87)外構床のトラブル予防策
建物周囲のタイルや石で舗装された外構の床にまつわるトラブは意外と多い。
①雨の時、水たまりが発生する。
②人が滑って転倒する。
③タイルや石が割れる
④建物入口際で段差ができる(土間が沈下)
などなど、基本的な抑えをすれば発生しないものが多いが、軽視されることによるものと思われる。
1.外構の床や屋上と同様に水勾配が必要
道路の高さと建物1階の床の高さの関係は非常に重要であり、設計の初期段階で決めることである。建物をフラットにすることに注意が行き、雨水排水勾配を考慮していないケースがある。雨水勾配は1/50は確保したい。そうすれば排水もスムーズで、水たまりもできず、風で押し水が寄せされることもない。
2.外構仕上げ材は防滑性を確保
磨き石の床は雨の日、特に滑りやすい。床の防滑性に関して「JASS9 張り石工事」では滑り抵抗係数(C.S.R 値)の許容範囲を0.4〜0.8としている。「東京都福祉のまちづくり条例」では床材の滑り抵抗係数を0.4以上と規定している。本磨きや水磨きの石は使用してはならない。スロープは特に滑りには注意が必要である。ゆるい勾配だからといってジェット仕上げで大丈夫とは言えない。また、滑り止めの溝を切ったからといっても効果は少ない。溝部分にカーボランダムを埋め込むなど、確実な滑り止めを設けたい。
スロープの滑り止め
3.石やタイルの目地と土間コンクリートの目地を合わせる
外部土間にタイルや石を張るときは、下地の土間コンクリート(以下土間コン)がしっかりしていることが重要である。下地の土間コンが割れるとタイルや石が浮いたり割れたりする。土間コンの厚さは100mm程度以上とし、溶接金網(鉄筋径6mm、網目寸法150mm程度)を入れる。土間コンにはは3m内外の間隔で伸縮調整目地、或いはカッター目地を設ける。カッター目地の場合はメッシュ筋はかぶり確保のため切断する。その土間コンの伸縮調整目地とタイルや石の伸縮調整目地の位置は合わせなければならない。タイルや石の目地位置に合わせて、土間コンの目地位置を決めることになる。
建物との取合い部は伸縮調整目地を設ける。伸縮調整目地にはアスファルト目地板を入れる。その部分のタイル目地材はPS-2とする。
土間のタイル張り
尚、舗石やタイルの等の仕上材の厚さと土間コンクリートの厚さ、路床の厚さは、歩行者用と車両用で異なるので注意が必要である。
4.建物際の土間は沈下する
建物周囲は地下工事は基礎工事で掘り返されいるので、土間コン打設前に十分に転圧していたとしても、必ずといってよいほど土間コンは沈下し、建物側と段差が発生する。この沈下防止として、建物本体側から土間コンの下り止めを設けて、土間を乗せかけるおさまりとするするか、少なくともずれ止めの差筋で土間コンと建物側をつなぐ。これにより、土間の沈下は防げるが、建物本体を土間の境は必ずひび割れるので、タイルや石張りの目地位置に合わせて、土間の伸縮調整目地を設けなければならない。
土間コンの下り止め