1級建築施工管理技士 屋根工事 屋根勾配の確保

建築品質 屋根  roof


018) 屋根仕上げに合った屋根勾配を

建築の屋根は厳しい自然環境に耐えなければならない。風雨に耐える屋根が建物の寿命を決めるといってもよい。
屋根をゆるい勾配にしたために雨が漏るといった品質問題がある。
屋根材料と葺き方は多種にわたり、その葺き方ごとに雨を漏らさない最小勾配がある。設計者は最小勾配を守って屋根をデザインする必要がある。

1.屋根は不燃材で葺く

建築基準法により屋根は不燃材で葺かなければならない。また、30分耐火にしなければならない屋根もある。屋根としての耐火認定品を使うときは、認定条件や工法を確認する必要がある。

2.屋根の最小勾配は屋根葺きの種類で決まる

屋根材料は定尺があり、大きさに限度がある。材料どうしにジョイントは瓦のように重ねて水を切るもの、金属板のように折曲げ加工(はぜ折り)で連結するものなど、雨が入らないように工夫されているが、それは雨水を切る勾配が確保されていることを前提としている。屋根葺きの種類によって雨を漏らさない最小勾配がある。
和瓦葺きの屋根は一般に4寸5分勾配といわれ、同じ勾配の甍の連なる街並みは美しい。

3.屋根の設計・施工は風圧力を算定してから

屋根は台風など強風で剥がれて飛散させてはならない。屋根は平成12年建設省告示1454号、同第1458号により風圧力を算定し、その風圧力に耐えるように葺かなければならない。
特に軒先や軒隅部、棟部では大きな負荷がかかる。
この負圧に対して、例えば屋根材が釘止めなら、釘の引き抜き抵抗力が負圧に勝っていることを確認する必要がある。不足している場合は本数を増やすなどして耐風圧を増す必要がある。

風圧力:W = q × Cf(高さ13m以下の建築物は適用外)
q:平均風速圧 [ N/mm2 ] で地表面粗度区分や高さ、
風速による q = 0.6× Er2× V02
Er:平均風速の高さ方向の分布係数
(告示第1454号Zb,ZG、
αは地表面粗度区分に応じた数値)
屋根面の平均高さHがZb以下の時
Er = 1.7 ( Zb/ZG )α
屋根面の平均高さHがZbを超える時
Er = 1.7 ( H/ZG )α
V0:基準風速 [ m/s ] 地域ごとに決められた風速
Cf:ピーク風圧係数で屋根形状ごとに
計算方法が定められている
Cf = ピーク外圧係数 ー ピーク内圧係数

※ちなみに切り妻屋根では、屋根傾斜角20° の時に負のピーク外圧係数は次のとおり最大となる。
一般部 -2.5
周辺部 -3.2
隅角部 -3.2
棟隅部 -5.4

1級建築施工管理技士 屋根工事 瓦屋根

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019) 瓦は風で飛ばないように

粘土瓦葺きは日本の文化であり、景観上も、耐久性やメンテナンス性からも優れた屋根である。台風時の瓦の飛散防止や耐震性確保の観点から、引掛け桟瓦を釘止めとする工法が主流となっている。

1.瓦には規格がある

瓦の材質と大きさは「JIS A5208 粘土かわら1996」で定められている。最も一般的な和瓦の引掛け桟瓦J型の53Aは3.3m2当たり53枚、瓦サイズは長さ305mm、幅305mm、はたらき寸法は長さ 235mm、幅265mm(許容差±4mm)、谷深さは35mm以上である。吸水率はいぶし瓦で15%以下である。寒冷地では耐凍害性を証明する資料(JISによる凍害試験成績など)を確認する。

2.風で飛散させない

屋根の瓦は強風時の負の風圧力によって飛散する。よって、屋根の風圧力を建設省告示第1454号、同第1458号によって求め、それに耐えうる工法を採用することが重要である。( 018 参照)。一般に軒先やけらば、棟端部などは負圧が大きくなるので必ず確認し、適切な耐風工法を採用する。耐風工法と耐風圧(負圧)は全日本瓦工事業連盟による瓦屋根標準設計・施工ガイドラインを参考にする。
(  )の数字は最大引き上げ荷重を示す。

