1級建築施工管理技士 二次検定 仕上工事【演習問題03】

【 演習問題03 】

問題6

次の記述において、各記述ごとの①から③の下線部の語句のうち最も不適当な箇所番号1つあげ、適当な語句を解答欄に記入せよ。

[ 1 ]
合成高分子系ルーフィングシート防水の接着工法におけるシートの張付けは、原則として水上側のシートが水下側のシートの①上になるように行い、下地に②部分接着とし、できるだけシートに③引張りを与えないよう、また、しわのできないよう注意して行う。

[ 2 ]
屋根工事において、長尺金属板を現場等で折曲げ加工する場合、塗装又はめっき及び地肌にき裂が生じないように切れ目を①入れて折り曲げる。また、耐酸被覆鋼板を冬季に折り曲げ加工するときは、材料を②加温してから加工する。
長尺金属板はこはぜ掛けとする場合は、③毛細管現象による雨水の侵入を防ぐように、はぜの折返し寸法と角度に注意する。

[ 3 ]
内装の床張物下地をセルフレベリング材塗りとする場合、軟度を一定に練り上げたセルフレベリング材を、レベルに合わせて流し込む。流し込み中はできる限り通風を①良くして作業を行う。施工後の養生期間は、冬期間は②14日以上とし、施工場所の気温が③5℃以下の場合は施工しない。

[ 4 ]
アルミニウム製建具工事において、枠のアンカー取付け位置は、枠の隅より150mm内外とし、中間の間隔を①500mm以下とする。
くつずりをステンレス製とする場合は、厚さ②1.5mmを標準とし、仕上げはNo.2B又はHLとする。また、一般的に、破損及び発音防止のためのくつずり裏面のモルタル詰めは、取付け③後に行う。

[ 5 ]
内壁のセメントモルタル下地面を内装合成樹脂エマルション系薄付け仕上塗材仕上げとする場合、下地表面は①金ごて仕上げ又は木ごて仕上げとし、吹付けとするときは、スプレーガンのノズルは下地面に対して直角に吹付けられるように、やや②下向きに保ち、一様に吹付け、主材塗り2工程の工程内間隔時間は③2時間以上とする。

[ 6 ]
カーペット敷きのグリッパー工法では、グリッパーは、カーペットの厚さに応じて壁際からのすき間を均等に取り、打ち付ける。下敷き用フェルトはグリッパーの厚さと同等か、やや①厚いものを選択し、敷き込みに当たっては、すき間などのないように②突き付けて敷き込み、フェルトの端部はグリッパーに③重ねるようにする。

[ 7 ]
PCカーテンウォールのファスナー形式には、スライド形式、ロッキング形式、固定形式がある。ロッキング形式はPCパネルを①回転させることにより、また、スライド形式は上部、下部ファスナーの②両方をルーズホールなどで滑らせることにより、PCカーテンウォールを③層間変位に追従させるものである。

[ 8 ]
外壁改修のタイル部分張替え工法において、ポリマーセメントモルタルを用いて張り付ける場合、調整済みの下地とタイルの両方にポリマーセメントモルタルを塗布し、直ちにタイルを張り付けて、目地詰めまで通常①8時間以上衝撃を与えないように養生する。
目地深さはタイル厚の②1/2以下とし、目地詰め後は衝撃を与えないように通常③3日以上は養生する。


解答例

  不適当な箇所 適当な語句
[ 1 ]   ②   全面
[ 2 ]   ①   入れずに
[ 3 ]   ①   なくして
[ 4 ]   ③   前
[ 5 ]   ②   上向き
[ 6 ]   ③   重ねない
[ 7 ]   ②   片方
[ 8 ]   ①   24

問題7

次の問いに答えなさい。
[ 1 ]
屋上の防水工事において、保護コンクリートを打設する場合に用いる絶縁用シートについて、施工上の留意事項を2つ、具体的に記述せよ。

[ 2 ]
外部のコンクリート壁に二丁掛けタイル(227×60)を密着張りで張るときの施工上の留意事項を2つ、具体的に記述せよ。
ただし、下地及びタイルの割付けに関する記述は除くものとする。

[ 3 ]
内部のコンクリート壁にせっこうボードをせっこう系接着剤直張り工法で張るときの施工上の留意事項を2つ、具体的に記述せよ。

[ 4 ]
コンクリートの外壁にアルミサッシの枠を取り付けるとき、枠回りの充填モルタルを施工する前に行う取付け精度の検査項目をその計測方法とともに2つ、具体的に記述せよ。
ただし、検査項目の重複は不可とする。
なお、取り付けるサッシは幅1,800mm、高さ1,800mmの引違いサッシとする。

