1級建築施工管理技士 令和06年 学科 問題4 解説

問題番号[ No.21 ]〜[ No.30 ]までの10問題のうちから、8問題を選択し、解答してください。
なお、8問題を超えて解答した場合、減点となりますから注意してください。
問題は四肢択一式です。正解と思う肢の番号を1つ選んでください。
[ No.21 ]
乗入れ構台の計画に関する記述として,最も不適当なものはどれか。
1.道路から乗入れ構台までの乗込みスロープは,勾配を1/8とした。
2.クラムシェルが作業する乗入れ構台の幅は,ダンプトラック通過時にクラムシェルが旋回して対応する計画とし,8mとした。
3.乗入れ構台の支柱の位置は,作業の合理性や安全性を考慮し,使用する施工機械や車両配置を最優先して決めた。
4.山留めの切梁支柱と乗入れ構台の支柱は,荷重に対する安全性を確認した上で兼用した。
答え

  3

[ 解答解説 ]

1.◯

道路から乗入れ構台までの乗込みスロープの勾配は、一般に1/10〜1/6とする。(建築工事監理指針)

2.◯

乗入れ構台の幅員は、使用する施工機械、車両、アウトリガーの幅、配置及び動線等により決定する。通常計画される幅員は、4〜10mである。最小限1車線4m、2車線6m程度は必要である。また、クラムシェルが作業する乗入れ構台の幅は,ダンプトラック通過時にクラムシェルが旋回して対応する計画とし,8〜10mとする。(JASS2)

3.×

乗入れ構台の支柱の位置は、地下構造図と重ね合わせるなどして、基礎、柱、梁及び耐力壁の位置重ならないように配置し、支柱の間隔は 3~6m程度として計画する。

4.◯

乗入れ構台の支柱と山留めの切梁支柱を兼用する場合は、荷重に対する安全性を確認した上で兼用する。

[ No.22 ]
土質試験に関する記述として,最も不適当なものはどれか。
1.圧密試験により,砂質土の沈下特性を求めることができる。
2.三軸圧縮試験により,粘性土のせん断強度を求めることができる。
3.原位置における透水試験により,地盤に人工的に水位差を発生させ,水位の回復状況から透水係数を求めることができる。
4.粒度試験で求められた土粒子粒径の構成により,透水係数の概略値を推定することができる。
答え

  1

[ 解答解説 ]

1.×

圧密試験粘性土に荷重を加え、地盤の沈下を解析するために、必要な沈下特性(沈下量と沈下速度)を測定する試験である。

2.◯

粘性土のせん断強度は、一面せん断試験、一軸圧縮試験、三軸圧縮試験によって求めることができる。

3.◯

原位置における透水試験は、単一のボーリング孔あるいは単一の井戸を利用して、水位を一時的に低下または上昇させ、平衡状態に戻る時の水位変化を経時的に測定して、地盤の透水係数を測定する試験である。

4.◯

粒度試験は、土の粒度組成をグラフ化し、土を構成する土粒子の粒径の分布状態を把握する試験である。この試験でで求められた土粒子粒径の構成により,透水係数の概略値を推定することができる。また、均等係数や細粒分含有率など粒度特性を表す指標を得ることができる。

[ No.23 ]
ソイルセメント柱列壁工法を用いた山留め壁に関する一般的な記述として,最も不適当なものはどれか。
1.剛性や遮水性に優れており,地下水位の高い軟弱地盤にも適している。
2.削孔撹拌速度は土質によって異なるが,引上げ撹拌速度は土質によらずおおむね同じである。
3.単軸オーガーによる削孔は,大径の玉石や礫が混在する地盤に用いられる。
4.セメント系注入液と混合撹拌する原位置土が粗粒土になるほど,ソイルセメントの一軸圧縮強度は小さくなる。
答え

  4

[ 解答解説 ]

1.◯

ソイルセメント柱列壁工法は、山留め壁としてセメントミルクを注入しつつ、その位置の土を攪拌してソイルセメント壁を造成し、骨組みにH鋼等を建込む工法であり、剛性や遮水性に優れている地下水位の高い軟弱地盤にも適している。

2.◯

ソイルセメント柱列壁工法の削孔撹拌速度は、砂質土や粘性土などの土質によって異なる/が,引上げ撹拌速度は土質によらずおおむね同じである。

3.◯

オーガーには、単軸オーガー多軸オーガーとがあり、単軸オーガーによる削孔は,大径の玉石や礫が混在する地盤に用いられる。

4.×

セメント系注入液と混合撹拌する原位置土が粗粒土になるほど、ソイルセメントの一軸圧縮強度は大きくなる

[ No.24 ]
場所打ちコンクリート杭の施工に関する記述として,最も不適当なものはどれか。
1.鉄筋かごの主筋と帯筋の交差部は,すべて溶接により接合した。
2.アースドリル工法の掘削深さは,検測器具を用いて,孔底の外周部に近い位置で4か所確認した。
3.杭頭部の余盛り高さは,孔内水があったため,800mm以上とした。
4.リバース工法における二次孔底処理は,トレミー管とサクションポンプを連結し,スライムを吸い上げた。
答え

