

(e) フライアッシュセメント(JIS R 5213)は、普通ポルトランドセメントに適量のフライアッシュ(火力発電所等で石炭の燃焼時に発生する微粉状の石炭灰)を均ーに混合したもので、その分量によってA種、B種及びC種の3種類(表 6.3.2参照)が規定されているが、高炉セメントと同様、一般にはB種のものが多く流通している。

(f) 上記高炉セメント、シリカセメント、フライアッシュセメントのB種及びC種は、ポルトランドセメントと比較すると、化学的な作用又は海水に対する抵抗力が大きいなどの長所がある。しかし、同一調合の場合、一般的に中性化の進行が早く、早期強度の発現が小さいので、かぶり厚さや型枠の存置期間の検討が必要である。

表6.3.2 混合セメントの種類
(JIS R 5211:2019、R 5212:2019及びR 5213:2009)
(g) エコセメントは、都市ごみ焼却灰を主とし、必要に応じて下水汚泥等を加えたものを主原料として製造される資源リサイクル型のセメントであり、2002年に JIS R 5214(エコセメント)としてJIS化された。JIS R 5214では、構成鉱物や塩化物イオン含有量によって普通エコセメントと速硬エコセメントに分類されている。2003年には、これらのうち塩化物イオン量が 0.1%以下の普通エコセメントのみがJIS A 5308に取り入れられた。また、2004年4月からはグリーン購入法特定調達品目にも指定されている。このエコセメントは、東京都の西多摩地域で年間約12万トン(2020年度)生産されている。

(イ) 高炉セメント及びフライアッシュセメントの品質

(a) 高炉セメントは、高炉スラグ微粉末の混合比(分量)によって使用したコンクリートの硬化途中の強度発現性状や硬化後の化学特性等が異なるため、上記 (ア)(c)でも記したように、高炉スラグ微粉末の混合比(分量)によって3種類に分類されている。B種は規格上 30% を超え 60% 以下となっているが、市販されている高炉セメントの高炉スラグの混合比(分量)は43%前後のものが多い。

普通ポルトランドセメントと比較すると次のような特徴がある。

① 初期強度はやや小さいが、4週以降の長期強度は同等又は同等以上になる。
② 耐海水性や化学抵抗性が大きい。

③ 一定量以上使用した場合にアルカリ骨材反応の抑制に効果がある。

(b) フライアッシュセメント

良質なフライアッシュはコンクリート中でボールベアリングのような働きをし、練混ぜ水を減少させることができ、ワーカビリティーの良いコンクリートが得られる。また、水和発熱量が比較的小さく、マスコンクリートに適する。さらに、高炉セメントと同様にアルカリ骨材反応の抑制にも効果がある。

なお、上記(ア)(e)でも記したように、フライアッシュの混合比(分量)によって3種類に分類されており、B種は規格上10%を超え20%以下となっている。市販されているフライアッシュセメントのフライアッシュの混合比(分量)は 17%前後のものが多い。

(c) 混合セメントのA種は、普通ポルトランドセメントと同様に使用できる。

(ウ) 普通エコセメントの適用範囲

6.2.1(3)項等でも記したように、普通エコセメントを使用したコンクリートについては、平成28年までは国土交通大臣の認定が必要であったため建築物への施工実績はまだ少ない。そのため、普通エコセメントの使用にあたっては、次頁の文献等を参考に別途使用する材料の種類や調合、コンクリートの発注、製造、打込み、養生及び品質の管理方法等を作成し、監督職員の承諾を受けておくことが重要である。

普通エコセメントは、塩化物イオン量を含め化学成分及び鉱物組成が普通ポルトランドセメント等と異なる部分があり、使用する混和材料や調合、施工時期等によっては得られる効果・性能・品質が異なる場合も考えられる。例えば、図6.3.3に示すように、高性能AE減水剤にナフタレン系のSP1を使用した場合、普通ポルトランドセメントと比較して所要のスランプを得るための添加率は水セメント比にかかわらず2倍程度必要であるが、ポリカルボン酸を主成分とするSP2等を使用した場合は水セメント比にかかわらず普通ポルトランドセメントと同程度である。また、図6.3.4に示すように、スランプの経時変化は、ポリカルポン酸系のSP2を使用した場合にはスランプロスがほとんどないが、ナフタレン系のSP1を使用した場合にはスランプロスが大きい。また同様に、ブリーディング量や凝結時間、空気量の経時変化にも高性能AE減水剤の主成分による効果の差が認められている。これら高性能AE減水剤や流動化剤等の高性能減水剤系の化学混和剤による普通エコセメントを使用したコンクリートのフレッシュ性状の変化及び不具合発生時の適切な対処方法を施工現場で確認することは、参考となる施工実績も少ないことから、現状では困難と考えられる。


図6.3.3 セメント種類と高性能AE減水剤添加率の関係 注(1)



図6.3.4 高性能AE減水剤の種類別のスランプ経時変化 注(1)

普通エコセメントを使用したコンクリートは、普通ポルトランドセメントを使用したコンクリートに比べて凝結時間が遅く、特に気温が低い場合にはこの傾向が大きい。また、図6.3.5に示すように、材齢初期の強度発現速度も普通ポルトランドセメントを使用した場合より遅くなり、その圧縮強度差は気温の低下と共に大きくなるため、初期凍害の防止が極めて重要と考えられる。


図6.3.5 養生温度と圧縮強度の関係(封かん養生)注(1)

以上のように、①普通エコセメントを使用したコンクリートのフレッシュ性状や硬化性状は普通ポルトランドセメントを使用したコンクリートと異なる傾向にあること、②軽量コンクリートや寒中コンクリート、マスコンクリート、流動化コンクリートについて、「JASS 5」注(2)及びエコセメントを使用するコンクリートの調合設計・施工指針注(3)では、普通エコセメントの使用が規定されていない若しくは使用する場合の規定が明確に示されていないこと、③建築物への使用実績がいまだごく僅かであることなどを考慮して、「標仕」では、普通エコセメントを適用する場合は、普通コンクリート(1~ 9節まで)、暑中コンクリート(12節)、無筋コンクリート(14節)によるとされている。

注(1)建築研究所:建築研究報告 No.144「エコセメントを使用したコンクリートの物理・カ学特性ならびに調合設計・施工技術に関する研究」、2005.12
注(2)日本建築学会:建築工事標準仕様書・同解説 JASS 5 鉄筋コンクリート工事 2018 (27節)
注(3)日本建築学会:エコセメントを使用するコンクリートの調合設計・施工指針(案)・同解説、2007

(2) 骨 材
(ア) 骨材は、コンクリート体積の約7割を占め、その品質がコンクリートの諸性質に大きな影響を及ぼすので、良い品質のコンクリートをつくるためには、原則として、堅硬で物理的・化学的に安定であり、適度な粒度・粒形を有し、有害量の不純物・塩化物等を含まない骨材を使用する。しかし、骨材の品質は、地域差もあり、あらかじめその地域の骨材の種類と品質の実態を把握しておくことが重要である。

なお、再生骨材Hを使用する場合には、6.3.1及び6.3.2の記載を参考に、コンクリートの要求性能と骨材の品質との関係を試し練りを行って十分に把握し、必要に応じて計画調合等を検討することが重要である。

再生骨材には、再生骨材Hのほか、JIS A 5022の附属書A(規定)コンクリート用再生骨材M及びJIS A 5023の附属書A(規定)コンクリート用再生骨材Lがある。再生骨材M及び再生骨材Lは付着するペースト量が多く、これを用いるコンクリートは、乾煤収縮が大きくなる場合もある。

また、再生骨材コンクリートMの通常品及び再生骨材コンクリートLは、通常高い凍結融解抵抗性を確保することが難しいため、乾燥収縮の影響に加えて凍結融解作用を受けない部材又は部位に使用する。

なお、再生骨材コンクリートMについては、標準品に対して凍結融解抵抗性を高めた耐凍害品がある。

(イ) 骨材の種類及び品質

(a) 「標仕」6.3.1(2)(ア)により、骨材の種類はJIS A 5308の附属書A(規定)[ レディーミクストコンクリート用骨材 ]に規定されている砕石及び砕砂、スラグ骨材、人工軽量骨材、再生骨材H並びに砂利及び砂である。

なお、再生骨材Hを使用するコンクリートについては、6.2.1(1)でも記したように、これまで必要であった国土交通大臣の認定が不要となり、建築物の基礎、主要構造部等へも適用できることとなった。ただし、6.3.1(1)注(1)から注 (3)に記した文献では、普通エコセメントを使用するコンクリートに再生骨材Hを使用する場合は特記事項等とされ、かつ、普通エコセメントと再生骨材Hを併用する場合に参考となる技術情報等も示されていないので、「標仕」においても、普通エコセメントを使用するコンクリートに再生骨材Hを使用する場合は特記によるとされている。

(b) フェロニッケルスラグ骨材、銅スラグ細骨材及び電気炉酸化スラグ骨材は、普通骨材に比べて密度が大きく、使用される地域も限定されている。よって、これらの骨材を使用する場合は、設計担当者が特記しなければならない。

(c) 骨材の品質、砕石及び砕砂は、JIS A 5005(コンクリート用砕石及び砕砂)に、高炉スラグ粗骨材及び高炉スラグ細骨材は、JIS A 5011-1(コンクリート用スラグ骨材ー第1部:高炉スラグ骨材)に、フェロニッケルスラグ骨材、銅スラグ骨材、電気炉酸化スラグ骨材及び再生骨材Hは、それぞれ JIS A 5011-2(コンクリート用スラグ骨材ー第2部:フェロニッケルスラグ骨材)、JIS A 5011-3(コンクリート用スラグ骨材ー第3部:銅スラグ骨材)、JIS A 5011-4(コンクリート用スラグ骨材ー第4部:電気炉酸化スラグ骨材)及びJIS A 5021(コンクリート用再生骨材H)に規定されている。

(d) スラグ骨材を他の骨材と併用する場合、表面がガラス質のため、使用するスラグ細骨材の種類によっては保水性が小さくなり、天然の骨材に比ベブリーディング量がやや多くなったりブリーディング速度が速くなったりする場合があるので注意しなければならない。このような場合には、微粉末の使用、実績率の大きい骨材の使用、高性能AE減水剤の使用等材料の選定に加え、水セメント比の低減等の検討が必要である。

(e) 骨材の密度及び吸水率

① 骨材の強さは、密度及び吸水率によりある程度の判定ができる。通常、絶乾密度は2.5g/cm3以上、吸水率は3.0%(細骨材は3.5%)以下ならよいとされている(表6.3.3参照)。

しかし、砂利や砂の場合、一部の地方では、これを満足するものが入手できない場合もある。この場合は、絶乾密度は2.4g/cm3以上、吸水率は4.0%以下なら、コンクリートとして所要の性能が得られることを試し練り又は信頼できる資料等により確かめられれば、使用してよい。

表6.3.3 JIS A 5005 : 2020による砕石・砕砂の物理的性質

② 普通の石材の吸水率は表6.3.4に示すとおりであるが、概ね吸水率の少ないものほど堅硬、密実で良質の骨材になると考えられる。

表6.3.4 石材の吸水率

(f) 骨材の品質が乾燥収縮に及ぼす影響は大きく、JISの品質規格に適合する骨材であっても、それを用いたコンクリートの乾燥収縮ひずみができるだけ小さくなるものを選定することが望ましい。乾燥収縮ひずみが小さくなる骨材としては、良質の川砂利又は石灰石骨材が挙げられる。

(ウ) アルカリ骨材反応抑制対策

(a) アルカリ骨材反応に関しては、昭和60年頃から問題が顕在化し、平成元年には建設省の技術審議官通達、建築指導課長通知等が出されたが、平成14年には新たに「アルカリ骨材反応抑制対策について」(平成14年国官技第112号:技術審議官等通達)と運用のための「「アルカリ骨材反応抑制対策について」について」(平成14年国営技第55号:建築課長通達)の(別紙)「アルカリ骨材反応抑制対策(建築物)実施要領」が、平成15年には「アルカリ骨材反応抑制対策(建築物)実施要領に関する運用について」の事務連絡が出され、その後のJIS A 5308の改正、JIS Q1011(適合性評価一日本産業規格への適合性の認証ー分野別認証指針(レディーミクストコンクリート))の制定、「標仕」の改定を経て、その対策が確立されてきた。

(b) 「アルカリ骨材反応抑制対策(建築物)実施要領」における検査・確認の方法を、次に示す。

① アルカリシリカ反応性試験方法(化学法)による骨材試験は、施工着手前、工事中1回/6箇月、かつ、産地が変わった場合に、受注者等が公的試験機関に依頼して行う。また、試験に用いる骨材の採取にも受注者等が立ち会うことが原則となる。

② アルカリシリカ反応性試験方法(モルタルバー法)による骨材試験は、コンクリート生産工程管理用試験に規定される骨材のアルカリシリカ反応性試験方法(迅速法)で骨材が無害であることを受注者等が確認する。この場合も、施工着手前、工事中1回/6箇月、かつ、産地が変わった場合に、公的試験機関で行い、試験に用いる骨材の採取にも受注者等が立ち会うことが原則となる。

(c) 「標仕」では、砕石、砕砂、フェロニッケルスラグ骨材、銅スラグ細骨材、電気炉酸化スラグ骨材、砂利、砂及び再生骨材Hは、原則として、「アルカリシリカ反応性試験の結果が無害と判定されるもの」(アルカリシリカ反応性による区分Aのもの)を使用するとしているので、アルカリシリカ反応性による区分を、受注者等にレディーミクストコンクリート配合計画書及びアルカリシリカ反応性試験成績表で確認させておく必要がある。

なお、銅スラグ細骨材は、JIS A 5011-3において、”無害”のものに限定して使用することが規定されている。

アルカリシリカ反応性試験方法は、JIS A 1145(骨材のアルカリシリカ反応性試験方法(化学法))又は JIS A 1146(骨材のアルカリシリカ反応性試験方法(モルタルバー法))による。ただし、フェロニッケルスラグ骨材のアルカリシリカ反応性試験は、JIS A 1146による。また、再生骨材Hのアルカリシリカ反応性による区分、判定及び試験は、JIS A 5021の4.3(アルカリシリカ反応性による区分)、5.3(アルカリシリカ反応性)、7.7(アルカリシリカ反応性試験)による。

(d) レディーミクストコンクリートを製造する地域等によっては、上記の試験の結果が「無害と判定されないもの」や「試験を行っていないもの」(アルカリシリカ反応性による区分Bのもの)を使用せざるを得ない場合もある。その場合は、事前調査により設計担当者が区分Bのものを使用することを特記しなければならない。特記により区分Bの骨材を使用する場合は、「標仕」6.3.1(2)(イ) に基づいた対策を受注者等に提案させ、その内容を確認する。高炉セメントやフライアッシュセメントを、アルカリ骨材反応の抑制対策として使用する場合、高炉スラグ微粉末の混合比(分量)が40%以上の高炉セメントB種又はフライアッシュの混合比(分量)が15%以上のフライアッシュセメントB種を使用する。また、コンクリート製造業者から使用した混合セメントのセメント試験成績書を取り寄せて、高炉スラグ微粉末又はフライアッシュの混合比(分量)を確認することが必要である。

なお、フェロニッケルスラグ骨材のアルカリシリカ反応抑制対策は、JIS A 5011-2の附属書Dによる。また、再生骨材Hについては、アルカリシリカ反応性による区分がBの場合、JIS A 5308の 8.2項及び同附属書Bの B.2項により、アルカリシリカ反応抑制対策の区分はアルカリシリカ反応抑制効果のある混合セメントなどを使用する抑制対策しか規定されていないため、コンクリート中のアルカリ総量を規定する抑制対策を適用することはできない。

(エ) 高炉スラグ粗骨材を使用する場合は、JIS A 5011-1に基づいて、使用する骨材の絶乾密度、吸水率及び単位容積質量が、同JISの区分Nを満足することを受注者等に確認させ、その結果を報告させることが必要である(表6.3.5参照)。

なお、高炉スラグ粗骨材は、普通骨材より吸水率が大きく気乾状態で用いると練混ぜ、運搬及び打込み中にフレッシュコンクリートの品質が変動しやすいので、事前に散水により吸水させて用いることが望ましい。

(オ) 電気炉酸化スラグ骨材は、JISマーク表示認証製品で、生産工場からレディーミクストコンクリート工場に直接納入されていること及び電気炉酸化スラグ粗骨材の絶乾密度による区分がNであること(表6.3.5参照)並びに再生骨材Hは、 JISマーク表示認証製品であることを受注者等に確認させ、その結果を報告させることが必要である。

表6.3.5 JIS A 5011-1 : 2018による高炉スラグ粗骨材(区分N)及び
JIS A 5011-4 : 2018による電気炉酸化スラグ粗骨材(区分N)の材質
(カ) 粗骨材の最大寸法等
(a) 粗骨材の最大寸法

粗骨材は、鉄筋相互間及び鉄筋とせき板との間を容易に通る大きさでなければならない。粗骨材の最大寸法は「標仕」において次のように定めている。

① 砕石、高炉スラグ粗骨材、電気炉酸化スラグ粗骨材及び再生粗骨材Hは 20mmとする。また、砂利は25mmとする。

② 基礎等で断面が大きく鉄筋量の比較的少ない部材の場合は、「標仕」5.3.5[鉄筋のかぶり厚さ及び間隔]の範囲で、砕石、高炉スラグ粗骨材及び再生粗骨材Hは25mm、また、砂利は40mmとすることができる。

③ 鉄筋のあきは、粗骨材の最大寸法の1.25倍以上とする(「標仕」5.3.5 (4)(ア) 参照)。

④ 無筋コンクリートの粗骨材の最大寸法は、コンクリート断面の最小寸法の 1/4以下とする。ただし、捨コンクリート及び防水層の保護コンクリートの場合は25mm以下とする(「標仕」6.14.2(1)参照)。

(b) 骨材の粒度及び粒形

① 骨材は、適切な粒度分布のものでなければならない。粒度の良否によってコンクリートのワーカビリティーや単位セメント最に著しい差が生じ、ひいてはコンクリートの強度や耐久性にも影響を与える。

② 骨材の形は、球形に近いものが理想的で、偏平、細長のもの、かど立っているものなどは、コンクリートのワーカビリティーを悪くし、同一水セメント比で同一スランプを得るための細骨材率が大きくなり、単位水量、単位セメント量も多くなる。また、偏平、細長のものは、コンクリートが外力を受けたときに不均ーな応力分布が生じて、破壊しやすいためにコンクリートの強度も低下する。

③ 粒度分布を表すには次のような方法があり、通常1)及び2)が用いられる。

 1) 各ふるいの通過率
 2) 粗粒率(FM)
 3) 各ふるいの累加残留率
 4) 各ふるいの残留率

④ コンクリートの品質を確保して圧送性を良くするには、骨材の粒度分布が適切であるとともに 0.3mm以下の細骨材が15~30%混入していることが望ましい。

(キ) その他留意が必要な骨材の品質

(a) 骨材の単位容積質量・実積率
① 単位容積質量は、単位容積当たりの骨材質量(kg/ℓ)で、骨材の粒度が適切であれば、最大寸法が大きいほど単位容積質量は大きい。

② 実積率は、骨材を容器に詰めた場合、どの程度隙間なく詰まっているかを表す指標で、6.3.1式より求める。空隙率は 6.3.2式による。

・・・(6.3.1式)

・・・・・・・・・(6.3.2式)

③ 同一粒度、同一密度の骨材では、実積率が大になるほど骨材の粒形が良いことになる。また、骨材の密度、最大寸法及び粒度が同様な場合には、粒度分布が良いほど実積率は大となる。

④ 骨材に対応する標準的実積率を表6.3.6に示す。

表6.3.6 骨材の実積率の標準的な値
(b) 骨材中の泥分

泥分が骨材表面に付着していると、骨材とセメントペーストとの付着を妨げ、コンクリートの強度を低下させる。また、コンクリート中に混合している場合は、単位水量が増加し、体積変化も大きく、ひび割れも発生しやすい。

(c) 細骨材の有機不純物

有機不純物としては、腐植土、泥炭質等があり、これらに含まれるフミン酸やタンニン酸の量が多いと、セメントペースト中のCa(OH)2と反応して有機酸石灰塩を生じ、コンクリートの硬化を妨げ、強度や耐久性を低下させる場合がある。

(d) 細骨材中の塩化物

① コンクリート中の鋼材は、コンクリートのpHが10以上の場合は、鋼の表面が鉄の水酸化物Fe(OH)2の不働態皮膜で覆われているので錆は発生しないが、多量の塩化物が混合すると、塩化物イオンによって不働態皮膜が破壊されて錆が発生する。

② JIS A 5308附属書A(規定)では、砂に含まれる塩化物量をNaCl換算で0.04%以下と規定しているが、2003年のJIS R 5210(ポルトランドセメント)の改正により普通ポルトランドセメントの塩化物イオンが 0.02%以下から0.035%以下となった。これにより、コンクリートの各材料の塩化物イオンの規格上限値でコンクリート中の塩化物イオン量を算出すると0.30 kg/m3を超える場合があるので、受注者等にレディーミクストコンクリート配合計画書でコンクリート中の塩化物イオン量が0.30kg/m3を超えないことを確認させ、その結果を報告させるようにするとよい。

なお、プレテンション方式のプレストレストコンクリート部材に用いる場合は0.02%以下とすることになっている。

(e) 骨材を混合して使用する場合

① 最近では1種類の骨材だけでは所要の品質や量を確保することが困難となり、複数の骨材を混合して使うことが多くなった。

② 骨材を混合して使用する場合は、JIS A 5308附属書A (規定)のA.9[骨材を混合して使用する場合]による。

1) 同一種類の骨材(例:川砂利と陸砂利(玉砕も含む。)、海砂と山砂)を混合して使用する場合は、混合したものの品質が所定の規定に適合しなければならない。ただし、混合前の各骨材の絶乾密度、吸水率、安定性及びすりへり減量については、それぞれの骨材の規定に適合しなければならない。

2) 異種類の骨材(例:川砂利と砕石、海砂と砕砂あるいは高炉スラグ細骨材等)を混合して使用する場合は、混合前の骨材の品質がそれぞれの規定に適合しなければならない。ただし、粒度調整や海砂の塩化物量の低減目的に混合する場合には、粒度と塩化物量については、混合したものが所定の規定に適合していればよい。

(3) 水

(ア) 水は、コンクリートの凝結時間、硬化後のコンクリートの強さ等の諸性質、鋼材の発錆等に影響があり、極めて重要な材料といえる。

(イ) 一般的に、セメントの水和に必要な水量は、セメント質量の約40%といわれ、施工時に必要な水量の内、残りの部分はコンクリートのワーカビリティーを良くするものであり、コンクリートの硬化に関与しない余剰水となる。また、単位水量が多いと乾燥収縮が大きくなる場合や透水性が高くなる場合があり、耐久性が低下しやすい。

(ウ) 水中の不純物が鉄筋コンクリートに与える影響

(a) 一般的に、アルカリ性の強い水はセメントの凝結を遅くし、弱酸性の水は凝結を早め、強酸性では硬化しにくくなる。

(b) 苦土や石灰は、セメントの安定性を低下させる。

(c) 塩化物や塩素は、鉄筋の腐食を助長する。

(d) 水の不純物の種類と量の限度は、使用するセメントの組成、使用量等によって異なり、規定しにくいとされているが、濃度が1,000ppm以下ならば、ほとんど影響がないといわれている。

(エ) 水の使用基準等については、JIS A 5308 附属書C (規定)があり、この抜粋を次に示す。

JIS A 5308 : 2019 

附属書C(規定) レディーミクストコンクリートの練混ぜに用いる水

C.1 適用範囲

この附量書は、レディーミクストコンクリートの練混ぜに用いる水(以下、水という。)について規定する。

C.2 区分

水は、上水道水、上水道水以外の水及び回収水に区分する。

C.3用語及び定義

この附属書で用いる主な用語及び定義は,箇条3によるほか次による。

C.3.1 上水道水以外の水

河用水.湖沼水,井戸水.地下水などとして採水され,特に上水道水としての処理がなされていないもの及び工業用水。ただし,回収水を除く。

C.4 上水道水

上水道水は、特に試験を行わなくても用いることができる。

C.5 上水道水以外の水

上水道水以外の水の品質は、C.8.1の試験方法によって試験を行ったとき、表C.1に示す規定に適合しなければならない。

表C.1-上水道水以外の水の品質
C.6 回収水
C.6.1 品質

回収水の晶質は.C.8.2の試験方法によって試験を行ったとき.表C.2に示す規定に適合しなければならない。ただし,その原水は.C.4又はC.5の規定に適合しなければならない。

なお、スラッジ水を上水道水、上水道水以外の水、又は上澄水と混合して用いる場合の品質の判定は、スラッジ固形分率が3%になるように.スラッジ水の濃度を 5.7%に調整した試料 1)を用い、C.8.2.4及びC.8.2.5の試験を行う。

1) スラッジ水を希釈し濃度調整する場合には.C.4及びC.5に適合する水を用いる。

表C.2 – 回収水の品質
C.6.2 スラッジ固形分率の限度

a) スラッジ水を用いる場合には、スラッジ固形分率が3%を超えてはならない。

なお、レディーミクストコンクリートの配合において、スラッジ水中に含まれるスラッジ固形分は、水の質量には含めない。

b) スラッジ固形分率を 1%未満で使用する場合には.表10の目標スラッジ固形分率の欄には、”1%未滴”と記入することとし、表11のスラッジ固形分率の欄にも”1 %未満”と記入する。この場合.スラッジ水は練混ぜ水の全量に使用し、かつ、濃度の管理期間ごとに1 %未満となるよう管理しなければならない。

なお、このスラッジ固形分率を1 %未満で使用する場合には、スラッジ固形分を水の質量に含めてもよい。

C.6.3 スラッジ水の管理

スラッジ水の管理は、次による。また、安定化スラッジ水の管理は、バッチ濃度調整方法だけとし、C.7の管理も追加する。

a) バッチ濃度調整方法2)、又は連続濃度測定方法2)を用いる。
注2) バッチ濃度調整方法は、スラッジ水の濃度を一定に保つ独立した濃度調整槽をもつ場合に用いることができる管理方法である。スラッジ固形分率を 1%未満で使用する場合は、この方法による。独立した濃度調整槽をもたない場合には、スラッジ水の濃度を連続して測定できる自動濃度計を設置して測定することによる連続濃度測定方法を用いればスラッジ水の管理ができる。
b) C.6.2に適合するように、スラッジ水の管理状況に対応して、コンクリートに使用するスラッジ水の濃度を定めて管理する。
c) バッチ濃度調整方法を用いる場合には、スラッジ水の濃度を測定・記録し、目標スラッジ固形分率となるようにスラッジ水の計量値を決定して、スラッジ水を使用する。

なお、スラッジ水の濃度の測定は、1日1回以上、かつ、濃度調整の都度行う。

d) 連続濃度測定方法を用いる場合には、スラッジ水を使用する度にその濃度を自動濃度計によって測定・記録し、自動演算装置を用いて目標スラッジ固形分率となるようにスラッジ水の計量値を決定して.スラッジ水を使用する。

e) スラッジ水の濃度の測定精度の確認は,少なくとも3か月に1回の頻度で.C.8.2.6によって行う。また、スラッジ水の濃度の測定方法として自動濃度計を用いる場合は、始業時にスラッジ水の密度から自動濃度計の表示値を確認しこれを記憶する。

f) スラッジ水の濃度及び測定器具の精度確認の記録は、購入者からの要求があれば、スラッジ固形分率の算出根拠として提出する。

C.7 水を混合して使用する場合

2種類以上の水を混合して用いる場合には、それぞれがC.4. C.5又はC.6の規定に適合していなければならない。

JIS A 5308: 2019

(4) 混和材料

(ア) 混和材料の使用目的は、概ね次のとおりである。
(a) ワーカビリティーの改良
(b) 長期材齢又は初期材齢における強度の増大
(c) 水密性の増大
(d) 乾燥収縮の低減

(e) 耐久性の向上

(イ) 混和材料の分類を、図6.3.6に示す。


図6.3.6 混和材料の分類

混和材料について「標仕」6.3.1(4)では、種類及び適用は特記によるとし、特記がなければ、種類は次によるとしている。

(a) 混和剤の種類は、JIS A 6204(コンクリート用化学混和剤)によるAE剤、AE減水剤又は高性能AE減水剤とし、化学混和材の塩化物イオン(Cl)量による区分は、Ⅰ種とする。また、防錆剤を併用する場合は、JIS A 6205(鉄筋コンクリート用防せい剤)による防錆剤とする。

(b) 混和材の種類は、JIS A 6201(コンクリート用フライアッシュ)によるフライアッシュのI種、II種若しくはⅣ種、JIS A 6206(コンクリート用高炉スラグ微粉末)による高炉スラグ微粉末、JIS A 6207(コンクリート用シリカフューム)によるシリカフューム又はJIS A 6202(コンクリート用膨張材)による膨張材とする。

