実践14 仕上工事7 防水工事2

1級建築施工管理技士 実践14 仕上工事7 防水工事2 外断熱

ビル工事の断熱と防水は、発生源の外部から処置を行うのが物理的に適しているはずであるが、日本のおける断熱・防水工事の主流は内側から行われている例が多かった。
しかし近年では、外断熱工法や、外側からの防水工法も研究、開発され、採用例が増えてきている。

外断熱・外防水工法の注意点

屋根や外壁が受ける日中の直射日光による室内への影響は非常に大きい。
木造建築の屋根裏などは60℃を超えるケースも多々ある。
それらはすべての建物に共通しており、熱気を遮断し、冬場の冷込みを抑えるがめの外断熱工法は、居住空間の快適性を向上させるとともに、ランニングコストを抑え、また構造体の寿命を守る効果があるので、採用例が増えてきている。
断熱材には通常、硬質発泡ウレタンフォームなどの断熱ボードを使用するが、この種の材料は石油製品なので、火災に弱く、かつ、濡れると断熱効果が急減するので、施工中は雨に注意し、保管場所には火気を近づけないように管理することが大切である。
工事中の断熱材からの火災は頻繁にある。
また、断熱ボードの上はシート防水膜を張る仕様で設計されているケースが多いが、その場合、躯体との接着強度が問題となる。
昨今の巨大な台風で吹き飛ばされたケースが多々ある。その原因は、おそらく、屋根面平行に強風が吹いた際の揚力により、引っ張りがかかったことによると考えられる。
躯体と下地、下地と断熱ボード、断熱ボードとシート防水との固定方法を計算や実験によって確認し、固定ボルトの引抜き力の安全率も”2倍以上”を目安しておくことが重要である。

外防水による地下室への水の侵入防止対策

都市部の地下室のほどんどは、内側からの防水になっている。
地下鉄工事などにより、一時的、都市の地下水位が大きく低下し、竣工後の建物の地下に水がしみでる事故は少なくなっているが、近年は地下鉄工事もほぼ終了し、地下水のくみ上げも少なくなり、都市部の地下水位が回復してきているようである。
躯体の隙間から侵入した地下水は、鉄筋を腐食させ、二重壁の内側に溜まり、やがては地下の二重壁を押出し破壊する例もある。
それらの問題を発生させないためには、外側から防水をすることが有効である。
地下室の外防水には、一般的には、ポリマーセメント系塗膜防水で十分であるが、その他に、鉄板と目地部の防水シールの組合せによる方法と、ベントナイトの膨張性を利用したボルクレイ防水などがある。
前者は確実性が高いが、きわめてコスト高になるため、データセンターなどの特殊な用途の建物に限って使用されている。一方、後者のボルクレイ地下防水は環境の観点を考慮しつつも、大きなコスト負担とはならない。
約1億年前に火山灰から生じたベントナイトの膨張性能を利用したボルクレイ防水工法は、ベントナイトを不織布で挟んだシートを、山留壁に貼り付けてから、躯体コンクリートを施工する自然素材による防水である。
地下水の発生とともに、ベントナイトの粉末が地下水の流れに反応し、そこで膨張することで、半永久的に防水性能を維持する方法である。
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1級建築施工管理技士 屋根・防水工事 雨水排水

建築品質 屋根・防水


003)雨水のスムーズな排水は建物の基本

建築の目的は雨をしのぐことであるといっても過言ではない。降った雨を集めて、上階から下階へ、そして下水道に接続する最終会所へスムーズに排水するように計画すること、すなわち雨水の集排水計画は建築の基本である。

1.谷樋は漏水のリスクが大きい

(谷樋:屋根の谷と呼ばれる部分の雨樋)
谷樋は漏水のリスクが大きくて、できるだけ谷樋を設けないような建築計画が望まれる。
しかし、どうしても谷樋をもうける場合は、絶対漏水させないように