①瓦全数緊結工法(2,209N/m2
すべての瓦を瓦尻に瓦緊結用釘で固定する

②桟山固定縦桟工法 3列毎縦桟固定(6,222N/m2
瓦全数緊結用釘全固定に加えて、瓦山の先端部をパッキン付きステンレスねじ縦桟木に固定する。

③組み合わせ葺き工法(耐風型瓦固定工法)(6,285N/m2
耐風型瓦はJ形瓦の切欠き部に突起を設けた瓦である。下部突起は受け側で、上部突起は押さえ込みとして、瓦の浮き上がりに対して抵抗するようにしたもの。この耐風型瓦を使用し、瓦尻を瓦緊結用釘で固定する。

④7形釘補強工法 3列毎7形釘固定(6,222N/m2
         2列毎7形釘固定(8,266/m2
瓦緊結用釘で全固定とし、瓦先端の重なり部分を7の字形状の釘で押さえ込む工法である。
けらばや軒先も風圧力(負圧)が大きく、次の補強を参考にすると良い。

⑤右袖瓦縦桟ねじ補強(16,000N/m2

⑥右袖瓦谷右側ねじ補強(12,600N/m2

⑦軒先瓦縦桟ねじ補強(12,800N/m2

⑧軒先瓦7形釘補強(11,000/m2

1級建築施工管理技士 屋根工事 銅板の一文字葺き

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020) 銅板の一文字葺きは熱伸縮する

銅板葺きは施工直後は銅色であるが、だんだん黒ずんで自然に緑青を発生し、長期にわたって美しい屋根となる。最初から緑青を発生させたものもあるが、緑青の深みが違う。空気中の窒素酸化物などが美しい緑青の発生を妨げることもあるので、採用する環境にも注意を要する。

1.銅板の材料

屋根材料として銅板はJIS H3100の銅合金記号C2100〜2400の丹銅を用いる。色合いが美しく、展延性、絞り加工性、耐候性が良い。厚さは0.3、0.35、0.4(10〜12オンス)がよく使われる。銅板の定尺は365mm × 1212mm(1.2尺 × 4尺)が一般的で、455mm × 1212mmもある。一文字葺きではこの銅板の四つ切りが一般的である。また、銅板は他の金属との電食にも注意が必要である。


銅板の定尺

2.銅板葺きは下地が大事

銅板は柔らかく加工しやすいため、下り棟部や唐破風等の曲線部などを自由に美しく葺けるのが特徴でもある。銅板は下地がそのまま仕上げに現れるため、曲線部や軒先、けらば、棟、下り棟、谷部など木製下地の仕上がりが大事である。

3.一文字葺きと屋根勾配

銅板の葺き方で最も一般的なのは一文字葺きである。銅板を軒先から棟に向って横一文字にはぜ折りして重ねて葺いていく。下葺きは瓦葺きと同じアスファルトスーフィング940品を葺き、銅板はその上に吊り子で固定していく。風圧力に対しては吊り子の強度で対応する。軒先やけらばの風圧力の負圧が強い部分では吊り子の数を増やすなどする。


銅板一文字葺き

4.勾配が緩い屋根は下葺きで防水する

屋根勾配3/10以下の時は、下葺きをアスファルトルーフィング940品に代えて、ゴムアスシート( t=1mm程度)を防水シートとして用いる。特に谷部は勾配が緩くなり雨水も集まるので、必ずゴムアスシートを下葺きにする。

5.銅板は熱伸びが大きい

銅板は熱伸びも大きい。(線膨張率:1.7mm/m℃)広い面積を銅板一文字葺きする場合は、5.5m内外ごとに熱伸びを吸収する熱伸縮ジョイントを設ける。


銅板の熱伸縮ジョイント

1級建築施工管理技士 屋根工事 金属板葺き

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021) 金属板葺きは水切りと水返しを

工場や倉庫などの屋根にはアルミ亜鉛合金めっき鋼板(ガルバリウム鋼板)などのコイルを折り曲げた折板葺きがよく用いられる。現場でロール曲げ加工して、折板の流れ方向にジョイントを設けないで葺くことができるため、大規模の工場屋根などに使われることが多い。

