002 ) 敷地にはリスクが潜んでいる
計画敷地には多くのリスクが潜んでいる。計画敷地の地盤の状況、敷地内の雨水排水の状況、地中埋設物、土壌汚染物、敷地境界等これらの問題は設計者が設計条件として設計図書に盛り込むべき内容であるが、工事監理者や施工者は工事着手前に計画敷地を事前調査し、確認することが必須である。
しかし、敷地の現状を見ただけでは敷地に潜んでいる全てのリスクを見つけることは困難である。
不動産取引時の重要事項説明書や不動産売買契約書の特記、道路台帳の確認をすることが必要である。
1.計画敷地のリスクを目視で簡易診断
①敷地は必ず傾斜している
雨の日に計画敷地周辺を歩くと、隣接地や道路等、敷地外からの越流水や、逆に敷地内から道路や隣接地への越流水等、計画敷地の雨水排水の状況がよくわかる。
水は高いところから低いところへ流れて、敷地の一番低いところへ集まる。
②計画敷地並びに敷地周辺の地盤状況
前面道路の道路面のひび割れ状況やマンホール枠や側溝周辺での不同沈下、電柱の傾き加減や隣地境界上の境界塀の傾き等を見れば計画敷地の地盤状況は判断できる。
③擁壁の水抜き穴の配置は適切か
擁壁は原則として、3m2に径75mmの水抜き穴を1カ所設ける必要がある。
基準に基づいて水抜きパイプが設けられていないと、擁壁の伸縮目地の劣化や擁壁ひび割れ部分からの白華現象(エフロレッセンス)や、水はけ不良による擁壁際の敷地内の不同沈下等が発生する。
2.計画敷地の履歴調査でわかること
①旧建物の基礎や設備配管等の地中埋設物
地中埋設物は計画敷地を試掘しないとわからない場合がほとんどである。
②土壌汚染
土壌汚染には人為的汚染と自然由来汚染がある。自然由来汚染については自治体が発行する自然由来の重金属分布図を閲覧すればわかる。
人為的汚染の責任は汚染源の起因者が、自然由来の重金属汚染については敷地所有者が責任を持って処理することを法律は規定している。(001 を参照)
③接道条件
建物の計画敷地は道路に2m以上接道していなければならない。(建築基準法第43錠)
敷地内に位置指定道路がある場合は、道路中心からの後退距離や隅切り、道路斜線の規制を受ける。
また、敷地内に公図上の水路や里道がないかも確認する。