解答例
[ 1 ] 絶縁シート

①絶縁用シートは、立上がり面に30mm程度張り上げる。

②絶縁用シートの重ね幅は、70〜100mmで敷き込み、粘着テープで固定する。

[ 2 ] 二丁掛タイル密着張り

①密着張りはタイル張り用振動機(ヴィブラート)を用い、タイルをモルタル中に埋め込み、目地部にモルタルを盛り上がらせ、目地を仕上げる。

②タイルの張付けは、上部より下部に張り進める。

[ 3 ] せっこう系接着剤直張り工法

①ボードの下部は、吸湿を防止するため、10mm程度浮かして張り付ける。

②接着剤の1回に練る分量は、練混ぜ後1時間以内で使い切るものとする。

[ 4 ] アルミサッシ枠の取り付け精度検査項目

①サッシの鉛直方向のたおれは、下げ振を使用して測定する。

②サッシ面のゆがみは、サッシの対角寸法を測定する。

問題8

仕上げ工事に関する次の記述において、下線部①又は②のうち間違っている箇所を各文において1箇所指摘し、正しい語句を記入せよ。

[ 1 ]
合成高分子系ルーフィング防水における、非加硫ゴム系ルーフィングの張付けでは重ね幅は、縦を100mm以上、横を①50mm以上とする。
また、下地への張付けは②全面接着とする。

[ 2 ]
タイル密着張り工法では、張付けモルタルの下地面への塗付けは二度塗りとして、その塗厚を①7mm程度とし、塗り付ける面積は②4m2以内とする。

[ 3 ]
甲種防火戸として使用するシャッターは、①スラットの鋼板の厚さは②1.2mm以上としなけばならない。

[ 4 ]
合成樹脂調合ペイント塗りにおいて塗膜が流れる原因は、①薄塗りし過ぎた場合、②希釈し過ぎた場合などである。

[ 5 ]
熱線吸収板ガラスのはめ込み工法において、熱割れ防止するためにガラスの切断を①クリアカットとするのは、日射等による膨張でガラス周辺部に②圧縮力が生じ、割れやすくなるためである。

解答例

  誤りの部分 正しい語句
[ 1 ]   ①   70
[ 2 ]   ②   2
[ 3 ]   ②   1.5
[ 4 ]   ①   厚塗りし過ぎた
[ 5 ]   ②   熱割れ

 

1級建築施工管理技士 二次検定 仕上工事【演習問題04】

【 演習問題04 】

問題9

仕上工事に関する次の記述について、正しいものは「正」、間違ってるものは「誤」と記入し「誤」としたものはその理由または正しい工法もしくは仕様を簡潔に記入せよ。

[ 1 ]
防水工事において、PC板、ALC板などの屋根アスファルト防水には、密着工法が適している。

[ 2 ]
壁モルタル塗りは、各層とも水ひき具合を見計らい塗り付ける。塗り付け後は、なるべく早く乾燥させるため通風をよくする。

[ 3 ]
タイル圧着張りは、張り付けモルタルを塗り付けた後、張り付けるまでの時間が25~30分以下になるよう上から下へと充分もみ込み、たたき締めて張り付けていく。

