1級建築施工管理技士 令和06年 一次 問題1 解説

イ.問題番号[ No. 1 ]〜[ No.06 ]【 建築学 】

問題番号[ No.1 ]〜[ No.6 ]までの6問題は、全問題を解答してください。問題は四肢択一式です。正解と思う肢の番号を1つ選んでください。

No.01 室内環境

中央管理方式の空気調和設備を設けた建築物における居室の室内環境に関する一般的な記述として,最も不適当なものはどれか。

1.室内空気中の一酸化炭素の濃度は,6ppm以下とする。

2.室内空気中の二酸化炭素の濃度は,1,000ppm以下とする。

3.室内空気の気流の速さは,1.5m/s以下とする。

4.室内空気の相対湿度は,40%以上70%以下とする。

答え

  3

[ 解答解説 ]
1.◯

2.◯
室内環境基準において、空気中の二酸化炭素濃度の許容値は、1,000ppm(0.1%)以下と定められている。(建築基準法施行令第129条の2の6第3項)

・二酸化炭素 1,000 ppm以下
一酸化炭素   10 ppm以下
覚え方「銭湯で屁をする」
(原口氏「スーパー記憶術」より)
一酸化炭素は 6 ppm以下に変更になっている。

3.×
室内空気の建築物環境衛生管理基準(厚生労働省)には以下のように規定されている。
建築物環境衛生管理基準(厚生労働省)
浮遊粉じんの量 0.15mg/m3以下

一酸化炭素の含有率 100万分の6以下(= 6 ppm以下)
二酸化炭素の含有率 100万分の1000以下(=1000 ppm以下

温度(1)17℃以上 28℃以下
(2)居室における温度を外気の温度より低くする場合は、
その差を著しくしないこと。
相対湿度 40%以上 70%以下
気  流 0.5 m/秒以下
ホルムアルデヒドの量 0.1mg/m3以下(0.08ppm以下)

4.◯

No.02 熱貫流率の計算

図に示すような鉄筋コンクリート壁の熱貫流率として,最も近い値はどれか。ただし,熱伝達率は,放射熱伝達率と対流熱伝達率を合わせたものとする。

1.0.3  2.1.3  3.4.0  4.33.6

答え

  3

[ 解答解説 ]
熱貫流率とは、熱伝導抵抗の逆数、つまり熱の通しやすさのことである。
熱伝達率は、壁の室内側と室外側にありその表面近傍部分の熱伝達のしやすさのことである。
その逆数が熱伝達抵抗である。一般的にはそれぞれの部位、仕上面の状況によってことなる。

熱貫流率(U値)
= 1 /材料の熱抵抗値(m2・K/W)
= 1/(室内側熱伝達抵抗 + 壁の熱伝導抵抗 + 室外側伝達抵抗)
= 1/(0.111 + 0.094 + 0.043)
= 1/0.248
= 4.032

よって、選択枝3の 4.0が最も近い値である。

No.03 鉄筋コンクリート構造

鉄筋コンクリート構造に関する一般的な記述として,最も不適当なものはどれか。

1.柱の主筋はD13以上の異形鉄筋を4本以上とし,その断面積の和は柱のコンクリート全断面積の0.8%以上とする。

2.柱のせん断補強筋は直径9mm以上の丸鋼又はD10以上の異形鉄筋とし,せん断補強筋比は0.2%以上とする。

3.梁の断補強筋の間隔は,梁せいの1/2以下,かつ,250mm以下とする。

4.梁に孔径が梁せいの1/3の円形の貫通孔を2個設ける場合,その中心間隔は両孔径の平均値の2倍以上とする。

答え

  4

[ 解答解説 ]
1.◯
柱の主筋は、柱の軸方向に配筋する鉄筋のこと。異形鉄筋とは、コンクリートの付着性を向上させるために周囲にリブと呼ばれる突起のある鉄筋をいう。柱の主筋は直径がD13以上の異形鉄筋とし、その断面積の和は、柱のコンクリート全断面積の0.8%以上とする。(鉄筋コンクリート構造計算基準・同解説)

2.◯
梁、柱のせん断補強筋は軽微な場合を除き、直径9mm以上の丸鋼又はD10以上の異形鉄筋とする。せん断補強筋(帯筋及びあばら筋)比は0.2%以上とする。

3.◯
梁の断補強筋とは、梁のせん断応力に対抗する鉄筋のことであばら筋のことである。あばら筋は、せん断やひび割れに対する補強に用いられ、間隔はD10の異形鉄筋を用いて梁せいの1/2以下,かつ,250mm以下とする。(鉄筋コンクリート構造計算基準・同解説)