  1

[ 解答解説 ]

1.×

鉄筋かごの主筋と帯筋は、原則として鉄線で結束して組み立てる。帯筋の継手は片面10d以上のフレアグルーブアーク溶接とする。(JASS4)

2.◯

アースドリル工法の掘削深さは,検測テープ等の検測器具を用いて,孔底の外周部に近い位置で2か所以上で確認する。

3.◯

杭の上部に余分に盛ったコンクリートである杭頭部の余盛り高さは,掘削孔内に水がない場合は50cm以上、掘削孔内に水がある場合は80cm以上確保する。(JASS4)これは、セメントミルク内のレイタンス等の不純物が杭上部で固まってしまう可能性があるので、それらを杭頭はつりで撤去するためである。

4.◯

リバース工法における二次孔底処理は、一般にコンクリート打設用のトレミー管サクションポンプ(吸込みポンプ)を連結して、孔底の泥状沈殿物であるスライムを吸い上げて排出する。

[ No.25 ]
異形鉄筋の継手及び定着に関する記述として,最も不適当なものはどれか。
1.径の異なる鉄筋相互の重ね継手の長さは,太いほうの径により算定する。
2.D35以上の鉄筋には,原則として,重ね継手を用いない。
3.180°フック付き重ね継手の長さは,フックの折曲げ開始点間の距離とする。
4.梁の主筋を重ね継手とする場合,水平重ね又は上下重ねのいずれでもよい。
答え

  1

[ 解答解説 ]

1.×

径の異なる鉄筋相互の重ね継手の長さは,細いほうの径により算定する。(建築基準法施行令第73条第2項)

2.◯

D35以上の異形鉄筋には、原則として重ね継手を用いない。(JASS5)

3.◯

180°フック付き重ね継手の長さは、フックの折曲げ開始点間の距離とする。

4.◯

梁主筋を重ね継手は、水平重ねまたは上下重ねとする。ただし、重ね継手部分であっても、あばら筋(スターラップ)により確実に拘束される必要がある。

[ No.26 ]
型枠工事に関する記述として,最も不適当なものはどれか。
1.等価材齢換算式による方法で計算した圧縮強度が所定の強度以上となったため,柱のせき板を取り外した。
2.合板せき板のたわみは,単純支持で計算した値と両端固定で計算した値の平均値とした。
3.コンクリートの施工時の側圧や鉛直荷重に対する型枠の各部材のたわみの許容値は,2mm以下とした。
4.固定荷重の計算に用いる型枠の重量は,0.4kN/m2とした。
答え

  2

[ 解答解説 ]

1.◯

等価材齢換算式とは、コンクリートの温度の影響を等価な材料に換算した式によって計算する方法である。等価材齢換算式による方法で計算した圧縮強度所定の強度以上となった場合、柱のせき板取り外してもよい

2.×

合板せき板のたわみは,各支点間を単純梁として計算する。

3.◯

型枠の各部材の許容たわみは3mmとする。許容たわみはコンクリート面に要求される仕上り精度によって決めるべきであり、計算上のたわみ設定2mm以下を目安とすることが望ましい。(型枠の設計・施工指針)

4.◯

普通コンクリートでは固定荷重の計算に用いる場合、型枠の自重は400N/m2とする。(型枠の設計・施工指針)

[ No.27 ]
コンクリートの養生に関する記述として,最も不適当なものはどれか。ただし,計画供用期間の級は標準とする。
1.早強ポルトランドセメントを用いたコンクリートの湿潤養生の期間は,普通ポルトランドセメントを用いた場合と同じである。
2.連続的に散水を行って水分を供給する方法による湿潤養生は,コンクリートの凝結が終了した後に行う。
3.打込み後のコンクリートが透水性の低いせき板で保護されている場合は,湿潤養生と考えてもよい。
4.マスコンクリートは,内部温度が上昇している期間は,コンクリート表面部の温度が急激に低下しないように養生を行う。
答え

  1

[ 解答解説 ]

1.×

コンクリートの湿潤養生の期間は、JASS5では、早強ポルトランドセメントを用いた場合には3日以上、普通ポルトランドセメントを用いた場合には5日以上としている。(JASS5)

2.◯

コンクリート養生は連続的または断続的散水噴霧等を行う。湿潤養生は,コンクリートの凝結が終了した後に開始する。(JASS5)

3.◯

打込み後のコンクリートが透水性の低いせき板で保護されている場合は,湿潤養生と考えてもよい。(建築工事監理指針)