[ 4 ]
鉄筋コンクリート造階段室の壁仕上を、モルタル塗りの上、油性調合ペイント塗りをした。

[ 5 ]
外部建具の網入りガラスの留め付けにグレイジングチャネルを用いた場合は、ガラス小口の防錆処理は不要である。


解答例

[ 1 ] 誤
PC板、ALC板の継目は、挙動が大きく、密着工法は破断の原因となるので、絶縁工法とする。

[ 2 ] 誤
壁モルタル塗り付け後、加熱乾燥、通風などにより急激に乾燥させてはならない。

[ 3 ] 正

[ 4 ] 誤
油性調合ペイントは、耐アルカリ性に劣るのでコンクリート、モルタル面に用いない。塩化ビニル樹脂、合成樹脂エマルションペイントを用いる。

[ 5 ] 誤
外部建具の網入りガラスの留め付けは、小口は防錆処理し、グレイジングチャネルは水はけが悪いので、水抜き穴を設ける必要がある。

問題10

仕上げ工事に関する次の記述において、下線部のうち誤っている箇所を1箇所指摘し、解答欄に正しい語句を記入せよ。なお、誤っている箇所がない場合は正と記入せよ。

[ 1 ]
フラースぜい化点とは、アスファルトの①高温時の特性を示す値で、その値の②低いものほど特性が③良い

[ 2 ]
モルタル塗り各層の調合は、塗り層によって異なるが、①上に塗るものほど②富調合にし、強度は③大きくする。

[ 3 ]
グリッパー工法におけるカーペットの張り仕舞いは、①ローラーで伸展しながら②グリッパーに引っ掛け、カーペットの端を③ステアツールを用いて溝に巻き込むようにする。

[ 4 ]
アスファルト防水工事におけるアスファルトルーフィングの継目は、①縦横とも100mm以上重ね合せ、原則として②水下側のアスファルトルーフィングが下側になるように張り重ねる。

[ 5 ]
JISに規定するアルミニウム製建具の①耐風圧性②気密性③遮音性の等級では、その数値が大きいほど性能が優れている。

解答例

   正・誤 正しい語句
[ 1 ]  ①  低温時
[ 2 ]  ①  下
[ 3 ]  ①  ニーキッカー
[ 4 ]  正  ー
[ 5 ]  ②  水密性

問題11

仕上げ工事に関する次の各文において、下線部のうち不適当な箇所を1箇所指摘し、正しい表現に改めよ。

[ 1 ]
ガラス工事に用いるバックアップ材は、シーリング材充填部の①形状を保持し、②2面接着を防止するために使用される③合成樹脂の発砲材である。

[ 2 ]
エッチングプライマーは、乾燥が①遅いので、②高湿度の時に塗布すると、③白化現象(ブラッシング)が起こる。

[ 3 ]
ユニットタイル改良積み上げ張りは、タイルの大きさに見合った①ヴィブラートを用い、②タイル裏面③張付けモルタルを塗り付け、タイルを張り付ける工法である。

[ 4 ]
ALCパネル下地の防水用プライマーは、コンクリート下地用に用いるものと、①異なる種類のプライマーであり、パネル取付け後②速やかに1回目を塗布し、1回目の塗布後③直ちに2回目を行う。

[ 5 ]
ビニル床タイル張りは、室温が①5℃以下の場合は採暖し、②酢酸ビニル樹脂系樹脂接着剤を用いて張付け、③ニーキッカーで圧着する。


解答例

  不適当な番号 正しい表現
[ 1 ]  ②   3面接着
[ 2 ]  ①   早い
[ 3 ]  ①   マスク
[ 4 ]  ③   十分に乾燥させて
[ 5 ]  ③   ローラー

問題12

仕上げ工事に関する次の各文において、下線部のうち適当でない箇所1箇所指摘し、その理由を簡潔に記述せよ。

[ 1 ]
屋上のアスファルト防水工事において、①気温が30℃以上の場合②強風の場合③降雨雪のおそれがある場合には施工を中止しなければならない。

[ 2 ]
タイル型枠先付け工法において、タイルの肌分かれが起きる主な原因は、コンクリート打設時に、①タイル裏面に水膜がある場合②タイル裏面に付いたセメントペーストがドライアウトを起こした場合③コンクリートの打設高が高い場合などである。

[ 3 ]
モルタルに混和剤を使用すると、①モルタルのひびわれ防止に役立ち②作業性は向上するが、③接着力は低下する

[ 4 ]
アルミニウム製外部サッシ取付けにおいて、サッシ周囲の防水モルタル充填方法として、一般に、①縦枠はモルタルトロ流し②上枠はモルタル詰め③下枠はモルタルトロ流しとする。

[ 5 ]
合成樹脂調合ペイント塗りにおいて塗膜が流れる原因は、①厚塗りし過ぎた場合②希釈し過ぎた場合③気温が急に上場した場合である。


解答例

  適当でない箇所 理 由
[ 1 ] ①
気温が著しく低い場合である。
[ 2 ] ③
タイルの肌分かれとコンクリート打設高さは関係がない。
[ 3 ] ③
混和剤を混入すると接着力は向上する。
[ 4 ] ③
下枠はモルタル詰めとする。
[ 5 ] ③
気温の上昇は塗膜が流れる原因とはならない。