①谷樋は十分な雨水負担容積があること
②もし樋がつまっても外部へオーバーフローをできるようにすること
③清掃などのメンテナンスがいつでもできること

が大切である。

2.雨水を受ける屋根面積の算定

屋根面積は水平投影面積とする。
上階の壁にあたった雨水が集まることが懸念される屋上は、上階の壁面積の1/2を屋上(屋根)面積に加える。

3.屋根勾配とルーフドレン(RD)位置の決定

屋根勾配とRD位置を決めることは、雨水をどこに集め、縦菅をどこに設けるかを決めることである。
屋根勾配は、保護アスファルト防水の場合は1/100以上とし、露出防水では1/50以上とする。側溝を設けるときRD間隔は12m以下とする。
RDは1カ所が詰まってももう1ヶ所で排水できるように、必ず2ヶ所以上設ける。屋根面積が小さくRDを1ヶ所しか設けないときは必ずオーバーフロー菅を設けなければならない。

4.縦管径と最大許容屋根面積の確認

雨水縦管は雨水専用とし、縦管径によって負担屋根面積が決まる。その管径による排水能力はSHASE-S206給排水設備基準による。

上の表は100mm/hの場合と180mm/hの場合を示す。
当該敷地での10分間の最大降雨量を理科年表で確認し、時間最大降雨量を設定する。100mm/hを超えるときは、100m/hの面積に(当該敷地の最大降雨量/100)を掛けて許容面積を算出する。
近年局地的な集中豪雨などで過去の実績を上回ることも頻発しているので、直近の気象データを考慮することが必要である。

5.横走り管は配管勾配によって許容最大屋根面積が変わる

横走り管を設ける場合、排水能力がその配管勾配によって変わるため、注意が必要である。(下表)
横走り管は詰まりやすいので、管径100mm以上の管を使う。
なお、横型RDを用いる場合は横走り管がなくても、下記表の配管勾配 1/50を採用する。

6.雨水配管の仕様

雨水配管の仕様は、外部はVP管でもよいが、内部は破損しにくい鋼管を用いて防露巻きとする。耐火2層管もある。

*100mm/hの時の雨水横走り管の管径(( )は180mm/hの時)

1級建築施工管理技士 屋根・防水工事 ルーフドレンの形状

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004)ルーフドレインは縦型か横型か

飛んできた落葉やビニール袋などでルーフドレイン(RD)が詰まることがある。
RDのストレーナー(ごみ除け)が低いと詰まりやすく、径が小さくても詰まりやすい。
径が100mm以上のルーフドレンを使いたい。
横型は漏水のリスクが低く、縦型は排水性が良い。

1. 縦型ルーフドレン

縦型RDは集水を確実にするために、水下コンクリート天端より40mm程度下げて設置する。
この時RDまわりの床スラブが薄くなるので、十分鉄筋で補強するか、RDまわりの床スラブを厚くするなどが必要である。
縦型RDのストレーナー(ごみ除け)はごみが詰まりにくい背の高いものを採用する。
縦管は室内になるため、清掃時の破損や、配管ジョイントからの漏水がないように鋼管(白ガス管)を用い、溶接接合する。
また、鋼管は屋内で結露する恐れがあるため、防露巻とする。
縦管に耐火2層管を採用した場合は防露巻きを省略することができる。

2.横型ルーフドレイン

横型RDは床スラブを貫通せずに横引きで外部縦管と接続するため、室内への漏水リスクは少ない。
横型RDも水下コンクリート天端より40mm下げて床コンクリートに打ち込む。
RD下の梁は、RDと干渉しないように水下コンクリート天端より100mm下げておくことが必要である。
横型RDは縦型よりごみが詰まりやすい。
ストレーナーが高く上がったタイプを用いること。
横型RDの縦管はVP管を用いる。VU管は肉厚が薄く、耐久性に劣る。
VP管の熱伸びによって横型RD接続部に力が加わり破損する事例がある。RD接続の横引き管は鋳鉄製が望ましい。
縦管は12mピッチに伸縮継ぎ手を設ける。また、地上部で縦管を保護する必要のあるときは養生管を設ける。

