003)雨水のスムーズな排水は建物の基本
建築の目的は雨をしのぐことであるといっても過言ではない。降った雨を集めて、上階から下階へ、そして下水道に接続する最終会所へスムーズに排水するように計画すること、すなわち雨水の集排水計画は建築の基本である。
1.谷樋は漏水のリスクが大きい
(谷樋:屋根の谷と呼ばれる部分の雨樋)
谷樋は漏水のリスクが大きくて、できるだけ谷樋を設けないような建築計画が望まれる。
しかし、どうしても谷樋をもうける場合は、絶対漏水させないように
①谷樋は十分な雨水負担容積があること
②もし樋がつまっても外部へオーバーフローをできるようにすること
③清掃などのメンテナンスがいつでもできること
が大切である。
2.雨水を受ける屋根面積の算定
屋根面積は水平投影面積とする。
上階の壁にあたった雨水が集まることが懸念される屋上は、上階の壁面積の1/2を屋上(屋根)面積に加える。
3.屋根勾配とルーフドレン(RD)位置の決定
屋根勾配とRD位置を決めることは、雨水をどこに集め、縦菅をどこに設けるかを決めることである。
屋根勾配は、保護アスファルト防水の場合は1/100以上とし、露出防水では1/50以上とする。側溝を設けるときRD間隔は12m以下とする。
RDは1カ所が詰まってももう1ヶ所で排水できるように、必ず2ヶ所以上設ける。屋根面積が小さくRDを1ヶ所しか設けないときは必ずオーバーフロー菅を設けなければならない。
4.縦管径と最大許容屋根面積の確認
雨水縦管は雨水専用とし、縦管径によって負担屋根面積が決まる。その管径による排水能力はSHASE-S206給排水設備基準による。
上の表は100mm/hの場合と180mm/hの場合を示す。
当該敷地での10分間の最大降雨量を理科年表で確認し、時間最大降雨量を設定する。100mm/hを超えるときは、100m/hの面積に(当該敷地の最大降雨量/100)を掛けて許容面積を算出する。
近年局地的な集中豪雨などで過去の実績を上回ることも頻発しているので、直近の気象データを考慮することが必要である。
5.横走り管は配管勾配によって許容最大屋根面積が変わる
横走り管を設ける場合、排水能力がその配管勾配によって変わるため、注意が必要である。(下表)
横走り管は詰まりやすいので、管径100mm以上の管を使う。
なお、横型RDを用いる場合は横走り管がなくても、下記表の配管勾配 1/50を採用する。
6.雨水配管の仕様
雨水配管の仕様は、外部はVP管でもよいが、内部は破損しにくい鋼管を用いて防露巻きとする。耐火2層管もある。
*100mm/hの時の雨水横走り管の管径(( )は180mm/hの時)