1級建築施工管理技士 二次検定 仕上工事【演習問題05】

【 演習問題05 】

問題13

仕上工事に関する次の記述について、正しいものは「正」、間違ってるものは「誤」と記入し、「誤」としたものはその理由を簡潔に記述せよ。

[ 1 ]
防水工事用アスファルトは、針入度指数の数値が大きいほど高い温度に対して硬化しやすく、低い温度に対して硬化しにく。

[ 2 ]
建具の気密性、水密性は、JISによる等級の数値が小さいほど性能が優れている。

[ 3 ]
外壁タイルの密着張りは、上部から下部へと1段おきに張り、そのあと、間を埋めるようにして張る。

[ 4 ]
ウィルトンカーペットのはぎ合わせは、グリッパー工法又は丈夫な手縫いによるつづり縫いとする。

[ 5 ]
ウレタン樹脂塗り床は、塗り回数が増えると内部に気泡が生じやすくなるので、厚くしても一度に塗りあげる。


解答例

   正・誤 ( 理 由 )
[ 1 ]  誤
針入度指数の数値が大きほど高温に対して軟化しにく。

[ 2 ]  誤
JISによる水密性は等級が大きいほど性能が高い。

[ 3 ]  正  ー

[ 4 ]  誤
ウィルトンカーペットのはぎ合せは、ヒートボンド工法により行う。

[ 5 ]  誤
ウレタン樹脂塗り床は、数回に分けて塗る。

問題14

仕上工事に関する次の記述について、正しいものは「正」、間違ってるものは「誤」と記入し、「誤」としたものはその理由を簡潔に記述せよ。

[ 1 ]
陶磁器質タイル張り工事において、改良積上げ張り工法によるタイルの張付けは、下塗りまで行った壁の下地モルタル面に、張付けモルタルをタイル裏面全面に平らに塗付けて張付けた後、木づちの類でたたき締めて張付ける。

[ 2 ]
壁のモルタル塗りにおいて、下塗り及びラスこすりは、2週間以上放置して、ひび割れなどを十分発生させてから次の塗付けにかかる。ただし、気象条件などにより、監理者の承認を受けて、放置期間を短縮できる。

[ 3 ]
アルミニウム製建具の取付けにおいて、雨掛り部分の周囲充填用モルタルは、防水剤又は凍結防止剤入りのモルタルとする。ただし、酸化物を主成分とする防水剤又は凍結防止剤を用いてはならない。

[ 4 ]
塗装工事において、塗膜の表面にしわができる原因は、①油性塗料を厚塗りした場合、②塗装後気温が急激に下がった場合、③下塗りの乾燥が不十分なまま上塗りした場合などがある。

[ 5 ]
ビニル床シート及びビニル床タイル張りの接着剤は、湯沸室、便所などの湿気の生じやすい床ではエポキシ樹脂系を、幅木、階段の蹴込みなどの垂直面では酢酸ビニル樹脂系溶剤系を用いる。


解答例

   正・誤 ( 理 由 )
[ 1 ]  誤
モルタルは、下塗りにつづいて中塗りを行う。

[ 2 ]  正

[ 3 ]  誤
塩化物を主成分とする防水剤を用いてはならない。

[ 4 ]  誤
②は塗装表面を急に乾燥させた場合である。

[ 5 ]  正

問題15

下図は雨がかりとなる外壁の窓まわりの詳細図である。図において機能上適当でない事項を5つ列記せよ。

サッシ ディテール(誤).jpg


解答例

(1)躯体関係
①窓上の躯体に水切りをつける。
②窓下の躯体に勾配をつける。

サッシディテール(正).jpg

(2)仕上げ関係
①防水のため、シーリング材をサッシ外側に3箇所挿入する。

②サッシ下部にモルタル詰めを行う。

③窓の取合部に断熱補修材を設ける。

1級建築施工管理技士 学科 過去問 施工(仕上)

1級建築施工管理技士 学科 過去問 施工(仕上)