(ウ) JIS A 6204(コンクリート用化学混和材)の抜粋を次に示す。

なお、JIS A 6204は2011年の改正で、6.2のコンクリート試験における空気量は、基準コンクリートの空気量に3.0%を加えたものに対して、0.5%を超える差があってはならないこととなった。また、練混ぜのバッチ数は1バッチとすること、圧縮強度試験用供試体の養生温度は20±2℃とすること、コンクリートの試験回数は、1バッチについて1回とすること及び管理試験の名称を性能確認試験と改め、6箇月に1回の頻度で実施することとなった。

JIS A 6204: 2011

1 適用範囲

この規格は、コンクリート用化学混和剤(以下、化学視和剤という。)として用いるAE剤、高性能減水剤、硬化促進剤、減水剤、AE減水剤、高性能AE減水剤及び流動化剤について規定する。

3 用語及び定義

この規格で用いる主な用語の定義は,JIS A 0203によるほか、次による。

3.1 化学混和剤

主として、その界面活性作用及び/又は水和調整作用によってコンクリートの諸性質を改善するために用いる混和材。

3.2 AE剤

コンクリートなどの中に、多数の微細な独立した空気泡を一様に分布させ、ワーカビリティー及び耐凍害性を向上させる化学混和剤。

3.3 高性能減水剤

所要のスランプを得るのに必要な単位水品を大船に減少させるか又は単位水量を変えることなくスランプを大幅に増加させる化学混和剤。

3.4 硬化促進剤

セメントの水和を早め.初期材齢の強度を大きくする化学混和剤。

3.5 減水剤

所要のスランプを得るのに必要な単位水量を減少させる化学混和材。

3.6 AE減水剤

空気連行性能をもち,所要のスランプを得るのに必要な単位水量を減少させる化学混和剤。

3.7 高性能AE減水剤

空気連行性能をもち,AE減水剤よりも高い減水性能及び良好なスランプ保持性能をもつ化学混和剤。

3.8 流動化剤

あらかじめ練り混ぜられたコンクリートに添加し、これをかくはんすることによってその流動性を増大させることを主たる目的とする化学混和剤。

3.9 標準形

化学混和剤の種類で.コンクリートの凝結時間をほとんど変化させないもの。

3.10 遅延形

化学混和剤の種類で.コンクリートの凝結を遅延させるもの。

3.11 促進形

化学混和剤の種類でコンクリートの凝結及び初期強度の発現を促進させるもの。

3.12 基準コンクリート

化学混和剤の性能を試験する場合に基準とする化学混和剤を用いないコンクリート。ただし.流動化剤の性能を試験する場合にはAE剤を使用する。

3.13 試験コンクリート

化学混和剤の性能を試験する場合に試験の対象とする化学混和剤を用いたコンクリート。

3.14 形式評価試験

製品を開発した当初に性能確認として行う全項目試験。

3.15 性能確認試験

形式評価試験で確認された性能と同等の性能をもつことを定期的に確認するために、その一部項目について行う試験。

4 種 類

化学混和剤の種類は.性能によって表1、塩化物イオン(Cl)量によって表2のとおり、それぞれ区分する。

表1- 化学混和剤の性能による区分

表2- 化学混和剤の塩化物イオン(Cl)量による区分

5 品 質
5.1 性能
化学混和剤の性能は、6.2によって試験を行ったとき、表3に適合しなければならない。(6.2省略)

表3-化学混和剤の性能

5.2 塩化物イオン(Cl)量
塩化物イオン量は.6.3によってコンクリート中の量を求め.その値が表2に適合しなければならない。(6.3省略)

5.3 全アルカリ量
全アルカリ量は、6.4によってコンクリート中の量を求め、その値が0.30kg/m3以下でなければならない。(6.4省略)

JIS A 6204 : 2011
(エ) AE剤

AE剤は、コンクリート中に無数の独立した微細な気泡を連行させることができる。この気泡は、コンクリートに次のような効果をもたらす。

① ワーカビリティーが良くなる(気泡のボールベアリング作用による。)。
② 単位水量を減少させることができる(一般的にプレーンコンクリートに比べて8%程度減少できる。)。
③ コンクリートの凍結融解に対する抵抗性を増し、耐久性を向上させる。
④ 中性化に対する抵抗性を増大させる。

⑤ 圧縮強度は、空気量にほぼ反比例して低下する。

(オ) AE減水剤

(a) AE減水剤は性能に応じて、標準形、遅延形及び促進形に分けられる。その用途等は次のとおりである。

① 標準形は、主として一般のコンクリートに用いられる。
② 遅延形は、コンクリートの凝結を遅らせ、暑中コンクリートやマスコンクリート等に用いる場合がある。

③ 促進形は、コンクリートの初期強度の発現を促進し、寒中コンクリート等に用いる場合がある。

(b) AE減水剤は、セメント粒子に対する分散作用と空気連行作用を併有する混和剤で、所要のコンシステンシーを得るための単位水量は、プレーンコンクリートに比べて 12~ 16%減少できる。

(カ) 高性能AE減水剤

高性能AE減水剤は、高い減水性とスランプ保持性能を有する混和剤で、凝結時間が通常のコンクリートとあまり変わらない標準形と、暑中コンクリートやマスコンクリート等に適した遅延形とがある。

その主成分の化学的組成からナフタリン系、ポリカルボン酸系、メラミン系、アミノスルフォン酸系に分類される。ただし、この分類は、あくまで便宜的なもので、同系統に属していてもコンクリートに用いたときの性能は、主成分の化学構造が全く同じでないこと、配合されている副次成分の違いなどから必ずしも同ーではない。

高性能AE減水剤は、従来のAE剤やAE減水剤と同様にプラントでミキサーに投入し、他の材料と同時に練り混ぜる方式により、プレーンコンクリートに対し減水率を 16~ 25%程度にすることができる化学混和剤であり、特にスランプロス防止に重点をおいて開発されたものである。

高性能AE減水剤の主な機能は、①高いセメント分散作用、②スランプ保持作用であり、用途としては次のようなものが挙げられる。

なお、最近では、JIS A 6204の規格に適合し、従来の化学混和剤にはない新たな機能を付与したタイプが使用されている。例えば、収縮低減成分や増粘成分を各種減水剤などと一液化したものがあり、これらは一般に「高機能型(タイプ)」と呼ばれている。

① 単位水量上限規制への対応
② コンクリートの高耐久性化(単位水量の大幅低減)
③ 高流動コンクリートの製造
④ 高強度コンクリートの製造

⑤ 単位セメント量低減による水和熱の低減等

(キ) 流動化剤

流動化剤は、あらかじめ練り混ぜられたコンクリートに添加、かくはんし流動性を増して、コンクリートの品質と施工性の改善をする混和剤である。

コンクリートを流動化する場合は、流動化する前のレディーミクストコンクリートからのスランプの増大量と、流動化剤によって混入されるアルカリ量をあらかじめ生産者に通知する必要がある。

なお、 I 類コンクリートであっても、レディーミクストコンクリートの受入れ後、荷卸し地点等で流動化剤を添加する場合は、JIS Q 1001(適合性評価 – 日本産業規格への適合性の認証 – 一般認証指針)及びJIS Q 1011(適合性評価 – 日本産業規格への適合性の認証 – 分野別認証指針(レディーミクストコンクリート))の認証範囲から外れる可能性がある。このような場合には、II 類コンクリートとして扱わなくてはならないので、その使用には注意が必要である。

(ク) フライアッシュ

(a) フライアッシュは、燃料として微粉炭を使用している火力発電所のボイラーの煙道に設けられた集じん機で回収される鉱物質の微粉で、人工ポゾランの一種である。良質なフライアッシュは粒子表面が滑らかで球状を呈しているので、 AE剤による気泡と同様な作用をする。

(b) 良質なフライアッシュを混合すると同一スランプのコンクリートを得るのに、混合率(内割り)10%(質量比)当たり単位水量を3~4%程度減らすことができる。

(c) フライアッシュは、JIS A 6201(コンクリート用フライアッシュ)のI種、II種又はⅣ種に適合するものとし、ワーカビリテイーや圧送性の改善、ブリーディングの減少、水和熱の抑制等の目的で、セメントの一部として(内割り)あるいは骨材の一部として(外割り)用いられる(内割り、外割りについては (f)参照)。フライアッシュの品質を表6.3.7に示す。

表6.3.7 フライアッシュの品質(JIS A 6201 : 2015)

(d) フライアッシュを内割りに混合する場合の混合率の限度は、セメント量の10%以内とする。

(e) フライアッシュの混合によりコンクリートの中性化が促進されるといわれているので、鉄筋に対するコンクリートのかぶり厚さを確保するよう特に注意する。

(f) フライアッシュの混合の内割り、外割り

① フライアッシュを「内割りに混合する」とは、図6.3.7のような割合に混合することをいう。「標仕」6.3.2(イ)(f)③の場合に適用する。


図6.3.7 フライアッシュの混合の内割り

② フライアッシュを「外割りに混合する」とは、図6.3.8のような割合に混合することをいう。「標仕」6.3.2(イ)(f)②の場合に適用する。


図6.3.8 フライアッシュの混合の外割り

6.3.2 コンクリートの調合

コンクリートの計画調合は、所要のスランプ、空気量、強度及び耐久性が得られ、かつ、「標仕」2節に示される各規定の要求事項を満足するよう、次の項目に注意して定めなければならない。

(ア) 調合管理強度及び調合強度

(a) 調合管理強度

平成19年版「標仕」では、調合管理強度(Fm)に相当する値は、設計基準強度(Fc)、構造体コンクリートと供試体強度との差(ΔF=3N/mm2)、気温によるコンクリート強度の補正値(T)を考慮して(Fc + ΔF + T)としていたが、平成 22年版「標仕」からは、調合管理強度は、( ΔF+T)に代わって、セメントの種類及びコンクリートの打込みから材齢28日までの予想平均気温に応じて定められた構造体強度補正値(S)を取り入れ、(Fc+S)に改められている。

(b) 構造体強度補正値(S)は、セメントの種類、予想平均気混の範囲に応じて「標仕」表6.3.2に示すように、3N/mm2又は 6N/mm2としている。また、平成28年版「標仕」からは、平成12年建設省告示第1446号(平成28年国交省告示第814号)の改正に伴い「標仕」表6.3.1に普通エコセメントが追加され、「標仕」表6.3.2に「JASS 5」の27.5 b項を基に普通エコセメントの構造体強度補正値(S)が追加された。

なお、平成28年3月に改正された告示「コンクリート強度に関する基準」では、コンクリート強度の確認方法として、標準養生(水中又は飽和水蒸気圧中の養生に限る。)による方法とこれに使用する構造体強度補正値が第1第三号として追加されたが、規定された平均気温の範囲とその構造体強度補正値は、「JASS 5」に示される構造体強度補正値28S91と若干異なる数値となっている。しかし、同告示と同時に国土交通省住宅局建築指導課長から発出された技術的助言 国住指第4893号「コンクリート強度並びに型わく及び支柱の取り外しに関する基辿の改正について」では、告示第1102号第1第三号に規定する構造体強度補正値以外の値であっても、「JASS 5」に基づく管理方式については、同告示のただし書きの適用があるものとして取り扱ってよい、とされている。

「標仕」では、平成22年版より「JASS 5」の2009年版を基にコンクリートの調合設計に構造体強度補正値(S)の考え方を導入してコンクリートの品質管理を行っており、平成28年版「標仕」においても、構造体強度補正値(S)は、

「JASS 5」に示される構造体強度補正値28S91を基に定めた値(「標仕」表6.3.2)としている。

参考に、昭和56年建設省告示第1102号(最終改正平成28年国土交通省告示第502号)(告示「コンクリート強度に関する基準」)及び技術的助言 国住指第4893号平成28年3月17日「コンクリート強度並びに型わく及び支柱の取り外しに関する基準の改正について」の抜粋を下記に示す。

設計基準強度との関係において
安全上必要なコンクリート強度の基準を定める等の件
(昭和56年建設省告示第1102号
最終改正 平成28年3月17日 国土交通省告示第502号)

建築基準法施行令(昭和二十五年政令第三百三十八号)第七十四条第一項第二りの規定に基づき、設計基準強度との関係において安全上必要なコンクリートの強度の基準を次の第一のように定め、同条第二項の規定に基づき、コンクリートの強度試験を次の第二のように指定する。

第一
コンクリートの強度は、設計基準強度との関係において次の各号のいずれかに適合するものでなければならない。ただし、特別な調査又は研究の結果に基づき構造耐力上支障がないと認められる場合は、この限りでない。

中略


コンクリートの圧縮強度試験に用いる供試体で標準養生(水中又は飽和蒸気中で行うものに限る。)を行ったものについて強度試験を行った場合に、材齢が二十八日の供試体の圧縮強度の平均値が、設計基準強度の数値にセメントの種類及び養生期間中の平均気温に応じて次の表に掲げる構造体強度補正値を加えて得た数値以上であること。

コンクリート強度並びに型わく及び支柱の取り外し
に関する基準の改正について(技術的助言)

(国住指第4893号平成28年3月17日)

建築基準法施行令第74条第1項第2号及び同令第76条第2項の規定に基づく標記基準については、平成28年3月17日付国土交通省告示第502号及び同日付国土交通省告示第503号として別添のとおり公布されたので通知する。なお、「コンクリート強度に関する基準の制定について(通知)」(昭和56年6月15日付け建設省住指発第160号、建設省住宅局建築指導課長通知)は廃止する。

中略

1 コンクリート強度に関する基準(昭和56年建設省告示第1102号)の改正について

(1) 本告示は、設計基準強度との関係において安全上必要なコンクリート強度の基準及びコンクリートの強度試験方法に関する基準を定めたものである。

本告示改正は、新たなコンクリート強度の管理方式のひとつとして、標準養生(水中又は飽和水蒸気圧中で行う場合に限る。以下同じ。)供試体による場合について、材齢が28日までの供試体の圧縮強度の平均値が、設計基準強度の数値に構造体強度補正値を加えた数値以上であることとするコンクリートの強度の基準を定めたものである。

これら以外の管理方式であっても、適切な研究的裏付けのあるものについては、ただし書の適用があるものとして取り扱って差し支えない。

(2) 第1第1号に規定する現場水中養生に類する養生は、現場における湿砂中養生等所要の水分を補給しうる状態での養生を、同第2号のコア供試体に類する強度に関する特性を有する供試体は、現場封かん養生供試体等構造体中のコンクリートと類似の温度履歴を有する養生を行った供試体をそれぞれさすものである。

(3) 第1第3号に規定する構造体強度補正値は、既往の研究成果等を踏まえ、コンクリート打設時の外気温並びに部材の種類及び寸法等を考慮した上で、標準養生供試体の材齢が28日における圧縮強度の平均値とコア供試体又はこれに類する強度に関する特性を有する供試体の材齢91日における圧縮強度の平均値の差について、0以上の数値として定めたものである。これ以外の強度補正値であっても「建築工事標準仕様書 JASS 5 鉄筋コンクリート工事」((-社)日本建築学会)に基づく管理方式によるものなど、適切な研究的裏付けのあるものについては、ただし書きの適用があるものとして取り扱って差し支えない。

(4) 第1第1号及び同第2号に規定する強度試験を行うコンクリートの材齢について、コンクリートの強度発現特性を踏まえ、強度試験により28日(又は91日)より前に必要な強度が発現していることを確認した場合にあっては、28 日(又は91日)時点で強度試験を行わない場合でも、28日(又は91日)時点で必要な強度が発現しているものと扱って差し支えない。

(5) 供試体強度の平均値を求める場合の供試体数及び養生方法といった管理方式等に関する具体的な運用については、「建築工事標準仕様書JASS 5鉄筋コンクリート工事」((-社)日本建築学会)又は「建築研究資料No.169高強度領域を含めたコンクリート強度の管理基準に関する検討」(国立研究開発法人 建築研究所)等を参考とされたい。

(c) 調合強度(F)は、一般的には標準養生した供試体の材齢m日における圧縮強度で表し、6.3.3式を満足するように定めることになる。

F ≧ Fm + α × σ (N/mm2)・・・(6.3.3式)

ここで、α は、コンクリートの許容不良率に応じた正規偏差で、σは、強度のばらつきを表す標準偏差である。「JASS 5」では、αを許容不良率4%に相当する1.73を用いている。また、σは発注するレディーミクストコンクリート工場の実績に基づいた値を用いればよい。もし発注するコンクリートの生産実績が少ないなどの場合には、2.5N/mm2又は0.1Fmの大きい方の値を用いるとよい。

(イ) 調合条件

コンクリートに要求される品質として、所要の強度を確保すること、打込み時 のワーカビリティーを確保することは当然であるが、近年、鉄筋コンクリート造の構造物が劣化している様々な事例が指摘されており、コンクリートの耐久性(コンクリート中の塩化物含有量、中性化、ひび割れ、海塩粒子、アルカリ骨材反応 による影響等に対して)を確保することが、コンクリート構造物の継続的利用に極めて重要となっている。これらの理由から「標仕」では次の規定を設けている。

なお、以下の水セメント比の最大値、単位水量の最大値及び単位セメント量の最小値とは、レディーミクストコンクリート工場において調合設計を計画した時のそれぞれの目標値のことである。

(a) 「標仕」では、荷卸し地点における空気量は、4.5%と規定されている。

AE剤、AE減水剤、高性能AE減水剤を用いて、コンクリート中に微細な空気泡を連行すると、連行空気量にほぼ比例して所定のスランプを得るのに必要な単位水量を低減でき、ワーカビリティーが改善されるとともに、凍結融解作用に対する抵抗性が増大する。しかし、空気量が6%以上になるとそれ以上空気量を増やしてもフレッシュコンクリートの品質は改善されなくなり、空気量が3%未満では凍結融解作用に対する抵抗性の改善に対する効果が少ない。このため空気量の確認時期・地点を荷卸し地点とし、その時のコンクリートの空気量を4.5%としている。

(b) 鉄筋コンクリートの一般的な劣化は、コンクリート表面からの水・炭酸ガス、塩化物その他の浸入性物質によりもたらされるが、これらの劣化要因からコン クリートを健全に守るためには、一般的に水セメント比を小さくすればよい。このため強度上必要な水セメント比とは別にコンクリートのワーカビリティー・均一性・耐久性を確保するために水セメント比(W/C)の最大値を 以下のように定めている。

① 平成22年版「標仕」では、普通ポルトランドセメント及び混合セメントのA種の水セメント比の最大値(上限値)は65%、混合セメントのB種は 60%とされていたが、平成25年版「標仕」から、新たに早強ポルトランドセメント及び中庸熱ポルトランドセメントを使用する場合は65%、低熱ポルトランドセメントを使用する場合は60%とする規定が追加されている。

また、平成28年版「標仕」6.3.1 (a)(1)で追加された普通エコセメントについては、「JASS 5」及び国立研究開発法人 建築研究所の「建築研究質料 No.144」等を参考に、以下の事由から水セメント比の最大値を55%とした。

a) 普通エコセメントを使用するコンクリートの中性化深さは、普通ポルトランドセメントを使用する同一水セメント比のコンクリートよりも大きくなる。

b) 普通ポルトランドセメントを使用するコンクリートと同程度の圧縮強度を得るためには、普通エコセメントを使用するコンクリートの水セメント比を3~5%程度小さくすることが必要である。

② 6.3.1(2)(イ)(a)でも記したように、平成12年建設省告示第1446号の一部改正に伴って平成28年版「標仕」からは、再生骨材Hを使用するコンクリートを建築物の基礎、主要構造部へ適用できることとなった。ただし、再生骨材H以外の他の骨材を使用するコンクリートと同程度の圧縮強度を得るためには、再生骨材Hを使用するコンクリートの水セメント比を若干小さくする必要があることから、水セメント比の最大値が60%とされた。

(c) 「標仕」では、単位水量の最大値を185kg/m3と規定するとともに、コンクリートの強度、気乾単位容積質量、ワーカビリティー、スランプ及び構造体コンクリートの仕上り状態が「標仕」2節に規定される品質を満足する範囲で可能な限り小さくするよう規定されている。

近年、良好な砂利、砂に代わり、砕石、砕砂が多用されるようになると、スランプを一定値以下に抑えても単位水量は大きくなる一方であり、コンクリートの乾燥収縮率の増大が懸念されている。その一方で、最近は高性能AE減水剤によりコンクリートのスランプを比較的容易に変えることができるようになり、単位水量が185kg /m2以下でもスランプ18cmにすることが容易となっている。このような理由から、コンクリートの品質を確保するためにスランプの規制以外に単位水量の制限が設けられている。

(d) 「標仕」では、単位セメント量の最小値を270kg/m3とし、かつ、(b)の水セメント比及び(c)の単位水量から算出した数値とすることが規定されている。

なお、単位セメント量は、6.3.4式によって求められる。

C = W/x × 100 ・・・(6.3.4式)
C:単位セメント量(kg/m3
w:単位水量(kg/m3

x :水セメント比(%)

単位セメント量は、水和熱及び乾燥収縮によるひび割れを防止する観点から可能な限り少なくすることが望ましい。しかし、単位セメント量が過小であるとコンクリートのワーカビリティーが悪くなり、型枠内へのコンクリートの充填性の低下、豆板や巣、打継ぎ部における不具合の発生、水密性、耐久性の低下等を招きやすい。このためコンクリートの強度を確保するための条件とは別に単位セメント量の最小値が規定されている。

(e) 細骨材率

「標仕」では、「コンクリートの品質が得られる範囲内で、適切に定める」と規定されている。一般的に、コンクリートの単位水量を可能な限り小さくし、強度や耐久性を最大にするには、所要のワーカビリティーが得られる範囲内で 細骨材率を最小にすることが重要となる。ただし、細骨材率を小さくし過ぎると一般的に所要のスランプを得るための単位水量は減るが、がさがさのコンクリートとなり、また、スランプの大きいコンクリートでは、粗骨材とモルタルとが分離しやすくなり、ワーカビリティーが低下する。

一方、細骨材率を大きくすると所要のスランプを得るための単位水量を多く必要とし、流動性の悪いコンクリートとなる。

なお、レディーミクストコンクリート工場では、所要のワーカビリティーが得られる範囲内で単位水量が最小になるように試験により最適な細骨材率を定めている。

(f) 混和材料

① 混和剤の使用量
AE剤については、所定の空気量が得られるようにその使用量を定める。

AE減水剤については、セメントに対する定められた質量比等の範囲内で使用量を定め、空気量については、空気量調整剤(AE剤)で所定の空気量が得られるように調整する。

高性能AE減水剤については、セメントに対する定められた質量比等の範囲内で単位水量及びスランプが得られるように使用量を定める。また、空気量については、空気量調整剤(AE剤)で所定の空気量が得られるように調整する。

なお、6.3.1(1)(ア)(g)でも記したように、普通エコセメントは塩化物イオン量を含め化学成分及び鉱物組成が普通ポルトランドセメント等と異なる部分があり、高性能AE減水剤の主成分によって添加量や得られる効果、性能が躾なる場合があるので、事前の試し練りが必要がある。

② 良質なフライアッシュは、球形をしており、ボールベアリング効果により、ポンプの圧送性を改善する。普通ポルトランドセメントを用いたコンクリートで圧送が困難な場合、フライアッシュIl種又はⅣ種を外割りで混合することができる(6.3.1(4)(ク)(f)②参照)。

③ 普通ポルトランドセメントを用いたコンクリートで水セメント比の制限等により、強度上必要なセメント量を超える場合は、その部分をセメント全量の10%(質量比)の範囲でフライアッシュI種又はⅡ種に置き換えることにより、単位水量の低下、単位セメント量の低下等が図られ、乾燥収縮等を改善することができる(6.3.1(4)(ク)(f)①参照)。

また、「標仕」では記載されていないが、高炉スラグ微粉末を適量混合することにより、水和熱の抑制、アルカリ骨材反応の抑制、硫酸塩や海水に対する化学抵抗性の向上、水密性の向上等が期待できる。

④ 上記①から③以外で混和材料として多く用いられるものには、流動化剤、膨張材、防錆剤等があるが、その使用方法、使用量については、コンクリートの種類や使用目的によって異なるので、使用が特記された場合は、コンクリートの所定の性能が得られるよう試し練り及び信頼できる資料を受注者等に提出させて確認する。

(g) 塩化物量

コンクリートは、通常pH= 12.5~13 程度の強アルカリ性を呈し、その中に埋め込まれた鉄筋の表面は薄い酸化皮膜で覆われ、不働態化して腐食から保護されている。

しかし、大気中の炭酸ガスやその他の酸性物質の浸透によって徐々にアルカリ性が失われ、中性化が鉄筋の位置まで進行すると鉄筋の腐食に対する保護作用を失い、さらに、水分と酸素が供給されると鉄筋は腐食し始める。

コンクリート中に一定量以上の塩化物が存在すると、塩化物イオンの作用によってコンクリートの中性化が進行していなくても、不働態皮膜が破壊され、鉄筋は腐食し始める。

これらの理由から、「標仕」ではコンクリートに含まれる塩化物の値に制限が設けられ、塩化物イオン量で0.30kg/m3以下と規定されている。

なお、塩化物イオン品が 0.30kg/m3を超えることがやむを得ないと判断した場合は、設計担当者と打合せのうえ、受注者等に次の基準に従った処置の方法を提案させ、「標仕」1.1.8による協識に基づいて処置する必要がある。

① コンクリート中に含まれる塩化物含有量の基準

鉄筋コンクリート造等建築物の構造耐力上主要な部分に用いられるコンクリートに含まれる塩化物量(塩化物イオン(Cl-)換算)は、原則として0.30 kg/m3以下とし、やむを得ず塩化物量が0.30kg/m3を超え0.60kg/m3以下のコンクリートを使用する場合は、次のa)からd)までの条件を満たすものとする。

a) 水セメント比は、55%以下とする。

b) AE減水剤又は高性能AE減水剤を使用し、スランプは18cm以下(流動化コンクリートではベースコンクリートのスランプは15cm以下、流動化後のコンクリートのスランプは21cm以下)とする。

c) 適切な防錆剤を使用する。

d) スラブの下端の鉄筋のかぶり原さを3cm以上とする。

② 離島等で海砂以外の骨材の入手及び除塩用水の確保が著しく困難であり、塩化物量が0.60kg/m3を超える場合においては、有効な防錆処理が施された鉄筋の使用等による防錆対策を講ずる。ここでいう「有効な防錆処理が施された鉄筋」とは、「2020年版建築物の構造関係技術基準解説書」の付録 1-7に示されるエポキシ樹脂塗装鉄筋などをいう。

なお、防錆処理を施した鉄筋の付着性能は、非処理のものと異なること、また処理方法や処理剤の種類によっても異なるため、設計担当者と防錆対策の内容について協議しておく必要がある。

③ 塩化物量の測定は、「標仕」表6.9.1による。

なお、普通エコセメントを使用するコンクリートに含まれる塩化物イオン量の測定は、従来の方法と相違する部分があるので、6.9.2(2)(オ) 項を良く理解して行う必要がある。

(h) アルカリ骨材反応

① アルカリ骨材反応とは、反応性シリカを含む骨材とセメント等に含まれる Na+、K+のアルカリ金量イオンが、水の存在下で反応してアルカリけい酸塩を生成し、これが膨張してコンクリートにひび割れ、ポップアウト等を生じさせる現象をいう。

② アルカリ骨材反応は、この反応にかかわる鉱物の種類によって、アルカリシリカ反応とアルカリ炭酸塩反応とがあり、わが国で問題となっているのは主としてアルカリシリカ反応である。

③ この反応性をもつ鉱物としてはオパール、クリストバライト、トリジマイト、火山ガラス、玉髄、石英等があり、反応性シリカ鉱物を含む岩石としては輝石安山岩、チャート等がある。

④ アルカリ骨材反応は、一般に反応性骨材、高いアルカリ量、十分な湿度の3条件がそろった場合にコンクリートに被害を生じさせるとされている。

⑤ アルカリ骨材反応の抑制対策として、次のような方法が考えられる。

a) 反応性の骨材を使用しない。
b) コンクリート中のアルカリ総量を低減する。

c) アルカリ骨材反応に対して抑制効果のある混合セメントを使用する。

⑥ 以上のことから、「標仕」ではコンクリートは、アルカリ骨材反応を生じるおそれのないものとしている。

(ウ) 計画調合の決定

(a) 「標仕」では計画調合は、試し練りによってそのコンクリートの性能及び品質を確認して定めるとしているが、 I類コンクリートを使用する場合は、試し練りは省略してもよいとしている。ただし、普通エコセメント及び再生骨材H を使用するコンクリートについては、建築物への使用実績がまだ少なく、かつ、他の普通セメントと比較してフレッシュ時及び硬化後の性能、品質が我なる部分がある。よって、これらのコンクリートについては、 I類のコンクリートで あっても原則試し練りを行って計画調合を決定することが必要である。

(b) 試し練りにおいて、計画スランプ、計画空気量、調合強度、その他コンクリートの温度や塩化物量、単位容積質量等を確認する。

試し練りの計画スランプ、計画空気量については、レディーミクストコンクリートの練混ぜから荷卸し地点までのロスを考慮した目標値であることに注意する。

また、運搬によるスランプロスや空気量ロスは、練混ぜから荷卸し地点までの距離、コンクリートのスランプ、外気温、調合条件等によって相違があるので、レディーミクストコンクリート工場の社内規格を参考にするとよい。

