防水工事
アスファルト防水を中心に、各種工法の特徴をしっかり押さえて、記述形式にも対応できるように準備する必要があります。
左官工事
セメントモルタル塗りは択ー形式、セルフレベリング塗り及び仕上げ塗材は記述形式を念頭において準備しましょう。
タイル工事
セメントモルタルを用いた後張り工法を中心に、検査関係も忘れずに学習しましょう。比較的量は多くありませんので、学習効率の高い分野といえます。
内装工事
天井、壁、床の部位別にみると、いずれかからほぼ毎年出題されている。また、天井関連は記述形式で複数回出題されています。
防水工事
アスファルト防水の施工
施工上の留意点
アスファルトの溶融・施工(H25・R1択一)
① 溶融がまは、できるだけ施工場所の近くに設置する。
② アスファルトの溶融は、小塊にして溶融がまに投入する。

③ 溶融温度は製造所指定の温度以下とし、低煙・低臭型アスファルトの上限は240℃以下とする。
④ 溶融アスファルトは、施工に適した温度を保つように管理する。
⑤ アスファルトの使用量は、1層につき1.0kg/m2程度とする。
アスファルトルーフィング類の張付け(H25・R1択一)
① 増張リ
以下の増張りは、平場部のルーフィングの張付けに先行して行う。
● 出隅、入隅には、幅300mm以上のストレッチルーフィングを最下層に増張りする。
出隅・入隅及び出入隅角の増張りの例:
立上りの出隅・入隅に増張りを行う場合(JASS 8より)
● プレキャストコンクリート下地の場合には、継手部両側に100mm程度ずつ張り掛ける幅のストレッチルーフィングを絶縁増張りする。
● コンクリート打継ぎ部には、幅50mm程度の絶縁用テープを張り付けた後、幅300mm以上のストレッチルーフィングを増張りする。
コンクリート打継ぎ部及びひび割れ部の処理例
● ドレンまわりは、防水層の張掛け幅 100mm程度とする。ドレンは、つば先をスラブレベルより30〜50mm下げてコンクリートに打込む。
● 貫通配管まわりは、最下層に網状アスファルトルーフィングを増張りして、十分にアスファルトで目つぶし塗りを行う。次に、配管の根元の平場にストレッチルーフィングを150mm程度張り掛けて増張りする。立上がりの防水層端部をステンレス製既製バンドで締め付けて密着させた後、上部にシール材を塗り付ける。
貫通配管回りの防水層の納まり例
② 平場の張付け(H30 記述)
ⅰ) 砂付あなあきルーフィング
砂付き面を下向きに、突き付けて敷き並べる。
ⅱ) 部分粘着層付改質アスファルトルーフィングシート
はく離紙をはがしながら、突き付けて張り付ける。
ⅲ) 張付けの方向と継ぎ目の重ね幅(一般ルーフィング)
● 溶融アスファルトをロール状ルーフィングの前方にひしゃくを用いて流し、ロールを押し広げながら張る流し張りとする。
● 張付けは水下側から水上側へ、重ね幅は100mm以上とする。
ルーフィング類の千島張り工法
ⅳ) 重ね部が各層で同じ箇所とならないよう、重ね部の位置が千鳥になるように張り重ねる。
ⅴ) 流し張りで張り付ける場合、ルーフィングの重ね部からはみ出たアスファルトはその都度はけを用いて塗りならす。
(7) 改質アスファルトシート防水の施工
改質アスファルトシート防水常温粘着工法・断熱露出仕様の立上がり取合部(H29・R3択一)
立上がり際の風による負圧は平場の一般部より大きくなるため、断熱材の上が絶縁工法となる仕様の場合、立上り際の平場部幅500mm程度は、防水層の1層目に粘着層付改質アスファルトシートを張り付け、密着させる。
なお、入隅部では100mm程度立ち上げ、浮き・口あきが生じないようにする。
(8) 合成高分子系ルーフィングシート防水の施工
合成高分子系ルーフィングシート防水は、一般に「シート防水」と総称される。通常は 1〜2mm厚の合成高分子系シート(合成ゴム系《加硫ゴム系》又
は合成樹脂系(塩化ビニル樹脂系)など)を接着剤で張り(接着工法)、もしくは金物類で機械的に固定して(機械的固定工法)、防水層を形成する。
ルーフィングシートの接合部の施工
② 塩化ビニル樹脂系ルーフィングシート (R5択一)
● 重ね部は、溶着剤(テトラヒドロフラン系)による溶着または熱風による融着とし、接合端部は液状シール材でシールする。
● シートの重ね幅は、長手、幅方向ともに40mm以上とする。