3.オーバーフロー管

小面積の屋上でRDを1ヶ所しか設けない場合はオーバーフロー(OF)管を設ける。
OF管は、オーバーフローしたものがすぐにわかる位置に設ける。
OF管は、普段の雨で外壁を汚さないように内勾配(1/10)にセットする。また、鳥が巣をつくることもあるので、OF管の両端に防鳥格子を設ける。

1級建築施工管理技士 屋根・防水工事 保護アスファルト防水

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005) 保護アスファルト防水

アスファルト防水は釜で溶かしたアスファルトでアスファルトルーフィングを何層にも重ねて張り付けるため、耐久性もあり、最も信頼性が高い防水である。
アスファルト防水層の上に断熱材や保護コンクリートを施工することにより、さらに耐久性が増す。

アスファルトを釜で焚くとき特有の臭気が発生するため、市街地では臭気公害になることもある。アスファルトを焚かない特殊冷工法などを検討する。

1.防水立上りは水上仕上げ面から200mm以上を確保する

屋上の保護アスファルト防水は、1/100以上の躯体勾配を確保する。
屋上のアスファルト防水で最も重要なポイントは立上り部分のおさまりである。風雨や直射日光にさらされ、防水の弱点となりやすい。
アスファルト防水の立上りは水上仕上げ面から200mm以上を確保し、上端部を防水押さえ金物で押さえ、ゴムアスファルトでシールする。パラペットはあごを設けて水を切り、押出成形セメント板等で保護しなければならない。保護アスファルト防水の立上り部を露出仕様にするのは立上り部の劣化を早めるので良くない。

2.保護コンクリートの厚さと排水溝の深さ

保護コンクリートの厚さは、直押え仕上げの時80mmとし、溶接金網(鉄線径6mm、網目寸法100mm)を入れる。排水溝は1/200以上の勾配を確保して、仕上げを行う。
排水溝の水下では40mmのモルタル厚さを確保し、その中に溶接金網(鉄線径2.6mm、網目寸法50mm)を敷き込む。排水溝の勾配代は30mm程度となるので、ルーフドレイン(RD)の間隔は12m以下で設けることになる。

( 勾配 1/200 より 200×30 = 6000mm
排水溝の水上からの振分けで12m )

3.保護コンクリートには伸縮調整目地を設ける

保護コンクリートの熱膨張によって防水層を傷めたり、パラペットを押して躯体をも傷める。保護コンクリート自体のひび割れもあり、必ず伸縮調整目地を設ける。伸縮調整目地の割付けは周辺立上り面から600mm程度の位置と、中間部は縦横間隔3m程度の位置をとする。排水溝部も含め、立上り面まで達するように設ける。

1級建築施工管理技士 屋根・防水工事 露出アスファルト防水

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006) 露出アスファルト防水の注意点

露出アスファルト防水は日常歩行しない屋上にも用いられる。防水の最終表層は砂付きアスファルトルーフィングなどにする。防水の信頼性は高い。耐久性においては保護アスファルト防水に劣るが、改修などメンテナンスが容易であるという利点がある。

1.露出アスファルト防水の躯体勾配は 1/50以上

露出アスファルト防水ではアスファルトルーフィングの施工時の重なり部に水が溜まらないように、また躯体コンクリート床の直押え精度を考慮して躯体勾配を1/50以上確保する。

2.露出アスファルト防水では躯体勾配で集水する

露出アスファルト防水では排水溝部分の防水施工ができないので、躯体勾配でルーフドレン(RD)に集水する。したがって、躯体勾配においては勾配をシンプルにし、打増しを少なくするようにする。躯体勾配は1/50を基本勾配とし、集水のための寄せ勾配(補助勾配)は1/100とする。

3.露出アスファルト防水の立上り寸法は300mm確保する。

露出アスファルト防水の防水立上りは水上コンクリート天端から300mmを確保する。これは立上り部に雨水をかかりにくくし、かるアスファルト防水の施工を確実にするため。

