019) 瓦は風で飛ばないように
粘土瓦葺きは日本の文化であり、景観上も、耐久性やメンテナンス性からも優れた屋根である。台風時の瓦の飛散防止や耐震性確保の観点から、引掛け桟瓦を釘止めとする工法が主流となっている。
1.瓦には規格がある
瓦の材質と大きさは「JIS A5208 粘土かわら1996」で定められている。最も一般的な和瓦の引掛け桟瓦J型の53Aは3.3m2当たり53枚、瓦サイズは長さ305mm、幅305mm、はたらき寸法は長さ 235mm、幅265mm(許容差±4mm)、谷深さは35mm以上である。吸水率はいぶし瓦で15%以下である。寒冷地では耐凍害性を証明する資料(JISによる凍害試験成績など)を確認する。
2.風で飛散させない
屋根の瓦は強風時の負の風圧力によって飛散する。よって、屋根の風圧力を建設省告示第1454号、同第1458号によって求め、それに耐えうる工法を採用することが重要である。( 018 参照)。一般に軒先やけらば、棟端部などは負圧が大きくなるので必ず確認し、適切な耐風工法を採用する。耐風工法と耐風圧(負圧)は全日本瓦工事業連盟による瓦屋根標準設計・施工ガイドラインを参考にする。
( )の数字は最大引き上げ荷重を示す。
①瓦全数緊結工法(2,209N/m2)
すべての瓦を瓦尻に瓦緊結用釘で固定する
②桟山固定縦桟工法 3列毎縦桟固定(6,222N/m2)
瓦全数緊結用釘全固定に加えて、瓦山の先端部をパッキン付きステンレスねじ縦桟木に固定する。
③組み合わせ葺き工法(耐風型瓦固定工法)(6,285N/m2)
耐風型瓦はJ形瓦の切欠き部に突起を設けた瓦である。下部突起は受け側で、上部突起は押さえ込みとして、瓦の浮き上がりに対して抵抗するようにしたもの。この耐風型瓦を使用し、瓦尻を瓦緊結用釘で固定する。
④7形釘補強工法 3列毎7形釘固定(6,222N/m2)
2列毎7形釘固定(8,266/m2)
瓦緊結用釘で全固定とし、瓦先端の重なり部分を7の字形状の釘で押さえ込む工法である。
けらばや軒先も風圧力(負圧)が大きく、次の補強を参考にすると良い。
⑤右袖瓦縦桟ねじ補強(16,000N/m2)
⑥右袖瓦谷右側ねじ補強(12,600N/m2)
⑦軒先瓦縦桟ねじ補強(12,800N/m2)
⑧軒先瓦7形釘補強(11,000/m2)