(9) 塗膜防水(H27 択一)
塗膜防水は、液状の塗膜防水材(主にウレタンゴム系)を、数層下地に塗布することで防水層を形成する。補強布を使用する高伸長形と補強布を使用しない高強度形の2種類がある。また、通常の密着工法の他に、通気緩衝シートを張り付けた上に、塗膜を構成する絶縁工法がある。
ゴムアスファルト系塗膜防水材には、手塗りタイプと吹付けタイプがある。
手塗りタイプには、ゴムアスファルトエマルションだけで乾燥造膜するものと、硬化剤を用いて反応硬化させるものがある。
吹付けタイプには、乾燥造膜や反応硬化によるものの他に、専用吹付け機でゴムアスファルトエマルションと凝固剤を同時に吹き付けて、凝固・硬化を促進させて防水層を形成するものがあり、地下外壁の防水等に用いる。
左官工事
(1) セメントモルタル塗り
【2】下塗り (H29 択一)
① 吸水調整材(原則)又はポリマーセメントペーストの塗布
● 吸水調整材を塗布することにより、薄い膜を形成させて、塗り付ける材料(セメントモルタル)の水分が急激に下地面に吸水されること(ドライアウト)を防止する。
● 吸水調整材は、薄塗りとし、塗り回数は2回を限度とする。
→ 塗りすぎると膜が厚くなり、はく落の危険性が増大する。
● 塗装合板や金属製型枠を用いた場合には、付着性を向上させる目的で、ポリマーセメントペーストなどを塗布する。
② セメントモルタル下塗り
● 吸水調整材を塗布した場合
→ 吸水調整材が乾燥後、セメントモルタルの下塗りを行う。
→ 下塗り時期は、一般に吸水調整材を塗布後1時間以上とし、1日程度経過後とする。
● ポリマーセメントペーストを塗布した場合
→ ポリマーセメントペーストが乾燥しないうちに、セメントモルタルの下塗りを行う。
● 下塗りした面は、金ぐし類(金ぐし、木ごてなど)で荒し目をつける。
● 下塗り後、14日(2週間)以上放置してひび割れなどを誘発させる。
【5】上塗り (H27・R1・5択一)
① 中塗りの硬化の程度を見計らい、吸水調整材を全面に塗り付けた上で、行う。
② 金ごて仕上げ、木ごて仕上げ、はけ引き仕上げ、くし目引き仕上げがあり、その上の仕上げに応じて使い分ける。
こて種類と施工箇所
金ごて
一般塗装下地、壁紙張り下地、防水下地、タイル接着剤張り下地
木ごて
タイル下地(モルタル張り)
※ はけ引きによる仕上げの場合、木ごてでならした後、少量の水を含ませたはけを引き、はけ目の通りよく仕上げる。
※ セメントスタッコなど、総塗り厚の厚いものは、くし目引きとすることもある。
③ 額縁のちりじゃくりの範囲は、こて1枚の厚さだけ透かして仕上げる。
(2) セルフレベリング材塗り(H25・R3択一、H28・R6 記述)
【4】養生 (H25・R3択一)
① 流し込み作業中も施工後も硬化するまでは、窓や開口部をふさぎ、できるだけ通風はなくす。その後は自然乾燥状態とし、人工的な乾燥促進は避ける。
→ 硬化前に風があたると表層部が動き、硬化後にしわが発生するおそれがある。
② 養生期間は、一般に7日以上、低温の場合は14日以上とし、表面仕上げ材の施工までの期間は30日以内を標準とする。
(4) 内装合成樹脂エマルション系薄付け仕上塗材(内装薄塗材E) (H25 択一)
【1】下地
モルタル下地の仕上げは、金ごて又は木ごて仕上げとする。
【2】下塗り
だれ、塗り残しのないように均ーに塗り付ける。
【3】主材塗り
① 見本と同様の模様で均ーに仕上がるように行う。
② 主材2回塗りとする場合の工程内間隔時間は2時間以上とする。
③ 1回目で下地を均ーに覆い、乾燥後の色むらや透け等を確認し、2回目で均ーに仕上げる。
● 吹付けの場合:見本と同様の模様で均ーに仕上がるように、所定の吹付け条件により吹き付ける。吹付けには、専用のスプレーガンを用いて吹きむらがないように行う。
→ スプレーガンは、塗り面に直角よりやや上向きで、平行に動かす。
● ローラー塗りの場合:見本と同様の模様で均ーに仕上がるように、所定のローラーを用いて塗り付ける。
● こて塗りの場合:見本と同様の模様で均ーに仕上がるように、所定のこてを用いて塗り付ける。
タイル工事
(1) タイル
【4】タイルの検査(H29 択一)