4.施工(仕上げ工事)
1° 防水工事
 1-1 アスファルト防水
 1-2 改質アスファルトシート防水
 1-3 合成高分子系ルーフィングシート防水
 1-4 シーリング工事
2° 屋根工事
 2-1 瓦棒葺・瓦葺
 2-2 金属製折板葺屋根工事
3° 左官工事
 3-1 セメントモルタル塗り
4° 塗装工事・吹付け工事
 4-1 塗装工事
 4-2 素地調整・素地ごしらえ
 4-3 防水形複層塗材E、欠陥
5° 張り石工事・タイル工事
 5-1 張り石工事(乾式)
 5-2 タイル張り工事
6° 建具工事
 6-1 金属製建具
 6-2 エンジンドア・シャッター・カーテンウォール
7° 金属工事
 7-1 軽量鉄骨天井下地
 7-2 軽量鉄骨壁下地
8° 内装工事
 8-1 断熱工事
 8-2 ビニル床シート張り
 8-3 合成樹脂塗り床
 8-4 壁のせっこうボード張り
9° その他の仕上工事
 9-1 アスファルト防水改修工事
 9-2 内装改修工事
 9-3 RC造の外壁仕上 改修工事

実践10 仕上工事3 外装3

1級建築施工管理技士 実践10 仕上工事 外装3 PCaカーテンウォール

1970〜2000年頃までは、花崗岩を打込んだPCaカーテンウォールが高層ビルの外装の主流だったが1992年バブル経済の崩壊とともに、本石打込みPCa板の外装がめっきり減ってしまった。
とは言え、外装材としては、花崗岩は高級感があり、耐久性優れた材料であり、日本でも再び復活するものと思われる。
日本の激しい自然環境である風・地震・温度変化に加えて、安全第一、生産性の向上など現場からの要求に対応するために、当時の技術者は血を絞り、実験を繰り返し、厳しい設計条件に対しても”自然な材料と近代建築の融合”技術開発に対し果敢に挑戦して、自分のものにしていった歴史がある。

石材の選別と管理は最初の仕事

石材を外装材に使用するには風雨や温度変化などの自然現象に対してより耐久性のある材料で選ばなければならない。
石材は自然の材料なので、色合い、班目にばらつきがある。
石材の成分には外装ざる敵しない鉄分が含まれる場合もある。
また、大理石や砂岩などの吸水性の高い材料は外装には適さない。
また、高級感のある外装材だけに、色合いと石の模様を管理し、白華(エフロレッセンス)や湿気による漏れ色を防止したい。
そのためには、製造過程で湿気が石材の中に回り込むことがあるため、石材の裏をコーティングして吸水を抑えるが、もともと吸水率の高い石材は選ばないことが大切である。
また、建物外装の各面ごとに”色あい合せ”をしてから、石の配置を決め、番号付け、そして梱包する必要がある。
できれば、石材の加工場で仮の敷並べ(ドライレイ)を行い、色合せ、模様合わせを行う。
また、PCa工場に石材が到着してからも、再度確認する必要がある。
PCa工場で材料が混在することもあるので、細心の管理を行うべきである。
さらに、経済性を追求するあまりに、石の厚さを薄くしすぎると反りや割れにつながるので、石材の種類やサイズにもよるが、25mm以上は確保したい。

裏麺処置の正しい施工と効果

花崗岩をPCa板に打ち込む場合、石の裏面にエポキシ材などで裏面処理をし、付着性を高め、剥離を防ぎ、エフロや湿気からくる”濡れ色”を防止する。
また、石材とコンクリートの接着をより確かにするため、物理的にステンレス金物で結合させることで、万が一の剥離にも備えることができる。
雨上がりの後、せっかく高級な石材を外装に使ったにもかかわらず、石の中に湿気が入ると、雨が上がっても部分的に濡れ色が残り、みすぼらしく見えてしまう。
この場合、湿気は石の後から石の中に毛細管現象で回る場合と、表面から回る場合があるが、石に裏面処理を施すことで裏から入る水分や湿気は止めることができる。
吸水率の高い花崗岩(中国産の花崗岩の吸水率は0.2〜0.35)などは、顕微鏡で見ても、表面にたくさんの穴が空いてることがわかる。
最近では石の表面に塗布することで、濡れ色を防止できると塗布剤(スカイパームなど)が普及している。

PCa板の上吊り型ファスナとその効果

外装PCa板の設計には下置き型と上吊り型の二通りがある。
通常、PCa(コンクリートプレキャスト)版では、下で支える下置き型が一般的に多く使用されている。
それは、コンクリートは圧縮材であるとする先入観念が優先しているのではないだろうか。
しかし、金属のカーテンウォールの場合は上吊り型の方が圧倒的に多い。
それは、建物のためには上吊りの方が設計要求品質に対応しやすく、安全施工に適しているからである。
PCa板であっても自重によるコンクリートへの引張り応力はきわめて小さいため、心配される部材の引張り亀裂が発生しない。
またPCa板における上吊り型ファスナの実績も増えてきている。
上吊り型ファスナ方式は、地震時のパネル同士のスライド性能に優れ、PCa板の自重による変形防止、大梁の長期クリープ変形が少なく、取付け精度管理が目視しやすい。
また現場では作用性に優れるため、通常の下置き型と比べて、2倍以上の取付け効果がある。
また、この工法はオープンジョイントの組合わせで面倒な外からのシール工事もなく、安全性も優れており、シリコンシールなどの汚れがないので、いつまでも本磨きの石の美観を保ち、究極の外装PCa板工法と言える。