1.折板は小梁位置にあるタイトフレームで風圧に耐える

折板の山部のジョイントはボルト貫通止めより嵌合タイプの方が止水性がよいので、一般的である。折板を固定するタイトフレームは下地鉄骨に溶接で固定する。
構造母材への直接の溶接はのぞましくないので、溝型鋼などで母材とは切り離すのが望ましい。鉄骨のレベルに関わるので入念な計画が必要である。
タイトフレームの位置は屋根にかかる風圧力で決まり、そこに梁が必要になる。タイトフレームは下地鉄骨に隅肉溶接で固定するので、風圧力に対する溶接長さの確保が必要である。


金属折板のおさまり

2.折板の水上部は水返し折り、軒先は水切り曲げとする

折板の水上部(棟部分)は端部を水返し折りとし、水切り面戸を設けて、水上包み(棟包み)を被せる。軒先は水切り曲げとする。けらばは、けらば包みでひと山かぶぜで納める。
けらば包みや水上包みジョイントは重ね長さを100mm以上とし、間にブチル系シーリング材を二重に挟み、水密リベット留めとする。

3.二重折板は音鳴り低減を検討する

上下の折板の間にグラスウールを挟んだ二重折板では、上部折板の熱伸縮によって音鳴りすることがある。滑りによって熱伸縮による音鳴りを低減させる連結金物もある。この場合、棟部を固定し、他は軒先方向に熱伸縮させる。

4.外壁ALC板と屋根(けらばパネル)は縁を切る

外壁ALC板縦張りは地震時などにロッキングの動きをする。けらば化粧パネルは地震時には動かないが、通常熱によって伸縮している。このように別の動きをする外壁とけらばパネルは縁切りしないと、ビスやパネルが破損する。


二重折板のけらばおさまり

1級建築施工管理技士 屋根工事 メンテナンス動線の確保

建築品質 屋根  roof


022)屋根のメンテナンス動線を確保する

屋根の樋や屋上・塔屋のルーフドレン等のメンテナンスのために、はしごを掛けて登れる場合は良いが、そうでない場合は点検口やタラップなどが必要である。

1.点検が必要な所へ、容易に行くことができること

点検頻度が多い場合や、点検時に何回も昇り降りがあったり、道具などをもって点検に行く場合は鉄骨階段がのぞましい。そんなに頻繁に使用しない場合はタラップでも良い。高所作業車が近寄れるとき、または容易に足場が組めるときはタラップは不要であるが、点検したいときに必ず行けるようにしたい。

2.点検用タラップは安全に昇降できること

タラップを使う頻度が少なくても、
①昇りやすく、降りやすいタラップにする。
②高所に上るタラップ(高さ5m以上のタラップ)には、3mから上に安全囲いを設ける。最上部は安全手すりを設ける。
③長期にわたって安全なように、ステンレス製または溶融亜鉛めっきとする。鉄骨造の場合はタラップ取付け用支柱を設け、それから外壁貫通でブラケットを出してボルト止めとする。外壁貫通部はできるだけ少なくする。RC造の場合はSUSアンカーボルトを先付けし(後付けアンカー不可)、それにタラップを取り付ける。

3.屋上点検口は屋上へ昇りやすく

屋上に昇る点検口は蓋の開閉が片手作業になるため、開閉を容易にする把手を設ける。また、防犯・管理用に施錠できようにする。

4.勾配屋根でのメンテナンス作業の安全確保に配慮する

勾配屋根においては屋根上でのメンテナンス作業が安全に行えるように命綱などを掛けることができるように、安全バーや安全フックなどを用意する。



1級建築施工管理技士 地下躯体工事 地下水対策

建築品質 地下躯体


023)地下躯体は地下水対策を

地下外壁は施工時の止水セパレーターまわりや打継ぎ部などから侵入する。地下のオープンカット工法などで掘削する場合は外防水が可能であるが、市街地では外防水は困難な場合が多い。半地下の建物で常水面が低くても、梅雨時など雨が続くと雨水が侵入する。地下は水の中と考えて、対策する必要がある。

1.地下外壁周囲に排水側溝と二重壁を設ける

地下外壁から地下水が入ることを前提に、排水側溝を設け、二重壁とする。側溝の排水口は柱間(スパン)に2ヶ所設け、地下ピットへ排水する。排水口は室内側から点検できるように点検口を設ける。
地下外壁だけでなく柱からも侵入することがあるため、柱まわりも二重壁とする。地下水位が低く、駐車場用途などの場合は側溝だけを設けて、二重壁の省略を検討してもよい。