調合強度の確認は標準養生した材齢28日の圧縮強度によるが、受注者等から他の方法が提案された場合は、その内容を確認し採否を決める。

調合強度は、「JASS 5」の解説において、コンクリートの調合を定める場合に目標とする平均の圧縮強度のことであり、調合管理強度に強度のばらつきを考慮して割り増した強度と示されている。したがって試し練りによる調合強度の確認は、調合管理強度を基準として行うものであることに注意する。

現在では、コンクリートの製造が主としてレディーミクストコンクリート工場で行われるため、調合強度はレディーミクストコンクリート工場が定めることになる。そのため、レディーミクストコンクリートを使用する場合には、調合強度がレディーミクストコンクリート工場の十分な製造実績に基づき、調合管理強度を満足するように定められたものであることを、配合計画書、配合計算書、使用するコンクリートの品質管理記録などで確認する。

(c) 計画調合の表し方

コンクリートの計画調合は、JIS A 5308の表10[レディーミクストコンクリート配合計画書]により表す。

(d) レディーミクストコンクリート工場ではI類コンクリートについては、使用する材料で調合設計を標準化している。レディーミクストコンクリート工場における計画調合の定め方の一例を図6.3.9に示す。


(注) 水セメント比最大値、単位水量最大値、単位セメント最小値で修正を受けた計画調合は、水セメント比と強度との関係より、再度、調合強度を求め、それを満足する強度値の呼び強度を発注する。
図6.3.9 レディーミクストコンクリート工場における計画調合の求め方の例

6章コンクリート工事 4節 コンクリート工場の選定、製造及び運搬

建築工事監理指針 第6章 コンクリート工事

4節 レディーミクストコンクリート工場の選定、
コンクリートの製造及び運搬

6.4.1 レディーミクストコンクリート工場の選定

(1) 工事開始前に、「標仕」で規定されている所定の品質が得られるように工事現場周辺のレディーミクストコンクリート工場を調査して、(2)から(6)の事項に適合するものであることを確認する。

(2) レディーミクストコンクリートの製造者の業界では、一般的に地域ごとの協同組合による共同販売方式又は直接販売方式が取られ、協同組合から割り当てられた一工場又は複数の工場から工事現場にコンクリートが供給されるようになっている。このような供給方式の場合、同一打込み工区に同時に複数の工場よりコンクリートが供給されると、それぞれの工場の品質責任の所在を明確化することが困難となるので、同一打込み工区への複数工場からの供給が行われないようにする。複数工場による協同納入を避けることができない場合は、打込み区画を区分し、それぞれの納入工場に振り分けて、責任の所在を明確にすることが重要である。

(3) レディーミクストコンクリートは、運搬時間によって品質が変化することもあるので、運搬時間はなるべく短い方がよい。したがって、JIS A 5308(レディーミクストコンクリート)の9.4[運搬]及び「標仕」6.6.2で定められた時間の限度内にコンクリートが打ち込めるよう、工事現場内の運搬方法及び運搬時間並びに工場の製造能力、運搬能力等を考慮した工場であることを確認することが重要である。

(4) レディーミクストコンクリートの品質は、工場の技術者の技術水準に左右される。

「標仕」6.4.1(ア) でいう施工管理技術者とは、(公社)日本コンクリート工学会が、コンクリートに関して豊富な知識と優れた技術水準を有する者と認定したコンクリート主任技士、コンクリート技士若しくはコンクリート診断士又は一級建築施工管理技士、一級建築士等が該当する。また、レディーミクストコンクリート工場の 選定は監督職員の承諾事項(「標仕」6.4.1)とされているので、承諾に当たっては 品質確保及び資格運用等を適切に行っている工場であることを確認する必要がある。

レディーミクストコンクリート工場の品質管理状況に関しては、産・学・官で構成される「全国生コンクリート品質管理監査会議」がJIS Q 1011(適合性評価 −日本産業規格への適合性の認証 – 分野別認証指針(レディーミクストコンクリー ト))の規定に、ISO 9001(品質マネジメントシステム – 要求事項)の一部規定及び管理技術者の有無等の要求事項を加えた「全国統一品質管理監査基準」を策定し、毎年各工場の立入監査を行い、この基準に適合した工場に(適)マークを交付しているので、工場の選定に必要な品質確保の確認には、これらの結果を参考にするとよい(6.5.1(1)参照)。

(5) JISマーク表示認証工場の中には、表6.2.1よりも狭い範囲の組合せでJISマーク表示の認証を受けている場合もあるので、JISマーク表示認証製品の範囲を確認する必要がある。

(6) JISマーク表示認証工場が工事現場近くにない場合は、JIS A 5308の規定とJIS Q 1011を参考にして、その工場の製品規格、使用材料、製造工程管理・設備、製品の品質管理状態等を調査し、「標仕」2節に規定される品質のコンクリートが製造できると認められる工場であることを確認する必要がある。

6.4.2 レディーミクストコンクリートの発注

(1) I類コンクリートの発注に当たっては、表6.2.1に示す「レディーミクストコン クリートの種類」からコンクリートの種類、粗骨材の最大寸法、スランプ及び呼び強度の組合せを指定させるほか、表6.4.1に示すa)からd)の事項とともに、必要 に応じてe)からq)の事項を生産者と協議のうえ、受注者等に指定させる。ただし、 a)からh)については、JIS A 5308で規定している範囲とする。

表6.4.1 指定及び協議事項(JIS A 5308 : 2019)

(2) II類コンクリートの発注に当たっても、 I類コンクリートと同様に必要項目を生産者と協談のうえ、受注者等に指定させる。

(3) 練混ぜ水としてスラッジ水を使用する場合は、スラッジ固形分率(レディーミクストコンクリートの配合における、単位セメント量に対するスラッジ固形分の質量の割合)が3%を超えないように目標スラッジ固形分率が設定され、バッチ濃度調整方法又は連続濃度測定方法でスラッジ固形分率が適切に管理されていることを受注者等に確認させ、その結果を報告させることが重要である。

なお、スラッジ固形分率を1%未満で使用する場合、生産者が、JIS A 5308の 表10[レディーミクストコンクリート配合計画書]の目標スラッジ固形分率の欄に、「1%未満」と記載する。また、この場合、生産者が練混ぜ水の全量にスラッジ水を使用し、かつ、濃度の管理期間ごとに1%未滴となるよう適切に管理されていることを受注者等に確認させ、その結果を報告させることが重要である。

(4) JIS A 5308の9.5[回収した骨材の取扱い]では、自工場が出荷した戻りコンクリート並びにレディーミクストコンクリート工場において、運搬車、プラントのミキサー、ホッパーなどに付着及び残留したフレッシュコンクリートを、清水又は回収水で洗浄し、粗骨材と細骨材とに分別して取り出した骨材を、5%以下の範囲で JIS規格品のコンクリートに使用できるとされている。

なお、指定建築材料(建築基準法第37条)の規格及び技術的基準を定める平成 12年建設省告示第1446号の第1第七号(コンクリート)に掲げる材料規格(JIS A 5308-2014)から回収骨材は除外されていたが、同告示が平成30年6月14日に一部改正され、JIS A 5308に適合したものであれば、国土交通大臣の認定を受けなくても回収骨材を使用したコンクリートが使用できることとなった。

(5) 呼び強度は、呼び強度の強度値が調合管理強度(設計基準強度(Fc)+構造体強度補正値(S))以上で、かつ、コンクリートの種類に応じた単位セメント量の最小又は最大値、水セメント比の上限値を満足するように、受注者等に指定させる。

(6) 施工に先立ち、レディーミクストコンクリート工場の配合計画書とともに、製造に用いる材料、調合設計の基礎となる資料及び計算書等を受注者等から提出させ、検討、確認する必要がある。

なお、レディーミクストコンクリート工場は、調合設計の基礎となる資料として、水セメント比と圧縮強度の関係式、呼び強度ごとの標準偏差、単位水量・水セメント比・スランプの関係、単位粗骨材かさ容積・水セメント比・スランプの関係、気温・運搬時間・スランプロス・空気量ロスとの関係、使用材料の変動による調合修正の方法、コンクリートの練混ぜ量・練混ぜ時間との関係等コンクリートの調合、製造の基本となるデータ類を保有しているので、必要に応じてこれらの内から当該現場で問題となりそうな項目に関する資料を提出させるとよい。

6.4.3 コンクリートの運搬

(1) JIS A 5308の 9.4[運搬]では、運搬時間は、生産者が練混ぜを開始してから運搬車が荷卸し地点に到約するまでの時間とし、その時間は1.5時間以内としている。ただし、購入者(受注者等)と生産者とが協議のうえ、運搬時間の限度を変更することができることになっている。一方、「標仕」6.6.2では、コンクリートの練混ぜから打込み終了までの時間の限度は、外気温が25℃以下の場合は120分、25℃ 超える場合は90分と規定されており、JIS A 5308 より若千厳しくなる場合もある。

コンクリートの運搬に当たっては、これらの二つの規定を満足するように、受注者等に適切な施工計画を立てさせる。

(2) トラックアジテータからコンクリートの荷卸しを行うに際しては、その直前にトラックアジテータを高速回転させ、ミキサー内のコンクリートを均ーにした後にコンクリートを排出する。特に運搬距離が長い場合には、高速回転させる時間を少し長くするとよい。

なお、市街地でのトラックアジテータの高速回転は騒音の問題が発生するため、工事開始前に住民の理解を得ておく必要がある。

6章 コンクリート工事 5節 コンクリートの品質管理

6章 コンクリート工事

5節 コンクリートの品質管理

6.5.1 品質管理一般

(1) 「標仕」6.5.1では、打ち込まれるコンクリートが所定の品質を有していることを確認するために受入れ時に受注者等が実施する品質管理について規定している。したがって、この節においては、受注者等を主体として記述している。

(ア) 間違ったコンクリートの納入や誤配車を排除するために、レディーミクストコンクリートの受入れ時には、荷卸しされるコンクリートの種類、呼び強度、指定スランプ、粗骨材の最大寸法、セメントの種類及び容積が、発注した条件に適合していることを各運搬車の納入書によって確認することが必要である。

(イ) レディーミクストコンクリートでは、荷卸し地点までの品質についてはレディーミクストコンクリート工場が責任をもち、それ以後の品質については購入者(受注者等)が確認し、監督職員に報告する。そのため、購入者(受注者等)は、工事現場に荷卸しされるコンクリートの品質が所定の品質を有していることを常に確認し、購入者(受注者等)は、異状が認められたコンクリートは受取りを拒否し、持ち帰らせる必要がある。

レディーミクストコンクリートの受入れ時に判定できる品質は、スランプ、空気量、単位容積質量、温度及び塩化物イオン量等である。

(ウ) 所要のコンクリート性能を確保するためには、単位水量の管理が極めて重要である。打込み中に、粗骨材とモルタルの分離やスランプ、空気量の大幅な変動等、コンクリートの品質に変化が見られた場合は、直ちにコンクリートの打込みを停止し、コンクリート工場の製造管理記録に記載されている単位水量の他が「標仕」6.4.3 (6)に規定される配合計画書の数値に計量誤差の数値を加味した値に対して、所定の範囲内であることを確認する必要がある。

なお、ここでいう配合計画書とは、JIS A 5308(レディーミクストコンクリート)の表8に規定されるレディーミクストコンクリート配合計画書をいう。
平成22年4月1日からは、JIS A 5308のレディーミクストコンクリート納入書の標準様式が変更され、配合表も併記されている。この配合表には、標準配合、修正標準配合、計量読取記録から算出した単位量、計量印字記録から算出した単位量若しくは計量印字記録から自動算出した単位量のいずれかが記載されている。また、購入者から要求があった場合に、生産者はレディーミクストコンクリートの納入後にバッチごとの計量記録及びこれから算出した単位量を提出しなければならないことになっている。
なお、単位水量について、配合計画書の値とコンクリート工場の製造管理記録の値とがほぼ同じ( ±1%程度)であるにもかかわらずコンクリートの品質に変化が認められる場合は、レディーミクストコンクリート工場と原因を調査し、改善を行うことが必要である。

(エ) コンクリートのワーカビリティーが安定していて状態が良いことを目視等で確認することとし、その確認時期を打込み当初と打込み中随時行うことを定めている。ワーカビリティーについては、スランプ試験後のコンクリートを目視等で観察し、粗骨材が分離していないことを確認するとともに必要に応じてスランプフローを測定するのがよい。また、試験結果は写真等で記録することが重要である。

(オ) I類コンクリートを使用する場合には、受注者等は、自らが実施する品質管理の試験結果及びレディーミクストコンクリート工場が行うJIS A 5308の品質管理の試験がJIS Q 1011(適合性評価 – 日本産業規格への適合性の認証 – 分野別認証指針(レディーミクストコンクリート))に基づいて行われているかを確認し、試験結果を監督職員に報告することとしている。

なお、受注者等はレディーミクストコンクリート工場が行う試験結果の報告があっても、受注者等が実施する検査は、省略することはできない。

(カ) JISマーク表示認証製品のI類コンクリートにおいては、使用する材料から製品の品質に至るまでの品質管理をJIS Q 1001(適合性評価 – 日本産業規格への 適合性の認証 – 一般認証指針)及びJIS Q 1011に基づいて実施している。しかし、 II類コンクリートについては必ずしもI類コンクリートと同様に管理されているとは限らない。そこで、Ⅱ類コンクリートを使用する場合には、次の方法で品質管理を行う必要がある。

(a) Ⅱ類コンクリートに使用する材料が、 I類コンクリートの製造に用いているものと同ーである場合には、 I 類コンクリートのための材料検査結果を用いることができるが、 I 類コンクリートに用いているものと異なる材料を使用している場合には、 I 類コンクリートに用いる材料と同様の品質管理検査を行い、その結果がJIS Q 1011の評価基準及びJIS A 5308の品質基準若しくは「標仕」 6.4.2のレディーミクストコンクリートの発注時に指定した評価基準及び品質基準等に適合していることを確認することが必要である。また、納入前に必ず試し練りを行い、所要の品質が得られることを確認してから使用するとともに、使用する材料及びコンクリートについての検査は、 I 類コンクリートと同様 JIS Q 1011に規定されている方法(試験を行う時期を含む。)に準じて行い、その結果により所定の品質が得られていることを確認して、その検査結果の報告を監督職員に提出することが必要である。さらに、納入されたコンクリートの受入れ検査についてもJIS A 5308に規定されている方法に従って実施し、その品質管理の結果の報告を監督職員に提出することが必要である。

(b) 型枠中に打ち込まれたコンクリートが構造体として所要の品質を確保するためには、適度な温度と水分の確保が必要であり、その具体的養生方法を「標仕」 6章7節で規定している。養生方法が適切でない場合には、コンクリートが本来有している強度の60%程度しか得られなかった、という報告もあるので、「標仕」に基づき適切な養生を行わなければならない。

(c) スランプ及び空気量が「標仕」6.5.2及び「標仕」6.5.3に示される所定の許容差を超えた場合又は調合管理強度が「標仕」6.3.2に示される所定の値を下回った場合には、調合の調整を行うことが必要になる。調合の調整が必要になる場合の条件並びに調整の方法については、「標仕」6.5.2、「標仕」6.5.3及び「標仕」6.5.5に従って実施する。

(d) フレッシュコンクリートの試験を行う場合には、「標仕」6.9.2に示されている方法で行わなければならない。

6.5.2 スランプ

打ち込まれるコンクリートのスランプが「標仕」表6.5.1に示す許容差(18cmを超える場合の許容差が ±2cmとなる条件は、平成22年版「標仕」から、高性能AE減水剤を使用し、かつ、調合管理強度が27N/mm2以上である場合に変更されている。)を超えた場合に、そのままコンクリートを打ち込むと充填不良や不均ーなコンクリートとなる場合がある。このような場合には、調合の調整や運搬(レディーミスクトコンクリート工場から荷卸し地点までの運搬及び荷卸し地点から打込み地点までの場内運搬)方法の改善を行うことが必要である。調合の調整を行う場合には、その原因を明らかにするとともに、所定の強度を確保するため水セメント比を変更しない方法で行わなければならない。

(ア) スランプの変動要固としては、次のような項目が挙げられ、要因によっては調合の調整でなく、(a)から(e)までの項目の変動を小さくすることが必要な場合もある。

(a) 骨材の粒度(特に細骨材の粒度分布)及び粒形
(b) 表面水の変動
(c) 材料の計量誤差
(d) 運搬(レディーミスクトコンクリート工場から荷卸し地点までの運搬)時間
(e) 空気量

(イ) スランプを調整する場合のおおよその目安は、次のとおりである。

(a) 水セメント比を変えないで、スランプを1cm増加させるためには、単位水量を1.2%(質量比)増加させる。

(b) 水セメント比及び単位水量を変えないで、スランプを1cm増加させるためには、細骨材率を0.5%減少させる。

6.5.3 空気量

(1) 荷卸し地点の空気量の許容差は、JIS A 5308(レディーミスクトコンクリート)の品質基準と同様に±1.5%である。

(2) 荷卸し地点の空気量の測定結果が「標仕」6.4.3で発注したときの空気量 ±1.5%の範囲を超えた場合には、補助AE剤の使用量と連行される空気量がほぼ比例関係にあるので、この関係を利用して、水セメント比を変えずに補助AE剤の使用量を増減して所定の空気量の範囲に入るように調整するとよい。空気量が許容範囲を超える原因としては、骨材の品質変動による場合が多いと考えられるが、その原因を明らかにし、以後このような原因が生じないような処置を取ることが大切である。

なお、JIS A 1128(フレッシュコンクリートの空気量の圧力による試験方法 – 空気室圧力方法)による空気室圧力法で測定する場合には、骨材中の空気量(骨材修正係数)をあらかじめ測定しておき、適切に補正しなければならない。従来、普通の骨材を用いた場合の骨材修正係数は 0.1%程度以下となることが多く、この補正を省略することが多かったが、近年では骨材資源の枯渇化とともに、普通の骨材でも骨材修正係数が 0.2%を超えるものもあるため、試し練り時等、事前にこれらの数値を確認しておくことが必要である。

6.5.4 塩化物豆及びアルカリ総量

(1) 塩化物量

(ア) 塩化物量試験は、「標仕」表6.9.1によって実施する。塩化物量(塩化物イオン(Cl)量換算)の測定結果が0.30kg/m3を超えるとコンクリート中の鉄筋の腐食が促進される可能性があるため、この値以下とすることが定められている。コンクリート中の塩化物イオン量は、使用する材料から供給される塩化物イオン量の合計として表され、レディーミクストコンクリート工場では調合ごとにその値を計算して求めている。測定結果が0.30kg/m3を超える場合には、使用する材料中の塩化物イオン量が変化していることになり、その原因を明らかにすることが必要である。しかし、コンクリートの打込みを中断するとコールドジョイントの発生等別の問題が生じやすくなる。そこで、0.30kg/m3以上の塩化物イオン量が測定された後は、連続して塩化物イオン量の測定を行い、0.30kg/m3以下であることを確認した後は、使用してよいことにしている。

なお、連続した10台の運搬車の測定結果が0.30kg/m3以下であることが確認された場合には「標仕」表6.9.1に示す通常の方法で管理してよいことにしている(「標仕」6.5.4(1)参照)。また、塩化物量の確認は、あくまでも規定値(0.30kg/m3)を下回ることが確認されればよく、例えば、適用する塩分測定方法の測定限界の下限値を下回るような塩化物量の場合において、その測定値(数値)を示すことを要求しているわけではない。

また、塩化物量の確認は、あくまでも規定値(0.30kg/m3)を下回ることが確認されればよく、例えば、適用する塩分測定方法の測定限界の下限値を下回るような塩化物量の場合において、その測定値(数値)を示すことを要求しているわけではない。

(イ) 細骨材中の塩化物
JIS A 5308附属書A(規定)[レディーミクストコンクリート用骨材]では、砂に含まれる塩化物量をNaCl換算で0.04%以下と規定している。2003年にJIS R 5210(ポルトランドセメント)に規定される普通ポルトランドセメントの塩化物イオン量が0.02 ~ 0.035%に改正されるまで、この程度であればコンクリート1m3中の塩化物量は、通幣、0.30kg/m3以下を満足していたと考えられる。しかし、JIS R 5210の改正によって、普通ポルトランドセメントの塩化物イオン量が順次増加しており、各コンクリート用材料の塩化物イオン量の上限値を守るだけでは、0.30kg/m3を超えることが懸念されるようになった。

具体的な計算例を示すと次のようになる。

①砂の塩化物量をNaCl換算で0.04%(塩化物イオン量は0.024%)、単位細骨材量を800kg/m3と仮定すると、砂から加わる塩化物イオン量は0.194 kg/m3となる。

② (-社)セメント協会によると、JISの規定値が0.02%であった当時の普通ポルトランドセメントの塩化物イオン量は最大でも0.015%で、余裕分は 0.005%であった。この余裕分を現在の規格上限値0.035%から減じ、今後予想される普通ポルトランドセメントの塩化物イオン量の最大値を0.03%と仮定すると、単位セメント量が350kg/m3の調合においてセメントから加わる塩化物イオン量は0.105kg/m3となる。

③ 水については、塩化物イオン濃度を200ppm(JIS A 5308 附属書C(規定)[レディーミクストコンクリートの練混ぜに用いる水]に規定される品質基準値)、単位水量を185kg/m3とすれば、水からくる塩化物イオン量は0.037 kg/m3となる。

④ 化学混和剤については、海砂使用の場合は無塩化タイプを用いることとする。

以上、①から④までを加えると0.336kg/m3となる。

このような状況が予想される場合及び発生した場合には、砂・砕砂等塩化物量の少ない骨材との併用等により細骨材の塩化物量を低減させなければならないが、コンクリート中の塩化物イオン量については普段から「標仕」表6.9.1に示す方法で適切に管理し、0.30kg/m3以下であることを確認しておくことが必要である。

(2) アルカリ総量

使用している骨材について、アルカリシリカ反応性試験の結果が無害と判定されない場合で、その抑制対策としてコンクリート中のアルカリ総量を採用している場合には、JIS A 5308附属書B(規定)[アルカリシリカ反応抑制対策の方法]に規定する式(B. 1)によって、アルカリ総量が 3.0kg/m3以下であることを確認することが必要である。レディーミクストコンクリート工場では調合ごとに総アルカリ量を計算し技術資料としてもっているので、その計算の根拠となっている使用材料のアルカリ量に関する資料とともに提出を求めて確認することが必要である。

6.5.5 調合管理強度

(1) レディーミクストコンクリートの調合管理強度の管理試験の確認は、「標仕」6.9.3及び「標仕」6.9.4に従いJIS A 1132(コンクリート強度試験用供試体の作り方)による20±2℃の水中養生を行った供試体を用いて材齢28日で実施する。

(2) 管理試験の結果、不合格の場合には、原因を調査し、必要な措置を定め、監督職員の承諾を受ける。不合格となる原因としては、次のようなものがある。

(ア) 水セメント比の変動(コンクリートの強度は、主として水セメント比によって決定されるので、水セメント比の変動の影響が大きい。この原因としては細骨材の表面水の変動が挙げられる。)

(イ) 骨材の品質変動

(ウ) 空気量の変動

不合格の原因が調合にある場合には、「標仕」6.3.2により新たに調合を定めるなどの処置を定めて、改めて「標仕」6.3.2により計画調合を行うとともに、必要な処置の報告を監督職員に提出して承諾を受けることが必要である。

6章コンクリート工事 6節 コンクリートの工事現場内運搬等

建築工事監理指針 第6章 コンクリート工事

6節 コンクリートの工事現場内運搬、打込み及び締固め

6.6.1 工事現場内運搬

(1) 運搬用機器は、次による。

(ア) 工事現場内の運搬には、コンクリートポンプを用いる方法が一般的であるが、運搬距離が短い場合や時間当たりの運搬量が少ない場合にはバケット、シュート、手押し車等が用いられる。運搬機器は、運搬中におけるコンクリートの品質変化が少なく、打込み時点で所要の品質のコンクリートが得られることを基準に選定することが必要である。各種運搬機器の概要を表6.6.1に示す。

表6.6.1 コンクリートの運搬機器の概要(JASS 5より)

バケット、手押し車等及びシュートを用いる場合には、次のような点についての配慮が必要である。

(a) バケットを用いる場合

① 下部からコンクリートを排出する形式のバケットを用いる場合は、なるべく排出口が底の中央部のあるものとする。

② コンクリートをあけ移しする形式のバケットを用い、コンクリートを均質、かつ、容易に排出できるものとする。

(b) 手押し車等を用いる場合

① 運搬中にコンクリートの材料が分離することや受け桝から漏出することなどのないようにする。

② 運搬中に分離を認めた場合は、練り直し、コンクリートが均質になるようにする。

(c) シュートを用いる場合

① シュートは、コンクリートの分離や漏れを生じることなく、滑らかに流れる構造のものとする。

② シュートは、原則として、縦形フレキシブルシュートとする。ただし、やむを得ない場合は、①を満たすことを確認して、傾斜形シュートを用いることができる。

③ 高所からコンクリートを流下させる場合は、縦形フレキシブルシュートを用いることとし、その投入口と排出口との水平方向の距離は、垂直方向の章さの1/2以下とする。

④ 傾斜形シュートを使用する場合は、次による。
1) 傾斜は、4/10 ~ 7/10とする。

2) シュートの排出口には、長さ600mm以上の漏斗管を付ける。

(イ) 運搬用機器は、事前に清掃しておき、付着しているコンクリート塊や油等がコンクリートに混入しないようにする。また、動力利用の機械は、途中で故障すると計画どおりの施工ができなくなるので、十分に整備、点検をしておく必要がある。

(2) コンクリートは、所要のスランプ、強度、耐久性が得られるように材料の調合割合を定めている。スランプが少し小さいからといって工事現場内の運搬時に水を加えると、水セメント比が大きくなって所要の強度や耐久性が得られなくなる。したがって、運搬及び圧送の際には絶対に水を加えてはならない。

(3) コンクリートポンプによる圧送を採用する場合には、工事現場の立地条件、コンクリートの種類、1日の打込み量等を考慮し、適切なポンプの機種及び台数を選定する。また、ブーム付きポンプ車以外の場合のフレキシブルホースの長さ(100A管以下では6m以下、100A管を超えるものは5m以下)のほか、次に示す点に対する配慮が必要である。

(ア) 輸送管は、圧送中に前後左右に動くので、鉄筋や型枠に輸送管がじかに接していると配筋の乱れ、型枠の変形等の原因となる。したがって、輸送管の保持については、「標仕」6.6.1(3)(ア) を厳守させることが大切である。

(イ) 輸送管の径が大きいほど圧力損失が小さくなり、圧送性が向上する。したがって、輸送管の径が大きいほど圧送可能な距離や闊さが大きくなるとともに時間当たりの圧送量も増える。輸送管の径の選定に当たって考慮すべき事項については「標仕」6.6.1(3)(イ) に示されている。

(ウ) 「標仕」では、コンクリートの圧送開始前にモルタルを圧送することにしている。これを行わずに圧送すると、輸送管内にモルタル分が付着し、排出されたコンクリートがモルタル分の少ないコンクリートになり強度が低下する。

なお、この時使用するモルタルは、後から打ち込むコンクリートの品質に悪影響を与えないように富調合のものとすることが必要である。

圧送後のモルタルは、平成22年版「標仕」から「型枠内に打ち込まないことを原則とする。」としてきた。しかし、平成31年版の改定で「圧送後のモルタルは、型枠内に打ち込んではならない。ただし、これにより難い場合は監督職員と協議する。」と改められた。圧送後のモルタルは、型枠内に打ち込まないことが原則であるが、打ち込まざるを得ないような場合は、監督職員と協議して対応を決めるのがよい。やむを得ず打ち込む場合は、少量ずつ分散させる、よく混ぜるなど影響が少なくなるようにする必要がある。

なお、その場合でも、最初に排出される変質した部分は廃棄し、良質な部分のみを打ち込む必要がある。

また、環境配慮の観点からは、廃棄処分とするモルタル量は少ないことが望ましく、先送りモルタルを最小限とするような計画を立てることが大切である。

(エ) 圧送されたコンクリートで圧送途中に著しく変質した部分及び圧送中に閉塞したコンクリートは、施工上又は品質上の問題があるので廃棄する。

6.6.2 コンクリートの練混ぜから打込み終了までの時間

(1) コンクリートは、練混ぜ終了後、時間の経過に伴ってスランプや空気量等のフレッ シュ性状が変化する。レディーミクストコンクリート工場では、工事現場到着時に所定の品質を保証しているが、経過時間が長くなるとスランプの低下が大きくなり、コールドジョイント発生のおそれが高くなる。したがって、「標仕」では練混ぜ開始から打込み終了までの時間を外気温が25℃以下の場合120分以内、外気温が 25℃を超える場合90分以内と定めている。JIS A 5308(レディーミクストコンクリート)では、レディーミクストコンクリートの工事現場までの運搬時間の限度を1.5時間としているので、到着したコンクリートをできるだけ早く打込みができるように準備をしておくとともに打込み速度に合わせてコンクリートが搬入されるように配車計画を立て、現場での待ち時間をできるだけ少なくする。