①コンクリートのパラペットに溶融アスファルトで確実に張り付ける。
②先端を金物で押さえる。
③ゴムアスファルト系シールをする。

露出防水の立上り部で、あごを設けないときは防水押さえの金物の上に大きめの水切りを付けて納める。または笠木を被せる。

4.防水立上り高さが確保できないとき

建物の高さ制限などで立上り高さが確保できないろきは、全体でオーバーフローしてもいように納める。パラペット天端外壁際まで防水を張りあげ、金物で押さえるなどの工法を検討する。

1級建築施工管理技士 屋根・防水工事 シート防水

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007) シート防水は機械的固定工法にする

シート防水は躯体床の上に防水シートを張りつける。施工は容易であるが、風圧で剥がれないこと、及びシートの接合(溶着・接着)した部分が長期にわたって水密性を保つことが重要となる。RC床では乾燥が不十分のままシートを張ると、膨れや剥離につながる。50~100m2に1ヶ所SUS製脱気装置を設ける。

1.合成高分子系ルーフィングシート防水はメンテナンスが容易

塩化ビニル系ルーフィングシートなどの高分子系ルーフィングシートを用いたシート防水は、耐候性も良くなり、施工性も良く、メンテナンスも容易であることから、多く採用されるようになった。
このシート防水は、シートの厚さが1.2~2mmと薄く、シートの接合は重ねて溶剤溶着や熱融着するため、
①シートを傷めないこと
②重ね接合部の水密性確保
③風でめくれないこと
が重要である。

2.合成高分子系ルーフィングシート防水は機械的固定工程が確実

シート防水は台風などの強風時に負圧でめくれ上がることがある。シートの接着工法は、下地の状態や施工法により接着強度にばらつきが生じるため、固定金具(ディスク)を用いた機械t的固定工法が確実である。

建築基準法告示による負の風圧力の大きさに対して固定金具の数や配置で対応でき、安全・確実である。機械的固定には固定金具にシートをかぶせた上から熱融着させる工法とシートを固定金具で固定し、その金具部分に補強シートを熱融着するなどの工法がある。
ALC板下地の場合は金具の固定アンカーが効きにくいので、試験施工で確認する。


合成高分子系ルーフィングシートの断熱防水(RC下地)


合成高分子系ルーフィングシートの断熱防水(デッキ下地)

3.臭いが少ない改質アスファルトシート防水

アスファルト防水では釜で焚いたアスファルト特有の臭気ガスが発生するため、街中ではクレームになることが多い。改質アスファルトシート防水は、アスファルトを釜で焚かないので、街中や住宅街でも安心して施工できる利点がある。
改質アスファルトシート防水はシートをバーナーで炙って表面のアスファルトを溶かしながら接着していくトーチ工法とゴムアスファルトの粘着性をもつシートを張る自着工法(冷工法)がある。

重ね幅10㎝程度で1-2層しか張らないので、重ね部のアスファルトが完全に溶けて一体になることが重要である。また、立ち上がり部や入り隅部などもアスファルトを溶かしながら張りつけるので、熟練した技術を必要とする。

4.防水は必ず水張り試験で確認する

水張り試験はルーフドレンまわりや立ち上がりコーナー部などで行うこともあるが、全面水張りとし、24時間確認を行う。

1級建築施工管理技士 屋根・防水工事 パラペット

建築品質 屋根・防水


008 )パラペットは外壁扱いに

防水を立ち上げる下地と水切りとしてのあごを総称してパラペットという。パラペットは外壁と防水の接点にあたり、雨仕舞上重要な部位である。パラペットの外壁が汚れた、クラックが入って漏水した。水が切れずに防水端部に水が廻った、保護コンクリートの膨張でパラペットが外壁から押し出されたなどの事例がある。