タイルの検査における標準品のタイルは、寸法、厚さ、反り、側反り、ばち、欠陥の有無、吸水率、耐凍害性、曲げ破壊荷重、色合いなどの品質検査表を提出し、工事監理者の承認を受ける。
特注品は、品質検査表を提出し、外観検査を実施して監理者の承認を得る。
荷口見本(約0.5m2程度の台紙張りした見本)による検査又は工場における立会い検査のいずれかを実施する。
(2) セメントモルタルによる後張り工法
【1】各工法共通事項
① 下地調整(R1 択一、H30 記述)
コンクリート下地面の場合は、下地の乾燥の程度に応じ、吸水調整材を塗布する。モルタル下地の場合は、水湿しでもよい。
② タイルの張付け順序は、窓や出入り口まわり、隅、角などの役物を先に張り付ける。
③ 下地面側に途るモルタルは2度塗りとし、1層目はこて圧をかけて塗る。
④ モルタルの練混ぜは、原則として機械練りとし、モルタル練りからタイル張りまで60分以内に終える量とする。
【4】改良圧着張り (H25 択一、H30 記述)
中塗りまで施工した下地モルタル面及びタイル裏面の両面に張付けモルタルを塗り、たたき押さえて張り付ける工法。
● 張付けモルタルは、下地面は2度塗りとし、合計塗厚は4〜6mmとする。
● 同様に、タイル裏面は厚さ 1〜3mm程度に塗る。
● 塗付け面積の限度は、触れると手指にモルタルが付く状態のままタイル張りが完了できることとし、2m2/人以内とする。
【5】モザイクタイル張り (R1 択一)
約300mm角の表張りユニットタイル(小口未満のタイル)を、下地面に塗り付けた張付けモルタルが軟らかいうちに、たたき板でたたき押さえて張り付ける工法。
① 張付けモルタル
● 下地面は2度塗りとし、合計塗厚は3〜5mmとする。
● 1層目はこて圧をかける。
● 塗付け面積の限度は、触れると手指に付く状態のままタイル張りが完了できることとし、3m2/人以内とする。
② たたき押さえは、タイル目地部分に盛り上がった張付けモルタルの水分により、紙張りの目地部分が湿るまで、十分に行う。
③ タイル張り付け後、表面に水湿しを行って、表張り台紙(表紙)をはがす。
【6】マスク張り (R1 択一)
25mm角(通常50mm角)以上のユニットタイルに用いる工法で、ユニットタイル裏面にモルタル塗布用の厚さ4mmのマスク板をかぶせて、張付けモルタルを塗り付け、マスク板を外した後、ユニットタイルをたたき押さえて張り付ける工法。
① 張付けモルタル
塗り置き時間はとらず、直ちに(5分以内)壁面に張り付け、たたき込む。
② タイル張り付け後、表面に水湿しを行って表張り台紙(表紙)をはがす。
(4) 目地の種類と構造
【1】伸縮調整目地(R1 択一)
温度・湿度変化、外力により建物や建物各部に生ずる変形による、タイルのはく離、ひび割れなどを防止する目的で、下地及び仕上げ層に設ける目地を伸縮調整目地という。
① タイル張り面の伸縮調整目地の位置は、下地モルタルの伸縮調整目地及びコンクリート躯体のひび割れ誘発目地の位置と一致するように設ける。
② 鉛直方向目地は、柱の両側部及び中間3〜4m程度の位置に設ける。
③ 水平方向目地は、各階ごとの打継ぎ目地の位置に設ける。
④ 床タイル張りの場合の目地は、縦、横とも4m以内ごとに設ける。
(5) タイル工事一般
【3】まぐさ等のはく落防止(R3 択一)
まぐさ、ひさし先端下部等は、はく落のおそれが大きいので、原則、タイル張りを避ける。
小口タイル以上の大きさのタイルをまぐさ又はひさし先端下部に張り付ける場合は、はく落防止用引金物を張付けモルタルに塗り込み、必要に応じて、受木を添えて24時間以上支持する。
はく落防止用引金物(なましステンレス鋼線)は、張付けモルタル中に埋め込む場合は0.6mm以上、働き長さ200mm程度、下地側のアンカービス等に緊結する場合は0.8mm程度を使用する。
【3】引張接着試験 (H27・R5択一)
油圧式接着力試験機を用いてはがしたときの接着強度と破壊状況を確認する。
① 施工後2週間以上経過した時点で、引張接着強度を確認する。
② 100m2以下ごとにつき1個以上とし、かつ、全面積で3個以上とする。
③ 試験に先立ち、試験体周辺部(タイル目地部分)をコンクリート面まで切断し、周囲と絶縁する。タイルのはく落がモルタルとコンクリートの界面からの場合が多いので、この部分まで試験するため。