実践17 仕上工事10 内装3 海外製作品

1級建築施工管理技士 実践17 仕上工事10 内装3 海外製作品

2000年以降、アジアの開発途上国の発展は目に見張るものがある。

日本がバブル経済崩壊後足踏みを続けている間に、日本からの技術者の招へい、中古機械の導入などの積極的な対策により、瞬く間に技術と生産設備を備え、日本に迫ってきている。

もともと労務賃金の安い国が多いので、旺盛なアジアの受注に支えられて、人・設備・仕組み・資本力が備わり、急激に成長してきた。

これらは自動車産業や家電産業が開発途上国に根付いた時期と一致し、建設業界にも大きく影響しているとみられる。

今や日本では、建材の海外調達を無視して完成することはできない。
鉄骨・プレキャスト製品・金属加工製品・天井材・間仕切り材・木工品・家具・床材・ガラスなどあらゆる分野の建築建材や製品が海外で製作され、日本に入ってきている。
近くのホームセンターを見ても、建築関係の道具の”メイドインチャイナ”の多さに驚く。

東南アジアからの調達品の現状

アジアの開発途上国から輸入される建築材料は、輸入コストが安いため、建設コスト管理上大きな魅力である。
日本から技術を習得したため、出来上がりもかなり日本製品にちかいが、技術を積み上げないで、そのまま似ている部分があるので、似ているようで同一でない。
現在は改良されているかもしれないが、以下の例がある。
韓国製のサンドイッチパネル、天井パネルなど、一見立派に見える場合でも、実際使用してみると、許容できない問題が発生していた。
例えば、サンドイッチパネルのロールフォーミングの歪みが、光線の加減で見えてしまう。
アルミパネルを天井に貼った後に歪んで見える点などである。
結局、足場や手直しの費用が発生してしまうといったリスクが発生した。
昨今のグローバル化に伴い、現地での生産技術が向上し、基準も統一されてきているので、文化は習慣による品質リスクは減っているものと思われるが、現場管理者としては、工場視察・実大モックアップ作成などによる”目線合わせ”などの対策は必須である。
そん他に、海外調達の具体的な製品としては、外装用パネル、ファンコイルカバー、システム天井、天井岩綿板、アルミパネル、OA床、クリーンルームの壁パネル、床のシステム、ガラスの二字加工品などがある。

東南アジアの工場

中国の沿岸部の都市でも、建築材料の製作が盛んである。
やはり東南アジアに多く輸出しているものと思われる。
中国の工場では、ドイツ製、日本製そして台湾製の機械が混在している。
台湾の資本による工場が多いこともその理由であると考えられる。
海外調達を進めるにあたり、文化と習慣の違いは大きな障壁となる。
国際的には、設計図と仕様書、そして、その国の法律に基づく規格がめざすものである。

しかし、日本のエンドユーザーのニーズは、それを超えている。
そして、日本の建設業界ではそれを認めきてきている。
需要と供給、長い歴史による労使関係がその背景にあると思われ、建物の永久保証の関係まで残っている。

しかし、アジアの開発途上国の関係者にはそんな日本の歴史はなかなか理解できない。
例えば、石の歪みは仕様書では1mm以下となっている。
日本にもってきて天井の蛍光灯のランプの反射がゆがんで見えるものは、取替えを命じられるということもある。
石材の色調にしても、少しばかり隣との色合いが違う場合でも、取替えを命じられる場合がある。
契約した仕様書では、そこまでの仕様を求められておらず、規格項目にも入っていない。
にもかかわらず、日本では「そんなことは常識だろう」と片付けられてしまう。
そんな問題がリスクをして残る。

したがって、開発途上国からの海外品を使用する場合、3段階のリスクヘッジを検討する。
①日本への輸出経験が豊富な現地工場を選択する
②実大モックアップを現地と日本とで実施し、問題点の確認を行う
③再製作が可能な程度の時間的余裕をもつ。