1.パラペットはあご先端までを外壁扱いにする

外壁は、通常クラックが入りにくいようにダブル配筋で180mm程度の厚さを確保している。パラペットも同じように、クラックが入って雨水が侵入しないように、あごの先端までが外壁という扱いで、ダブル配筋し、3〜4m程度ごとにひび割れ誘発目地を設ける。


パラペット

2.パラペットの天端は防水する

パラペット天端は雨に叩かれ、強い日射にさらされ、屋根と同じく最も過酷な部位である。微細なクラックが入りやすく、劣化が早い。その天端を保護し、雨水を侵入させないように塗膜防水しなければならない。

3.パラペットの天端勾配は 1/10以上

パラペットの天端についた粉塵が、雨で外壁側に押し流されて外壁を汚さないように、屋上側に向けて 1/10以上の勾配を確保したい。

4.金属笠木はジョイント部の納まりを確認する

パラペットに金属笠木を取り付けることができれば、あごを省略することができる。金属笠木は笠木と笠木のジョイント部の納まりを確認する。金属笠木の熱膨張を考慮するとともに、天端のシールが切れた場合でも漏水に至らないような排水機構を設けるなど配慮が必要である。張り終い部を数ヶ所設けると、そこから外せるのでメンテナンスがしやすくなる。既製品の笠木は天端先端に水返しがあり、内外両側に水切りもある。


金属笠木(既製品)


金属笠木(製作品)


笠木ジョイント部 ディテール

5.パラペットは屋上床と一体打ちにする

パラペットを屋上床面で打ち継ぐと、その打ち継ぎ目地からの漏水だけでなく、防水の保護コンクリートが膨張して躯体パラペットを押し出すこともある。したがって、屋上パラペットは下階と一体打ちとし、打継ぎを設けないことが原則である。どうしても打継ぐ場合は、屋上水上コン天より100mm上がって位置で打ち継ぐ。

1級建築施工管理技士 屋根・防水工事 屋上断熱防水

建築品質 屋根・防水


009) 屋上断熱防水は油断大敵

屋上スラブは昼間の日射熱によって躯体が蓄熱し、直下階は熱負荷が大きくなる。躯体は熱膨張し、最上階妻壁にクラックを発生させる。アスファルト防水自体も熱による膨張収縮で劣化する。屋上断熱防水はそうしたマイナスを小さくする。すなわし最上階を快適な空間にし、防水の耐久性を高め、躯体に対する熱影響を小さくする効果がある。

1.屋上断熱防水には断熱欠損部が発生する

屋上には断熱できない部分が発生する。機械基礎、ハト小屋、ルーフドレンまわり、目隠し壁の支柱基礎などの部分などである。その断熱が欠損したままだと、スラブ下(天井裏)で結露する恐れがあるため、断熱欠損部のスラブ下には断熱を設けなければならない。
屋上に機械基礎が多い場合は、外断熱にこだわらず、内断熱の方が効率よく、効果的な場合もある。

屋上断熱防水の断熱欠損部の処置

2.ヒートブリッジ(熱橋)部は内部断熱を重ねる

ヒートブリッジとは外部の熱を内部に橋渡しする(伝える)部分で、熱橋という。外壁断熱と屋上断熱との取合い部や、屋上断熱が欠損した部分などが熱橋となる。熱橋部分は内断熱を屋上断熱に600mm程度※重なる位置まで断熱する。

※省エネルギー申請図書、住宅性能評価図書に記載した熱橋範囲の長さは確保する。
(熱橋用断熱材、部位、建築地域によって異なる。)

3.断熱防水でも鉄骨床梁が結露する

鉄骨造の屋上に鉄骨支柱を立てるとき、鉄骨支柱は鉄骨床梁から立つ。この場合支柱と床梁は外気温と同じように冷え込み、支柱位置で梁が結露する。支柱位置から両側約1mの範囲は断熱を考慮する必要がある。梁の耐火被覆が吹き付けであれば断熱性もあるが、巻き付け耐火被覆の場合は内部結露する可能性がある。