④ 試験機のアタッチメントの大きさはタイルの大きさを標準とする。ただし、二丁掛けタイル等小ロタイルより大きなタイルの場合は、力のかかり方が局部に集中し、正しい結果が得られないことがあるため、タイルを小口平タイル程度の大きさに切断して試験を行う。
⑤ セメントモルタルによるタイル後張り工法において、接着強度の全ての測定結果が 0.4N/mm2以上、かつ、コンクリート下地と張付けモルタル(又は下地モルタル)の接着界面における破壊率が50%以下の場合を合格とする。
⑥ 接着剤張りの場合は、接着剤とタイル及び下地調整塗材の凝集破壊率が 50% 以上を合格とし、接着強度は参考値とする。
⑦ タイル先付けプレキャストコンクリート工法では、0.6N/mm2以上の場合を合格とする。
屋根工事
【2】施 工 (H25・29択一)
① 下葺のルーフィング類は、屋根の下地板の上に軒先と平行に敷き、その重ね幅はシートの長手方向(水平方向)は200mm以上、幅方向(勾配方向)は100mm以上とする。
② ステープルによる仮止め間隔は、重ね部分で300mm程度、流れ方向で300mm程度、流れと直角方向その他の部分は必要に応じ900mm以内とする。
③ 棟部:破断を起こしやすい部位であるため、棟の両側に250mm以上折り掛けて、一枚もので左右300mm以上の増張りを行う。
④ 谷部:水が集まる箇所であり、漏水をおこしやすい部位であるため、左右300mm以上の下葺材の一枚ものを先張りし、その上に下葺材を左右に重ね合わせ、谷底から250mm以上延ばす。
(2) 金属板葺 (H25・R3択一)
金属板葺には、平葺、横葺、瓦棒葺(心木なし・心木あり)などの長尺金属板葺と折板葺がある。
① 金属板の折曲げは十分曲げ半径をとり、切れ目を入れずに塗装、めっき、地肌にき裂が生じないように行う。
② 塗装溶融亜鉛めっき鋼板を用いた金属板葺の固定ボルト、ドリリングタッピンねじ等の留付け用部材は、亜鉛めっき製品とする。これは異種金属間の電食を防止するため。
① 施工手順
ⅰ) 溝板を所定の位置に並べ、各溝板の間に通し吊子を入れる。
ⅱ) 溝板は、通し吊子を介して母屋に留め付ける。
ⅲ) キャップを溝板と通し吊子にはめ込み、均ーにはぜ締めを行う。
② 通し吊子の鉄骨母屋への留付けは、平座金を付けたドリルねじを用い、下葺、野地板を貫通させ母屋に固定する。
③ 棟包みは溝板の端部に八千代折りとした水返しを付けた後、棟包みを取り付ける。棟包みの継手の位置は、瓦棒に可能な限り近い位置とする。
④ けらばにおいて、端部の溝板の幅は、瓦棒の働き幅の1/2以下とする。
⑤ 水上部分と壁との取合い部においては、雨押さえを設け、溝板には水返しを設ける。また、雨押さえは壁際立上がりを120mm以上とする。
【2】平葺
平葺の葺き方は右図のとおり。
① 吊子:葺板と同種・同厚、幅30mm、長さ70mm程度とする。
② 小はぜ掛けは、上はぜの折返し幅は15mm程度、下はぜの折返し幅は18mm程度とする。
③ 金属板を小はぜ掛けとする場合は、はぜの折返し寸法と角度に注意し、小はぜ内に 3〜6mmの隙間をつくり、毛細管現象による雨水の浸入を防ぐ。
④ 立て平葺の棟部は、溝板のはぜ締め後、はぜを水平に倒して折り上げ、立上げ部分の先端に水返しを付け、棟覆い(棟包み)を取り付ける。
【3】横葺
横葺は、上下の葺板をはめ合わせ、その部分で吊子を介して下地に留め付ける。葺板の継手位置は、千鳥などとする。
(3) 折板葺 (H27・R1・5択一、H26・R2記述)
鋼板を成形加工した折板を用いる金属屋根の工法で、工場、車庫などの鉄骨の建物に多く用いられる。
① 重ね形折板は、山ごとにタイトフレームに固定する。
折板の重ね部に使用する緊結ボルトの間隔は600mm程度、折板の端部の端空き寸法は50mm以上とする。
※タイトフレーム:折板を受け梁に固定するための部品。
② タイトフレーム取付けのための墨出しは、山ピッチを基準に行い、割付けは建物の桁行方向の中心から行う。
③ タイトフレームと受け梁との接合は、緩みを防ぐため隅肉溶接とし、 タイトフレームの立上り部の縁から10mm程度残し、下底部両側を溶接する。
④ 隅肉溶接のサイズはタイトフレームの板厚と同じ寸法とする。
⑤ 溶接はタイトフレームの防錆処理が施されたままで行ってよい。