2.底盤からも湧水が侵入する。

地下外壁と同じように底盤から湧水が侵入することもある。地下ピットを設け、湧水を集水ピットに集め、ポンプアップで排水する。基礎梁には連結管と通気管を設ける。底盤に勾配を設けたり、側溝を設けると躯体量が大幅に増えるため、通常はフラットとし、押し水でピットに集めることが多い。

3.湧水処理層は居室以外で計画する

底盤の上部に湧水処理層を設けて、二重床にし、湧水対策とすることもできる。湧水処理層を設ける時は、底盤に水勾配を設け、集水ピットに水を集めて排水する。集水ピットは点検口を設けていつでも点検ができるようにしたい。
地下水位より低いと常時湧水が流れ、エフロレッセンスなどで将来詰まったり、上部床に染み出すことも想定されるので、湧水処理層を採用するのは駐車場用途など居室以外とするほうが望ましい。

1級建築施工管理技士 地下躯体工事 地下ピット水槽の防水と点検

建築品質 地下躯体


024) 地下ピット水槽の防水と点検

地下ピット(基礎梁で囲われた床下の空間)は湧水槽だけでなく、雨水貯留槽、消火水槽、汚水槽、雑排水槽、中水処理槽などに利用される。火災発生時に消火水槽に水が無かったら一大事である。汚水が漏れても困る。汚水槽や雑排水槽では、槽の中で発生する硫化水素ガスなどによって、ピットの天井面のコンクリート躯体が侵される。これらを防ぐために適切な防水が必要である。

1.各水槽にとって最適な防水仕様を採用する

消火水槽、雨水貯留槽はポリマーセメント系塗膜防水(水反応閉鎖型)とする。汚水槽はエポキシ系塗膜防水を床、壁、天井の6面に施す。雑排水槽は排水する水質を確認し、防水仕様を決定する必要がある。蓄熱槽は断熱性を確保するため、アスファルト防水 + 断熱材 + 押えコンが必要である。

2.地下ピットの点検口は多めに設ける

地下階がある建物では全面がピットになっていることが多い。このピットの点検に入れるように床点検口を設ける。床点検口はメンテナンスのしやすさとピット内で迷わないために最低3スパンに1ヶ所は設けたい。床点検口から降りるタラップと基礎梁には人が通る人通孔(通常は径 600mm:構造設計者と協議)を設ける。タラップは後付けのはしごではなく、SUS製のものを躯体に打ち込まなければならない。人通孔も基礎梁の幅が広くて通りにくい時はつかみ金物を打ち込んでおくなどの配慮も必要である。
床点検口は化粧床タイプ、防臭タイプ、耐荷重タイプ、防犯施錠タイプなどがあり、用途に適したものを採用する。

3.地下ピットがなくても配管のメンテナンスを可能にしておく

地下のない建物でも便所や厨房などの配管のための地下ピットまたはトレンチが必要であり、メンテナンスのため床点検口を設ける。よく配管後に土を埋め戻して、床を施工する設計を見かけるが、配管の改修などの場合に土間を壊すことになる。少なくとも建物内の土間下は、配管の取替えができるように配管ピットを設けたい。

1級建築施工管理技士 地下躯体 EVピットの湧水対策

建築品質 地下躯体


025)エレベーターピットの湧水対策

エレベーターピットに湧水(地下水)が溜まって、頻繁に点検しなければならなくなる事例がある。地下水位を確認し、ピットの方が深い場合は湧水対策を考慮しなければならない。地下水位が年間で上下する場合は、上位でみる必要がある。

1.エレベーターピットの湧水対策

エレベーターピット(EVピット)内部には排水口を設けることができないため、EVピットの湧水はエレベーターの定期点検時に手で汲み出すことになっている。湧水が多いところでは定期点検では間に合わず、頻繁に点検しなければならない場合もあり、EV管理に支障をきたしている。一般にはEVピット内部は塗膜防水をしているが、外側からの水圧に対して防水効果は少なく、湧水対策は計画段階で考慮しておく必要がある。
対策は次のことが考えられる。