また、コンクリートポンプで圧送する場合には、コールドジョイント防止の観点から長時間中断しないで圧送することが大切である。

(2) 練混ぜから打込み終了までの時間は、コールドジョイントや豆板等の施工欠陥を防止する目的で定めたものである。したがって、コンクリートの練上がり温度を下げたり、凝結を遅らせるなどの対策を取れば時間の限度を超えても欠陥を生じないで施工することは可能である。工場から工事現場までの運搬時間が長い場合等で、このような措置を講じて練混ぜから打込み終了までの時間の限度を変更する場合には、上述のような品質確保の方法が行われることを確認した後に承諾する。

6.6.3 打込み

(1) 多量の雨が降っている時にコンクリートを打ち込むと、雨水がコンクリート中に入って水セメント比が大きくなり、所要の強度が得られなくなる。また、コンクリー卜温度が 2℃未満となる低温時にはセメントの水和反応が遅れ、初期凍害を受けるおそれがある。このような場合には、コンクリート中に雨水が入らないようにしたり、コンクリート温度を高めるとともにその後の養生方法を適切に定めるなどの対策を講じたうえで打ち込むことが必要である。このような対策を取らないで打ち込むと所要の品質を確保することが困難になる。

(2) 打込み開始前に行う型枠内部の掃除では、電気掃除機等により雑物を取り除く。水洗いだけでは、柱下部等に雑物が集中することになるので、柱下部等に掃除口を設けて内部に落ち込んだ雑物を取り除く。

せき板が乾燥している場合には、打込みに先立って散水するが、寒冷時等で水が凍結するおそれのある場合には散水を行ってはならない。

(3) コンクリートの打込みは、打ち込む場所へ、コンクリートが分離しないように直接静かに入れて、十分に締め固め、そのコンクリートが落ち着いてから次のコンクリートを打ち込むことが大切である。また、壁に打ち込んだコンクリートをバイブレーターを使用して柱を通過させて横流しをすると、柱の鉄筋によって粗骨材の移動が阻害され、モルタルの多いコンクリートとなるのでこのようなことは避けなければならない。

打込みの基本的事項を次に示す。

(ア) 低い位置から落とす。
(イ) 型枠内部で横流しすることを避ける。
(ウ) 全体が均ーな高さを保つように水平に打ち込み、十分締め固めてから次の層を打ち込む。

(エ) 打ち込む位置の近くに落とし込む。1箇所に多量に打ち込み、横に流してはならない。

(4) コンクリートの打込み区画は、工程上無理のない区画とするとともに、施工欠陥を生じやすい部位については特に注意して施工することが必要である。

(ア) パラペットの立上り部分は、漏水上の欠陥を生じやすく、また、ひさし・バルコニー等は片持梁となりこれを支持する構造体部分との接合部に応力が集中する。このような部分は、構造体と同一の打込み区画とすることが必要である。

(イ) 1回に打ち込むように計画した区画内では、コールドジョイント等の施工欠陥を防止するために、連続して打ち込み一体となるようにすることが大切である。

(ウ) 同一打込み区画には、2つ以上のレディーミクストコンクリート工場のコンクリートを打ち込まないようにする必要がある。これは、それぞれの工場の品質責任の所在が不明確になるためである。そのため、同一打込み区画への複数工場からの混合使用を行わなくてもよいように、コンクリートの供給能力を考慮して工場を選定しなければならない。

(5) コンクリートの打込み速度は、打込み場所の施工条件によって大きく異なるが、十分締固めができる範囲とすることが大切である。スランプ18cm程度のコンクリートをコンクリートポンプ工法で打ち込む場合の目安は、20 ~ 30m3/h程度である。

(6) シュートやホース等の運搬用具から打ち込む位置までの自由落下高さが大きすぎたり、水平流動距離が大きいとコンクリートに材料分離を生じる。したがって、縦形シュートを用いたり、横流しをしないようにしてコンクリートの分離を防止する。

コンクリートを1箇所にまとめて打ち込み、その後バイプレーター等で横流しをすると材料分離を生じるおそれがあるので避けなければならない。コンクリートは、打ち込む場所にできるだけ近い位置に打ち込むことが原則である。

(7) 部材ごとの打込みの進め方及び打上りの欠陥を次に示す。

(ア) 基礎の打込み

(a) 捨コンクリート等の面に、水、土、木片その他支1旅となる雑物のないように掃除する。特に水の排除に注意する。

(b) 連続基礎のとき、翌日打ち込む部分との打継ぎ箇所は確実に打ち止める。流し放しにしてはならない。

(c) 長い距離を斜めシュートで打ち込むことはなるべく避けるべきであり、やむを得ない場合は、U字形断面のものを使用し、中間で一度ホッパーに受けて次のシュートに流す。また、末端部には縦形シュートを使用し、コンクリートを鉛直に落とす(図6.6.1参照)。


図6.6.1 基礎の打込み

(イ) 柱の打込み

(a) 柱の打込みは、コンクリートを一度スラブ又は梁で受けた後、柱各面から打ち込む。

梁筋と柱筋の交差している箇所から打ち込むと、特に分離しやすい(図6.6.2参照)。


図6.6.2 柱の打込み(各面から打ち込む)

(b) 吐出する向こう側のせき板にコンクリートが直接当たらないように、小形受け桝等で受けてから鉛直に落とす。

(c) 高い柱(4.5 ~ 5m以上)に打ち込む場合は、次のようにするのがよい。

① 最上部から縦形シュートが使用できるときはこれを利用して、常に打上げ面近くでコンクリートを放出する。

② 縦形シュートが使用できない時は、柱中段のせき板に打込み口を設け、外部にポケット状のたまり場をつくり、コンクリートがゆったり落ちていくようにする(図6.6.3参照)。


図6.6.3 柱の打込み(高い柱を打つ場合)

(ウ) 壁の打込み

(a) 打込み口は、原則として1 ~2m 間隔で各位置から平均に落し込むようにする。

(b) 間隔の広すぎる打込み口から落として、型枠内に大山や大傾斜をつくり、横流しで平らにすることや斜めのままで打ち込むと、分離や豆板ができやすい。

(c) 柱脇の開口部下部等にコンクリートを充填させるために、柱に打ち込まれているコンクリートを引き出してはならない(図6.6.4参照)。


図6.6.4 壁の打込み(柱脇に開口)

(エ) 梁の打込み

(a) 梁の全せいを同時に、両端から中央に向かって打ち込む。
(b) せいが高い梁は、スラブと一緒に打ち込まず、梁だけ先に打ち込む。

(c) 柱、壁等を、梁下で一度止めずに上部まで連続して打ち込むと、柱、壁等のコンクリートの沈降により、梁との境目にひび割れが発生するおそれがあるので、壁及び柱のコンクリートの沈みが落ち着いた後に梁を打ち込む。

(オ) スラブの打込み

(a) スラブは、梁のコンクリートが沈降してから打ち込まないと (エ) (c)と同様に、梁との境目にひび割れが発生するおそれがあるので、梁のコンクリートが落ち着いた後にスラブを打ち込む。

(b) 打込みは、遠方から手前に打ち続けるように行う(図6.6.5及び図6.6.6参照)。

(c) コンクリートの浮き水が多い場合は、排除する。

(d) 柱、壁の打込みでこぼれて硬化したコンクリートは、掃除してからコンクリートを打ち込む。


図6.6.5 スラブの打込み(ポンプによる打込み)


図6.6.6 スラブの打込み(バケットによる打込み)

(カ) 階段の打込み

(a) 階段のある打込み区画は、階段回りから打ち込む。

(b) コンクリートを壁又は柱からかき出さずに直接打込み、壁際取合いはふたをする。

(キ) 鉄骨鉄筋コンクリート打込み

鉄骨鉄筋コンクリートの鉄骨梁のフランジ下端や、梁と柱の接合部下端は、コンクリートの充填が最も難しいところであるので、梁せい、梁幅、フランジ幅、型枠との間隔によりコンクリートのワーカビリティー、打込み方法等を考えなければならない。軟練りのコンクリートを打ち込むと、充填後の沈降により、フランジ下端に空洞を生じやすい。特に梁せいの大きい場合は、フランジ下端が空洞になっている例が多いので、片側からコンクリートを流し込み、反対側にコンクリートが上昇するのを待って、全体に打ち込む方法をとるのがよい(図6.6.7参照)。


図6.6.7 各部位に起こりやすい打上りの欠陥

(8) 同一区画のコンクリート打込み時における打重ね時間間隔の限度は、打重ね部にコールドジョイントを発生させないで施工できる範囲で定める必要がある。コールドジョイントを発生させないためには、先に打ち込まれているコンクリートに再振動を加えられることが必要なことから「標仕」6.6.3 (8)では再振動可能な範囲と定めている。この時間の限度は、通常の場合外気温25℃以下の場合120分、外気温が25℃を超える場合90分を目安とする。

なお、凝結時間を遅らせる対策を取った場合には打重ね時間間隔の限度を長くすることが可能である。

(9) コンクリート中に埋め込まれた鉄筋、スペーサー及びバーサポート等は、打込み時のコンクリートの圧力や振動機の振動及びポンプの配管移動の影響により移動を生じやすく、このため鉄筋等のかぶり厚さが不足する場合が多く認められている。かぶり厚さが不足すると、鉄筋が腐食し建物の耐久性上間題となる。したがって、コンクリートの打込みに際しては鉄筋等が移動しないようにすることが重要である。

6.6.4 打継ぎ

(1) 打継ぎはできるだけ少なくし、応力の小さいところで打ち継ぐことが基本である。梁及びスラブに鉛直打継ぎ部を設けなければならない場合には、せん断応力の小さいスパン中央付近又は曲げ応力の小さいスパンの1/3 ~1/4のところがよい(図 6.6.8参照)。梁の付け根で打継ぎをするのは避けなければならない。

また、柱及び壁の場合の水平打継ぎ部は、スラブ、壁梁又は基礎の上端に設ける。


図6.6.8 鉛直打継ぎ位置

(2) 打継ぎ部の仕切り面の施工に当たっては、次の事項に留意する。

(ア) せき板を密に隙間なく組み立て、モルタルの流出を防ぐとともに、コンクリート打込み後せき板を取り外しやすいように仕切る。

なお、仕切り面は必要に応じて目荒らしを行った後、清掃し、コンクリート打込み前に水湿しを行う。

(イ) 梁や壁には、鉄筋を骨としてメタルラスや板を張って仕切るのがよい。打継ぎ位置付近に出入口等の開口部がある場合には、そこで仕切るとよい。

(ウ) 梁・壁で、割竹・しの竹類を差し込んで仕切る方法は、密に隙間なく差し込んでも下部からモルタルが流出することが多く、適切な方法とはいえない。また、コンクリート打込み後、時期を見て割竹等を動かしてコンクリートとの付着をなくしておかないと抜けなくなる。

(エ) スラブの仕切り面は、上端筋が下がりがちなので十分注意する。

(オ) 打継ぎ面が外部に接する箇所には、打継ぎ部の防水処理を行うため目地を設ける。

(3) 打継ぎ面に水がたまっていると、その部分に打ち込んだコンクリートの水セメント比が大きくなり、所要の品質が得られないことがあるので、水がたまらないようにする。また、水がたまってしまった場合には、コンクリート打込み前に取り除くことが必要である。

(4) 打継ぎ面は、レイタンスがたまったり、ぜい弱なコンクリートになりやすい。レイタンスやぜい弱なコンクリートの上に新しいコンクリートを打ち込んでも付着が十分得られないので、高圧水洗等によりこのような部分を取り除き、健全なコンクリートを露出させてから打ち継ぐことが必要である。

6.6.5 締 固 め

(1) コンクリートに生じる欠陥としては、気泡、豆板、不充填部等がある。これらの欠陥を生じさせないためには、棒形振動機あるいは型枠振動機を用いて十分締め固め、密実なコンクリートとすることが大切である。

コンクリートの締固めを十分行うためには、適切な締固め要員を準備することが必要である。コンクリートの配管1系統で1日の打込み量が150m3程度を想定した場合には、棒形振動機を2台準備し、振動機要員2名、打込み・締固め要員等7名以上を配置する。また、施工中に生じる型枠・鉄筋の保守・点検をするために型枠工と鉄筋工を配置しておくようにする。また、施工中に生じる埋込み配管等の不具合を修正するために設備要員を配置することも必要である。

(2) 通常締固めに用いている振動機は、JIS A 8610(建設用機械及び装置 – コンクリート内部振動機)に定めるものであり、スランプ18cm以下のコンクリートを施工する場合には、この棒形振動機を用いなければ密実な締固めを行うことはできない。棒形振動機を挿入できないところや届かないところは、型枠振動機や突き棒・たたき等を併用して締め固める必要がある。公称棒径45mmの棒形振動機1台当たりの締固め能力は、スランプ 10~15cm程度の普通コンクリートの場合で10 ~ 15m3/h程度であるので、打込み速度に応じて振動機の使用台数を定める必要がある。

(3) 公称棒径45mmの棒形振動機の長さは60 ~ 80cmであるので、1層の打込み厚さはこれ以下にし、打ち込んだコンクリートの下層まで振動機の先端が入るようにすることがコールドジョイントをはじめとする施工欠陥を防ぐために大切である。挿入間隔は、振動機の振動が伝わる有効範囲内で定める必要があり、前述した公称棒径45mmの振動機の有効範囲を参考にして60cm以下と定めている。公称棒径が45 mmより小さい振動機を用いる場合は、挿入間隔を狭くする必要がある。

なお、振動を加える時間を長くし過ぎると材料分離を生じるので、加振時間はコンクリートの表面にペーストが浮くまでと定めている。振動機を用いて締め固める場合の注意事項は次のとおりである。

(ア) 鉛直に挿入して加振し、挿入間隔は60cm以下とする。
(イ) 振動機の先端が鉄骨、鉄筋、埋込み配管、金物、型枠等になるべく接触しないようにする。

(ウ) 振動時間は、コンクリート表面にセメントペーストが浮くまでを標準とし、コンクリートに穴を残さないように加振しながら徐々に引き抜く。加振時間は、1箇所5~15秒の範囲とするのが一般的である。

(4) 型枠振動機は、新たにコンクリートが打ち込まれる部分に取り付けて、振動を加える必要がある。したがって、打込み高さと打込み速度をよく考慮して取り付けることが重要であり、既に締め固めた部分に振動を加えると材料分離を生じ、まだコンクリートが打ち込まれていない部分に振動を加えると型枠が損傷したり、変形する原因となる。

6.6.6 上面の仕上げ

(1) ここでいうコンクリート上面の仕上げとは、打込み、締固めのあと工程及び左官仕上げの前工程としての天端均しのことであり、せき板に接しないで仕上げられる床スラブ・屋根スラブの上面とパラペットの天端等が対象となる。この面の精度は、特記されるべきであるが、特記がない場合は「標仕」表6.2.5を標準として、この平たんさが得られるように沈下代を見込んで天端均しを行う。

(2) コンクリート打込み後、所定の位置と勾配に荒均しを行い、その後、凝結が終了する前にタンパー等で粗骨材が表面より沈むまでタンピングし、コンクリートのひび割れを防止する。

(3) コンクリートを打ち込む前に、床仕上げに必要な造り方定規を設ける。仕上げ精度が要求される場合にはガイドレール(鉄骨鉄筋コンクリートの場合はピアノ線等を張ることもある。)等を 3.5~4.0m間隔に設置し、基準となる造り方定規は鉄骨その他狂いの生じない箇所に設け、常に点検して正確に水平又は所要の勾配を保持するようにする。

ガイドレール等の造り方定規は、定規均し後取り外し、その跡はコンクリートを充填し、木ごてで平らに均す。

壁や柱際等で均し定規等を使用できない部分は、特に不陸の生じないよう、十分に木ごて等でタンピングして平たんに均す。

定規均しをむらなく行った後、中むら取りを木ごてを用いて行う。

木ごてずりは、コンクリート面を指で押しても少ししか入らない程度になった時期に行う。

(4) 床スラブのコンクリートを直均しで仕上げる場合には、「標仕」15章3節に従って実施する。

6.6.7 打込み後の確認等

(1) 打込み後の仕上り状況の確認時期が「標仕」6.6.7(1)に示されている。豆板、空洞、コールドジョイント等の有無の確認は、せき板取外し後に行えるが、構造体に発生しているひび割れ及びたわみについては、支保工で支えている状態では正しい確認ができないので、支保工を取り外した後に行う。補修が必要なひび割れかどうかの判断は、通常表面のひび割れ幅で行っているが、鉄筋に錆を発生させやすい条件かどうかによる耐久性上の判断と防水性が要求されるかどうかによって異なってくる。補修を必要としないひび割れ幅の値は、(公社)日本コンクリート工学会「コンクリートのひびわれ調査、補修・補強指針」では、防水性が要求される場合には0.05mm以下、防水性は要求されないが、かぶり厚さや表面被覆の有無等から見て鉄筋の錆を発生させやすいなど耐久性から見た条件が厳しい場合(塩害・腐食環境下)には 0.2mm以下、耐久性から見た条件が普通の場合(一般屋外環境下)0.3mm以下、耐久性から見た条件が緩やかな場合(土中・屋内環境下)0.4mm以下等としている。

(2) 施工欠陥が認められた場合の処置は、6.9.6による。

6章コンクリート工事 7節 養 生

建築工事監理指針 第6章 コンクリート工事

7節 養 生

6.7.1 養生温度

(1) 十分に湿気を与えて養生した場合のコンクリート強度は、材齢とともに増進するが、乾燥あるいは低温の状態においたものは増進が非常に少ない。特に硬化初期の養生は、その影響が大きい。コンクリート養生の基本は、常に水分を与え適温に保つことである。

建築基準法施行令第75条には、コンクリートの養生についての規定があり、「コンクリート打込み後5日間はコンクリート温度が 2℃を下らないように(中略)養生しなければならない。ただし、コンクリートの凝結及び硬化を促進するための特別の措置を講ずる場合においては、この限りでない。」と規定されている。「標仕」では、打込み後5日間以上、早強ポルトランドセメントの場合は強度発現が速いため3日間以上、コンクリート温度を2℃以上に保つよう規定されている。

(2) 冬期等で著しく気温が低い場合は、打込み後のコンクリートが凍結しないように保温、採暖が必要になる。

(3) 部材断面の中心部の温度が外気温より 25℃以上高くなるおそれのあるときの養生は「標仕」6.13.4による。

6.7.2 湿潤養生

打込み後のコンクリートが、透水性の小さいせき板で保護されている場合は、湿潤養生と考えてもよい。しかし、コンクリートの打込み上面等でコンクリート面が露出している場合、あるいは透水性の大きいせき板を用いる場合には、日光の直射、風等により乾燥しやすいので、初期の湿潤養生が不可欠となる。湿潤養生には、養生マッ卜又は水密シート等で覆う方法、連続又は断続的に散水又は噴霧を行う方法、膜養生剤や浸透性養生剤の塗布による方法等がある。

夏期や風の強い日に施工した床スラブ・ひさし等薄い部材では、コンクリートが急速に乾燥するため、特に初期の湿潤養生が大切である。また、混合セメントを使用するときには特に早期における乾燥を防ぐようにする。

また、「JASS 5 鉄筋コンクリート工事」8.2[湿潤養生]においては、湿潤養生の期間について、コンクリート部分の厚さが18cm以上の部材において、早強・普通・中庸熱ポルトランドセメントを用いる場合、計画供用期間の級が短期及び標準の場合 は、コンクリートの圧縮強度が10N/mm2以上、長期及び超長期の場合は15N/mm2以上に達したことが確認されれば、以降の湿潤養生を打ち切ることができるとしている。

なお、平成28年版「標仕」からは、特記された場合に普通エコセメントが使用でき、その場合の湿潤養生期間は特記によるとしている。「JASS 5」では普通エコセメントを使用する場合の湿潤養生期間を明確には示していないが、国立研究開発法人建築研究所の「建築研究報告 No.144」では、「普通エコセメントの初期の水和反応は、高炉セメントB種、C種と同様に普通ポルトランドセメントに比べていくぶん遅いので、十分に注意して養生を行う必要がある。・・・中略・・・その期間は、養生方法が適切であれば、高炉セメントB種を使用するコンクリートの場合と同様に、 7日間以上とすればよいであろう。」としており、これらを参考にするとよい。

6.7.3 振動及び外力からの保護

(1) 凝結硬化中のコンクリートに振動・外力を与えると、ひび割れが発生するなど、損傷を生じることがあり、また、早期材齢で荷重を加えるとたわみの増大につながることがある。このため、コンクリートが硬化するまでは十分な養生が必要である。

(2) コンクリート打込み後1日以内にやむを得ずスラブの上に乗るような場合には、コンクリートに振動・衝撃を与えないように静かに作業しなければならない。

6章コンクリート工事 8節 型枠

建築工事監理指針 第6章 コンクリート工事

8節 型 枠

6.8.0 概 要

(1) 鉄筋コンクリート造の建物の出来ばえは躯体コンクリートの精度によって大きく左右され、さらに、この躯体は型枠工事の優劣によって決まるといっても過言ではない。このように型枠工事は全ての工事の基本ともなるので綿密な計画と慎重な施工が肝要である。

(2) 型枠は、材料や工法の開発に伴い、合理化、複合化、システム化が進められている。これは、建築工事の大型化・高層化、熟練労働者の不足、工事の機械化、地球環境の保護等の社会状況の変化に対応し、品質の確保、工期の短縮、コスト低減等を目指したものである。

躯体工事において、型枠の占める割合は高く、品質、工期、コストの上で効果の大きいものが多いので、受注者の提案については、設計担当者に要求機能を確認し、実績等を考慮して採用の可否を検討する。

型枠の主な合理化・複合化・システム化工法を適用部位別に整理すると図6.8.1のようになる。


図6.8.1 適合部位別の合理化・複合化・システム化型枠工法

なお、図6.8.1の「打込み型枠」及び「捨型枠」はコンクリート表面の状態を確認できないため、コンクリートに豆板、空洞、コールドジョイント等が生じないように、調合、打込み、締固め等に留意し、密実なコンクリートとすることが大切である。

(3) 受注者が行う型枠計画は、他の工事との関連、納まり、施工性等を検討したうえで、材料・工法を選択し、施工計画及び施工図を作成する。

(4) 型枠計画は、安全で、かつ、要求品質に見合った精度で施工する工法を採用するという観点でチェックする。

6.8.1 型枠一般

(1) 型枠の構成は、コンクリートに直接接するせき板、せき板を支える支保工及びせき板と支保工を緊結するセパレーター、締付け金物等からなる。せき板には通常、脱型を容易にするためはく離剤が塗られている。支保工は、床・梁等を支える根太、大引、支柱(パイプサポート)、支保梁、支柱の座屈を防止する水平つなぎ・プレースのほか、柱、壁等のせき板の位置を保持するとともに転倒を防ぐ内端太、外端太、建入れ直しサポート、チェーン等から構成される。在来工法による一般的な型枠構成例を図6.8.2に示す。


図6.8.2 一般的な型枠構成例(型枠の設計・施工指針2011年版より)

(2) 型枠には、コンクリートの自重、打込み時の振動や衝撃による作業荷重、コンクリートの側圧、水平荷重等が作用するので、その荷重に対して安全であることを構造計算によって確認することが重要である。また、必要な仕上り寸法・精度が得られるように型枠の剛性についても検討することが必要である。「標仕」6.2.5では、「部材の位置及び断面寸法の許容差」と「コンクリート表面の仕上り状態(目違い・不陸等及び平たんさ)」が規定されており、これらを満足するように型枠を設計する。

型枠の構造計算の方法は、(-社)日本建築学会「型枠の設計・施工指針」に詳しく述べられているので、それを参考にするとよい。

次に型枠の構造計算に関する基本的事項を示す。

(ア) 型枠材料の許容応力度等

(a) 型枠の構造計算に用いる材料の許容応力度は、次のとおりとする。

① 支保工については、労働安全衛生規則第241条に定められた値

② 支保工以外のものについては、次の法令又は基準等における長期許容応力度と短期許容応力度の平均値
1) 建築基準法施行令第89条及び第90条

2) (-社)日本建築学会「鋼構造設計規準」、同「軽鋼構造設計施工指針」又は同「木質構造設計規準」木材の繊維方向の許容曲げ応力、許容圧縮応力及び許容せん断応力の値について、労働安全衛生規則第241条に定められている。

(b) 型枠支保工に用いる鋼材の許容応力度は、労働安全衛生規則第241条において次のように定められている。

① 鋼材の許容曲げ応力及び許容圧縮応力の値は、当該鋼材の降伏強さの値又は引張強さの値の4分の3の値のうちいずれか小さい値の3分の2の値以下とすること。

② 鋼材の許容せん断応力の植は、当該鋼材の降伏強さの値又は引張強さの値の4分の3の値のうちいずれか小さい値の100分の38の値以下とすること。

③ 鋼材の許容座屈応力の値は、限界細長比に応じて計算を行って得た値以下とすること。

(c) 型枠合板の断面性能、その他型枠に使用される材料の断面性能、支柱の許容荷重、締付け金物の許容耐力等は、「型枠の設計・施工指針」、メーカーのカタログ等を参照されたい。

(イ) コンクリート打込み時の荷重

(a) スラブ型枠設計用荷重(T.L)は、実状に応じて定めるのが原則であるが、通常のポンプ工法の場合6.8.1式により算出する。

 T.L = D.L + L.L  ・・・(6.8.1式)
D.L(固定荷重):
コンクリート、型枠等の自重で、普通コンクリートの場合は23.5 × d(kN/m2)に型枠の重量として400N/m2を加える(d=スラブの厚さ(m))
L.L(作業荷重+衝撃荷重):

「労働安全衛生規則」から1,500N/m2以上とする。

(b) 型枠設計用側圧は、「JASS 5 鉄筋コンクリート工事」によればよい。

(ウ) 曲げを受ける型枠各部材の計算方法

型枠材の計算方法には、定められた基準はないが、一般的には次により、構造計算を行い定める。

① 合板せき板の場合は、転用等による劣化を考慮し、単純梁として扱う。
② 合板以外のせき板、根太、大引等は、単純梁と両端固定梁の平均とする。
③ 各部材のたわみは、3mm以下とするが、2mm程度を許容値とすることが望ましい。ただし、打放し仕上げの場合は、1~2mm程度とすることが望ましい。
なお、構成部材の総たわみ量は、コンクリートの仕上りの平たんさ等を考慮して適切に定める。

④ 部材の応力及びたわみの計算に用いる公式は、「型枠の設計・施工指針」を参考にするとよい。

(エ) 水平荷重

型枠支保工の倒壊等を防止するため、型枠支保工の設計に当たっては、労働安全衛生規則第240条に基づき、次に示す水平荷重が作用しても安全な構造のものとする。

① 鋼管枠を支柱として用いるものであるときは、当該型枠支保工の上端に、設計荷直(鉛直荷重)の 100分の2.5に相当する水平方向の荷重が作用しても安全な構造のものとすること。

② 鋼管枠以外のものを支柱として用いるものであるときは、当該型枠支保工の上端に、設計荷重(鉛直荷重)の100分の5に相当する水平方向の荷重が作用しても安全な構造のものとすること。

(3) せき板の継目から水やモルタルが漏れ出すと、豆板や砂じま、空洞等が生じ、コンクリートの品質が低下する。また、型枠の取外しが容易でないと、コンクリートに損傷を与える危険性があるので、型枠は細部まで十分考えられたものが必要である。

(4) コンクリート打放し仕上げ(仕上塗材、塗装等の仕上げを行う場合を含む。)の場合、外部に面する部分は打増しを行うことがある。その厚さは特記によるとされている。

(5) コンクリートは乾燥により収縮するので、ひび割れの発生を完全に防止することは極めて困難である。したがって、適切な位置にひび割れ誘発目地を設置し、ひび割れを目地内に発生させて目地をシールするなどして対処するのが一般的である。ひび割れ誘発目地の形状・寸法は特記によることになっている。ここで、「標仕」 11.1.3では、ひび割れ誘発目地の深さは打増したコンクリート厚さとするとされている。

(6) その他、型枠に要求される品質としては、次のようなものが挙げられる。

(ア) 型枠は、その他の工事、特に鉄筋工事と関連して、鉄筋のかぶり厚さを確保できる材料と工法とする。

(イ) せき板はコンクリートの硬化を阻害したり、コンクリートのアルカリによってコンクリートに着色したり、木材のむしれを生じるものであってはならない。

(ウ) コンクリートが打ち込まれてからせき板と支保工が取り除かれるまでの間は、コンクリートにとって初期の養生期間になるので、型枠はコンクリートの養生を阻害するものであってはならない。

6.8.2 材 料

(1) 「標仕」では、せき板の材料は、特記によるとしている。特記のない場合は、次のように規定されている。

(ア) コンクリート打放し仕上げの場合は、「標仕」表6.2.4のコンクリート表面の仕上り程度に見合ったものとしており、打放し仕上げの種別がA種(目違い、不陸等の極めて少ない良好な面)の場合は、表面加工品を用いるようにしている。