⑥ タイトフレームの溶接後はスラグを除去して、錆止め塗料を塗布する。
⑦ 折板の流れ方向には、原則として継手を設けない。
⑧ 折板のけらば納めは、けらば包みによる方法を原則とし、けらば包みは1,000mm程度の間隔で下地(けらば用タイトフレーム)に取り付ける。
⑨ けらば包みの継手は60mm以上重ね合わせ、重ね部に定形シール材又はブチル系などの不定形シール材を挟み込んで、ドリリングタッピンねじ等で締め付ける。継手位置は、けらば用タイトフレームにできるだけ近い位置とする。
⑩ けらば包みを用いない場合、けらば先端部に、1,200mm以下の間隔で、折板の山間隔の3倍以上の長さの変形防止材を取り付ける。
⑪ 軒先の落とし口は、折板の底幅より小さく、尾垂れ寸法を控えた位置に穿孔し、テーパー付きポンチで押し広げ、尾垂れを付ける。
● 尾垂れは、折板の裏面に雨水が伝わらないように、軒先に設けるもので、5〜10mm以上、15゜程度曲げる。
⑫ 水上の壁との取合い部に設ける、雨押さえは 150mm程度立ち上げ、雨水を止めるために止水面戸を設け、周囲にシーリングを施す。
金属工事
(1) 鋼製天井下地(軽量鉄骨天井下地)
【1】つりボルトの取付け(H27 択一)
① 取付け間隔
つりボルトの間隔は900mm程度とし、周辺部は端から150mm以内に取り付ける。
② ダクトやダクト支持金物等に固定・接触させてはいけない。
③ ハンガは、つりボルトにナット2個で挟み込んで固定する。
(2) 鋼製壁下地(軽量鉄骨壁下地)
【1】ランナの取付け (R1・5 択一)
① ランナは、間隔900mm程度でスラブなどに打込みピンなどで固定する。なお、両端部の固定は、端部から50mm内側とする。
② ランナの継手は、突付け継ぎとする。
③ 野縁と平行となる上部ランナは、野縁受けにタッピンねじ又は溶接にて、間隔900mm程度で固定する。なお、野縁と直角となる上部ランナは、野縁に固定する。
④ 鉄骨梁に取り付く上部ランナは、耐火被覆の後、あらかじめ鉄骨に取り付けられた先付け金物にタッピンねじ類又は溶接で固定する。
【2】スタッドの取付け (R1・5択一)
① 上下ランナに差し込み、半回転させて取り付ける。
② 長さが4.0m超4.5m以下の場合は、90形のスタッドを用いる。
③ スタッドの建込み間隔の精度は ±5mm以下、垂直精度は約±2mmとする。
④ スタッドは、上部ランナの高さに合わせて切断する。上部ランナ上端とスタッド天端の隙間は10mm以下となるようにする。
⑤ スタッドの間隔
⑥ コンクリート壁に添え付く端部のスタッドについては、スペーサで振れ止め上部を押さえ、必要に応じて打込みピン等でコンクリート壁に固定する。
【3】振れ止め・スペーサの取付け (R1・5択一)
① 振れ止めは、床面ランナ下端から約1,200mmごとに設ける。
② 上部ランナ上端から400mm以内となる振れ止めは、省略できる。
③ スペーサは、各スタッドの端部を押さえるため上下ランナの近く、及び振れ止め上部を固定する。また、間隔は600mm程度とする。
(4) 手すり (H29 択一)
① 温度変化による伸縮を考慮し、5〜10m間隔に伸縮調整部を設ける。
② 温度差40℃の場合の部材伸縮の目安は、鋼材はO.5mm/m程度、アルミニウムは1.0mm/m程度で、アルミニウムの方が伸縮が大きくなる。
→ 伸縮調整継手の間隔:アルミニウム合金製手すり < 鋼製の手すり
③ 手すり支柱は、コンクリートやモルタルの中に入る部分であっても、できるだけ錆止め処置を行う。
建具工事
(1) アルミニウム製建具
【3】鉄筋コンクリート造への取付け (R5 択一、R4 記述)
① 躯体付けアンカーを型枠に取り付け、コンクリート中に埋め込む。建具枠、くつずり等のアンカーは、両端から150mm逃げた位置から、間隔500mm以下とする。
② くさびなどで仮留めし、位置・形状を正確に決め、アンカーに溶接して本取付けを行う。また、仮留めのままでは動きやすいため、できるだけ早い時期に固定する。
③ 仮留め用のくさび
→ 外部に面する場合、モルタル充填時、くさびを必ず取り除く。
→ 屋内で水掛かりでない場合、取り除かずモルタルを充填できる。
④ シーリング材の施工
鉄筋コンクリート造のサッシまわりでは、バックアップ材等を用いず、3面接着とする。
