実戦22 完成から引渡しまで

1級建築施工管理技士 実戦22 完成から引渡しまで

建物が完成すると、工事監理者は工事請負契約書に定められた設計品質に合致していることを確認し、建築主に「工事監理報告書」並びに「監理業務完了届」を提出する。

各種の法定検査と検査済証を受理すると、施工者から建築主で建物が引き渡される。

【建物の完成から引渡しまでの流れ】
①施工者による完成検査(自主検査)

②工事監理者による完了検査
(建築主への工事監理報告書提出)

③建築主による完成検査並びに確認

④建築主により建築主事検査申請
(工事監理者作成の工事監理報告書添付)

⑤各種の法廷検査と検査済証の受理

⑥建物引き渡し並びに使用開始

施工者による完成検査(自主検査)

施工者は工事完成時に自主検査報告書と工事の施工記録をまとめた施工報告書を工事管理者の提出する。
施工計画書と施工報告書は対になるもので、施工報告書の作成並びに提出は施工者の重要な責務である。
これらの報告書は瑕疵が発生した時、あるいは改修などのメンテナンス時には、施工図とともに重要な資料となるので、建築主へ提出し、大切に保管かれるべきものである。

工事監理者によるの完了検査

工事監理者は、施工者から完成検査報告書(自主検査)と施工報告書の提出を受けた後、完成した建物が設計図書及び工事請負契約書の内容に適合してることを検査し確認する。
検査の内容は外観検査のほかに、各設備機器の試運転調整記録や測定データを確認するとともに、実際に運転を行い所定の性能や機能が発揮されていることを確認する。

建築主による完成検査並びに確認

工事監理者は工事監理報告書並びに工事業務完了届を建築主に提出し、建物が完成したことを報告するとともに、施工者とともに建築士の完成検査並びに確認を受ける。(建築士法第20条3項)

各種の法定検査と検査済証の受理

( 1 )建築主事検査
建築主は建物が完成したことを確認すると、建築主事に工事完了届を提出し、建築主事完了検査を受ける。
その時、工事監理者は完成建物が法令に適合していることを確認した工事監理報告書の提出が義務付けられている。
建築主事の確認並びに検査を受け検査済証が交付されると、建物の使用が可能となる。
建築主事の検査以外に、法に定められた検査は多くあり、所轄の関係官庁との検査スケジュールの調整は、竣工直前の工程に多大な影響及ぼすので重要である。

( 2 ) 建築設備に関する検査
建築設備に関する検査は、建築主事検査と消防検査が主なものである。
消防設備は、本検査の前に自主検査・測定を行い、所定の「消防設備試験結果報告書」と「消防用設備等設置届出書」を所轄の消防署に決められた期日までに提出する必要がある。

■建築設備の主事検査項目■
①防火区画 ②機械換気設備 ③機械排煙設備
④給排水設備 ⑤非常照明設備 ⑥避雷針設備
⑦輸送設備(昇降機等)⑧その他
■主要な消防設備の検査項目■
①消火器 ②屋内外消火栓 ③スプリンクラー
④自動火災報知 ⑤非常警報
⑥水噴霧・泡・不活性ガス・粉末等各種消火
⑦誘導灯 ⑧連結散水 ⑨連結送水⑩非常コンセント ⑪非常電源
⑫排煙 ⑬消防用水 ⑭避難器具
⑮危険物

その他に、受変電設備、上下水道、高圧ガス、通信設備の検査等、多岐にわたり試運転段階から始まるものもあるので、注意が必要である。

実戦23 引渡しは維持管理の始まり

1級建築施工管理技士 実戦23 引渡しは維持管理の始まり

施工者は設計図書に規定されている工事記録や竣工図書を提出し、法的に定期点検が必要な建築設備や建物の維持監理に関する取扱いの説明や鍵の引渡しを行い、建物は引き渡される。

建物の引渡し後に、漏水などのトラブルが発生した場合、図面や施工記録が残っていなければ、どのような施工がなされたのか、どこに不具合があったのかを不具合箇所を取り壊して調査しなければならない。
これらのことを防ぐために、工事監理者は施工者に建物カルテの作成と建築主への提出を指示する。

竣工図書は建物カルテの基礎データ

建物カルテとは建物情報と保全情報を一つのファイフに整理したもので、建物の維持保全の基になる重要書類である。
竣工図書等の建物情報が最終仕様に合致していること検証することは、工事監理者の重要な職務の一つである。

【建物カルテ】
建物情報:
・竣工図
・確認申請図(副本)
・施工図
・施工記録
・工事打合せ記録
・設備機器取扱説明書
・保証書
・工事関係者一覧表
・メーカーリスト 他
保全情報:
・保守管理契約一覧表
・改修履歴
・設備履歴 他

建築主はこれらの建物カルテを必要な時に、いつでも取り出せるように、管理責任者を決め、保管スペースを確保し管理することが大事である。

保守管理契約は引渡しまでに

引渡し後の保守管理に支障がないように、保守管理契約が必要なものは、建築主に早い時期に保守管理契約を済ませてもらうように提言する。
建物の引渡しの時点から建物の維持管理の責任が建築主へ受け継がれる。