屋上鉄骨の断熱

1級建築施工管理技士 屋根・防水工事 屋上 設備基礎

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010) 屋上設備基礎は最小限に

屋上に設備基礎を置く場合、屋上防水のやり替えや補修の際に設備機器を移動したり停止させたりしないために、躯体立上げ式の基礎(以下機械基礎という)を設け、その基礎に防水を立ち上げる。機械基礎が多いと漏水のリスクや、躯体コスト、防水コストも高くなる。設備設計の機械配置に基づいて単純に基礎を設置するため、基礎の数も多く、屋上排水も考慮されていないことがある。

1.機械基礎の数は極力少なくする

機械基礎の上に鉄骨架台を組んで設備機器をのせるようにすれば、機械基礎の数は大幅に少なくできる。また、機械荷重や基礎と梁位置などの調整も必要で、設備担当者任せにしてはならない。

機械基礎の配置


機械基礎 断面

※機械基礎の配筋は一般的にはスラブへL2以上の定着必要である。
その折り曲げ位置はスラブ厚さの中心を超えた位置とする。
(スラブ上端筋の上に置くのでは定着にならない)

2.屋上の水勾配の向きに沿わせる

機械基礎が雨水の集水を妨げているのを見かける。機械基礎を布基礎とする場合は屋上勾配の流れに沿って配置し、雨水の集水をスムーズにしたい。できれば布基礎より独立基礎にした方が雨水の集水はスムーズとなる。

3.基礎間隔は防水の施工性を考慮する

機械基礎の間隔及び機械基礎とパラペットの間隔は防水の立上りが確実にできるように、またメンテナンスもできるように十分に(600mm以上)確保しておく。

4.露出防水では点検ルートに歩廊を設ける

露出防水や断熱露出防水などでは、機械のメンテナンスのための点検歩廊や配管類も鉄骨架台と一体にすると、防水を傷めないので理想的である。

5.軽微な機械の固定は保護コンクリートの上の基礎でよい

防水のメンテナンス時などに容易に移動できる軽微な機器は、防水の保護コンクリートと一体の置式基礎でもよい。ただし、伸縮目地をまたがない計画とする。

軽微な機械基礎

1級建築施工管理技士 屋根・防水工事 ハト小屋

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011) ハト小屋は雨水が入りやすい

屋内の設備機器と屋上の設備機器とを接続する配管類を、防水を傷めないで屋上に取り出すための小屋を一般にハト小屋という。ハト小屋室内から多くの配管を取り出すため、その配管まわりから雨水が侵入しやすい。また、ハト小屋内部での結露などのトラブルも多い。

1.ハト小屋の庇は深くする

はと小屋の防水の立上りのあごの上から設備配管を取り出し、その配管の周囲はアルミパネルなどの金属板で塞ぐ。配管のパネルの取合いはシールに頼るため、そこに雨水がかからないようにハト小屋の庇を深くする。


ハト小屋


ハト小屋の例

2.ハト小屋の屋根、庇は防水する

小規模のハト小屋の屋根はウレタンの塗膜防水程度でよいが、屋根の規模が大きくなったらクラックが入りやすいため、塩ビシート防水が安心である。

3.ハト小屋の内部には結露防水の断熱を

ハト小屋内部には室内天井内の暖気が上ってくるため、結露する可能性が大きい。したがって、ハト小屋内部は結露しないように断熱する必要がある。ハト小屋の面積が大きいときは、室内の気密性を高めるために床を設け、点検口を設けることも検討する。

4.ペントハウス(塔屋)の外壁から配管取り出しは水切りを設ける

ペントハウスはどの外壁から設備配管を取り出す場合は、大きく囲うような水切りを設け、配管まわりのシール部分に雨水がかからないようにする。また、配管は外部側を低くするように外勾配を設ける。

外壁からの配管の取り出し

5.小規模の配管取り出しには既製品のハト小屋を検討

屋上への配管取り出しが少ない場合は、既製品のハト小屋の利用も検討する。或いは、逆に数が多い場合は、PC化を検討も視野に入れる。

既製品ハト小屋の例