⑤ 溶接スパッタ等は、枠材のアルミニウム表面仕上げに悪影響を及ぼすため、養生を行う。
(2) 鋼製建具・鋼製軽量建具
【1】加工・組立て (R5 択一)
① 鋼製建具の戸の表面板は、厚さ1.6mmの鋼板を標準とする。
② 建具枠の補強板及び力骨は、厚さ2.3mm以上とする。
③ 鋼製軽量建具の戸の表面板は厚さ0.6mm、力骨は厚さ1.6mmとする。
④ 鋼製建具(出入り口)のくつずりはステンレス製とし、板厚1.5mm、表面仕上げをヘアライン(HL)とする。
⑤ フラッシュ戸の中骨は厚み1.6mm、間隔は300mm以下とし、構造用接合テープを用いて接合する。
⑥ 外部に面する両面フラッシュ戸の見込み部は、下部を除き三方の見込み部を表面板で包みる(三方曲げ)。
⑦ 組立ては、一般に溶接とし、小ねじ留めは水掛かりでない屋内の鋼製建具には使用することができる。
【2】取付け (R5 択一)
① 心墨、心返り墨、陸墨などを碁準とし、水糸、下げ振り、さしがねを用いて位置決めや精度測定を行う。
② 倒れ精度の許容差は面内、面外とも±2mmとする。
③ くつずりは、裏面に鉄線を付け、あらかじめ(取り付け前に)モルタル詰めを行った後に取り付ける。
④ 溶接完了後、溶接個所に錆止めを施す。
⑤ 外部に面する場合、取付位置調整のために使用したくさびは、モルタル充填時に必ず取り除く。
⑥ 充填モルタルが硬化するまで、衝撃を与えたり、人が乗らないようにする。
⑦ 表面に付着したモルタルは、直ちに柔らかい布と清水で除去する。
(3) ステンレス製建具 (H29 択一)
① 一般部分は厚み1.5mm、裏板は1.6mm以上、補強板は2.3mm以上とする。
② ステンレス鋼板の曲げ加工は普通曲げ又は角出し曲げとし、特記がなければ、普通曲げとする。
角出し曲げ(角曲げ)ができる板厚は一般に1.5mm以上であり、3種類の加工方法がある。切込み後の残り板原が0.5mm (a角)、0.75mm (b角)の場合は裏板で補強する。1.0mm (c角)の場合は補強不要。a角は割
れが生じやすいので、一般的にはb角、c角を用いる。
(4) シャッター (H27・R1 択一)
① 防火シャッターのスラットはインターロッキング形、防煙シャッターにはオーバーラッピング形を用いる。
→ 表面がフラットなため、ガイドレール内での遮煙性を確保できる。
② スラットは板厚1.6mmの溶融亜鉛めっき鋼板とする。
③ 座板にアルミニウムを使用する場合には、鋼板で覆う。
④ 耐風圧性を高めるためには、スラットのはずれ止め機構を設ける。
⑤ 電動式の場合は、リミットスイッチを設ける。
※ リミットスイッチ:シャッターが全開した場合又は全閉した場合に作動し、シャッターを停止させるスイッチ。
⑥ 防煙シャッターのまぐさ部には、一般的に、シャッターが閉じたとき、漏煙を抑制する遮煙装置を付ける。また、その材料は不燃材料、準不燃材料又は難燃材料とする。
⑦ 電動シャッターは、不測の落下に備え、急降下制動装置(ガバナー装置)、又は急降下停止装置を設ける。
⑧ 電動シャッターは、降下中に障害物を感知した場合、自動的に停止する機能を有する障害物感知装置を設ける。
⑨ 防火シャッター及び防煙シャッターは、降下中に障害物を感知した場合、自動的に停止又は反転上昇して停止し、障害物がなくなると降下を開始して閉鎖する機能を有する危害防止装置を設ける。
塗装工事
(1) 塗装施工一般
【3】研磨 (R3 択一)
研磨紙ずりは、下層塗膜及びパテが硬化乾燥した後、素地の汚れや錆、じん埃を除去し、素地や下地を平滑にし、かつ、次工程の塗装材料の付着性を確保するための足掛かりをつくり、仕上がりをよくするために行う。各層ごとに研磨紙で研磨するが、塗膜を過度に研がないように注意する。
【4】穴埋め、パテ処理 (H27・R1・5 択一)
① 穴埋め:深い穴、大きな隙間等に穴埋め用パテなどをへら又はこてで押し込んで埋める。
② パテ処理
パテ塗付けは、不陸、凹凸、穴等を処理して塗装仕上げの精度を高めるために行い、素地面に直接施工する場合と、各工程間に行う場合がある。パテは硬化後に研磨を行うため、厚塗りを行う必要がある。ただし、塗膜性能の向上は期待できないため、塗付け量は必要最小限とする。
パテ処理の工法には、パテかい、パテしごき、パテ付けの3種類がある。