(イ) コンクリート打放し仕上げ以外の場合は、「合板の日本農林規格」第5条「コンクリート型枠用合板の規格」によるB−C品又はその他の材料でコンクリートの所要の品質を確保できるものを用いるとしている。ここで、B-C品とは、表面の品質がB、裏面の品質がC(品質のよい順に A、B、C、D の4ランクあり)であるものをいい、現在市販されているコンクリート用型枠合板の主流となっているものである。合板型枠以外の型枠としては、金属製型枠、樹脂系の型枠(FRP・プラスチック等)、打込み型枠(断熱型枠、薄肉プレキャストコンクリート板、けい酸カルシウム板、スレート型枠等)、ブロック型枠、ラス型枠等がある。また、近年環境に配慮した型枠として、再生材樹脂系の型枠が使用されている。これらの材料を用いる場合は、型枠としての性能及び仕上げに対する影響について調査 し、設計担当者等と打ち合わせて採否を決める。

(2) 「標仕」においては、せき板に合板を用いる場合は、「合板の日本農林規格」第5条「コンクリート型枠用合板の規格」による表面加工品又はB−Cを用いるとされている。ただし、MCR工法の場合は、B–Cを用いるとされている。

なお、合板の厚さは特記によるとしているが、特記がなければ厚さ12mmのものを使用するとされている。

(3) 床型枠用鋼製デッキプレート(フラットデッキ)について、(-社)公共建築協会では、「建築材料・設備機材等品質性能評価事業」(1.4.4 (5)参照)の一環として、平成4年の建設省「建設技術評価」に準じて技術評価の基準を定めて評価を行っている。

設計・施工に当たっては、「床型枠用鋼製デッキプレート(フラットデッキ)設計施工指針・同解説」が参考になる。本設計施工指針では、平成18年版でフラットデッキの材料(鋼材)の機械的性質として引張強さを295N/rmm2以上(平成16年版では 270N/mm2以上)と改めている。これは、(-社)日本建築学会「鋼構造設計規準」(2005)に準拠し、鋼材の降伏点又は耐力と引張強さの70%のうち小さい方の値をもって許容応力度を決定する場合の基準値とする趣旨を満足するようにしたためである。

フラットデッキの施工上の要点を次に示す。

(ア) 施工荷重によるたわみを考慮して、フラットデッキには10mm程度のキャンバー(むくり)が付いている。そのため、梁との隙間からのろ漏れ等が生じないように施工する。

(イ) RC造・SRC造の場合のフラットデッキと型枠の接合方法例を図6.8.3に示す。フラットデッキは図中の横桟木で受けるため、横桟木で受けた荷重が縦桟木で支持できる型枠設計とする必要がある。


図6.8.3 型枠との接合方法(RC・SRC造、スラブ厚300mm以下)
(床型枠用鋼製デッキプレート(フラットデッキ)設計施工指針・同解説より)

(ウ) 鉄骨梁とフラットデッキの接合方法の例を図6.8.4に示す。

鉄骨梁継手部や柱取合い部はアングル又はF.B(フラットバー)を溶接留めとし、その上に現場切断したフラットデッキを留め付ける。


図6.8.4 鉄骨梁との接合方法(S造、スラブ厚300mm以下)

(エ) フラットデッキは衝撃に弱く、曲がったりへこんだり変形したりしやすい。そのため、敷設時にはめ込みにくいなどの手戻りが生じるので養生方法、揚重方法、吊り治具等に注意する。

(オ) 設備配管等の貫通口が規則的な場合又は集中している場合は、局部破壊の原因となるので、補強する必要がある。

なお、フラットデッキは、リブでコンクリート等の施工荷重を負担しているので、リブを切断する場合等は、デッキ受けを設け荷重を梁や型枠に確実に伝えるようにしなければならない。

(4) 断熱材兼用型枠工法として、建設技術評価規程(昭和53年建設省告示第976号)に基づき建設大臣が評価した工法がある。この工法は、鉄筋コンクリート造等の建築物の内断熱施工部分について、在来の型枠用合板の代わりに断熱材を兼用した型枠を使用する工法である。せき板としての性能を有した断熱材を主体とし、支保工と一体となってコンクリート型枠としての性能を発揮するものである(図6.8.5参照)。型枠の断熱材は、「標仕」19.9.3(1)に示すもののほか、木毛板の類、磁気テープ廃材等があり、また、その構成板材は単板、複合板、サンドイッチパネル等となっている。型枠の解体がないため現場内での作業の軽減等の施工合理化が図られること、また、建設廃棄物の発生を抑制することができる。


図6.8.5 断熱材兼用型枠の納まり例

(5) MCR工法は外壁タイル張りのはく離防止を図る工法として開発されたものである。コンクリート型枠に専用のシート(「標仕」6.8.3 (6)参照)を取り付けておき、コンクリートを打ち込むことによりコンクリート表面に多数のあり状の穴を設け、躯体コンクリートとモルタルとを機械的にかみ合わせることではく離を防止する工法である(図6.8.6参照)。この工法の特徴は、ばらつきが少なく安定した接着強度が得られるとともに、かみ合わせ効果により面内方向のせん断応力に対する抵抗性が高いことにある。

シートは、表6.8.1に示す3種類がある。型枠の種類、型枠の幅等によって使い分ける必要があるが、600mm幅の合板型枠あるいは表面処理合板型枠であれば両端フラットタイプを使用したほうが、シート間からのセメントペーストの漏出しがなく、仕上りはよい。シートを取り付けた状態の例を図6.8.7に示す。

シートは、コンクリートの養生のためにせき板を外した後も極力存置し、モルタル塗りの直前にシートを取り外すようにする。


図6.8.6 MCR工法の施工手顛

表6.8.1 MCR工法専用シートの種類と特徴

図6.8.7 シートを取り付けた状態

(6) ボルト式型枠緊張材には各種あるが、図6.8.8にその代表的なものを挙げる。


図6.8.8 各種締付け金物の組立例

(7) はく離剤は次の性能を有するものとする。

(ア) せき板とコンクリートのはく離性が良好であること。
(イ) せき板あるいはコンクリートの成分と反応し、コンクリートに悪影響を与えないもの。
(ウ) 木製せき板のように吸水性のあるものは、その吸水性を減少することができるもの。

(エ) はく離剤自身による汚れをコンクリート面に残さないこと。

(8) 資源の有効活用の面から、型枠は積極的な転用や再使用が望まれる。転用や再使用する場合は、コンクリートに接する面をよ清掃し、締付けボルト等の貫通孔あるいは補修箇所を修理のうえ、必要に応じてはく離剤を塗って用いる。

(9) スリーブには、鋼管のほか、硬質ポリ塩化ビニル管や溶融亜鉛めっき鋼板、つば付き鋼管などが用いられるが、径が大きくなった場合は、コンクリート打込み時の変形防止のための補強を十分に行う必要がある。

なお、「標仕」では、スリーブの材種、規格等は特記によるとされているが、柱及び梁以外の部分で、開口補強が不要であり、かつ、スリーブ径が200mm以下の部分は、紙チューブとすることができるとされている。

最近では、基礎梁の人通孔等、大口径のスリーブには土木用排水管(樹脂製コルゲート管)が、軽量で、変形しにくいため使用される場合も多い。

また、取付けに際しては、コンクリート打込み時にスリーブが浮いて移動しないように、型枠に堅固に留め付ける。

(10) スリット材は腰壁や垂れ壁のある建物で、柱が短柱になることを防ぐために腰壁等を柱際で縁を切るために設けるものである(図6.8.9参照)。防火区画となる部分に使用する場合は、材質等について注意する。


図6.8.9 スリット用材料の例

(11) 合板によるコンクリート表面の硬化不良について次に示す。

(ア) せき板の中には、木材成分中の糖類、タンニン酸等がコンクリートのアルカリに抽出されて、セメントの硬化を妨げるものがある。

(イ) 硬化不良を起こしたコンクリートの表面の状態

(a) コンクリートの打上り面が暗黒色になり、ざらつく。

(b) 極端な硬化不良の場合には、表面数mmがまったく硬化しないため、触れると粉状にはく落又は薄い板状にはく離する。

(ウ) 硬化不良を起こしやすいせき板

(a) 取扱い不良等により変質し、抽出物の量が増大したもので、長期間太陽光線(紫外線)の照射を受けた場合に多く、シート等で覆えば防止できる。

また、長時間空気中に暴露された場合や腐朽菌が表面に生じた場合にも硬化不良が生じる。

(b) 木材の成分によるもので、赤松、米杉等がある。

(c) 広業樹は、針業樹より硬化不良を起こしやすい。

(d) 硬化不良を起こしやすいせき板を現場で見分けるには、せき板表面にセメントペーストを塗り付け2~3日後にはがして、その表面状態を調べるのがよい。

6.8.3 型枠の加工及び組立

(1) コンクリート寸法図、型枠の加工及び組立等を次に示す。

(ア) コンクリート工事を行うには、必ず各部のコンクリートの形状及び寸法を詳細に表した施工図を作成する。多くの場合、平面図を中心にし、必要に応じて部分的断面図を補助として記入している。このような施工図をコンクリート寸法図、スケルトン、コンクリート躯体図等と呼んでいる。

コンクリート寸法図は、単にコンクリート型枠作製のためだけでなく、他の関述工事に対しても基本になる施工図であるから、次の事項を十分検討する。

(a) 構造体の形状、寸法、位置関係
① 通り心、壁心等の基準線からの構造材の位置
② 構造材(柱、梁、壁、スラブ、基礎、階段等)の形状、寸法、割付け及び符号
③ 軒高、階高及びGLと1階床高との関係
④ 梁、スラブその他の基準階高との上下関係
⑤ 打継ぎ箇所

⑥ 構造材相互の取合い

(b) 仕上げ、納まり等の関係
① 仕上げ(左官、タイル下地等)と関連して必要な増打ち等のコンクリート寸法図
② 建具、造作等の納まりによる開口及び周辺の形状寸法
③ タイル、石等の割付けによるコンクリート寸法の増減
④ 躯体に断熱材等を打込みとする場合の寸法
⑤ インサート、ブロック壁の位置及び差し筋の径並びにビッチ、アンカーボルト、丸環、ルーフドレンその他の取付け金物類の位置
⑥ 打放しのコンクリート部分(化粧目地、伸縮調整目地、ひび割れ誘発目地)

⑦ その他特にコンクリートを欠き込む必要のある場合及びコンクリートに打込みとなるもの

(c) 防水上の納まり
① 屋根面の勾配、パラペット回り等の立上り部分、笠木等の防水の納まり
② 便所、浴室等の防水層の納まり(スラブの高さ、周囲の納まり)
③ エキスパンションジョイントの納まり
④ 水を使用する部分のスラブ勾配や排水

⑤ 地階二重壁内の水抜きパイプ

(d) 設備関係
① 梁、壁等の貫通孔(スリーブ等)
② 便所、洗面所、浴室等の衛生器具用開口
③ ダクト用の開口
④ 設備機器用機械台及び機械吊上げ用フック類
⑤ 分電盤、端子盤、消火栓、改め口等の開口あるいはプルボックス等のコンクリート打込みとなる箇所
⑥ マンホールの大きさ及び位置(タラップの位置、二重スラブ内に設置するポンプ類の大きさ)
⑦ 槽類の位置及び総重量
⑧ エレベーター関係
 1)ピット内の幅及び深さ
 2)機械室の床開口
 3) 敷居受け用ブラケット
 4) ガイドレールの位置と取付けボルト
 5) エレベーター据付け用の吊上げフック類
 6) インジケーター、押しボタン穴

⑨ 二重スラブ内の水抜き及び通気パイプ、集水桝、スラブ勾配

(e) 仮設関係
① 材料搬出入口(建物内外への出入口及び上下の運搬用開口)
② 設備用大型機械の搬入開口部、搬入経路及び総重量
③ パイプシャフトの器材搬入口
④ 切張り支柱用開口
⑤ タワークレーン用開口

⑥ 外部足場つなぎ用インサート

(f) その他コンクリートと関連するもの

(イ) 一般的に、型枠工事の実施に先だち、型枠材料とその仕様の設計を行う。これらは型枠工事の品質、コスト、工程に大きく影響するが、コンクリート寸法の標準化が大きな要索となる。そこで、設計担当者と打合せのうえ、コンクリート寸法をできるだけ標準化する方向で検討するとよい。

(ウ) 型枠の加工には、現場加工と工場加工がある。これらは、建物形状、加工場所、工期、輸送方法、組立方法等を検討して決定される。

工場加工には、在来の合板型枠と合理化・システム化型枠の場合がある。在来の合板型枠の場合は、型枠パネル加工を設備の整った工場で集中的に行うもので、最近はCAD/CAMを利用して効率化した工場もある。

(エ) 柱型枠建込み前に柱脚部の清掃水洗い等を行っておく。建込み後には、ごみ・おがくず等が入らない処置をとり、万ー入った時は水洗い又はとがらせた鉄筋等で除去する。除去が難しい場合は下部に掃除口を設ける。

(オ) 型枠組立の例を次に示す。

(a) 柱、梁の例を図6.8.10に示す。


図6.8.10 型枠組立の例

(b) 柱、壁の下部の例を図6.8.11に示す。


図6.8.11 柱、壁の下部組立の例

(c) 階段型枠の例を図6.8.12に示す。


図6.8.12 階段型枠の組立の例

(d) 窓及び階段は、図6.8.13のようにコンクリートが盛り上がるのを防ぐために端部にふたをする。窓の場合は、外側へ勾配を付ける。また、小さい窓等の下枠は全閉とし、空気穴を設けてコンクリートの充填具合を点検する。


図6.8.13 窓及び階段のふたの例

(e) 型枠の建入れ補強の例を図6.8.14に示す。


図6.8.14 型枠の建入れ補強の例

(カ) 支柱に関する労働安全衛生規則の抜粋を次に示す。

労慟安全衛生規則

(昭和47年9月30日 労働省令第32号
最終改正令和3年12月1日)

(型枠支保工についての措置等)
第242条
事業者は、型枠支保工については、次に定めるところによらなければならない。

一 敷角の使用、コンクリートの打設、くいの打込み等支柱の沈下を防止するための措置を講ずること。

二 支柱の脚部の固定、根がらみの取付け等支柱の脚部の滑動を防止するための措置を講ずること。

三 支柱の継手は、突合せ継手又は差込み継手とすること。

四 鋼材と鋼材との接続部及び交差部は、ボルト、クランプ等の金具を用いて緊結すること。

五 型枠が曲面のものであるときは、控えの取付け等当該型枠の浮き上がりを防止するための措置を溝ずること。

五の二 H型銅又はI型鋼(以下この号において「H型鋼等」という。)を大引き、敷角等の水平材として用いる場合であって、当該H型鋼等と支柱、ジャッキ等とが接続する箇所に集中荷重が作用することにより、当該H型鋼等の断面が変形するおそれがあるときは、当該接続する箇所に補強材を取り付けること。

六 鋼管(パイプサポートを除く。以下この条において同じ。)を支柱として用いるものにあっては、当該鋼管の部分について次に定めるところによること。

イ 高さ2メートル以内ごとに水平つなぎを2方向に設け、かつ、水平つなぎの変位を防止すること。

口 はり又は大引きを上端に載せるときは、当該上端に鋼製の端板を取り付け、これをはり又は大引きに固定すること。

七 パイプサポートを支柱として用いるものにあっては、当該パイプサボートの部分について次に定めるところによること。

イ パイプサポートを3以上継いで用いないこと。

ロ パイプサポートを継いで用いるときは、4以上のボルト又は専用の金具を用いて継ぐこと。

ハ 高さが3.5メートルを超えるときは、前号イに定める措置を講ずること。

八 鋼管枠を支柱として用いるものにあっては、当該鋼管枠の部分について次に定めるところによること。

イ 鋼管枠と鋼管枠との間に交差筋かいを設けること。

ロ 最上層及び 5以内ごとの箇所において、型枠支保工の側面並びに枠面の方向及び交差筋かいの方向における5枠以内ごとの箇所に、水平つなぎを設け、かつ、水平つなぎの変位を防止すること。

ハ 最上層及び 5層以内ごとの箇所において、型枠支保工の枠面の方向における両端及び5枠以内ごとの箇所に、交差筋かいの方向に布枠を設けること。

二 第六号口に定める措置を講ずること。

九 組立て鋼柱を支柱として用いるものにあっては、当該組立て鋼柱の部分について次に定めるところによること。

イ 第六号口に定める措置を講ずること。

口 高さが4メートルを超えるときは、高さ4メートル以内ごとに水平つなぎを2方向に設け、かつ、水平つなぎの変位を防止すること。

九の二 H型銅を支柱として用いるものにあっては、当該H型鋼の部分について第六号ロに定める措置を構ずること。

十 木材を支柱として用いるものにあっては、当該木材の部分について次に定めるところによること。

イ 第六号イに定める措置を溝ずること。

口 木材を継いで用いるときは、2個以上の添え物を用いて継ぐこと。

ハ はり又は大引きを上端に載せるときは、添え物を用いて、当該上端をはり又は大引きに固定すること。

十ー はりで構成するものにあっては、次に定めるところによること。

イ はりの両端を支持物に固定することにより、はりの滑動及び脱落を防止すること。

口 はりとはりとの間につなぎを設けることにより、はりの横倒れを防止すること。

(2) コンクリート打込み後、強度発現が不十分な状態で作業を開始すると、その荷重を受けるコンクリートに有害なひび割れやたわみ等の障害が生じるおそれがあるので、注意が必要である。コンクリートが有害な影響を受けない材齢は、直上階の作業に伴う荷重の大きさによって異なり、一概に示せないが、愚出し等の軽微な作業であれば大きな影響はない。資材を置く場合は、1箇所に集中させないなどの配慮が必要である。また、床が、コンクリート金ごて仕上げの場合、床面を傷つけないように養生期間を確保することや資材等の仮置き場所に養生を施すことが必要である。

(3) 各種配管、ボックス、埋込金物等を構造躯体に埋め込む場合は、構造耐力上及び耐久性上支障のない位置に配置する必要がある。また、コンクリートの打込み時の流れによって位置がずれないよう、堅固に取り付ける。コンクリートの流れの力は予想以上に大きいので注意が必要である。

(4) 上下階の支柱が同一位置にないと、強度が十分発現していないコンクリートスラブに悪影響を与えることになるので、可能な限り平面上の同じ位置に配置する。また、地盤上に直接支柱を立てる場合には、支柱の下に剛性のある板を敷くなどして、支柱の沈下を防がなくてはならない。

(5) 型枠に、足場や遣方等の仮設物を連結させると、足場等が動いた時に型枠位置がずれたり寸法が狂ったりするおそれがあるので、避けなければならない。

(6) 監督職員は、施工者が行う型枠の品質管理・検査の報告を受け、必要と思われる事項については確認する。施工者が行う型枠工事の品質管理・検査の例を表6.8.2に、型枠の計画から取外しまでの作業工程と主要管理項目の例を表6.8.3に示す。

表6.8.2 型枠の材料・組立・取外しの品質管理・検査の例(JASS 5より)

表6.8.3 型枠の計画から取外しまでの作業工程と主要管理項目の例(JASS 5)

6.8.4 型枠の存置期間及び取外し

(1) せき板は、コンクリート形状を決定するだけでなく、若材齢のコンクリートを寒気や外力、乾燥から保護する役割がある。また、支柱は、梁やスラブが自立し、有害なひび割れやたわみが生じなくなるまで支持する役割をもっている。したがって、それぞれ必要な最小存置期間が定められており、その期間を経過した後に型枠を取り外すことになる。

(2) せき板及び支柱の存置期間

(ア) 「標仕」では、せき板の最小存置期間は「標仕」表6.8.2に、支柱の最小存置期間は「標仕」表6.8.3に定められている。

(a) せき板の最小存置期間は、材齢による場合とコンクリートの圧縮強度による場合とに分けられており、そのどちらかを満足すればよいことになっている。圧縮強度による場合は、若材齢のコンクリートが初期凍害を受けることなく、また、容易に傷つけられない最低限必要な強度として5N/mm2と定められている。材齢による場合は、存置期間中の平均気温とセメントの種類の組合せにより必要な期間が定められており、これは、上述の 5N/mm2の圧縮強度が得られる期間から定められている。

なお、「現場打コンクリートの型わく及び支柱の取りはずしに関する基準」(昭和46年1月29日建設省告示第110号、最終改正平成28年3月17日)(以下、告示「型わく等取りはずしに関する基準」という。)の改正に伴い、平成 28年版「標仕」から表6.8.2及び表6.8.3中のセメントの種類に中庸熱ポルトランドセメントと低熱ポルトランドセメントが追加された。また、普通エコセメントを使用する場合の最小存置期間は特記としており、コンクリートの材齢による場合は、「JASS 5」では普通ポルトランドセメントと同様の日数、国立研究開発法人建築研究所の「建築研究報告 No.144」では平均気温20℃以上で5日、20℃未満10℃以上で8日とあり、これらを参考にするとよい。

(b) 支柱の最小存置期間もせき板の場合と同様、材齢による場合とコンクリートの圧縮強度による場合とに分かれている。圧縮強度による場合は、スラブ下で設計基準強度の85%以上又は12N/mm2以上、梁下では設計基準強度以上となっている。

なお、告示「型わく等取りはずしに関する基準」では、梁下の場合、「設計基準強度以上又は12N/mm2以上」としているが、「標仕」において、「又は12N/mm2以上」が削除されたのは、安易に若材齢(低い強度)での取外しを認めるべきではないとの考え方によっている。さらに、「施工中の荷重及び外力について、構造計算により安全であることが確認されるまで」となっており、施工中の荷重について検討が必要である。ただし、ここでいう構造計算とは型枠支柱を取り外した後の施工中の荷重、コンクリートの変形、外力等について行っ

た構造計算であり、設計時の構造計算とは別のものである。

材齢による場合は、せき板と同様、存置期間中の平均気温とセメントの種類の組合せにより必要な期間が定められている。

(イ) 支柱の存置期間を構造計算によって算定する方法については、「型枠の設計・施工指針」等に記載されている。参考として、「JASS 5」9節[型枠]における存置期間の考え方の骨子を次に示す。

(a) 支柱は、コンクリートが施工中の荷重によって有害なひび割れやたわみを生じることのない圧縮強度以上になるまで取り外さないことを基本とする。

(b) 床スラブが、有害なひび割れを起こす可能性のある条件として、施工荷重時の曲げひび割れ強度 0.64./Fc(Fc:設計基準強度に対応した 28日圧縮強度 N/mm2)以上となる場合を一つの目安としている。ただし、梁部材は一般的に鉄筋量も多く、部材せいも大きいので、たわみやひび割れへの影響は小さいと考えこの規定から除外する。

(c) 支保工を早期に(設計基準強度未満)取り外すための条件として、上述の 0.64√Fcを安全率1.25で除した許容曲げ応力0.51/Fcを掲げ、施工荷重時の曲げ応力 σ0が、この数値以下となることとしている。

(d) 施工荷重は最下階支持スラブ、梁に作用する施工荷重の値を示している。この場合、コンクリート打込み時、支保工1層受けと2層受け以上でそれぞれ異なる。

(e) 構造体コンクリートの強度発現は、現場水中養生供試体又は現場封かん養生供試体の圧縮強度から推定することとし、上の条件を満たすのに必要な強度管理として現場水中登生供試体又は現場封かん養生供試体の試験値を使用する。

すなわち、施工荷重による曲げ応力 σ0 に対して取外し可能なコンクリートの圧縮強度F1を「所要圧縮強度」と定義し、F1= σ02/0.512として、圧縮強度試験により管理する。

(ウ) 告示「型わく等取りはずしに関する基準」が平成28年3月17日に改正され、新たに第1第一号口に「コンクリートの温度の影響を等価な材齢に換算した式に よって計算する方法(以下「等価材齢換算式による方法」という。)が追加された。受注者等から、この方法によって基礎、梁側、柱及び壁のせき板の取り外しを行 うことを提案された場合は、実施の可否、実施方法等について、受注者等と協議 して定める。

なお、同方法の具体的な運用については、同告示と同時に国土交通省住宅局建築指導課長より発出された技術的助言 国住指第4893号平成28年3月17日「コンクリート強度並びに型わく及び支柱の取り外しに関する基準の改正について」の「2  型わく及び支柱の取り外しに関する基準(昭和46年建設省告示第110号)の改正について」に基づいて、国立研究開発法人建築研究所の「建築研究資料 No.168 型わくの取り外しに関する管理基準の検討」の[第Ⅱ編 せき板の取り外しに係わる積算温度を用いた管理要領(案)]を参考にするとよい。

「型わく等取りはずしに関する基準」告示に関連する技術的助言の抜枠を次に示す。

コンクリート強度並びに型わく及び支柱の取り外しに関する基準の
改正について(技術的助言)

(平成28年3月17日 国住指第4893号)

建築基準法施行令第74条第1項第ニ号及び同令第76条第2項の規定に碁づく標記基準については、平成28年3月17日付国土交通省告示第502号及び同日付国土交通省告示第 503号として別添のとおり公布されたので通知する。

中略

2 型わく及び支柱の取り外しに関する基準(昭和46年建設省告示第110号)の改正について

(1) 本告示は、現場で打設するコンクリートの型わく及び支柱の取り外しに関する基準を定めたものである。

本告示改正は、コンクリートの圧縮強度に応じて、基礎、はり側、柱及び壁のせき板を取り外す場合の当該コンクリート強度の確認方法として、従来、実施してきた日本工業規格 A1108(コンクリートの圧縮強度試験方法)による方法に加えて、コンクリートの温度の影響を等価な材齢に換算した式によって計算する方法(以下、「等価材齢換算換式による方法」という。)を追加するものである。この場合、「建築工事標準仕様書 JASS 5 鉄筋コンクリート工事」(一般社団法人日本建築学会)等を参考にして、適切に養生を行うことが必要である。

これら以外のコンクリート強度の確認方法であっても、適切な研究的裏付けのあるものは、ただし書きの適用があるものとして取り扱って差し支えない。

(2) 第1第1項第一号口に規定する式中の fc28について、「日本工業規格 A5308(レディーミクストコンクリート)ー2014に規定する呼び強度の強度値」及び「建築基準法(昭和25年 法律第201号)第37条第ニ号の国上交通大臣の認定を受けたコンクリートにあっては、設計基準強度に当該認定において指定された構造体強度値を加えた強度値」を保証する材齢は28日」に限るものとする。

(3) 第1第1項第一号口に規定する式の Tiの温度の測定に当たっては、建築物の部分及びコンクリートの打設日ごとに、コンクリート表面の温度が適切に測定できる十分な箇所において、1時間に1回以上測定するものとする。また、温度計等の測定機器の使用条件、測定誤差等に注意し、適切に測定結果を扱うものとする。

(4) 測定機器による測定箇所や使用条件等の温度測定方法といったコンクリートの温度の測定方法等に関する具体的な運用については、「建築研究資料 No.168 型わくの取り外しに関する管理基準の検討」(国立研究開発法人建築研究所)を参考とされたい。

(3) 片持梁やひさしは静定構造であり、ひび割れが発生すると大きなたわみにつながるおそれがあるので、支柱の存置期間を必要に応じて延長するのがよい。また、「標仕」では、長大スパンの梁、大型スラブ等の型枠を支持する支柱及び施工荷重が大きくコンクリートに支防が生じるおそれがある場合の支柱等は、必要に応じて存齢期間を延長するとされている。

(4) 「標仕」では、スラブ下及び梁下のせき板は、支柱を取り外した後に取り外すことにしているが、施工方法によっては、支柱を取り外すことなくせき板を取り外せる場合がある。その場合は、昭和46年建設省告示第110号の第1第一号で定めるスラブ下及び梁下のせき板の存慨期間の規定を準用し平均気温による存置日数又はコンクリートの設計基準強度の50%以上の強度を確認することにより、支柱を取り外す前にせき板を外す方法もある。ただし、この方法は「標仕」6.8.4(4)に示す「これにより難い場合」に相当するため、監督職員は、工種別施工計画書(品質計画)に記載された内容を確認して承諾する必要がある。

また、支柱の盛替え作業は、無造作に行われやすく、また、若材齢のコンクリートに荷重が作用することは望ましくないので、「標仕」では支柱の盛替えは行わないこととしている。

6.8.5 型枠締付け金物等の措置

(1) 型枠緊張材(セパレーター)の主なものは、コーンを使用しないもの(丸セパC型)とコーンを使用するもの(丸セパB型)がある。

セパレーターの例を表6.8.4に示す。

表6.8.4 セパレーターの例

型枠取外し後、丸セパC型の場合はコンクリート表面に座金及び頭(ねじ部分)が露出する。頭はハンマーでたたくことにより、簡単に折れ除去できるが、座金の部分は残る。丸セパB型の場合はコーンを取り外した穴が残るが、ねじ部分は穴の奥となり穴をモルタル等で埋めれば、表面には何も露出しない。

コーンを使用する目的は、次のように考えられる。

(ア) 止水(地下外堅等でセパレーターを伝わってくる水をモルタル防水等で防ぐ。)

(イ) 表面の平滑化(防水下地、簿い仕上げ下地等)

(ウ) 金物を露出させない(打放し仕上げ面、断熱材埋込み面等)。
型枠締付け金物の頭処理に当たっては、これらのことを考慮し、部位別に適切な処理をする。

見え掛りで仕上げがない箇所(設備シャフトの中等)では、丸セパC型を用いるが、頭を折って除去した跡の座金部分に鉛・クロムフリーさび止めペイント1種(JIS K 5674)を塗り付ける。手の届きにくい部分ではスプレーを用いる場合もある。