海外での日本品の品質確保
(JIS認定材)
日本の大手メーカーの多くはタイに工場を進出させている。グローバルな競争を勝ち抜くために、円高・電気料金・税金・労働賃金・輸送コストなどに有利な地域を求め、日本から海外に生産拠点を移している。その中で、今やタイは中国に次いで、2番目のアジアの生産拠点になっている。
2011年9月のバンコクの洪水により、多くの日本企業が工場の一時閉鎖に追い込まれた。
その間、日本の生産ラインの増強のために、タイの技能工が日本に短期就労する状況がマスコミにも取り上げられ、中にはタイの若者の技術はすでに日本人の熟練者の技量を超えているという報道もあった。
日本の大型プロジェクトの建築資材の多くが、実はタイで加工されている。
例えば、建築鉄骨の場合、タイから日本への鉄骨の納入実績はすでに20数年ほどになる。
日本の材料、日本製の機械、日本の技術者による指導、日本の品質管理システムの採用、日本の資格の取得などまったく日本の工場とかわらない。
むしろ、最新の管理システムを採用し、3次元CAD化や一品ごとのバーコード管理も導入して、日本のファブを超えている部分もある。
鉄骨工場の場合は、ローカルマーケットにも製品を出しているが、製品規格が違うので混同を避けるため、ラインや技能者を分けて日本品の製造をしている。
その他にガラス、アルミ加工品、家具など、多くの日本向け製品を製造している。
例えば、家具の材料はゴムの木である。ゴムの木は15年ほどでその役割を終えて、若い木に植え替えられる。
その大量にでるゴムの廃材は色はなく、どんな木の色にも染めることができる。
加工と製造の技術を完成するのに苦労したようだが、今やとてもいい家具を製造している。
どの工場も、日本の資格を取得し、規格を守り、品質管理も充実してきている。

1級建築施工管理技士 内装仕上 断熱材は適材適所に

建築品質 内装仕上工事


84)断熱材は適材適所に

建築用断熱材は布団状のグラスウールや板状の断熱ボード、現場発泡の吹付け断熱材などがある。それぞれの部位に最適な断熱材を使用する。

1.陸屋根の外断熱

屋上の露出断熱アスファルト防水では、断熱材の上に露出防水するため、断熱材はA種硬質ウレタンフォーム両面スキン付きを使用する。
保護断熱アスファルト防水では、防水の上に断熱材を敷いて保護コンクリートを打つため、断熱材は押出法ポリスチレンフォーム3種bのスキン層付きを使用する。

2.陸屋根、外壁の内断熱

躯体打込みの時は押出法ポリスチレンフォームとする。後施工では建築物断熱用吹付け硬質ウレタンフォームを利用する。

3.土に接する床、最下階の床

躯体打込みの時に押出法ポリスチレンフォームを使用する。

4.天井面の断熱

天井面での断熱は施工性の面からグラスウール(24kg/m3)敷込みとすることが多い。この場合、照明器具や空調用吹出口等により、完全な敷込みができない部分が生じやすい。入念な施工が求められる。

5.木造の断熱

木造壁の断熱はグラスウールが多いが、内部結露の可能性があり、通気層を設けなければならない。グラスウールに比べて現場発泡の建築物断熱用吹付けウレタンフォームは壁面に密着し、狭小隙間部分にも確実に施工でき、性能も良いので使われるケースが多くなってきている。

6.建築物断熱用吹付け硬質ウレタンフォーム(JIS A9526)

建築物断熱用吹付け硬質ウレタンフォームはA種、B種、難燃2級、難燃3級などがあり、特記仕様書に示される。特記がなければ、ノンフロンのA種1の難燃性を有するものとする。この発泡ウレタンフォームは現場での吹付け厚さで性能を確保するためその吹付け厚さ管理が重要である。この吹付け厚さの管理は4m2当たり1ヶ所吹付け厚さ管理用ピンを張り付け、均一に厚さを確保するように管理する。また、難燃であるが、火源によっては燃焼することもあるので、防火コートを吹き付けことを勧める。特にテナントビルなどではテナントの改修工事中の溶接の火などによる燃焼の危険性があるため防火コートは必要である。

※断熱材の種類によって熱伝導率λの値が異なり、熱貫流率の計算に関わるので、断熱材の変更を行う場合は注意する。