● パテかい:塗装面のくぼみ、隙間、目違い等の部分に、パテをへら又はこてで薄く付け、局部的に処理する。素地とパテ面との肌違いが仕上げに影響するため、注意する。
● パテしごき:パテを全面にへら付けし、表面に過剰のパテを残さないよう、素地が現れるまで十分しごき取る。素地とパテ面との肌がそろう程度に平滑にするようパテを残し、過剰なパテをしごき取る処理。
● パテ付け:パテで全面を平滑にするもので、特に美装性を要求される仕上げの場合に行う。パテが厚塗りされるため、耐久性能を要求される仕上げの場合は適していない。
(2)各種塗料
【4】アクリル樹脂系非水分散形塗料塗り(NAD) (H29 択一)
① 適用素地:主にセメント系(ただし、せっこう素地面には不適)
② 溶解力の弱い溶剤に溶解しないアクリル樹脂を重合分散させた非水分散形ワニスを主要構成要素とし、溶剤の蒸発・乾燥とともに分散された粒子が融着結合し、塗膜を形成する。
③ 常温で比較的短時間で硬化し、耐水性や耐アルカリ性に優れる。
④ 主に内外の壁などにつや消しの平滑仕上げを施す場合に用いる。
⑤ A種の場合には下塗り後中塗り前に、パテかいと研磨紙P220〜240を用いた研磨を行う。これは素地調整の工程で平滑化できなかった凹凸部を平滑化する工程。なお、パテかいは、屋内塗装の場合に限りる。ただし、水掛かり部分には行わない。
⑥ 塗装方法は、はけ塗り、ローラーブラシ塗り又は吹付け塗りとし、吹付け塗りの場合は、塗料に適したノズルの径や種類を選定する。
⑦ 下塗り、中塗り、上塗りの材料は同一で、塗付け量も同量(0.1Okg/m2)とする。エ程間隔は3時間以上(気温20℃)とする。
内装工事
(1)ボード類(せっこうボードなど)の張付け
【5】コンクリート下地などへの直張り工法(GL工法) (H25・R1 択一)
コンクリート面において、せっこう系直張り接着剤を一定間隔で下地面に塗り付け、ボードを直に張り付ける工法。
① 直張り工法は、耐震性、遮音性が劣るため、層間変位の大きいALC外壁、集合住宅の戸境壁などへの採用には十分留意する。
② 床面からの水の吸上げによるボードの濡れ防止及び乾燥のために、ボード下端にスペーサーを置き、10mm程度浮かした状態で張り付ける。
③ コンクリートの下地面からボードの仕上がり面までの寸法(a)は、下地面の凹凸を考慮して、ボードの厚さにより下表のとおりとする。
ボードの厚さ 仕上がり面までの寸法(a)
9.5mm 20mm
12.5mm 25mm
※ボード厚の約2倍と覚える。
④ 接着剤はだれない程度の硬さに水と練り合わせ、ボードの仕上がり面の高さの2倍程度の高さにダンゴ状に盛り上げる。
⑤ 一度に練る量は1時間以内に使い切る量とし、1回の塗布面積はボード1枚分とする。
⑥ 調整定規でたたきながら、所定の仕上がり面が得られるように圧着する。
⑦ 下地がポリスチレンフォーム断熱材や現場発泡断熱材、ALCパネルなどの場合は、プライマー処理を行う。
⑧ 乾燥期間:仕上げ材施工までの放置期間
● 仕上げ材に通気性がある場合(布系壁紙など): 7日以上
● 仕上げ材に通気性のない場合(ビニルクロス、塗装など):20日以上
⑨ 寒冷期の施工
寒冷期に接着剤(せっこう系直張り用接着材以外の接着剤も含む)を用いる場合、施工時及び接着剤硬化前に気温が5℃以下になるときは、施工を中止する。やむを得ず施工する場合は、ジェットヒーター等による採暖を行い、室温を10℃以上に保つ。
【1】材料 (R3 択一)
① 壁紙のホルムアルデヒド放散量は、特記がなければF☆☆☆☆とする。
② 壁紙張り用接着剤は、でんぷん系接着剤に合成樹脂エマルションを配合したもので、ホルムアルデヒド放散量区分F☆☆☆☆のものを用いる。モルタル下地やコンクリート下地に使用する場合は、防カビ剤を混合する。
③ 壁紙の保管:
巻いた状態の壁紙は、乾燥した室内で、雨水や直射日光が当たらない場所にくせがつかないように立置きとし、ビニルシートなどで養生する。
(3) 床工事
【3】カーペット敷き
<タイルカーペット全面接着工法> (H27・29・R5 択一)
● タイルカーペットには、粘着はく離形(ピールアップ形)接着剤を用いる。
● 特記がない場合、原則として、市松敷きとする。
● 割付け及び張付けは、基準線に沿って方向をそろえ、中央部から行う。