4.×
梁に2個以上の貫通孔を設ける場合、孔径は梁せいの 1/3以下とし、孔の中心間隔は孔径の平均値の3倍以上とする。

No.04 地盤及び基礎構造

地盤及び基礎構造に関する記述として,最も不適当なものはどれか。

1.圧密沈下の限界値は,独立基礎のほうがべた基礎に比べて大きい。

2.直接基礎の滑動抵抗は,基礎底面の摩擦抵抗が主体となるが,基礎の根入れを深くすることで基礎側面の受動土圧も考慮できる。

3.直接基礎の地盤の許容応力度は,基礎荷重面の底面積が同じであっても,その底面形状が正方形の場合と長方形の場合とでは異なる値となる。

4.基礎梁の剛性を高くすることにより,不同沈下が均等化される。

答え

  1

[ 解答解説 ]
1.×
独立基礎とは、柱ごとに独立して点で支持する基礎をいう。べた基礎とは、建物の荷重を面で支持する基礎をいう。独立基礎は圧密により不同沈下を生じやすいが、べた基礎は建物と基礎が一体となっているため、不同沈下は生じにくい。圧密沈下の許容値は、独立基礎の方がべた基礎に比べて小さい

2.◯
滑動抵抗とは,基礎底面が土圧により水平に移動しようとする力に抵抗することをいう。根入れを深くすると、基礎底面の摩擦抵抗が主体となり滑動を防止できるが、根入れを深くすることにより、基礎側面に受動土圧は大きくなるので、さらに抵抗力が上がる。

3.◯
直接基礎における地盤の許容応力度は,基礎荷重面の底面積が同じであっても,その底面形状が正方形の場合と長方形の場合とでは異なる値となる。

4.◯
基礎梁とは、基礎部分や地下部分を支える梁のことで、地中に施工される者で、地中梁とも呼ばれる。基礎梁の剛性を高くすると、基礎梁が変形しにくくなるので、不同沈下を均等化することができる。

No.05 3ヒンジラーメンへの集中荷重

図に示す3ヒンジラーメン架構の点Cに集中荷重P1及びP2が作用したとき,支点Bに生じる水平反力HBの値の大きさとして,正しいものはどれか。

1.HB=0kN

2.HB=2kN

3.HB=4kN

4.HB=6kN

答え

  3

[ 解答解説 ]
支点A及びBの鉛直荷重及び水平荷重をVA、HA、VB、HBとおく

力のつり合いより
VA + VB = P2 = 3kN
HA + HB = P1 = 4kN
支点Aでは
MA = 8m × -VB + 4m × P1 = 0
よって、VB = 4m × 4kN / 8m = 2kN
ゆえに VA = 1 kN
点Cより右側の部材を考える
Mc = 8m × -VB + 4m ×HB = 0
8VB = 4HB
HB = 2VB = 4kN
よって、正答肢は3となる。

No.06 内装材料

内装材料に関する一般的な記述として,最も不適当なものはどれか。

1.強化せっこうボードは,せっこうボードの芯に無機質繊維等を混入したもので,性能項目として耐衝撃性や耐火炎性等が規定されている。

2.パーティクルボードは,木毛等の木質原料及びセメントを用いて圧縮成形した板で,屋根の下地材等に使用される。

3.コルク床タイルは,天然コルク外皮を主原料として,必要に応じてウレタン樹脂等で加工した床タイルである。

4.クッションフロアは,表面の透明ビニル層の下に印刷層,発泡ビニル層をもったビニル床シートである。

答え

  2

[ 解答解説 ]
1.◯
強化せっこうボードは,せっこうボードの芯にガラス繊維などの無機質繊維を混入したもので,性能項目として耐衝撃性や耐火炎性等が規定されている。

2.×
パーティクルボードは、木材等の小片を主な原料として、接着剤を用いて熱圧成形した板である。(JIS A5908)設問は、木質系セメント板の記述である。

3.◯
コルク床タイルは,天然コルク外皮を主原料として,必要に応じて塩化ビニル樹脂またはウレタン樹脂等で加工した床タイルである。

4.◯
クッションフロアはビニル床シートの一種で、表面に透明ビニル層、その下に印刷層,発泡ビニル層をもったものである。

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