(2) コーン穴の処理方法の例は次のとおりである。

(ア) 漏水のおそれのある地下外整等では、丸セバB型を用い、コーンの跡の穴に防水剤入りのモルタルを充填する。さらに、確実な止水が必要な場合は防水工事を施す。

(イ) 防水下地や薄い仕上げの下地等の場合は、丸セバB型を用いコンクリート面と同一にモルタルを充填する。普通のモルタルでは、垂れ下がり乾燥収縮のおそれがある場合は、水量の少ない硬練りモルタルを用いることがある。

(ウ) 打放し仕上げ面等の場合は、丸セパB型を用い、穴はコンクリート表面よりわずかに内側にへこませて面内にモルタルを充填する。

コーンの穴埋めは、上記のように左官材料で行う方法と、既製品を用いる場合がある。主な既製品の例を次に示すが、使用する部位の目的にあったものを使用する。

(a) 埋込みプラグ

プラスチック製のプラグをコーン穴にたたき込んで埋める。

(b) 接着剤付きコーン(図6.8.15参照)

モルタルコーンの先端に接着剤カプセルがセットされており、これをコーン穴に取り付けて指で押し、接着剤カプセルを破壊して接着する。


図6.8.15 接着剤付きコーン(止水・はく離防止)

(a) モルタルコーン

モルタルコーンを、エポキシ系接着剤を用いて取り付ける。

(b) 打込み式コーン(図6.8.16参照)

打込み式コーンは、防水機能をもたせたコーンであり、従来のコーンと異なり廃材が生じないのが特長である。

断熱材の部分では、「標仕」19.9.2[断熱材打込み工法](2)(オ) によるとされており、そこでは、コーンの除去跡には断熱材を張り付けるか断熱材を充填するようになっている。


図6.8.16 打込み式コーンの例

6章コンクリート工事 9節試験

第6章 コンクリート工事

9 節   試    験

6.9.1 適用範囲

構造材料として用いるコンクリートは、フレッシュ時及び硬化後の性質が設計時に用いた値を満足していることを確認することが必要であり、「標仕」9節[試験]は、そのために実施する試験の方法とその後の処置について記されている。

なお、平成22年版の「標仕」では削除されていた「軽易なコンクリート工事の場合は、監督職員の承諾を受けて、試験を省略することができる」との緩和処置は、平成25年版の「標仕」で再び取り入れられた。「軽易なコンクリート工事」とは、「コンクリートの用途が特に重要でない場合」や「使用するコンクリートの量が少ないなどの工事」で対象となる工事の規模・内容を含め、受注者等と協議を行い、適切な場合には、該当する試験を省略してもよい。

また、平成22年版までの「標仕」ではコンクリートに使用する材料の試験に関する規定を設けていたが、「標仕」6.2.1に規定される Ⅰ類コンクリートの場合は、使用する材料の試験を行う時期や頻度、項目が、I類コンクリートの製造区分に記される JIS Q1011(適合性評価ー 日本工業規格への適合性の認証一分野別認証指針(レディーミクストコンクリート))で規定されているので削除された。ただし、Ⅱ類コンクリートの場合は、Ⅰ類と同じ品質管理が行われているとは限らないため、「標仕」5節[普通コンクリートの品質管理]の 6.5.l (a)(6)でⅡ類の品質管理が規定されている。

6.9.2 フレッシュコンクリートの試験

(a) フレッシュコンクリートの試験結果は、採取する試科によって異なる場合があるため「標仕」では試料の採取を製造工場ごとに行うこととし、その場所と採取の方法を定めている。

(1)フレッシュコンクリートの性状は、工場で製造されたのち現場へ運搬され、現場内で場内運搬される間に種々変化することがあるため、試験に用いる試料の採取場所としては型枠に打ち込まれる直前が望ましい。しかし、型枠に打ち込む場所で採取する場合には、作業上危険が伴ったり、試験場所まで試料を運搬する手間が生じなるど、作業が繁雑になる。平成22年版の「標仕」からは、JASS 5の品質管理方法と整合させ、軽量コンクリートであっても Ⅰ類コンクリートの場合は荷卸し地点で試料を採取することとなっている。ただし、荷卸しから打込み直前までの間で品質が著しく変動するような場合には、品質を代表すると考えられる箇所、段階で採取する必要がある。

(2)試料の採取方法は、平成22年版「標仕」では「JIS A5308(レディーミクストコンクリート)による」とし、JIS A 1115(フレッシュコンクリートの試料採取方法)附属書1(参考)[分取試料の採取方法]を間接的に参照していたが、平成25年版「標仕」では直接JIS A1115を試料の採取方法として改めた。

JIS A 5308及び JIS A1115の抜粋を次に示す。

JIS A 5308:2011

9. 試験方法
9.1 試科採取方法
試科採取方法は、JIS A 1115(フレッシュコンクリートの試料採取方法)による。

JIS A 1115:2005

3.試 料
採取した分取試料を集めて、一様になるまでショベル、スコップ又はこてで練り混ぜたものを試料とする。試料は、練り混ぜた後、直ちに試験に供する。

4.試料の量
試料の量は、20L以上とし、かつ、試験に必要な量より 5L以上多くしなければならない。ただし、分取試料をそのまま試料とする場合には、20Lより少なくてもよい。

5.分取試料の採取方法
分取試料は、試験しようとするコンクリートを代表するように 3か所以上から採取する。分取試科の採取方法は、附属書1(参考)による。

附属書 1 (参考)分取試料の採取方法

2.トラックアジテータから分取試料を採取する場合
排出されるコンクリートから、定間隔に 3回以上採取する。ただし、排出の初めと終わりの部分から採取してはならない。
なお、トラックアジテータで30秒間高速かくはんした後、最初に排出されるコンクリート 50~100Lを除いて採取することができる。
分取試料は、コンクリート流の全横断面から採取する。この場合コンクリートの排出の速度は、トラックアジテータの回転速度を変えることによって調節しなければならない。

注(3)採取する前に、材料が分離していないことを確認する。

3.コンクリートポンプから採取する場合
配管筒先から出るトラックアジテータ 1台分又は 1バッチと判断されるコンクリート流の全横断面から定間隔に 3回以上採取するか、排出されたコンクリートの山の 3か所以上から採取する。

(b)「標仕」では、フレッシュコンクリートの試験項目、試験方法並びに試験時間及び回数を「標仕」表6.9.1に示している。試験項目は、スランプ、空気量、単位容積質量、温度及び塩化物量となっている。単位容積質量は、一般的には軽量コンクリートが対象となるが、普通コンクリートについても必要に応じて行うことになっている。また、打込み時のコンクリートの温度は硬化後の品質に大きな影響を及ぼし、あまり高い場合には長期強度の増進や耐久性に支障を生じ、低い場合には凍結するおそれがある。そのため、「標仕」では、温度測定を打込み時の気温が 25℃を超える場合(平成22年版「標仕」までは「25℃以上」であったが,「標仕」6.6.2(a)と整合させて「25℃を超える」場合となった)、寒中コンクリート工事の場合、その他温度測定が必要な場合に行うとしている。2006年 9月に JIS A 1156(フレッシュコンクリートの温度測定方法)及び附属書(参考)[温度計の取扱い方法] が制定されたので、平成 22年版「標仕」 からは JIS A 1156が温度測定の試験方法として規定されている。

なお、アルコール温度計は、トレーサビリティーの確保が困難、作業中に破損しやすい、試料に温度計を挿入してから読み取るまでの時間がほかの温度計よりも長いなどの問題点があるため、バイメタル温度計やデジタル温度計等を使用することが望ましい。

荷卸し地点で試料を採取し、その場で試験又は供試体を作成する作業は、本来受注者等が実施すべきものであるが、従来はレディーミクストコンクリートの生産者や運搬者によって行われることが多かった。試験結果の公平性や加水等の不正防止等の観点から改善が望まれており、近年、受入れ検査を専門とする第三者機関が増えている。フレッシュコンクリートの試験は多くがJISの試験方法に基づいており、作業手順が比較的簡単で、装置・器具類に特殊なものが少ない反面、作業手順の間違いや装置・器具類の整備不良により試験結果に大きな影響を及ぼす場合があるため、試験作業者は十分な知識と技能を有していることが必要である。関東や関西等大都市園を中心として、性能評価機関によるコンクリートの受入れ試験に従事する作業者の技能認定が行われている。(一財)建材試験センターや(一財)日本建築総合試験所が実施している採取試験技能者認定制度によって平成 25年 5月現在 1,845名の試験技能者が認定され,両財団法入のホームページ等で認定者とその所属先等が公開されているので参考にするとよい。

(1) スランプ試験方法

(ⅰ) スランプの試験方法は、 JIS A 1101(コンクリートのスランプ試験方法)による。

JIS A 1101:2005

3. 試験器具
3.1 スランプコーン
スランプコーンは、図1のように上端内径100mm、下端内径200mm、高さ300mm及び厚さ 5mm以上の金属製(1)とし、適切な位置に押さえと取っ手(2)を付ける。
注(1)セメントペーストに容易に侵されないもので、試験時に変形しないもの。

(2)高さの約2/3の所。
JIS A 1101_3試験器具図1スランプコーン.jpg
図 1 スランプコーン

3.2 突き棒
突き棒は、直径16mm、長さ 500~600mmの鋼又は金属製丸棒で、その先端を半球状とする。

4.試料
試料は、JIS A 1115 の規定によって採取するか、又は JIS A 1138 の規定によって作る。

5.試験
試験は次による。
a)スランプコーン(3)は、水平に設置した剛で水平性があり平滑な平板(3),(4)上に置いて押さえ、試料はほぼ等しい量の 3層に分けて詰める。その各層は、突き棒でならした後、25回一様に突く。この割合で突いて材料の分離を生じるおそれのあるときは、分離を生じない程度に突き数を減らす。各層を突く際の突き棒の突き入れ深さは、その前層にほぼ達する程度とする。
注(3)スランプコーンの内面と平板の上面は、あらかじめ湿布などでふいておく。
(4)平板の水平の確認は、水準器を用いて行うのが望ましい。

b) スランプコーンに詰めたコンクリートの上面をスランプコーンの上端に合わせてならした後、直ちにスランプコーンを静かに鉛直に引き上げ(5)、コンクリートの中央部において下がりを 0.5 cm単位で測定し、これをスランプとする。
なお、コンクリートがスランプコーンの中心軸に対して偏ったり、くずれたりして、形が不均衡になった場合は、別の試料によって再試験する。
注(5)スランプコーンを引き上げる時間は、高さ30cmで 2~3秒とする。

c)スランプコーンにコンクリートを詰め始めてからスランプコーンの引き上げ終了までの時間は、3分以内とする。

6. 試験の結果
スランプは、0.5cm単位で表示する。

(ⅱ)JISでは、コンクリートの中央部の下がりを測ることになっているが、実際にどこを測定したらよいか分からない場合がある。この場合は、一般的には 図6.9.1に示す位置で測定するとよい。

図6.9.1スランプの測定位置(ZKT-201).jpg

図6.9.1    スランプの測定位置 (ZKT-201:2007より)

(ⅲ)現在製造されているほぼすべてのコンクリートに化学混和剤が使用されているが、その種類や気温等によってスランプや空気量が大きく経時変化する場合がある。スランプや空気量の変動は、コンクリートのワーカビリティーや硬化後の強度・耐久性・凍結融解抵抗性等に大きな影響を及ぼすため、試験時期及び回数については、平成 19年版までの「標仕」に示される「6.9.3(b)(1)(ⅱ)の試料の採取ごと」に加え、平成 22年版「標仕」からは、「打込み時に品質変化が認められた場合」が追加されている。

(2) 空気量試験方法

空気量の試験方法には、JIS A 1128(フレッシュコンクリートの空気量の圧力による試験方法ー空気室圧力方法)、JIS A 1118(フレッシュコンクリートの空気量の容積による試験方法(容積方法))及びJIS A 1116(フレッシュコンクリートの単位容積質量試験方法及び空気量の質量による試験方法(質量方法))の 3種類の方法がある。これらの内、最も多く使用されているのは、JIS A 1128である。この試験の実施においては、容器の上面とふたの下面の間の空間を水で満たす方法(注水法)と水を満たさない方法(無注水法)の 2種類の測定方法がある。測定精度としては注水法の方が優れているが、一般的には、測定終了後の試料の廃棄の問題から、多くの建設現場では、無注水法で空気量の試験が行われている。ただし、いずれの方法で実施する場合でも、空気が漏れないよう容器の上面とふたの下面を正しく一致させることが必要である。

JIS A 1128の抜粋を次に示す。

JIS A 1128:2005

3. 器具
3.1 空気量測定器 空気量測定器は.次のとおりとする。
a) 空気量測定器は、図1に示すようにコンクリートとふたとの間の空間に注水して試験するように造られたものとする。
備考 注水しないで試験するように造られたものを用いてもよい。
JIS A1128_3器具_図1空気量測定器.jpg
図 1 空気量測定器

b) 容器は、フランジ付きの円筒状容器で、その材質はセメントペーストに容易に侵されないものとし、水密で十分強固なものとする。また、容器の直径は、高さの 0.75~1.25 倍に等しくし、その容積は注水して試験する場合(注水法)少なくとも 5L とし、注水しないで試験する場合(無注水法)は 7L 程度以上とする。

さらに、容器はフランジ付きでふたと高圧下で密封される構造となっているものとし、内面及びフランジの上面を平滑に機械仕上げしたものとする。
c) ふたは、フランジ付きでその材質は容器と同様にセメントペーストに容易に侵されないものとし、水密で十分強固なもので、注水口及び排水(気)口を備えていなければならない。ふたの下面及びフランジの下面は、平滑に機械仕上げしたものとする。

d) ふたの上部には、容器の約5%の内容量をもつ空気室を取り付ける。
空気室は、圧力調整弁、空気ハンドボンプ、圧力計及び作動弁備えていなければならない。

なお、作動弁はふたと容器とを組み立てた場合に、100 kPaの圧力で空気及び水が漏れず、通常の使用圧力下において空気量の目盛で 0.1%以下の膨張に抑えられる剛性をもつものでなければならない。さらに、空気室内の高圧の空気を容器に噴出し、かつ、空気室に水が浸入しないような構造でなければならない。

e)圧力計は、容量約 100 kPa で 1 kPa 程度の感度のものとする。
その目盛板の直径は 9cm以上とし、容器中の空気量に相当する圧力の点に空気量の分率%(5.3 参照) を少なくとも8%まで目盛、また初圧力 ( 5.2参照)を明示したものとする。

f) キャリブレーションのため、必要な水量を簡単な操作で器外に取り出せるような器具(長さ 50nm のキャリブレーションパイプ、延長チューブ、図2参照)を用意する。

JIS A1128_3器具_図2キャリブレーションパイプ.jpg
図2 キャリブレーションパイプ
延長チューブを取り付けた一例

JIS A1128_3器具_図3圧力計の目盛板の例.jpg
図 3 圧力計の目盛板の一例

3.2 振動機
振動機は、JIS A 8610 に規定するものとする。

4    試料
試料は、JIS A 1115 によって採取するか、又はJIS A 1138によって作る。

5. 測定器のキャリブレ ーション
備考 測定器のキャリブレーションは 連続した測定の始めに行う。

5.1 容器のキャリブレーション

a) 容器を水平な場所に置き、容器のフランジに沿ってカップグリースを薄く塗る。

b) 容器の高さの 9割程度まで水を入れ、磨きガラス板を当て、残りの水を足しながらガラス板をフランジに沿って移動し、泡を残さないように水を悩たす。

c) このときの水温 ( t1 )℃をはかる。

d) 容器からあふれた水が付着している場合は、 水をふき取り、容器とガラス板の質量(m1)を 1g まではかる。

e) 容器内の水を捨て、容器に付着した水をふき取り容器の質量(m2)を1g まではかる。

f) ガラス板に付着した水をふき取りガラス板の質量(G1)を 1g まではかる。

g) 容器の容積は、次の式によって算出する。
Vc = (m1 - (m2 + G1))/ρw
ここに、ρw : 水温  ( t1 ) ℃のときの水の密度

5.2 初圧力の決定
初圧力の決定は、次のとおり行う。

a) 容器に水を満たし、ふたの表裏を通気できるようにしておいて、静かにふた (3) を容器に取り付ける。 ふたを取り付けた後、排水口を開け、ふたの裏側と水面との間の空気が追い出されるまで注水口から注水する。
注 (3) キャリブレーション器具(図2 参照)は、この際にふたに取り付けておく。
備考 無注水法の場合には、あらかじめ満水の質量をはかり(5.1 参照)、容器にふたを取り付けた後に、その質量だけ注水する。
b) すべての弁を閉じ、空気ハンドポンプで空気室の圧力を初圧力よりわずかに大きくする。 約 5秒後に調節弁を徐々に開いて、圧力計の指針を初圧力の目盛に正しく一致させる。

c)  作動弁を十分に開き、 空気室の気圧と容器内の圧力とを平衡させて圧力計を読み、その読みが空気量 0%の目盛と正しく一致するかどうかを調べる。これが一致しない場合には、空気及び水の漏れの有無、その他を点検した後、キャリブレーションを繰り返す。 2 〜 3 回繰り返したとき、圧力計の指針は同じ点を指すが,零点に一致しない場合には、初圧力の目盛の位置を、指針が零点にとどまるように移動する。 この後操作を繰り返し、初圧力の目盛の位置が適切であったかどうかを確かめる。
備考  無注水法の場合には、無注水用目盛( 図3 参照 )を読む。

5.3 空気量の目盛のキャリブレーション

空気量の目盛のキャリブレーションは、次のとおり行う。

a) 5.2 a) と全く同様の操作を行い、さらに、次の操作を行う。

1) 3.1 f) の器具を用いて容器内の水を約100~140ml(空気量で約 2%) メスシリンダーに取り出し、容器の容量に対する分率(%)で表す。

2) 容器内の気圧を大気圧に等しくして閉め切り、空気室内の気圧を初圧力まで高める。

3) 作動弁を開いて高圧の空気を容器内に導く。

4) 圧力計の指針が安定してから空気量の目盛を読む。

b) 再びa) に準じて容器内の水を取り出し、取り出した水量の和を容器の容量に対する分率(%)で表す。a) と同様にして空気量の目盛を読む。

c) 前記の採作を 4~5回(空気量 約 2%ピッチ)行い、取り出した水量の容器の容量に対する分率(%)と空気量の目盛とを比較する。

これらの値がそれぞれ一致しているときには、空気量の目盛は正しい。一致しない場合には、両者の関係を図示する。この図を空気量のキャリブレーションに用いる。

備考 圧力計を読む場合には、圧力計の針が安定するよう、毎回圧力計を指で軽くたたいてから読む。

6. 骨材修正係数の測定
骨材修正係数の測定は、次のとおり行う。(4)
注(4) 骨材修正係数は骨材が異なると変わる。通常同一のロットの骨材では一定としてよいが、随時試験によって確認することが推奨される。

a) 空気量を求めようとする容量 Vc のコンクリート試料中にある細骨材及び粗骨材の質量を、次の式によって算出する(5)。
mf = − VC/ VB ×  mf
mc = − VC/ VB × mc
ここに、
mf:容積 VC のコンクリート試料中の細骨材の質量(kg)
mc:容積 VC のコンクリート試料中の粗骨材の質(量kg)
VB:1 バッチのコンクリートのでき上がり容積 (L)
VC:コンクリート試料の容積(容器の容積に等しい)(L)
mf’:1 バッチに用いる細骨材の質量(kg)
mc’:1 バッチに用いる粗骨材の質量(kg)

注(5) 空気量の測定を行ったコンクリートから、150μmのふるいを用いてセメント分を洗い流し、骨材の試料を採取してもよい。

b) 細骨材及び粗骨材の代表的試料を、それぞれ質量で mf 及び mc だけ採取する 。 約 1/ 3 まで水を満たした容器の中に骨材を入れる。細骨材と粗骨材は混合して少しずつ容器に入れ、すべての骨材が水に浸されるようにする(6)。骨材を入れるときには、 できるだけ空気が入らないようにし、出てきた泡は速やかに取り去らなければならない。空気を追い出すために、容器の側面を木づち(槌)などでたたき、また細骨材を加えるごとに 25mmの深さに逹する まで突き棒で約 10 回突くものとする。

注(6) 試料骨材粒の含水状態を、コンクリート試科中の骨材粒の含水状態と同様にするため、5 分間程度水に浸すのがよい。

c) 全部の骨材を容器に入れた後、水面の泡 をすべて取り去り、容器のフランジとふたのフランジとをよくぬぐい、ゴムパッキンを入れ、ふたを容器に締め付け、排水(気)口から水があふれるまで注水する。次にすべての弁を閉じ、空気ハンドボンプで空気室の圧力を初圧力よりわずかに大きくする。約 5秒後に調節弁を徐々に開lいて、圧力指針を初圧力の目盛に一致させる。次に作動弁を十分に開き空気室の気圧と容器内の圧力とを平衡させて圧力計の空気量の目盛を読み、これを骨材修正係数  (G) とする(7)。

注(7) 必要があれば 5.3 c) によってこの読みを補正する。

7. コンクリートの空気量の測定

コンクリートの空気量の測定は、次のとおり行う。

a) 試料を容器の約1/ 3 まで入れ、ならした後、容器の底を突かないように各層を突き棒で 25回均等に突く。突き穴が なくなり、コンクリートの表面に大きな泡が見えなくなるように、容器の側面を10~15 回木づち(槌)などでたたく。さらに容器の約 2/ 3 まで試料を入れ、前回と同様の操作を繰り返す。最後に容器から少しあふれる程度に試料を入れ、同様の操作を繰り返した後、定規で余分な試料をかき取ってならし、コンクリート表面と容器の上面とを正しく一致させる。突き棒の突き入れ深さは、ほぼ各層の厚さとする。

b) 振動機で締め固める場合には、JIS A 1116 の 5.2(振動機で締め固める場合)によって行うものとする。 試料は2層に分けて入れ、各層の断面を3等分に分けて締め固める。振動機は、その層が底又は側面に触れないようにし、振動機を抜く際には、空気穴が残らないように注意する。 振動持続時間はコンクリートのワーカビリティーと振動機の性能によって定める。ただし、スランプ 8cm以上の場合は、振動機を用いない。

c) 容器のフランジの上面と、ふたのフランジの下面を完全にぬぐった後、ふたを容器に取り付け、空気が漏れないように締め付ける。排水口から排水されて、ふたの裏面と水面との間の空気が追い出されるまで軽く振動を加えながら注水口から注水する。最後にすべての弁を閉じる。

d) 空気ハンドボンプで空気室の圧力を初圧力よりわずかに大きくする。約 5 秒後に調節弁を徐々に用いて、圧力計の指針が安定するよう圧力計を軽くたたき、指針を初圧力の目盛に正しく一致させる。約 5秒経過後、作動弁を十分に開き、容器の側面を木づち(槌)などでたたく。

再び、作動弁を十分に開き、指針が安定してから圧力計の目盛を小数点以下1 けたで読む(7)。その読みを、コンクリートの見掛けの空気量(A1)とする。測定終了後は、ふたを外す前に注水口と排水(気)口を両方聞いて圧力を緩める(8)。

注(8) 容器及び空気室の両方の圧力を緩める前に作動弁を開かないように注意する。これを怠ると水が空気室に入り、その後の測定に誤差を生むことになる。

8. 計算

a) コンクリートの空気量
コンクリートの空気量(A)は、次の式によって算出する。
A = A1 − G
A : コンクリートの空気量 ( %)
A1:コンクリートの見掛けの空気量 (%)
G : 骨材修正係数(9)
注(9)  骨材修正係数が 0.1%未満の場合は、省略してよい。

b) ふるい分け前のコンクリートの空気量
試験した試料が 40mmより大きい最大寸法の骨材を用いたコンクリートの場合、ふるい分け前のコンクリートの空気量 (A) は、次の式によって算出する。
Af = 100 × A × Vc / ( 100 × Vt − A × Va )
Vc:ふるい後のコンクリートの全容積から空気量を差し引いた容積(m3
Vt:ふるい前のコンクリートの全容積から空気量を差し引いた容積(m3
Va:ふるい前のコンクリートの中の40mmを超える骨材の全容積(m3

c) モルタル部分の空気量
コンクリート中のモルタル部分の空気量(Am)は、次の式によって算出する。
Am = 100 × A × Vc / [100 × Vm + A( Vc − Vm )]
Vm : コンクリート中のモルタル部分の成分の 全容積から空気量を差し引いた容積(m3

(3) 単位容積質量
単位容積質量の試験方法は、JIS A1116(フレッシュコンクリートの単位容積質量試験方法及び空気量の質量による試験方法(質量方法))による。
空気量測定用容器の容積が正確に確認できている時には、この容器を用いて単位容積質量を測定してもよいことになっているので、空気量の試験を実施する際に質量も同時に測定しておけば、単位容積質量を容易に求めることができる。

(4) 温度
温度の測定は,JIS A 1156(フレッシュコンクリートの温度測定方法)による。フレッシュコンクリートの温度は,硬化後のコンクリートの品質に大きな影響を及ぽす重要な情報であるが、これまでは温度の測定方法に規定がなく、上限・下限の温度付近での温度管理は必ずしも適切ではなかった。現在フレッシュコンクリートの温度測定にはアルコール温度計が多く使用されているが、これらには JIS規格がなく、適正な校正が行われず、トレーサビリティーの確保も困難なうえ、実温度と比較すると 1℃程度低い温度を示す場合がある。また、アルコール温度計や水銀温度計は破損しやすく、作業中の危険を防止するためにも JIS A 1156附属書(参考)[温度計の取扱い方法]に従ってバイメタル温度計やデジタル温度計等に変更するのがよい。

JIS A 1156 の抜粋を次に示す。
JIS  A 1156: 2006

3. 試験用器具
a) 温度計
温度計は、接触方式の温度計とし、 0 ~ 50℃の測定範囲の目量が 1 ℃以下のものとする。
なお、温度計の校正は、JIS Z 8710に規定する 7.2(接触式温度計の校正方法)によって行う。

備考
接触方式とは、測定対象と温度計の検出部(感温部)とを物理的によく接触させて同じ温度に保ち、温度を測定する方法をいう。また、温度計の検出部とは、測定対象に接触し、その温度と同一温度になるべき部分をいう (JIS Z 8710参照)。

b) 容器
試料を受ける容器は、水密なものとし、内径(一辺) 及び高さが14cm以上かつ容量が2L 以上とする。(1)
注(1)  容器として一輪車を用いてもよい。

4. 試料
試料は、JIS A 1115 の規定によって 2L 以上採取する。

5. 測定方法
a) 試科を容器に入れ、直射日光や風などが当たらない平らな場所に静置する。
b) 温度計は、容器の中央部からほぼ垂直に挿入する。その際、温度計の検出部全体が試料に浸没するまで挿入する。 温度計を挿入した後、温度計周囲の試料表面を軽く押しなら(均)す。
c) 温度計は、示度が安定するまで静置し、試料に挿入した状態で示度を読み取り記録する。

参考  各温度計の取扱い方法は、附属書(参考)による。

d) 試料の採取から示度を読み取るまでの時間は、 5 分以内とする。

附属書(参考)温度計の取扱い方法
この附属書(参考は)、フレッシュコンクリートの温度測定方法における温度計の取扱い方法の標準を示すものであり、規定の一部ではない。

1. ガラス製棒状温度計による測定
ガラス製棒状温度計を用いてフレッシュコンクリートの温度測定を行う場合は、JIS Z 8705(ガラス製温度計による温度測定方法) によって行う。
ガラス製棒状温度計は、JIS B 7411(一般用ガラス製棒状温度計 ) に規定される全浸没温度計又は浸没線付温度計を用いる。

全浸没温度計を用いて温度測定を行う場合には、JIS B 7411 の 4.2 に従い、その液柱頂部がフレッシュコンクリートの表面と同一面又は 2 目盛以上、上方にならないように挿入する。

浸没線付温度計を用いて温度測定を行う場合は、球部(ガラス製棒状温度計の先端部分で、感温液が封入されている部分)から浸没線までをフレッシュコンクリート試料中に挿入するとともに、そのときの挿入深さは60mm以上とする。

温度計の示度の読取りは、上記条件に従って温度計をフレッシュコンクリートに挿入し、両者が熱的平衡に達した後、目盛面に垂直な方向から見て行う。

なお、熱的平衡に達するまでの時間(示度が安定するまでの時間)は、2 分以上とする。

全浸没温度計を感温液柱の一部を露出した状態で使用する場合、又は浸没線付温度計を正しくない浸没状態(浸没線まで挿入していない状態)で使用する場合には、温度計の示度に大きな誤差を生じることがあるので、浸没条件を満足しなければならない。