● 出入り口部分の割付けは、2/3以上の大きさのタイルカーペットが配置されるようにする。
● カーペットの張付けは、粘着はく離形の接着剤を下地(床パネルなど)全面に塗布し、適切なオープンタイムをとり、圧着しながら行う。
<フリーアクセスフロア(二重床)への施工> (R5 択一)
● 張付けに先立ち、床パネルの段差と隙間を1mm以下に調整する。
● タイルカーペットの割付けは、下地のフリーアクセスフロアのパネルの目地とタイルカーペットの目地を100mm程度ずらして、またがるように張り
付ける。
その他のテーマ
(1) ガラス工事
【2】構造ガスケット構法 (H25 択一)
構造ガスケットは、ジッパーガスケットとも呼ばれ、クロロプレンゴムなどの押出成形によってつくられる。ガラスの保持機能とガラス周囲のシール材としての水密機能を兼ねた、ガラスの支持材兼防水材。
ジッパーを取り付ける際には、ジッパーとジッパー溝に滑り剤を塗布する。
● ガラスのエッジクリアランスが大きくなると、ガラスのかかり代が小さくなる。かかり代が小さい場合には、風圧を受けたときの構造ガスケットのリップのころびが大きくなるので、止水性が著しく低下する。また、ガラスが外れたり、構造ガスケットがアンカー溝又は金属枠から外れるおそれが生じる。
(2) ALCパネル工事
【2】横壁アンカー構法 (H25 択一)
躯体の層間変位に対し、上下段のパネル相互が水平方向にずれ合い追従する構法で、横壁バネルの両端部をフックボルトなどにより躯体に固定する。パネル重量はパネル下部の両端に位置する自重受け金物により、積上げ段数5段以下ごとに支持する。
なお、自重受け鋼材を設けた横目地には、伸縮目地を設ける。
(4) カーテンウォール工事
カーテンウォール(以下、CW)は、工場生産された部材で構成される非耐力外壁のうち、地震や強風による建物変形に追従できる壁をいう。CWは、主要構成部材の材料により、メタルCWとプレキャストコンクリートCWの2つに大別される。
【1】取付け形態
③ プレキャストコンクリートCWの取付け方式 (R3 択一)
上下の層間に架け渡す面内剛性の高いCW部材(プレキャストコンクリート部材など)は、一般にロッキング方式、スライド(スウェイ)方式などにより構造躯体に取り付け、層間変位に追従させる。なお、スパンドレルパネルを用いる場合は、一般に固定式となる。
● ロッキング方式
パネルを回転(ロッキング)させることにより、層間変位に追従させる方式。
● スライド(スウェイ)方式
上部あるいは下部のファスナーのどちらかをスライドホールなどでスライドさせる(すべらせる)ことにより、層間変位に追従させる方式。
(5) コンクリートの「ひび割れ部」の改修工事 (R3 択一)
ひび割れ部の改修に適用する工法は、ひび割れ幅、 ひび割れの挙動の有無などにより、以下から選択する。
【1】シール工法
0.2mm未満の微細なひび割れに用いる改修工法で、プライマー塗布後、シール材をパテヘらなどで塗布し、表面を平滑に仕上げる。
● シール工法は、一時的な漏水防止処理に適し、改修後の耐用年数は長期には期待できない。
【2】エポキシ樹脂注入工法
低・中粘度で、挙動のある場合は軟質形、挙動のない場合は硬質形のエポキシ樹脂を用いて、ひび割れ部に樹脂を注入する工法。
シール工法やUカットシール充填工法に比べて耐久性が期待できる。自動式、手動式、機械式の3種類があり、特記がなければ「自動式低圧エポキシ樹脂注入工法」とする。
① 自動式低圧エポキシ樹脂注入工法
自動的に注入できる機能をもった注入用器具を、ひび割れに所定の間隔で取り付け、樹脂を低圧で注入する工法。
● 注入用器具の取付け間隔(注入間隔)は、ひび割れの幅を考慮して決めるが、特記がない場合は、200〜300mm間隔とする。
● 注入完了後は、注入用器具を取り付けたまま硬化養生する。
② 手動式エポキシ樹脂注入工法
ひび割れにパイプを取り付けて注入口とし、手動式のポンプを用いて樹脂を注入する工法。
● 垂直方向のひび割れは下部の注入口から上部へ、水平方向のひび割れは片端部の注入口から他端へ順次注入し、注入口を密封し、硬化養生する。
【3】Uカットシール材充填工法
ひび割れ部を中心としてU字形に溝切り(Uカット)を行い、その部分にシーリング材などを充填する。