令和4年1級建築施工管理技士 二次検定 問題3 解答解説

令和4年 1級建築施工管理技士 二次 問題3 解答 解説

問題3
市街地での事務所ビル新築工事において、同一フロアをA、Bの2工区に分けて施工を行うとき、右の内装工事工程表(3階)に関し、次の1.から4.の問いに答えなさい。

工程表は計画時点のもので、検査や設備関係の作業については省略している。

各作業日数と作業内容は工程表及び作業内容表に記載のとおりであり、Aで始まる作業名はA工区の作業を、Bで始まる作業名はB工区の作業を、Cで始まる作業名は両工区を同時に行う作業を示すが、作業A1、B1及び作業A6、B6については作業内容を記載していない。

各作業班は、それぞれ当該作業のみを行い、各作業内容共、A工区の作業が完了してからB工区の作業を行う。また、A工区における作業A2と作業C2以外は、工区内で複数の作業を同時に行わず、各作業は先行する作業が完了してから開始するものとする。

なお、各作業は一般的な手順に従って施工されるものとする。

〔工事概要〕
用   途:事務所
構造・規模:鉄筋コンクリート造、
地上6階、塔屋1階、延べ面積 2,800m2
仕 上 げ:床は、フリーアクセスフロア下地、タイルカーペット仕上げ
壁は、軽量鉄骨下地、せっこうボード張り、ビニルクロス仕上げ
天井は、システム天井下地、ロックウール化粧吸音板仕上げ
A工区の会議室に可動間仕切設置

内装工事工程表(3階)

作業内容表(各作業に必要な仮設、資機材運搬を含む)

検討用

1. 作業A1、B1及び作業A6、B6の作業内容を記述しなさい。

[ 解答 ]

問題文記載の仕上げ項目から判断すると解答は下記のとおりとなる。

A1,B1の作業 壁軽量鉄骨下地組立て

A6,B6の作業 フリーアクセスフロア敷設

2. (始)から(終)までの総所要日数を記入しなさい。

[ 解答 ]

ポイントは「A工区の作業が完了してからB工区の作業を行う。」という内容である。

工程表を見ると、作業日数は、B工区のほうがA工区の日数以上の日数がかかっているので、

おおよそ、B工区の作業完了で次工程へ進むことができる。

クリティカルバスの経路は、

C1→A1→B1→C2→A3→B3→B4→B5→B6→B7→C2

となり、

1+2+2+3+2+3+3+3+2+2+2 = 25

よって、25日となる。

3. 作業A4のフリーフロートを記入しなさい。

[ 解答 ]

0日

A工区の天井工事(A4)が完了して、B工区へ移ったのち、B工区の作業に3日かかる。

その間にA工区は壁のビニルクロス張り(A5)を施工しており、そのA工区の作業も3日かかる。

よって、A工区の天井工事(A4)の工程には余裕がなく、フリーフロートは 0日となる。

フリーフロートとは、その作業の中で使い切ってしまうと後続作業の最早開始時刻に影響を及ぼすようなフロートをいい、次式で定まる。

フリーフロート

=後続作業の最早開始時刻 – 当該作業の最早終了時刻

4.次の記述の [  ] に当てはまる作業名と数値をそれぞれ記入しなさい。
建具枠納入予定日の前日に、A工区分の納入が遅れることが判明したため、B工区の建具枠取付けを先行し、その後の作業もB工区の作業が完了してからA工区の作業を行うこととした。
なお、変更後のB工区の建具枠取付けの所要日数は2日で、納入の遅れたA工区の建具枠は、B工区の壁せっこうボード張り完了までに取り付けられることが判った。
このとき、当初クリティカルパスではなかった作業 [ あ ] から作業A8までがクリティカルパスとなり、(始)から(終)までの総所要日数は [ い ] 日となる。

[ 解答 ]

[ あ ] ・・・A5、 [ い ] ・・・27

A工区分の建具枠納入が遅れたことにより、B工区の建具枠が先行し、その後の作業もB工区の作業が完了してからA工区の作業を行うことにしたという点に注意して考察する。

B工区 軽量鉄骨下地(B1) → 建具枠取付(C2-B) → 壁せっこうボード張り(B3)

の経路がクリティカルパスにのってくる。

変更後のB工区の建具取付けの所要日数 2日、B工区の壁せっこうボード張り(3日)完了までに、A工区の建具枠取付けが完了するとあるので、A工区の建具枠取付は ( 2 + 3 = )5日以内である。

また、B工区の作業が完了してから、A工区の作業をするとあるので、変更後の内装工事工程表は下記のようになる。

当初クリティカルパスではなかった作業A5から作業A8までがクリティカルパスとなり、(始)から(終)までの総所要日数は 27日となる。