なお、温度計破損によるけがや試料へのガラス片混入等を防止するため、保護管の使用、又は飛散防止シート付きの温度計を使用することが望ましい。

2. 抵抗温度計等による測定

白金抵抗温度計やサーミスタ温度計等の抵抗式測温体による温度計を用いてフレッシュコンクリートの温度測定を行う場合は、JIS Z 8704(温度測定方法一電気的方法)によって行う。  抵抗温度計は、 JIS C 1603(指示抵抗温度計)などのJIS C 1604(測温抵抗体) 及び JIS C 1611(サーミスタ測温体) に規定された抵抗式測温体を用いたものとする。 温度計の示度の読取りは、検出部をフレッシュコンクリートに挿入し 両者が熱的平衡に達した後に行う。

なお、そのときの挿入深さは、ガラス製棒状温度計による測定と同様、60mm以上とする。

3. 熱電温度計による測定

熱電温度計を用いてフレッシュコンクリートの温度を測定する場合は、JIS Z 8704によって行う。熱電温度計は、JIS C 1601(指示熱電温度計)、JIS C 1602(熱電対)及び JIS C 1605(シース熱電対)に規定された熱電対を用いたものとする。温度計の示度の読取りは、検出部をフレッシュコンクリートに挿入し、両者が熱的平衡に達した後に行う。

なお、そのときの挿入深さは、ガラス製棒状温度計による測定と同様、60mm以上とする。

4. バイメタル式温度計による測定

バイメタル式温度計を用いてフレッシュコンクリートの温度を測定する場合は、JIS Z 8707(充満式温度計 及びバイメタル式温度計による温度測定法)によって行う。温度計の示度の読取りは、感温部全体をフレッシュコンクリートに挿入し、両者が熱的平衡に達した後に行う。

なお、熱的平衡に達するまでの時間(示度が安定するまでの時間)は、3分以上とする。

( 5 )  塩化物量試験

フレッシュコ ンクリートの塩化物含有量の試験方法は、 旧・(財)国土開発技術研究センターの技術評価を受け    た塩化物量測定器によることとしている。技術評価を受けた測定器の概要を表 6.9.1に示す 。

なお、これらの測定器による方法は簡易試験方法である。試験結果等に疑間が生じた場合は、 JIS A 1144( フレッシュコンクリート中の水の塩化物イオン濃度試験方法)によって確認するとよい。

また、最近では単位セメント量の増加や高性能 AE減水剤等の使用により試料ろ液の採取が困難な場合がある。 このような場合には、JIS A 1144 附属書A(規定)[ 試料ろ液の採取が困難なフレッシュコ ンクリート からの試 料ろ液の採取方法 ]によって試科ろ液を採取するとよい。

JIS A 1144 の抜粋を次に示す。

表6.9.1    技術評価を受けた塩化物量測定器の概要
表6.9.1 技術評価を受けた塩化物量測定器の概要.jpg
JIS   A 1144: 2010

附属書  A(規定)
試料ろ液の採取が困難なフレッシュコンクリートからの試料ろ液の採取方法

序文
この附属書は、粘性が高く試料ろ液の採取が困難なフレッシュコンクリート試料を水によって希釈し、試験に供する試料ろ液を採取する方法について規定する。

A.1  試験用器具
試験用器具は、次のものを用いる。

A.1.1  はかり
はかりは、ひょう量がフレッシュコンクリート試料とかくはん容器との合計量以上で、目量が 1 g 又はこれより小さいものとする。

A.1.2    かくはん容器
かくはん容器は、フレッシュコンクリート試料と水とを入れてかくはんを行っても漏れの生じない十分な大きさのものとする。
なお、かくはん時に転倒震とう(盪)を行う場合は、フレッシュコンクリート試料と水とを入れて転倒震とう(盪) ができる大きさのポリプロビレン製広口瓶などを用いるとよい。

A.2 希釈に用いる水
フレッシュコンクリート試料の希釈に用いる水は、蒸留法若しくはイオン交換法によって精製した水、又は逆浸透法、蒸留法、イオン交換法などを組合わせた方法によって精製した水とする。

JIS K 0557に規定する種別 A1以上又は日本楽局方に規定する精製水以上の純度に精製された水を用いるとよい

A.3 フレッシュコンクリート試料中の水の希釈倍率
フレッシュコンクリート試科中の水の希釈倍率は、3倍を標準とする。

A.4 フレッシュコンクリート試料のはかりとり量
フレッシュコンクリート試科は、2 kg 以上を 1 g のけたまではかりとる。

A.5 フレッシュコンクリート試料に添加する水の量
フレッシュコンクリート試料に添加する水の量は、次の式  (1)及び式(2)によって計算し、四捨五入によって 1g 単位で整数に丸める。

Wa = Ws × ( Dm − 1 )    ・・・(1)
Ws = (Ms × W)/ M ・・・(2)
ここに
Wa:フレッシュコンクリート試科に添加する水の量 (g )
Ws:フレッシュコンクリート試科中の水の質量 ( g )
Dm:フレッシュコンクリート試料中の水の希釈倍率
Ms :フレッシュコンクリート試料の質量(g)
W : 配合による 単位水量 (kg/m3)
M   : 配合によって求めたコンクリー トの単位容積質量  (kg/m3 )

A.6 フレッシュコンクリート試料の希釈方法
フレッシュコンクリート試科の布釈方法は、次による。

a) フレッシュコンクリート試科をはかりとる。フレッシュコンクリート試料は、かくはん容器に直接はかりとることが望ましい。

b) フレッシュコンクリート試料に A.5 で求めた規定量の水を加えかくはんする。かくはんは、フレッシュコンクリート試科中のセメントペーストと水とが十分に混ざり合い均質となるまで行う。

1 回目のかくはんが終了したらかくはん容器を静置し粗骨材 が 完全に沈降するのを待ち、この後、2回目のかくはんを行う。 2 回目のかくはんが終了したらかくはん容器を静置し粗骨材が完全に沈降するのを待つ。

なお、普通骨材を用いたコンクリートを試験する場合、かくはん容器をおよそ 5分間静置すれば、粗骨材が完全に沈降するとみなしてよい。

A.7 懸濁水及びモルタル分の採取並びに試料ろ液の抽出方法

希釈したフレッシュコンクリート試科からの試科ろ液の抽出は、次による

a) 希釈したフレッシュコンクリート試料の上部から懸濁水及びモルタル分の必要量を採取する。

b) 採取した懸濁水及びモルタル分から試料ろ液を抽出する。試料ろ液を抽出る方法は、次のいずれかとする。

なお、吸引ろ過によって試料ろ液を得るときに長い時間を要する場合には、ろ液が減圧環境下において蒸発し濃縮する可能性がある。また、環境温度が高いと蒸発が促進されるため、吸引ろ過以外の抽出方法をとることが望ましい。

1) 吸引ろ過
2) 加圧ろ過(圧搾)
3) 遠心分離

6.9.3 コンクリートの強度試験の総則
(a) コンクリートの強度試験には、調合管理強度の管理のための試験、型枠取外し時期を決定するための試験及び構造体コンクリートの圧縮強度を管理するための試験の 3 種類があり、それぞれの強度試験の回数は、製造工場ごとにコンクリートの品質のレペル及び品質変動状況等を勘案して「標仕」6.9.3 (a)のように定めている。

また、平成 25年版「標仕」では、軽量コンクリートも普通コンクリー トと同じ頻度で試験を行っても十分な品質管理が行えるとの判断から、普通コンクリートと同じ頻度で強度試験を行うことに変更された。

(b) コンクリートの強度試験の具体的方法として、 1 回の試験に用いる供試体の個数及び試料採取の方法、供試体の作製方法、養生方法及び養生温度並びに圧縮強度試験方法について「標仕」6.9.3 (b)では、次のように定めている。

(1) 1 回の試験の供試体の個数及び試料採取の方法

(i) 1 回の試験の供試体数は、「標仕」表 6.9.2 に示された「調合管理強度の管理試験用」、「型枠取外し時期の決定用」、「構造体コンクリートの圧縮強度推定用」等、試験の目的に応じてそれぞれ 3個必要である。

なお、構造体コンクリートの圧縮強度の推定試験 は、「標仕」6.9.5 に記されているように、現場水中養生を行って材齢 28日で行う推定試験と、現場封かん養生を行って材齢  28日を超え 91日以内で行う推定試験の 2種類がある。
なお、使用するセメントの種類やコンクリートの打込み・養生時期等によって、材齢 28日では所定の圧縮強度が得られないことが懸念される場合は、材齢 28日で推定試験を行うための供試体のほかに、材齢 28日を超え 91日以内で推定試験を行うための供試体を別途用意しておくとよい。

ただし、供試体の採取時期及びその方法は、調合管理強度の管理試験用とその他の試験用とで異なるので注意しなければならない(表6.9.2 参照)。

(ii) 「構造体コンクリートの圧縮強度推定用」の場合は、「標仕」 6 .9. 3 (a) の量を 1 回の試験ロットとし、この中から適切な間隔をあけて3台の運搬車を選び、各運搬車からコンクリート試料を採取して供試体を1 個ずつ合計  3 個作製する。1 回の強度試験にはこの 3個を使用する。  例えば、1 日の打込み量が 150m3 の場合は、0 ~50m3、 50~100m3、100~150 m3 のそれぞれ中程の連搬車から試料を採取し、供試体を1 個ずつ、合計 3 個作製することになる。「型枠取外し時期の決定用」も上記「構造体コンクリートの圧縮強度推定用」 と同様の方法で 3個の供試体を作製し、1 回の試験にこの 3個の供試体を使用する。
ただし、「調合管理強度の管理試験用」の場合は、「標仕」6.9.3 (a)の量を 1回の試験ロットとし、この中の任意の運搬車を1 台選び、この運搬車からコンクリート試料を採取して同時に3個の供試体を作製し、これを1 組として1 回の強度試験を行う(表6.9.2 参照)。

「標仕」に基づき、1 日の普通コンクリー トの打込み量が 270m3 の場合の、供試体の採取例を表 6.9.2 に示す。

表 6.9.2  供試体の採取例
表6.9.2_供試体の採取例.jpg
(2) 供試体の作製方法

供試体は、JIS A 1132(コンクリート強度試験用供試体の作り方 )に基づいて工事現場で作製する。コンクリートを詰め終えてから 16 時間以上 3日以内に脱型し、「標仕」6.9.3 (b)(3)に規定される試験の目的に応じた養生方法で養生を行う。ただし、現場封かん養生を行う場合は、6.9.3 (b)(3)(ⅱ) ①から③までを参考にして行う。

なお、平成 25年版「標仕」ではコンクリートを打ち込んでから脱型するまでの時間が JIS A 1132に準拠して変更されたので注意しなければならない。
また、供試体を作製したのち、すぐに、直射日光や風が当たらない屋内に静置し、脱型するまでの 24 時間から 48 時間の間はコ ンクリート表面が乾燥しないように湿布やフィルム等で覆うようにすることが重要である。

JIS A 1132の抜粋を次に示す。

 JIS  A  1132 : 2006

4 圧縮強度試験用供試体

4.1 供試体の寸法   
供試体は、直径の 2倍の高さをもつ円柱形とする。その直径は、粗骨材の最大寸法の 3倍以上、かつ、100mm以上とする。
参考)供試体の直径の標準は、100mm、125mm、150mmである。粗骨材の最大寸法が 40 mmを超える場合には、40mmの網ふるいでふるって 40mmを超える粒を除去した試料を使用し、直径150mmの供試体を用いることがある。ここで、40mmの網ふるいとは、JIS Z 8801-1に規定する公称目開き 37.5mmの網ふるいのことをいう。

4.2 器 具   
器具は、次による。
a) 型枠は、非吸水性でセメントに侵されない材料で造られたものとする。

b) 型枠は、供試体を作るときに漏水のないものとする。

参考
幾つかの部品からなる型枠の場合、その継ぎ目には油土、硬いグリースなどを薄く付けて組み立てる。

c) 型枠は、所定の供試体の精度が得られるものとする。

d) 型枠の内面には、コンクリートを打ち込む前に鉱物性の油又は非反応性のはく離材を薄く塗るものとする。

e) 突き棒を用いて締め固める場合、突き棒は、先端を半球状とした直径16mm、長さ約 500~600mmの丸鋼とする。

f) 内部振動機によって締め固める場合振動機は JIS A 8610に規定されるものとする。振動機の棒径は,供試体の最小寸法の1/4以下(1)とする。

注(1)  φ100mmの 供試体の場合、棒径28mmを用いてもよい。

g) 振動台式振動機によって締め固める場合、振動機は JIS A 8611に規定されるものとする。

備考 振動台式振動機又はその他の方法によって締め固める場合、対象となるコンクリート試科を十分締め固めることのできる性能のものとする。

4.3 コンクリートの打込み

4.3.1 コンクリートの詰め方  
コンクリートは、2層以上のほぽ等しい層に分けて詰める。各層の厚さは160mmを超えてはならない。

4.3.2 突き棒を用いる場合
各層は少なくとも1000mm2 に1回の割合で突くものとし、すぐ下の層まで突き棒が届くようにする。突いて材料の分離を生じるおそれのあるきとは、分離を生じない程度に突き数を減らす。

4.3.3   内部振動機を用いる場合  
内部振動機はコンクリート中に鉛直に挿入する。最下層を締め固める場合は、型枠底面から約 20mm上方までの深さまで突き入れる。最下層以外を締め固める場合は、すぐ下の層に 20mm程度差し込むようにする。
振動締固めは、大きな気泡が出なくなり、大きな骨材の表面をモルタル層が薄く覆うまで続ける。その後、振動機によってできた穴を残さないようにゆっくりと引き抜く。

4.3.4  振動台式振動機を用いる場合
型枠は振動台に取り付けるか、強固に押し当てる。振動締同めは、大きな気泡が出なくなり、大きな骨材の表面をモルタル層が薄く覆うまで続ける。振動のかけすぎは避けなければならない 。

4.3.5 上面のならし
型枠の上端より上方のコンクリートは取り除き、表面を注意深くならす。

備考
キャッピングを行う場合は、コンクリート上面が、型枠頂面からわずかに下になるようにする。

4.4 供試体の上面仕上げ

4.4.1 キャッピングによる場合
キャッピングは、次による。
a) キャッピング用の材料は、コンクリートによく付着するもので、かつ、コンクリートに悪影響を与えるものであってはならない。
b) キャッビング層の圧縮強度は、コンクリートの予想される強度より小さくてはならない。
c) キャッピング層の厚さは、供試体直径の2%を超えてはならない。

4.4.2  研磨による場合
研磨によって上面を仕上げる場合は、コンクリートに悪影響を与えないように行う。

4.4.3   アンボンドキャッピングの場合    
供試体打込み時に硬化後の平面度(2)が 2mm以内になるように仕上げなければならない。この供試体を強度試験に適用する場合には、JIS A 1108 の附属書による。
注(2) ここでいう平面度は、平面部分の最も高い所と最も低い所を通る二つの平行な平面を考え、この平面間の距離をもって表す。

4.5 供試体の形状寸法の許容差
供試体の形状寸法の許容差(3) は、次による。
a) 供試体の寸法の許容差は、直径で 0.5 %以内、高さで  5 %以内とする。
b) 供試体の載荷面の平面度は、直径の0.05%以内とする。ただし、JIS  A 1108 の附属書による場合の上面は除く。
c) 載荷面と母線との間の角度は、 90 ± 0.5゜とする。
注(3) 検定された型枠を用いて供試体を作る場合には、 a) 、 b) 及び c) に示した各項目の測定は省略してもよい。

附属書 1(参考) コンクリートの打込み方法
序文 この附属書(参考)は、コンクリートの打込み方法の標準を示すものであり、規定の一部ではない。

1. 圧縮強度試験用供試体の場合

1 .1  突き棒を用いる場合
コンクリートは 各層ごとに、型枠の軸にほぼ対称となるように入れ、その上面を突き棒でならす。
直径150mm、高さ300mmの 供試体の場合は、 3層に分けて詰め、各層を突き棒で25 回突く。直径の150mm以外の供試体については、各層の厚さを 100~150mmとし、上面積 700mm2について 1 回の割合で突く。
突き終わった後、型枠側面を木づち(槌)で軽くたたいて、突き棒によってできた穴がなくなるようにする。

1.2 内部振動機を用いる場合   
直径100 ~ 200mmの供試体に対しては、コンクリートをほぽ等しい2層に分けて詰める。各層ごとに、型枠の軸lにほぼ対称となるようにコンクリートを入れ、振動機を用いて締め固める。
振動機は、1層につき上面積約 6000mm2について1回の割合で差し込む。 上層のコンクリートは、振動機を差し込む際にモルタルがあふれ出るほど詰め込まない。振動機を抜き終わったら型枠側面を木づち(槌)で軽くたたく。

1.3 振動台式振動機を用いる場合   
型枠の軸にほぼ対称になるようにコンクリートを詰め、振動を与えて締め固める。
JIS A 1132: 2006

(3) 養生方法及び養生温度

(i) 供試体の養生方法は標準養生、現場水中養生及び現場封かん養生の3種類で、表 6.9.2 により、調合管理強度の管理試験用供試体の場合は  20 ± 2℃の水中養生(標準養生)とする。構造体コンクリートの強度推定用供試体の場合は、養生温度をできるだけコンクリートを打ち込んだ構造体に近い条件にした現場水中養生及び現場封かん養生とする。また、型枠取外し時期決定用の供試体の場合は、現場水中養生とする。

 解説
標準養生の規定が、20 ± 2℃の水中養生であるのは、JIS A 1132(コンクリート強度試験用供試体の作り方)による。JASS 5(2015年)によると、JIS A 0203により「温度を 20 ±3 ℃に保った水中、湿砂または飽和水蒸気中で行う供試体の養生」という用語の定義がある。
(ii) 現場封かん養生は次に示す方法を参考にして行う。

① JIS A 1132を参考に、コンクリート試料を型枠へ詰め込み、締め固めたのち、コンクリートの水分が逸散しないようにラッピングフィルム等で上面を密封する。
② 屋外の直射日光の当たらない場所に速やかに移動・静置し保管する 。
③ 鋼製型枠を使用する場合は、コンクリートを詰め終わってからおおむね 16時間から 72時間の間に脱型する。その後、再度ラッピングフィルム等で全面を密閉し、屋外の直射日光の当たらない場所に強度試験を行うまで静置・保管する。
なお、軽量型枠を使用する場合は、コンクリート試科を型枠に詰め込んでラッピングフィルム等で密閉したままの状態で、強度試験を行うまで屋外の直射日光の当たらない場所に静置・保管する方法もあるが、この方法はあくまでも簡易的な方法であり、「標仕」では、基本的には鋼製型枠を使用する場合と同様の手顛で行うことが求められている。
(iii) 現場水中養生の場合は、直射日光が当たらない屋外に水槽を設置し、型枠脱型後直ちに水槽に浸漬し、強度試験を行うまで保管する。
なお、現場水中養生における養生温度は、水槽内の最高及び最低の水温を毎日測定し、養生期間中の全測定値を平均した値とする 。
( 4 )   圧縮強度試験方法
圧縮強度試験は、 JIS A 1108(コンクリートの圧縮強度試験方法)によって実施し、1 回の 試験結果の平均値は、「標仕」6.9.1 式に基づいて3 個の供試体の圧縮強度から求める。また、3 回の試験結果の平均値は、「標仕」6.9.2 式に基づいて 3 回の圧縮強度の平均値から求 める。
JlS  A 1108の抜粋を次に示す。
JlS  A 1108 :  2006

3. 供試体
供試体は、次のとおりとする。
a) 供試体は、JIS A 1132によって作製する(1)。 また、 供試体は、所定の養生が終わった直後の状態で試験が行えるようにする(2)。
注(1) 試験を行う供試体の材齢が指定されていない場合には、1 週、4 週及び13週、又はそのいずれかとする。
注(2) コンクリートの強度は、供試体の乾燥状態や温度によって変化する場合もあるので、養生が終わった直後の状態で試験を行う必要がある。
b) 損傷又は欠陥があり、試験結果に影響すると考えられるときは、試験を行わないか、又はその内容を記録する。
4. 装 置
装置は、次のとおりとする。
a) 試験機は、JIS B 7721 の 7.(試験機の等級) に規定する1 等級以上のものとする。
b) 上下の加圧板は鋼製とし、圧縮面は磨き仕上げとする(3)。
注(3) 加圧板は、JIS B 7721 附属書 B に示す。
5. 試験方法
試験方法は、次のとおりとする。
a) 直径及び高さを、それぞれ 0.1mm及び 1mmまで測定する。 直径は、供試体高さの中央で、互いに直交する2方向について測定する。
b) 試験機は、試験時の最大荷重が指示範囲の 20~100%となる範囲で使用する。同一試験機で指示範囲を変えることができる場合はそれぞれの指示範囲を別個の指示範囲とみなす。
参考)試験時の最大荷重が指示範囲の 90%を超える場合は、供試体の急激な破壊に対して、試験機の剛性などが試験に耐えうる性能であることを確認する。
c) 供試体の上下端面及び上下の加圧板の圧縮面を清掃する。
d) 供試体を、供試体直径の1%以内の誤差で、その中心軸が加圧板の中心と一致するように置く。
e) 試験機の加圧板と供試体の端面とは、直接密着させ、その間にクッション材を入れてはならない。ただし、アンボンドキャッピングによる場合を除く[アンボンドキャッビングの方法は、附属書1(規定)による。]。
f ) 供試体に衝撃を与えないように 一様な速度で荷重を加える。 荷重を加える速度は、圧縮応力度の増加が毎秒 0.6 ± 0.4 N/mm2 になるようにする。
g) 供試体が急激な変形を始めた後は、荷重を加える速度の調節を中止して、荷重を加え続ける。
h) 供試体が破壊するまでに試験機が示す最大荷重を有効数字3けたまで読み取る。
6. 計 算
圧縮強度は、次の式によって算出し、四捨五入を行って有効数字3 けたに丸める。
fc = P / ( π × ( d / 2 )2)
fc :圧縮強度 (N/mm2)
P: 5.h) で求めた最大荷重 (N)
d: 5.a) で求めた供試体の直径 (mm)
附属書1(規定) アンボンドキャッピング
1. 適用範囲  
この附属書は、ゴムパッドとゴムバッドの変形を拘束するための鋼製キャップを用いて、圧縮強度が10 ~ 60N/mm2 の 圧縮強度試験用供試体のキャッピング方法について規定する。
2. 一般事項  
この附属書に規定のない事項については、本体による。
3. 用語の定義
a) 鋼製キャップ
コンクリート供試体の上端の一部を覆うとともに、圧縮強度試験時に鋼製キャップ内に挿入したゴムパッドの水平方向水に対する変形を拘束できる金属製のキャップ。
b) ゴムパッド
鋼製キャップ内に挿入して、コンクリート供試体の打設面の凹凸を埋めるため にクロロプレン又はポリウレタンによって作られた円板状のゴム。
4. 試験用器具
4.1 鋼製キャップ
焼入れ処理を行った S45C 鋼材、SKS鋼材などを用い、圧縮試験機と接する面の平面度が、0.02mm以内であることを確認したものとする。また、鋼製キャップの寸法は、附属書1図1を参照して附属書1 表1 に示す値とする。
附属書1図1鋼製キャップ.jpg
附属書1図1  鋼製キャップ
附属書1表1  鋼製キャップの寸法
附属書1表1鋼製キャップの寸法.jpg
4.2   ゴムパッド
ゴムパッドの外径は、附属書1表1 に示す鋼製キャップの内径とほぼ等しいもので、厚さは 10mmのものとする。また、ゴムパッドの品質は附属書1表2 による。
附属書1表2 ゴムパッドの品質
附属書1表2ゴムパッドの品質.jpg
4.3 ゴム硬度計
ゴム硬度計は、JIS K 6253 に規定するタイプ A デュロメータを用いる。タイプ A デュロメー タの一例を、附属書1図2 に示す。
附属書1図2タイプAデュロメーターの一例.jpg
附属書1図2    タイプA デュロメー タの一例
5. ゴムパッドの硬さ
5.1 測定方法
ゴムパッドの硬さの測定方法は、次による。
a) ゴムパッドを鋼製キャップに挿入した状態で、パッドの外周から中心点に向かって約20mmの位置の 3か所を測定位置とする。 このとき、各測定位置はそれぞれ等間隔に選定するものとする。
b ) それぞれの測定位置においてゴム硬度計を垂直に保ち、押針がゴムパッドに垂直になるように加圧面を接触させる。
c) ゴム硬度計をゴムパッドに押し付け、5秒後の指針の値を読み取る。 このとき、押しつける力の目安は 8 ~10 N程度とするのがよい(1)。
注(1) ゴムパッドの硬さの測定には、オイルダンパを利用した定荷重装置を用いると安定した試験値が得られる。
d)  3個のゴム硬さの測定値から平均値を求め、これを整数 2けたに丸めてゴム硬さの試験値とし、この値と測定時のゴムパッドの温度(2)とを、次の式に代入して、20℃でのゴム硬さに換算する。
K20 = 1.08 × T0.03 × Ki0.96
ここに、
K20 : 温度 20℃でのゴム硬さの換算値
T:測定時のゴムパッドの温度(℃)
Ki : ゴム硬度計の読み
注(2) ゴムパッドの硬さの測定値は、ゴムパッドの温度によって相違する。ゴムパッドの温度を直接測定することができない場合で、ゴムパッドの温度と室温とに差胃がないと考えられるときには、室温を計算に用いてもよい。
5.2 使用限度の判定
未使用時の硬さに対して、測定した硬さが 2 を超えて低下した場合は、新しいものと交換しなければならない。
6. キャッピングの方法
6.1 準 備
新しいゴムパッドを使用する場合は、附属書1 図1 に示すように鋼製キャップの内面にゴムパッドを挿入し、鋼製キャップとゴムパッドとの間に空気が残らないよう、150kN程度の荷重を 2~3回載荷する 。
6.2 方 法
供試体の上面がゴムパッドに接するように鋼製キャップをかぶせる。 コンクリート供試体の側面と鋼製キャップの内側面とが接することのないよう、鋼製キャップの位置を調整する。
JIS  A 1108:2006

(5)   試験の目的
供試体の養生方法、試験の材齢、1 回の試験の供試体の個数及び試験の回数は、「標仕」表 6.9.2 による。ただし、寒中コンクリートの場合は「標仕」表 6.11.1による。

6.9.4 調合管理強度の管理試験
(a) 調合管理強度の管理に使用する供試体と構造体コンクリートの圧縮強度の推定に使用する供試体はいずれも同様のものであるが、採取方法や養生方法が異なるため判定基準も異なる。
平成 22年版「標仕」からは、使用するコンクリートを原則 I 類コンクリートとし、コンクリート発注時の呼び強度の強度値を「標仕」6.3.2 で定める調合管理強度以上としている。これにより、発注したコンクリートの強度の管理試験は、JIS A 5308(レディー ミクストコンクリート)の 4.1 a) の「購入者が指定した呼び強度の強度値」を「調合管理強度」に読み替え、同 4.1a) 1) 及び 2) の品質規定に整合させている。
1 回及び 3 回の試験結果の平均値は、「標仕」6.9.3 (b)(4)に示される 6.9.1 式及び 6.9.2 式によって求める。
なお、調合管理強度の管理試験に使用する供試体は、「標仕」6.9.3(b)(1)(ii) 及び「標仕」 6.9.3(b)(3)(i) 並びに「標仕」表  6.9.2 に示すものを使用し、他の供試体と区別して使用するように注意する。
(b) 試し練りの調合強度の判定基準については、 JASS 5 にも規定されておらず、現状では明確な判断基準はない。ただし、(一社)日本建築学会「コンクリートの調合設計指針・同解説」において「(試し練り試験の)圧縮強度試験の結果の判断基準については、圧縮強度のばらつきを考慮して所定の材齢において調合強度の0.95倍以上が得られることを目安とすればよい」と記載されており、行う場合にはこれを参考にするとよい。