4.◯

マスコンクリートは,部材断面の最小寸法が大きく、かつ、セメントの水和熱による温度上昇で有害なひび割れが入るおそれのある部分のコンクリートをいう。部分断面が大きいため、内部温度が上昇している期間は、コンクリート表面部の温度が急激に低下しないように養生を行う。

[ No.28 ]
大空間鉄骨架構の建方に関する記述として,最も不適当なものはどれか。
1.スライド工法は,作業構台上で所定の部分の屋根鉄骨を組み立てた後,所定位置まで順次滑動横引きしていき,最終的に架構全体を構築する工法である。
2.移動構台工法は,移動構台上で組み立てた屋根鉄骨を,構台と共に所定の位置に移動させ,先行して構築した架構と連結する工法である。
3.ブロック工法は,地組みした所定の大きさのブロックを,クレーン等で吊り上げて架構を構築する工法である。
4.リフトアップ工法は,地上又は構台上で組み立てた屋根等の架構を,先行して構築した構造物等を支えとしてジャッキにより引き上げていく工法である。
答え

  2

[ 解答解説 ]

1.◯

スライド工法は、作業構台上で所定の部分の屋根鉄骨を組み立てた後、そのユニットを所定位置まで順次滑動横引きしていき、最終的に架構全体を構築する工法である。

2.×

移動構台工法は、移動構台上で所定の部分の屋根鉄骨を組み立てた後、構台を移動させ、順次架構を構築する工法である。

3.◯

ブロック工法とは、地組みした所定の大きさのブロックをクレーン等で吊り上げて架構を構築する工法である。

4.◯

リフトアップ工法は、地上又は構台上で組み立てた屋根等の架構を、先行して構築した構造物を支えとしてジャッキ等により引き上げていく工法である。

[ No.29 ]
木質軸組構法に関する記述として,最も不適当なものはどれか。
1.アンカーボルトと土台の緊結は,アンカーボルトのねじ山がナットの外に3山以上出るようにした。
2.接合に用いるラグスクリューは,先孔にスパナを用いて回しながら締め付けた。
3.ラグスクリューのスクリュー部の先孔の径は,スクリュー径の+2mmとした。
4.接合金物のボルトの締付けは,座金が木材へ軽くめり込む程度とした。
答え

  3

[ 解答解説 ]

1.◯

アンカーボルトと土台の緊結は、座金とナットが十分に締まり、かつ、ねじ山2〜3山以上出るようにする。(公共建築木造工事標準仕様書 6.5.3(4))

2.◯

木材の接合等に用いるラグスクリュー(ヘッドがナッド状の木ねじ)の締付けは、そのまま締め付けると木材が割れるので、先に孔を開けてから、スパナを用いて回しながら締め付ける。

3.×

接合金物のボルトの孔あけ加工の大きさは、ねじの呼びがM16未満の場合は公称軸径に 1mmを加えたものとし、M16以上の場合は 1.5mmを加えたものとする。(公共建築木造工事標準仕様書)

4.◯

接合金物のボルトの締付けは、座金が木材へ軽くめり込む程度とし、工事中、木材の乾燥収縮により緩んだナットを締め直す

[ No.30 ]
建設機械に関する記述として,最も不適当なものはどれか。
1.工事用エレベーターは,定格速度が0.75m/sを超える場合,次第ぎき非常止め装置を設ける。
2.ジブクレーンの定格荷重とは,負荷させることができる最大の荷重から,フック等のつり具の重量に相当する荷重を控除したものをいう。
3.アームを有しないゴンドラの積載荷重とは,その構造上作業床に人又は荷をのせて上昇させることができる最大の荷重をいう。
4.ロングスパン工事用エレベーターは,搬器の傾むきが1/8の勾配を超た場合,動力を自動的に遮断する装置を設ける。
答え

  4

[ 解答解説 ]

1.◯

工事用エレベーターは、定格速度が0.75m/sを超える場合、次第ぎき非常止め装置を設ける。非常止め装置には、「早ぎき式」と「次第ぎき式」があり、次第ぎき式は、かごの落下を徐々に減速させる。

2.◯

クレーンの定格荷重とは、その構造及び材料並びにジブ若しくはブームの傾斜角及び長さまたはジブの上におけるトロリの位置に応じて負荷させることができる最大の荷重から、それぞれフック等のつり具の重量に相当する荷重を控除した荷重をいう。(クレーン等安全規則第1条第六号)

3.◯

アームを有するゴンドラにあっては、アームを最小の傾斜角にした状態において、その構造上作業床に人または荷をのせて上昇させることができる最大の荷重をいう。(ゴンドラ安全規則第1条第二号イ)

4.×

ロングスパン工事用エレベーターは、機械自体の傾きが 1/10の勾配を超えると自動停止装置が作動するように設定しなければならない。(エレベーター構造規格第32条第三号)