①地下水位が高いEVピットの地下外壁側は二重壁とする。
②EVピットの底盤は湧水処理層を挟んだ二重床とすると安心である。地下外壁の水もここへ導く。
③EVピットの周囲の底盤をEVピットより深くして、湧水ピットを設ける。

2.エレベーターピットと他の水槽は空ピットを介して

湧水対策だけでなく、隣接した水槽からの湧水がないようにしなければならない。消火水槽や汚水槽などの水槽類をEVピットと隣接させないように配置を検討する。どうしても近接して配置する必要がある場合はEVピットと水槽の間に空ピットを設ける。
これに関連して、汚水槽の周囲も空ピットにして、点検できるようにするのが衛生上望ましい。

1級建築施工管理技士 RC造 打継ぎ部の防水

建築品質 鉄筋コンクリート造


026)コンクリート打継ぎの防水対策

コンクリート造は基本的に1層(階)ごとにコンクリートを打設して構築される。そこで1層ごとに打継ぎ部が存在する。また、規模の大きな建物では平面で工区を分けて施工することもあり、垂直の打継ぎも発生する。地下躯体や外壁の打継ぎ部は水が侵入する原因となる。雨水を侵入させないように打継ぎ部の処理を確実にしたい。

1.地下躯体の打継ぎ部は止水材を打込む

地下外壁の打継ぎ部で外防水やシールすることができない場合、打継ぎ部に生コンクリートと反応して止水する反応接着型ブチルゴム止水板(スパンシールなど)を設置する。( B部詳細 )

コンクリート躯体の打継ぎ


打継ぎ部詳細

2.1階足元の打継ぎ位置は幅木天端に合わせる

1階外壁足元の打継ぎ位置は外部幅木の高さに合わせて設けると良い。

3.1階床が土間の時は打継ぎ

1階床が土間の時は打継ぎを地中にして、塗膜防水をする。基礎梁や壁、土間のコンクリート強度が異なる場合もあるので、基礎梁天端で壁と打継ぎ、塗膜防水をする。建物周囲に砂利などを敷いて排水を良くすると防湿効果もある。

4.地上階の打継ぎ部は止水を確実にする
地上階外壁の打継ぎ部は、シールで止水することになるが、さらに打継ぎ面に外勾配を設けて水が入りにくくしておく。( A部詳細 )

1級建築施工管理技士 RC造工事 ひび割れ誘発目地

建築品質 鉄筋コンクリート造


027)壁のひび割れは漏水につながる

コンクリートはセメントと水との水和反応で硬化してできる水硬性の物質である。硬化する段階で乾燥収縮し、ひび割れ(クラック)が発生する。ひび割れしやすさはコンクリートの水セメント比や鉄筋量などで変わってくるが、ひび割れは必ず発生する。外壁ではそのひび割れが漏水の原因になり、鉄筋が錆びて、躯体の劣化につながる。
そこでひび割れをあらかじめ想定した目地に集中して発生させ、他の部分にひび割れが発生しないように「ひびわれ誘発目地」を設ける。
ひび割れ誘発目地の使用は構造設計図に特記されているが、そうでない場合は工事監理者に構造設計者と協議してその仕様を決めてもらう。
尚、壁式構造では一般的に誘発目地を設けない。

1.ひび割れ誘発目地の位置はデザインする

設計者は、ひび割れ誘発目地の位置を、柱際から900mm以内に、壁は3~4mごとに設けることが望ましい。また、開口部の四隅はひび割れが入りやすいので鉄筋で開口補強を確実にしたいが、補強では無理があると考えられる場合は、開口際にひび割れ誘発目地を設けるようにしたい。


ひび割れ誘発目地

2.ひび割れ誘発目地の深さは壁厚の1/5~1/4程度とする

ひび割れ誘発目地に確実にひびが入るようにするには、外部と内部の目地深さの合計を、壁厚の1/5~1/4程度とする。壁が厚い場合は目地だけでは厚さの確保が難しいので、壁内に縁切りのための型鋼など入れる。
目地部分で鉄筋のかぶり厚さを確保することは言うまでもない。

3.ひび割れは外壁だけではない

ひび割れは外壁だけに起こるのではない。バルコニーのようなはね出しスラブ、パラペット、擁壁、腰壁などにも同様にひび割れ誘発目地を設ける必要がある。