6.9.5 構造体コンクリート強度の推定試験
(a)「標仕」によれば、構造体のコンクリート強度は「標仕」  6.2.2(c)(1) に規定される「材齢 91日において設計基準強度以上」でなければならないが、 6.2.2 (c) に記したように、実際のコンクリート工事において構造体のコンクリート強度をコア供試体で試験することは、構造体に損傷を与え、かつ、修復が必要となるため実施が困難である。そのため、「標仕」6.2.2(c)(2)に基づいて、「標仕」6.9.5(a)では構造体のコンクリートと同じような強度発現をすると考えられる方法で養生した次の 2種類のうちいずれかの供試体を用い、その圧縮強度から構造体のコンクリート強度を推定し、品質管理を行っている。
一つは、コンクリートを打ち込んだ構造体に近い温度条件の水中で養生(現場水中養生)した供試体を用いて、従来と同様材齢 28 日で推定試験を行う方法である。もう一つは、使用するセメントの種類やコンクリートの打込み・養生時期等によって材齢 28日では所定の圧縮強度が得られないことが推定される場合に、現場封かん養生した供試体を用いて材齢 28日を超え 91日以内で推定試験を行う方法である。
平成 22年版「標仕」までは、基本として材齢 28 日で推定試験を行い、その結果圧縮強度が判定基準を満足しなかった場合に、次の判定方法として材齢 28日を超え材齢 91日以内の推定試験を用意していた。一方、平成 25年版「標仕」では、このいずれかを満足すれば合格することとなった。
(1) 現場水中養生した供試体を用いて材齢 28 日で行う場合の試験結果の判定は、材齢 28日までの平均気温(毎日、養生水槽の水温の最高及び最低を測定し、養生期間中の全測定値を平均した値)が 20℃ 以上の場合と未満の場合で区別し、次の (i) 又は (ii) のいずれかの基準に満足すれば合格となる。
(i) 平均気温が20℃ 以上の場合は、 1回の試験結果( 3個の供試体の平均値)が調合管理強度以上である。
(ii) 平均気温が20℃ 未満の場合は、 1回の試験結果( 3個の供試体の平均値)から 3N/mm2を減じた値が、設計基準強度以上である。
この試験は、「標仕」6.9.4 に規定される JIS A 5308(レディー ミクストコンクリート)に準じた保証条件と異なっているが、 2009 年に改定された JASS 5 の構造体コンクリートの品質管理方法の考え方に基づき、平成 22 年版「標仕」のコンクリー ト調合設計で取り入れられた構造体強度補正値(S)と調合管理強度の考え方に基づく品質保証の方法であり、供試体の養生方法や養生期間中の平均気温、使用するセメントの種類等各種条件が考慮されている。
(2) 平成 22年版「標仕」では、上記(1)の (i) 及び (ii) を満足しなかった場合に、現場封かん養生を行った供試体を使用して、材齢 28日の圧縮強度の平均値が設計基準強度の 0.7 倍以上であり、かつ、材齢 28日を超え 91日以内の材齢の圧縮強度の平均値が設計基準強度に 3 N/mm2 を加えた値以上であれば合格としていた。これは、昭和 56年建設省告示第1102号の第1第二号のコンクリートの強度の規定、「コンクリートから切り取ったコア供試体又はこれに類する強度に関する特性を有する供試体について強度試験を行った場合に、材齢が 28日の供試体の圧縮強度の平均値が設計基準強度の数値に 7/10 を乗じた数値以上であり、かつ、材齢が 91日の供試体の圧縮強度の平均値が設計基準強度の数値以上であること。」等に基づくものであった。
しかし、近年では、強度発現の極めて遅いセメントを用いて管理材齢を最も長く ( 91日程度)取った場合を除けば、材齢 28日の圧縮強度が設計基準強度の 0.7 倍を下回るような状況にほとんどの場合至らず、JASS 5 でも 1997年の改定でこの条件が削除されている。これらのことから、平成25年版「標仕」では、この条件が判定基準から削除された。
(3) 国土交通省大臣官房官庁営繕部では、官庁営繕工事を対象に、平成 23年 5月から平成 24年 9月に打ち込まれた構造体コンクリートの材齢 28日の現場水中養生供試体と現場封かん養生供試体の圧縮強度の関係について調査を行った。その結果、図6.9.2 に示すように、設計基準強度 18 ~ 36N/mm2 で普通ポルトランドセメントを使用したコンクリートの材齢 28日の現場封かん養生供試体の圧縮強度は、同じく材齢 28日の現場水中養生供試体の圧縮強度の 0.94倍( 平均値 )で、95%の信頼限界では 0.82倍に相当することが確認されている。
前記のように現行では告示 1102号第1第二号で「材齢 28日の圧縮強度が設計基準強度の 0.7 倍以上」であることが規定されているため、建築主事から試験結果を要求されるような場合には、「標仕」6.9.5(a)(2)の規定にかかわらず、現場封かん養生した供試体を用いて材齢 28日で行った圧縮強度試験の結果が設計基準強度の 0.7 倍以上であることを示さなければならない。
しかし、現場封かん養生した供試体の材齢 28日の圧縮強度試験結果がない場合でも、現場水中養生した供試体の材齢 28日の圧縮強度試験結果があれば、図6.9.2 の調査結果を基に、現場水中養生した供試体の圧縮強度試験結果から現場封かん養生した供試体の圧縮強度を推定し、その結果に基づいて告示の規定を満足していることを提示し判断を仰ぐ方法もある。ただし、上記調査結果は普通ポルトランドセメントを使用した場合のものであり、その他のセメントを使用する場合には図6.9.2 の相関関係は適用できないので、「標仕」 6.9.5(a)(2)の規定にかかわらず、現場封かん養生した供試体を用いて材齢 28日の試験を行うよう計画することが望ましい。
図6.9.2現場封かん養生供試体と現場水中養生供試体の材齢28日圧縮強度の関係.jpg
図6.9.2 現場封かん養生供試体と現場水中養生供試体の材齢 28日圧縮強度の関係
(b) 平成 22年版「標仕」までは、材齢 28日を超え 91日以内に実施した構造体のコンクリート強度の推定試験結果が、その判定基準を満足せず不合格となった場合に行う処置を「標仕」6.10.6 (c)(平成 25年版「標仕」6.9.5 (b)に相当)で規定していた。しかし、平成 25年版「標仕」では、「標仕」6.9.5(a)に規定される推定試験で不合格になった場合に行う処置に改められた。供試体の採取は、数多く搬入されるトラックアジテータの内から数台を抜き取って行うものであり、必ずしも構造体を代表するものになるとは限らない。そこで、不合格になった場合には、構造体からコア供試体を抜き取り JIS A 1107(コンクリー トからのコアの採取方法及び圧縮強度試験方法)等監督職員が承諾した方法に従って、必要な圧縮強度が得られているか確認することになっている。
コア供試体の圧縮強度は採取する位置によって異なるため、コア供試体の抜取り位置の承諾に当たっては設計担当者の意見を聞いたうえで、使用したコンクリートを代表する位置を定める。 その他の圧縮強度の推定方法としては, 超音波伝播速度を測定したり、JIS A 1155(コンクリートの反発度の測定方法)によってリバウンドハンマー(シュミットハンマー)の反発度を測定する方法等があるが、コア供試体を用いた試験に比べると精度が悪いので、適用に際しては十分な注意が必要である。

6.9.6 構造体コンクリートの仕上り及びかぶり厚さの確認

(a) 部材の位置・断面寸法、表面の仕上り状態、仕上りの平たんさ、打込み欠陥部、ひび割れ及びかぶり厚さは、構造体コンクリー トに求められる所要の強度や耐久性等の性能を間接的に表す重要な指標である。これまでの「標仕」では、型枠作業でコンクリート打込み前に型枠の位置や寸法等の確認を行い、不具合がある場合は修正等を行うことになっていた。平成 25 年版「標仕」は、  更に出来上った構造体に対する検査が新たに盛り込まれた。これに伴って、あらかじめ、試験・測定の方法、判定の基準、実施時期、サンプリング方法や数及び検査に適合しなかった場合の処置等を、受注者等や設計担当者等と協議して定めておくことが必要となった。

なお、仕上り状態やかぶり厚さの確認作業は、一般的には受注者等自身が行う場合と受注者等が第三者に委託して行う場合のいずれかであるが、第三者が行う場合は、上記協議の際に第三者のこれまでの作業実績、資格・技能等を確認し、不十分と考えられる場合は、受注者等に十分な実績、資格・技能等を有する第三者を選定するよう指示することが重要である。

(1) 確認・検究の時期は、せき板や支柱等を取り外したあとが一般的で、内外装の仕上工事が始まるまでに行わなければならない。 次の測定方法、試験方法等と同様、あらかじめ受注者等と協議して時期を明確に定めておくことが重要である。また、報告は、判定基準に基づいて不適合となった場合だけでなく、適合した場合にも試験・測定結果とともに報告させることが重要である。
なお、不適合の場合には、設計担当者と打合せを行うことが必要である。

(2) コンクリート部材の位置及び断面寸法は、6.2.5 でも記しているように、一般的には次の (i)から(iii)の要求条件から所定の許容差の範囲になければならず、「標仕」では 6.2.5の表6.2.3でこの許容差の値を定めている 。

(i)   構造体としての耐力及び耐久性の確保
(ii) 仕上げ二次部材又は設備等の納まり上の要求
(iii) 美観上の要求

測定方法も 6.2.5(a)(2)に記しているように、特記された部材又はコンクリート打込み後に型枠の変形が生じたと見られる部分等を対象に、基準墨からスケール等を用いて測定する方法が一般的である。測定方法の詳細については、6.2.5(a) (2)を参考にするとよい。
許容値に適合しない場合は、受注者等に、試験・測定結果等とともに、直ちに報告させることが重要である。

(3) コンクリート部材表面の仕上り状態については、コンクリートの打放し仕上げの場合には、「標仕」6.2.5 (b)(1)(i) の表 6.2.4 の種別に応じた「表面の仕上り程度」が目安として定められており、これを目視等で確認することとなる。打放し仕上げ以外の場合は、「標仕」6.2.5 (b)(1)(ii)に規定されるように、ポリマーセメントベースト等を充填した型枠セパレーターの穴や砂じま、へこみ等の軽微な補修部分、突起部を取り除いた部分等を目視や触診等で確認し、内外装仕上工事や設備工事等への支障の有無を確認する。支障がある場合には、速やかに報告させることが重要である。

(4) コンクリート部材の平たんさについて、「標仕」では 6.2.5(b)(2)の表 6.2.5のコンクリー トの内外装仕上げに応じた「適用部位による仕上げの目安」が定められている。測定方法としては、下げ振りやトランシット、レベル、水糸、スケール等を使用して、コンクリート面の最大、最小を測定する方法等が一般的であるが、その他、JASS5 で規定している   JASS 5 T-604(コンクリートの仕上がりの平たんさの試験方法)や日本床施工技術研究協議会が定めている「コンクリー卜床下地表層部の諸品質の測定方法、グレード」 (2006 年4月 ) 等が参考になる。「コンクリート床下地表層部の諸品質の測定方法、グレード」には、品質グレードの分け方も規定さ れているので 参考にするとよい。
平たんさが「標仕」表 6.2.5の標準値を超えた場合は、直ちに報告させることが重要である。

(5) 空洞や豆板、打継ぎ不良、コールドジョイント、気泡等の打込み欠陥は、コンクリートの耐力、耐久性に与える影響が大きい。測定・確認方法としては、最初に目視検査を行い、異状が懸念される箇所を必要に応じてはつりで確認するのが一般的である。
なお、目視検査の場合は、測定者の判定基準が必ずしも明確でないため、なるべく立ち会うことが望ましい。

(6) ひび割れについては、支保工で支えている状態では正しい確認ができないので、検査は支保工を取り外したあとに行うことが重要である。試験・測定方法としては、 目視で数を計るとともに、その幅や長さ、深さをクラ ックスケールやノギスで測定するのが一般的であるが、必要に応じて金づち等ではつって深さを測る場合もある。この場合もなるべく立ち会うことが望ましい。 ただし、幅を評価指標とし、耐久性や防水性に基づく補修の可否が判断基準になる場合が多い。例えば、(公社)日本コンクリート工学会の「コンクリートのひび割れ調査・補修・補強指針」では、防水性が要求される場合には 0.05mm以下、防水性は要求されないがかぶり厚さや表面被覆の有無等から鉄筋の錆を発生させやすいなど耐久性から見た条件が厳しい場合(塩害・腐食環境下)には 0.2mm以下、 耐久性から見た条件が普通の場合(一般屋外環境下) 0.3mm以下、耐久性から見た条件が緩やかな場合(上中・屋内環境下)0.4mm以下、としているので、参考にするとよい。

(7) かぶり厚さについては、まず最初に目視によってコンクリート表面の外観検査を行い、豆板や錆汁の漏出の有無、コンクリー ト表面の鉄筋模様の有無、垂直部材の立上り鉄筋の位置等から、かぶり厚さ不足の兆候がないことを確認するとともに、かぶり部分のコンクリートが密実で、有害な打込み欠陥がないことを確認することが重要である。かぶり厚さの不足が懸念される場合や不足の兆候が認められる場合には、電磁誘導法やレーダー法、超音波法、X 線法等の非破壊試験、若しくはドリル穿孔等の微破壊試験によってかぶり厚さの検査を行う。近年、非破壊試験の精度が急速に向上しており、JASS  5 では、2009 年の改定で検査方法、検査時期・頻度及び判定基準を含むかぶり厚さの検査(11.10 構造体コンクリートのかぶり厚さの検査)が導入され、電磁誘導法を用いた JASS 5 T-608(電磁誘導法によるコンクリート中の鉄筋位置の測定方法)が規定されているので、非破壊検査を実施する場合には、判定基準の考え方を含めこれらを参考にするとよい。
なお、これらの確認・検査の時期についても、あらかじめ受注者等と協議して定めておくことが重要である。

表 6.9.3 に構造体コンクリートの仕上り及びかぶり厚さの検査方法の一例を記す。

表 6.9.3   仕上り及びかぶり厚さの検査方法(一例)
表6.9.3仕上り及びかぶり厚さの検査方法(一例).jpg
(b) (a)で確認を行った結果、部材の位置・断面寸法、表面の仕上り状態、仕上りの平たんさ、打込み欠陥部、ひび割れ及びかぶり厚さの精度が設計図書に定められた許容値に適合しない場合は、該当する部材のすべて及び 一部を補修することになるが、はつり等を行う場合は、構造体を傷めるおそれがある。あらかじめ設計担当者と打合せのうえ、他の部分への影響を最小限にして、その部材の耐久性を確保するように補修方法を定めて受注者等に指示しなければならない。また、補修完了後は、直ちに補修箇所の確認・検査を行わなければならない。
(1) 部材の位置及び断面寸法の精度が許容値に適合しない場合は、はつり等を行って補修することになるが、この方法は構造体そのものを傷めるおそれがあるので、受注者等や設計担当者と協議して、他の部分への影響を最小限にして、その部材の耐力及び耐久性を確保できる適切な補修方法を策定させ、提案させて了承後に補修を行わせる。
(2) 表面の仕上りが不適格の場合は、不適格な箇所に再度ポリマーセメントペースト等を追加し、基準に適合するよう丁寧にこて均しを行う。
(3) 平たんさは、仕上げの種類だけでなく、建物の規模や仕上げ面に要求される見ばえ等によって異なるので、ポリマーセメントモルタル等を使用した適切な補修方法を策定させ、提案させて了承後補修を行わせる。
(4) 空洞や豆板、打継ぎ不良、コールドジョイント、気泡等の打込み欠陥は、下記の豆板の補修方法等を参考に適切な補修方法を策定させ、提案させて了承後に補修を行わせる。
(i) コンクリートに生じた豆板の程度は 表6.9.4 を参考にして分類する。
表6.9.4 豆板の程度
表6.9.4豆板の程度.jpg
(ii) コンクリートの豆板の補修方法

① 硬練りモルタルの充填方法による場合
1) 表 6.9.4 のB 程度のものに適用する。
2) 健全部分を偽めないように不良部分をはつり、水洗いしたのち、木ごて等で1 : 2 の硬練りモルタルを丁寧に塗り込み、必要に応じて打継ぎ用接着剤を使用する。
3) はつり穴の深さは 30mm以上が望ましい。 浅いと充填部分にひび割れが入るなどして効果が望めない。
4) 充填後は急激な乾燥を防ぐ。

② コンクリートの打直しによる場合
1)  表 6.9.5 のD又はC でもD の状態に近いものに適用する。
2) 砂利等でたたいて落ちるようなものが残らないように、密実なコンクリート部分まで十分はつり取る。
3) 露出した鉄筋は、図6.9.3のようにその周囲に最少 30mm以上の隙間をとる。
4) 穴の深さは少なくとも 100mm以上とする。
5) はつり取った開口部の上端は、図6.9.3 のようにコンクリートを打ち込む側が広くなるように約100mm以上の差をつける。
6) コンクリー トの打込み前には、必ず清掃・水洗し、既存コ ンクリート部分を湿潤にしておく 。
7) 打ち込むコンクリートは、硬練りコンクリートとして十分に締め固める。
8) 打ち込むコンクリートの量が多い場合は、沈降と収縮を少なくするために膨張材等を使用するとよい。
図6.9.3鉄筋が露出した場合の補修方法.jpg
図   6.9.3 鉄筋が露出した場合の補修方法

③  表 6.9.4 のC 程度のものは、状況によりセメントペースト又はモルタルの注入を行う。

④ 柱下部等で鉄筋が多く、内部のコンクリートのはつりが困難な場合は鉄筋面まで露出させ、セメントガン吹付けあるいは注入(グラウト) 等の方法による。

(5) ひび割れは次のエポキシ樹脂を用いた補修方法等を参考に適切な補修方法を策定させ、提案させて了承後に補修を行わせる。

(i) エポキシ樹脂の使用上の注意事項

① エポキシ樹脂は種類も多く、硬化剤、希釈剤、充填剤等の配合によっていろいろな性状とすることができるので、補修の目的、施工条件等を十分検討して選定する。

② コンクリート面は十分な表面強度をもつ必要があるので、油、ほこりの類は、ワイヤブラシ等で清掃する。また、コンクリート面は完全に乾燥していなければならない。

③ エポキシ樹脂は、10℃以下では硬化が著しく遅れ、接着強度が低下するので冬期の補修には十分注意する。
なお、炎天下の作業は硬化が早くなるので日除け等の養生が必要になる。

④ エポキシ樹脂をパテ状で使用する場合は、低粘度形のエポキシ樹脂プライマーを塗布する。

(ii) 注入補修方法
注入補修方法を体系的に示すと図6.9.4 のようになる。
図6.9.4_補修方法.jpg
図 6.9.4 補修方法

具体的な工法については、国土交通省大臣官房官庁営繕部「公共建築改修工事標準仕様書(建築工事編)」及び同監修「建築改修工事監理指針」の 4章[外壁改修工事]を参考にするとよい。

(6) かぶり厚さの不足が確認された場合も、上記(1)から(5)と同様、受注者等に適切な補修方法を提案させ、了承後に補修を行わせることが重要である。補修の方法は大別して2種類ある。 1 つは、新たに仮枠等を設けてコンクリートを増打ちする、あるいは母材であるコンクリートに用いられているものと同等以上の性能を有するセメントモルタルを使用して補修する方法で、この方法で補修を行った部材は、母材と補修材が一体化した鉄筋コンクリート造の部材と見なすことができる。

一方、ポリマーセメントモルタルやエポキシ樹脂モルタル等のコンクリート以外の材料を使用して補修する場合は、使用する材料の品質や強度及び防火上の性能と使用範囲で法令(平成13年国土交通省告示第1372 号及び平成12年建設省告示第 1399 号、他)上の条件が設けられており、補修部分の断面積は、部材断面の5%以下(ただし、母材と同等以上の強度を有し、架構の一部のみである場合には部材断面積の 30%以下)であることが想定されている。また、これらの材料を使用する場合には防火上支障のないものであることが求められており、防火上支障のないものの一例として、ポリマーセメント比が 4%以下で、かつ,補修部分の厚さが 20mm以下の場合がある。このほか、防火上支障のない補修材料・工法の具体的な選定方法については、独立行政法入建築研究所の建築研究報告 No.147「鉄筋コンクリート造建築物のかぶり厚さ確保に関する研究」等を参考にするとよい。

また、エポキシ樹脂モルタルはそれ自体が可燃性材料なので、亀裂や軽微な欠損部に充填する場合等、使用量の少ない軽微な補修では使用できるが、かぶりコンクリートとして部材表面等に塗布するような使用方法はできないので、注意しなければならない。
【解説】
なお、品確法においては、ポリマーセメントを用いた対応は認められていないので、注意が必要である。その際は、新たに仮枠等を設けてコンクリートを打増しする。そのコンクリートの仕様はもちろん母材と同じもので、その補修方法は補修施工計画書を策定させて確認する。

6章コンクリート工事 10節軽量コンクリート

第6章 コンクリート工事
10節 軽量コンクリート
6.10.1 一般事項
(a)細骨材及び粗骨材の全部に人工軽量骨材を用いるコンクリート及び粗骨材のみに人工軽量骨材を用いるコンクリートを対象としている。細骨材の全部又は一部に人工軽量骨材、粗骨材に普通骨材を用いる組合せも考えられるが、このような使用方法はほとんど実施されておらず、対象外である。
【解説】
軽量コンクリートの適用範囲.jpg
軽量コンクリートを、常時、土又は水に接する部分(地下の外壁、擁壁等)に使用できることになっている。ただし、この場合には「標壮」 6.10.2(h)に示されているように単位セメント量を 340kg/m3以上としなけれぱならない。
(b)普通コンクリートと同様の扱いでよい内容については、「標仕」10節では規定していない。したがって、「標仕」10節に規定していない事項については「標仕」1節から9節の規定を適用する。同一事項について 1節から9節と10節とで重複した規定がある場合には、10節の規定を優先する。
(c)「標仕」表6.10.1に示されているように、粗骨材のみに人工軽量骨材を用いるコンクリートを 1種、粗骨材に主として人工軽量骨材を用い、細骨材に人工軽量骨材若しくは人工軽量骨材に普通細骨材を混合した骨材を用いるコンクリートを2種としている。かつて、2種の粗骨材は人工軽量粗骨材のみとされていたが、普通骨材を混合することで、強度やヤング係数等の力学的性能に対する要求に対応する技術も出てきたことから、人工軽量粗骨材に「主として」という記述が加えられている。軽量コンクリートの要求品質である気乾単位容積質量の標準的な値の範囲は、「標仕」表6.10.1 に示されている。特記により、軽量骨材を用いて高強度コンクリートを製造する場合を考慮して1種の場合の気乾単位容積質量の標準的な値の範囲の最火値は 2.1 t/m3 としている。
なお、具体的な気乾単位容積質量の概略値をあらかじめ推定したい場合には、使用する粗骨材と細骨材の絶乾密度の組合せから表6.10.1により求めることが可能である。
表6,10.1 骨材の絶対密度とコンクリートの気乾単位容積質量の推定値との関係 JASS5より
表6.10.1骨材の絶乾密度とコンクリートの気乾単位容積質量の推定値との関係.jpg
(d) 軽量コンクリートの主要な品質である気乾単位容積質量については、対象建物ごとに設計で用いる値を特記することになっている。
6.10.2 材料及び調合
(a)人工軽量骨材の種類、区分や品質は JIS A 5002(構造用軽量コンクリート骨材)に規定されている。「標仕」 6.3.1(b)(1)ではJIS A 5002に規定する人工軽量骨材のうち、JIS A 5308(レディーミクストコンクリート)の附属書A (規定)[レディミクストコンクリート用骨材]によるものとしている。この附属書A (規定)では,粗骨材の浮粒率の限度を、10.0%としている。本節で用いる人工軽量骨材の品質は、この附属書A(規定)の規定に加えて、骨材の実績率による区分はA (モルタル中の細骨材の実績率 50.0%以上、粒骨材の実績率 60.0%以上)に限定し、コンクリートとしての圧縮強度による区分は3以上(圧縮強度 30 N/mm2 以上)に限定している。これらは JASS5 M-201(人工軽量骨材の性能判定基準)に準拠している。
(b)人工軽量粗骨材の最大寸法は、15mm とする。
なお、現在市販されている人工軽量骨材の大部分のものは最大寸法が15mmであり、JIS A 5002 においても 2003年版より最大寸法 20mm のものは削除されている。
(c)人工軽量骨材は.骨材中に多くの空隙を含むことにより密度が軽くなっている。このため普通骨材に比べて吸水率か大きくなるが、すべての空隙を水で満たすことは困難である。実際の使用に当たっては、コンクリートの運搬中におけるスランプの低下や圧送中における圧力吸水が生じないように、あらかじめ十分吸水させたものを使用することが必要である。人工軽量骨材製造所では、表6.10.2 に示すすように出荷時の含水率の管理を行っているので、レディーミクストコンクリート工場では人荷したのち乾燥しないようしに管理することが重要である。
表6.10,2 市販人工軽量骨材の代表的品質(JASS5 より)
表6.10.2市販人工軽量骨材の代表的品質.jpg
(d) 軽量コンクリートの気乾単位容積質量の値は、(乾燥状態の粗骨材の質量 + 乾燥状態の細骨材の質量 + 自由水を含まないセメントペースト硬化体の質量 + コンクリート中の自由水量)として求めることができる。セメントペースト硬化体の質量はセメントの乾燥質量に 25%の結合水を加えた値とし、コンクリート中の自由水量を実験結果に基づいて 120kg/m3 とした式が「標仕」6.10.1式である。この式によって求めた値が特記され値より小さいことか必要である。ただし、特記された値に比べて小さ過ぎると構造上の問題を生じる場合が考えられるので -100kg/m3以内とすることが必要である。
(e) 軽量コンクリートは、普通コンクリートに比べて多量の水を含んでいるため凍結融解作用に対する抵抗性が小さい傾向が認められる。そこで、調合設計時の目標空気量を普通コンクリートより 0.5%大きくし 5.0%としている。
(f) 軽量コンクリートのスランプの値は、特記がなければ、21cm以下で定めることにしている。
(g) 軽量骨材中には多くの空隙があるため、同じ水セメント比では圧縮強度や凍結融解抵抗性が小さく、中性化が早くなる傾向が認められる。そこで、水セメント比の最大値を55%としている。
(h) 軽量粗骨材の最大寸法が 15mmと小さいこと及び水セメント比の最大値を小さくしているため単位セメント量の最小値を 320kg/m3としている。ただし、常時土又は水に接する部分に用いるコンクリートでは、透水に対する抵抗性を確保するため単位セメント量の最小値を 340kg/m3 とし、水セメント比を小さくするよう配慮している。
(i)軽量コンクリートの試し練りでは、計画スランプ、計画空気量及び調合強度に加えて所要の気乾単位容積質量が得られることを確認することとしている。
6.10,3 製造,運搬,打込み及び締固め
(a) ホンプ圧送を行う軽量コンクリートの練混ぜ時の人工軽量粗骨材の吸水率の値を 20%以上とすることを定めている。これは、6.10.2(c)に示されるスランプの低下や、圧送による圧力吸水を防止するための対策である。表6.10.2に示すように製造所出荷時の吸水率はこれらの値を満足するように管理されているので、入荷後の乾燥を防止する対策が十分とられていることを確認することが大切である。
(b) 軽量コンクリートを圧送する場合には、骨材の圧力吸水によるスランプの低下や輪送管内での閉塞を生じるおそれがあり、この傾向は特に圧送距離が長い場合に顕箸である。この対策としては、輸送管の径を大きくするほかに中継ポンプの使用や他の運搬方法との併用等が考えられるが、「標仕」では輸送管の径を大きくする方法を採用し、輸送管の水平換算距雜が150m以上になる場合には輸送管の呼び寸法を 125A 以上とし、圧送を容易にしている。
(c) 軽量コンクリートの運搬時においては、骨材への時間の経過に伴う吸水が考えられることや密度の小さい人工軽量粗骨材が上部に集まりやすいので注意が必要である。したがって、事前吸水を十分行うことと材料分雜をできるだけ生じない方法で運搬し、荷卸しに当たっては、トラックアジテータを高速で回転し、均一にしてから排出することが重要である。
(d) 軽量コンクリートの打込み及び締固めでは、人工軽量粗骨材の密度が小さいためモルタルが沈降し、粗骨材が浮き上がって分離する傾向にあり。また、自重が軽いため型枠の隅々や鉄筋の回りにいきわたりにくくなる。バイブレーターによる横流しを厳禁したり、高所からのコンクリートの投入を避けるなど分離を生じない方策を徹底するとともに、ハイブレーターの選定に当たっては、周波数の高いものを用いるようにする。振動機の1度の差込み時間は 5秒程度とし、かけ過ぎないようにする。
(e) 軽量コンクリートは、普通コンクリートに比べてブリーディングによる沈降が大きく打込み順序を適切に定めないと沈降に伴うひび割れを発生する。したがって、壁及び柱に打ち込んだコンクリートが落ち着いたのちに梁を打ち込み、梁のコンクリートが落ち着いたのちにスラブを打ち込む基本(「標仕」6.6,4(g))を忠実に守る必要がある。
(f) 人工軽量骨材は、密度が小さいため上向へ浮き上がってくる。これを防止するための対策として、骨材の品質規定で粒骨材の浮粒率を10%以下としている。しかし、施工時に粗骨材が上面に浮き上がる場合には、図6.10.1に示す道具(ジッターバッグ)等を用いてコンクリートが硬化する前に粗骨材をコンクリート内部に押さえ込んでから表面仕上げを行うことが必要である。この粗骨材の浮上がりは、夏期より冬期、富調合より貧調合のコンクリートほど著しくなる傾向にある。
図6.10.1ジッターバッグ.jpg
図6.10.1ジッターバッグ
6.10.4 試験
気乾単位容積質量の試験は、コンクリートの質量変化がほとんどなくなる気乾状態にすることが必要なため長期間(例えば91日間)を要し、品質管理には不向きである。計画調合どおりの調合で製造されていれば必要な気乾単位容積質量が得られるので、計画調合に基づくフレッシュコンクリートの単位容積質量の基準値と実際の測定値との差を管理することにより必要な気乾単位容積質量か得られたかどうかの確認を行うことが可能である。このような考え方に基づいて、品質管理を行う方法が示されており、実測値と基準値の差が±3.5%の範囲にあれば合格と判定することにしている。
なお、計画調合に基づくフレッシュコンクリートの基準値は製造時の骨材の吸水状況によって変化するので練混ぜに使用した骨材の吸水率を用いて求めることが大切である。